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2012年にイラン攻撃か

◆1月6日

 イラン攻撃がどうも今年はありそうだ、という兆候がが多いという。このイラン攻撃に対してはこのブログでも再三に渡って取り上げてきたが、何らのメリットもありはしない。簡単に言えば、世界が大混乱に陥ることで、一時的なメリットめいたものが、吹き飛んでしまう結果となるのだ。

 以下の論文でも同じことを語っている。それでも今、イラン攻撃を語ることで、そしてそれに対してイランがホルムズ海峡封鎖を語ることで、石油の価格が上昇することで、そのメリットを確実に手にしている者が存在していることは確かである。ひょっとすれば、それが狙いかもしれない。

 いずれにしても、今年はこのイラン問題と、それに絡むかのようにしてあるシリア問題、そしてこの問題の背後にある、ロシア・中国その他 vs 欧米・イスラエル の対立も徐々に際立ってくる気配がある。

 この中で我が日本はいかなる態度をとるべきか、ということが問題となるが、中国の海洋覇権問題と取り組まねばならない日本は、アメリカの軍事力を貸してもらわねばならず、アメリカの意向に反対することはできないであろう。

 すると、せめてイラン問題で例えばロシアがそれを抑えようと努力する際には、日本が陰からの支援などをすることが考えられるが、そのようなことをができる政治家が日本にいるのかどうかは分からない。

 一番の問題は、下記の論文でも指摘しているように、イラン攻撃でメリットを得ることはできないということを理解することのできる、真っ当な精神を持った政治家がアメリカやイスラエルにいるのかどうか、なのだ。いることを祈るしかないが。

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●2012年のイラン攻撃は何故うまくいかないのか?
http://21stcenturywire.com/2012/01/05/why-attacking-iran-will-not-work-in-2012/
【1月5日 by Patrick Henningsen】

 ワシントン、ロンドン、パリ、テルアビブから出されるあらゆるサインが、2012年にイランに対する軍事的先制攻撃の可能性を示している。しかし、いくつかのキーとなる指標がその攻撃が失敗する、あるいは無理な作戦であるということを示しており、失敗すればアメリカとイスラエルは復活することはできないほどの軍事的・経済的な失墜を招き得ることを示している。

 最近、アメリカは内部からの崩壊現象を押し留めることができなかった、失敗した帝国の轍(わだち)の後を踏んでいる。アメリカは現在、財政赤字問題で苦しんでおり、それは自らの経済全体の破産を招きかねない脅威となっているし、更には世界的な影響力と利益の唯一の道具である米ドルの覇権に対する脅威となっている。


◆道徳的裏付けの欠如

 数世紀にわたって、ローマ帝国でさえ、世界を支配するにそれなりの道徳的な裏付けを必要としたものだ。2003年のイラク侵略・占領時も、アメリカに率いられた欧米社会とその同盟国は自分らの計画に従って侵略を開始するには、何らかの形を持った道徳的裏付けによる多国籍同盟軍が必要だった。

 イラクのいわゆる「大量破壊兵器」に対する米・英のキャンペーンが国連を舞台にして演じられ、米英の一般市民の世論を動かすことができ、イラクに対する戦争を正当化することができた。

 国連のIAEAがイランが核兵器を開発していると示唆することに何回も失敗したことで、道徳的裏付けは存在せず、タカ派とフォックス・ニュースの最大限の努力にも拘わらず、世論は軍事的行動を是認するまでには至っていない。唯一残された軍事的対決を可能にする技術は、アメリカ・イスラエル共謀のあるいはイギリスとの共演による自作自演劇であり、その中でイランが「最初の射撃」を行ったとすることである。 


◆戦争は既に始まっている

 アメリカが支援する制裁がイランの中央銀行に対して課せられることで、イランに関する限りは、戦争は既に始まっている。これはしかし、国連にはこのような前哨戦を正当化する証拠となるものは提出されてはいないのだ。しかし、制裁というものは心理戦争の最初のステップとなるものだ。この同盟側のあからさまな国連安保理審議の濫用の結果、いくつかの影響力ある諸国が既にアメリカ支援の制裁に不賛成であることを発表している。

 今週、韓国はアメリカの要望にも拘らず、2012年にイランからその原油の10%ほどを買い付けると発表した。中国はやはりアメリカの制裁への呼びかけに逆らって、イランとの貿易関係を再開するとしている。2012年には、イランを石油輸入先国のNO.2にする計画を中国では持っている。
  
