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紙幣が紙くずになるハイパー・インフレ

◆2月1日

 ヨーロッパの経済・金融問題は解決の糸口を見出せないでいる。地中海クラブと言われる、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、イタリアなどが国債問題で火の車となっている。

 このブログでは一環して示してきたことだが、この流れを押し返せる手立ては無く、早晩ギリシャだけでなく、上記の地中海クラブ、そして東欧も含めたヨーロッパ全域が、経済・金融危機に見舞われることになる、ということだ。これがリーマン・ショックを金融津波の第一波とすれば、第二波となるわけだ。しかし津波の大きさは第一波の10倍にはなるだろう

 ワイマール共和国で起きたような事態が全ヨーロッパで再現されるのかどうか、そこまで行かずとも、一時的に貿易などがストップすることはありうることだ。市場の閉鎖も起きるだろう。

 これはギリシャなどの国家の財政の破綻ではあるが、人々の生活は継続する。かつての通貨が使用不能のような情況に陥ったとしても、それでも人々の生活は継続する。その場合には、例えばバーターのような取引方式で、あるいは臨時の地域通貨などを発行してでも経済活動は継続していくことになるだろう。しかし混乱が暫くは継続することは考えておくべきだろう。

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●ヨーロッパが恐慌に向かっていることを示す20のサイン
http://endoftheamericandream.com/archives/20-signs-that-europe-is-plunging-into-a-full-blown-economic-depression
【1月30日 The American Dream 】

 経済的悪夢がヨーロッパに来ようとしている。日々追うごとに経済指標は悪化している。その点で、ヨーロッパが全面的な経済不況に陥ろうとしていることを否定することは困難である。事実、ヨーロッパのある地域ではそうなっている。スペインでは、失業率は22%となっているし、ギリシャでは5軒の内1軒の小売店舗が閉店となっている。ヨーロッパ中で、経済活動は急速に減速し、失業率は急上昇している。そして不良債権問題が浮上している。

 ヨーロッパが経済不況に陥るのに、ギリシャのように国家のデフォルトとかユーロの崩壊などを必要としないかもしれない。今の路線を維持するだけでそうなってしまうであろう。普通ならヨーロッパの各国政府は経済的な衰退には政府支出を増やすことで対処しただろう。しかし今回は、すでに彼らの殆どは負債の海に溺れている情況だ。政府支出を増やす代わりに、ヨーロッパの殆どの政府は予算の削減をしている。ヨーロッパ中で、政府は増税することを推奨され更なる予算削減をしようとしている。希望は、ヨーロッパが直面しているソブリン・デット危機の悪夢をこういった緊縮政策が解決するだろうということだ。しかし残念ながら、これらの増税や予算削減は大変な経済的苦痛を伴うことになる。

 恐ろしいことは、我々は端緒についたばかりだということだ。ポルトガル、イタリア、スペインといった国々が何所に向かっているのかを知りたければ、ギリシャを見ればよい。ギリシャはこのプロセスをこの数年進んできている。そして未だにこのトンネルの彼方に光を見出してはいないのだ。

 ヨーロッパで現在取られている増税と予算削減は、これから何年も続くであろう。巨大な負債で煽られてきた巨大な経済的繁栄は、これからは巨大な経済的苦難にその道を譲ることになる。

