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【10月5日】
■金融救済法案通過でも恐慌は近づく

上院を通過した金融救済法案は、昨日早朝アメリカ下院を賛成263票、反対171票の賛成多数で可決した。

これで、まずは安心かと思いきや、ニューヨーク・ダウはそこから下落をし始め、採決前、一時300ドル近くまで上昇していた株価は終わってみれば、なんと -157.47ドルとマイナスで終わっていた。

これが意味するところは、下記にあるように、戒厳令発令にまで言及し脅すような無理をしてでも通した法案であっても、とてもその内容で今の金融危機を「救済」することは無理、と市場関係者では認識しているということだろう。

竹中平蔵元金融・経済財政政策担当大臣は、止めることのできないこのアメリカの金融問題を支援するため、郵貯の300兆円を差し出せ、と述べているようだが、危ない、危ない。
彼はこのアメリカの金融勢力の側から使わされた使用人の立場にいるようなので、そのように言うが、これはいうなれば、「どぶに金を捨てる」ようなもの。

すでに日本からは総計600兆円ほどが、アメリカの国債、地方債、各種債権etcに投資・融資されているのだが、これらは結局、「紙切れ」に近くなる運命になっている。(アメリカは毎年100兆円を借金しないと破綻する)

竹中氏は、これに日本人の最後の虎の子である、郵貯・簡保の300兆円までアメリカに「融資」せよ、というがとんでもないことだ。「火宅の人」ならぬ、「火宅の国」になっているアメリカに何を注いでも、もうどうにもならないことは既に明らかである。

アメリカ発の世界恐慌は、誰が何をしても、これを押しとどめることはできないであろう。
例えば下記にあるように、差し押さえられた住宅が、185円ほどで売れたという。この傾向が続けば、住宅相場はもっと下げざるを得ない。

また下記にあるように、車のローンも銀行が貸し渋りで組めないので、車販売も激減するだろう。トヨタも利息なしで販売するようだし、もうどこもここもお金が回らなくなっているのだ。

地方自治体も同じく資金繰りで破産に瀕している様子だ。
カリフォルニア州も70億ドル(約7400億円)の緊急融資が必要ということで財務省に泣きついている。こういうケースがまだまだ出てくるだろう。

竹中氏は今年の5月にも日本郵政株式会社の西川善文社長に直接、上記の融資を要請したようだが、西川社長は無視したと伝えられている。

それで、西川社長に不穏な噂(逮捕の噂)が起きたと言う。我々一の知らないところで、さまざまな勢力がうごめいている、ということだろう。

従って、来週月曜日からのニューヨーク・ダウ、そして日本の市場もさらなる混乱期に突入し、やがてニューヨーク・ダウは1万ドル割れ、日経平均は1万円割れを起こしていくと見るべきである。

AIGの株価は、-3.5%だった。アメリカ政府が支援する、となっても結局下げていく。

その前に支援が決まった、ファニーメイとフレディマックはそれぞれ、-14.10%、-17.22%と大きく下げて終わっている。よりによって、大型救済法案が決まったその日に、大きく下げたのだ。

◆さて、これからのアメリカはどうなるのか?

これはすでに下記の議員の発言内容で示唆されたように、更なる株価の大暴落など、あるいは銀行や保険会社の破綻問題が拡大すれば、「戒厳令施行」が現実になるだろう。

戒厳令の契機にはもう一つ、大規模テロ事件がある。それを引き起こすことで、債務不履行を宣言する、など考えらる。ようするに大騒動を起こすことで、それを借金支払いの無期延期の理由とする、ということだ。

戒厳令というのは、憲法停止を意味する。「基本的人権」はなくなる。つまり、アメリカは、ソ連並みの独裁警察国家となり、それに反発する者たちが、片っ端から収容所(数百万人収容可能)に引っ立てられる事態に発展していくかもしれないのだ。それを実行する外国人傭兵はすでにスタンバイ状態と言われている。

だから、その時、アメリカに「新・南北戦争」が始まるかもしれないのだ。内乱の勃発ということ。

ただし、愛国的な軍人の中で、クーデターを起こすことを考えている人々もいる、と思われる。彼らが事を起こしたとき、それを支援しなければならないが、ブッシュ政権が「戒厳令」を発令する場合には、それに反対する勢力がアメリカの真の愛国者たちだ。

そんな荒っぽい事態が生起するのか否かはさまざまな条件も絡んでくることで、断定的にはいえないが、彼らが準備をしていることは知っておいていいだろう。

大変な時代が始まろうとしている。我々も腰に帯びして準備していかねばならないということのようだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●民主党議員:議員らは戒厳令が発令されるぞ、と脅された
 法案が通るように脅迫めいた雰囲気が議場を支配した
http://www.prisonplanet.com/democratic-congressman-representatives-were-thre
atened-with-martial-law-in-america-over-bailout-bill.html
Steve Watson
Friday, Oct 3, 2008

ある民主党議員は金融救済案を通すため脅迫めいた雰囲気が意図的に作られた、と述
べ、何人かの議員が、月曜日の投票前に、戒厳令が施行されるようになるかもしれな
いと告げられたと語った。

ブラッド・シャーマン議員(カリフォルニア)は、法案が通らねば戒厳令が施行され
ると告げられたという議員を何人か知っている、と語った。

法案を通したい強力な勢力の圧力が議員らを脅迫したことをほのめかした。
「この法案を通すことのできる唯一の道は、脅迫的な雰囲気を作り押し通すことだ。
しかしそのような雰囲気作りは正当化されるべきではない」とシャーマン議員は語っ
た。
「多くの者は、個別の会話の中で、月曜日もしこの法案に反対すれば空が落ち、市場
は翌日に2、3000ドルは暴落、その次の日も2000ドルは暴落する、また他の議員ら
は、もし法案が通らねば戒厳令が施行されるかも、と脅された」と述べた。・・・以
下略


●金融安定化で協調へ=欧州4カ国が首脳会議
 10月4日14時32分配信 時事通信
 【パリ4日時事】米国から欧州へ広がっている金融危機で、主要8カ国(G8)のうち
英、仏、独、伊の欧州4カ国は4日、パリで異例の首脳会議を開く。金融安定化対策で
欧州の協調を図った上で、危機の発火点である米国にも金融規制の強化を促すのが狙
いだ。 


