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内戦で破壊されたシリアの街

◆10月11日

 10月4日号からの一連のシリア情勢に関する流れを10月6日号、8日号、10日号まで見ると、今日の記事が必然的結論という感じを受ける。
 シリアを攻略する為に、欧米NATO・トルコ・イスラエル・湾岸諸国はまず外国から傭兵を送り込み、反アサドデモと称してゲリラ的テロ行動でかく乱、その責任をアサド政権に押し付けてきたが、それが功を奏しないと分かると、数千人規模の傭兵軍団による、あからさまな反政府攻撃に転じ、おおっぴらに火器を使用しての反乱を各地で起こしたが、これも彼らの最後の砦であるアレッポまで殲滅されそうになることで、ついにトルコへの砲撃を行い、これをシリア軍のせいにして、もってトルコ軍のシリア介入とトルコがNATOメンバー国である、ということを口実に、あのリビヤのように今度はおおっぴらにNATO軍がシリア介入をやろうとしているのである。

 ようするに何が何でもシリアを攻略し、アサド政権に代わる彼ら欧米・NATOに忠実な傀儡政権の樹立を目論んでいるわけだ。もしもNATOがトルコと一緒になってシリア介入を始めれば、シリアに勝ち目があるとは思えなくなる。

 しかし既にリビヤへのNATOの介入でも激怒したロシアのプーチンが、この状況を前にして手をこまねいて見ているとも思えない。このままではシリアがNATO側の手に落ちることが明らかである以上、ロシアとしてもそれを阻止する手を早急に打たねばならないはずだ。シリアの運命は今や、ロシアの動向に掛かっていると言えよう。
 
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●NATOのシリア侵略:まもなく始まりそう
http://english.ruvr.ru/2012_10_09/NATO-invasion-of-Syria-coming-soon-rated-X/
【10月9日 John Robles】

 約1ヶ月前、オバマ米大統領はトルコのエルドアン首相に電話をし、シリア問題を話し合ったが、オバマは野球のバットを持っている姿で写真に撮られていた。つまり、これは一つのサインであり、サインから行動まで時間がかかるものだ。国の指導者を変えるため一つの主権国家を侵略することについての話である。時期は迫っているし、あらゆる兆候が見えている。

 その一つはトルコ国会が、エルドアン首相に対しトルコ軍を「外国」に投入する権力を与えたことだ。外国とはシリアのことである。もう一つは、シリアに対するトルコの砲撃と、別個にNATOと欧米による声明の発表と戦争への準備である。

 リック・ロゾフの「ストップNATO」では、NATO事務局長のアンダース・フォグ・ラスムッセンの声明を掲載している:「トルコを防衛し保護するに必要なあらゆる計画があることは間違いないことだ」
 これは、トルコがシリアに対する砲撃を開始した後、前例の無い夜遅く行われた会議の後に出てきたものである。その後NATOは以下のように語った:「シリア政権の最近のNATOの南東国境における侵略的行為に関しては、それが国際法の明白は違反行為であり、NATO同盟国の一つの安全保障に対する現実的な脅威となっているものであり、北大西洋評議会は、ワシントン条約の第4条に基づき、本日会合を持つにいたった・・・」

 リック・ロゾフの「ストップNATO」によれば、「一週間前、NATOのトップコマンダーであるジェームズ・スタブリディス海軍大将が、トルコの首都を非公式に訪問し、トルコのネスデト・オゼル参謀総長とイスメト・イェルマズ国防大臣と会合を持った」と言う。こういったことと侵略を可能とする規模の軍のシリア国境への動員は、これから何が起きるのかという点で間違うことの無いサインを示している。

 イランのメディアはNATOの意図に関する記事であふれている。FARS通信は、イランの最高指導者の高級アドバイサーであるアリ・アクバール・ベラヤティが以下のように語ったと報じている:「NATOは、NATOメンバー国であるトルコの安全保障が脅かされたという口実の下、シリア介入のための下地を準備している

