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リビア攻撃に参加したフランス海軍

◆5月31日

 リビアに対する国連決議の内容は、「飛行禁止空域を設定」し、「一般人を保護する」、というものであったが、8000回以上にわたるNATO側の出撃、3000回以上の空爆(http://www.nato.int/nato_static/assets/pdf/pdf_2011_05/20110527_110527-oup-update.pdf)などでリビアの「一般人」が多く犠牲者となっている
 
 フランスやイギリスのリビア攻撃がその石油利権の掌握にあることをこのブログで早々に指摘してきたが、今回フランス人弁護士が立ち上がり、フランスのサルコジ大統領を「人道に対する罪」で告発する準備を進めている、という。

 当然である。無理が通れば、道理が引っ込むとは言うが、それは今までの世界ではそういうこともあったかもしれないが、これからはそういうことはうまくいかなくなりつつあるのである。だから、このような現象が起きてくる。つまり、リビア人ではなく当のフランス人弁護士からフランス大統領が告発される、とい現象だ。

 昨日の「フランスでは水使用制限を拡大」で指摘したように、足元の原発が稼動できなくなる可能性が高まっていることを取ってみても、このブログで指摘したように、「フランス国民も因果な人物を大統領に選んだものである。この大統領の下では、フランスはいい目は見ることはできないのではないだろうか」。

 弁護士のヴェルジュは、「フランスはやくざと殺し屋に率いられている」と言ったようだが、これはサルコジがCIAの工作員、という情報を裏付ける視点である。ヴェルジュもまたサルコジの正体を知っている、ということであろう。

 そして彼ら二人の弁護士は、「我々は沈黙の壁を破るつもりだ」と述べたという。つまり多くのフランス人がその事を知っているのだが、危ない目に遭いたくないから「沈黙」しているということであろう。やくざの前では多くの人間はそういう態度にならざるを得ない。しかし、もう黙っておれない、という人間が出てきてもおかしくない。この二人の弁護士はそのような人間なのだろう。

 どの世界にも、悪魔に魂を売る人間もいれば、断固として悪を許さない、という姿勢を保持し行動に移すことのできる人間もいるものである。フランスもまだまだ捨てたものではないようだ。


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●リビア攻撃でフランス人弁護士に訴えられるサルコジ仏大統領
http://www.breitbart.com/article.php?id=CNG.a85c640cbadb4de71d422967ab68293e.581&show_article=1
【5月30日 Breitbart.com】

 二人のフランス人弁護士がリビアに対するNATO主導の攻撃について人道に対する罪でニコラス・サルコジ仏大統領に対する法的手続きを開始する計画であると30日に語った。

 リビアの司法省高官のイブラヒム・ブクザムはトリポリの記者に対して、ジャック・ヴェルジュとロラン・デュマの二人がNATOの爆撃で犠牲となった家族を代表することを申し出たと語った。

 「二人の弁護士はリビア人の家族の名義でフランスの裁判所に申し立てを行うであろう」と、29日に行われた犠牲者の家族を代表する30人が出席した記者会見でブクザムは語った。

 過去にナチスの戦争犯罪人のクラウス・バルビーとカルロス・ザ・ジャッカルのための弁護をしたことのあるヴェルジュは、「フランスはやくざと殺し屋に率いられている」と断罪した。

 「我々は沈黙の壁を破るつもりだ」と彼は述べた。

 社会党の閣僚だったデュマは市民を保護するというNATOの使命は、実際はそういう人々を殺すことだった、と語った。

 彼は、「主権国家に対する残忍な攻撃」であると今回の攻撃を非難し、もしもリビアの指導者であるカダフィが国際刑事裁判所(ICC)に引き出されたら、彼を弁護する用意がある、と語った。

 今月初め、ICCの主席検事のルイス・モレノ・オカンポは人道に対する罪の調査の一部としてカダフィ、息子のセイフ・アル・イスラム、従兄弟のアブドゥラ・セヌシの逮捕状を請求した、

 3月19日、反政府勢力が支配していたベンガジ市に対してカダフィの勢力が迫ってきたため、サルコジはリビアに対する軍事攻撃を発表した。これを欧米諸国とアラブの同盟国が支援した。

