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米国債保有国(上の大きな二つの扇型部分が日本と中国)


◆3月30日

 東日本大震災がもたらす世界的な影響・・・

 今回のこの大震災が、人類文明史上、かつてない大規模な転換点になりうると考えられるだろう。自然の脅威の前にあっては本当に脆弱な人間の存在、ということを思い知らされる出来事である。

 世界的な経済力・技術力を持つ日本が蒙ったこの大災害により、世界も否応無しにその影響を受けざるを得ない。特にアメリカ国債の暴落が予想されるという。そうなれば、世界経済の崩壊である。このブログでかなり前から指摘した事だが、図らずも今回の日本を襲った大震災で一気にそれが加速されそうである。

 そして世界的に原発計画の縮小・停止ということが始まっている。石炭で蒸気のエネルギーを利用するようになり、石油で内燃機関を動かしてきた人類がいきなり原子力を使い出したのは、少々早過ぎたかもしれないのだ。

 恐らくは固体の石炭、液体の石油とくれば、次は恐らくは気体のガス、だったのではないだろうか? 日本の周辺海域にはメタン・ハイドレードが大量に存在している。サハリンには天然ガスが大量に埋蔵されている。

 これからは気体のガスを繋ぎのエネルギーとして、その間に新エネルギーを開発していく事がこれからの日本が願われていることではないかと考える。

 原子力は恐らく究極のエネルギーであろうから、それは人間がもっとまともな人間に進化した後に利用する、あるいはそうなった時、正しく利用できるようになる代物だと言えないだろうか?

 今は、欲の皮ばっかり突っ張っている者たちがあらゆる利権絡みでエネルギーを取扱っている。外国からの影響もあってまともな正しい政策が取られていないとしか考えられない。

 未だに余震は衰えていない。今後日本列島に何が起きるか分からないという懸念が払拭できないのであるから、政府は抜本的なエネルギー政策の転換が必要であることを認識すべきである。例えば福井県にある高速増殖炉「もんじゅ」は問題ばかり起こしているし、地震対策も貧弱だ。今起きている問題の解決のめども立っておらず、しかも一日5500万円も維持費が必要なのだ。

 もしも今回のような大地震が、あるいは多少とも小さい地震であってもそれが「もんじゅ」を襲えば、福島県の原発とは比較にならないほどの災害を日本ばかりか、世界に及ぼすことになろう。

 日本国民が声を上げねばならない。この期に及んで、まだ従来どおりのチビチビした思考の仕方しかできない者たちは、「天の声」が聞こえない、という情けなくも愚かな者たちであることを知るべきである。腹をくくるべきである。


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●世界的システミック危機:米国債のメルトダウンに備えよ
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24008
【3月28日 by Global Europe Anticipation Bulletin】

 悲惨な人的被害に加えて、日本を襲ったこの恐ろしい災害は不安定な米国債市場を更に動揺させている。GEAB No. 52で我々のチームは既に一連のアラブ革命、ペトロ・ドラーの壁の崩壊が2011年中に湾岸諸国の大量の米国債購入の停止へと繋がるかもしれない、と説明した。
 
 今回、我々は日本経済の突然のショッキングクな状況が日本の米国債購入にストップが掛かるというだけでなく、日本当局がかなりの量の米国債を復興のための資金として売却することを余儀なくさせるだろうと予想する。

 日本と湾岸諸国だけで米国債保有高合計は4兆4000億ドル(25%)となり、我々はこの新しい状況は、中国がますます米国債購入をためらっていることと相まって、2011年後半になれば唯一の購入者が連邦準備銀行である米国債市場の崩壊の原因を作ることになると考える。

 アメリカの地方自治体の債券の危機と欧州の国債の状況がますます悪化するだろうということは明白である。しかし日本とアラブ諸国によるショックを越えて、米国債市場の2011年後半における崩壊プロセスは下記の4点の影響で加速している:

1.アメリカの緊縮予算導入
2.連邦準備銀行のQE3(流動性資金3)実施は不可能
3.世界的インフレを背景にして避けられない金利上昇
4.米国通貨のセーフ・ヘブンの地位の終焉

 勿論、これらの出来事は相互に関連しあっているし、相互に影響を強化しあうので、2011年の第2四半期に突然ショックをもたらすのを目撃する時期に入っている。付随的に第5番目の出来事を追加することが出来よう:限定的なアメリカの力の麻痺である。あらゆる分野における共和党と民主党の日常的な対立状態は、アメリカ政府が映画「愚か者の船」のようになってしまったことを示している。事件が起きれば右往左往し戦略もないまま、断固とした意思もなく明確な行動を取る事ができないでいる。いうなれば、米国債の崩壊が始まれば、連邦政府からは彼らがどたばたし事態を更に悪化するであろうということ以外、期待できるものは何もない。

 我々は世界的スケールでの日本ショックに対する予想を示したいと考える。特にインフレと地政学的見地からのものを詳細に見て見たい。この号では米国債の崩壊をもたらすその他の出来事も分析し、世界的地政学的混乱プロセスが悪化していることを示している。

 日本を襲った三重災害(地震、津波、原発事故)は世界的システミック危機を加速・深刻化させることになる決定的事件である。とりわけ世界的地政学的混乱プロセス面ではそうである。

 破壊の規模、経済規模で世界で三番目に大きい日本のエネルギー・インフラに対する直接的影響、原発事故の深刻さ・・・これらは現在の国際的システムがこれ以上耐えることができない大きな衝撃の一つである。

 既に20年間も続いた慢性的な経済危機で弱まり、また世界で最大規模の財政赤字を持つ日本は、今大規模な復興のための資金を注ぐことと、エネルギー供給面、商業・工業分野の物流の混乱という変化に対応する必要に迫られている。