 トレンド・ニュースのウェブサイトでは、アリ・アクバール・ベラヤティが以下のように語ったとしている:「いくつかの欧米諸国はNATOを地域紛争に介入させようとしている。欧米はトルコ、シリア、そして中東全体が落ち込むよう穴を掘っている。そうして『イスラムの覚醒』が中途半端になるようにしている。シリア、トルコ、イラクを含む中東諸国は、アメリカとその同盟国がこの地域の国々に対して陰謀を持っていることに注意を払わねばならない」
 
 ボイス・オブ・ロシアでのインタビューで、リック・ロゾフは以下の点を重要な事実として示した:「トルコがおおっぴらにシリアに対する攻撃を開始できるようになったシリアからの砲撃という出来事の数時間前、ロシアの副外務大臣のゲナディー・ガチロフはモスクワで記者団に対して、ロシアはNATOとその同盟国の湾岸協力委員会メンバー国(バーレーン、クウェート、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)に対して、シリア領内に向けた軍事介入のための口実を作り出す陰謀に対して警告を発した。この口実とは人道的回廊とか緩衝地帯という領域をシリア領内に作るため、トルコ・シリア国境で武力挑発を行うことである。

 NATOと欧米があらゆる口実を使ってでも一国に対する侵略行為をおおっぴらに行うことで知られているという事は、我々を警戒をさせ、国際的な喧騒を引き起こさせるものである。しかし、彼らがアフガン、イラク、リビヤを侵略した後、世界は慣れてしまい、そのような人類に対する犯罪に対して無頓着になってしまったのだ

 アメリカとその代理人たちはシリアをなぜ侵略したいのか、そしてイラン、イラク、リビヤのような諸国、南極大陸、果てはベネズエラまで、なぜ支配したがるのか?それは民主主義とか人権とか、あるいは独裁者を排除するとかとは一切関係ないことで、それは石油が絡むからなのだ。

 OpEdNewsのマイケル・コリングスが言ったように、状況が複雑だとしても、アメリカとNATO諸国は世界でも最大の石油中毒者であり、彼らのディーラーがハッピーになり、自分たちがその分け前を得ることが出来るならば何でもやるであろう。

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3日シリアからの迫撃砲弾が着弾した付近に集まるトルコ人

◆10月10日

 シリア領内からトルコ領内への迫撃砲による砲撃は、シリアの反政府勢力が行ったことということを示してきたが、この反政府勢力が使用した迫撃砲は実はトルコが反政府勢力に贈ったものである、とトルコの新聞が指摘した。

 以下の記事では、トルコの行動はすべて同盟軍であるNATOとの協調関係の中で進められている、としている。それでか、以下のサイトのようにNATOがトルコを防衛する準備ができている、という記事も出ている
http://www.stripes.com/news/europe/nato-ready-to-defend-turkey-against-syrian-attacks-1.192440

 シリアの反政府勢力が広範囲なゲリラ・テロ活動をすることでシリア政府を揺さぶれば、シリア人の反アサド・デモが急進化し、早晩アサド政権は倒れると推測したのであろうが、1年半以上たってもアサド政権が倒れるどころか、数千人も送り込んだ外国人傭兵を主軸とする反政府勢力はどんどん敗退し、そのままでは殲滅の憂き目を見るところまで追い詰められたため、トルコ・NATO側が打って出た博打が今回のトルコ領内に対する砲撃事件であった。
 
 ヨーロッパの債務・金融・経済問題が大きくなり、それが世界経済に大きな影響を及ぼすことで、戦争の行方もまた変わってくるだろう。シリアがトルコ・NATOの謀略に屈することなく抵抗し続ければ、ほどなくNATO諸国はトルコとシリアの戦争に介入している余裕はなくなってくるだろう。またトルコもシリアの反政府勢力を支援し続ける余裕がなくなってくるであろう。どちらが早いか、という問題である。

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●トルコからシリア反政府勢力への贈り物であった迫撃砲
http://rt.com/news/nato-mortar-syria-turkey-954/
【10月9日 RussiaToday】

 トルコのアクカカレを砲撃した迫撃砲はNATOに特有のもので、トルコからシリアの反政府勢力側に贈られたものである、とトルコのユルト紙が報じた。この迫撃砲で3日に1人の成人と4人の子供が殺害された。