 飛行禁止空域の設定と一般人を保護することを要請している国連決議を最初に実施したのフランスの軍用機であった。

 デュマとヴェルジュは二日間に渡ったリビア訪問の最後に語った。彼らは30日にフランスに帰国したらすぐ法的手続きに入るだろうと語った。

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中東問題で演説するオバマ大統領

◆5月20日

 5月18日号の「イスラエルの運命」で、以下のように書いた。
 「その際、イスラエルを全面的に支えてきたアメリカのオバマ政権がどう出るか、と言う問題があるが、オバマ大統領は、アラブ世界ないしはイスラム諸国との対決を避けると言う使命観を持っているしそれを宣言もしてきたのだから、当然イスラエルの譲歩を要求することになるだろうと見られる」

 オバマ大統領は国務省で行った中東に関する演説で、正にこのブログが長年主張してきた点を主張した。すなわち、パレスチナ問題の解決は、1967年の第三次中東戦争前の国境線に戻ることにある、と言う点だ。

 この点を例えば、近いところでは4月20日号の「中東四者連合は1967年のパレスチナ国境線を支持」でも以下のように指摘した。
  「4月13日号の『弱体化するアメリカに不安を覚えるイスラエル』やそれ以前の関連記事で指摘してきたように、イスラエルとパレスチナとの紛争解決は、イスラエルが1967年の第三次中東戦争以前の国境線に戻ることにある」

 従って、イスラエルの辿るべき道は、今回のアメリカ大統領の演説ではっきりと示された、と見るべきである。中東問題とは、イスラエル問題である、とこのブログでは指摘してきた。そして世界で起きている様々な政治・外交問題の多くが、この中東問題から派生してきたものである。それはあのビン・ラディン問題も含まれる。

 なぜ中東問題が深刻か、というと、キリスト教、イスラム教、そしてユダヤ教がこの地から発生し、しかもこれらの宗教には、「終末観」というものが存在し、それは、キリスト教ではイエス・キリストの再臨問題に、イスラム教では同じく最後の審判問題に、そしてユダヤ教では再臨ならぬ、メシア降臨問題に繋がるからだ。

 特にキリスト教の原理主義では、このキリストの再臨が起きる前に「ハルマゲドン」の戦いが起きる、と見る者が多い。つまり俗に言う世界最終戦争だ。しかもキリストが再臨しそれによって自分達が永遠に救われるためには、その前にハルマゲドンの戦いが不可欠であり、それなくしてキリストの再臨はないのだから、そのハルマゲドンを自分達で起こそう、という考え方が存在するのである。

 日本人にとってはばかばかしい考え方であっても、真剣にそう考える者たちが多い。それがどうにかして世界を混乱状態に持っていき、最終的には中東から始まる大戦争を引き起こそうと願うようになるのだ。

 ところが、オバマ大統領は今はキリスト教徒であるが、イスラム教の環境内に長くいたことがあるため、普通のキリスト教徒の見るイスラム教ないしはイスラム教徒に対する考え方と異なる視点がある。

 これが、実は正に絶妙な天の配剤となっているのだ。アメリカにこの大統領が出てきたことで、世界はなんとか納まる方向に向かうことだろう。
 
 
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●67年境界線でパレスチナ国家=イスラエルに譲歩迫る―米大統領
時事通信 5月20日(金)6時38分配信

 【ワシントン時事】オバマ米大統領は19日の中東政策演説で、イスラエルとパレスチナ国家の国境を1967年の第3次中東戦争直前の境界線に基づいて決めるべきだとの見解を示した。同戦争後、イスラエルはヨルダン川西岸各地に入植地を拡大。オバマ大統領の見解は、イスラエルにこれら入植地からの撤退を求めるものだ。ネタニヤフ・イスラエル首相は、これを拒否した。 


●オバマ大統領:アメリカの未来は中東に懸かっている
http://en.rian.ru/world/20110520/164126130.html
【5月20日 RIA Novosti】

 アメリカの未来は中東に懸かっており、この中東で起きている民衆の反乱状態を中東諸国に民主主義を広めるため、アメリカはこの「歴史的機会」を利用するだろう、とオバマ大統領は19日に語った。

 「改革を進め民主主義への移行を支援することはアメリカの政策である」と、国務省での45分間の演説でオバマ大統領は語った。

 「我々は歴史的機会に遭遇している。我々はチュニジアの通りの屋台商人の尊厳の方を、独裁者のむき出しの権力よりも価値あるものと見る」と、農作物を警察が押収したことに抗議して自らの体に火を付けた、中東での民衆の反乱のさきがけとなったチュニジア人の通りの屋台商人を引き合いに出して、大統領は語った。

