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ブーヘンバルト強制収容所を訪れ、白バラを献花するオバマ大統領
◆6月6日
オバマ大統領の演説内容は昨日掲載したように、現イスラエル政権に対する危機感を醸成したようだ。現政権は右翼のリクードが与党の中核で、このリクードの反発はいたし方ないだろうが、前の政権を担っていたカディマからの声には、オバマ大統領のスピーチを評価する声も上がっている。
この声の方が、実はイスラエルの存続から見ても、実際的であり、本当に問題の解決につながる道なのだが、このカディマが昨年12月末から今年1月にかけて、ガザ侵攻を果たしたグループなのだ。それもこれも2月に行われる選挙対策だったと言われている。
しかしその目論見は見事に外れて、結局右翼を勢いづかせて、その右翼の筆頭に上げられるリクードを中核とする政権ができてしまったのだ。
オバマ大統領は既に、シオニストの一部からは、「反ユダヤ主義者」というレッテルまで貼られるようになったらしい。 これはしかし、却ってシオニストらの勇み足となり、彼らの正当性に対する疑問を大きくさせるものだろう。つまり彼らはオバマ氏を「敵」に回してしまったことを意味するからだ。
オバマ氏は既に世界的な広がりを持った支持層を有しているし、今回はイスラム社会にもその支持層を広げたはずだ。 したがってそのようなオバマ氏をお決まりの「反ユダヤ主義者」と非難するようでは、そもそも「反ユダヤ主義」なるレッテルは、一体どのような人物に付けられるレッテルになるのか、となる。
要するに反ユダヤ主義のレッテルを付けられても、私はオバマ氏と同じ立場になった、ということだから、構わない、となり誰もそのレッテルを恐れなくなる傾向が強まるだけなのだ。
こうして、今までありとあらゆる力を動員して、シオニストたちは自分らの意向に人々を従わせようと躍起になってきたが、そろそろそのほころびが出始めたと言えよう。これを日本語では、「焼きが回った」と言う。
オバマ大統領は5日、アリエフ・エルダド議員が、「行けば理解できるようになる」と語ったブーヘンバルト強制収容所を訪れ、白バラを献花した。
大統領の祖母の弟(84)(米シカゴ在住)がこの収容所の関連施設を解放した米軍部隊に所属していたことがあり、大統領が子供のころ、解放時の収容所の悲惨な状況を繰り返し回想していたというから、エルダド議員に言われなくとも、十分理解していることであろう。
むしろ大統領がドレスデンを訪問したことの方が大事かもしれない。これもまたアメリカ大統領としては初めてのことだからだ。一般市民が大量に殺戮された場所であり、同様な目にあった広島、長崎、そして東京大空襲をはじめ、日本各地における凄まじい空襲は明らかな戦争犯罪なのだから、今に至るもアメリカ大統領が広島・長崎を訪問していないように、ドレスデンにも訪問できていなかったのだ。
時代は大きく変わりつつあることを窺わせる、オバマ大統領の登場であり、その言行であり、施策である。
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●イスラエルに危機感広がる=米大統領の対イスラム演説
6月5日14時35分配信 時事通信
【エルサレム5日時事】オバマ米大統領が4日にカイロで行ったイスラム世界との新たな関係構築を呼び掛ける演説を受け、中東和平問題の一方の当事者であるイスラエルで危機感が広がっている。
オバマ演説は、イスラエルのネタニヤフ政権が進めるヨルダン川西岸の入植活動について「直ちに停止しなければならない」と指摘。イスラエル右派与党リクードの議員は「米国の大統領が初めて一線を越えた」と述べ、イスラエル離れへの懸念を示した。
●イスラエル議員:シオニストの構想はどんな大統領より強固だ
by Hillel Fendel
【6月5日 IsraelNN.com】
http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/131709
イスラエル政府は会議を開いて、今回のオバマ大統領のスピーチの内容について、議論した。その他の政治家らはすぐ反応した。
<抜粋>
◆ダニー・ダノン(リクード):「大統領は全ての一線を越えた。イスラエル政府をナチス政権と比較するかのような言い方が全てを物語っている。彼はアラブ世界と盟約を結び、(アラブの)60年にわたる侵略に対し報いたのだ」
◆アリエフ・エルダド(国民統合):「オバマ氏はヨーロッパのユダヤ人の壊滅とイスラエルのアラブたちがイスラエルに宣戦した時、自らが蒙った苦悩とを同列に扱っている。」「もしオバマがこの違いを理解できないとすれば、おそらく彼は、これからブーヘンバルト強制収容所を訪ねてみれば分かるだろう。そこに行っても分からなければ、イスラムが再度、彼の前任者に9・11で教えたように教えることだろう。
オバマ大統領がイスラムを賞賛することについて、エルダド氏は、「オバマ氏は、世界中でイスラムが行っていることの正しい理解からというよりか、彼自身の心情から語ったのだ。パレスチナ国家の創設がダルフール、インド、チェチェン、そしてヨーロッパでの戦争を停止させるだろうと考える者たちは、オバマ氏がイスラム教徒に投げ与えようとした「肉1ポンド」のひどい代償になることをイスラエルが拒否することを知るだろう」
