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【10月3日】
アメリカ・キリスト教倫理革命の前兆になるか

下記にあるようなフィナンシャル・タイムズ紙の記事や産経新聞の記事に見られるように、今回ばかりは、アメリカ国民の怒りは相当なもののようだ。

実直に仕事するものが報われず、キーボードを打ち他人様のお金を右から左に移すだけで、、また怪しげな債権を口八丁で売りさばくことで、膨大な利益を独り占めにしてきた者たちに対し、根雪のように積もってきた反感が爆発している、といった感じだろうか。

資本主義の発達が、プロテスタンティズムの勤勉の倫理によって促されてきたのならば(ウェーバーが言っているが)、このようにはならなかったであろう。

資本主義は、実は別の道で発達したのでは、ということを言っている専門家もいる。ようするに、保険の論理、だというのだ。

これが、今で言う金融資本主義であり、ジャングル資本主義や、カジノ資本主義に堕落して、今の断末魔状態に陥ったと言えるかもしれない。

従って、本物の、勤勉の倫理での利益の増大と資本の蓄積を図ることが必要で、それはすなわち、アメリカにおいては、キリスト教倫理革命ともいうべきものが必要になるということになる。。

共和党の大統領候補の1人だったロン・ポール議員はそれを指摘している。

これを断行しないと、2番目の記事にあるように、アメリカは未曾有の困難な時期に入ろうとしていて、アメリカ国家のデフォルト(債務不履行)さえ、実は視野に入って来ているのだ。

これは内乱を勃発させかねない重大な事態となる。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●どうなる“ウォール街救済” 庶民の怒り噴出
 10月2日18時37分配信 産経新聞

 【ロサンゼルス=松尾理也】採択をめぐり攻防が続く金融安定化法案に対し、低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題などで痛めつけられて久しい庶民からの「ノー」の声が収まらない。「われわれは家を失い、職を失ったのに、ウォール街を助ける必要はない」。噴出する怒りや反感をどう、なだめるか。米当局に残された時間は少ない。

 「20年にわたって納税者の声を代弁してきたが、人々の怒りがこんなに短期間に、しかも大規模に示されたのは初めてだ」。受話器の向こうから、市民団体「全米納税者連合」のピート・セップ副代表の興奮が伝わってきた。

 36万人の会員を抱える同連合は、過去2週間にわたって各連邦議員事務所に対し、法案反対の電話やファクス、電子メールを寄せる抗議活動を指揮するとともに、実際に議員に面会を求め、反対投票や法案修正を促してきた。セップ氏は、1日上院で修正案が可決されたことについても「失望した」と言い切り、戦闘態勢を解いてい
ない。

 団体主導だけでなく、個人による抗議の意思表明も目立つ。公的資金投入への反対は、広範な草の根運動というべき様相を呈してきた。「(否決に終わった下院での採決を前に)反対票を投じよ、とするメールや電話で、事務所はパンク状態だった」。ロサンゼルスのある議員事務所関係者は匿名を条件に打ち明ける。

 感情的な反対にうつつを抜かしている場合ではない、との意見も、経済人を中心に珍しくない。ロサンゼルス経済開発協会でエコノミストを務めるエデュアルド・マルチネス氏は「信用が収縮している現状は、誰にとってもマイナス。公的資金投入がなければ、結局は庶民も困ることになる」と話す。

 半面、「われわれは公平であるべき非営利機関。一方に肩入れする姿勢は取れない」とも。燃えさかる反感にはとても手を出せない、というわけだ。

 こうした状況を、ニューヨーク・タイムズのコラムニストで経済学者のポール・クルーグマン氏は「米国は核を持ったバナナ共和国(政治、経済的に不安定な小国)になってしまった」と嘆いてみせた。

 だが、ノーベル賞受賞者を含むシカゴ大などの経済学の教授約200人が「あいまいで公平さを欠き、しかも解決までに長い時間がかかる」と法案に反対するホワイトハウスあて書簡を公表するなど、専門家の間でも議論は真っ二つに分かれている。

 公的資金投入を含む金融安定化の試みは、一般に「ベイルアウト(救済)」と呼ばれる。「政治における修辞学」に詳しいワシントン大のウェイン・フィールズ教授は「救済という言葉が定着してしまったのは、いかにもまずい」と指摘する。

 とはいえ、もはや国民を説得する時間は限られている。「実際に金融が崩壊すればどんな悲惨なことになるか。人々の“恐怖”に訴えかけるほかはない」。フィールズ教授は、皮肉交じりに語った。