 アメリカは、「民衆に対する暴力と弾圧に反対する。また普遍的価値を擁護する」、その中には、「話す自由、平和的な集会、宗教選択の自由、法の下での男女平等、自らの指導者を選択する自由」が含まれる、と大統領は語った。
 
 リビアについては、時間は「カダフィ大佐に不利に動いている」と語り、彼は今やリビアを支配しておらず、「何十年にも渡った挑発は」彼が、「権力を去るかあるいは追われることで、終わるだろう」と語った。

 アメリカ大統領は、政府による弾圧で数百人が死んだと言われているシリアに対しては、「シリアの民衆は、民主主義を要請することで勇気を示した」と語った。そして、シリアのアサド大統領は以下の選択肢を持っていると語った。それはアサド大統領が「その民主主義への移行を指導していくのか、道から外れるのか」という選択肢だという。

 オバマ大統領は、シリア政府に対して、デモ隊に向けて射撃することを停止するよう促し、平和的な抗議運動を自由にさせ、政治犯を釈放し、反対派との「真剣な対話を開始すること」を要求した。

 オバマ大統領はその演説の中で、イスラエル・パレスチナ問題を取り上げた。大統領は両者に対して交渉を再開するよう要求した。「この交渉の基礎的部分は明確だ:存続可能なパレスチナとイスラエルの安全保障だ」と彼は語った。

 交渉は、「両国間で、パレスチナとイスラエル・ヨルダン・エジプトとの永久的な国境線とイスラエルとパレスチナとの永久的な国境線が決定されるべきだ」と大統領は語った。

 パレスチナ国家は、「土地の相互の合意の交換」を伴って1967年の国境線内に創設されるべきである、とオバマ氏は語った。「パレスチナ人は自治の権利を持ち、国としての可能性を発揮する権利を、主権ある国家の中で持つべきである」と大統領は語った。

 オバマ氏はまた、アメリカの「不動の」イスラエルの安全保障に対する支援を語り、「いかなる国家も、自衛の権利を保有するものであり、イスラエルもまた自らの力でいかなる脅威に対しても自衛できるべきである」と繰り返した。

 現実的条件が整えばイスラエルが徐々にパレスチナの安全保障の責任を引き渡していくことを認めた。「イスラエル軍の完全で段階的な撤退は、パレスチナ人の安全保障における責任能力が主権あるかつ非軍事国家の下でなされているという前提でなされるべきだ」と語った。

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西岸での「ナクバ」記念日デモ行進(毎日新聞)

◆5月18日

 5月15日は、パレスチナ人が故郷を追われた「ナクバ(大災厄)」の日である。この日、アラブ世界ではイスラエルの63年に及ぶパレスチナ占領に抗議する運動が起きた。

 アラブ世界で起きている「民衆革命」で成功したところは、今のところチュニジアとエジプトであるが、両国とも欧米寄り、つまりイスラエルに甘い政権であった。ここが重要な点である。リビアではNATO軍が介入することで、カダフィ大佐は苦戦を強いられているが、外国軍の介入がなければ、バーレーンなどと同様、民衆の反政府運動を押さえ込んだであろう。

 シリアでは、武装勢力が資金と武器をレバノンなどに存在する欧米・イスラエルの工作員らから受け取り扇動されてシリア国内でのテロ活動をやっているが、シリア人全般を反政府デモに動員するようなところにまで至っていないのも、シリア人の多くが、シリア政府のパレスチナの大義に対する姿勢と欧米に対する姿勢を評価してきたからだ。

 パレスチナ自治区、シリア、レバノン、ヨルダンなどでパレスチナのナクバ記念日に於けるデモが起きたことで、これらの国々では、そしてやがてはその他のアラブ・イスラム諸国でも、イスラエルのパレスチナ占領を糾弾する動きが強まるだろう、と見られている。

 これが嵩じれば、イスラエルの運命がどうなるか、という問題が表面化する。イランが云々する前に、目覚めたアラブの民衆が、再度アラブの大義、パレスチナの大義を掲げてイスラエルに譲歩を要求してくることになろう。特にエジプトはイスラム勢力が伸張しているので、そうなるだろう。

 その際、イスラエルを全面的に支えてきたアメリカのオバマ政権がどう出るか、と言う問題があるが、オバマ大統領は、アラブ世界ないしはイスラム諸国との対決を避けると言う使命観を持っているしそれを宣言もしてきたのだから、当然イスラエルの譲歩を要求することになるだろうと見られる。紆余曲折はあれどそうなる。かくしてイスラエルの運命は決まることになる。つまり、アツモンが語るように、全ての市民の国家、つまりユダヤ人国家ではない、「パレスチナ」の誕生である

