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Bavarian Illuminati

◆5月16日

 世界の有力な政治家、銀行家、多国籍企業が秘密裏に組織した国際機関(ジェームス・タッカー・P・ジュニア)である、ビルダーバーグ・クラブの会合がギリシャのアテネのホテルでこの週末開かれているようだ。
 日本ではそのニュースはないようだが、イギリスの新聞などが掲載しているので、タイムズ紙(電子版)の記事を翻訳・掲載することにした。
 
 今回の「金融・経済危機」を通じて、世界の富を一極集中させ、最終的には、金融の安定化などの口実で、世界統一通貨なり、世界中央銀行なりの創設を図り、最終的には世界統一(独裁)政府を作ろうとしている、と見られているから、現代はその最終段階といってよいであろう。
 
 ただし彼らの目論見が成功することはないであろう。

 たとえ成功するかに見えたとしても、即それは瓦解していくものと、ブロガーは見る。それは彼ら「内部で争う家は立ち行かない(マタイ伝12章25節)」からである。
 
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●秘密めいたビルダーバーグ会議がギリシャで開催-アドレスはここ
【5月14日The Times】
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/europe/article6283373.ece

 誰にも言わず、何も言わず、しかし世界でもっとも力ある者たちが、秘密裏に集まって、地球を経済崩壊から救う会合を持っている。ご意見を寄せたいのであれば、以下のアドレスで: c/o Nafsika Astir Palace Hotel, Apollonos Avenue 40, 16671 Vouliagmeni, Greece.

 これからの2日間、ビルダーバーグ・イリュミナティたちが私的な秘密会議を開く間は、ギリシャの5つ星ホテルのベッド数がたりなくなりそうだ。
 1954年以来毎年、元・現・未来の政治家らが、トップ銀行家と何人かの王侯貴族と一緒に人里離れた高級ホテルの炉端に集まり、秘密のやり取りをし、最新の情報を交換しあっている。参加者名簿は公開されず、記者会見も開かれない。うっかり秘密を漏らせば、この魔法のサークルから締め出される。
 閉ざされた扉の外にいる我々にとっては、願うことと言えば、皆さんがよくお休みになり、ジェット・スキーで怪我などしないで、我々のために問題を解決してくれる、ということだ。
 ビルダーバーグの面々にとっては、丁度MI5のリクルートのように、「最高の仕事を気づかれずに!」というのに似ている。
 ビルダーバーグ会議の知的ハブとなっている運営委員会に各国は2名からなる代表を送っている。ケニス・クラーク、マーチン・テイラーの二人がイギリス代表として舵を握っている。

 今年、このクラブは恐慌について話し合う。「参加者に配られた会議の案内冊子には、ビルダーバーグは2つの選択肢に注目している」とビルダーバーグを取材しているダニエル・エスチューリン氏は語る。「停滞、落ち込み、貧困の数十年に世界が向かうことになる恐慌を長期化させるか、持続可能な世界経済秩序への道を作る、厳しいが短期の恐慌か、の2つである。
 ビルダーバーグ会議なるものは、公式には存在しないので、何も否定できないし、陰謀論者にとっては打ち出の小槌のようだ。ユーロ懐疑論者は、ヨーロッパ連合(EU)はここで計画されたと信じている。EU委員はこの秘密の組織にいつでも歓迎される。マーガレット・サッチャー氏は1975年の会合の時にはおずおずしていたと言われている。
 ビルダーバーグ・クラブの取材をしているベテランのジム・タッカー氏は、「サッチャー女史はイギリスの主権を明け渡すよう要請されたが、彼女は、そんなことはできない、と断ったため首にされた」と言っている。
 左翼の陰謀論者は、ビルダーバーガーらは資本家の核心部分を形成していると信じている。たしかにそこには真実の一端がある。
 
 会合はポーランドの亡命者であるジョセフ・レティンガー氏によってオランダのビルダーバーグ・ホテルから始まった。彼は、西欧に反米主義が高まり、共産主義が膨張することに危惧を感じていた。オランダのベルンハルト殿下はその考えに賛同しスポンサーとなることに同意し、ウォルター・ベデル・スミスCIA長官はそれを後押しし、ホワイトハウスも同調した。
 ビルダーバーグのコンセンサスは、国家的な問題は、国際的なエリートがもっとも上手に解決できる、決断者の世界的ネットワークでは共通言語が必要、金融家と政治家たちの境目はあって無きが如し、というもの。

 それでこの会合に招待する相手も、保守で自由市場論者に傾くことになる。社会主義者で招待された者は、お金というものを理解している人物だ。
 エド・ボールス氏は参加したことがある。もっとも不心得なビルダーバーガーはデニス・ヒーリー氏だ。
 「我々が世界政府を目指していると言うのは大げさだ。しかしまったく偏った見方というわけでもない」と、ヒーリー氏はジョン・ロンソン氏の本「彼ら:過激派と共に冒険」で述べた。「ビルダーバーグの我々は、何にもならないことでいちいち戦い続けることはできない、と感じていた。それで世界中が一つの共同体になることはいいことだと感じた」と言う。
 
 このクラブに対する異なった見方は、ピレウスの司教、メトロポリタン・セラフィムのそれで、ビルダーバーガーらは、「世界シオニズムの犯罪的秘密結社であり、その目的とするところは、ルシファーを首領とする世界独裁制の制定にある」というもの。これはブロガーたちの間では普通の見方になっている。そこではこのクラブが秘密性を保持していることが、邪悪な意図がある証拠、と見ている。