●米景気、急激に悪化の公算=金融危機、最も深刻-IMF分析
10月2日23時32分配信 時事通信

 【ワシントン2日時事】国際通貨基金(IMF)は2日、世界経済見通し(WEO)の分析部分を公表した。過去の金融混乱と経済の関係について考察し、米国経済が急激に悪化する可能性が極めて強いと結論付けた。
 IMFは過去30年間、先進17カ国で発生した銀行、証券、為替市場での113の金融混乱の事例を調査。その結果、米国が現在直面する金融危機は「最も深刻な事例の一つ」で、対象国のほぼすべてに波及していることが分かった。 


以下は、フィナンシャル・タイムズ紙の記事からの抜粋を記し最後に記事全文を掲げる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

●7000億ドルの公的資金でウォール街のひどい借金を洗い流そうという
米財務省の提案について、共和党のニュート・ギングリッチ元下院議長は、
「ひどい、ひどいアイディアだ」と批判。ゴールドマン・サックス出身の経済顧
問を抱えたホワイトハウスは、ゴールドマン出身者にだまされているのだと
攻撃した。

●共和党のジョン・マケイン大統領候補は、CEOたちの「強欲」を激しく罵り、
政府に救済される企業のトップが、「最高給の政府職員よりも高い報酬をもらう
なんてことがあってはならない」と批判した。ルパート・マードック氏が所有す
るニューヨーク・ポスト紙は一面トップに高さ5センチ大の活字でデカデカと
「フロード(詐欺)・ストリート」という見出しを掲げた。右側からも、これだ
けの声が上がっているのだ。


●左側の論調としては、たとえば23日のニューヨーク・タイムズ紙面に進歩派
シンクタンク「米国の未来のための研究所」が掲載した意見広告が一例だ。
このシンクタンクは、ウォール街がアメリカの納税者を「強要している」と非難し、
「銀行関係者だけを救済するよりも、銀行の被害者になった人たちを助けるべき
ではないのか?」と指摘している。


●民主党のナンシー・ペロシ下院議長もこれによく似た言い分で、
「自分の会社をつぶしておきながら、高額の退職金という金色のパラシュートで
脱出しようとするCEOたちに言いたい。もうパーティーは終わりだ」と厳しく批
判した。


●ウォール街そのものでも、経営幹部ではない金融関係者はこぞって、一番上に
いる上司たちをさかんに非難している。


●ここ2週間ほどの混乱に巻き込まれた会社のベテラン社員によると、彼の会社の
CEOに金色のパラシュートを諦めるよう、最大の圧力をかけているのは、メイン・
ストリート(各地の中央通り、金融業界ではない一般市民の意)でもなければワ
シントンでもなく、社内の怒れる社員たちなのだという。


●アメリカでこれ以前に所得格差がピークに達したのは、19世紀末から20世紀
初めにかけて。この時は高まる国民の不満に勢いを得て、国民党が台頭した。そ
れは米国史上、最も成功した「第三の党」運動だった。

当時に比べると、今のところアメリカの政治地図はそれほど極端には変化して
いない。しかし階級闘争は強力な魔神だ。そして実に久しぶりにアメリカは、魔
神をランプから出してしまったのだ。



以下、本文 ↓


強欲な銀行幹部たちのせいで階級闘争が
――フィナンシャル・タイムズ
2008年9月27日(土)00:06

(フィナンシャル・タイムズ 2008年9月24日初出 翻訳gooニュース) 
FT米編集局長クリスティア・フリーランド

アメリカは今週、階級闘争を発見した。7000億ドルの公的資金でウォール街のひどい借金を洗い流そうという米財務省の提案について、共和党のニュート・ギングリッチ元下院議長は、「ひどい、ひどいアイディアだ」と批判。ゴールドマン・サックス出身の経済顧問を抱えたホワイトハウスは、ゴールドマン出身者にだまされているのだと攻撃した。

共和党のジョン・マケイン大統領候補は、CEOたちの「強欲」を激しく罵り、政府に救済される企業のトップが、「最高給の政府職員よりも高い報酬をもらうなんてことがあってはならない」と批判した。ルパート・マードック氏が所有するニューヨーク・ポスト紙は一面トップに高さ5センチ大の活字でデカデカと「フロード(詐欺)・ストリート」という見出しを掲げた。右側からも、これだけの声が上がっているのだ。

左側の論調としては、たとえば23日のニューヨーク・タイムズ紙面に進歩派シンクタンク「米国の未来のための研究所」が掲載した意見広告が一例だ。このシンクタンクは、ウォール街がアメリカの納税者を「強要している」と非難し、「銀行関係者だけを救済するよりも、銀行の被害者になった人たちを助けるべきではないのか?」と指摘している。