 これはしかし最終的ビジョンである。その前に、イスラエルが取るべき道は、ミニ・パレスチナ国家の成立を承認することだ。あとは、時間の経過と共に、人口比率などから、イスラエルの中でもパレスチナ人の国会議員数などが増える事で、結果的に、全ての市民のための国家が誕生してくることだろう。またその頃には、イスラエル人の中にも、今までのイスラエル政権の姿勢に批判的な市民の数が増えて、パレスチナ人との共存を願う人口が増えることになるだろう。それを嫌って心をかたくなにする者たちはやがて消えていくことになる。

 
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●イスラエルの運命
http://www.gilad.co.uk/writings/gilad-atzmon-israels-doomed-fate.html
【5月17日 Gilad Atzmon】

 「帰還することはないだろう。パレスチナ人たちにイスラエルに帰還することはないだろうと告げる時が来た」と、イスラエルの有名な「リベラル」なコラムニストであるナフーム・バーネアが書いている。

 イスラエルがパレスチナ人の反発の勢いを押さえ込む方法を持たないということがますますはっきりしてきた。イスラエルの蛮行、63年間の弾圧、人種差別、そして大量破壊兵器の使用も含む大量殺害戦術にも係わらず、パレスチナ人は祖国に帰還する意思を固めている。

 今週、彼らはイスラエル、世界のユダヤ人、そして世界の人々に対し、パレスチナ人の大義は少しも消滅していないということを思い起こさせた。2011年のパレスチナ人は彼らの親ないしは祖父母達の世代より一層決意を固め、強固に一体化していることを示した。

 イスラエルのライターであるバーネアが、「彼らの政治家らは、それが起こることを告げていた。聖職者らはアッラーのお助けがあるだろうと約束していた。外国の支援者が旗とバスを支給した。彼らはシオニストの計画は崩壊する運命にあるという自分達の使命達成に自信を持って乗り出した。もう一回押せば、ヨルダン川から地中海まで、イスラエル全土がパレスチナのものになる」と宣言して、自分を納得させようとしている奇妙な姿を見るのは、興味深い。

 バーネアがそう見ているかどうかは知らないが、ますます多くのパレスチナ人が確信しているビジョンであり、またそれこそ私自身のビジョンでもある。これは、世界中の人々が完璧な解決策と見ている正確なビジョンであり、これが苦悩に満ちた対決に対する道徳的に正しい普遍的な回答なのだ。イスラエルはパレスチナになる。それはヨルダン川から地中海に至る。そしてそれは、「ユダヤ人のみ」の国家という人種差別的な国家観と対立する、全ての市民の国家となるだろう

 「私はあなたにお知らせがある、従兄弟よ」とバーネアはわざとらしく親切に語る。「それは起きないでしょう・・・あなたの生きている内には・・・あの戦争から63年が過ぎました;別の夢を見る時が来たのです」

 バーネアがその他の多くのイスラエル人同様、事実を正しく見る代わりに自分が願っている考え方を表明しているということは誰でも分かる。それが起きた、そして数十年前に少なからざる者たちがそれを知った事-パレスチナ人がより良き世界の建設のための戦いの先頭に立っているのだ。現在アラブ世界の各地で進められている革命は正義に対する大衆の声であるが、同時にそれはパレスチナの大義に対する声でもある。若き世代のイスラム教徒やアラブの青年らが変革を起こしているのを世界が称賛を持って見つめているので、イスラエルが世界の平和に対する最大の脅威であるという認識が一般的なものになりつつある。パレスチナ人の帰還への権利、というものが、国際的な優先事項になりつつあるし、イスラエルはその問題では負けることになるだろう。この問題では欧米はイスラエルを犠牲にすることを厭わないだろう:孤立化し恥をかかされたイスラエルは、勝ち目のない戦いを行う事になるだろう。事態を明らかにするためには、時間は必ずしもユダヤ人国家の側にあるわけではない。

 イスラエルは63年間、自らの原罪と対決してきた。イスラエルは悔い改めの機会を持っていたし、無慈悲に追い出した何百万人もの難民に国境を開く機会があった。しかしその機会は閉じられたようだ。イスラエルは自らを救う機会を失った。そして我々が今週見たものは、序章に過ぎない。イスラエルはパレスチナ人がその国境に集結する津波に直面しようとしている。イスラエルはこのような非暴力の抗議の型が沸き起こる事に対する政治的・軍事的対処法を持っていない。