 ルシファーがそこに降りてくるのかどうか、見てみないと分からないが、世界銀行のスポークスマンのアレックス・オブライアン氏から我々が知ることができることは、この組織の会長であるロバート・ゼーリック氏は、5月14日にアテネに来る、ということだ。そして、米財務長官であるティム・ガイトナー氏は、次の2日間公的なスケジュールは不思議なほど空白になっている、ということ。ドイツ銀行の会長のジョー・アッカマン氏は、「どこかヨーロッパ」へ旅するとなっているし、ヨーロッパ中央銀行の会長であるジャン・クロード・トゥリチェット氏は、「次週末まで近くにいない」という。
 みな断片だが、何かが進められている。誰かが中に入れてくれれば、秘密も知れよう。
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イスラエル国防軍 
ロッキードマーチンF-16I Sufa 833 - Beersheba Hatzerim

◆5月15日

 イスラエルに対し、オバマ政権は「イランを奇襲攻撃するな」、というはっきりとしたメッセージを渡したという。

 イスラエルがイランを奇襲攻撃するのでは、という憶測はもう何年も前からあるが、つい最近もその憶測が持ち上がった。それはイランまで給油措置なしで到達できるF-16I戦闘機を昨年11月に90機購入し、またドイツからは核ミサイルを発射できるドルフィン級潜水艦を今までの3隻から更に2隻購入し5隻に増やすようなことをしているからだ。
 このような情勢を前に、アメリカ中央軍のペトレイアス司令官は4月1日、、イスラエルが最終的に核施設への「先制攻撃」に踏み切る可能性があるとの見方を明らかにしている。

 しかし、既に4月30日の「スパイ工作事件でイスラエルに圧力を掛けるオバマ政権」でも示したように、オバマ政権は最近の今までの歴代アメリカ政権と違い、イスラエルに対し毅然とした態度で接し、特にイラン攻撃に対してはイスラエルを牽制する姿勢をずっと示してきていた。それが今回はその「牽制」をより一層ハッキリとしたメッセージとして示したのだ。
 
 ここから見て取れることは、アメリカはイスラエルを押さえ込みにかかろうとしている、ということだ。こうはっきりとしたメッセージをイスラエル政府に突きつける、ということはイスラエルの最大の懸念材料であるイランの核問題においてさえ、その解決のイニシアチブはイスラエルではなく、アメリカが握っている、ということを宣言していることであり、イスラエルはアメリカに従ってくるように、と命令していることを意味する。これはイスラエルの命運はアメリカが主導的に面倒見るから、イランには手をだすな、という親分が子分に言う態度となっているのだ。

 またもや、アメリカはイスラエルに対し、主体的なイニシアチブを発揮したことになった。アメリカ政府のイスラエルに対するスタンスが変更したことを裏づける新たな証拠である。
 今までのアメリカ政府のイスラエルに対するスタンスの変更に関する内容は以下の通りだ。

1.ネタニヤフ現イスラエル政権の意向と反対の「2国家共存」を宣言し、それに同意することを要求した
2.タブーとなっていたイスラエルの核兵器問題を取り上げ、NPT加盟を促した
3.イスラエルに向かって、イランに対する軍事攻撃を許さない、というメッセージを発した

 これら、すべてにおいて、イスラエル現政府の意向とは衝突する内容である。普通だったら、アメリカにおけるイスラエル・ロビーの影響力の故、アメリカ政府としてはイスラエル政府と調整をしながら進める話の内容だろうが、オバマ政権はイスラエル政府の意向には一向にお構いなく、いうなれば、「信念」に従っての政策を推し進めようとしているとしか判断できない行動なのだ。

 イスラエルのシオニストと、アメリカのイスラエル・ロビー、そして世界中のシオニストたちは、自分たちの傀儡・手駒にしようとして、バラク・フセイン・オバマ・ジュニアを上院議員から大統領にまで引っ張り上げてきたのであろうが、彼らの傀儡になるどころか、オバマ氏は、彼らの思惑を超えて、オバマ氏自身の「信念」を中心とした外交政策を推し進めているとしか理解できない動きとなっているのである。

 しかし前オルメルト政権ならいざ知らず、今回のイスラエルのネタニヤフ政権は、極右のリーバーマン外相などのグループを抱える右派政権となっているから、こうも彼らの党是なりスタンスと真っ向から反対の政策をアメリカから押し付けられるような事態に対し、どこまで「譲歩」し続けられるものなのか、と思う。

 もっともイスラエルの中には、イランに対する軍事攻撃を許さない、というグループも存在し、イスラエルの良心を代表する声もある。しかしやはりまだまだ少数派のようで、一般国民も、「外交交渉や経済封鎖努力が失敗した場合」と断りながらも、イラン攻撃に対しては「賛成」する声が大きいのである。
 
 いずれにしろ、オバマ政権のイスラエルに対する「豪腕」振りは、「画期的」と言っていいだろう。いや、「目を見張るものがある」、と言うべきか。とにかく世界平和のために応援する、続けてもっとやっていただきたいものだ。

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●オバマ大統領:イランを奇襲攻撃するな
 http://www.haaretz.com/hasen/spages/1085466.html
【5月14日ハアレツ紙】
 オバマ大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相に、イランに対する軍事的奇襲作戦をすることで、アメリカを驚かすようなことをしないようにというメッセージを送った。
 このメッセージはアメリカの高官がイスラエルでネタニヤフ首相や大臣、高官らとと面会した折、渡されたもの。
 これより前に、ネタニヤフ首相の特使がワシントンを訪問し国家安全保障担当大統領補佐官のジェームズ・ジョーンズ氏とヒラリー・クリントン国務長官と会って、オバマ大統領がイランと始めた協議について話し合った。
 アメリカの高官のもたらしたこのメッセージは、イランに対しイスラエルが忍耐しきれなくなることを懸念していることを示している。アメリカにとっては、油断することで最後の段階で事実に直面することにならないようにすることは重要である。
 次週の月曜日に予定されているネタニヤフ首相との面会をホワイトハウスで待つことはしないで、先に特使を通じてにメッセージを手渡すことにしたもの。


