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政権を追われたカダフィ大佐

◆9月2日

 リビアのカダフィ政権の崩壊の裏に、NATOの軍事介入があり、決して「アラブの春」として世界の注目を集めた大衆運動の成果ではないことを知る必要がある。

 欧米のこのリビアに対する動きには、ダブル・スタンダードという古くて新しい取り組み方が見える。これが今までの欧米のやり方であり、その意味で彼らは変わっていないことを示している。きれいごとを言ったとしてもやっていることは、以下の記事にあるように、帝国主義的侵略である。

 問題は、そのようなやり方が通用していた時期もそろそろ終わりを告げる時が迫っている、ということ。ワシントンで珍しい地震が起きたのも、もう世界変革の地鳴りが始まっていることを示していると考えられるのだ。自分たちの足元が問題になる、と書いた通りである。「奪う」という考え方をし実行している者は、「奪われる」ことになっていく。

 それと煎じ詰めれば、これはリビアの化石燃料をめぐる謀略であり、エネルギーという人間の生存に不可欠な物資の略奪という問題だが、新エネルギーという分野が徐々に開け始めている。奪うよりも、新しい可能性を開発することが必要であり、願わしいし、不可欠となろう。

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●NATOの欺瞞のリビア侵略戦争:アフリカにとっての意味
 欧米の帝国主義的介入を歴史はどう裁くか

http://blackstarnews.com/news/135/ARTICLE/7610/2011-08-31.html
【9月1日 by Colin Benjamin】

 先週以来、NATOと、時々主流メディアといわれるNATOの宣伝部門の友人らは、武装した暴徒である「反乱勢力」の手にリビアが簒奪されたことを祝ってきた。

 しかし欧米のリビアに対する帝国主義的介入を歴史はどう裁くであろうか? またこの忌まわしい出来事が他のアフリカ諸国にとって何の前兆となるのだろうか?

 先週リビアの軍事施設や民間施設をNATOが爆撃しその道を直くしたので、ベンガジの「反乱勢力」はトリポリに進行した。

 リビアの政治的インフラは「反乱勢力」の手の内にあるので、欧米の指導者らはカダフィ大佐の政府を倒した帝国主義的介入にほくそえんでいる。カダフィ氏は健在でその首には100万ドルの賞金がかけられている。

 カダフィの家族の何人かはアルジェリアに滞在していると言われている。その中には妻のサフィヤ、娘のアイシャ、二人の息子のモハメドとハンニバルだ。多くの者たちはこの出来事をカダフィの降伏の証拠と見ている。

 しかし、カダフィのスポークスマンであるムサ・イブラヒムは、「我々はリビアを侵略者らと彼らの裏切り者のスパイたちの足元で火炎と溶岩の火山にするだろう」と警告した。息子のセイフ・アルイスラムも、忠実な者たちは戦いを継続するだろう、というメッセージを放送した。

 カダフィ大佐の居場所をめぐって噂が飛び交っている。ある者は大佐はリビア東部、おそらくは彼のホームタウンであるシルトにいる、と言っている。あるいは南方の国境付近だというものもいる。所謂、「臨時国民評議会」がシルトの人々向けに3日(土)までに降伏するよう、さもないと軍事行動に直面することになると警告を発した。この紛争に対して「一般市民の保護」のために介入したNATOは、トリポリから500マイルの距離にあるシルトに対する爆撃をすでに開始していると報告されている。ムッサ・イブラヒムは1000人の一般市民が殺されたとニューヨーク・タイムズ紙の記事の中で主張している。

 カダフィが逃亡するため準備している、ないしはすでに逃亡したという憶測がある。ニカラグアのある高官は、オルテガ大統領がカダフィに避難場所を提供することを考慮している、と言っている。カダフィはジンバブエにいる、という噂さえあった。

 アフリカに対してカダフィが大いに支援してきたことを考慮し、アフリカの指導者らの中には、安全に彼が移動できるよう援助しようとしている者たちがいる。カダフィはアフリカにおける解放運動を支援してきた。その中には、アンゴラ、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエ、南アフリカがある。 