 しかも日本は最近数十年にわたっては世界的管理システムの基本的は部分を担っていた。東京は金融面での世界的中心の一つであり、ロンドン、ニューヨークと共に外国為替市場の三つの管理ハブの一つである。また日本経済は世界経済にとって重要な電子部品のかなりの部分を供給している。最終的には、我々が以前の号で分析したように、二つの内の一つのフロートであるイギリスと共に、アメリカは世界経済と通貨、金融問題をこの50年間に渡って管理してきたのだ。

 ここ数年、このフロートは中国の力が増しアメリカが衰えるのに合せて次第に中国の影響圏に惹かれてきていた。地震によって引き起こされたこの危機は、このトレンドを大いに加速させることになろう。とりわけ現在では日本ビジネスに大きな中国市場を開放し直接的な支援をしながら、中国だけが日本に対する大規模な資金援助の出来る国であるからだ。

 世界的インフレについては、既に我々は、日本の危機がインフレ圧力を加速させると思われる五つのチャネルを特定できる。 

1.世界的な民間の原子力産業の拡大政策の突然の終焉は、石油、ガス、石炭価格の急激な高騰をもたらすだろう。
2.多くの電子部品の品薄で電子製品価格の上昇が見込まれる(停電などで工場稼動や輸送面で問題が生じることで)
3.日本が食糧輸入(特に米)を強化することで世界の食糧とエネルギー価格の上昇が見込まれる。
4.輸出と正確な納品のチャンピオンであった日本経済が停止に近い状態となる結果、世界経済も更に下降する
5.最後に、日本銀行による流動性資金の大規模な注入で円の下落、復興のために日本が必要とする資金を借りるため、世界的にそのコスト(金利)の急激な上昇という二つの現象が起きるだろう。

 これらの予想は福島原発の爆発とそれに続くで放射能フォールアウトによって首都圏が大規模に汚染されるという究極的な災害シナリオを除外している。チェルノブイりのようなそのような状況は、3千万人の居住者がいて、世界が必要とする製品を生み出すこの地区を避難地域とすることに繋がるし、空前の歴史的人類的災害となり、即座に経済、世界的な金融、通貨市場の混乱に繋がる。単純に、東京と周辺地域が構成する世界的経済地域の突然の閉鎖に対するプランBという代替地域は存在しない。

 そういった究極的状況が具体化しないことを祈念しながら、我々は今回のこのショックが世界的システミック危機の突然の悪化に繋がると考え、また米国債市場が2011年後半の最初の付帯的損害を蒙る分野となると考える。

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サルコジとカダフィ

◆3月29日

 フランスは国内問題であるリビアの紛争に積極的に介入し、軍事的にカダフィを追い出しフランスが支援する前法相を担ぎ出して新政権を樹立させたいようだ。

 これはどういうことか、と言えば、ある国で工作員を使って反乱を起こしても、それで政府の弾圧で人が多数死ねば、「一般人を保護する」と称して反乱者に味方し政府を打倒し傀儡政権を樹立することができるということになるということだ。

 フランス大統領サルコジはユダヤ系であり、そのサルコジがお伺いを立てる人物が、これまたユダヤ系のオンリ・レビだというのも興味深い。ようするに、フランスはこのユダヤ人によってかき回され、リビアと言う主権国家を乗っ取る行為をしているのだ。フランスは今では国家元首がユダヤ人の国になってしまった。そしてやることはこのようにえげつないことなのだ。

 それにサルコジは大統領選の時、リビアから資金援助をしてもらったという。それをカダフィの息子が返せ、と言っている。本当だとすればこれまた恩を仇で返すことになり、更にえげつないことである
http://www.businessinsider.com/qaddafi-to-sarkozy-gimme-my-money-back-2011-3-17

 ドイツが今回のこのリビア問題から手を引いたのは懸命であった。ドイツもユダヤ人に牛耳られている(ホロコーストに異議を申し立てると犯罪となる国家になってしまった)が、それでもゲルマン魂はまだ滅びてはいないだろう。

 むかしドイツから来たエカテリーナという貴族の娘がロシア女帝となりロシアを興隆させたことがあった。ロシア人は潜在的にドイツに対する尊敬の念を持っている。だからロシア人とドイツ人とはうまくいく可能性が充分ある。今回、リビア問題でロシアとドイツが揃って安保理決議に棄権したことは、何かのサインになるかもしれない。

 ヨーロッパではドイツはフランスとの連携からロシアとの連携へと徐々にシフトしていく可能性が出てきていると思われる。こうして、リビア問題から端を発している問題は、今までの世界の枠組みをも変更させていくことになるのではないだろうか。


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●リビア戦争の理由と嘘の口実
http://counterpunch.org/johnstone03242011.html
【3月24日 by Diana Johnstone】

◆戦争の理由№1:政権交代

 これは、フランスのサルコジ大統領がベンガジの反政府勢力のことを、「リビア人の唯一正当な代表者」と承認するという極端な動きをしめした時に戦争の本当の目的として発表された。この承認はあらゆる外交的な現実と原則からの異常なほどの違反である。これは、現行のリビア政府、その制度を承認しない、ということであるが、それは世界に蔓延しているおかしな考え方に反して、一人の独裁者の人間性に帰結され得ないものである。
 
 ヨーロッパの大国であるフランスは、伝統的にリビアの不服従的な区域にいるわけの分からない反乱勢力を北アフリカの国家の正当政府と宣言するために、これらの制度を一掃したのだ。

 実際はそれは真実ではないので、戦争によって達成されるべき目標を宣言しただけのこととなった。フランスのこの発表はリビアに対する宣戦布告と同じことであり、カダフィを倒しおかしな反乱勢力をその代わりに国家の統治者に据える戦争を行うという宣言ということだ。