●イスラエル イラン核施設攻撃も 米司令官見解「開発阻止へ先制」
【4月2日産経新聞】
 中東地域を管轄する米中央軍のペトレイアス司令官は1日、上院軍事委員会に提出した書面で、イランの核兵器開発を阻止するために、イスラエルが最終的に核施設への「先制攻撃」に踏み切る可能性があるとの見方を明らかにした。・・・以下略


●イラン攻撃には、いかなる軍事的、政治的、道徳的正当性なし
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=9756
イスラエル人、イラン攻撃反対宣言
2008年8月6日
イスラエルのイラン攻撃に反対するアド・ホックグループ
プレス・リリース

 100名以上の学者、平和活動家らが以下の宣言に署名する。
 イラン戦争を始めるいかなる軍事的、政治的、道徳的正当性もない。
絶えず我々に届く情報は、イスラエル政府がその核計画を妨害するためイランへの攻撃を真剣に考慮していることをうかがわせている。
 我々はイラン政府の無責任なやり方を無視するものではない―我々は原則的に核兵器に反対であり、中東地域から大量破壊兵器をなくすことに賛成である。
 しかしながら、新しく広まっている戦争への危機、およびそれから生じる脅威の直接の主要な原因は、挑発的な軍事演習に支えられたイスラエル政府の政策から来ていることはあきらかである。
 我々は真剣な考慮の下、そのような攻撃のためのあらゆる口実は、安全保障上も、政治的、道徳的にも正当化されるものではないことを改めて表明する、。
 イスラエルは軍事衝突に代わる政治と外交面で真剣に努力することなしに冒険主義の行動にとらわれ、我々自身の生存を危うくすることになるだろう。
 我々はそのような攻撃が行われるものかどうかは分からない。しかし、ひとつの道理に適った選択肢であるという評価が重きをなしつつあるため、我々はイラン攻撃が破壊的結果をもたらすものであることを警告し忠告するものである。

調停グループ
ガディ・アルガジ教授、ジュディ・ブランク、レイチェル・ギオラ、アナット・マタール、アディ・オフィール教授、リュ―ベン・カミナー、ハガイ・ラム教授、イェフダ・シェンハブ教授、オレン・イフタチェル教授
(contact: reuven.kaminer@gmail.com )


●大多数がイラン核施設攻撃を支持―イスラエル
【5月4日 世界日報】
 イスラエル紙エルサレム・ポスト電子版が4日、同国のバー・イラン大学などが3日に発行した世論調査結果から、として報じたところによると、もし、イランのウラン濃縮を停止させるための外交交渉や経済封鎖努力が失敗した場合、イスラエル国民の66%が、イスラエル軍によるイラン核施設に対する攻撃を支持した。
 米国の対イラン対話姿勢が進展の兆しを見せている中でも、イスラエル国民のイランに対する不信感が根強いことを示している。
 なお、そのうちの75%が、米オバマ政権が、イスラエルによるイラン攻撃に反対しても、実行すべきだ、としている。


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2000年、日本を訪問した際に講道館で柔道の技の型を演武するプーチン


◆5月14日

 基本的には、プーチン首相は親日家と見て間違いない。それは彼が柔道家である、という事実から推し量れることである。 
 柔道家だから親日家なのか、と問われると、ほぼそうだと答えるしかない。考えてみれば分かろう。例えばカントリー・ウェスタンが好きだ、という人間は、おそらくがアメリカ好きだ、という人間ではないだろうか? イタリア料理が好きだ、というと大体イタリアも好きだということになろう。勿論一般論だ、例外はいくらでもあるだろう。
 
 特にプーチン氏はロシアのサンボから柔道に乗り換えた点が重要だ。彼はそれを「柔道には哲学があるからだ」と述べている。
 では柔道の哲学とは何か、というと今度、以下の記事にあるように彼が柔道について書いた本があるからそれを読めばおそらく書かれていることであろうし、その本を元に山下泰裕氏らが編集した日本語の本も出版されたようなので、日本語でも読める。

 日本の武道は、例えば柔道にしても空手道にしても、まずは受身から始まるそうだが、そこにもいわゆる「哲学」の一端が見て取れそうだ。武道であるが、単なる武術ではない、と言う点はかなり重要な点ではなかろうか。つまり格闘技の範疇に入るものではあるが、相手を打ち負かすことだけを良しとするものではなく、常に自らを護る、という受身が基本というスタンスは、攻撃的ではないということであり、「侵略性」を持たない、ということにもつながる。 
 これを力の強いものが持ち合わせてそばにいる場合、大変心強い存在となりうるが、反対に「侵略性」を前面に押し出す哲学の持ち主が力が強かったりすると、暴君になりかねないから、そばにいて欲しくない存在になりそうだ。
 そもそも柔道は、「柔、良く剛を制す」、と言って、弱い者でも相手の力を利用して強い者を打ち負かす、という戦法であるから、相手が力を出せば出すほど、こちらは大きく相手を投げ飛ばすチャンスが大きくなる、ということであり、では相手は柔道家に投げ飛ばされないようにするには、力をもって掛かってこないことに尽きる、となるから、これで紛争は一件落着、となるのだ。
 あるいは武道一般になるが、やはり「礼に始まり、礼に終わる」という姿勢にもその心が表れている。要するに武道を習うのは心身の切磋琢磨と言う面があり、相手はそのパートナーであり、「敵」ではない、という姿勢である。だから、試合に勝っても派手にガッツポーズなどをすることは避けるのだ。そういうことが分からない、例えば朝青竜などに見られるような土俵上のパフォーマンスに物言いがつくのである。