 南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領がカダフィの逃亡を支援するだろうが、彼の亡命を受け入れることはないだろうと言われている。

 レーガン大統領の「建設的介入」のアメリカを含む欧米政府の政策は、南アフリカのアパルトヘイト政府とビジネスをしてきていた時、カダフィはアフリカ民族会議やネルソン・マンデラのような投獄されていた指導者らを支援した。

 まさにマンデラは、リビアに課せられた国連の飛行禁止措置を破って、27年間の投獄から解放された後、リビアを訪問した。クリントン大統領はマンデラのリビア訪問を「歓迎されないことだ」と批判した。マンデラは、「どんな国も世界の警察官だと主張することはできない。またどんな国も他の国に対して、こうするべきだ、と命令することはできない。昨日は我々の敵の友人であった者たちが、今日になって憎しみを持って私の兄弟であるカダフィを訪問するな、と告げる。彼らは昔の友人らを忘れろといい、感謝するべき者たちではない、とアドバイスしている」と語った。

 カダフィはその全ての欠点にもかかわらず、ずっとアフリカの良き友人であった。我々は同じことをアラブの指導者らに言うことができるだろうか、とりわけアフリカにいる者たちに対して? 彼らは欧米風のやり方で人種差別的傾向を示した者たちだ。「新」リビアでの黒人に対する民族浄化運動を考えるべきである。これはガーディアン紙が今週再びそれを取り上げるまで主流メディアでは無視されてきたことだ;2011年6月21日にウォールストリート・ジャーナル紙が最初に報じてから二か月後だ。

 更には、カダフィ大佐指揮下のリビア以上に、欧米諸国でアフリカのためにやってくれた国は存在するのか? このことを考えるべきだ;欧米は今に至るまで続けている大陸とその人々に対する強姦と略奪を除いて、アフリカに何をやってくれたのか?

 最初から、欧米指導者らは、大量のリビア人を殺戮しようとしている熱狂的な狂人だとカダフィのイメージを歪める嘘をついてきた。これはリビア政府に対する侵略戦争を開始するため、欧米の市民の承認を得るための計算された嘘である。欧米の資本家らが、非白人の一般市民の殺戮に関して心配したことが何時あったのか?コンゴやルワンダでの虐殺時にNATOはどこにいたのか?

 我々は、「国際社会」は一体化してカダフィに反対している、と書かれているのを読む。「国際社会」がもしも世界の白人の支配エリートと国家だけで成り立っているのならば、それは本当だろう。

 質問:国連はたった五か国のみしか拒否権を持たないのに、自らを「民主的」機関であるとどうして見なすことができるのか? もしも彼らが本当に「国際的コンセンサス」を大切にするというのならば、アフリカ連合を含む国連の多くの国々がNATOの戦争に反対したことが、どうして重要ではない取るに足りないこと、とされたのか?代わりに、米英仏の三者は、彼らのアラブの政治的下男である、アラブ連盟内のサウジアラビアとかカタールの言うことを大げさに取り上げている。

 リビアがアフリカの国である、という事実はどうか?

 「一般市民を保護するために」リビアに対して爆弾を投下していると世界に向かって告げるとは、強欲な欧米のペテン師たちの笑うべき虚偽である。空爆が地上での虐殺から一般市民を保護できるとすることが、論理的に破たんしているのだ。

 しかしながら、この卑劣な欺瞞は、正しく状況を調査し情報を提供することをしない主流メディア界のオウムたちによって繰り返し語られた。リビアに対する帝国主義的介入から得ることのできる、アフリカや他の「開発途上」諸国に対する教訓がある。

先ず、この出来事は、アフリカは欧米政府を信用することはできない、ということを示している。貪欲さと地政学的「利益」を拡大することが彼らの外交の基礎である。

 米英仏が民衆の抵抗運動だと主張した武装反乱が始まって以来、カダフィはあまりに長期に渡って支配してきた反民主的な暴君だということが議論された。では、親欧米である、イエメンやバーレーンの悪辣な暴君はどうなのか? この詐欺的なダブル・スタンダードが、前エジプト大統領のムバラクに対して欧米が取った、異なるやり方にはっきりと示されている。

 700億ドルを横領したこの暴君に対するエジプトでの真正の大衆抗議運動のあった期間中、欧米は抗議運動する者たちに「非暴力であれ」と警告した;ムバラクが傭兵を使用しだしてからでさえ。

 しかしながら、欧米は最初からベンガジのテロリストによる武装反乱を承認した。なぜ彼らは、これら「反乱勢力」に対して、エジプトの大衆にたいして言い続けたように非暴力であれ、と忠告しなかったのか?

