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◆6月3日

 アメリカの象徴であった米自動車最大手ゼネラル・モータース(GM)が1日、ついに破綻に追い込まれた。

 朝日新聞の記事にあるように、「労働者にとってはGMは米国が誇る豊かな中産階級の生みの親でもあった」が、金融資本主義の狂乱がアメリカからこの労働による製造業の道をとおして「中産階級へのもっとも確実な道」をたどる機会を奪ってしまったのだ。

 プロテスタント(新教徒)の勤勉の倫理姿勢が資本主義の発展の基礎だ、と説いた有名なマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義精神』は、その意味ではやはり正しかったと言えそうだ。

 アメリカ人はウェーバーがいたころのプロテスタントと違って最近は貯蓄に励む代わりに投資に励んだことも、アメリカの資本主義の崩壊の一因と言えそうだ。アメリカ人の子供たちまでが株式投資に熱を上げていたようなことがテレビでも放映されていた。ようするに勤勉な労働から資本を積み重ねる、ということをせず、マネーゲームで楽して儲ける技を磨け、というようなことを子供にまで教えていたのだ。

 またそれにならえとばかりに日本でも小学生に株式投資のノウハウを教えるようなところも出てきたと言われている。
 「欧米か!」と叫ぶお笑い組みがいるが、日本人はなんでも欧米のものを殆ど崇拝するかのような姿勢で対することが多い。あちらの物だけでなく、経済理論などに代表される、新規な理論などに対しても言える。それが確かに正しいものならば別に欧米であろうがアラブであろうがかまわないが、どうも我々日本人は欧米ものに弱いので要注意なのだ。

  ウェーバーが禁欲的労働(世俗内禁欲)という言葉で、プロテスタントの姿勢を評価し、かつそれこそが富の蓄積の源とみなしていたのだが、それはウェーバーがいくら欧米人であっても誰も否定できない真理であろう。日本はプロテスタントは少ないが、日本人自身のもつ民族性としてこのような、ものづくりに対する姿勢は欧米のプロテスタントと並ぶ、あるいはそれ以上のものを持っている(いた?)からここまでこれたと言えるだろう。従ってそれを喪失してしまったアメリカが没落することは不可避と考えねばならない。

 今度破綻したGMでさえ、売れ行きが芳しくなくなってきた時、自動車版のサブプライムローンのようなものを組んで車販売をして利益を出していたという。物作りに一生懸命になるのではなく、いかさま金融商品を絡めながらごまかしながら車を売っていたのだ。

 日本の強みは今に至るも、やはりその強い製造業の存在である。しかし最近はアメリカにならって、その製造業者が投資に熱を上げている面が指摘されてきている。それに技術的にも新興の勢力に押され気味になってきていて、もう製造業そのものでもトップの位置から落ちている分野が多々ある。これは実に危険なことであろう。

 従って、欧米に倣うようなことはせず、投資事業などは進められたとしてもほどほどにしておくべきだった。ましてこれからはこのアメリカ発の金融崩壊で、世界全体の経済は間違いなく崩壊の瀬戸際に立たされる。実物経済という言葉があるが、すくなくともマネーゲームといわれるようなものからはすぐ撤退すべきであろう。

 こうしてアメリカの製造業の代表だったゼネラル・モーターズがガバメント・モーターズとなり国有になったことで、金融機関の準国有化と合わせて、アメリカがいよいよ社会主義国家になりつつあることを、かつてのソ連邦の主要共和国であったロシアのプラウダ紙が皮肉な論説を掲げた。
 

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●アメリカ資本主義は泣き声と共に去りぬ
【4月27日 プラウダ紙 】
 http://english.pravda.ru/opinion/columnists/107459-0/

 大きなダムが決壊するように、アメリカは、受動的で救いようの無い人々の願いに反して、マルクス主義へと急速に下降している。
 実際、状況は前世紀から準備されていた。とりわけ最近20年はそうだ。このマルクス主義の最初の実験場は、わが聖なるロシアであり、それは血にまみれた実験だった。しかし我々ロシア人は、どれほど多くのウォールストリートの金がマルクス主義者の手の中に注ぎ込まれたとしても、倒されたまま我々の自由と魂を放棄することはなかったであろう。
 これらの教訓は活用され、今度はアメリカの民衆の自由とその魂を彼らのエリートと上層部の者たちの気まぐれのため、放棄させられるよう利用された。
 まず第1に、クラシックの代わりに、政治化した低水準のポップカルチャーをベースとする教育システムで民衆は頭を悪くさせられた。
 アメリカ人は、テレビドラマの方を、彼らの生活に直接的に影響するワシントンDCで行われているドラマより好んだ。
 彼らはマックやバーガーキングのハンバーグを飲み込む権利の方を、憲法上の権利を大切に守ることより重要視した。
 そして我々に向かって権利と民主主義について講義した。うぬぼれが愚か者を盲目にしたわけだ。
 それから、彼らの神に対する信仰が破壊された。彼らの教会の何千、何万という異なる分派や宗派というものは、多くの場合日曜日のサーカス(ソ連時代、ロシアの各都市にサーカス場が作られ日曜ごとに開催された)とあまり違いはなく、テレビ伝道師やプロテスタント教会のメガ牧師は彼ら自身の魂と信徒を偽のマルクス主義政治家などの側に導くことに精を出した。
 彼らの信徒は不平を言うかもしれないが、「勝利の側についている」と説明されると、地上の権力を獲得できる希望のためにキリストをさっさと拒否するのだった。我々の聖なるロシア正教会でさえアメリカではけしからぬことに、自由化されている。

 最後の崩壊は、バラク・オバマ氏の当選でやってきた。彼の3ヶ月間のスピードは全くすばらしいものだ。彼がお金を使う速さ、お金を印刷する速さはアメリカの歴史上だけでなく世界的にも記録物である。
 もしこの調子でもう1年やるとなると、そうならないといいう兆候はない、アメリカは少なくともワイマール共和国並みに、悪くするとジンバブエのようになることだろう。
 過去2週間はもっとも大変な時期だった。最初に、計画されていたアメリカの複雑に入り組んだ税体系の見直しが、、何千億ドルを盗み騙し取って、盗んだ金の穴埋めに回している当の盗人によって発表された。
 これは、我がロシアのオリガルヒ(新興財閥)どもを、普通の繁華街の暴力団よりちょっと悪、という程度にさせるものだ。
 まさにその通りで、アメリカ人は我々の盗人らの数段上をいったのだ。「おめでとう」というべきなのかな? ・・・以下略
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経済から宗教まで、時代の先を読み解くための作業を人間活動のあらゆる分野にメスを入れて行います。
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