◆嘘の口実№1:一般人を保護するため

 この口実の嘘加減は明白である。先ず最初に、国連決議の「一般人を保護するため」軍事行動を許可する、というのはフランスによって立案されたものだ。フランスの目的は明らかに政権交代であり、欧米の同盟国もおなじだ。国連安保理の懸念が本当に「一般人の保護」にあるのならば、中立的な監視団を送ってリビアで起きている真実の内容を把握するべきであろう。反乱勢力が主張している、カダフィ政権は一般人を虐殺しているという内容には証拠はない。そのような目に見える証拠があるのならば、テレビのゴールデンアワーに規則的に映像が流れるはずなのだ。我々はそのような証拠となる映像を見ていない。国連現地調査団はすばやく組織されたであろう。そして国連安保理は自分達の目的のために国際的支援を狙った反乱勢力の主張の代わりに、実際の情報に基づいて動くことができたはずだ。 

 しかし、欧米勢力の道具にちょっと毛の生えたような安保理は、制裁に突進した。そして飛行禁止空域設定を許可することで、欧米勢力はリビアに対する全面戦争が許可されたと翻訳したのは確かだ。

 ひとたびアメリカとNATO同盟軍が「一般人の保護」を許可されたことで、持っている道具で:空爆、巡航ミサイルを使用する。これらは一般人の保護用ではなく、むしろ軍事的標的の破壊が目的であるし、必然的に一般人を殺害することに繋がるのだ。そのような付随的ダメージはいいとして、空港やその他の防衛関連施設にいるリビア軍人を殺害するどのような権利を我々は持っているのか? 彼らは我々に何かしたのか?


◆戦争の理由№2:それは簡単なことだから
 
 NATO軍がアフガンで泥沼状態になっているので、ある同盟国の指導部は、「人道的戦争」でちょっとした勝利をさっと獲得するのはいい考えではないかと考えたかもしれない。これは、彼らは願うのだが、軍事作戦に対する熱狂を再興させうるかもしれないし、独裁者を懲らしめる者であり民主主義のチャンピオンとして、人気が下降気味の政治家らが誇らしくなれるかもしれない。リビアは狙いやすい標的のようだ。それは大きな国だ。殆どは砂漠で、人口はたったの600万人だ。この国の防衛施設は全て地中海沿岸にあるので、NATO諸国の戦闘機とアメリカの巡航ミサイルが容易に到達できる範囲にある。リビア軍は弱小でテストされた事がない。グレナダより難しいがセルビアほど困難ではない、まあ一捻りだろう。サルコジと仲間らはすばやく勝利を勝ち誇ることができる。


◆嘘の口実№2:アラブ人がこの戦争を頼んだ

 3月12日、アラブ連盟はカイロで会議を持ち、リビアに飛行禁止空域を設けることを支持すると発表した。これはフランス主導の準NATO作戦にとっての追い風となった。「我々はアラブ世界からの要請に応えているのだ」と彼らは主張することができるだろう。しかしどのアラブ世界か? 一方では、サルコジはあつかましくも彼のカダフィに対する十字軍を、アラブ世界で起きている、独裁者らに対抗する民主的反乱に続くものである、と位置づけた。しかし同時に、自国の民主的反乱を弾圧している湾岸諸国の最も独裁的な君主たちの要請に応えるものであるとしている。(アラブ連盟がどのようにしてこの結論に至ったか詳細は明らかにされていないが、シリアとアルジェリアは強く反対した)

 欧米諸国の民衆は、これらアラブ世界の指導者らが欧米で言われている理由とは関係ない部分でカダフィを嫌う理由があることを知らないことが願われている。カダフィは面前で、これらアラブの君主たちがパレスチナ人を裏切ったことを指摘するのである。昨年、たまたまイギリス元首相のジョージ・ギャラウェイは語った、エジプト政府のガザに対する支援の反対に比べて、彼の支援キャラバンはリビアに立ち寄った際、人道支援物資を二倍にした。カダフィはずっと前に指導者達の救いようのない内容に匙を投げアラブ世界に背を向けアフリカに集中するようになった。

 カダフィに反対するアラブ連盟の利己的な姿勢が欧米では歓迎されたが、リビアの指導者に対する戦争に全会一致で反対を示したアフリカ連合の方は全く無視された。カダフィは石油収入のかなりの部分をサハラ以南アフリカへインフラ整備と開発に投資している。カダフィ政権を欧米勢力が転覆した後もリビアから前のように石油を買う事だろう。大きな違いは、ヨーロッパによってその地位を得ることになる新しい指導者は、アラブ連盟のお偉方の例に倣い、石油収入をアフリカへの投資からロンドンの株式市場と欧米の武器商人に向けることになろう。

 
◆本当の理由№3:サルコジはBHLのアドバイスに従ったから

 3月4日、フランスの文芸ダンディーのベルナー・オンリー・レビはベンガジで前法相のムスタファ・アブデルジャリルと個人的な話し合いを持った。この前法相は寝返って反乱勢力である「国家移行評議会(NTC)」の指導者になっている。その日の夕刻、BHLがサルコジを携帯電話で呼び出し、NTC指導部を受け入れる承諾を得た。この会合は3月10日、パリのエリゼ宮で行われた。ル・フィガロでベテランの記者であるルノー・ジラールが報告しているように、サルコジは喜んでいるリビア人に対してBHLと考えた計画を発表した:NTCを唯一のリビアの正当な代表者と認める、ベンガジにフランス大使を任命する、リビアの軍用空港に対する精密爆撃、アラブ連盟の祝福をつけて(既に獲得している)、というものだ。フランス外相のアラン・ジュッペはメディアを通して知ったフランス外交の劇的変化にびっくりした。