 このような柔道に体の大きくないプーチン氏が惹かれたのも理解できるというものだ。そんな素晴らしいスポーツがあったのか、というような驚きと敬服の心があったのであろう。
 彼が尊敬するという柔道家に嘉納治五郎がいるが、この人物はさすがに講道館柔道を創設した人物であるだけに、体は小さいが相手になれる者はいなかった、と言われている。警視庁の柔術との試合でも2度勝ったというし、ロシア人の大柄な軍人がかかってきたのをやはり投げ飛ばしたエピソードがある。
 そういえば、今は谷亮子となった人も、田村亮子時代から48キロ級の中でも体は一番小さいのに何度も金メダルを取っているから、講道館柔道の伝統はいまだに生きている、と言えよう。
 
 ちなみにこの嘉納治五郎をして、「理想の柔道」と言わしめたのが、植芝盛平の合気道のようだ。彼はこの植芝の合気道を学ばせるために弟子を送ったそうだ。その植芝の合気道がどれほどすごいか、以下のブログに驚くべき話が載っている。映画の「マトリックス」に出てくる「ネオ」の世界だ。
 
 プーチン首相が柔道家であり、しかも先に来日した折、講道館から柔道6段を贈られるという機会が与えられたが、実力で取りたい、という旨の発言をし辞退したというから、確かに彼は柔道の哲学、ないしは日本の心みたいなものを会得している、と考えていいだろう。
 こんな外国の指導者などほかにはいない。 こういった人間がロシアの指導者にいる、ということは日本にとって大変有利であり、、西欧流の駆け引きによる外交に翻弄されて来た日本にとって、多少でも信頼感の持てる相手となり、話のできる人物だと判断できるのだから、この人物を通して日露関係をできる限り正常なものに持っていける可能性が出てきたと考えるべきであろう。
 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●山下泰裕氏からロシア・プーチン首相に柔道本
【5月13日 SANSPO.COM】
 来日中のロシア・プーチン首相に12日、日本で出版された本「プーチンと柔道の心」が五輪金メダリストの山下泰裕氏から贈られた。
 東京都内のホテルで贈呈式が行われ、同首相は「もしこの本で両国の理解が進めば、本の目的は達せられたと思う」とアピールした。 この本は柔道好きで知られるプーチン首相がロシアで出した著書をもとに、山下氏らが編集した。
 2人は以前から親交があり、1年前の同じ日にもモスクワで懇談している。プーチン首相は慌ただしく会場を去ったが、山下氏は「こわもてのイメージもあるが、裸のプーチンさんを知ってほしい」。東京の五輪招致への協力も要請した。
 柔道家でもあり、段位は柔道五段(来日時に柔道六段を講道館柔道において贈られるも辞退。詳細は後述)。称号は、サンボと柔道のロシア連邦スポーツマスター。2005年12月よりヨーロッパ柔道連盟名誉会長を務める。
 

●ウラジーミル・プーチン
【ウィキペディア】
◎格闘技
  柔道着姿のプーチン11歳の頃より柔道とサンボをたしなみ、大学在学中にサンボの全ロシア大学選手権に優勝。1976年には柔道のレニングラード市大会で優勝したこともある程の実力者である。体を鍛えていることで、他の政治家とは比べ物にならない逞しい肉体や戦闘技術の高さ、高い指導力が目を引き、インターネット上では一部でカルト的な人気を博している。
 2008年8月31日に研究者らによる野生のトラの監視方法を視察するため国立公園を訪問していた際、カメラマンに向かって走ってきたトラにプーチンが麻酔銃を撃ってカメラマンを救出したというエピソードもある[53]。
 なお、プーチンの身長は168cmと言われている。
 
 柔道については自伝本とも言われるインタビュー本『プーチン、自らを語る』のなかで「柔道はたんなるスポーツではない。柔道は哲学だ」と語っている。また、少年時代は喧嘩ばかりしている不良少年だったが、柔道と出会ってその生活態度が改まったと述懐している。
 大統領になってからも、大統領以前に書いた『Учимся дзюдо с Владимиром Путиным(プーチンと学ぶ柔道)』という本を出版しており、その中で嘉納治五郎、山下泰裕、姿三四郎を柔道家として尊敬していると記している[54]。柔道家プーチンの得意技は「払い腰」。
 
 2000年、日本を訪問した際に講道館で柔道の技の型を演武するプーチン2000年7月の九州・沖縄サミットでは沖縄県具志川市(現・うるま市)を訪問し、柔道の練習に飛び入り参加。掛かり稽古(お互いが交互に投げる練習形式)を行い、相手の中学生を投げた後、同じ相手に今度は投げられるというパフォーマンスを行った。中学生は大統領相手にためらったが、プーチンに促されて投げたという。投げられるプーチンの姿は印象的で、その写真や映像は世界中に報道された。好感度を上げるためというよりも、柔道を愛するが故の行動とみられる。 警備員やSPは稽古とはいえ大統領が投げさせるとは考えられなかったようで、非常に驚いたという[55]。

 2000年9月の来日時には、講道館で技の型を首相の森喜朗(当時)に演武した。またこの時、講道館より柔道六段の段位を贈られることになったが、「私は柔道家ですから、六段の帯がもつ重みをよく知っています。ロシアに帰って研鑽を積み、一日も早くこの帯が締められるよう励みたいと思います」という言葉とともに、これを丁重に辞退した。


●植芝盛平
http://www.geocities.jp/babun777/book6.htm
 「植芝が豪語するので、自衛隊の人たちがそれなら対決しようと申し込んだ。それも十人が銃で一人の植芝と対決するのである。そして実際行われた。塩田も証人として見届けている。一斉に十発の銃弾が飛んできた時、植芝はダッシュし、一瞬の内に(ずいぶん離れていたらしいが)自衛隊員の一人の後ろに周り、投げ飛ばした。もちろん弾は当たらなかった。自衛隊員たちはわけがわからず、もう一度と頼んだ。もう一度やってもやはり植芝に一人が投げ飛ばされてしまう。塩田も見ていてわけがわからなかったらしい。帰りにどういうことかと聞いてみたら、「弾がスローモーションで飛んで来るので、一番遅い弾を見つけ、その弾を撃った人に向かって走り、投げ飛ばしたという答えだったようだ。時間が植芝にとってその瞬間遅く流れ(植芝が速いモードになったともいえる)実に普通に勝ったらしい。・・・