 以下は、ヨーロッパが全面的な経済不況に向かっていることを示す20のサインである。

 1.16歳から24歳までの失業率はイタリアで28%、ギリシャでは43%、そしてスペインでは51%である。
 2.全体として、ヨーロッパ連合(EU)の25歳以下の失業率は22.7%であ る。
 3.シティ・グループはポルトガルの経済は今年、5.7%収縮すると予想している。
 4.ポルトガルのあらゆる負債(政府、企業、消費者)合計は、GDPの360%となる。
 5.ギリシャの「不景気」は5年目になる。
 6.ギリシャの経済は2011年で6%収縮した。
 7.ギリシャ経済は2012年も5%は収縮すると予想されている。
 8.ギリシャの全体的な失業率は現在18.5%である。
 9.ギリシャでは、小売店の20%が完全に閉店した。
10.ギリシャでの自殺者数はこの12ヶ月間で40%増加した。
11.IMFによれば、ギリシャ政府の累積負債額はGDPの160%になる、という。
12.合計して、スペインでは500万人以上の失業者がいる。
13.スペインの不良債権は過去17年で最高である。
14.スペインの全体的な失業率は、22.8%になっている。
15.スペインで資産の差し押さえ率が一年前と比較して32%上昇している。
16.スペイン政府が2012年に満期となり借り換えが必要な国債を予想される赤字額に加えれば、その合計はイタリアのGDPの23.1 %となる。
17.ユーロ圏の製造業は5ヶ月続いて減少している。
18.イギリス経済は2011年第四四半期の期間中に収縮した。
19.ドイツ経済は2011年の第四四半期の期間中に収縮した。
20.バルチック海運指数は、世界経済の健全性を示すバロメーターとして見られているが、昨年10月以来61%も下落している。


 不況の影が既にヨーロッパに暗雲として広がってきている。ヨーロッパ内でいくつかの力強い経済も、減速しだしている。その他のところでは既にかなりの経済的苦痛を感じてきている。トレンド・フォーキャストのジェラルド・セレンテは最近、ABCオーストラリアで、ヨーロッパの多くの国々で既に経済不況に陥りつつある、と説明した。

 「ギリシャに住んでみれば、そこは不況の真っ只中だ。スペインに住めばそこも不況だ。ポルトガルやアイルランドでも不況だ」と、セレンテは語った。「もしもリトアニアに住めば、銀行が破産するので預金の引き出しに大わらわとなる。これは不況だ。ハンガリーはどうか、そこでも不況だ。東欧諸国の多くが、ルーマニア、ブルガリアがそうだ。不況が拡大している」

 ヨーロッパでは事態がガタつき始めた為、政治的ないがみ合いがますます激しくなりだしている。例えば、数日前、衝撃的なドイツの提案がなされた。ドイツはギリシャが「EU予算委員」にギリシャの全ての税と支出に関する決定に拒否権を与えることを要請したのだ。

 それは、ギリシャの主権のかつてない喪失を意味するわけで、ギリシャの政治家たちはその考えに全く同意していない。ギリシャのアンナ・ディアマントポウロウ教育大臣は、この提案は、「病的想像が生み出したもの」と述べた。

 しかしドイツの考えは、ギリシャは彼らによって救済されねばならないのだから、ある一定の期間は監督されることに同意するべきだ、というものだ。

 これがどういう結果になるか、興味のあるところだ。

 その間、ギリシャ人の怒りは更に大きくなっている。最近の世論調査によれば、ギリシャ市民の90%ほどが、ルカス・パパデモス首相の暫定政府に不満である、という。

 ポルトガルでは事態が急速に明らかにされてきている。民間投資家らはポルトガル国債の「ヘアカット」をするよう要求されることになるだろう。

 以下はテレグラフ紙の記事である。

 世界経済に対するキール研究所のレポートでは、ポルトガルは、負債が手におえなくなることを阻止するためには、年間2%の成長のシナリオ内にあっても、GDPの11%以上の財政黒字を引き出すことが必要になる。

 いかなる国も5%の財政黒字を長期間達成することはできないと警告し、「ポルトガル国債は持続不可能である。これが唯一可能な結論だ」と、レポート作成者のデイビッド・ベンセックは語った。

 「何がきっかけになるかは分からないが、ギリシャに関する決定が一度なされれば、人々はポルトガルもギリシャの何年か前の姿と同じであることを知るようになるだろう」と語った。

 悲しい事ながら、この記事の言っていることは正しい。

 ポルトガルはギリシャと同じ道を進んでいる。5年物のポルトガル国債の利回りは記録的な19.8%になっている。一年前は、これらの国債の利回りは約6%だったのだ。ギリシャに起きたことはこれと同じだった。一年前、5年物のギリシャ国債は約12%だった。今や、それは50%以上になっている。

 世界は、かつてない国債危機に直面しており、ヨーロッパがその中心にある。世界の主要な工業先進国の負債額は55兆ドルになっている。誰でも、いつかはこの負債爆弾が破裂することを知っていた。

 では次は何が起きるのだろうか?
 ヨーロッパは全面的な経済不況に向かっていると言えよう。

 残りの世界で似た運命を避けることのできるところがあるだろうか?