 本当のところは、ムバラクは欧米が常に支援してきた追従的な下男の典型的タイプだったのだ。ムバラクはガザへの道を遮断することで、パレスチナ人に対する弾圧を支援してきた。アメリカはこれに対してムバラクに対して大規模な援助をしてきた。

 カダフィは独立するためのパレスチナ解放機構の戦いを支援してきたことは特筆されるべきだ。

 真実のところは:欧米は自分たちでコントロールできないような非協調的な指導者を好まないのだ。「アラブの春」抗議運動による断固とした姿勢に注目して、欧米はアルカイダとつながるベンガジの「反乱者ら」を支援するチャンスに飛びついたのだ。ウェスト・ポイント・ミリタリー・アカデミーの合同テロリズム・ユニットで作成されたシンジャー・レコード・レポートを読めば、支援はウォールストリート・ジャーナル紙が、「反乱者ら」の一人は、前はムジャヒディンだった人物だと4月2日に報じた後もエスカレートしたのだ。この人物はアフガンでアメリカに対抗して戦ったアブデル・ハキム・アル・ハサディという。

 インタビューでハサディは、ウォールストリート・ジャーナル紙に対して、「我々のアメリカに対する考え方は変化している。もし我々がアメリカ人を嫌っていたのが100%だとすれば、今日は50%以下だ」と言う。今や、ニューヨーク・タイムズ紙がこの同じ人物がトリポリの軍司令官に任命されたと報じた。NATOに感謝だ。

 アフリカ連合とすべてのアフリカ人は、立ち上がらねばならないし欧米の外交上のダブルスタンダードに反対しなければならない。アフリカの国家に対する攻撃の青写真はリビア戦争で作られた。アフリカのどこかでこの無礼な計画を繰り返すことを阻止するものは何だろうか?

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インド人のデモをリビア人のデモと嘘の報道

◆8月26日

 リビア情勢についてCNNが真実を報道をしていないと書いたが、今度はBBCがインド人のデモの様子を、リビアのトリポリの「緑の広場(Green Square)のものと偽って報道した。

 このYouTubeでみることができるBBCのコメンテーターは、自分たちがいかにお馬鹿であるかを天下に示してしまったことを分かっているのか? ジャーナリストの端くれならば、映っているのがリビアではなくインドであることが、理解されて当然なのに、しゃあしゃあとリビアのトリポリの緑の広場からの中継だと説明している。はずかしいったらありゃしない。あるいはもっともらしくそのように解説すれば、視聴者はそう受け止めるだろう、とタカをくくっているのだろうか? BBCも落ちれば落ちたものである。

 もしもこれが意図的なものであれば、どれほど悪辣であろうか。このように、この世界を牛耳る勢力は、一般人を馬鹿にし、いい加減な報道をしても、それを鵜呑みにする存在である、と思っている節がある。それほど世界の「一般人」は彼らに馬鹿にされているのであろう。

 お金の力でこの世を牛耳る、この世の神、と聖書に言われる闇の勢力の者たちは、しかし、自分たちの終わりが近いことをその内知るようになるだろう。

 日本でも今までさんざん嘘がまかり通ってきていたことで、一昔前と違って、今や多くの日本人が目覚め、その間違った認識から、離脱しつつある。欧米諸国は深くこの闇の勢力に侵害されている様子だから、あまり期待はできない。したがって日本人が目覚めることが実際的であり、重要であろう。世界の最後の砦は、日本である。

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●BBC:リビアの「緑の広場」をインドから中継だとさ
http://crashareyouready.betterthanyours.com/w/?p=2181
【8月24日 By George W. Berry】

 ショービジネスのようなビジネスは存在しない。
 これらの人々の顔と帽子を衣服を見ていただきたい。彼らは正しい小道具さえ使用していない。リビアのトリポリにいるという誰かが掲げる旗と写真を注意深く見ていただきたい。インドの旗を振るこれらのインド人たちは一体何をデモっているのだろうか?