 この新聞の編集長であるメルダン・ヤナルダグによるこの記事は、信頼できる筋からの情報として、トルコ自身がいわゆる「自由軍」と言われるシリアの反乱勢力側に迫撃砲を贈ったと主張している。

 「トルコはNATOの古くからのメンバーであり、NATOと協調して行動しているので、今回のことが起きても驚くには値しない」とパン・アフリカン通信のアバヨミ・アジキウェ編集員はRT(ロシア・トェデイ)に語った。

 NATOは現在まではこの紛争に対しての軍事介入はしていないが、トルコが行ういかなる決定にも深く介入している、とアジキウェは語る。

 「トルコはNATO軍との完全な協力関係内のものでなければ、いかなる軍事行動も軍事的戦略も取ることはしない」と彼は語った。

 トルコはシリアからの迫撃砲弾がトルコのハタイエ地方に着弾しで後、8日に6日間継続となるシリアに対する報復攻撃をした。そしてトルコは国境の町を防衛する戦いをするので、トルコ軍は必要なあらゆる軍事的行動を取るだろう、とトルコの大統領が語っている。

 「最悪のシナリオが現在シリアで起きている・・・我々の政府はトルコ軍と常時連絡を取り合っている。ご覧のように必要とされることは即刻なされているし、今後もそうである」と、アブドゥラ・グル大統領は8日の声明で語った。

 しかしこの紛争について意見を述べているのはトルコ内の指導部だけではない。8日早朝、国連の潘基文事務総長はこの紛争がこの地域にもたらしかねない結果について警告を発した。

 「シリア・トルコ国境での紛争のエスカレーション、またこの危機のレバノンに対する影響は非常に危険である」とフランスのストラスブルグでの民主主義のための世界フォーラムの開会式で潘は語った。

 砲撃戦は先週の3日から始まった。シリアの迫撃砲弾がアクカカレ村の住民で同じ家族の1人の女性と4人の子供を殺害してからだ。

 トルコはシリアとの紛争にNATOを引きずり込もうと狙っていると語り、政治アナリストのダン・グラゼブロックは、多くの者たちがこの紛争が地域的な紛争に拡大することを恐れていると語った。

 「一方ではトルコは反乱勢力を支援し戦いを継続するようにしているが、反乱勢力側は敗退し始めている為、トルコは反乱勢力が占領地域をあまり失わないようにするためシリア側を砲撃している」、とグラゼブロックはRTに語った。

 「しかし考えると、彼らはNATOを突っついて行動を起こすように挑発することができるだろう。ある種の電撃戦のようなものだ。それしか今の段階で反乱勢力側が勝利できる道はないだろう」、とグラゼブロックはRTに語った。

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ギリシャのサマラス首相

◆10月9日

 ギリシャに発したヨーロッパの債務・経済・金融危機は、対処療法的に今までしてきたが、このROCKWAY EXPRESSで常に指摘してきたように、根本問題は解決していないから、時間の経過と共に必ず再び問題が生じる。今回はギリシャの首相がもうギリシャが国としてやっていけなくなる、と警告するまでになった。

 ユーロの問題点については既に指摘した。昔日本が韓国を併合する際、日本国内でも反対論が多かった。今の韓国人は知らないかもしれないが、当時の日本の賢明な政治家や経済学者らは、近代国家観からして、教育や社会制度、その他あらゆる分野から見て、日本と朝鮮は違いすぎてこの二つの国が同じ国家としてやっていけるとは考えられない、という意見があったのだ。やれば、間違いなく日本からの一方的な支出が必要で、その負担にたえられるのか、というのである。実際歴史はその通りになってしまった。日本から朝鮮への支出は膨大なものであり、しかもそれは金銭的支出のみならず、人的にも大変な数の人々が朝鮮の近代化のために注がれたのだ。しかし、そのお陰で朝鮮は30年あまりで近代国家に切り替わった。それは殆ど奇跡的なことだったのだ。

 しかしドイツはそこまでやる気がないのだから、ギリシャの経済問題の根本解決は、ギリシャがユーロ圏を出て、自国通貨に戻ることである。そして自国通貨を発行することで国庫を満たし、給料をそこから支払うことしかない。勿論インフレになる。ヒトラーの経済政策がワイマール共和国のあのスーパーインフレを克服したことは学ぶべきである。何もヒトラーのような独裁者を必要とするものではない。今の民主主義的政権がその手法を取り入れれば良いだけの話である。
 