ベルナー・オンリ・レビ

 カダフィは反乱が起きてから、自分は職を持っていないから辞職はありえないと説明した。彼は、問題が起きた時にリビア人が相談を持ちかけることができる単なるガイドであると主張した。

 フランスもベルナー・オンリ・レビという非公式の精神的ガイドを持っていることが判明したわけだ。カダフィがテントの中で色鮮やかなコスチュームを着ている反面、BHLは申し分のないワイシャツを身につけ、男性的な胸元をはだけ、パリのサン=ジェルマン=デ=プレ駅付近をうろついている。どちらも選出された者ではない。両人とも自分達の神秘的なやり方で力を発揮している。

 アングロ・アメリカンの世界では、ベルナー・オンリ・レビは漫画の登場人物としてみなされている。どこかカダフィに似ているのだ。彼の「哲学」はカダフィのグリーン・ブックと同じ程度の支持者を持っている。しかしBHLは同じく金を非常に多く持っているし、多くの金持ち達の友人である。彼はジャーナリスト、作家、ショービジネスマン達をマラケシュにあるバケーション・パラダイスに招待し、リベラシオン紙とル・モンド紙という二つの中道左派の主要新聞の取締役であるので、フランス・メディア界に対する巨大な影響力を駆使している。

 彼は定期的に主流メディアに書きたいことを書き、出たいテレビ番組に出ている。フランスの普通の人々は多く彼のことをひどく嫌っている。しかし、人々は国連安保理決議でこの男を追っ払うことを期待することはできない。

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ダラアでのアサド大統領支持のデモ

◆3月26日
 
 アラブ世界で起きている「民主化革命」がシリアにも飛び火したようだ。シリアでは先代の、ハーフィズ・アサド大統領の時代から現在のバシャール・アサド大統領まで40年間の同家による治世があり、またバシャール・アサドが率いてクーデタを実行したバアス党を「国家を指導する政党」と憲法で規定し、バアス党の独裁体制となっている。

 当然不満分子が国内外にいることは論を待たない。しかしシリアとエジプト、あるいはチュニジアとは異なる点がある。シリアはアラブの大義を捨てたことはない、ということだ。中東問題といえば、パレスチナ難民問題に象徴されるように、イスラエルと欧米社会に対する各アラブ諸国の姿勢で、特にパレスチナ人の側に立ってシリアは鋭くイスラエルと対峙してきた歴史がある。これをシリア国民は支持している。

 従って、チュニジア、エジプト、そして今はリビア、イエメン、ヨルダン、バーレーン、サウジアラビアなどで起きている「民主化革命」はアラブ世界に拡大する一方であるが、シリアの民衆はシリアの改革は要求しても、アサド大統領の治世をリビアのように転覆させようとしたり、あるいはシリアを分断するようなことを願っているわけではない。

 これが、以下の記事に見られるように、実際にシリア各地で起きたデモは、最初にシリアで起きた騒乱が外国勢力による「シリア転覆工作」である、という認識からシリア国家の一体性を保護せんとするデモであり、またそのような外国勢力による撹乱工作を糾弾するデモとなっているのだ

 これはどの町のデモでも、アサド大統領の写真を掲げ、シリア国旗を翻していることからも、アサド大統領支持であり、シリアの国家の一体性を誇示するものであることが明らかである。

 それをしかし欧米のあるいはその資本の力によって偏向報道を行うアラブ系メディアによってゆがめられた偽情報が世界に流布されている。ようするにミソ・クソというやつである。もしシリアがリビアのようになったとすれば、それは外国勢力の「工作」が功を奏した、ということになろう。

 日本の新聞でも、数万人のデモが起きた、と報じているが、これが実はアサド大統領支持のデモであるとは書いてない。ようするに偽情報となっているのである。アラブ世界でデモが起きれば、それは反体制デモだ、とステレオタイプの見方しか出来ないから、本当は何が起きているか正しく理解していないし、正しく伝えていないことになるのだ。

 マスコミがマズゴミと言われる所以である。

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●シリア全土でアサド大統領支持の大衆デモ
http://www.sana.sy/eng/21/2011/03/25/338503.htm
【3月25日 SANA】

 シリアのダマスカスその他の地区では金曜日、昨日発表されたアサド大統領の決定とアサド大統領の下での国家統一を主張して大掛かりなデモが行われた。

 デモ隊はシリアの安全保障と安定、国家の一体性を揺るがすことを目的として組織化された外国のキャンペーンを拒否し非難することに集中した。 

 ダマスカスでは、大衆デモ隊は市中と郊外を練り歩いた。参加者は汎アラブ主義のシリアを標的とする外国勢力の工作に直面しているシリアにおいて、国家の一体性を厳守し安全保障と安定を保持することを主張した。



 参加者らは、またアサド大統領が出した新しい布告と決定は国民の問題に注目していることを示していると強調した。ハマ行政区では、金曜日の礼拝後に市民らがデモ行進を行い外国メディアのシリアとその安定に対する偏向と疑惑的な報道を非難した。

 国家の一体性と国内の安定を覆そうとする外国からの工作を拒否すると表明していた。

 デイール・エゾールでは、シリア人は一体化している、またそれを分断しようとする試みは無駄である、と強調していた。

 ホムス行政区でもデモ行進があり、国家の一体性を保持する重要性と国家の安全と安定を覆そうとする混乱をもたらす試みを拒否すると叫んでいた。



 行進はアル・ハサカとアル・クァミシュリ行政区でも行われた。参加者らはシリアを標的とする外国の工作に対抗して団結することを強調していた。

 アル・ラッカ行政区でもデモ行進が行われ、参加者らは母国とアサド大統領し、および彼の愛国的・汎アラブ主義的姿勢に対する誇りを口にし、いかなる工作がなされてもシリアは免疫があるので受け付けない、と叫んでいた。

