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◆5月1日  

 レバノン当局は4月29日、ラフィク・ハリリ元首相の暗殺事件に関連して拘束していた軍将官ら4人を、約4年ぶりに釈放した。同事件を裁くオランダ・ハーグの国際法廷「レバノン特別法廷」が、証拠不十分だとして同日、即時釈放を命じたためだ。

 これで、国連の独立調査委員会(ミーリス委員長)が2005年10月20日国連安保理に提出した、シリアとレバノンの治安・情報機関高官らが共謀して事件に直接的に関与したと明記し、かつ調査に非協力的なシリアのアサド政権の姿勢を批判する報告書の内容がいかにいい加減なものであったかということが判明したことになった。
 このミーリス委員長は、シリアとレバノンの治安当局が共謀して暗殺に関与した「証拠を得た」とまで言っていたのだ。

 ではその証拠とはなんだったのか、国際法廷では「証拠不十分」、だとして即時釈放を命じている。

 この事件はそもそも類型的には、アメリカのイラク戦争と同類のものだ。イラクのフセイン政権(当時)が、大量破壊兵器を製造・隠匿していると「決め付け」、それを提出しなければ強制的に排除する、といって国際世論を煽り、イラク政府が数千ページもの報告書を提出しても不十分だと難癖をつけ、最終的にはイラクへ侵攻、散々イラクを荒らしまわった後、どうも大量破壊兵器はないようでした、と言って済ませている。
 これと同様に、ハリリ暗殺事件でも、まずシリアの関与ありと「決めつけ」、ハリリ元首相が暗殺された2005年2月14日の翌日、なんの根拠も示さないまま、アメリカ政府は直ちに駐シリア・アメリカ大使を召還し、シリアを非難する声明を出し、17日にはシリア軍のレバノンからの撤退を要求している。また同時に国際世論を煽り、これに呼応し(呼応させられた?)、国連事務総長まで一緒になってシリア軍のレバノンからの撤退を要求、仕方なくシリアのアサド大統領はそれに応えて、粛々とシリア軍を撤退させた。すると1年半ほど経った2006年7月、イスラエル軍のレバノン攻撃が始まり、第2次レバノン戦争が勃発してしまった、という経緯がある。

 これを概観すれば、シリア軍が撤退することで、イスラエルのレバノン侵攻が容易になったのであるから、あのハリリ元首相暗殺で利益を得た者は、このイスラエルであったとなるのだから、ハリリ元首相暗殺事件で一番真犯人くさいのがイスラエルとなるのだが、国連もアメリカもイスラエルのイの字も今に至るも出てきていない。これこそ異(イ)なことである。

 そもそもこの独立委員会が採用した「証人」なる者たちが怪しい。
 ドイツのシュピーゲル誌は、サイド・サディクが有罪判決を受けた詐欺師だと指摘している。しかも、この人物を連れてきたのがシリアの現政権に反対しているリファート・アル・アサドという人物で、しかもこのサディクの兄弟によると、メーリスの報告書が出る前年の夏、サイドは電話で自分が「大金持ちになる」と話していたという。つまり証言することで、報酬を得る段取りだったということであろう。
 
 これだけ見ても、既にこの独立委員会なるものがそもそも怪しいとならざるを得ないだろう。何が独立なものか、完全にひも付きではないか。

 もうひとりの重要証人、フッサム・タヘル・フッサムはシリア関与に関する証言を取り消した。レバノン当局の人間に誘拐され、拷問を受けシリア関与の証言を強要されたという。その反対に、証言をすれば130万ドルを提供すると持ちかけられたと話している。

 ようするに、金で作られた証拠であり、証人ということであろう。これこそが、金の力でなんでもできる、と信じるもの達の発想の産物ということになろう。

 こうしてみれば、シリアを悪者にするために「仕組まれた調査・証言」であったといわざるを得ない。とすれば、今度は、シリアを陥れようとした勢力が怪しいとならざるを得ないであろう。それは反シリア派であり、その背後にいるイスラエルであり、CIAであり、アメリカのネオコン派である。

 暗殺に使用された日本車は、相模原市内の駐車場で盗まれたものと判明した(読売)というが、相模原には米軍キャンプがあり、本当に一般市民の車が盗まれたのであれば、届けられているはずだから、持ち主は簡単に割り出されそうなものであるが、米軍関係者が工作したものならば、当然届出などしないから、今に至るも持ち主不明のままとならざるを得ないと判断できる。