●差し押さえ住宅、185円=ネット競売で売却-米
 10月4日14時44分配信 時事通信
 【ニューヨーク4日時事】米ミシガン州サギノー市にある差し押さえ住宅がイン
ターネット競売大手イーベイで売りに出され、4日までに1ドル75セント(約185円)
で売却されたことが分かった。米国では差し押さえ住宅が急増しており、安値での売
却が続けば住宅相場の下落に拍車を掛けることになりそうだ。
 米メディアによると、住宅は米投資会社が1セントで売りに出し、シカゴに住む
ジョアンヌ・スミスさん(30)が競り落とした。スミスさんは代金のほか、滞納され
ている税金や住居の清掃代など、総額約1000ドル(約106000円)を支払わなければな
らないという。 


●自動車ローンも貸し渋り=新車販売を直撃-米
 10月4日15時31分配信 時事通信
 【ニューヨーク4日時事】米金融機関による自動車ローンの貸し渋りが鮮明になっ
てきた。低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンの焦げ付きに伴う信用危
機が自動車ローンにも波及したとみられるからだ。
 米調査機関CNWリサーチがまとめた統計によると、自動車ローンの1月1日-9月20日
の成約率は2007年が83%だったのに対し、08年同期は64%に下落した。
 また、同統計の非優良債務者向けローンの成約率は67%から23%に急低下。一方、
優良者向けも91%から81%、準優良債務者向けは86%から77%にそれぞれ下がった。
 米国での新車販売台数は減少の一途をたどっており、9月は約15年ぶりに100万台を
割り込んだ。販売ディーラーの間からは「ローン審査基準の厳格化が販売の落ち込み
につながっている」との声が上がり始めた。 


●シュワ知事がSOS?=加州、70億ドル必要-米紙
 10月4日5時30分配信 時事通信
 【ワシントン3日時事】3日付の米紙ロサンゼルス・タイムズは、カリフォルニア州
のシュワルツェネッガー知事がポールソン財務長官に対し、数週間中に70億ドル(約
7400億円)の緊急融資が必要になるかもしれないと警告したと報じた。金融危機によ
り資金調達が困難になっているためだという。
 同紙によると、加州政府では日常業務に必要な現金が底を突きつつあり、しかも、
短期融資が受けられない状況に陥っている。資金を調達できなければ、学校など州の
施設への支出が直ちに停止、職員は一時解雇されることになるという。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


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【10月3日】
アメリカ・キリスト教倫理革命の前兆になるか

下記にあるようなフィナンシャル・タイムズ紙の記事や産経新聞の記事に見られるように、今回ばかりは、アメリカ国民の怒りは相当なもののようだ。

実直に仕事するものが報われず、キーボードを打ち他人様のお金を右から左に移すだけで、、また怪しげな債権を口八丁で売りさばくことで、膨大な利益を独り占めにしてきた者たちに対し、根雪のように積もってきた反感が爆発している、といった感じだろうか。

資本主義の発達が、プロテスタンティズムの勤勉の倫理によって促されてきたのならば(ウェーバーが言っているが)、このようにはならなかったであろう。

資本主義は、実は別の道で発達したのでは、ということを言っている専門家もいる。ようするに、保険の論理、だというのだ。

これが、今で言う金融資本主義であり、ジャングル資本主義や、カジノ資本主義に堕落して、今の断末魔状態に陥ったと言えるかもしれない。

従って、本物の、勤勉の倫理での利益の増大と資本の蓄積を図ることが必要で、それはすなわち、アメリカにおいては、キリスト教倫理革命ともいうべきものが必要になるということになる。。

共和党の大統領候補の1人だったロン・ポール議員はそれを指摘している。

これを断行しないと、2番目の記事にあるように、アメリカは未曾有の困難な時期に入ろうとしていて、アメリカ国家のデフォルト(債務不履行)さえ、実は視野に入って来ているのだ。

これは内乱を勃発させかねない重大な事態となる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●どうなる“ウォール街救済” 庶民の怒り噴出
 10月2日18時37分配信 産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】採択をめぐり攻防が続く金融安定化法案に対し、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題などで痛めつけられて久しい庶民からの「ノー」の声が収まらない。「われわれは家を失い、職を失ったのに、ウォール街を助ける必要はない」。噴出する怒りや反感をどう、なだめるか。米当局に残された時間は少ない。

 「20年にわたって納税者の声を代弁してきたが、人々の怒りがこんなに短期間に、しかも大規模に示されたのは初めてだ」。受話器の向こうから、市民団体「全米納税者連合」のピート・セップ副代表の興奮が伝わってきた。

 36万人の会員を抱える同連合は、過去2週間にわたって各連邦議員事務所に対し、法案反対の電話やファクス、電子メールを寄せる抗議活動を指揮するとともに、実際に議員に面会を求め、反対投票や法案修正を促してきた。セップ氏は、1日上院で修正案が可決されたことについても「失望した」と言い切り、戦闘態勢を解いてい
ない。

 団体主導だけでなく、個人による抗議の意思表明も目立つ。公的資金投入への反対は、広範な草の根運動というべき様相を呈してきた。「(否決に終わった下院での採決を前に)反対票を投じよ、とするメールや電話で、事務所はパンク状態だった」。ロサンゼルスのある議員事務所関係者は匿名を条件に打ち明ける。

 感情的な反対にうつつを抜かしている場合ではない、との意見も、経済人を中心に珍しくない。ロサンゼルス経済開発協会でエコノミストを務めるエデュアルド・マルチネス氏は「信用が収縮している現状は、誰にとってもマイナス。公的資金投入がなければ、結局は庶民も困ることになる」と話す。

 半面、「われわれは公平であるべき非営利機関。一方に肩入れする姿勢は取れない」とも。燃えさかる反感にはとても手を出せない、というわけだ。

 こうした状況を、ニューヨーク・タイムズのコラムニストで経済学者のポール・クルーグマン氏は「米国は核を持ったバナナ共和国(政治、経済的に不安定な小国)になってしまった」と嘆いてみせた。