 欧米側はイランとの関係で中国と対決するまでには至っていない。彼ら同盟勢力側は国際的なお墨付きを獲得することで四苦八苦していることを意味している。彼らはイランを短期的には痛めつけることができるかもしれないが、長期的に見れば、制裁は効果はないだろう。


◆「論戦」を継続させる欧米側のコスト

 2012年の初期に見えてくる事態は、欧米側が記者会見とそこで帝国主義的ご託宣をすることで、論戦を継続するということだ。

 しかし、この「戦争を気取ること」のコストでさえ、欧米側にとってはきつ過ぎるかもしれない。

 イラン攻撃の恫喝をすることだけで、自動的に石油の投機屋たちが価格を釣り上げるであろうし、それは欧米のビジネスや消費者にとっては受け入れがたい事態となる。これらの事態の流れは既に始まっている。ホルムズ海峡は、石油タンカーが世界でもっとも頻繁に通過する航路で、そこでは1700万バーレルの石油が毎日通過している。今週のイラン側の発表では、アメリカあるいはイスラエルから攻撃されれば、自国の領海を防衛するだけでなく、ホルムズ海峡を封鎖することで報復する、としたことで既に石油価格は八か月ぶりの高値となる1バーレル111.65ドルにまで釣り上げられた、とCNNが報じている。

 イラン軍がミサイルの発射実験をした後、ホルムズ海峡封鎖に対する懸念から、石油価格は5日4%上昇した。「これは主にイラン問題の故だ」と、エネルギー危機管理会社のキャメロン・ハノーバー社のピーター・ブテル・アナリストは語った。「それが強気の最大の要素だ」という。

 石油価格は4.2%上昇して1バーレル102.96ドルになった。これは5月10日1バレル103.88ドルとなった時以来の最高値である 

 この状況は、アメリカ・イランの睨み合いが2012年にも継続することでますます悪化している。ビジネス・インサイダー誌は本日、1バーレル150ドルになるかもしれないというシナリオの詳細を報じた。

 ギネス・グローバル・エナジー・ファンドのマネージャーは、もしイランがホルムズ海峡を封鎖し世界の石油輸出の15%を止めれば、1バレル150ドルに急騰すると警告した。
 

◆棚からボタ餅の石油産業界

 サウジアラビアに率いられるOPECの湾岸石油産出国である、UAE、クウェート、カタール、バーレーンは、国連の制裁と欧米側とイランとの間の不和によって確実に利益を獲得するだろう。

 GCC(湾岸協力理事会)外国会社とジョイント・ベンチャーには、アラムコ、ハーケン・オイル(ブッシュ家の会社)、テキサス・オイル、ユニオン・オイル・オブ・カリフォルニア、その他が含まれる。流通企業と小売り業者には、エクソン、ロイヤル・ダッチ・アンド・シェル、BP、シェブロン、ゲッティ、フィリップス、テキサコ、モービル、オクシデンタル・アンド・ガルフ、アモコが含まれる。これらの多国籍石油精製業者、流通業者、小売業者らは現金の棚ボタや株価の上昇を期待できるが、もっと重要なのは、これらのカルテルにとっては新しい高値をガソリン販売価格に設定できる機会となるだろう、ということだ。

 仮に欧米側とイランとの間の軋轢が弱まったとして、そして石油価格が1バレル100ドル以下に下がるようなことになっても、これら石油会社のカルテルは新しいガソリン販売価格の高値の水準を保とうとするだろう。原油価格とガソリン販売価格の間の関係性は、このカルテルの操作を立証するだろう。

 生活必需品である食糧やその他の品物の流通に必要な石油に大きく依存する、アメリカとヨーロッパの経済に対する影響としては、インフレを惹起することですでにインフレで痛めつけられている消費者にとっては恐るべきことになりかねない。同様に、このような危機は、帝国の聖杯である米ドルに悪影響を与えるだろう。

 アメリカの商品価格の急騰は来たる2012年の大統領選挙の期間に、アメリカ国内の石油掘削に対するモラトリアムを中止する件に関する古い議論を蒸し返すことになるだろう。もしもどこかモラトリアムが解かれて掘削が可能となれば、これまた石油産業界とその株主らの勝利になる。