 他の多くのイスラエル人と同様バーネアはアッバスが好きだ:このイスラエルのコラムニストによれば、ここ最近イスラエルを運営してきた三つの政府では、アッバスは「最も人間的であり、愛すべき政治家」なのだ。しかしながら、ナクバの前日、「帰還はスローガンではない・・・パレスチナは我々のものだ」と語り、パレスチナ人指導者は誰も帰還する権利を断念する者はいないとアッバスが宣言した時、バーネアはアッバスでさえ調子に乗ることを見て、がっかりしたのである。

 バーネアはアッバスは、この権利がどのようにしてどこで実現されるか、またそれは賠償を通してということか実体的に帰還するということか、という点を明確にすることを控えたことを強調した。バーネアは、アッバスの言葉からは、「誰も何を彼が望んでいるのか分からない」と結論付けた。しかし実際は、バーネアは間違っていた。アッバスの言葉は完璧に明瞭である:この言葉にはなにも隠されたメッセージのようなものはないし、曖昧ささえない。帰還ということはスローガンではない。暫くは普遍的・道徳的呼びかけであった。しかし、今週の出来事を見れば、それは実体的な行動への呼びかけになっている。

 バーネアと殆どのイスラエル人は、今の中東は新しい存在となっているということを理解できないだろう。それは一体化している;それは強固だ、それに臆病とは程遠い存在となっている。それは敏感で革命的で正義と自由への渇望に満ちている。イスラエルは激しい抵抗の壁に包囲されている。ユダヤ人国家に関する限り、カウントダウンが始まったのだ

 バーネアはイスラエル人の同胞に対する呼びかけで彼の論文を終わっている:「主権の中で生きたいと願う者は、シオニストと民主国家であるイスラエルには、パレスチナ人に尊敬をこめて言い続ける以外の選択肢は無い:過去は過去だ、と」

 しかし、バーネアの示唆するところは一般的には、残された我々は、ユダヤに特別な苦悩の終わりの無い重荷から自らを解放させることができるということを示唆していると論理的に示していることは間違いないことだ。結局バーネアは「過去は過去だ」と言っているのだから。

 従って、彼らの集団的な苦悩でユダヤ人がユニークな存在ではないのならば、イスラエルが新しい姿勢を示すことを何も阻止すべきではないだろう。そうすることで、違いを超えて、民族的に浄化し破滅させようとした土着の人々であるパレスチナ人との間に架け橋を掛けることができる。なぜならば、もしもバーネアが示唆しているように、過去の重荷が関連性ないしは重要性を失うことができるならば、イスラエルも同様、そのように生きることができるのだし、より明るい未来に目を向け、積極的にパレスチナ難民を彼らの土地に帰還するよう招待することができるであろう。そのような動きは紛争を即刻終わらせることを意味するだろう。

 しかし言うまでも無い事だが、自分はそれがすぐ起きると期待しているわけではない。

 とは言うものの、ここに一つ、言わねばならない重大な問題がある(現在は仮定の問題):ユダヤ人国家がその最終的段階に来ているということがはっきりした今日、ヨーロッパに帰還したがるに違いないイスラエル人はバーネアのような「帰還は無い」という宣言を、もしもヨーロッパのリベラルなコラムニストが発言するような場合には、どう対処するのだろうか? 以下のような場合には、イスラエル人ないしは我々はどう反応するだろうか?:「帰還は無い-ユダヤ人にヨーロッパに帰還するということはないということを告げるべき時が来た」

 そのような発言は明らかに我々の間に怒りを誘発させるであろう。
 しかし、悲しい事だが、「リベラル」なイスラエル人やユダヤ人から我々は似たような発言をあまりに多く聞かされてきている。

 ※従兄弟たち-イスラエル人がパレスチナ人、アラブ人、イスラム教徒を指して意言う場合に使用される。


●パレスチナ 「大災厄」記念日デモ 発砲などで死者相次ぐ
毎日新聞 5月15日(日)
 【ラマラ(パレスチナ自治区ヨルダン川西岸)花岡洋二】イスラエル建国に伴い、70万人を超すパレスチナ人が土地を追われ難民となった「ナクバ(大災厄)」の日の15日、パレスチナ自治区ガザ地区とシリアなどでパレスチナ難民らによる大規模なデモがあった。デモ隊の一部がイスラエル側へ越境または接近しようとしたところ、イスラエル軍が発砲、計8人が死亡し、多数が負傷した。AP通信が報じた。