 だが、ノーベル賞受賞者を含むシカゴ大などの経済学の教授約200人が「あいまいで公平さを欠き、しかも解決までに長い時間がかかる」と法案に反対するホワイトハウスあて書簡を公表するなど、専門家の間でも議論は真っ二つに分かれている。

 公的資金投入を含む金融安定化の試みは、一般に「ベイルアウト(救済)」と呼ばれる。「政治における修辞学」に詳しいワシントン大のウェイン・フィールズ教授は「救済という言葉が定着してしまったのは、いかにもまずい」と指摘する。

 とはいえ、もはや国民を説得する時間は限られている。「実際に金融が崩壊すればどんな悲惨なことになるか。人々の“恐怖”に訴えかけるほかはない」。フィールズ教授は、皮肉交じりに語った。



●米景気、急激に悪化の公算=金融危機、最も深刻-IMF分析
10月2日23時32分配信 時事通信

 【ワシントン2日時事】国際通貨基金(IMF)は2日、世界経済見通し(WEO)の分析部分を公表した。過去の金融混乱と経済の関係について考察し、米国経済が急激に悪化する可能性が極めて強いと結論付けた。
 IMFは過去30年間、先進17カ国で発生した銀行、証券、為替市場での113の金融混乱の事例を調査。その結果、米国が現在直面する金融危機は「最も深刻な事例の一つ」で、対象国のほぼすべてに波及していることが分かった。 


以下は、フィナンシャル・タイムズ紙の記事からの抜粋を記し最後に記事全文を掲げる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●7000億ドルの公的資金でウォール街のひどい借金を洗い流そうという
米財務省の提案について、共和党のニュート・ギングリッチ元下院議長は、
「ひどい、ひどいアイディアだ」と批判。ゴールドマン・サックス出身の経済顧
問を抱えたホワイトハウスは、ゴールドマン出身者にだまされているのだと
攻撃した。

●共和党のジョン・マケイン大統領候補は、CEOたちの「強欲」を激しく罵り、
政府に救済される企業のトップが、「最高給の政府職員よりも高い報酬をもらう
なんてことがあってはならない」と批判した。ルパート・マードック氏が所有す
るニューヨーク・ポスト紙は一面トップに高さ5センチ大の活字でデカデカと
「フロード(詐欺)・ストリート」という見出しを掲げた。右側からも、これだ
けの声が上がっているのだ。


●左側の論調としては、たとえば23日のニューヨーク・タイムズ紙面に進歩派
シンクタンク「米国の未来のための研究所」が掲載した意見広告が一例だ。
このシンクタンクは、ウォール街がアメリカの納税者を「強要している」と非難し、
「銀行関係者だけを救済するよりも、銀行の被害者になった人たちを助けるべき
ではないのか?」と指摘している。


●民主党のナンシー・ペロシ下院議長もこれによく似た言い分で、
「自分の会社をつぶしておきながら、高額の退職金という金色のパラシュートで
脱出しようとするCEOたちに言いたい。もうパーティーは終わりだ」と厳しく批
判した。


●ウォール街そのものでも、経営幹部ではない金融関係者はこぞって、一番上に
いる上司たちをさかんに非難している。


●ここ2週間ほどの混乱に巻き込まれた会社のベテラン社員によると、彼の会社の
CEOに金色のパラシュートを諦めるよう、最大の圧力をかけているのは、メイン・
ストリート(各地の中央通り、金融業界ではない一般市民の意)でもなければワ
シントンでもなく、社内の怒れる社員たちなのだという。


●アメリカでこれ以前に所得格差がピークに達したのは、19世紀末から20世紀
初めにかけて。この時は高まる国民の不満に勢いを得て、国民党が台頭した。そ
れは米国史上、最も成功した「第三の党」運動だった。

当時に比べると、今のところアメリカの政治地図はそれほど極端には変化して
いない。しかし階級闘争は強力な魔神だ。そして実に久しぶりにアメリカは、魔
神をランプから出してしまったのだ。



以下、本文 ↓


強欲な銀行幹部たちのせいで階級闘争が
――フィナンシャル・タイムズ
2008年9月27日(土)00:06

(フィナンシャル・タイムズ 2008年9月24日初出 翻訳gooニュース) 
FT米編集局長クリスティア・フリーランド

アメリカは今週、階級闘争を発見した。7000億ドルの公的資金でウォール街のひどい借金を洗い流そうという米財務省の提案について、共和党のニュート・ギングリッチ元下院議長は、「ひどい、ひどいアイディアだ」と批判。ゴールドマン・サックス出身の経済顧問を抱えたホワイトハウスは、ゴールドマン出身者にだまされているのだと攻撃した。

共和党のジョン・マケイン大統領候補は、CEOたちの「強欲」を激しく罵り、政府に救済される企業のトップが、「最高給の政府職員よりも高い報酬をもらうなんてことがあってはならない」と批判した。ルパート・マードック氏が所有するニューヨーク・ポスト紙は一面トップに高さ5センチ大の活字でデカデカと「フロード(詐欺)・ストリート」という見出しを掲げた。右側からも、これだけの声が上がっているのだ。

左側の論調としては、たとえば23日のニューヨーク・タイムズ紙面に進歩派シンクタンク「米国の未来のための研究所」が掲載した意見広告が一例だ。このシンクタンクは、ウォール街がアメリカの納税者を「強要している」と非難し、「銀行関係者だけを救済するよりも、銀行の被害者になった人たちを助けるべきではないのか?」と指摘している。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長もこれによく似た言い分で、「自分の会社をつぶしておきながら、高額の退職金という金色のパラシュートで脱出しようとするCEOたちに言いたい。もうパーティーは終わりだ」と厳しく批
判した。