◆地域紛争のリスク

 リビアに対する介入モデルから見て、NATOがイランで大規模な軍事作戦に介入するとは思えない。それは経済・政治的にみてあまりにリスクが大きいことになるだろう。

 アメリカもイスラエルも数十年間、本当の海の戦争をしたことはない。アメリカの場合、世界最大の海軍を持つ国であり、本格的な海の軍事衝突は第二次世界大戦時のものであった。イギリスがフォークランド戦争時に体験したように、アルゼンチン軍がレーダーの下から発射したフランス製のエグゾゼ・ミサイルが、イギリス海軍艦隊の主要艦を航行不能にしただけでなく、彼らのまずい考えに基づく戦争を支えていた大多数の大衆の支持を無くすような酷い恥辱でもあった。

 同様に、イラン側の防衛力はアメリカ海軍の艦船を1隻どころか何隻も沈める能力を持っている。そのような事態ともなれば、アメリカ国民の心情にショックと恐怖を植え付けるかもしれず、悪くすれば、ワシントンのタカ派たちに、復讐としてイランの一般市民に対する核攻撃を正当化させかねないのだ。アメリカもイスラエルも、議論のポイントを対イラン「戦術核」の展開に移している。そのような想定は、しばしば実際に行われる事柄の指標であるので、無視されるべきではない。

 アメリカないしはイスラエルによるいかなる核の使用も、欧米に対する世界的な強い反発を招くことだろう。最悪の場合、第三次世界大戦へと繋がる流れを作るものとされるか、最少でも、欧米を一方として、イラン、中国、パキスタン、ロシアを他方とする新冷戦につながる地政治学的情勢の分裂を起こすことだろう。

 
◆GCCが標的になる

 ヒラリー・クリントンやネオコンの戦争屋などの、イランの政権交代の主唱者がめったに語らないもう一つの要素は、イランに対するいかなる攻撃も、アメリカのすべての同盟国がほぼ間違いなく潜在的な反撃目標にされるということだ。それは、こういった裕福で発展しているGCC諸国は数百マイル離れたところで起きる戦争による被害を受けないままでいるということはないだろう、ということを意味する。イラク、カタール、そしてアフガンにあるアメリカ軍の主要施設もイランとの紛争時には恐らく標的とされるだろう。、

 石油君主国のUAE、クウェート、カタールは今のところ社会として生き残るために、高い生活水準と国内の完璧なセキュリティーと安定性に大きく依存している。このような脆弱な石油君主国は、法律と規則の非常に薄い化粧版に依存している。イランからの報復攻撃がこれらの脆弱なアメリカの同盟国に向けられたら、大量の人々、駐在員、金融資金などがその国から逃げ出し、ヨーロッパ、アメリカないしはシンガポールなど、その他のもっと安全な国々に向かうだろう。

 もし戦争が起きるとすれば、アメリカ、イギリス、フランス、イスラエル、それに彼らの同盟国らが戦うことになろう。しかし、GCCはそれでも報復攻撃から自らを防衛する必要性に迫られるだろう。2011年12月、アメリカはUAEとの間に最新鋭のTHAD(終末高高度防衛)ミサイル・システムを含む34億8000万ドルの兵器の取引を発表した。これは、イランと対峙する湾岸諸国間にミサイル防衛網を構築しようとするアメリカの努力の一環としてなされたものだ。これに加えて、アメリカとサウジアラビアは、2011年初期に、サウジアラビアのパトリオット・ミサイルを強化するために、17億ドルの取引契約を行った。また、クウェートは9億ドルで209GEM-T ミサイルを購入した。この地域ミサイル防衛戦略は、侵入してくるミサイルを撃ち落とすための、アメリカ海軍のイージス艦クラスの軍艦の艦上にある探知網チームのバックアップのある地上配備の迎撃兵器が必要となるだろう。

 これらはGCC諸国の重要な取得物ではあるが、イランからの報復攻撃から自国を守る包括的防衛対策というわけではなく、名誉ある伝統の中で、恐らくはGCC諸国の現金を支払わせる、アメリカの軍需産業の恐怖と戦争の喧伝による押し売りの結果そうなったのであろう。

 こういった全てを考慮すると、またGCC諸国に信じがたいほど溜め込まれている富を考慮すれば、数十年間の投資をしゼロから作り上げてきた進歩的なアラビアン・プロジェクトにたいするそのようなリスクを、資金を注いで獲得した利権を持つ者たちが冒すというようなシナリオは考えにくい。