 オバマ政権時代では、おそらくそのあたりが暴かれていくことになろう。もうこういう者たちが好き勝手にできる時代ではなくなってきつつあるのだ。むしろこういう者たちがこれからは追い詰められていく時代に入ったと言っていいであろう。


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●レバノン:元首相暗殺事件の裁判、振り出しに…容疑者釈放
 【カイロ和田浩明】レバノンのハリリ元首相暗殺事件(05年2月)に関与した疑いで拘束中だったシリア寄りの元治安機関幹部4人が29日、証拠不十分で釈放されたことで、国連安保理決議に基づく「レバノン特別法廷」での同事件の裁判は振り出しに戻った。 親シリアのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが勢力を伸ばす可能性も指摘される6月7日の総選挙を控え、多数派の反シリア勢力は打撃を受けた形だが、同法廷が「政治化」したとの批判が今回の措置で一時的には抑えられたとみる関係者もいる。
 同法廷によると、釈放は主要証言が取り下げられたため。新証拠が出れば、再度拘束される可能性もある。
 地元メディアによると、ハリリ氏の息子サード議員は釈放について、「特別法廷が政治化することはないことが確認された」と発言。「正義実現に向けた一歩だ」と指摘した。 事件は国連独立調査委員会から関与が指摘されたシリアへの国際的批判を呼び、レバノン内戦を契機に30年近く駐留したシリア軍の撤退につながった。シリアは関与を否定している。


●シリアの関与を認定=レバノン元首相暗殺事件-国連調査報告?
◎【ニューヨーク=白川義和】今年2月に起きたレバノンのハリリ元首相暗殺事件を調べていた国連の国際独立調査委員会(デトレブ・メフリス委員長、ドイツ出身)は20日、シリアとレバノンの治安当局が共謀して暗殺に関与した証拠を得たとする調査報告書を国連安全保障理事会に提出した。
 レバノンを実効支配していたシリアの関与が公式に確認されたことで、同国を「テロ支援国家」と非難する米国などが国連安保理などでシリアへの圧力や制裁を求める声を強めるのは確実だ。
 報告書によると、暗殺は数か月間かけて準備した計画的犯行で、電話の盗聴などを通じて、ハリリ氏の当日の行動や車列が通るルートは事前に把握されていた。
 元レバノン駐留シリア軍情報機関員は調査委に対し、暗殺は同軍幹部や、レバノンの大統領警護隊長らの共謀によるものと供述。報告書は暗殺が「シリア治安当局高官の承認がなくては決定できず、レバノン治安当局との共謀なしに組織的に行うこともできなかっただろう」と結論づけた。
 暗殺の動機については、レバノンからのシリア軍撤退をめぐり、ハリリ氏がシリアやシリア派のラフード大統領と対立していたことを挙げ、「政治的」なものとする見解を示した。
 さらに、シリア政府の調査への協力は「形式的」で「実質的には協力しなかった」と指摘。シリア側関係者に対する調査では、調査を誤った方向に導こうとする虚偽の証言や記述があったとした。報告書は、調査は完了していないとし、シリア政府に全面的な協力を求めると同時に、レバノン当局が今後も継続して捜査を行うべきだとした。国連安保理は報告書を受けた討議を25日に行う予定で、米国やフランスはシリアへの圧力を強める決議案を準備している模様だ。
 暗殺事件は2月14日、レバノンの首都ベイルートで、ハリリ氏の車列に爆弾を積んだ車が突っ込み、ハリリ氏ら計23人が死亡。国連安保理は4月、真相解明にあたる独立調査委を設置する決議を採択し、日本の警視庁を含む計17か国による現地調査団が6月から調査を進めていた。(読売)


●モサド、CIA,レバノン
 ハリリ暗殺の受益者はだれか?
By Bill Van Auken
17 February 2005
http://www.wsws.org/articles/2005/feb2005/hari-f17.shtml

・・・以下略



●ハリリ暗殺はアメリカの計画に都合がよい
by Mike Whitney
February 17, 2005
http://dissidentvoice.org/Feb05/Whitney0217.htm

・・・以下略

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