アメリカにも階級格差はあるのだと、アメリカが気づいた。気づくのがあまりに遅いのではないかと、あなたは主張するかもしれない(するかしないかは、あなたの政治姿勢によるかもしれない)。なんといっても過去30年にわたって続いた米国経済の大きな特徴は、所得格差のすさまじい拡大なのだから。過去100年に遡って眺めれば確かに、経済全体が成長すると共に所得格差は縮小した。
ゆえに1916年には全米人口のわずか0.01%にあたるごく一部の高額所得者たちが、国民の総給与所得の約4.5%を得ていたのに対して、金持ちへの財の集中は1971年には0.5%にまで減っていたのだ。
しかし1970年代になってこの流れは、逆戻りしはじめ、1998年には再び、人口の0.01%が総給与所得の3%を得るようになっていたし、ほんの一握りの高額所得者たちはその後もさらに給与所得のシェアを増やしていった。

金持ちと貧乏人の格差が、グランド・キャニオン並みに広がっていたというのに、米国に根強くある社会や文化の伝統が、この問題の直視を妨げ、政治テーマとなるのを妨げてきた。

所得格差が広がっても、米国民は資本主義を支持し、資本主義の勝者となった人たちを英雄扱いしてもてはやした。ひらめきを働かせ、額に汗し、努力に努力を重ねれば、誰だって百万長者になれる??こういう国民的な信念が、その一端にはある。ニューヨークを拠点にしている欧州出身のヘッジファンド・マネージャーいわく、「ヨーロッパでは金持ちは妬まれるが、アメリカでは自分もああなりたいと思われるものだ」そうだ。

その結果、経済ポピュリズム(大衆主義)は投票箱で効果を発揮しなかった。2000年の大統領選で経済ポピュリズムを掲げたアル・ゴア副大統領は当選できなかったし、今回の選挙でも、この国には「2つのアメリカ」があると訴え続けた民主党のジョン・エドワーズ元上院議員は、予備選で3位より上になれなかった(ましてエドワーズ氏は民主党支持者に訴えかけていたのに)。

アメリカは、階級闘争を前提とした政治観を、ともかくも拒絶してきた。これは左翼にとって実に歯がゆいことで、例えば2004年の「What's the Matterwith Kansas?」という画期的な著書でトマス・フランクスが論じたように、左翼は共和党の手口に危機感を抱いていた。共和党は、アメリカ中産階級の社会的価値観や文化的価値観に訴えかけることで、有権者が経済格差の拡大に気づかないよう仕向けてしまったのだと、左翼はこう懸念していた。

サラ・ペイリン知事はジョン・マケインの選挙戦をまるでバイアグラのように元気づけた。9月前半のマケイン支持率を見るに、今回の選挙戦でもまた「アメリカの伝統的価値観」が「階級」に勝つのかと思えた。しかし10日ほど前のウォール街暴落は(おまけに、納税者が費用負担する処理案は1兆ドルにもなるという提案は)、政治状況を大きく塗り替えた。そして、この経済危機は欲の皮がつっぱったCEOたちの責任だと怒っているのは何も、今回の大統領選で大注目されている有権者層「ウォルマートで買い物するお母さんたち」ばかりではな
い。ウォール街そのものでも、経営幹部ではない金融関係者はこぞって、一番上にいる上司たちをさかんに非難している。

ここ2週間ほどの混乱に巻き込まれた会社のベテラン社員によると、彼の会社のCEOに金色のパラシュートを諦めるよう、最大の圧力をかけているのは、メイン・ストリート(各地の中央通り、金融業界ではない一般市民の意)でもなければワシントンでもなく、社内の怒れる社員たちなのだという。

アメリカでこれ以前に所得格差がピークに達したのは、19世紀末から20世紀初めにかけて。この時は高まる国民の不満に勢いを得て、国民党が台頭した。それは米国史上、最も成功した「第三の党」運動だった。

当時に比べると、今のところアメリカの政治地図はそれほど極端には変化していない。しかし階級闘争は強力な魔神だ。そして実に久しぶりにアメリカは、魔神をランプから出してしまったのだ。

以上
【9月30日】
米下院で金融救済案が否決、昨夜のニューヨーク・ダウは市場最大の下げ幅という、-777ドルのラッキーセブン暴落(-7%)だった。

実は、前日のアジア株がすでに暴落を示していたし、ヨーロッパ株も下げていたから、下院での法案否決がこの暴落の原因というよりか、このような救済策ではもう止められない、と多くの市場関係者がとらえ始めていた、ということではないか。

◎原油も下げ、ドルも下げ金だけ上がった。

問題のAIG株は、-20.63%の 2.5ドルとなった。救済ができない、とはっきりすれば、このAIGもやがて破綻するようになるだろうから、この会社の保険が破綻ということで、その影響で、世界中に激震が走り、それが間違いなく【津波の第2波】を形成することになるだろう。