◆爆撃後の反動

 GCCのリスクを別にしても、もしもアメリカやイスラエルがイランに対する先制攻撃を実行すれば、地域からの全面的な反発を予測できるだろうし、イスラム世界全体からの本気の反乱をみることになるだろう。イランから一般市民の犠牲者が出ることは避けることはできないだろうし、それは、欧米側が血の代償を支払うべきである、とみなされることになろう。そのような汎アラブ的な反乱はアメリカとイスラエルの、この地域での情勢をコントロールする能力を超えてしまうだろう。イスラエルにとってこのようなシナリオでの結末は悲惨なものとなろう。そしてしっぺ返しがこの地域で繰り返されるということだけが、予想されることになる。

 そのような騒乱の嵐を切り抜ける欧米側の可能性は、それを抑え込むか、ないしはレバノンやシリアに軍事基地を設け、イランの伝統的同盟国と現在レバノンに本拠を持つイスラエルの敵対勢力のヒズボラを中立化させることにある。ヒズボラの軍事能力を潰さねば、イスラエルは安心してイランに対する一方的な、ないしはアメリカと共同の攻撃に出れない。シリアやレバノンの攻略のタイム・テーブルから見て、イラン攻撃はあるとしても2012年後期ないしは2013年以降になるだろう。


◆巨大な汚い爆弾

 もしも、アメリカやイスラエルが俗にいうイランの核施設や原子炉を攻撃するとして、それが巨大な汚い爆弾になる可能性がある。その場合、一般人の犠牲者は100万人に及び、放射性物質の落下はアメリカの顧客であるアフガン、サウジアラビア、UAE、カタール、クウェート、可能性としてイスラエル・パレスチナ、トルコ、グルジア、パキスタン、インド、南ヨーロッパの一部などに広がるだろう。

 そのような放射線医学的出来事で、欧米側は間違いなくあらゆる環境のダメージや死滅現象に対して非難されることになろう。その結果、欧米側は国際的な評判を大きく損ない、巨額な資金的な賠償問題が生じ、それは彼らの既に弱体化している経済を最終的に不能にするだろう。もっとまずいことは、世界経済を長期的な不況に追い込むということだ。

 最もまともなアナリストは、イラン攻撃にはあまりに大きいリスクがあり、あまりに高い値であるということに合意している。そこで、実際の問題が残る。ワシントンとテルアビブには政策決定をする真っ当なアナリストがいるのか、ということだ。


◆イスラエルの行う努力

 イラクを攻撃せよという以前のAIPAC(アメリカ・イスラエル公共問題委員会)のキャンペーンのように、イランを孤立化させ悪党に見せる努力は、イスラエル・ロビー内で策定されたものだ。アメリカの各下院議員と上院議員に対するキャンペーンの寄付金の車輪が回転するので、ワシントンにいるあらゆる野心のある政治家たちにとっては「イスラエル・ファースト」が最優先事項になってしまっている。もしも誰か政府の高官がこの線から外れて、イスラエルを批判したりすれば、AIPACの機関、例えばADL(ユダヤ名誉棄損防止同盟)とかSPLC(=Southern Poverty Law Center:南部貧困法律センター)などがすぐさま行動に出て、公共役人を攻撃するためのPRキャンペーンを行うのである。

 イスラエル・ロビーはイランに対する先制攻撃は、イランが、「イスラエルを地図から抹消」したいと述べたのだから、と主張することだろう。大方のタカ派の戦争屋は、イランのアハマディネジャド大統領がそのような言葉を吐いた事実はないことを知ったら驚くであろう。それが分かったとしたら、イスラエルの考え方が変化するであろうか?変化すべきだ。しかし、そうはならない。そんな事実が無かったといういかなる証拠があっても、このイスラエル・ロビーとそのメディアのパートナーたちは、実際はあったかのようにしてこの間違った解釈を繰り返して宣伝するであろう。このように、アメリカの政治家らはあたかもイランに対する先制攻撃を正当化するかのように、彼ら自身でこの同じ間違った解釈による脅威を繰り返し語って、イスラエル・ロビーの解釈を受け入れるであろう。

 ここで最も重要なことは、イランがその兵器庫に核兵器を所有しているという、あるいは所有しそうになっているという反論の余地のないいかなる証拠も、アメリカもイスラエルも示すことができていない、という点である。彼らが戦争を始めるためにそのような証拠を作り上げることができたとしても、2012年の春あるいは夏には、イランに対する攻撃があることを示す兆候が、この大きなチェスボード上にあまりに多く存在している。
 しかしながら今のところ、はっきりとした勝利者は石油業界とOPEC諸国であり、彼らは世界中の中流階級から富を一握りの君主たちと石油会社の株主たちの手に移している。

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