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60ミニッツに出たパネッタ米国防長官

◆1月31日

 アメリカの国防長官が、テレビ番組で、イランが決意すれば、彼らは1年間で核爆弾を製造できるだろう、と語った、と言う。また、もしもアメリカがイランが核開発をしているという情報に触れたならば、なんとしてでもそれを阻止するだろう、と語ったという。

 これは何を言っているか、と言えば、イランは核爆弾は開発していないし、所持もしていない、またアメリカはイランが核兵器を開発しようとしているという情報も持っていない、ということだ。

 彼はイランは核爆弾製造を『決意すれば』、1年で製造できるだろう、と言っているが、それは他の国でも同様であろう。日本も1年もあればできるのではないか?

 更には、1月19日の「ロシア:いかなるイラン攻撃も容認できない」で示したように、イスラエルの情報機関も「イランはまだ核兵器を製造することまで決定していない」という情報を持っているのである

 これからいえることは、イスラエルもアメリカもイランの核計画に関しては、自分達の情報機関が集めた情報を見ても、イランは核兵器の開発はしていないし、開発する決意もしていないということを知っている、ということであり、それでなおかつ、イランの「核計画」を阻止するために、脅したり制裁を加えたりしている、と言う事実である。こういうのを、いじめとか、パワーハラスメントとか言わないか? 「いやな渡世だなー」(座頭市)

 これこそが、自分の影に怯える「病理」体質の者たちのなせる精神疾患的行動なのだ。我々の日常生活でもときどきそのような人間が周囲にもいることがあるものだ。庭でバーベキューでも作っていると、三軒となりの家の精神疾患患者が「火事を起こそうしている!」とかいってわめき出す、などがそれだ。

 反対にアメリカの国防長官が、イスラエルと自分達は共通のゴールを持っている、と語っているのは、イランはまだ核兵器開発を決意していないのだからイランの核施設への攻撃はアメリカは考えていないし、イスラエルもしないはずだ、とイスラエルに釘を刺していることにもなるわけだ。

 これでオバマ政権の意向はかなりはっきりしてきたと言えるだろう。 

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●米国防長官:イランは一年で核爆弾を所有できる
http://www.theaustralian.com.au/news/world/iran-a-year-away-from-nuke-says-us-defence-secretary-leon-panetta/story-e6frg6so-1226257154858
【1月30日 The Australian】

 イランは一年で核爆弾を、更に2年から3年で運搬手段を製造できる、とアメリカの国防長官は語った。

 「アメリカと米大統領は、イランが核兵器を開発することは望んでいない、ということを明確にしておく」と、レオン・パネッタ長官はCBSの60ミニッツで語った。「これは我々にとってのレッド・ラインだ。これはイスラエルにとっても明らかに同様である。我々は従って共通のゴールを持っている」

 パネッタはもしもアメリカ政府がイランが核兵器開発を進めているという情報に触れたならばアメリカは、「それを停止させるために必要なあらゆるステップを踏むつもりだ」と語った。
 
 それは軍事的行動のことか、と尋ねられて長官は、「テーブルからはずされたオプションはない」と応えた。

 「このコンセンサスは、もしもイランがそう決意したならば、彼らは核爆弾製造までほぼ一年を要するし、運搬手段を製造するのに更に1年から2年を要するだろう、ということだ」と語った。

 昨年11月に出されたレポートでは、国際原子力機関(IAEA)は、10カ国以上から寄せられる情報と機関自身の情報筋からの情報は、「イランが核爆弾開発に関連する動きをしていることを示唆している」と語った。

 軍事基地での鋼鉄製コンテナ内での爆発実験とか、シャハブ3弾道ミサイル弾頭研究など、IAEAが言う「高度に核兵器計画に関連する」疑わしい12の分野についての詳細をこのレポートは示している。