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●ギリシャ首相:国が崩壊すると警告
http://www.smh.com.au/world/greek-pm-warns-of-societys-collapse-20121006-27642.html?skin=text-only
【10月7日 Helena Smith – SMH】

 ギリシャは今すぐ空っぽに近い国庫に緊急の金融支援がなされなければ、崩壊の危機に直面する、とギリシャの首相が警告を発した。

 ギリシャで始まったヨーロッパの債務問題のほぼ3年後、ギリシャを覆いつくした経済危機は今や民主主義そのものが危機に瀕するほどまでに悪化した、とアントニス・サマラスは語った。

 「ギリシャの民主主義は恐らく最大のチャレンジというものに直面している」とサマラスはドイツの経済新聞のハンデルスブラッツでのインタビューで語った。この新聞はメルケル首相が今週にもアテネを訪問するとベルリンで発表する1時間前に発行された。

 言葉を慎重に選んで使用する人物としては相当に踏み込んだ言葉を使用して、サマラスはネオナチの黄金の暁党の台頭を語ることでギリシャが直面する脅威を強調して、「ギリシャは丁度ドイツでワイマール共和国が終わる頃に起きたような増大する失業率によって脅かされている」と語った。

 「国民はこの政府がギリシャの最後のチャンスだと知っている」とサマラスは語った。彼はEUとIMFで、ギリシャ経済を復活させるため救済協定の煩わしい条件を緩和するよう幾度となくアピールしてきた。

 EU・IMFの新しい緊縮政策が出る前に盛り上がった反緊縮政策の怒りの波はギリシャ政府の隙を突いた格好となり、サマラス首相の連立内閣は生き残れるのかという首相の手腕に対する恐れを高官らが口にし出している。

 10月4日に造船所労働者らが数百人、デモを組んで国防省を襲ったかつてなかった出来事で政府高官らは非常に動揺している。5日、サマラスは、「法と秩序の意味を理解しない者たち」と非難した。

 貧困と失業率の記録的な高さを引き起こした増税と経費削減について語って、「政府はギリシャ国家の信用と将来のためあらゆる分野での戦いをしているので、ギリシャによってなされた犠牲は無駄となってはいない」と彼は語った。

 保守主導の連立政権は、更なる支援を確保するため135億ユーロの緊縮政策パッケージで妥協しすぎたのではないかと恐れている。アメリカの11月の大統領選挙が終わるまでギリシャが次ぎの支払いを受けるのが延ばされるだろうという推測がこの懸念を強めている。

 5日、EU高官は、現金が枯渇しているギリシャにとって再出発するために必須であるこの支払いについての決定が10月18日のEUサミット会議でなされることはないだろうということをはっきりさせた。

 サマラスはギリシャの準備金は11月末で枯渇するだろうと強調した。

 「大事なのは流動性だ」、「だから我々にとって次のクレジットトランシュが非常に重要なのだ」と彼は語った。

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4日トルコのイスタンブールでシリアとの戦争に反対するデモが起きた

◆10月8日

 10月6日号「トルコのグレートゲームに注意」で示したように、トルコへの砲撃の下手人はやはりシリアの反政府勢力であった公算が大きい。ドイツの国営テレビ局のニュース報道ではそのことが報道されていた、という。

 以下のドイツ国営テレビ局の報道の流れを見ると途中から曖昧な表現になっているが、これはいずこからともなく掛かってきた圧力によるものであろう。当初は反政府勢力側が公式にこのトルコへの砲撃をやったと名乗り出ていることが報じられているのだから、はっきりした事実だったのだ。砲撃を受けた村人の証言に、「シリアの反政府勢力は我々を彼らの紛争に巻き込もうとしている」というものがある。彼らも誰が砲撃したか良く分かっているしその理由も分かっているのだ。

