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クルド人避難民

◆10月16日

 10月14日号「トルコはクルド人部隊よりイスラム国部隊の方を好む」で「しかしそれを通してトルコ、シリア、イラク、イランにまたがって3000万人いるクルド人が一致団結して、トルコと敵対する動きをとるようになるかもしれないし、彼等の独立運動がより一層過激になるかもしれない」と書いたが、これは認識不足であったようだ。下記の記事によればイラクのクルド人とシリアのクルド人は不仲ということなのだ。

 そうすると現在シリア北部のコバニでイスラム国テロリストらに包囲され殲滅・虐殺の脅威に晒されているクルド人らを救出できるのは、シリア政府軍以外には存在しないことになるようだ。記事によれば、30万人が虐殺される可能性がある、という。しかしこのシリア政府軍はアメリカ同盟軍の空爆のため、コバニに接近できないでいる。

 この記事でもはっきり書いているように、アメリカ同盟軍の空爆はイスラム国勢力を標的に行っているものではない、とあり、またトルコが日常的にイスラム国に対する支援を継続している、という。トルコは親日国ではあるが、30万人の虐殺を見殺しに、むしろ虐殺者を支援するような国家ならば、厳しい非難をせざるを得ない。

 コバニでは自分達の故郷とも言うべき土地を守る為、女性たちも多くが武器を取って戦っている。コバニ防衛軍の副司令官は女性だ。このブログでも以前よりクルド人女性のその戦う姿勢を取り上げている。ここで、起死回生の動きでも起きることは無いのであろうか?

 腹立たしいことは、イスラム国戦士らである。大国やアラブの金持ち国家の地政学的・戦略的思考から募集され育成され、彼等の単なる駒として使用されている情けない存在なくせに、穏やかな人々のつつましい生活を破壊して命を奪って喜んでいる。日本から参加した男性は、戦闘がしてみたかったとほざいた。ぶん殴ってやりたい思いである。ブログ子ならば、銃を取るにしても、このシリアのコバニのクルド人の側につくであろう。

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●アメリカはシリア北部での民族浄化に成功したのか?
http://www.voltairenet.org/article185587.html
【10月15日 Thierry Meyssan — Voltaire.net】

 イスラム首長国による絶滅政策の脅威に晒されている30万人のクルド系シリア人が住むコバニとその地域では、誰でもNATOの二枚舌方法を取ることができる。アメリカ同盟軍司令官が自分達はイスラム首長国と戦っていると宣言すれば、NATOメンバー国のトルコは、そのイスラム主張国が必要とする軍事・医療的支援を施し、クルド労働者党(PKK)の戦士らがクルド人の救援に向かう事を阻止したり、一般人が避難してくるのを妨げたりしている。

 昔のギリシャの劇では、全ての観客は悲劇的結末を前もって知っていた。神々によって盲目にされた登場人物達は、自分達のセリフで拒否するふりを演じ続けた。しかし、聖歌隊は運命のプロジェクトを観客に明らかにしていた。

 コバニにて演じられている悲劇は、宣言されたクルド系シリア人30万人の虐殺の結末が書かれている。イスラム首長国は既にコバニ市のいくつかの区域と周辺の村落を制圧している。もしもシリア政府軍がこのクルド人らの救出のために突破口を切り開く事ができなければ、彼等全員は殺害されるであろう。

 このクルド人らはPYG(シリア政府を支持する自治政党)によって保護されているが、トルコは国境を封鎖することで、クルドの一般人がトルコ領内に避難する事ができなくなり、またトルコのクルド労働者党(PKK、PYGと連携している分離主義政党)の援軍が救出に向かう事を阻止している。

 クルド人勢力はマハムド・バルコダンによって指揮され、ナリン・アフリン(実名はミサ・アブド)が補佐している。女性を副司令官に選択したことは、イスラム首長国内にパニックを惹き起こした。聖戦主義者(ジハーディスト)らは、もしも女性に殺されたら天国に入れないと信じているからだ。


コバニ防衛軍の副司令官のナリン・アフリン

 クルド人の抵抗に遭遇することで、イスラム首長国はコバニを粉砕するためにシリア内の殆どの勢力をコバニに集結させている。

 我々の分析によれば、ロシアとラテン・アメリカそれにイスラム世界の多くのラジオやテレビで語られたように、イスラム首長国はアメリカの創作物であり、この地域の再編のために民族浄化の任務を請け負っているのだ。アメリカの指導者らのイスラム首長国を叩くという慰めの宣言は、イスラム首長国の利益になるよう彼等の軍事行動がなされているということで、誰でも、その宣言が裏切られていることを見ることができる。

 この同盟軍はコバニに対し六波の空爆を実施した。それはイスラム首長国の標的を狙ったものでは決してなかったし、彼等に損失を蒙らせるものではなかった。しかしながら、それは距離を置いた南西部にあるシリア政府軍が人々を救出に向かう事を阻止することになったのだ。

