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◆10月10日

 シリアにロシア軍が介入、本格的に「イスラム国(IS、ISIS、ISIL)」に対する空爆を実施して1週間以上が経過した。

 今までの欧米側が行っていたISISに対する攻撃は中味のない、いわば見せかけだけの攻撃だったため、彼らの勢力の削減にどれほど効果的だったか疑問が残るが、今回ロシアが空爆を開始したことで、ISISの側では多大な損害を出し中には逃亡をはかる者たちも数千人に上る、と言われている。

 またこのことで中東全体の勢力地図が塗り替えられる状況になってきている。ロシアが支援するシリアだけでなく、そのシリアを支援してきたイランや同じくISISの攻撃を受けているイラクとの連携が強まり、彼らのこの地域に対する存在感が断然強まってきている。

 このブログでは長年に渡ってシリアにおける反政府運動なるものは欧米・湾岸アラブ諸国、トルコ、イスラエルなどが後押しして進められてきたこと、またイスラム国(=ISIS)の存在自体もアメリカの謀略で出て来たものであることを示してきたが、その謀略が頓挫、代わってロシアがシリア政府軍と共にこのISIS勢力を駆逐する状況が強まってきているのだ。

 中東情勢にこのように軍事介入するのはロシアとしてもここ暫くは無かったことであり、これもチュニジアから始まりエジプトまでの「アラブの春」は真正の民衆運動であったが、それ以後のリビヤとシリアにおける反政府運動は欧米が仕掛けた謀略であることで、ロシアが怒りを抱えていたが、とうとうこの段階になってシリアに軍事介入したことで、長年の怨みを晴らすものとなっている。

 従ってこのロシアを誰も制止することはできないであろう。暫くはロシアのなすがままとなるであろう。欧米側のロシア批判にも力は入らないし、それは当然なのだ。


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◆シリアにおけるロシアの反テロ作戦は中東情勢を変える
http://tass.ru/en/world/827192

●10月8日
 シリアでのロシアの反テロリズム戦闘への参加の動きは中東全体と世界の情勢を変えることになるだろうと6日、シリアのファイサル・メハド外務次官は語った。
 「シリアにおけるロシアのテロリズムに対する戦いへの参加は中東と世界に変化をもたらすことになるだろう」と国営テレビ放送でメハドは語った。

 シリアのファイサル・メハド外務次官は、アメリカ主導の国際的同盟勢力がこの戦闘を「不誠実」な形で進めていることが明確になった時点で、ロシアは反テロ作戦に参加することになった、と語った。

 「ロシア空軍の数日の空爆は、設立されて1年以上になる国際的同盟勢力が実施した空爆より以上の成果をもたらしている」と彼は語った。

 ロシア空軍は9月30日、シリアのアサド大統領の要請によりシリア内の「イスラム国」の標的に対するピンポイントの攻撃を開始した。この攻撃には最新式Su-34戦闘爆撃機、Su-24M,Su-25戦闘機など50機の航空機、ヘリコプターが参加している。


◆言葉より行動:ロシア軍はISの司令部、戦車、弾薬庫、などをたった1週間で破壊
https://www.rt.com/news/317922-syria-week-russian-op/

●10月7日
 シリアにいるテロリストにとっては厳しい1週間だった。ロシアは1週間で100回以上の空爆を実施し彼らの内部にパニック状態を引き起こしたと言われている。
  
 ロシアは9月30日、シリアでの空爆作戦を開始した。ロシア国防省によればこの作戦では120波に上る出撃で1週間で110カ所の標的を攻撃した、という。破壊された標的の内訳は以下の通り:

●装甲車     71台
●その他の車両   30台
●指令施設   19カ所
●交信施設    2カ所
●燃料・弾薬庫   23カ所
●簡易爆弾(IED)工場 6カ所
●大砲      数台
●練兵場     数カ所