 イランはこのレポートをでっち上げとして否認した。

 イランは、このレポートが出されて以来、アメリカとヨーロッパ連合による原油と中央銀行に対する措置を伴う、かつてない国際的圧力下にある。

 先週の一般教書演説の中でオバマ大統領は、核に関する問題でイランと平和的な妥結はまだ可能である、と語ったが軍事的選択肢の可能性は否定しなかった。

 「イラン政権は、以前よりずっと孤立している;イランの指導層はダメージの大きい制裁措置に直面しており、彼らが責任を回避する限りこの圧力が和らぐことはない」と大統領は語った。

 「アメリカはイランが核兵器を保有することを阻止する決意でいることは疑いないことであり、その目的を達成するためにはいかなる選択肢もはずされることはないだろう」と大統領は宣言し、スタンディング・オベーションを受けた。

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イスラエルのアロー3ミサイル

◆1月30日

 一度キャンセルとなったアメリカ・イスラエルのミサイル軍事演習が再び計画に組み入れられたという。今年10月との話。

 もしもイスラエルないしはアメリカ・イスラエルでイランの核施設を攻撃すれば、当然イランが反撃するが、その際イランから飛んでくるミサイルを迎撃するというのが、その主旨であろう。

 つまりイラン攻撃はそれまではない、というように読める。また10月ともなれば、世界の経済・金融問題が大きな問題となっている時期と重なる。世界がこの問題で混乱のきわみに陥っている頃ともなれば、実際はイラン攻撃は困難になっている可能性が高い。

 いずれにせよ、戦争へのベクトルを強めるイスラエルとアメリカ内のタカ派の目論見が崩れることを期待せざるを得ない。

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●アメリカ・イスラエルは過去最大となる共同ミサイル演習を10月に実施
http://articles.businessinsider.com/2012-01-27/news/30669498_1_israel-s-arrow-down-incoming-missiles-missile-system
【1月27日 Robert Johnson – Business Insider】

 イスラエルは昨年12月下旬、数千名のアメリカ軍兵士と二つの最新鋭ミサイル・システムが参加する共同軍事演習を実施することを決定した、と発表した。これはホルムズ海峡問題でイランとの間で緊張が高まっていた時、入ってきた大きなニュースだった。しかしこの演習はキャンセルされた。

 イスラエル・ニュースのエラド・ベナリはオステアー・チャレンジ12は10月の計画表に再度組み込まれ、その準備のためにアメリカの将校らが次週イスラエルにやって来ると報じた。   

 アメリカは戦域高高度空域防衛ミサイル・システムとイージス艦を展開することになっている。この二つのシステムはイスラエルのアロー、パトリオット、アイアンドーム・ミサイル・システムと共同で運用する。

 準備が進められる間、イスラエルはそのアイアンドーム・システムをロケット攻撃に対抗させるため今後数ヶ月間精油所の防衛のためにハイファに設置する計画をしている。

 イスラエルはまたミサイル開発予算を増額させており、新たに3基のアイアンドームを北方と南方の国境線のために組み込んだ。

 イスラエル政府はまたアロー3ミサイル・システムの実射テストを成功裏に行い、ボーイング社と共同でアローミサイルを最高の対空ミサイルシステムにすると発表した。

 アビエーション・ウィーク誌のアロン・ベン・デイビッドは、アロー3は遠方より侵入してくるミサイルに対して失敗を少なくするべく複数回迎撃をすることで撃ち落とす事ができると報じた。

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イラン国会

◆1月28日

 イランが明日29日、国会でイランに制裁を課す側となったヨーロッパ諸国に対して即座に原油輸出を停止するかどうかの話し合いをするという。ヨーロッパ諸国が制裁を課すのであれば、イランも同じく独自の制裁を課す、ということだ

