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アメリカの社会主義運動家のジョイシー・シェディアク
◆5月26日
アメリカの社会主義運動家のジョイシー・シェディアクが、シリアの反政府デモは実は親政府デモだ、と言っている。アル・ジャジーラなどの欧米系のメディアが嘘の報道をしている、と指摘している。
この件では既にこのブログでも前から指摘してきたことである。アル・ジャジーラはアラブ系メディアではあるが、その実欧米系でもあるから、反米のシリアで起きたデモは何が何でも反政府デモとしたかったようだ。しかし実際は親政府・親アサド・デモが数多く起きているのだ。
彼女はマルクシストの政治観が必要だと言っている。ブログ子はマルクス主義者ではないし、どちらかというと所謂マルクス主義には反対する者であるが、それは主に彼らが唯物主義者であるという点から同意できないということでであり、彼らの史的唯物論とか弁証法的唯物論は真理ではないと考えるからで、社会的不平等などに対する視点を無視していいということではない。
そして帝国主義者と言っている存在も、要するにこの世で追い求めるものは他国の支配であり、そこの労働力の支配であり、資源の支配であり、結局それは物質的な繁栄とか、物質に対する限りない欲望を満たす為の事業でるという点からすれば、マルクス主義者と同様の唯物主義者なのだ。この物質は今は金で買えるから、結局金を多く持つ事で、全てを支配しよう、という考え方になっているのが、帝国主義者である。だから、この世界では究極的には金融資本家の天下となっている。
シリアは中東和平問題でも鍵を握る国家であるから、その運命は世界の将来の構造にも関係する。シリア民衆の支持がまだ生きているこの今の時期に、アサド大統領の才覚がどういう形で現れるか、今後も注目していくべきだろう。
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●シリアの抗議運動の背後に誰がいるのか?
http://www.iacenter.org/archive/syria051511/index.html
【5月11日 by Joyce Chediac】
世界の人々は中東で起きている民衆のデモに対して同情の思いで見ている。しかし全ての反乱が必ずしも同じ条件で起きているのではない。
例えば労働者に対して非常に厳しい対応をしてきたエジプトとかチュニジアのような欧米の顧客となっている政権に対する抗議運動は、圧制と貧困から人々を解放する可能性を持っている。しかしながら、リビアとシリアでは事情は異なるのだ。
これらの政府は勿論欠陥はあるが、アメリカの言いなりにならない姿勢を保持してきたので、何十年にもわたるアメリカの不安定化の工作の標的であった。アメリカに率いられる欧米はこの地域で起きている運動を利用して、リビアとシリアに介入し欧米の植民地主義の支配下に置こうとし、そこの労働者を帝国主義のための日雇い労働者に貶めようとしている。
そこで住んで働いている労働者らから長いこと離反している、アメリカに支配されているバーレーンとイエメンと比較してみよう。これら両国政府はデモ隊に対して射撃し、逮捕、拷問をしてきた。それでも、飛行禁止空域などは設定されていない。また両国とも制裁の対象になっていない。しかしながらリビアでは、「欧米」の「人道的介入」が「一般市民の保護」のため行われたが、それが意味することは、六週間にわたる空爆であり、そのため多くの市民のインフラが破壊されたのである。
今や、リビアを空爆している同じその欧米勢力がアラブ世界でただ一国、独立を保ち残っている世俗国家であるシリアを脅している。欧米社会はシリア政府高官に制裁を課した。なぜか?
一つは、アメリカはイランとシリアの戦略的同盟関係を破りたいと考えているからだ。アメリカはまたシリアがレバノンのヒズボラとパレスチナのハマスにしている支援を阻止したいと考えている。この目的のためアメリカはシリアを不安定化し、主権を破壊し、帝国主義者の影響力下に引っ張ってこようとしている。
■誰がシリアで抗議運動をしているのか?
デモ隊はシリアのバシャール・アサド政府に対して起こされている。アサド政府は少なくとも何回かは武力でもってそれを押さえ込もうとした。しかし、こういったデモ隊の正体は不明確なままだ。どこまでが本当に民衆の反乱なのか? 国を指導しているシリア社会主義アラブバース党の対応はどうだったのか?