 反面、リビアについての真実を報道してきている独立ジャーナリストたちは、暗殺の標的にされてきている(http://www.examiner.com/human-rights-in-national/kill-non-mainstream-reporters-libya-ordered-trapped-hiding-shot)。そしてNATOは、リビアのトリポリの市民の大量虐殺を行っている。

 そして、アメリカが支援するカタールの独裁者がリビアの政府側につく市民を殺害するため、殺人部隊を送っている。ちょうどバーレーンで親民主主義側の市民が、米軍が支援している独裁政権のサウジアラビア軍によりバーレーンでガスまたは銃撃で殺されたように。

 http://www.youtube.com/watch?v=R_-lzI8I0_0&feature=player_embedded

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RTとのインタビュー:アルカイダがNATOと一緒にリビア攻略

◆8月24日

 昨日の記事で、ティアリー・メイサンのリビア報告を示したが、そこで彼はアルカイダがNATOの将校に率いられて仕事をしていると報告していた。そのような話は一般のメディアでは報じるところはどこにもない。

 確かに報じたら、何が何だか分からなくなるから、という理由もあるかもしれない。欧米が蛇蝎(だかつ)のごとく嫌っているアルカイダが、リビア攻略で欧米勢力の軍事機構であるNATOの軍と一緒に、というよりNATOの将校に率いられて仕事をしている事実を世界の人々に知られては困るだろう。

 そこで、リビアではアルカイダのことをジャーナリストは語ることはできないようだ。語れば、身の危険が迫ることになるようだ。CNNのジャーナリストも知ってはいるがしゃべることはできない。

 このような秘密作戦の資金源が、例えばCIAがアフガンでやっているアヘンの取引からの膨大な資金であると考えられる。

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●CNN:アルカイダのことはしゃべるな、さもないと殺されるぞ
http://www.thetruthseeker.co.uk/?p=32765
【8月22日 Federal Jack】

 独立ジャーナリストのマハディ・ナゼムロアヤは、RTとのインタビューで以下のように語った。CNNで仕事をしている人々が彼に、リビアの反政府勢力の一部はアルカイダであるということをしゃべるな、しゃべると殺されるだろう、と彼に忠告したという。ジャーナリストのティエリー・メイサンはこれらのアルカイダ・メンバーらはCIAとMI6のために仕事をしている、と報告している。

http://www.youtube.com/watch?v=cPZIWokOqJA&feature=player_embedded

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NATOの空爆で一般人も犠牲に

◆8月23日

 リビアのカダフィ政権が風前のともしびとなっているようだが、これはフランス、イギリスを中心とするNATOという欧米の軍事機構がリビア政府打倒のための戦争をしているからである。

 本来はNATOはリビアの一般市民の保護、ということを目的として介入が許されているはずであるが、実際は、カダフィ政権打倒の作戦を実行しているのだ。この作戦名は、「暁の人魚」である。

 この作戦にアルカイダの戦士が加わっている。NATOはこのようなイスラム主義者勢力をリビアやシリアに対する不安定化作戦で利用している。アルカイダをNATOが利用しているのか、アルカイダがNATOを利用しているのかは、見方による。どちらも自分たちの思惑を秘めながら、協調作戦を実行しているのだ。

 チュニジアとエジプトで達成された「民主革命」は、リビアでは捻じ曲げられ、さも「民主化」の流れのように見せながら、実際は欧米勢力のリビアの富の奪取という19世紀から20世紀の植民地争奪の戦いと化しているのが実態だ。