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 スキャンイーグル           ハチドリ             ペガサス

◆5月13日  
  
 パキスタンやアフガンで無人機が盛んに使用され、時に標的の照準を間違って民間人を大量に殺傷する事態が生じている。
 攻撃するほうは安上がりで、戦闘要員の温存に適した戦法かもしれないが、やたらと誤爆される民間人の方では、これまたたまったものではないだろう。  
 次々とこのような無人機が開発され、さまざまな作戦で実験的に使用され、性能をあげ市場は拡大する一方のようだ。
 ボーイングでは、無人機のリース業を開始した。この市場は今後10年間で100億ドル市場になると見込んでいるそうだ。
 今のところ、監視・偵察用の無人機だけをリースしているようだが、今やステルス性の無人攻撃機 (X-47A Pegasus)のようなものまで作っている会社(ノースロップ・グラマン)も出てきているようだから、ボーイングとしてもいずれは殺傷目的の兵器用無人機をリースするようにならないとも限らない。この「ペガサス」は自動操縦システムも搭載されているというから、恐ろしい時代がやってきたものである。

 まさに「無人」機であるがゆえに、また「非人」道的な兵器にならざるを得ないのであろう。そこには人間の感情も理性も不在なのだから。
 
 
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●パキスタン部族地域にミサイル攻撃、死亡者 米軍無人機か
【5月9日CNN】 
 パキスタン情報機関当局者は9日、同国北西部にある政府直轄部族地域の南ワジリスタン地区にある村落に複数のミサイル攻撃があり5人が死亡したと述べた。
 米軍の無人武装偵察機による攻撃とみられる。負傷者も多数出た模様。 襲われた村は、反政府武装勢力の「パキスタン・タリバーン運動」のベトゥラ・メスード司令官の支配下にあるとされる。

 同司令官は、ブット元首相暗殺の首謀者とも指摘される。 今回のミサイル攻撃の標的は不明。南ワジリスタン地区には、国際テロ組織アルカイダ系の組織の拠点もあるとされる。 
 部族地域は、アフガンの政権を追われたタリバーンやアルカイダ系組織の聖域とされ、米軍はアフガンへの越境攻撃の拠点となっていると主張している。

 無人機の越境ミサイル攻撃は昨年秋から加速している。ゲーツ米国防長官は先に、米軍の関与を認めていた。死亡者は300人以上ともされ、民間人の犠牲者も多く、パキスタン国民の反発も強い。同国政府は主権侵害として攻撃停止を求めているが、内密には承認しているとの情報もある。
 今年に入ってからの無人機による越境ミサイル攻撃はこれで10件以上で、昨年と比べ激増している。タリバーン、アルカイダ系勢力は政府直轄部族地域の北部にある北西辺境州内にも浸透、パキスタン軍は4月下旬から掃討作戦を強化し、交戦も起きている。
 

●米軍無人機が攻撃、子ども含む13人死亡
【4月4日 asahi.com】
 パキスタン北西部の部族地域で4日、米の無人機から発射されたミサイルで女性と子供を含む少なくとも13人が死亡した。また、治安部隊の検問所への自爆テロも起き、5人の子供を含む17人が死亡した。
 無人機の攻撃があったのは、反政府勢力タリバーンや国際テロ組織アルカイダの拠点があるとされる北ワジリスタン地区ミランシャー郊外。地元当局者によると、外国人の武装勢力が潜伏する家が3発のミサイルを受けた。死者の多くは武装グループだが、女性1人や子供2人も巻き添えになったという。
 また、ミランシャー市内では競技場近くの検問所で車が自爆し、治安部隊員と子供らが死亡した。
 地元報道を集計すると、パキスタンでは無人機によるとみられる攻撃が昨年9月以降49回にのぼり、350人以上が死亡、うち110人以上が一般市民とみられている。
 

●CIA、パキスタンの施設極秘利用 無人機でイスラム勢力攻撃
【2月18日産経新聞】
 18日付英紙タイムズは、米中央情報局(CIA)がパキスタン南西部バルチスタン州のシャムシ飛行場をひそかに使い、無人機でアフガニスタン国境のパキスタン側に潜む国際テロ組織アルカーイダや、越境してくるアフガン反政府武装組織タリバンなどへの攻撃、監視を行っていると報じた。
 米軍はアフガンの拠点から、無人機でパキスタン領内のイスラム武装勢力を攻撃しているが、米パキスタン両政府は、パキスタンの施設を使っての軍事作戦は否定してきた。 同飛行場の滑走路は大半の航空機には短すぎるが、無人機には適しているとされる。
 米軍の燃料調達当局のウェブサイトは、同飛行場に大量の航空燃料が運び込まれたことを示している。飛行場はアフガン国境まで約50キロ。(共同)
 

●ボーイング:100億ドルの無人機リース市場を狙う
【5月11日Bloomberg】
  ボーイングは、アメリカ国防関連で2番目の契約量を持つ会社だが、1年ないし2年はかかる購入決定までの期間を待てない関係各省や軍に対し無人機のリースを開始した。この市場は今後10年で100億ドル規模に膨らむと会社では見ている。
 ボーイングは、2007年、2008年で、合計3億1270万ドルになる契約を、米海軍、海兵隊と結び、スキャンイーグル・スパイ無人機を「フリー・フォー・サービス」ベースで供給し、更に2億5千万ドルの契約を米政府のスペシャル・オペレーション・コマンドと同様の形式で先月結んだ。この取引でボーイング社は、資材を所有しながら、軍が必要とするところへそれを送ることになる。
 スキャンイーグル、A-160ハチドリ、無人リトルバードを含む無人機は、監視、積荷配送などの業務面で軍、民間企業で利用されるようになるだろうと、ボーイングの担当者であるフィリ・パナゴス氏は語る。
 「このビジネスの目的は、購入まではしたくないという顧客に対し、その代替となるシステムと基盤を提供することにある」とインタビューで語った。無人機とそれに付随するビジネスは今後10年で100億ドル規模に膨らむだろうと語った。ボーイングのその市場での占有率は言わなかった。
 シカゴを本拠地とするボーイングの株は、今年4.8%上昇している。
 