 アレッポも多くの通りでデモ行進が行われた。デモ参加者らは、サーダラ・ジャビル広場に集結し、シリアの安全保障、安定、国家の姿勢を標的とする外国のキャンペーンを拒否する声をあげていた。



 人々はまたイドレブ行政区でもシリア人全員の利益になるアサド大統領の布告と決定を支持する行進を行った。

 スウェイデ、タルトス、クネイトラでもデモ行進があった。そこでも外国勢力から国家的価値を守護しようとする声が上がった。




 ダラ、ホム、ラタキアでのデモには政府に対する要求の声をあげる集会があった。参加者らは、更なる改革と腐敗に対する戦いを勧める声をあげた。

 一方、外国メディアと通信社のいくつかは、シリアの現状に対する捏造された虚偽の報道を継続している。それは混乱と暴動を引き起こし、政治、経済、公益事業に関する大統領の布告と決定後のシリアに存在するポジティブな雰囲気を台無しにしようとするものである。


●武装ギャングが将校クラブ襲撃・一般人に死傷者
【3月25日 SANA】

 武装グループが金曜日の集会を利用し、将校クラブに押し入り、内部を破壊、銃を撃ち放ったため、一般人一人が死亡、数人が負傷し、また付近の商店が損傷した。

 アル・サナミンの人民軍司令部を襲ったグループの何人かは殺された。
 高官の一人は、金曜日にダマスカス南方50kmにあるアル・サナミンの人民軍司令部を襲撃した武装グループは司令部内部に押し入ろうと図った、と語った。



 司令部護衛部隊は、このグループと銃撃戦で応じ、襲撃者らは数名の死者を出して鎮圧された。情報筋では、治安部隊は一般人を標的としたこの武装グループの捜索を継続すると語った。


●<シリア>各地でデモ 数万人が参加、過去最大規模に
毎日新聞 3月26日(土)1時10分配信

 【カイロ樋口直樹】シリア南部ダルアーで民主化要求デモに治安部隊が発砲、多数の死傷者を出した事件を受け、首都ダマスカスなど各地で25日、大規模な抗議デモが発生した。AP通信によると参加者は全国で数万人に達する見通しで、アサド政権下では過去最大規模とみられる。治安部隊との衝突で新たな死傷者が出たとも報じられており、事態は緊迫の度を増している。

 AP通信などが報じた目撃情報によると、イスラム教の「金曜礼拝」が行われた25日には、ダマスカスで数百人規模のデモがあったほか、近郊のドウマやテル、北西部のラタキア、中部ホムスでそれそれ数百~数千人規模のデモが発生した。82年の暴動鎮圧で数万人の死者を出したと言われる中部ハマでも数百人がデモに参加した。

 ダルアーでは犠牲者の葬儀に数千人が参列し、デモに発展した。

 デモ参加者はいずれも、ダルアーでの治安部隊の弾圧に抗議し、自由で民主的な社会の実現を要求。アサド大統領の弟で共和国防衛隊長のマーハル・アサド氏を「泥棒」と非難するなど、反体制色を一段と強めた。デモが行われたダルアー中心部から激しい銃撃音が聞かれた。衛星テレビ局アルジャジーラは、南部サナメインで20人が死亡したと伝えた。

 ダルアーでは先週末からの衝突で、少なくとも44人が死亡。事態の悪化を受け、シャアバン大統領顧問が24日、63年から続く非常事態宣言の解除の検討を含む政治改革や、逮捕者の釈放などを約束していた。同顧問は、アサド大統領が「もし警官が殺されても、(デモ参加者へ)実弾を発砲すべきではない」と命じていたと強調。住民の要求には「正当性がある」と述べ、発砲の責任追及▽住民の要求を聞く委員会の設置▽公務員給与の引き上げ▽汚職防止強化--なども約束した。

 ただ、同顧問は「シリアの混乱を狙う外部からの扇動者がいる」「外国メディアは事実を伝えていない」とも述べた。「過激派への対処」などを理由に、今後も治安部隊が実力行使する可能性を残した発言とみられる。

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リビア空爆

◆3月24日

 リビアに対する攻撃の正当性については既にその欠陥を示したが、NATO内でも意見がまちまちで、今回の国連の採択に棄権したドイツは、軍を撤退させる決断を下した。

 今回のリビア作戦が、複雑怪奇である、と指摘してきたが、どうやらこの事件を通して世界は再編成というか、新たな力関係の変化がもたらされる可能性が出てきた。

 今回の採択に棄権したロシアとドイツ、インドやブラジルなどが今後ある意味連帯的な姿勢を持ち始めるかもしれないのと、フランスやイギリスの欲望丸出しの姿勢をイタリアも覚めた目で見ている。

 特にドイツではメルケル首相の乗ったヘリコプターのエンジンが二つ同時に停止する騒ぎがあったことから、リビアから撤退するドイツにたいする工作がなされたのではないかと疑われる。これでドイツは決定的に反NATOにならないだろうか。その先にあるのは、ロシアとの連携である。
(http://www.dailymail.co.uk/news/article-1368093/Merkel-narrowly-escapes-helicopter-crash-engines-fail-mid-air.html?ITO=1490)

 アラブの親米国家で彼らも違った意味での独裁国家の主たちが、このリビア作戦に手を課そうとしている姿も醜い。

 このリビア作戦が「がらがらポン」となって、新しい世界が生み出されていくよすがとなるかどうか。その中で、今回はオバマ大統領のアメリカはNATOへ指揮権を手放すといっている。つまりアメリカも腰が引けているのだ。この動きはやがてオバマとプーチンの連帯などに繋がらないとも限らない姿勢である。