 イラクのクルド地区政府(親イスラエル)は長年対立していたシリアのクルド人を援助することを拒否している。この消極的姿勢を正当化するため、彼等はシリアへの直接アクセス手段を持たない、と言っている。

 NATOメンバー国のトルコは、クルド人らがシリア内での独立的地位を破棄しない限り、また彼等がNATOの行っているシリアとアサド大統領に対する戦いに参加しない限りは、虐殺の脅威に直面しているこれらクルド系シリア人を支援することはないと支援を拒否している。

 PYGの戦士によれば、トルコは日常的にイスラム首長国に対し武器の供給をしているし、負傷者をトルコ内の病院に受け入れているが、PYG側ではクルド人の負傷者を医療処置のためトルコ領内へ移送することは大問題だという。

 トルコでは、クルド人イスラム教徒の分派グループのフル・ダバ・パルティシ(以前はレバノンのヒズボラとごちゃ混ぜになるようヒズボラと名乗っていたグループ)は、PKK(トルコで最大のクルド人政党)に対する戦闘を行った。ヒュダ・パル(フル・ダバ・パルティシの略称)は秘密裏にエルドアン・トルコ首相のAKPによって支援を受けた。

 8月30日、イスラム首長国指導者のヒケメトと彼の二人のボディ・ガードがPKKによってイスタンブールで殺害された。彼等はトルコ警察に護衛されながらヒュダ・パルによって招待されそこに宿泊していた。

 PKKはそのメンバーに対しメッセージを送って、ヒュダ・パルがイスラム首長国を支援するトルコ政府のために働いていることを非難しつつ、ヒュダ・パルの全てのメンバーを殺害するよう指示した。

 10月10日、スレブレニカの虐殺(1995年、ユーゴスラビア)を想起しながら国連シリア特使であるスタファン・デ・ミストゥラはトルコに対し、コバニが陥落しないよう、また人々の虐殺を避ける為、その国境の封鎖を解くよう要請したが、トルコはついに国境の封鎖を解く事はしなかった。

 アメリカ同盟軍のジョン・アレン将軍は、公然とトルコにその国境を開放し、コバニのクルド人の虐殺を阻止するよう呼びかけた。しかしながら、トルコがそれを否定しても、アメリカとトルコの関係が変更されることは無かった。

 トルコの新外務大臣のメルート・サブソグルは、アメリカにより組織された反イスラム首長国の同盟軍が、シリア北部に飛行禁止空域を設定することを決めない限り、またシリア政権の転覆を目的に掲げない限りは、トルコは軍事介入はしない、と語った。

 更には、トルコ国会は、イスラム首長国とPKKに対する戦闘の許可を政府に与えた。

 パリでサブソグル大臣を迎えて、フランスの外務大臣のロラン・ファビウスは、それが何を意味するのかを明確にしないまま、トルコとの合意を強調して、シリア北部に「安全地帯」を設定する考えに支持を与えた。

 フランスもまたNATOメンバー国であり、イラク中央政府の許可無しにイラクのクルド人地域政府の分離主義者に武器を直接供給してきている。イラクのクルド人地域政府は、その領域をイスラム首長国がスンニー派地域を制圧した際、イスラム首長国と協調して40%拡大した。以前はフランスは政策的にはトルコのPKK(親シリア)を支援してきた。しかし今はフランスはイラクのクルド地域政府(親イスラエル)に軍事的支援を与えている。

 現在シリア北部の空域はアメリカ主導の同盟軍が支配している。イスラム首長国は航空機(シリアから盗んだミグとイラクから盗んだF-15)を所有しているが、それを使用できるパイロットやスタッフは殆どいない。シリアにNATOが飛行禁止空域を設定することは、国際法にはなはだしく違反することであるばかりでなく、現行の戦闘になんらのインパクトも与えるものではない。

 シリアに飛行禁止空域を設定するという考えはイスラエルによって奨励され、それはこのシリアを分裂する意味合いがある。それはイラクで1991年から2003年においてなされた動きに沿ったものだ(現在のクルド人地域政府に有利)。しかしながら、意味のある比較対象は、1993年のレバノン内戦時に制定された緩衝地帯である。レバノンの再植民地化のように思われたが、300人のアメリカ・フランス兵が殺害されるという大失敗になった。

 トルコでは、PKKはエルドアン政権に国境を開放するよう迫るデモが何回も繰り広げられた。その抗議運動の弾圧で既に31人が警察により殺害された。

 唯一つの問題は、アメリカが資金援助し武装させている聖戦主義者らに対して、クルド系シリア人がいつまで抵抗し続けることができるのか、ということだ。つまり、アメリカとその同盟軍は自分らの創作したイスラム首長国を使ってシリア北部での民族浄化をいつやりきるのだろうか?ということだ。

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