 もしもイランから良質の原油が今すぐにも入らなくなると、混乱するのはヨーロッパ側である。ひょっとすると、ギリシャなどがデフォルトに追い込まれかねない、という。

 一度は世界帝国を築いたペルシャの末裔であるイランが、常に欧米側の仕掛ける工作にやられているばかりではないぞ、という意気込みと覚悟を見せるかもしれない。肉を切らせて骨を断つ戦法に出るかもしれない、ということだ。

 木曜日のブログで示したように、イラン原油禁輸措置というものは、決して欧米側にとっても賢いやり方ではないのだ、ということだが、さらに今回の情報が意味することは、欧米側の目論見がいつも成功するとは限らない、ということだ。
 
 もしも本当にイラン国会がそう決議すれば、ヨーロッパはパニックに陥るであろう。そろそろはじまるのであろうか? 何がって? 世界経済・金融津波の第2波が。

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●イラン原油禁輸措置のブローバック
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/NA28Ak05.html
【1月28日 By Pepe Escobar】

 ヨーロッパのプードルたちのお粗末な連中が、ペルシャ文化についていくらかでも分かっていれば、彼らはイラン原油への禁輸措置と言う経済戦争の宣戦布告に対するブローバックが軽いものではなくヘビメタ級になることを知っていただろう。

 デスメタルよりかはいい。マジリス(イラン国会)のエネルギー委員会の審査官であるエマド・ホセイニによれば、マジリスでは29日(日)、公開でヨーロッパ諸国の内、禁輸措置に賛成した諸国に対する原油輸出を即座に停止するかどうかを話合うことになっているという。そしてそれについてはナセール・ソウダニ国会議員の丁重な黙示録的警告である以下の言葉がある:「ヨーロッパはイランの油田の炎の中で燃えるだろう

 ソウダニは、「ヨーロッパの製油所の構造はイランの原油と共にある」と語った時、それはイランの指導層全体の見解を表明しているのである。したがってヨーロッパはイラン原油の代替を持っていないのだ。禁輸措置は「石油価格上昇をもたらし、ヨーロッパ人は高価な石油を買わざるを得なくなる」;それは、ヨーロッパがイランの石油を仲介者を通して買わざるを得なくなることを意味する。 
 EUの制裁パッケージによれば、すべて存在する契約は7月1日までは継続されるが、新契約は許されない。そこで考えてもらいたいのは、イランがこの法案の先制攻撃を今後数日間の内に決議すればどうなるか、ということだ。スペインや特にイタリアとギリシャなどの危機に瀕する地中海クラブ諸国は、イランの軽くて高品質の原油の代替物を見つける時間もないまま止めの一発を食らうことになるだろう

 サウジアラビアは、余分な増産のキャパは持っていない;その上、サウド家の絶対的な優先順位は石油の高価格であるから、アラブの春の考え方を忘れるよう人々を買収することができる。

 それで、既にガタついているヨーロッパの経済は、イランの原油を買い続けざるを得ないだろうし、それは今度は選択の勝負で勝利したハゲタカ・ブローカーから買うことになるだろう。

 驚くことではないが、時代錯誤的にグローバル・オープン・マーケットに適用したこの冷戦で敗北した者たちはヨーロッパ人自身である。ギリシャは既に破滅の淵に臨んでいるが、イランから相当値引きされた原油を買ってきていた。禁輸措置でもたらされる可能性としては、ギリシャ国債のデフォルトであり、更にはカタストロフィックな連鎖反応がユーロ圏(アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインその他)に拡大する可能性だ。

 世界はデジタルなヘロドトスを必要としている。文明なるものを代表していると自称しているこれらヨーロッパのプードルたちは、西欧文明自身の揺籃の地であるギリシャと、歴史上もっとも豊かな文明の地であったペルシャに一撃で同時に痛みをもたらすことができた。茶番劇としての驚くべき歴史的な悲劇の再演で、あたかもギリシャとペルシャは一緒になってテルモピュライの戦いで北大西洋条約機構軍の猛攻撃に遭っているかのようである。


■ユーラシア的やり方

 これをユーラシア全体の行動と比較して見ると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「一方的制裁は効果がない」と述べていたのがわかる。中国の外相は如才なさを発揮しながらも、過ちを犯すことはない;「イランに対し盲目的に圧力をかけることと制裁を課すことは建設的なやり方ではない」。

