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◆1月17日
 アメリカ外交がイスラエル・ロビー(AIPACやADLなど・・・)の金と力(脅し)のため、時にはアメリカの国益に反する場合でも、常にイスラエルに有利になるよう、進められてきたが、今回はそれが如実に現れた現象があり、それが、アメリカ国内でも問題視される勢いになってきているようだ。

それは、国連安保理の場で、今のガザ侵攻問題での停戦決議に際し、そのままならば、アメリカも停戦決議案に「賛成」の意思表示をすることになっていたのだが、イスラエルのオルメルト首相が採決10分前にブッシュ大統領に電話で、賛成しないよう要請する電話があったことで、国連の決議の場にいたライス国務長官も、自分が決議のとりまとめをした本人なのに、結局「棄権」する羽目になった、という経緯に現れている。

そしてことが今回は問題視されるようになったいるようだ。

アメリカ当局は一生懸命否定をしているようだが、それは恥の上塗りのように見える。

このように、前からずっと言ってきているのことだが、アメリカという超大国が、イスラエルに首根っこを引っつかまれている様子が分かる。

しかし、前の投稿で示したように、今回はイスラエルは「勇み足」をしでかしたので、アメリカのメディアもいつもと違った論調、すなわちイスラエル批判の度を強めてきている、と指摘されるようになってきた。

下記に示したように、ガーディアン紙でミシェル・ゴールドバーグ女史が以下のように指摘している。

「イスラエルの度を越したガザでの報復の仕方は残虐だという評価が増大してきているし、少なくとも無益な行為だということになってきている。
ガザを破壊し台無しにすることで、イスラエルは無条件的に好意的だったアメリカのイスラエルに関するメディア報道の保証を台無しにしつつある」

そして、下記のダニエル・ルーバン氏が指摘するように、再びこの【イスラエル・ユダヤ・ロビーが】が問題視されるようになってきた。

このような傾向を概観するとき、やはりイスラエル独立60周年を超えてなおその姿勢を変えないイスラエルの今度の戦争をターニングポイントとして、今までとは違う風向きになりつつある、と思わずにはおれない。


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●<イスラエル首相>停戦決議「10分前にブッシュに電話」
1月14日13時7分配信 毎日新聞

 【エルサレム高橋宗男】イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ地区侵攻を巡り、国連安全保障理事会が今月8日に停戦決議を採決した際、イスラエルのオルメルト首相が採択の10分前にブッシュ米大統領に電話し、決議に賛成しないよう要請していたことが明らかになった。

ロイター通信がオルメルト首相の12日の演説を伝えた。米国は安保理理事国15カ国中唯一、棄権した。

 オルメルト首相によると、ライス米国務長官が決議の取りまとめに動いたため、ホワイトハウスに電話をかけてブッシュ大統領につなぐよう要請。大統領は演説中だったが、「米国は(決議に)賛成してはいけない」と首相から伝えられると、即座にライス長官に指示を出したという。

 オルメルト首相は、ライス長官が「(決議の)文言を調整、整理した」と説明。「彼女は自分で用意した決議案を棄権し、恥をかいた」と述べた。

 マコーマック米国務省報道官は13日、「100%でたらめ」とオルメルト首相の発言内容を否定した。だが、アラブ諸国の複数の閣僚はロイター通信に対し、ライス長官が決議を支持すると確約していたにもかかわらず、ブッシュ大統領の電話を受けて方針転換したと話している。



●オルメルト首相の声明で「イスラエル・ロビー問題」が再燃
January 14, 2009   ダニエル・ルーバン

米国務省は必死に否定しているが、イスラエルのオルメルト首相の電話で米大統領が方針を変えたということが、古き論争を再燃させて、イスラエル政府と「イスラエル・ロビー」の米国における中東政策に対する影響が問題視されるようになった。・・・

オルメルト首相によれば、ホワイト・ハウスを呼び出し、「ブッシュ大統領と話したい」、と言うと、電話に出た相手は「大統領は現在フィラデルフィアでスピーチの最中です」、というから「そんなことはどうでもいい、今すぐ大統領と話さねばならないことがある」、と言うと大統領は演壇を降りて電話口に現れた、と説明したという。

そしてオルメルト首相が大統領に話したため、大統領はライス国務長官を呼び出し、彼女自身が取りまとめた決議案に「棄権」するよう命令し、そうなった、というのだ。・・・

オルメルト首相の言っていることが真実かどうかは別として、アメリカの多くの同盟国がイスラエルのガザ攻撃に対し、即時停戦を要請しているのにアメリカだけは、イスラエルの軍事作戦を非難したり停戦期日を提案することを拒否してきている。・・・