そして名だたる金融株が軒並み大きく下げている。

シティ・グループ -11.91%
UBS        -22.64%
メリル・リンチ   -19.59%

一夜明けて、30日の日経平均も、午前中は大きく下げ -500円だ。

ヨーロッパで、銀行破綻が相次いでいる。連鎖破綻の様相となりだした。

【金融メルトダウン】が始まっている、ととらえていいかと思う。


~~~~~~~~ 関連記事 ~~~~~~~~~~~~~~~
●金融安定化法案を否決=税金投入反対派を抑えられず-米下院
2008年 9月30日(火) 8時21分
 【ワシントン29日時事】米下院は29日、本会議を開き、最大7000億ドル(約75兆
円)の公的資金で金融機関から不良資産を買い取る金融安定化法案(2008年緊急経済
安定化法案)を共和党保守派などの反対多数で否決した。議会は10月2日に再開され
るが、法案の行方は全く見通しが立たなくなっている。
 米国だけでなく、世界の市場は金融システム安定のカギを握る同法案の行方を注
視。早期可決が実現しなければ、米金融危機が一段と深まり、日本などにも影響が波
及するのは必至だ。
 投票結果は賛成205、反対228。政府の民間介入と税金投入に反対する共和党保守派
に加え、民主党でも造反者が続出した。経営に失敗した大手銀行を税金で救済するこ
とには国民の反発が強く、11月の大統領選や上下両院選を控えて、地元有権者の反応
を強く意識した下院議員が多かったとみられる。 


●ダウ、777ドル安=過去最大の下げ幅〔米株式〕(29日)
2008年 9月30日(火) 7時9分
 【ニューヨーク29日時事】週明け29日のニューヨーク株式相場は、米下院で金融安
定法案が否決されたことを受け、金融不安が早期に収まるとの期待が大きく後退、優
良株で構成するダウ工業株30種平均は過去最大の下げ幅となる前週末終値比777.68
ドル(約7%)安の1万0365.45ドルと2年11カ月ぶりの安値で引けた。ハイテク株中
心のナスダック総合指数は同199.61ポイント安の1983.73で終了。
 ニューヨーク証券取引所の出来高は、前営業日比8億3625万株増の20億2454万株。
 ダウは、朝方から軟調に推移。ベルギー・オランダ系金融大手フォルティスと英中
堅銀行ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)が相次いで政府に救済された
ほか、ドイツの不動産金融大手ヒポ・リアル・エステートが資金繰り難に陥るなど、
金融危機は欧州に飛び火。景気が世界的に悪化するとの懸念が強まった。
 また、経営不振に陥っていた米銀大手ワコビアが、米連邦預金保険公社(FDIC)の
仲介で、銀行業務の売却を決定したことも、米金融機関に対する経営不安をあおっ
た。
 午後には、金融機関の不良資産を買い取る金融安定法案を米下院が否決。早期成立
が見込まれていた同法案の行方が一転して不透明になったことで、失望売りが出た。
市場では「同法案が成立しなければ、金融不安は長期化し、米経済の深刻なリセッ
ション(景気後退)入りは避けられない」(調査会社ムーディーズ・エコノミー・
ドットコムのエコノミスト、アーロン・スミス氏)と悲観的な見方が強まっている。


●9-28 英中堅銀、国有化へ=ノーザンに次ぎ今年2例目-BBC報道
9月28日20時2分配信 時事通信
 【ロンドン28日時事】英BBC放送は27日夜、同国財務省が経営不安に陥っていた英
中堅銀行ブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)を国有化する方針だと報じ
た。同国で銀行が国有化されるのは、2月のノーザン・ロックに続き、今年に入り2例
目。米国を中心とした金融危機の深刻化を食い止めるため、英政府が異例ながら再度
の直接救済に踏み切る形だ。 


●9-29 ベルギー・蘭系金融大手を部分国有化=ベネルクス3国が協調救済
9月29日9時54分配信 時事通信
 【ブリュッセル29日時事】株価が暴落していたベルギー・オランダ系金融大手フォ
ルティスに対し、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクのベネルクス3国政府は28
日、総額112億ユーロ(約1兆7250億円)の資金を注入、部分国有化して救済すること
を決めた。米国発の金融混乱の余波でユーロ圏の金融機関が危機に陥ったのはフォル
ティスが初めて。 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【9月26日】
アメリカ政府は「金融危機」を乗り越えるため、政府が介入することに決め、議会に諮っているが、いろいろ叩かれているようだ。
しかしぐずぐずしていると間に合わなくなるから、結局認める方向に動くだろう。

しかし、アメリカで32兆円の損失が出ていて、世界でも138兆円に上る、とIMFでは算出したようだ(しかしこれで済むという保証はない)。

これほどの大規模な損失を出した、アメリカのサブプライム問題に対し、本当はこれから、しっかりとメスを入れ、罰するは罰するというようにしていかねばならないはずだ。

これは、要するに「金融商品の汚染米・事故米」なのだから。

これを正規の米と偽って売った会社は、日本では槍玉に上げられ罰せられるようになるが、世界で、桁違いの詐欺行為を働いた、この者たちを、世界はどうするのか、という問題がある。

しかもこの問題がでるまで、この問題を起こした者たちが得た利益がどれほど膨大か、という点を考えてみても、このままそれらの者たちを野放しにすることは、できないはずだが、さて、どうなるものなのか。

そして、これらの「金融汚染米・事故米」を売りさばいたのが、いわゆる、【国際金融勢力】 とでも言う者たちだ。こういった点をしっかりと押さえておくべきだろう。

今、捜査の手がこういった投資会社に入っているようだが、どこまできちっとした清算を済ますことができるものか、注目すべきかと思う。

また今までこの問題では軽症ですんでいた日本の金融機関がアメリカの金融機関に対する融資などで支援する話が出てきている。これが吉とでるのか凶とでるのか・・・、これもまた注目に値する。

しかし米政府によるAIGの救済案などが議会で、すんなり通らない場合には、時間切れとなり、AIGの破綻にもなりかねず、その場合には、【津波の第2波】がやってくることだろう。
【津波の第1波】は、言わずと知れた、リーマン・ブラザースの破綻である。

現在は以下の図式で、銀行破綻の最中となるから、次はいよいよドルの暴落問題が始まるだろう。

■個人破産→ヘッジファンド破産→銀行破産→ドル暴落→大恐慌→???

また以下の記事にあるように、磐石と言われたアメリカ国債も格下げになるかも知れず、そうならずとも、格下げ扱いとなり、価格の暴落を招く恐れは充分ある。これは金利の上昇につながり、それだけで、アメリカ政府が窮地に陥ることになる。

しかもアメリカは、毎年100兆円を海外から調達(借金)しなければやっていけないのに、今アメリカの国債を買う勢いは減少してきているといわれている。

外国勢がアメリカ国債を買わなくなるだけで、アメリカは破綻する。それは金融システムの完全崩壊を意味するから、5京円(5万兆円)のデリバティブの破裂となりかねない。

これは、【津波の第3波】を引き起こすことになるだろう。
30mの津波が世界を覆うことになる。


◆要注意期間である (特に年末からのドルの動きは要注意)


~~~~~~~ 関連記事  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●米は「深刻な金融危機」=オバマ、マケイン両氏に協力要請へ-ブッシュ大統領
9月25日9時54分配信 時事通信

 【ワシントン24日時事】ブッシュ米大統領は24日、テレビを通じて演説を行い、
「米国は深刻な金融危機の真っただ中にある」との認識を表明した。さらに危機打開
のため、民主、共和両党の大統領候補であるオバマ、マケイン両上院議員を25日に招
いて、金融安定法案の早期成立に向け協力を要請することを明らかにした。
 大統領が特定の問題でテレビ演説を行うのは異例。最大7000億ドル(約75兆円)の
公的資金を投じて金融機関の不良資産を買い取るための同法案は調整が大詰めを迎え
ており、納税者である国民に直接語り掛けることで理解を求めた形だ。 