 トルコのアハメト・ダブトグル外相は、「我々はイランと非常に友好的な関係を持っている。そしてイランと5か国プラス1との会議を再開するよう努力しているところだ。トルコはこの問題の平和的解決を目指すだろう」と語った。

 BRICSメンバーのインドは、ロシアと中国と共に、制裁を却下した。インドはイラン原油を買い続けるだろうし、支払いをルピーか金(ゴールド)で行うだろう。韓国と日本はオバマ政権から例外事例を引き出すだろう。 

 ユーラシア全体を通しての貿易はアメリカ・ドルから急速に離脱しつつある。アジア・ドル排除圏は、アジアがゆっくりと欧米銀行から離脱しつつあることを意味する。

 この動きは恐らく中国が引っ張っているが、これは不可逆的に国際的なものである。再度、資金の動きを見てみよう。BRICSメンバーの中国とブラジルは2007年にドルを使用しないで取引し始めた。ロシアと中国は同じことを2010年に始めている。日本と中国は、アジアでトップの両国だが、先月同じことをし始めた。

 先週、サウジアラビアと中国は紅海で巨大製油所プロジェクトを始動させた。インドはインドの石油の支払いを現在の媒介者であるトルコ銀行を通さずに、金(ゴールド)で行うことを秘密裡に決定しようとしている。

 アジアは新しい国際的なシステムを欲している-そしてそのために動いている。その必然的な長期的な結果として、アメリカ・ドルは、これは決定的にペトロダラーであるが、ゆっくりと切り離されていく。「大きすぎて破綻させられない」ということは絶対的なことではなくなり、墓碑銘になることだろう。

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支払不能に陥ったペトロプラス

◆1月26日

 イランの原油禁輸措置で欧米の製油所で閉鎖されるところが続出しそうだ、という。これこそ、自分で自分の首を絞める、ということだろう。お馬鹿の見本となる。
 
 それもこれも、イスラエル・ユダヤ勢力がイランの「核計画」を「核『兵器』開発計画」だ、と捻じ曲げ強弁するキャンペーンのためであり、それに乗ろうとする欧米の軍・産複合体の圧力のせいである。

 イランの核計画には何ら問題はなく、どの国でも行っていることを行っているまでのことである。それがイランだけは許されないということがあってはならないのだが、この勢力はイランのアハマディネジャド大統領が、「イスラエルを地図から抹消する」、と語ったから非常に危険であり、彼らの核計画が進めば、必ず核兵器を持つようになりイスラエルが攻撃されるのだから、その前にイランの核施設を破壊すべきだ、と言っている。

 この論理には意図的に捻じ曲げた間違いがある。イランの大統領が言ったことはそんなことではない。そのことをこのブログでは、2010年7月27日号「イラン:1隻の米艦船に100隻の高速艇で攻撃」で示した。

 イランの大統領はイスラエルを地図から抹消する、ということは言っておらず、「パレスチナ国家の権利を認めないシオニスト政権は歴史から抹消されるであろう」と言ったのである。物理的にイスラエルという国家を抹消する、ということを言ったのではない。ましてそれをイランが行うとは言っていない。自然的にそうなる、と指摘したまでだ。政権などはいつでも消えるものである。当然なことを言ったまでである。

 ここをすり替えて欧米・ユダヤ系メディアはイランを悪者として喧伝し、それに追随する世界各地のメディアが情けない事だが同様のことを言ってきたのである。

 従って、イスラエル・ユダヤ勢力の邪悪な工作のため、欧米の製油所・製油業者が倒産・閉鎖されていくだけの間抜けな話となるのである。いい加減に目を覚ましたら如何なものか?