 トルコ国内では冒頭の写真にあるように、シリアに対する戦争への道を急いでいる政府に対し、反戦デモが首都のイスタンブールで起きている。トルコ国民も馬鹿ではないから、トルコ領内への砲撃をシリア軍がやったなどとは思っていない。エルドアン政権の陰謀だ、と見抜いているのである。

 10月6日号のコメントで、「間違いなくエルドアンそしてその政権の末路は哀れなものになるだろう」と指摘したが、見ていればいいのだ。昔のように謀略がすんなりとうまくいくような時代ではなくなってきていることを思い知ることになるだろう。

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●ドイツ国営テレビ放送:シリアの反政府勢力がトルコを砲撃と報道
http://www.globalresearch.ca/german-state-tv-reports-syrian-rebels-claim-responsibility-for-attack-on-turkey/
【10月5日 by R. Teichmann – Global Research】

 10月4日、ドイツ国営テレビZDFはトルコへの攻撃について数回報じた。
 ◆13時の「ミットタークマガツィン」の中で以下のように報じた。

 「ロケット弾と迫撃砲が発射される。トルコはシリア領内からの攻撃の後、報復を。昨日の午後、シリアの反政府勢力は国境に近いトルコの村々に対して砲撃を行った。数週間に渡ってトルコ政府はトルコを挑発することに対する警告を発してきた。シリアの反政府勢力側は公式にこの挑発行為を行ったことを主張した」

 ◆このたった3時間後の16時に、「ホイテ イン オイローパ」で以下のように報じた。

 「ロケット弾と迫撃砲が発射される。昨夜シリア領内からの攻撃に対する報復行動を執った。昨日の午後、国境に近いトルコの村落に対し、反政府勢力は砲撃を行った」

 「トルコの現場の証言:「シリアの反政府勢力は我々を彼らの紛争に巻き込もうとしている。我々は非常に注意深くあらねばならない」

 ◆そして彼らの主要ニュース番組である19時の「ホイテ」では、彼らは以下のように報じた。

 「ロケット弾と迫撃砲が発射される。昨夜トルコは報復攻撃を行う。昨日の午後、シリア人は国境に近いトルコの村落に対し砲撃をした。隣国との緊張は高まった。トルコは報復攻撃を行った」

 ◆23時の夜のニュース番組の、「ホイテ ジュールナル」では、彼らは以下のように報じた。

 「ロケット弾と迫撃砲が発射される。昨夜トルコは報復攻撃を行った。昨日の午後、国境に近い村落はシリア領内からの砲撃を受けた。緊張は高まった。トルコ政府は報復攻撃を行った」

 「住宅はばらばらにされ通りには人々がいなくなった。砲撃を行ったのがシリア軍か反政府勢力か、まだはっきりしていない」 


◆最初の犠牲者は「真実」
 
 最初の報道では反政府勢力側が公式にトルコへの砲撃は自分たちが行ったということを主張していることを明確に報じていた。これはこのテレビ局に対する圧力がどのように働いているかを示している。
 13時にはシリアの反政府勢力が公式に砲撃をやったのは自分たちである、と主張していることを報じた。19時にニュースでは、シリア人(シリア軍と言いたそう)がやったと報じている。これこそが、最初の恐らくは最も確実で真実性が高い報道がスピンドクターによって捻じ曲げられ彼らが願うとおりの結果をもたらすよう変えられたことを示す模範例である。
 このオーウェリアンの偽情報の時代、我々は「シリア人が行った」と言わず、少なくとも疑問符をつけて終わったZDFを信頼するべきだ。夜遅い時間に、彼らは砲撃の下手人が誰か結論は下さない形で終わった。
 反政府勢力が砲撃を行ったという最初のZDFの報道を支持するものに別のビデオ(シリアのニュース)がある。それは反政府勢力側がそのような攻撃を行う装備を持っていることを示している。
 これら迫撃砲弾はロシア製であり、少なくとも欧米によって武装された戦士らはこのことをビデオの中で語っている。これは反政府勢力がシリア軍の兵器庫を襲撃し獲得した弾薬を使用していると考えられるのである。
 
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トルコ領内への砲撃の下手人は一体誰なのか?