民主党のナンシー・ペロシ下院議長もこれによく似た言い分で、「自分の会社をつぶしておきながら、高額の退職金という金色のパラシュートで脱出しようとするCEOたちに言いたい。もうパーティーは終わりだ」と厳しく批
判した。

アメリカにも階級格差はあるのだと、アメリカが気づいた。気づくのがあまりに遅いのではないかと、あなたは主張するかもしれない(するかしないかは、あなたの政治姿勢によるかもしれない)。なんといっても過去30年にわたって続いた米国経済の大きな特徴は、所得格差のすさまじい拡大なのだから。過去100年に遡って眺めれば確かに、経済全体が成長すると共に所得格差は縮小した。
ゆえに1916年には全米人口のわずか0.01%にあたるごく一部の高額所得者たちが、国民の総給与所得の約4.5%を得ていたのに対して、金持ちへの財の集中は1971年には0.5%にまで減っていたのだ。
しかし1970年代になってこの流れは、逆戻りしはじめ、1998年には再び、人口の0.01%が総給与所得の3%を得るようになっていたし、ほんの一握りの高額所得者たちはその後もさらに給与所得のシェアを増やしていった。

金持ちと貧乏人の格差が、グランド・キャニオン並みに広がっていたというのに、米国に根強くある社会や文化の伝統が、この問題の直視を妨げ、政治テーマとなるのを妨げてきた。

所得格差が広がっても、米国民は資本主義を支持し、資本主義の勝者となった人たちを英雄扱いしてもてはやした。ひらめきを働かせ、額に汗し、努力に努力を重ねれば、誰だって百万長者になれる??こういう国民的な信念が、その一端にはある。ニューヨークを拠点にしている欧州出身のヘッジファンド・マネージャーいわく、「ヨーロッパでは金持ちは妬まれるが、アメリカでは自分もああなりたいと思われるものだ」そうだ。

その結果、経済ポピュリズム(大衆主義)は投票箱で効果を発揮しなかった。2000年の大統領選で経済ポピュリズムを掲げたアル・ゴア副大統領は当選できなかったし、今回の選挙でも、この国には「2つのアメリカ」があると訴え続けた民主党のジョン・エドワーズ元上院議員は、予備選で3位より上になれなかった(ましてエドワーズ氏は民主党支持者に訴えかけていたのに)。

アメリカは、階級闘争を前提とした政治観を、ともかくも拒絶してきた。これは左翼にとって実に歯がゆいことで、例えば2004年の「What's the Matterwith Kansas?」という画期的な著書でトマス・フランクスが論じたように、左翼は共和党の手口に危機感を抱いていた。共和党は、アメリカ中産階級の社会的価値観や文化的価値観に訴えかけることで、有権者が経済格差の拡大に気づかないよう仕向けてしまったのだと、左翼はこう懸念していた。

サラ・ペイリン知事はジョン・マケインの選挙戦をまるでバイアグラのように元気づけた。9月前半のマケイン支持率を見るに、今回の選挙戦でもまた「アメリカの伝統的価値観」が「階級」に勝つのかと思えた。しかし10日ほど前のウォール街暴落は(おまけに、納税者が費用負担する処理案は1兆ドルにもなるという提案は)、政治状況を大きく塗り替えた。そして、この経済危機は欲の皮がつっぱったCEOたちの責任だと怒っているのは何も、今回の大統領選で大注目されている有権者層「ウォルマートで買い物するお母さんたち」ばかりではな
い。ウォール街そのものでも、経営幹部ではない金融関係者はこぞって、一番上にいる上司たちをさかんに非難している。

ここ2週間ほどの混乱に巻き込まれた会社のベテラン社員によると、彼の会社のCEOに金色のパラシュートを諦めるよう、最大の圧力をかけているのは、メイン・ストリート(各地の中央通り、金融業界ではない一般市民の意)でもなければワシントンでもなく、社内の怒れる社員たちなのだという。

アメリカでこれ以前に所得格差がピークに達したのは、19世紀末から20世紀初めにかけて。この時は高まる国民の不満に勢いを得て、国民党が台頭した。それは米国史上、最も成功した「第三の党」運動だった。

当時に比べると、今のところアメリカの政治地図はそれほど極端には変化していない。しかし階級闘争は強力な魔神だ。そして実に久しぶりにアメリカは、魔神をランプから出してしまったのだ。

以上
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