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●ドイツは対リビアNATO軍から撤退
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1368693/Libya-war-Germans-pull-forces-NATO-Libyan-coalition-falls-apart.html
【3月23日 By Daily Mail Reporter】

◆カダフィ大佐を暗殺するというイギリスの提案に対しアメリカのゲイツ国防長官が難色を示し緊張が高まった。
◆フランスは対リビア作戦を指揮する政策委員会の創設を提案
◆ドイツは対リビア作戦における合意がなされないためNATOから軍を撤退
◆イタリアは石油利権のためNATOを支持しているとフランスを非難
◆飛行禁止空域設定は最初の空爆でリビア空軍が不能状態になったので必要性が疑われている
◆イギリスの閣僚はこの戦争は30年続く、と発言
◆イタリアはNATOがこの作戦の責任を取らねば、提供している基地を撤回すると表明
◆ロシアは一般市民を守るため空爆停止を要請・空爆は十字軍と指摘

 ドイツ軍が、この対リビア作戦の指揮権をめぐる対立から撤退すると発表したため、リビア空爆を行っている同盟軍内部での亀裂が深まっている。

 ドイツ軍スポークスマンは、もしもNATOがアメリカから指揮権を取ればこの紛争にドイツが巻き込まれる恐れがあるため、二隻のフリゲート艦とAWACS偵察機を撤退させると述べた。

 内輪もめは、NATO大使会議で28カ国の同盟国が国連が容認した飛行禁止空域を実施する作戦を行うべきかどうかで合意できないため起きた、と外交筋が語った。昨日、アメリカとイギリスの代表者間で、カダフィ大佐暗殺は正当であるかないかをめぐって舌戦が繰り広げられた。イギリス代表は国連決議にあるように、一般人の犠牲者が出るのを阻止できるならばリビアの指導者を殺害することには正当性がある、と語った。

 しかしアメリカのロバート・ゲイツ国防長官は、リビアの指導者を標的にすることは馬鹿げた事であり、空爆は国連の委託内容を厳守すべきだと反論した。

 オバマ大統領は、再びイスラム教の国で戦争の泥沼に嵌ることを避けようとして21日、アメリカは数日以内にカダフィ軍に対する作戦指揮権をNATOに渡すと語った。

 しかしドイツと同盟諸国は論理的にヨーロッパとなんらの関係もない事柄にNATOが軍事行動を取ることに対して乗り気ではない。ドイツの国防大臣は23日、ドイツは地中海での軍事作戦から撤退すると発表した。同省のスポークスマンは、乗組員数550名になる二隻のフリゲート艦と他の二隻の艦船はドイツの指揮権内に復帰すると語った。

 また同省によれば、NATO内でAWACS偵察行動に従事している60名から70名のドイツ軍も撤退するという。ドイツはリビアの飛行禁止空域を設定する作戦には参加してない。また国連でそのことを認める採決で棄権した。

 19日にリビアに対する最初の空爆を行ったフランスは、アメリカが指揮するNATOにリビアでの作戦の政策的統制権を与えることに反対した。またトルコはNATOが介入する限界を設けることを要請した。

 つまらない争いを止めようと、フランスのアラン・ジュップ外相は23日、作戦を指導する新しい戦争委員会設置を提案した。

 この新しい機関は、イギリス、フランス、アメリカの外相、それにアラブ連盟からの代表者など、参加国の外相らを集わしめることになろう、と語った。

 一方、イタリア上院国防委員会のカントーニ委員長は、従来からのフランスのアンチNATOの姿勢が、将来のリビア政府との石油契約を確保したいという欲望によって動機付けられていると語った。

 いくつかの同盟国は、空爆でリビア政府の軍事力に対してダメージを与えたので、そもそも飛行禁止空域を今から設定する必要があるのか、という疑問を呈している。

 昨日のNATO会議についてある外交官は:会議は少々感情的になったと述べ、フランスはNATOがコマンド・アンド・コントロール能力を含む作戦支援をすることで、イギリス、アメリカ、フランスの同盟三カ国が作戦の指揮権を握るべきだと主張したと語った。またNATOが指揮権を握るべきであり、そうでなければ手を出すべきでないとし、NATOが補助的な役割しか持たないのでは意味がない、と語る者たちがいた、と述べた。

 トルコのアハメット・ダブトグル外相は、フランスが行った空爆は、国連安保理で容認された範囲を超えている、と述べた。国連の決定した内容があるが、それにははっきりとした制限が設けられている。その制限を越えたものには、正当性は与えられない、と外相はCNNトルコに語った。

 既に動揺している同盟に追い討ちを掛けるように、イタリアのフラッチーニ外相は、イタリアはNATOの対等関係構造が守られねば、リビア作戦のために同盟国に使用されている空軍基地の提供を取りやめると警告した。

 イギリスの閣僚らがリビア介入は今後30年間継続するかもしれない、と認めたのには驚かされる。ニック・ハーベイ英国軍国務大臣は期間を尋ねられて「何時まで続くのか? 我々はいつまでかわからない」と応えた。「我々はこれが行き詰るかどうかわからない。彼の力が急速に衰えるかどうか分からない。一週間後にまた尋ねてくれ」

 アメリカでは、オバマ大統領はリビア問題では指導的役割を担う意思はないことを明確にしている。大統領はリビアでの軍事作戦が始まっているのに南米諸国歴訪を継続したことで批判されている。大統領は昨日再び、カダフィ大佐の退陣を要求すると共に、アメリカは力で彼を退陣させるつもりはなく、単に飛行禁止空域を設定することを望んでいると主張した。