◎海賊監視 
 「米海軍のボーイングとの契約は、駆逐艦から無人機を発進させて、ソマリア海域での海賊拉致事件でリチャード・フィリップ船長救出を支援するのに役立った」と、ブラウン海軍大佐(小型戦術無人機システム・プログラムマネージャー)は語った。
 この駆逐艦(ベーンブリッジ)にはスキャンイーグルとボーイングからのオペレーターが乗っていたという。この無人機は、フィリップ船長が乗っているボートを光学的赤外線カメラを使って追跡していた。
 ボーイングの無人機は監視・偵察業務にのみ使用されていて、標的を攻撃するものはない。米空軍とCIAはサンディエゴのジェネラル・アトミックスのプレデターを所有している。プレデターは2基のヘルファイアー・ミサイルが装備されていて、イラクとアフガンで使用されている。
 海軍の説明では、スキャンイーグルは圧縮空気カタパルトから発射され、1万6000フィート上空を飛翔、20時間滞空することができる。帰ってくると、無人機は50フィートの高さの塔から下がるロープに捕らえられる。

◎試してみる
  「ある軍人は、平和維持任務に無人機を使用したがっている。他の軍人は懐疑的だ」とフィリップ・フィネガン(ティール・グループ社=防衛コンサルタント会社・バージニア州)氏は語った。「試してみれば分かるでしょう」と彼は語った。
 ボーイングは、無人機のリース市場が100億ドルになるとう推定は2010年の国防予算では無人機に38億ドルの購入費を当てているを見れば、「控えめ」だと、ブロードポイント・アムテク(コネティカット州)のアナリストであるピーター・アーメン氏は言う。「軍ではこれらのシステムに対する需要は飛躍的に増大するということを知っています」と彼は述べた。ボーイングのシェアは中くらいだろうと見ている。
 
◎沿岸警備
 無人機はアメリカの沿岸警備隊、国土安全保障省、に使用されるだろう、とパナゴス氏は語った。また戦争地帯に貨物を落下させたり、通信用、長時間監視といったことにも使用できると語った。
 ヘリコプターのA-160ハチドリと、水素エンジン搭載の高度長時間耐久性無人機(HALE)はまだテスト中で開発途上にある、とボーイングは説明している。無人リトル・バードはヘリコプター無人機で、開発の初期の段階にある、とマイク・バーク氏(ボーイングの回転翼航空機ビジネス開発理事)は語った。
 ロッキード・マーチン、ジェネラル・ダイナミクス、レイセオン、ノースロップ・グラマン、L-3コミュニケーションのスポークスマンは、無人機をリースする契約はしていない、と語った。
 無人機をリース、することは「国際的には実用化が進んでいて、トレンドになりつつある」とフィネガン氏は語った。「ボーイングはペンタゴンに提案し利益を得てきている」と語った。
 
◎イギリス軍 
 イスラエルのアエロノティクスとイスラエル・アエロスペース・インダストリーは監視用無人機をオランダとカナダの軍にリース提供している。両国ともアフガンで使用している、とフィネガン氏は語った。イギリス軍はフランスのタレスのエルメス無人機をリース使用している。
 海軍が戦場や船舶向けに無人機を獲得するには、ボーイングとの契約が一番手っ取り早い方法だ、とビル・シャノン海軍中将(無人機プログラム・エグゼキュティブ・オフィサー)は語る。
 第1の理由として、フリー・フォー・サービスが一番やりやすいということだった、とシャノン中将は語った。通常の購入では、必要なものを決めるだけで「1年ないし2年」かかってしまう。 監視無人機のリース契約なら廉価なので理想的だ、とシャノン氏は語った。
 長期的には海軍として購入し、軍の要員で使用したいと言う。 契約ではボーイング社は、無人機と要員を供給することになっている。イラクとアフガンの基地から、また世界中の海軍の艦船から発進して使われている。   現在5万5千時間使用されたとブラウン氏は述べた。

◎特殊作戦 
 今年4月29日、ボーイングは、アメリカの特殊作戦司令の契約を獲得した。 フロリダ州のタンパに基地のある司令は、フリー・フォー・サービスのボーイングを選択した。その理由は、常時変化する司令の要請に柔軟に対応できる選択肢を提供する契約内容だからだ、とケニス・マックグロウ司令スポークスマンはe-mailで応えてくれた。


カブールのケシ御殿

◆5月12日

 アフガンの米軍司令官が交代した。
 産経新聞では「経験不足」が原因のように書いてある。しかしCNNは、「ゲーツ米国防長官は11日、ここ7年間のアフガン政策を見直す必要性がある、ので解任する」としているし、「これまでのアフガン政策が成功していないことを認めており」として、今までのアフガン戦略の全面的な見直しが必要、という判断だとしている。毎日新聞では、「オバマ政権は軍事力だけでは勝利できないとのアフガン新戦略を示しているが、マキャナン司令官は軍事力重視の姿勢を維持しており、交代はやむを得ないと判断した」とあるから、その戦略上の違いも交代の原因の一つといえそうだ。オバマ大統領は以前語ったように、穏健派のタリバンを説得する、というような外交的側面をも重視する戦略である。
 これを踏襲しようとするゲーツ長官と現場のマキャナン司令官の違いは、毎日新聞では、たとえば「2010年にも米軍1万人の追加増派を求めており、それ以上の増派に慎重な姿勢を示しているゲーツ長官と対立していたとされる」というように示されている。
 それは、軍事力で推し進めても、人々の生活の糧がタリバンが支配する地域ではケシの栽培であり、それからできる麻薬であり、ヘロインだから、その生活を保障してくれるケシ栽培を守るタリバンを掃討するということになかなか賛同できないという面があるからだ。
 まして、オバマ政権では今までのブッシュ政権とは違ってネオコン的な武断政策は極力控え、対話を重視するスマートパワー方式を主導外交姿勢としていこうとしているのだから、無人爆撃機などで無差別に攻撃し、民間人を多く殺傷するようなやり方は取りたくない、というのが本音であろう。