◆10月6日

 10月4日号「シリア情勢:アレッポで政府軍は強化、反乱側は供給路を絶たれ孤立」で示したように、トルコとの国境に沿ったシリアのアレッポ県では、シリア政府軍がトルコから反乱勢力側に流れる供給路を切断したため、反乱勢力側が窮地に立っていることを明らかにしたが、その直後にこの、トルコ領内に向けて迫撃砲が発射され、トルコ一般市民が5人殺害されたことで、トルコ政府が対シリア戦を限定的に決意した、という状況になった。

 戦争の流れが分かる者は、これが以下のコン・コフリンの指摘するように、窮地を打開するための反乱勢力側の打った謀略であることが明らかであろう。シリア政府軍としては、トルコ国境からの供給路を切断したのであるから、トルコ側を砲撃する一切の理由は存在せず、むしろ彼らの火砲はシリア領内の拠点に孤立している反乱勢力側にすべて向けられているはずである。またこの勝利を目前とした時点で、わざわざトルコ側への砲撃をしてトルコ市民やトルコ政府を挑発する何らの意義も利点もない。

 1937年7月7日に起きた盧溝橋事件で、結局は日本軍と蒋介石軍とが衝突し、日中戦争へと拡大して行った経緯と似て、シリアの反乱勢力側が味方のトルコへ砲弾を撃ち込み、それをシリア政府軍の仕業であると、世界中のユダヤ系メディアを使用して喧伝すれば、それがそのまま「事実」となることを知った上での謀略であろう。

 これで本格的にトルコ軍が出てくれば、今まで苦労して傭兵ゲリラやテロリストを駆逐してきたシリア軍の苦労も水の泡になりかねない。そしてトルコが願っているシリア北方に反乱勢力側の「安全地帯」ないしは「緩衝地帯」を強引に作り、それを国連などで認めさせ、シリア分断の規制事実をこしらえるかもしれない

 そうすることで、エルドアン政権は人類史に対する大罪を犯すことになるから、間違いなくエルドアンそしてその政権の末路は哀れなものになるだろう。トルコは親日国家であるが、それとこれとは別である。エルドアンと彼の政権に限定して述べている。

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●トルコのグレートゲームに注意
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/turkey/9587435/Be-wary-of-playing-Turkeys-great-game.html
【10月5 Con Coughlin – Telegraph.co.uk】


 緊張が高まっているトルコとシリアの国境で最初の砲撃をしたとしてシリアが全面的に非難されそうであるが、中東レベルの戦争の火をつける可能性を秘めている紛争の火種を作っている点から見れば、トルコのエルドアン首相が全くの無辜の存在とはとても言えない。

 一年以上に渡ってトルコはシリアのアサド政権転覆の作戦で主要な役割を担ってきた。サウジアラビアやカタールなどの湾岸諸国らと協調し、トルコはシリアの反乱勢力のための国際的支援を注意深く進めてきた。

 トルコが南部地域に司令センターを設立し、武器の搬入、供給と志願兵を反乱勢力のいるシリア領内に送る、という仕事を指揮しているという複数のニュースが入ってきている。つまり、トルコはシリアのアサド政権の転覆を実現するためできる限りのことをしてきている、ということなのだ。 

 今週トルコ国境でシリア政府に忠実な軍が3人の子供を含む5人の一般市民を殺害した迫撃砲を発射した者たちかどうかははっきりしていないもしもシリアの反政府の反乱勢力側がトルコ領内で活動していたとしたら、そしてトルコ当局が彼らの活動を阻止する何らの措置も講じなかったとすれば、アサド大統領に忠実な者たちは自らの権利として彼らへの攻撃をしようと考えたのかもしれない。シリア政府はこの件についての一切の介入を否定し、現在この件を調査中だと言っている

 混乱した戦火の下で、シリアの反乱勢力側が、あるいは反乱勢力に同情的な者たちが、トルコとその同盟国側に反撃を挑発するために慎重に仕組んだ謀略としてトルコ側への射撃をしたという可能性が存在する。

 今日でも、ボスニア政府が似たような陰険な方法で1995年内戦の最中、サラエボの市場の中で一般市民に砲撃し、西欧のセルビア攻撃のきっかけを作った、と信じている者たちがいる。・・・以下略

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