 既に「大躊躇人」なるタイトルを頂戴しているほどへっぴり腰の大統領は、アメリカ軍を動員する前に議会の承認を得なかったことで批判されている。

 昨日のカミカゼ攻撃でカダフィ大佐の息子が殺されたという報告が上がってきた後、アメリカは一体リビアで何を達成しようとしているのか、という疑問がわきあがってきている。

 譲歩しないトルコと疑惑的なアラブ連盟など、オバマ大統領はイラク戦争時のブッシュ大統領(当時)より同盟者は少ないことが指摘される。彼は共和党と民主党の両方から、議会の承認前にアメリカ軍を戦争に突入させる決定をしたことで批判を受けている。数多くの議員がオバマ大統領が議会の承認なしに軍に攻撃を許可したことで憲法の枠を超えたと批判をしている。 

 オバマ大統領は、議会に向けた二頁の書簡で、カダフィ大佐は退陣すべきこと、アメリカは一般人の保護を目的とする飛行禁止空域設定のためのみにリビアに行っている、と繰り返し自説を述べて反駁した。

 フランスは既にこの紛争では指導的役割を担っている。サルコジ大統領はパリでの会議を仕切り、飛行禁止空域の実施のための空爆を最初に行った。

 昨夜、イギリスの軍トップはカダフィ大佐を殺害するための攻撃の正当性をめぐって議会でかつてない意見の衝突の中で散々叩かれた。

 総参謀長のサー・デイビッド・リチャードは、リビアの独裁者は暗殺の正当なる標的になりうるという大臣らの提案をそっけなく拒否した後、こっぴどく批判された。

 首相官邸と外務省高官らは、カダフィ大佐暗殺は正当である、なぜならリビア人の生命を保護することになるからだとしてすばやく異議を唱えた。 

 アメリカのロバート・ゲイツ国防長官はカダフィを殺害することは馬鹿げた事ととして、その提案をすぐ退けた。彼は飛行禁止空域設定を支持する国際的連帯の一体性を損なう事になると警告した。「もしも我々が追加の目的を設定し始めれば、問題を抱えることになる、と思う」と語った。「自分はまた、達成できないかもしれないような目標を設定することは賢いとは言えないと思う」と語った。

 オバマ氏は、イギリスのデイビッド・キャメロン首相と軍事行動が始まってからまだそれについて直接話し合ってはいない。作戦開始数日で起きたいさかいはカダフィ攻撃の「隠密作戦」に絡んで緊張が高まった。

 一方、同盟国は、一般人やジャーナリストが人間の盾として使われているとSAS兵士が警告したことでトルネード爆撃機による空爆を取りやめた。またロシアのプーチン首相は、国連が支持するこの作戦を中世の十字軍と対比させた。

 19日、カダフィの息子が、イギリスのHMSトライアンフ潜水艦からのトマホークミサイルによってカダフィの敷地内で殺されたと言われている。そのすぐ後、この敷地内は千ポンドの精密爆弾によって瓦礫の山となった。この区域はカダフィのテントから150ヤード離れたところにある。

 爆撃の時にカダフィがどこにいたのかわかっていない。しかしこの攻撃後、彼の行方は分からない。砂漠へ逃げ込んだかもしれない。政府の高官筋は、カダフィ政権の心臓部に向けられたこの象徴的で大きな攻撃を「警告弾」と評した。

 しかしロシアのプーチン首相からは直裁的な非難が向けられた。彼は国連の採択する軍事力の使用はイスラム教徒が言うように十字軍に先祖帰りすることになる、と言ったのだ。「この決議は不完全で欠陥がある」とプーチンは指摘した。「なんでも可能にさせてしまうだろう。これは中世の十字軍が召集されたことを思い起こさせるものだ」

 アムル・ムッサアラブ連盟事務局長は、飛行禁止空域は支持するが、「アラブ連盟は基本的には空爆に反対である」と語った。北大西洋委員会は、NATO諸国の合意を得る為に23日に会合を持つ。

 トルコのエルドアン首相は、空爆を「できるだけ早期に」終了することを呼びかけている。「もしもNATOが作戦遂行に向かうのならば、我々には条件がある」と彼は語った。「NATOはリビアはリビア人に属する、ということを認識し認めるということだ。地下の資源と冨の分配のための作戦であってはならない

 トルコのアハメト・ダブトグル外相は、「同盟の結成における法的手続きは欧米諸国において充分には尊重されなかった」と語った。

 キャメロン首相は、「国連、アメリカ、イギリス、フランスなど、それに国際社会が彼らの苦悩と圧制に対して手を差し伸べようとしていることを知りたがっている数百万もの人々がアラブ世界にいる」と回答した。

 カタールの軍用機が飛行禁止空域作戦に参加する、またアラブ首長国連邦も支援を要請されていると国防省高官は述べている。

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欧米による分断の標的にされたリビア?