 アフガン問題は、根が深い。9月11日同時多発テロで何の根拠もないままブッシュ政権はこれを、ビン・ラディンらアルカイダの仕業とし、そのビン・ラディンをかくまうタリバン・アフガン政権を打倒するとしてアフガンへ侵攻しアメリカの傀儡であるカルザイ政権を打ち立てた。
 これはブッシュ大統領(当時)の石油・天然ガス利権などの絡んだ政治的な動機が中心の軍事作戦だった。しかしもう一つの要素として見逃してならないのが、麻薬利権である。
 タリバン政権時、アフガンのケシ栽培は禁止され殆ど生産されるようなことがなくなったのだが、カルザイ政権になってからまたアフガンでのケシ栽培と麻薬製造が復活し、今やアフガンのカンダハル地方からのヘロインだけで、世界に流通する量の3分の2で、アフガン全体では世界のヘロイン生産量の93%になるという。つまり今やアフガンが世界のヘロイン生産の大方を担っているわけだ。
 しかもこのビジネスには、言われるようにタリバンが製造しているばかりか、アフガン政府自身でも麻薬ビジネスに深くかかわる者が多く、政府の職員は上は大臣から下は一般公務員まで麻薬ビジネスに手を染めていない者の方が少ない、という現状がある。 
 それが今アフガンの首都カブールで見られる「ケシ御殿」である。大体3階から4階の、警備員小屋まであり有刺鉄線で囲まれている邸宅で、政府職員や政府関係者らの住居となっている。彼らの給料は月数百ドル程度というからこの立派な御殿は彼らのサイドビジネスからの収入で建ったものであるという。
 
 ここでオバマ政権が目指すのは、タリバン掃討という軍事的な目標だけでなく、実はこの麻薬ビジネスの元となるケシ栽培の禁止を徹底させ、正当な農業を奨励発展させることにある。これが彼が目指す「スマートパワー」の具体的な内容の一つであろう。
 しかし麻薬ビジネスの甘い汁の味を知った者たちが、おいそれとその利権を手放すわけもなく、政府の正式な「麻薬根絶チーム」は現地入りすると、当地の警察から発砲を受けるような状況がある。また米軍やNATO軍もどうやらそれを見過ごしているようで、この傾向は全般的に言えるようだ。カルザイ大統領もまた、ケシ栽培を行っている地方の有力者らの協力を得ようとして「麻薬根絶」には消極的なのだ。
 
 このドラッグ・ビジネスの闇が存在する限り、アフガンの復興は到底おぼつかないだろうし、カルザイ政権も不安定なままであろう。米軍やNATO軍がこの麻薬ビジネスにかかわっていないという保証もなく、特にCIAはアフガンのイスラム戦士をソ連に対抗させるためにアヘン製造を黙認、その流通にもかかわったいきさつがあるから、今日でも継続している可能性が高い。
 こうしてみれば、アフガンにかかわる全ての勢力がケシから始まり、アヘン、ヘロインとその流通という麻薬ビジネスにかかわっている可能性がありそうで、これにどう対処していくのか、オバマ政権の今後の動きを注視していきたい。

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●米軍司令官 異例の更迭 タリバン掃討「経験不足」
【5月12日産経新聞】

 ゲーツ米国防長官は11日の記者会見で、アフガニスタン駐留米軍のマキャナン司令官(陸軍大将)を更迭する方針を明らかにした。マキャナン氏は18カ月から24カ月間司令官を務める予定だったが、11カ月間しか務めておらず、この時期での更迭は異例だ。 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、米軍内にはこれまでアフガン勤務のなかったマキャナン司令官の武装勢力掃討作戦における経験不足を懸念する声があったという。
 ゲーツ長官は司令官を交代させる理由について「新大統領の下で新戦略を打ち出した。軍も新しい指導者が必要だ」と述べるにとどまったが、オバマ大統領が重視するアフガンでのイスラム原理主義勢力タリバンなどの掃討作戦を遂行するにあたり、更迭に踏み切ったとみられる。


●米国防長官、アフガン駐留米軍司令官を解任
【5月12日CNN】
 ゲーツ米国防長官は11日、ここ7年間のアフガン政策を見直す必要性があるとして、アフガン駐留米軍のマッキャナン司令官を解任すると発表した。
 マッキャナン司令官は就任から1年未満での解任。後任には特殊作戦を主導した経験を持つマックリスタル中将が指名された。マックリスタル氏の指名が上院の承認を得るまで、マッキャナン氏が司令官に留まる。
 米政府はこれまでのアフガン政策が成功していないことを認めており、ゲーツ長官はアフガン戦略転換を受け、軍事面でも新たな指導者が必要だとしている。



●民間人犠牲に遺憾表明=アフガンと合同調査実施へ-米
【ワシントン6日時事】クリントン米国務長官は6日、アフガニスタン西部で米軍主体の駐留連合軍が行った空爆で多数の民間人死者が出たことについて、「心の底から遺憾に思う」と哀悼の意を表明するとともに、米国とアフガン両政府による合同調査を行う方針を明らかにした。
 アフガンのカルザイ大統領、パキスタンのザルダリ大統領との3者会談の席上、語った。(