非常にはっきりしている事は、アメリカ帝国主義はこの抗議運動を自分らの利益になるよう利用しようとしていることだ。それは2006年にIMFによって押し付けられた緊縮計画のために苦しんでいるシリア人労働者らが要求している事柄とはなんらの関係もないものだ。ミッシェル・チョスドフスキー教授は5月3日に、抗議運動の中には、ヨルダンからダラアを通ってシリアに入った「武装したギャング・グループの組織化された反乱」が含まれていると書いている。ダラアから抗議運動が始まっているのだ。
一方、シリア政府のメディアは多くを語らないが、欧米企業メディアとアル・ジャジーラは抗議運動とシリア政府の弾圧を大げさに報道していることで非難されている。4月30日の「今日のロシア」は、シリアにいる特派員の情報として、親アサド大統領の集会が、アル・ジャジーラでは「反アサド大統領」の集会として報道されている;アル・ジャジーラとロイターで報道された反政府デモは起きていない;他の国のデモの映像がシリアでのデモの様子として報道された、と述べている。
一面に掲載されている記事からの印象は、反アサドのデモが殆ど全シリアで起きているというものだが、殆どの中東の専門家らは、この時点ではシリア政府は殆どのシリア人によって支持されている、と認めている。
■マルクス主義的政治観が必要
世界の金融資本とそのメディアの代弁者らはシリア政府を「嵌めよう」としているようだ。しかし、帝国主義は全能ではない。戦って敗れる事もありうる。シリア政府と民衆はアメリカが介入することを避ける為になにができたか、また何ができるか? 今のこの動きを何が阻止できるか? マルクス主義がこういった問題に応える道具を提供するだろう。
シリアにある政府はマルクス主義の言い方では、「ブルジョア民族主義者」と言う。これはリビア、イラン、それにアメリカの侵略前のイラクにも言えることだ。彼らは帝国主義者による支配から解放されている立場にある国家を発展させようとしているので、民族主義者だ。また彼らは、搾取階級の資本家らによって支配されているのでブルジョアである。
マルクシストは帝国主義に抵抗するこういった政府を支持する。それは、抑圧されし者たちの民族自決の表明であるからだ。これはマルクシストがこれら政府のあらゆる政策を支持することを意味するわけではない。
マルクシストはまたこれらの政権が二重の性格を有していることを認める。ブルジョア民族主義者は労働者をより強く搾取できるから帝国主義者を追い出そうとする。しかし、帝国主義者が国家主権を脅かす時には、労働者たちと共通の利害関係を持つようになる。しかしながら、これらの政府は帝国主義と終始一貫して戦うことはできない;労働者階級のみが戦えるのだ。
■イスラエルと対峙する前線で
シリアはどう対処しているのか?
シリアは1966年以来アラブ社会主義バース党が支配する政府によって統治されてきた。現在の国家元首はバシャール・アサドだ。シリアはイスラエルと国境を接する「前線国家」だ。この事実はシリアの歴史のあらゆる方面に影響を与えている。またそのために常時、帝国主義者とシオニストの圧力にさらされてきた。それがシリア人の運命をパレスチナの戦いと結び付けている。
アメリカの石油パイプラインをシリアが国営化したことで1967年の戦争が始まった。イスラエルはシリアのゴラン高原、パレスチナの西岸、ガザ、エジプトのシナイ半島を占領した。ゴラン高原はそれ以来イスラエルに併合されたままだ。
シリアがこの地域の進歩的な役割を果たしている時、これは常に起きることではない。1976年シリア政府はイスラエルによって武装されたレバノンのファシスト主義者側について革命的パレスチナ・レバノン同盟に対抗してレバノン戦争に介入した。シリアの資本家は革命的レバノンがシリア人労働者によってシリア政府を転覆させるのではと恐れたのだ。
アメリカとイスラエルからの容赦のない圧力やゴラン高原返還が拒否されたことでシリア政府は反帝国主義の姿勢に戻った。イラン、ヒズボラ、ハマスの同盟国家であるという今のシリアが果たしている役割は、アメリカとイスラエルがこの地域で侵略的になるのを押さえ込んでいる重要な要素である。
■資本家の業績悪化で独立性を持つ国家に揺らぎが
他のブルジョア民族主義政府と同様に、シリアは資本主義世界市場と共に崩壊することはなかったし、そのような展望を持っていない。代わりに、欧米の銀行によって完全に支配されているその市場でよりましな立場を得ようとしている。経済が悪化している間、シリアのような民族主義政府はウォール街によって経済的譲歩を強いられた。それは労働者を直撃し「ブルジョワの買弁」である親帝国主義のエリートの成長を促した。これによって、帝国主義者からの政府の独立性は揺らぎだし反面労働者から乖離しだした。
2006年にシリアはIMFの緊縮政策を採用し、賃金凍結、外国銀行に経済を開放、国営企業の民営化が始まった。労働者側からすれば、これは失業、インフレ、社会条件の悪化を意味した。帝国主義者はこのことを知っている。
シリアは全ての町に電気を敷いた、しかし民衆の必要を満たすという社会契約を達成できなくなり、・・・とニューヨーク・タイムズ紙が4月30日に書いている。
「政権の批判者は経済自由化は携帯電話会社のシリアテルなど重要な数多くの経済を支配しているアサドの母方の従兄弟であるラミ・マクロフのようなエリート・ビジネスマンのグループが利益を得るところとなった、と批判している」 (Financial Times, April 26)。
ニューヨーク・タイムズ紙の記事によると、反政府側が槍玉に挙げているマクロフは、「資本主義の仲間であり、貧乏人を更に貧乏にし、金持ちの仲間を途方もない富豪にしている」という。
労働者の支持があることがシリアを最も強くさせているのであり、その労働者に対する経済的打撃をひっくり返せば、シリア政府は帝国主義者の不安定化の工作から自らを防衛することはできるかもしれない。方法としては、外国資本の進出を阻止することで経済の開放を逆転させる;電気、通信、その他のキーとなる産業の再国営化;食糧生産を優先させる;補助金の復活などが含まれるだろう。
このような措置を取る事で、抗議運動をしていた者たちに勝つことができるだろうし、彼らの信頼を取り戻す事ができる。帝国主義者の不安定化工作に対してシリアは良い土壌ではないことを示すことができるだろう。
同時に、労働者と革新主義者らはシリアに対するアメリカの介入に断固反対すべきである。帝国主義者が全面的な支配を再び獲得すれば、抑圧された中東ならびにアメリカの労働者階級と抑圧された人々にとって最悪となるだろう。
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