●米金融機関の損失、32兆円=金融市場の混乱で-財務次官
9月25日10時54分配信 時事通信

 【ワシントン24日時事】マコーミック米財務次官(国際金融担当)は25日、香港で
講演し、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題をきっかけとした金
融市場の混乱が始まって以来、米国の金融機関の損失が3000億ドル(約32兆円)に達
したとの試算を明らかにした。
 同次官は講演テキストの中で、金融機関はこれに対応して新たに2000億ドルの資本
を調達しており、前進が見られたとしながらも、保険大手アメリカン・インターナ
ショナル・グループ(AIG)が経営危機に直面し、政府が救済に乗り出したことを例
に挙げ、この先も「難局が待ち受けているのは明白だ」と警告した。 



●世界全体の損失、138兆円に=金融危機で-IMF専務理事
9月25日6時44分配信 時事通信

 【ワシントン24日時事】国際通貨基金(IMF)のストロスカーン専務理事は24日、
当地で開かれた会合で、米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンに
端を発した金融危機の損失コストが世界全体で1兆3000億ドル(約138兆円)に上ると
の見通しを明らかにした。



●信用デリバティブに規制の動き=金融システムへの影響懸念で-米
 9月24日14時35分配信 時事通信

 【ニューヨーク23日時事】米金融危機の一因となった金融商品「クレジット・デ
フォルト・スワップ(CDS)」を規制する動きが出始めた。債務不履行のリスクを肩
代わりするCDSを安易に販売し、莫大(ばくだい)な損失補償を迫られ経営が行き詰
まる金融機関が相次いでいるためだ。
 CDSの取引では、米保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ
(AIG)が、低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローンに絡み推計で数百億
ドル(数兆円)の損失補償を迫られ、政府救済を仰いだ。景気低迷や企業破綻(はた
ん)の増加を背景に、損失の肩代わりを迫られる金融機関はさらに増えるとみられ、
当局は混乱の回避に必死だ。
 規制に向けて最初に行動を起こしたのが、保険会社に対する監督権限を握る州政
府。ニューヨーク州は22日、CDSを保険として販売する業者に対し、保険会社として
の免許取得を義務付けた。補償能力のない業者を市場から締め出すことが目的だ。 


●FBI、リーマンやAIGを捜査=詐欺の疑い有無で-米メディア

 【ワシントン23日時事】米メディアは23日、司法当局者の話として、経営破綻
(はたん)した証券大手リーマン・ブラザーズや経営危機に陥った保険大手アメリカ
ン・インターナショナル・グループ(AIG)、政府系住宅金融会社の連邦住宅抵当
金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)を連邦捜査局(F
BI)が捜査していると報じた。
 当局者によると、捜査は初期の段階にあり、会社および経営陣を対象に詐欺の疑い
があるかどうかについて調べているという。(2008/09/24-09:25)


●急膨張する米財政赤字、米国債のトリプルAは維持可能か
9月24日17時24分配信 ロイター

 [東京 24日 ロイター] 米国政府が次々と金融危機回避策を発表している
が、3月のベアー・スターンズ救済以降、約束した救済資金は既に200兆円規模に
達し「バラ撒き財政」の様相を呈している。
 今後も米住宅価格の下落が続けば財政赤字の急膨張は不可避で、債務履行能力の
「ものさし」である格付けにおいて、米国債が最上級のトリプルA格を維持しうるの
か、市場で話題を呼んでいる。
 23日のニューヨーク外為市場では、米政府が打ち出した金融市場安定化策が、財
政赤字拡大につながるとの懸念からドルがユーロとポンドに対して数週間ぶりの安値
まで下落した。「財政赤字拡大で米国債のダウン・グレードという話もでてきてい
る。可能性は否定できない」と岡三証券・外国債券グループ長の相馬勉氏は語る。
 <格付け会社の判断>
 米格付け会社フィッチ・レーティングスは5月、米国の外貨建ておよび自国通貨建
て長期発行体デフォルト格付けを「AAA」に据え置いたうえで、7月に政府系住宅
金融機関(GSE)が米政府の管理下に置かれたとしても、米国のソブリン格付けが
リスクにさらされる可能性は低いとの見解を明らかにした。スタンダード・アンド・
プアーズも米国債の格付けを「トリプルA」、見通しを「安定的」に据え置いてい
る。
 ただ、格付け会社自体に対する市場の信頼も揺らいでいる。
 「米格付け会社が米国債をトリプルAに据え置いたとしても、米国が安泰だという
話にはならない。そもそも格付け会社は、モノライン同様、現在では著しく減価して
いる証券化商品に優良格付けを与え続けてきた。(格付け会社に対する)市場の信頼
は低下している」と東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏は指摘する。 
 現在米国が直面する金融危機は90年代の日本に比較して一段と深刻というのが市
場の認識だ。90年代後半の日本では500兆円のGDPに対して、70兆円の不良
債権が発生した。米国では13兆ドル台のGDPに対して、6―8兆ドル規模の債務
担保証券(CDO)の残高がある。CDOの価格は既に80%を超えて減価してお
り、米住宅市況が回復しなければ、価格はさらにゼロに接近するだろう。
 過去を遡れば、1990年代後半に不良債権問題の渦中にあった日本の金融セク
ター、事業会社、そして日本の国家は、欧米格付け会社による格下げの嵐に見舞われ
た。
 1998年9月、フィッチIBCA(フィッチ・レーティングスの前身)は、日本
の金融システムが巨額の不良債権を抱え弱体化していることや、不安定な経済情勢と
膨張する公的債務を理由に、日本の外貨建て長期債務をトリプルAから1ランク下の
ダブルAプラスに引き下げた。同年11月にはムーディーズが日本国債の格下げを行
い、2001年2月にはスタンダード・アンド・プアーズが、日本政府が発行・保証
する債券の長期格付けをトリプルAからダブルAプラスに引き下げた。
 これらの動きは、日本国債の価格にさしたる影響を与えなかったが、円安を誘発
し、拍車をかけた。
 日本が世界最大の債権国、米国が世界最大の債務国であるという事実をふまえれ
ば、90年代後半の日本と同じ種類で、より深刻な問題を抱える米国の格付けは大幅
に下げられるのが自然だろう。
 <市場動向>
 トリプルAを維持する米国債の2年物の利回りは2.101%と、米国が追加的危
機回避策を発表する以前(16日)の1.779%から急上昇している。
 「現在の国際金融システムが極めてぜい弱な状態になっているため、米国の危機回
避策の裏側では、別の波紋が広がるという事態を引き起こしている」と東海東京証券
の斎藤氏は分析する。米国が公的資金注入を決めた後に、石油や金価格が暴騰し、米
国債が下落したのは「市場が米国自体のクレジット・リスクを強く意識したためで、
ルールを完全に無視して、急場しのぎの対策に追われる米国が、今後対外的にも何を
するかわからないと市場が判断したためだ」と同氏は指摘する。
 米議会予算局は9日、2009会計年度(08年10月―09年9月)の財政赤字
が4380億ドルに上り、過去最大になるとの改定見通しを発表した。だが、同赤字
見通しには米政府系住宅金融機関(GSE)大手2社の支援に伴う支出は入っておら
ず、公的資金の投入額増加で、米国の財政赤字拡大は急速に拡大の一途をたどるだろ
う。
 米政府は21日、金融機関が抱える住宅ローン関連の不良債権を最大7000億ド
ルの公的資金を投じて買い取ることなどを盛り込んだ金融安定化策を議会に提出し
た。
 今回提示した不良債権買い取りに加え、住宅ローン債務者支援として最大3000
億ドルを用意し、GSE2社への支援に2000億ドル、GSEによる住宅ローン担
保証券購入に1440億ドル、アメリカン・インターナショナル・グループ(AI
G)<AIG.N>の公的管理に850億ドル、MMF元本保証に500億ドル、ベアー・
スターンズ買収に290億ドルなどを用意した。
 市場では、米住宅価格の下落に歯止めがかからない中、米政府による不良債権買取
は到底7000億ドルではすまないとの見方が広まっている。
 米大統領選で民主党候補に確定しているオバマ上院議員は8月21日、巨大な財政
赤字が、米国債発行増とドル安を招いているとの見解を明らかにしている。
 米国の経常赤字は昨年7312億ドルと、過去最高だった2006年の7881億
ドルから縮小したが、今年は追加米金融セクター救済に絡んだ財政支出で、米国の対
外債務は拡大せざるを得ない。対外債務のファイナンスには海外投資家のマネーが不
可欠だが、海外投資家は米債売りに傾いている。
 米財務省によると、海外投資家による7月の対米長期証券投資(米株式、米社債、
米国債、政府機関債)は、GSE2社の経営危機に絡んだ政府機関債の売り越し約5
00億ドルも手伝って、61億ドルの買い越しとなり、前月534億ドルの買い越し
から急減した。
(ロイター日本語ニュース 森佳子 編集 橋本浩)