●米軍機の空爆、死者数147人 大半が民間人
【5月8日産経新聞】
 アフガニスタン西部ファラー州当局者は8日、同州バラバロク地区での米軍機の空爆による死者数が147人に上ったことを明らかにした。大半が民間人で、アフガン政府などが誤爆の原因究明を進めている。
 空爆は反政府武装勢力タリバン掃討のため、4日から5日にかけて同地区の2つの村で行われた。州当局者によると、それぞれ90人と57人が死亡し、多くが女性や子どもだった。アフガンでは米軍主体の外国部隊による民間人への誤爆被害が頻発。反米感情が高まる原因となっている。(共同)


●欧米の別の見方:アフガンのドラッグ貿易が拡大
West looked the other way as Afghan drug trade exploded
【5月10日 McClatchy Newspapers 】
http://www.mcclatchydc.com/world/story/67722.html

「ケシ御殿」と彼らは呼んでいる。有刺鉄線と警備員小屋の背後に3階から4階のローマ風の柱と大理石で覆われた住宅がアフガンの首都のカブールにいくつも建っている。
多くはアフガン政府職員や政府関係者らのものだ。彼らは数百ドルの月給だが、数十万ドルする装甲SUV車の車列に護られた車で移動する人々だ。
カブールの不動産産業の興隆は戦争で破壊された南方とはかけ離れた世界だ。しかしこれらの多くの住宅はヘルマンドとカンダハル地方のケシ栽培で得れる利益で建てられたものだ。
「これらの建物を見れば分かるように、尋常な金ではない、ドラッグ・マネーさ」と、2007年以来、カンダハル地方にある都市の市長であるハイダー・ハミディ氏は語る。
「ドラッグ業者の背後に大臣や県知事らがいる。時には彼ら自身がドラッグ業をする場合さえある」
去年、ヘルマンドとカンダハル地方はアフガンでのケシ栽培の75%を占めたし、ヘルマンドだけで、世界のアヘン供給のトップになっている。
アメリカとNATO軍がこのドラッグ問題にこの6年間真剣に対処してこなかったためだ、とアフガンとヨーロッパの高官は言う。
「NATO軍は、禁止とか根絶とか一切したがらなかった」とブッシュ政権時、麻薬対策の担当者であったトーマス・シュウェイチ氏は語る。
現在では、ヘルマンドとカンダハルは復活したタリバンの支配するアフガンの麻薬州の中心になっている。
ドラッグはそこでは主要な収入源だ。そして大方の政治家や警察官僚はドラッグ業者とつながっている。「カンダハルで最近2年間、よい警察官を見たことがない。」という。
西ヘルマンド地方のナド・アリでは、数千エーカーの政府所有の土地が、ケシのプランテーションとして灌漑され、耕作され、井戸も掘られて、大型機械で畑が耕されている。
その地方の警察は、昨年政府の「根絶チーム」に発砲したことがあった。
アメリカやNATO軍がこの麻薬とヘロインが市場に流れることを止めるために何をしたのか、という質問に、アフガンの麻薬対策担当大臣であるコダイダド大佐は、即座に「何もしなかった」と答えた。
アフガン政府も大したことはしてこなかった。・・・
・・・
 ヘロインがカンダハルの主要な問題となり始めたのはいつ頃かとの問いに、ヘロイン患者のアハマドゥラ氏は、「欧米の軍隊が来てカルザイが大統領になった、その後しばらくしてからだ」と答えた。
・・・以下略


●アフガニスタン再建の躓きの石-麻薬取引のグローバル化
 http://www.ritsbagakkai.jp/pdf/435_03.pdf

・・・
2. 対ソ戦に導入されたアフガニスタンのアヘン
黄金の三日月地域におけるアヘン取引は,ソ連のアフガニスタン侵攻,及び,ソ連と戦うCIAの行動と密接な関係にある。ソ連のアフガニスタン進駐は1979 年から1989 年まで続いた。
 1979 年時点では黄金の三日月地帯のアヘン生産は大きなものではなかった。せいぜい,局地的な取引が行われていたに止まる。高度な化学的処理を必要とするヘロインなどは,パキスタンやアフガニスタンではまったく生産されていなかったのである(McCoy[1997])。
 麻薬の汚染地帯でなかった黄金の三日月地域でアヘン生産が増加した背景には,ソ連に対抗すべく,反ソ・ゲリラ組織のムジャヒディン(Mujahideen)にCIA が梃入れしたことがある。
 「地対空携帯ミサイル」(stinger missile)をはじめとした武器を彼らに買わすべく,CIA は,アヘン生産に彼らが手を染めることを黙認し,アヘン販売で得た資金を合法化するための「資金洗浄」(money laundering)に各種金融機関を利用した。この疑惑は,イラン・コントラ(Iran-Contra)スキャンダルではしなくも明らかになった。

・・・

 CIAがアフガニスタンのアヘン取引に大きく関与していたことを示す証拠はかなり多くある。にもかかわらず,国連のUNODC はそのことについて完全に黙殺している。いわんや,アフガニスタンにおけるアヘン生産の歴史についてまったく触れてはいない。現状のアヘン生産の膨大さを撲滅する必要があると指摘するだけである(http://www.unoc.org/pdf/publications/afgopium-economy-www.pdf)。
 上記で引用したチョスドフスキー(Chossudovsky)は,別のウェブサイトで,アフガニスタンのアヘン収益がCIA の中央アジアにおける工作資金になったし,アルカイダ支援にも使われたと指摘している(Chossudovsky, Michel, “War and Globalization, The Truth behind September 11,”
Global Outlook, 2002; http://globalresearch.ca/globaloutlook/truth911.html)。
・・・以下略
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