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●トリポリでのNATOの殺戮:「暁の人魚作戦」がアルカイダによって実行
http://www.voltairenet.org/Carnage-de-l-OTAN-a-Tripoli
【8月22日 by Thierry Meyssan】

 20日夜8時、ラマダン終了を機にNATO司令部はリビアに対して「暁の人魚作戦」を開始した。

 モスクの大型スピーカーがサイレンを鳴らし、それがアルカイダがカダフィ政府に対する反乱を呼びかけることに使用された。

 すぐさまベンガジの反乱勢力のスパイ工作員らが行動を開始した。これらは行動範囲の広い小さなグループで何回も攻撃を繰り返した。一晩中続いた戦闘で350人に死者、3000人に負傷者が出た。

 状況は21日には多少沈静化した。NATOの軍艦がトリポリ沖に接近し錨を下し、重火器を積み下ろし、アルカイダのジハード戦士らを上陸させた。彼らはNATOの将校らが率いている。

 戦闘は再び夜間に始まった。非常に激しい戦闘があった。NATOの無人機と航空機はあらゆる場所を空爆していた。NATOのヘリコプターはジハード戦士らのための道をあけるため通りの一般市民に向けた機銃掃射をしていた。

 夜に、政府要人を乗せた公用車の車列が攻撃された。車列はホテル・リクソスへ逃げ込んだ。そこは外国人ジャーナリストが拠点としているところだ。NATOはこれらジャーナリストを殺害したくなかったのでこのホテルを空爆しようとはしなかった。しかし私も宿泊しているこのホテルは、現在激しい火災に見舞われている。

 午後11時30分に、厚生大臣は、病院は満員で溢れていると発表せざるを得なかった。21日夜、1300人がさらに死亡し、5000人が負傷した。

 NATOは国連安全保障理事会によって、リビアの一般市民を保護することが要請されている。実際は、フランスとイギリスは植民地主義的な殺戮を再開したところなのだ。

 22日午前1時には、カダフィ大佐がリクソス・ホテルに現れホテルの防衛のために武器を自分で配ってそれから去って行った。今、ホテル周辺では激しい戦闘が続いている。

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「戦争は他の手段による政治の継続」<クラウゼビッツ>

◆8月22日

 アメリカは国債上限問題を今回はクリアーしたが、すぐまた同じ問題に直面するようになるだろう。それは膨大な国防予算に本格的に手をつけない限り逃れられない道だ。

 しかし本格的大戦争をすれば、事態はまた一変する。アメリカが戦勝国となれば、賠償金の名のもとに借金は一切吹き飛ぶだろう。第二次世界大戦後、日本もお金の価値が様変わりした。つまり大戦争を通過すると事態は一変してしまうのだ。

 今忍び寄る経済・金融崩壊を前に、金(ゴールド)の価格が連日高騰を続け、最高値を更新している。これも戦争の予兆になるかも。いずれにせよ、世界的な経済・金融の崩壊を前に各国の思惑がしのぎを削る時期が今である。

 しかし、我々はどこかにこの戦争を避ける道があるはずだと確信している。あれほどの大戦争を経験した人類が、もう一度それ以上の大戦争をするほど愚かとも思えない。従って、クラウゼビッツの語った、戦争論も、20世紀までの話、としたい。

 今は人類は、最終兵器といわれる原水爆その他を保有している。結局人類そのものが、自分達は行き詰まりにたどり着いた、と理解し始めているはずなのだ。それは、これからの人類は、今までの人類が辿ってきた道を辿れば、破滅しかないと知り、「別の道」、を探るべき時に至った、ことを理解し始めているはずだ、という結論になる。

 ただ問題は、別の道を辿ろうとは思わない者たちが、権力を握っている場合が多いということだ。彼らは「まだやれる」と考えている節がある。それほど愚かである、ということなのだが、そのような者たちと別の道を信じる者たちとの深層心理下における精神的戦いが今現在、繰り広げられている、というのが、真相だ。

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●衰退する帝国:国債危機は「戦争の前奏曲」
http://worldmeets.us/lequotidiandoran000039.shtml#ixzz1VawGBQV4
【8月10日 by K. Selim】