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【9月21日】

下記のように、『史上最大規模』とか言われる、政府介入による、金融機関の救済劇が演じられつつある。
これで、一体何回、介入をしてきたことか。そしてそのたびに当局クはこれで安泰だ、というような姿勢だった。これで、いかに当局や金融関係者らの言ってきたことがでたらめだったかがはっきりしたことになった。

しかし、これで恐ろしい、【津波の第2波】は、執行猶予された格好となった。猶予期間はどれほどか、分からないが、そう長くはないだろう。

今、空売りを規制する措置を取っているが、、しかしこれは結論的に、「市場の原理に任せる」、という資本主義の自己否定、ということになる。市場に任せれば、自然に一番いい状態が訪れる、という経済学の命題が崩れた、歴史的瞬間かもしれない。

だから、経済はそのように、規制、統制、コントロールというものが必要である、ということで、今までのような、いわゆる、ジャングル資本主義とか、カジノ資本主義とかいう、めちゃくちゃな野放図な、弱肉強食の資本主義は結局このような事態を将来せしめることになるのだ。

この空売り規制で、しかもそれをしっかりやっているかを調査するようで、そのため空売りしていたものを買い戻ししたため、株価が一挙に上昇したと言われている。だから今の株価は本物ではない、といえる。

日本に規制撤廃を迫っていたアメリカが規制を導入し、今の危機を乗り越えようとしているのならば、そもそもそのような危機を招かないためにも、適切な規制を以前より施すべきだったのだ。
この規制撤廃を大きく進めたのが、小泉政権であり、竹中平蔵氏だったが、これはアメリカからの要求に従ったからだ。この要求は「年次改革要望書」なる、一種の脅迫的意見要望者で、日本政府はこれに従順に従って法律を変えて、アメリカに都合のよいように日本の仕組みを変えてきた。

簡単に言えば、「民営化」、ということがそれだ。いかさま証券を超優良な「AAA」だと言って、売りさばいて儲けたお金で、日本の優秀な企業などを買いあさってきた。こうして営々として築いてきた日本人の努力の賜物である優秀な企業が、ちょうど今日本で騒がれている 「汚染米・事故米」 のようなものを正常な米と偽って、儲けたようなお金で、これら投資銀行などが奪い取っていくことができるようになってしまっている。

そして今アメリカ自身がやっていることは、「国有化」、であったり、「規制」を増やし、国がコントロールするのですから、「社会主義化」ともいえるだろう。つまり、自分ではまったく反対のことをしているのだからあきれる。

ブッシュ大統領の特別声明発表の後ろに控えた二人、FRB議長と財務長官、この二人がアメリカを支配しているユダヤ系アメリカ人の代表である。これが、アメリカの姿を象徴的に示している。これが、今のアメリカの姿なのだ。

ブッシュ大統領は、後ろの二人の出した結論を発表する人間。つまり、後ろの二人の操り人形、マリオネット、傀儡、ということ。発表する内容は、後ろの二人の利益になりはするが、アメリカ国民は損をする、ということだ。 (ポールソン財務長官は元ゴールドマン・サックスのCEO)