■敗走するテロリスト

 この段階の作戦の目標は継続的空爆によるシリア政府軍に対する攻撃能力の削減であり、もってシリア軍に立て直しと攻勢に出る機会を与えることにある。古代遺跡のパルミラ近郊にあるラッカのISISの拠点からダマスカスの郊外に至るまで、ロシア軍の空爆の標的はシリア全土に渡っている。
 ロシア軍によれば、空爆作戦は反テロ勢力の士気をくじき、数千人が逃亡したという。

■トップガン

 ロシア戦闘機群は多様だ。中核はSu-24 爆撃機とSu-25支援戦闘機である。両機とも数十年前に設計されたが、シリア作戦のために最新の改良が加えられた。

 去年導入されたSu-34のような新式航空機も参加している。シリアはロシアの技術者にとって航空機のテスト場になっている。これらの航空機はテロリストが所有する対空兵器の射程からずっと離れた高度5000フィートから標的を攻撃する。

 空軍はこの作戦でいくつもの爆弾を使用している。高価で精密なレーザー誘導Kh-25Lや操縦可能のKAB250からBETAB-500バンカーバスター型爆弾、お手頃値段のFAB-500などがある。この多様性でロシアは必要に応じてピンポイントの正確さでコラテラル・ダメージ無しの攻撃ができる。


■管制センター

 ロシアの空爆は数か月前は放棄されていた空港であったラタキアからなされている。この空港は毎日数十回の出撃がなされ、地球上でも最新鋭戦闘機が最も終結している場所になっているが、同時にロシア人パイロットとその他要員のための宿営地である。シリア軍将兵も戦闘協力のためこの基地に存在している。

 偵察と空爆のための航空機に加え、この基地は防衛能力も豊富だ。Mil Mi-24はロシア軍航空機に対し携帯地対空ミサイル発射を試みる敵戦闘員を攻撃できる準備ができている。戦車やその他の装甲車群は特殊作戦軍と共に大規模な襲撃を撃退できる能力がある。

 パーンツィリ-S1防空システムとクラスカ-4電子戦システムは空域をカバーしている。ロシアの作戦を妨害しようとする第3者の可能性への対処だ。

■脅しとごまかし

 この空爆作戦はこれまで妙な問題があった。トルコはロシアが二度にわたって領空を侵犯したと言った。ロシアはこれに対し、そのような事態が生じないようにすると語った。NATO高官はロシアに対し、「受け入れがたい侵犯だ」と糾弾した。しかしトルコはそれ以上の非難は控えている。
 
 更に深刻な問題はロシアが欧米が支援している反政府勢力を標的にしている、というもの.。欧米諸国による非難で、この領域にいるCIA要員を殺害するかもしれない、というだ。

 ロシアはテロリストグループのみを標的にしていると強調、これら敵勢力がモスク、その他の民間施設を利用して自らの兵器を隠しロシアの攻撃を避けようとしていることを示した。そのような戦術は真に穏健な勢力ならば用いることのできないものだ、と国防省は記した。

 ロシアによる民間犠牲者の報告は今のところ信頼できる筋からは出ていない。ロシア軍による犠牲だとして示される映像や写真は多くの場合そうでないことが示されている。例えばロシアの作戦が始まる前のものなどがそうだ。

 国防省は意外にも攻撃とシリア駐屯ロシア軍へのアクセスの映像を配信してきた。軍はいつもながらの注意深い過ぎるほどの秘密性を考慮しながらもこの作戦をできるだけ透明性のあるものにしようとしている。

■次の段階

 シリアのISISとの1週間の戦闘後、ロシアは更に攻撃をエスカレートしようとしている。ロシア海軍は7日、カスピ海からシリア領内のテロリストの標的に向かって巡航ミサイルを数十発発射することでこの作戦を支援した。

 そしてイラクもイラク領土内のISISへの攻撃をロシアに要請するだろう。これでイラクのロシア、シリア、イランとの協調が深まることになる。


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