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●イラン原油禁輸措置で欧米の製油所の閉鎖が急増
http://www.bloomberg.com/news/2012-01-25/iran-embargo-may-speed-europe-refinery-closures-after-petroplus-failure.html
【1月25日 By Alessandra Migliaccio】

 ヨーロッパ連合がイランの石油に対する禁輸をしたことで、ヨーロッパの製油所の閉鎖に拍車が掛かる、とイタリアの製油業者ロビーの責任者が語った。 

 「アジア諸国で禁輸措置を取らない国々がイランの原油をディスカウント価格で買って、我々ヨーロッパ諸国に安い石油製品を売るようになる」とユニオン・ペトロリフェラ社のピエロ・デ・シモネ・ジェネラルマネージャーはローマで昨日、記者会見の席上で語った。
 「イタリアは既に5つの製油所の閉鎖の危機にあり、ヨーロッパ全体では70の製油所が危ないと見ている」

 ヨーロッパ連合(EU)は今週、イランの核計画に対する金融面での締め付けを狙う一環として、7月からイランの原油を輸入しないことで合意した。この政策は過剰設備と燃料需要の下落で製油所が苦労している最中のことである。ヨーロッパ中に5つの製油所を持つペトロプラス・ホールディング・AGは昨日、銀行の資金回収後に支払不能を発表した

 製油業者らはイランからの輸入の代わりにサウジアラビアとロシアから輸入するようになるだろうが、デ・シモネはアジアの製油業者らはイランの安い原油でもって競争相手に値下げ攻勢を仕掛けるだろうと言う。

 「イランは彼らの原油をどこかで売らねばならないが、間違いなく彼らは買い手を見つけることだろう」と彼は述べた。「我々はより一層アンフェアーな競争をせざるを得ないということだ。ヨーロッパで何らかの手を打つか、さもなければ多くのヨーロッパの製油所はペトロプラスに似た急激な終焉に直面する危機がある」

 国際エネルギー・エージェンシーによる1月18日の報告によれば、ブレント原油を精製してガソリン、ディーゼル、その他の燃料にする際の利ざやは北ヨーロッパでは昨年11月は1バーレル51セントであったが12月は26セントに落ち込んだ、という。


■プレッシャーの下で
 
「原油価格が高く、そのまま高値を維持しそうな中、利幅はずっと小さいままになりそうなプレッシャーの下にある」と昨日、バークレーPlcのアムリタ・セン・アナリストは述べた。「欧米で利益の出ていない製油所の閉鎖がまだ続くと思っていいだろう」

 アメリカのエネルギー省のデータによれば、EUは2011年前期ではイランから1日45万バーレルを輸入していたが、中国は同時期53万3000バーレル、インド、韓国、日本は合計で91万3000バーレルを輸入していたという。

 2010年にはイランからのEUによる原油輸入でイタリア、スペイン、ギリシャ合わせて68%を占めていたと、欧州委員会のデータは示している。ユニオン・ペトロリフェラの統計によれば、イタリアのイランからの輸入量は13%であるという。


■キャパシティー・ギャップ
 
デ・シモネは、イランが供給している重い原油に特化されている小さくて古い製油所の被害が大きいと述べた。イタリアは最近、年1億300万トンの燃料を生産する能力があるが、国内需要は7400万トンである、とデ・シモネは語った。このギャップは4つから5つの小さな製油所のキャパと同じである。ブルームバーグのデータによれば、ヨーロッパはロシアを入れれば175の製油所を持つ。

 「我々はこれからは大きな製油所、とりわけ需要が増しているディーゼルを生産できるところが生き残るだろうと思う。それとて簡単なことではないだろう」と彼は語った。

 過剰設備はこれからの数十年間の製油産業を「厳しい」ものにするだろう、と18日、BPのチーフ・エコノミストであるクリストフ・ルエルは語った。

 スウェーデンの製油業者のプリーム・ABは昨日、ゴッテンブルグとリュセキルの製油所の労働力を10%削減すると発表した。

 デ・シモネの会社は、低価格を申し出る国から輸入する、なんらかの輸入義務に好意的になるだろう。それはヨーロッパの製油業者の環境面・安全保障面・労働者への保証面と比べて同じレベルにないからだ。

 「アジアと極東の製油業者らは不公平なアドバンテージのため利益を出すだろうが、これはなんとかする必要がある」とデ・シモネは語った。

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