◆3月23日

 3月17日に国連でリビアに対する軍事行動を容認する採決が可決した。ロシアは棄権した。ここでロシアが拒否権を行使すれば、採択されなかったので、リビアに対する軍事行動は国連安保理のお墨付きがないことになり、軍事介入がしにくい情勢になったはずだ。

 このロシアの「棄権」、という選択肢に対しロシアのプーチン首相が不満を漏らし、それに対してメドベージェフ大統領が批判した。殆ど始めてとなる両者の対立である。

 リビアという主権国家に対する外国軍の軍事介入という問題である。プーチン首相の視点は今までの欧米社会が9月11日同時多発テロ以来、アフガンやイラクへ軍事介入し泥沼状態をもたらし、近年ではイランへの軍事介入をちらつかせていることに対する反発がある。

 国連の安保理では「武力行使容認決議を採択」、というが、国連が対象としている紛争は国際の平和を乱す、というような問題であって、国と国との紛争が国際の平和を乱す、という意味であるから一国の内紛がその範疇に入るのか、という問題がある

 「第42条:安全保障理事会は、第41条に定める措置では不充分であろうと認め、又は不充分なことが判明したと認めるときは、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動をとることができる。この行動は、国際連合加盟国の空軍、海軍又は陸軍による示威、封鎖その他の行動を含むことができる。」

 このブログでも既に3月2日号の「米英仏がリビアに数百人の軍事顧問団派遣」で示したように、基本的には一国の内紛に外国の軍事介入は避けるべきである。その理由は既に示した。それに民族自決の原則、というものもあるからだ。

 ましてアラブ諸国の内でも親米といわれる国家が、今回の安保理の決議に賛成としたのも、お笑いである。リビア政府が反体制派の民衆に向けて発砲して虐殺していることで民主化の声を圧殺しているから軍事介入だというのならば、自分達も自国民に発砲し虐殺していないのか、というのだ。自分達の秤で他人を計れば、今度は自分達が同じ秤で計られるのである。必ず近い将来には、自分達も同じ目に遭うことになる。

 しかし、リビアの場合は、3月6日号の「イスラエルのリビア軍事介入」で示したように、イスラエルが民間会社を通じてリビアに傭兵部隊を送っている。従って純粋な国内の内紛の枠組みを越えていると判断できる。実は独裁国家の独裁者がイスラエルなどの外国人傭兵を護衛兵に使っているという例は他にもあった(ある?)。

 こうなると、後は力と力のガチンコ勝負と言う事になりがちだ。そこでフランスやイギリスはリビアで獲得した石油などの利権という現実問題があるから、アメリカより意欲的だったかもしれない。恐らく反体制派が占領している地域を確保することで、その辺りに集中している石油関連の利権を確保するという意図があるのではないだろうか。つまりリビアを分断する意図が隠されている、と思われるのだ

 プーチン首相がリビアへの軍事介入を容認するような安保理の決議に不満なのは、そのようなフランス・イギリスの意図を知っているからかもしれない。中東に対しての近・現代のフランス・イギリスのやり方はアラブ民族を分断することで強国を無くす、というものであった。そしてメドベージェフは欧米の意図に賛成した、ということだろう。これでメドベージェフのお里が知れたことになろう。

 しかしアメリカではリビアに対する軍事力行使は憲法違反だ、という声が上がっている。9月11日同時多発テロの場合には、アメリカのビルなどが攻撃されたため、その犯人と見定めたオサマ・ビンラディンとアルカイダが反撃の対象として議会も認めたが、今回はアメリカがリビアから攻撃されたわけではない。従ってリビア攻撃の正当性に欠ける、というわけだ。論理的にはその通りであろう。それに宣戦布告は議会の専任事項であり、大統領が勝手に戦争を始めることはできないのだ。さあ、アメリカはどうなるのか?


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●露の大統領×首相…リビアめぐり真っ向対立
読売新聞 3月23日(水)9時44分配信
 【モスクワ=寺口亮一】リビアに対する英米仏など多国籍軍による空爆の根拠となった国連安保理決議を巡って、ロシアのメドベージェフ大統領とプーチン首相の見解が対立し、「二頭体制」が発足した2008年以来、「最も激しいやりとり」と注目を集めている。
 首相は21日、安保理決議を「不完全で欠点がある」「(決議は)中世の十字軍を想起させる」と批判した。一方、大統領は同日、「決議はリビア情勢を反映しており間違いとは思わない」と述べ、「十字軍」との表現についても「文明の衝突につながる表現は容認できない」と批判した。重要な外交政策を巡り2人が公然と争うのは異例。地元メディアでは来年の大統領選をにらんだ動きなのか、単なる見解の相違なのか臆測が飛び交っている。


●「十字軍」に徹底抗戦を=カダフィ大佐
時事通信 3月20日(日)
 【カイロ時事】リビアの最高指導者カダフィ大佐は20日、国営テレビを通じて演説し「十字軍の不当な攻撃に直面している。武器庫を開放し全ての国民が武器を手に取った」と述べ、米英仏軍などへの徹底抗戦を呼び掛けた。また、これに先立つ19日の演説では「地中海は戦場と化した」と訴え、欧米に報復攻撃を加えると主張した。・・・


●リビア:国連安保理 武力行使容認決議を賛成多数で採択
 【ニューヨーク山科武司】国連安全保障理事会は17日、リビア上空の飛行禁止空域設定などを盛り込んだ新たな対リビア武力行使容認決議案を賛成多数で採択した。決議には「市民を守るため、必要なあらゆる方策を取る」との文言が記された。これを受け米英仏などは、反政府勢力の拠点への攻勢を強めているカダフィ政権に対する空爆を含む武力行使を準備する。
 決議案には15理事国のうち草案を作成した英仏米など10カ国が賛成。中国、ロシア、インド、ドイツ、ブラジルは棄権した。
 決議案は、2月26日に採択した制裁決議と同様に国連憲章第7章(平和に対する脅威)を明記した。だが今回は41条(経済制裁)には言及せず、武力行使を含むあらゆる選択肢を可能とした。その上で「カダフィ政権の攻撃の脅威にさらされるリビア市民を守るあらゆる方策をとる」と強調した。・・・


●米軍のリビア攻撃は憲法違反
http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/22/libyan-conflict-unconstitutional-obama-warned
【3月22日 guardian.co.uk】
 オバマ大統領のリビアに対する軍事行動は憲法違反であると共和党が主張することで、アメリカの世論は分裂気味である。・・・

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