またイスラエル・メディアによると、レバノン国境付近でもデモがあり、レバノン軍の発砲で4人が死亡。一方、ロイター通信は、イスラエル軍の攻撃で少なくとも10人が死亡したと伝えている。

 イスラエルが占領するシリア領ゴラン高原のマジダルシャムスへは、シリア側からパレスチナ難民とみられるデモ隊の数十人が進入、境界付近でイスラエル軍が発砲し、6人が死亡した。ガザ地区でもデモ隊が境界に近づき、2人が殺された。

 レバノン南部マルンアラスでは、デモ隊が国境フェンスを壊そうとしたため、レバノン軍が発砲し、4人が殺された。自治区ヨルダン川西岸ラマラでも大規模デモがあった。

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シリアのアサド大統領

◆5月17日

 シリアでは武装勢力が外国から資金と武器を受けて、シリア国内で騒擾情勢を惹起し、多くの一般人・軍人らの死傷者を出してきているが、国民的な反政府デモにはなっていない。

 これは、死者の殆どが武装勢力によるテロ行為の犠牲者であることが、シリア人には知られているからで、欧米メディアが喧伝しているように、政府が「一般人のデモ」を「弾圧」した結果ではないからだ。

 このシリアに関して欧米とは異なる視点を持っているロシアのラブロフ外相が指摘している内容は正しい。従って、たとえ国連安保理の場でシリアに対する外国勢力の武力行使を承認することが提案されても、ロシアは拒否権を行使することだろう。

 それにリビアと違い、シリアには石油も少なく今の段階で欧米が血眼になって欲しがるような資源は存在しないから、たとえ軍事介入があったとしてもシリア介入のレベルはリビアほどにはならないだろう。

 もしそれをごり押しする勢力があれば、逆にごり押しした方の足元から崩れていくことになるだろう。シリアにごり押しで軍事介入すれば、上記のロシアも黙っていないだろうから、大戦争に発展しかねない。

 シリアが弱体化し、あわよくばレバノンのような分裂国家になることを願っているのはイスラエルである。しかしそのイスラエルとアラブ世界とを衝突させて大戦争をもくろんでいるかもしれない勢力も存在する。 

 中東で大戦争をもくろむ勢力とは、欧米の軍産複合体とそれを支える金融機関ならびにその周辺組織のことである。しかしこの中東で大戦争を起こそうとする勢力は、結局は道半ばで挫折し、徐々に自らの基盤をも失っていくことになるはずだ。

 なぜ挫折するかというと、徐々に強まりだしている地球規模の天変地異のためである。今は日本が地震や火山の噴火などに見舞われているが、やがてそれは世界的規模に拡大していく。つまり大地震や火山の爆発、その他大洪水や旱魃などの天変地異が世界的規模で起きる事で、戦争などをしている場合ではなくなる、ということだ。


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●シリア問題でロシアは欧米との協調を拒否
http://english.pravda.ru/world/asia/13-05-2011/117907-Russia_refuses_to_cooperate_on_Syria-0/
【5月13日 PRAVDA.Ru】

 ロシアはシリアに対する外国の干渉に警告を与え、シリアの反政府勢力が、「対話プロセスを阻止しようとしている」とロシアの外相は語った。

 セルゲイ・ラブロフ外相は、デモ隊に対しシリア政府が弾圧していると言われていることに対し、それを阻止するためにNATOがシリアに介入するという可能性を拒絶した。ロシア外相は「リビアの台本」がこのシリアでコピーされている、と語った。

 ラブロフ外相は、アサド大統領の反対派に対して、リビアの状態を繰り返さないよう強く勧め、「この情勢に武力を使用してでも外国の役者が介入するという筋書きを繰り返さない」ことを願っている。

 ロシア外相は、「和解プロセス、対話のプロセスが妨害されている」との懸念を表明した。「彼らを支援する外国にアピールしようとして、シリアの反政府勢力は対話のプロセスを阻止しようとしている」とラブロフ外相は強調した。、

 外相によれば、リビアのカダフィ大佐に対する欧米諸国の作戦は、その他の国々における反対派を刺激し勇気付けているという。そしてそのような国では社会不安を作り出している暴徒あるいはテロリストが外国の軍事介入を要請している、という。

 リビアに対するNATOの軍事介入を拒絶する意思を表明した外相は、シリア政府に圧力を掛けようという欧米の企図に対する協力を拒否した。

 国連安保理の常任理事国であるロシアは、カダフィ軍による攻撃と言われるものからリビア人の市民を「保護」するために帝国主義者がリビアを攻撃することを承認することになる、3月17日に国連決議1973号に拒否権を行使することに失敗した。