 「衰退する帝国はその見解を押し付けることができるものだろうか? アメリカは経済崩壊だけでなく、真正の景気後退をが明らかな兆候を示している:アメリカン・ドリームはもはや存在しない。アメリカのエスタブリッシュメント、民主党あるいは共和党、はその最後の重要な比較優位としての軍事的優位で儲ける準備はできていない」

 ドイツの軍事戦略家であったクラウゼビッツ(1789年~1831年)は、「戦争は政治の他の手段による継続である」と語った。欧米が政治的な行き詰まり状況にあると思われる今、彼のこの言葉は再びそれが真実であることをを証明するかもしれない。

 欧米政府は現在の危機と、姿を現し始めている景気後退を克服する面で力不足ということがはっきりしている。諸国家の財政赤字と経済成長に対する厳しい展望は、世界中の金融市場に恐慌状態を生み出している。クラッシュは想像上の産物ではない。1929年のそれは、ファシズムと第二次世界大戦への道を開いた。

 エスタブリッシュメント側からパラダイム・シフトを期待することは無駄である。2008年のサブ・プライム危機以来、市場の規制が多く語られてきた。最近の国際的金融合意事項に絡む高貴な考え方は、早くも破棄された。アメリカ大統領を初めとする欧米の指導者らは、経済政策の選択肢を議論するため明瞭で説得力のあるやり方を示すことに失敗した。
 市場は国家よりも強い。市場こそが究極的な主人なのだ。そして市場はそれ自身のロジックを要求する。

 2008年のサブプライム危機で、市場は納税者にその勘定をもつよう強要した。「銀行業者(banksters)」は、銀行家とギャングスターの合併した新語だが、再び我々に本当の権力がどこに存在しているかを思い出させた。今日、彼らはそのことを部分的には事態を収拾するために招いた公債の増大を攻撃することによって示し続けている。大きな銀行は決して破綻しない;国家が破綻したのだ!

 人が考えるのと違って、経済は数学的フォーミュラと理論以上のものではないだろうか? これは政治的なのだ。そしてこの政治はなんらの責任をも取らない一握りの人々の手の内にある。政治的エリートの状況は、政府がニューディールによって示されたような、経済政策の新しい方向付けに着手することは考えられないかのようなのだ。

 我々が恐れるべきものは、危機にある資本主義の最後の手段として、歴史が示すように戦争がやってくるかもしれない、ということだ。「常識」としては、アメリカの軍事予算の大幅な削減がアメリカの巨大赤字に対する効果的な対処として考えられるであろう。しかし皮肉にも、短期的利益は常識の関るところではないのだ。

 
 「衰退する帝国はその見解を押し付けることができるものだろうか? アメリカは経済崩壊だけでなく、真正の景気後退をが明らかな兆候を示している:アメリカン・ドリームはもはや存在しない。アメリカのエスタブリッシュメント、民主党あるいは共和党、はその最後の重要な比較優位としての軍事的優位で儲ける準備はできていない」

 超リベラル(注:親資本主義)同士の行き詰まりと既に限界にある社会的分断状況を更に拡大するリセッションのため、彼らは戦争でマシーンを復活させるようにするかもしれない。ただしそれは「第一級」の戦争でなければならないかもしれない。それは、イラクやアフガンのように低強度の戦争では財政赤字を増やすだけであり、非対称的紛争には適さない工業生産システムにとっては何らのインパクトも持たないからだ。最も脆弱な者たちによって支払われてきた資本主義の危機は、常に血の犠牲で持ち直してきた。我々が株式市場の混乱を注視しているのは、投機家たちが絡んでいるからで、それは他の機会に解消されるだろう。

 クラウゼビッツは以下のように語っている:「戦争は政治の他の手段による継続である」。超リベラリズムの銀行家らとネオコンは戦争を経済政策の普通の道具としてしている。国債危機とリセッションは従ってプレリュードに過ぎない。

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経済から宗教まで、時代の先を読み解くための作業を人間活動のあらゆる分野にメスを入れて行います。
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