政府介入とかいうが、国債を発行し、それで得た資金を注入することになるのだろうから、ドルの価値が下落する、ようするに、いままでさんざん儲けてきた金融機関は救済するが、その彼らが破綻となった時、その付けは、アメリカ国民がドルの下落、インフレ、という形で払わされることになるのである。

で、このような措置で、小康状態を回復することになりそうだが、それがいつまで続くのか、という問題がある。

今回の措置は、とりあえず、言われている【AIG】を中心とする各金融機関を対象の救済措置だが、サブプライムローンの不良債権はこれからも増え続けるはずだから、それが実際的には、金融機関を追い詰める構造に変わりはない。

「輸血」はすることになったが、その輸血量が足りなくなる可能性と、輸血を必要とする対象が、これからも出てくる可能性があるので、まったく予断を許さない情勢であることに変わりはない。

そのような事態になったときには、もう打つ手はない、と言えそうで「お手上げ」状態になるだろう。


~~~~~~~ 関連記事 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●【米金融危機】米政府が史上最大規模の公的資金 危機対策に数千億ドル投入
  9月20日10時7分配信 産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】ブッシュ米大統領は19日、声明を発表し、金融機関からの不良資産買い取りなど包括的な金融危機対策を発表した。これに先立ち会見したポールソン財務長官によると、総額数千億ドル(数十兆円)の公的資金を投入する史上最大規模の政府介入になる。大統領は「未曾有の難局に前例のない行動が必要だ」と述べ、「米国経済の転換期だ」と強調、米金融市場の信頼回復に断固とした措置を取る決意を示した。
 必要法案は今週末中に議会と取りまとめて、来週26日の休会前の通過を目指す。大統領は「わが国の歴史で、党派を超えて重大な課題に団結して取り組むときがあったが、今がその時だ」と述べて政府介入の必要性を強調、政策を総動員し挙国一致で金融危機の封じ込めに取り組む姿勢を明確にした。
 対策は、資産価値が劣化して金融システム不安の病巣となった低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連の金融商品の買い取りが柱。財務省は総額500億ドル(約5兆4000億円)の基金を設立して、解約が殺到するマネー・マーケット・ファンド(MMF)を保護し、米連邦準備制度理事会(FRB)が資金
供給拡大で支援する。さらに、米証券取引委員会(SEC)が、金融株799銘柄を対象に空売りを一時的に禁止する。
 米政府は3月の証券大手ベアー・スターンズの経営危機以来、米政府系住宅金融会社への資本注入、保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)まで個別機関の危機にケース・バイ・ケースで対応してきたが、金融恐慌やシステミックリスク(連鎖破(は)綻(たん)の危険)を防ぐには「包括的な行動が必要」
(ポールソン財務長官)と判断した。



●米SEC、10月2日まで金融株799銘柄の空売りを禁止
  9月20日9時25分配信 ロイター

[ニューヨーク 19日 ロイター] 米証券取引委員会(SEC)は19日、金融株799銘柄について、一時的に空売りを禁じる緊急命令を出した。投資家と市場の保護を目的としている。
 空売り禁止措置は19日からただちに適用され、期間は10月2日の米東部時間午後11時59分(日本時間3日午後零時59分)まで。必要な場合は10日間延長する可能性があるという。
 今回の緊急措置で、金融機関の運用担当者は一定の上場銘柄の新規空売りの報告が義務付けられる。投資家は大幅なロングポジションについては既に報告義務がある。
 SECはまた、自社株買いについて、企業に一段の柔軟性を与えるために規制を緩和した。
 これより先、英金融サービス機構(FSA)は18日、金融株の空売り一時禁止を発表していた。


●米証券取引委、「空売り」規制を強化…全上場銘柄を対象に
  9月18日11時0分配信 読売新聞

 【ワシントン=矢田俊彦】米証券取引委員会(SEC)は17日、株式を保有せずに売り注文を出す「空売り」に対する規制を強化し、対象をすべての上場銘柄に広げると発表した。
 SECは今年7月、政府系住宅金融2社の株価が急落した際、邦銀を含めた計19の金融株を対象に、一時的に規制を導入した。今回は全銘柄に拡大し、18日から適用する。
 空売りは、株券を借り受けるなどして売り注文を出し、株価下落局面で利益を得る手法。ただ、株券の受け渡しをせずに空売りするケースもある。今回の規制では、空売りした株式を決済日までに受け渡すことを義務づける。SECのコックス委員長は、「違法な相場操縦をやめさせる」との声明を発表した。また、コックス委員長
は、ヘッジファンドや大口投資家に株の売り状況の開示義務付けを検討する方針を示した。
 一方、米財務省は17日、米国債を臨時発行し、米連邦準備制度理事会(FRB)の資金供給を支援すると発表した。FRBは市場に供給する資金を確保するため、米国債を金融機関に貸し出しており、保有する米国債が減少し、財務が悪化する懸念が指摘されていた。


●月米住宅着工件数は17年半ぶり低水準
  9月18日7時17分配信 ロイター

 [ワシントン 17日 ロイター] 米商務省が17日発表した8月の住宅着工・許可統計は、着工件数が前月比6.2%減少し、年率89万5000戸と1991年1月以来の低水準となった。
 ロイターが調査したエコノミスト予想の95万戸を大きく下回った。前年同月比では33.1%減となった。
 米住宅市場が大恐慌以来最悪の低迷に直面していることが背景。ポールソン米財務長官は、住宅セクターの低迷が経済全般に対する最大の脅威との認識を示している。ただ、着工件数の減少は住宅市場の調整に向けた一歩との見方もある。
 ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国チーフエコノミスト、イアン・シェパードソン氏は着工件数の減少について、新たな在庫の大幅削減につながっているとし「これは安定にとって不可欠の前提条件だ」と指摘した。
 1戸建て住宅の着工件数は1.9%減の年率63万戸と、91年1月以来の低水準だった。
 差し押さえの増加と価格下落を背景に、住宅着工許可件数は8.9%減の年率85万4000戸と、91年2月以来の低水準となった。エコノミスト予想は93万戸だった。前年同期比では36.4%減となった。

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経済から宗教まで、時代の先を読み解くための作業を人間活動のあらゆる分野にメスを入れて行います。
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