しかし世論調査では、政府の公式見解と異なり民衆の態度はもっと慎重な姿勢だ。またナショナル・ジャーナルが行った下院での無記名投票では68名の議員の内、39%の民主党員と12%の共和党員は「イスラエルはガザで大きすぎる戦力を投入している」としている。・・・

12月下旬のラスムッセンの世論調査では、イスラエルの攻撃を支持する者は44%で、反対41%とさほどの差がなかった。民主党員では55%がイスラエルがまずは外交的解決を求めるべきだ、としている。・・・

オルメルト首相の発言に関する外交面での喧騒とともにアメリカ国民の総意と政府の中東政策の間のずれなどが古き問題に新たな緊張状態を生み出しつつある。・・・

「イスラエル・ロビーとアメリカ外交」の著者の1人であるウォルト教授は、「多くのアメリカ人は中東問題で、イスラエルの生存権を支持し、より多くシンパシーをイスラエルに持っているが、それはアメリカ政府がなんでもかんでもイスラエルを支持するよう要請しているわけではない」という自論が立証された、と感じているという。



●イスラエルのタダ乗りの終わり(ガーディアン紙)
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2009/j...
1月13日 ミシェル・ゴールドバーグ


イスラエルがガザを粉砕している時、アメリカのメディアではイスラエルの政策に関する疑念・疑惑が持ち上がりだしている。

アメリカの主流メディアは通常、中東問題では、イスラエルの正義を主張しアラブ側の暴力を非難するというパターンであった。・・・

しかしながら、何かが少しづつ変化しだしている。
イラク戦争の失敗などがアメリカに新しい論議を生み出す余地を見せている。・・・

イスラエルの度を越したガザでの報復の仕方は残虐だという評価が増大してきているし、少なくとも無益な行為だということになってきている。
ガザを破壊し台無しにすることで、イスラエルは無条件的に好意的だったアメリカのイスラエルに関するメディア報道の保証を台無しにしつつある。

12月31日、CNNは、停戦協定を破ったのはハマスかイスラエルかという問題で、自由パレスチナの議員であるムスタファ・バルグチ氏の「世界のメディアはイスラエルのコメントを発表しているが、それは正しくない」というクリップを放映した。

「イスラエルの報道官は嘘の内容をずっと言い続けている。事実は、停戦を破って攻撃してきたのはイスラエルなのだ。停戦期間が終了する2ヶ月前、イスラエルはラファを攻撃したのだから。しかもガザの封鎖を解いたことは一度もなかった」・・・

その後、イスラエルの行動に対する疑念の声やあからさまな非難が主流メディアで当たり前のようになっていった。

1月8日、ニューヨーク・タイムズ紙にイスラエルに対し批判的な意見が三つ掲載された。

「隣人からロケットを撃ち込まれたら、イスラエルとしては何かをすべきだろう」とコラムニストのニック・クリストフ氏は書く。

「しかしイスラエルは何かをする権利があるということは、何をしてもかまわない、ということではない」と書いた。

先週、タイム誌ではダビデの星が有刺鉄線の背後に閉じ込められた絵を掲載した。そして巻頭言は、「なぜイスラエルは勝てないのか?」というものだ。

もっとも保守的なウォール・ストリート・ジャーナル誌も、その意見欄でジョージ・ビシャラト氏の「イスラエルは戦争犯罪を犯している」「イスラエルのガザ攻撃は自衛の名の下であっても正当化されない」との見出しだ。更に「彼らのしていることは戦争犯罪を含む国際法に違反している。・・・ハマス戦士もまた戦争規定に違反したことをやっている。しかし彼らの失策がイスラエルの行動を正当化はしない」

疑いなく、このアメリカの論調の突然の変化に、イスラエルの同志たちは警戒の念を強めたことだろう。
彼らはイスラエルに対する批判には、反ユダヤ主義だとか、第三世界論者だといって封じてきたものだった。

アメリカはイスラエルを保護する繭(まゆ)であり擁護者だった。
しかしイスラエルは、アメリカの際限のない甘やかしに慣れっこになってしまった。
ガザで起きていることは、そこに住んでいて何百の単位で死んでいっている無辜の人々を危機にさらしているだけでなく、それはイスラエルにとってもまた玉虫色の和平への展望をますます遠のかせている。

イスラエルの拡張主義と人道に対する犯罪に対し目をつぶってきたアメリカのメディアは究極的には、ユダヤ国家をより一層不安定で危険なところに押し込んでいる。

アメリカがイスラエルに対し、ガザ封鎖を解き、入植地を撤退するよう圧力を掛けることなしに、イスラエルの指導者がそれを行う動機も政治的根拠も持つこともないだろう。

アメリカのメディアが明らかになりつつあるガザでの大惨事を直視する勇気を多少でも見せはじめているのだから、わが国の政治家もおそらく同じような姿勢を持つようになるかもしれない。

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