 16日、ヨーロッパ連合はシリアに対する最初の制裁パッケージを承認したが、それには民衆の弾圧に使用されるかもしれない武器と装備の押収、ならびに13人の政府高官のビザと一緒に資産の凍結も含まれる。

 3月15日以来、シリアには当局に反対する勢力による抗議運動が起きている。シリア人の要求に応える中で、アサド大統領はいくつかの政治改革を進め、例えば1963年來の緊急事態法の一時停止、政治的囚人の解放、政府の改造などを行った。


●レバノン情報当局:シリア反政府勢力に武器密輸の4人を逮捕
http://www.sana.sy/eng/22/2011/05/14/346784.htm
【5月14日 SANA】

 レバノン軍情報局はシリアへの武器密輸容疑で4人を逮捕した、とレバノン日刊紙アル・アクバール紙が14日報じた。

 オサマ・A、フセイン・Tはシリア国籍、アリ・Aとアデル・Mはレバノン国籍。調査ではシリアの反政府勢力のために武器を密輸していたことを告白した。

 アル・アクバール紙は、この4人の拘留されている者たちは、軍事法廷に移送され、軍裁判官の調査を受けることになると示唆した。

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イラン攻撃は「愚行」と言うダガン元モサド長官

◆5月12日

 イランへの攻撃を実施するかどうかで、イスラエル内部で亀裂が生じている、という。ネタニヤフ首相は根っからの好戦派でどうしてもイランを攻撃し、その核施設を破壊したい考えだが、現実派のダガン元モサド長官はそれを「愚行」だと評する。

 オバマ大統領は大統領就任以来、イスラエルがイラン攻撃を実施しないよう監視を強めてきたという。その間、イランは攻撃能力を高めてきたので、もし戦争になれば、イスラエルはイランからの数万発のミサイルやロケット弾で破滅的ダメージを受けるような状況になってきた。

 しかしバラク国防相によれば、イランは自ら先制攻撃的にイスラエルを攻撃することはない、と見ているようだ。常にこのブログでも指摘してきたように、イランがイスラエルを地図から抹消する、というのは、意図的にユダヤ系メディアから発信されてきた誤訳であり、イランがイスラエルを反撃以外の侵略的攻撃をするということはない。

 ユダヤ・イスラエルの背後には、ユダヤ人が神の「選民」だという原理主義が存在する。この原理主義によれば、ユダヤ人以外は、家畜にも等しい存在なので、殺しても「殺人罪」にはならない、というような考え方が存在する。異邦人は全うな「人間」ではないからだ、というわけだ。まずこのユダヤ教原理主義の存在がある限り、世界に平和はやってきそうもない、と理解せざるを得ない。

 このために苦労してきたのが、パレスチナ人であり、そのパレスチナ人を支える「アラブの大義」」を支持してきた勢力である。この勢力はユダヤ系メディアにかき回される欧米社会では、テロリストとされる場合が多かったのだが、世界では徐々にこのからくりが暴露されてきているため、彼らの工作が功を奏しない状況になりつつある。「テロ」とは、人間を家畜同様に見るその見解であり、またその見解にのっとって行動する者たちの行動である。

 このイスラエルの「人を人とも思わない」「傍若無人」の行動に、去年から顕著になったトルコのイスラエルとの関係悪化の原因があり、欧米寄りだったチュニジアエジプトで、「民衆革命」が起きて、そのあまりの欧米・イスラエル寄りの姿勢に軌道修正がなされつつある現状がある。
 
 このような一般的世界情勢に鑑みて、イスラエルでも徐々にその対外姿勢を是正していくべき、という現実的意見が台頭しつつあるようだ。それが政権内でのイランに対する姿勢の亀裂に出てきている。

 結論ははっきりしている。イスラエルの存続のためには、イスラエルはイランを空爆してはならない、ということだ。そして全世界もそのように、イスラエルに理解させるよう働きかけるべきである。もうそういう時期が到来している、ということなのだ。

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●ネタニヤフ首相はイラン攻撃派、バラク国防相は反対派
http://www.haaretz.com/print-edition/opinion/netanyahu-waited-too-long-to-strike-iran-1.360972
【5月11日 Aluf Benn – Haaretz】