◆マイケル・ベン・アリ博士(国民統合):「シオニストのイスラエル本土の再建構想はいかなる大統領や政府より強固だ。我々はファラオを乗り越えたし、オバマを乗り越えるだろう」
オバマは大統領は、「イスラエルの入植の正当性を認めない。入植活動を停止する時だ」と言った。ベン・アリ氏は、「全ての人々は、オバマはマオツ・エシュタールには興味なく、エルサレムに興味があることを示している」と言った。
◆ゼブルン・オルレヴ(ユダヤの家):「この演説は恐怖を呼び覚まし、イスラエルとアメリカの将来の関係に関する懸念を呼び起こす。イスラエルの存在と独立、そして安全保障の必要性に対するアメリカの伝統的な姿勢が損なわれることを恐れる。
我々の反応は、その件で落胆するようであってはならない。イスラエルの緊急の召集を呼びかけ、民と国家を総動員し、むしろ彼らとよく話し合いをしアメリカ政府を説得するべきだ。
◆オフィール・ピネス・パズ(労働):「物事の理解が異なるとしても、イスラエルは近いうちにアメリカの変化を通して勝利者になれるはずだ。彼が、実行されるべき信頼醸成の姿勢の一つとしてのGilad Shalitの返還に関して何も言わなかったことは遺憾だ」
◆ゼブ・ボイム(元リクード):「パレスチナ問題に対するオバマ氏のスタンスは、カディマのそれと同じだ。ネタニヤフ首相は、2つの民族に2つに国家というアイデアを取れない、狭い政治的見解の持ち主なので、オバマ氏の考えには参っているだろう。しかしこの考え方以外、イスラエル国家の存在を保障する考え方はないのだ」
◆モチ・ヨゲブ大佐:「オバマ氏のスピーチは、実にプロフェッショナルなもので、平和志向である。しかし彼は我々の聖人をコーランから引用したし、同じその聖人はユダヤ人のこの土地に対する権利を述べていた。イスラエル国家は消滅しはしないと彼は述べたが、ユダとサマリアでの入植も同じだ」「スピーチは扇情的ではなかったが、これはユダとサマリアに対する入植を促すことになるだろうと思う。そして現在の5%の成長を越えるような成長をなすことだろう」
◆チャイム・オロン(メレツ党党首):「スピーチは見事だったし、楽観的であり、この地域では消滅していたスピリットが蘇る先触れのようだった」
●イスラエルでは、オバマ氏は「反ユダヤ主義者」と非難されている
【6月3日 PressTV】
http://www.presstv.ir/detail.aspx?id=96942&ionid=351020202
イスラエルの議会では、イスラム世界に向けて発せられるスピーチの前に、オバマ政府のことを「反ユダヤ主義」と非難している。
イスラエル議会のクネセット議員で国民統合党の党首であるのヤコブ・カッツ氏は3日、バラク大統領は西岸に入植することを停止せよ、と繰り返し発言しているが、「これは反ユダヤ主義の何ものでもない」と述べたと、イスラエル・アルツ・シェバ紙は報じた。・・・以下略
●米独首脳会談「独のヒロシマ」で 「和解」演出に重き
【6月6日 産経新聞】
中東・欧州歴訪中のオバマ米大統領は5日、第二次大戦末期、英米軍の空襲で壊滅的な被害を受けたドイツ東部ドレスデンを訪問し、メルケル首相と会談した。戦後、米大統領がドレスデンを訪れるのは初めてで、ドイツとの「和解」を演出した。その後、ブーヘンバルトのナチス強制収容所跡を訪問。ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の犠牲者を追悼し、イスラエルにも配慮する形となった。
ドレスデンは1945年2月、英米軍の大空襲で一般市民ら3万5000人以上の死者を出し、国内では「ドイツのヒロシマ」とも呼ばれる。オバマ大統領は、英独の協力で4年前に再建された聖母教会を訪れた。
ブーヘンバルト収容所では、ユダヤ人ら5万6000人以上が虐殺されたといわれ、オバマ大統領の大おじで米陸軍兵だったチャールズ・ペイン氏が45年、付属の強制労働所の解放に立ち会った場所でもある。オバマ大統領は、ホロコーストの存在を否定するアフマディネジャド・イラン大統領も収容所跡を訪れるべきだと語った。
●<米オバマ大統領>「私は忘れない」 独ユダヤ人収容所訪問
【6月6日 毎日新聞】
オバマ米大統領は5日、ドイツ東部ワイマール近郊にあるナチスのブーヘンバルト強制収容所跡を訪れ、ホロコースト(大虐殺)の犠牲者を追悼した。大統領は訪問後、「今日見たことを忘れない」と報道陣に語るとともに、「ホロコーストの破壊の中からイスラエルが立ち上がった」と述べ、イスラエル建国の経緯に理解を示した。
独メディアによると、米大統領が独国内のナチス強制収容所跡を訪問したのは初めて。大統領はメルケル独首相、かつて収容されていた生存者2人とともに約5万6000人の犠牲者を悼む碑に白バラを献花した。
訪問はオバマ大統領がイスラエルとパレスチナの和解を促すのに先立ち、問題の根底に横たわる大虐殺の史実を自ら直視しようとしたものだ。
この収容所の関連施設を解放した米軍部隊には、オバマ大統領の祖母の弟(84)(米シカゴ在住)が所属していたことがあり、大統領が子供のころ、解放時の収容所の悲惨な状況を繰り返し回想していたという。
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