1.バラク・オバマのやったこと:大統領になった日からオバマはイスラエルのイラン攻撃阻止を最初の優先事項にしてきた。攻撃を阻止するためにアメリカはイスラエル国防軍に対する監視を強めてきた。オバマ政権はイスラエルにミサイル防衛システム支援を拡大してきたが、新型攻撃兵器は、その使用にはアメリカの承認を必要とする緊急兵器庫に収めるという「前方展開」形式でのものだ。ヒズボラも同様の取り決めをイランとの間に持っている;ヒズボラはレバノンに展開している長距離ミサイルの使用がイランの許可で使用できる形式である。この強い監視でいまのところイスラエルを押さえ込んでいる状況だ。

2.イランの抑止が効いている:イランはイラクの核施設が1981年に、またシリアのそれが2007年に空爆されたことを教訓としている:イランは核施設を散在させることによって空爆をより一掃困難にしている。更に重要なことは、イランはイスラエル国内に戦争を持ち込む決意をしており、イスラエルに対する攻撃戦略兵器を製造している。

 シリアのミサイル部隊の協力でレバノンとガザに展開している数万発のミサイルやロケットは、ダン地区を破壊し、イスラエルの経済を長期に渡って麻痺させることができる。イランがミサイルの脅威を増大させればそれだけ、何年も続くことになる破滅的戦争の消耗をもたらすイランに対する軍事的冒険をすることに対する警告の声が増大する。イランの抑止はナタンツではなくテルアビブに存在している。

3.首脳部の議論:ここ10日間、イスラエルの指導部内にイラン攻撃にかんする必要性と解釈に関して深刻な亀裂が生じている。政権を再度担うことになればイランが核兵器を保有するのをなんとしてでも阻止すると約束したベンジャミン・ネタニヤフ首相は、イランのアハマディネジャド大統領はヒトラーと同じだ、という考え方に固執している。ホロコースト記念日でのスピーチで、彼は再度イラン、ヒズボラ、ハマスのことを「ユダヤ国家の破壊のために活動している悪党たち」と呼び、「全世界はイスラエルとその国防軍が二度目はないと言えば、それがそのとおりであることを知るだろう」と警告した。

 エフード・バラク国防相はイランに対する好戦的姿勢では首相のパートナーとされてきた人物だが、最近はその姿勢を弱めてきている。ハアレツ紙とのインタビューで、バラクはイランはイスラエルに爆弾を落とすようなことはしない、と述べ、首相のホロコーストの件を拒絶した。バラクは、イランに対する行動はそれが大きな危険を伴うことなので、広範な市民の支持を必要とすることを理解している。

 元モサド長官のメイアー・ダガンは、いつもの事だが更にぶっきらぼうで、イランに対する空爆は「愚行」になると主張した。ダガンは物事を良く知った者のように語った:彼は最近までイランに関する情報の責任者だった。また第2次レバノン戦争時の作戦勧告は誰よりも正確であったことが証明されている。

4.イラン人は問題を抱えている:軍事的作戦は副首相のモシェ・ヤアロンのように最後の手段と考えているイスラエルのベテラン高官は、イラン政府の弱さを示すイラン内の政治的抗争に勇気付けられている。経済制裁はビジネス業界をグリーン・ムーブメントと反対の方向に追いやっている。アリ・ハメネイ最高指導者とアハマディネジャドは衝突している:宗教指導者は大統領を締め上げている。大統領は明らかに次の任期を勤めることはなさそうだ。

 イランと同盟関係にあるシリアのバシャール・アサド政権は、いくつかの市街地でのデモを押さえ込むのに必死である。このような状況下で、イスラエルにとっては干渉しないで静かにしているのがベストであり、イランとシリアでの内部問題がどう展開するか見ているべきだ。

5.暫定的結論:まもなく行われるアメリカ議会でのスピーチで、ネタニヤフはイスラエルは破滅に瀕しているという警告を繰り返すことだろう。またそのような事情にあるので、西岸の重要な地域からの撤退に圧力を掛け「悪党たち」に引き渡すようなことをするべきではないと述べるだろう。もしもイスラエルが窮地に陥れば、イランに「二度目はない」ミッションのために空軍を使用すると示唆することは、オバマにイスラエル・パレスチナ和平をイスラエルに押し付けることを阻止させていることになる。

 しかし、この脅威はうつろなものに聞こえる。イスラエル内の議論、消耗的な破滅的戦争とエジプトがどう反応するかという点に関する不確実性についての懸念は全て空爆を阻止する方向で働いている。ネタニヤフは2年間待ったあげく、今や空爆を実施することは更に困難であることを知ったのだ。

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