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ダラアでのアサド大統領支持のデモ
◆3月26日
アラブ世界で起きている「民主化革命」がシリアにも飛び火したようだ。シリアでは先代の、ハーフィズ・アサド大統領の時代から現在のバシャール・アサド大統領まで40年間の同家による治世があり、またバシャール・アサドが率いてクーデタを実行したバアス党を「国家を指導する政党」と憲法で規定し、バアス党の独裁体制となっている。
当然不満分子が国内外にいることは論を待たない。しかしシリアとエジプト、あるいはチュニジアとは異なる点がある。シリアはアラブの大義を捨てたことはない、ということだ。中東問題といえば、パレスチナ難民問題に象徴されるように、イスラエルと欧米社会に対する各アラブ諸国の姿勢で、特にパレスチナ人の側に立ってシリアは鋭くイスラエルと対峙してきた歴史がある。これをシリア国民は支持している。
従って、チュニジア、エジプト、そして今はリビア、イエメン、ヨルダン、バーレーン、サウジアラビアなどで起きている「民主化革命」はアラブ世界に拡大する一方であるが、シリアの民衆はシリアの改革は要求しても、アサド大統領の治世をリビアのように転覆させようとしたり、あるいはシリアを分断するようなことを願っているわけではない。
これが、以下の記事に見られるように、実際にシリア各地で起きたデモは、最初にシリアで起きた騒乱が外国勢力による「シリア転覆工作」である、という認識からシリア国家の一体性を保護せんとするデモであり、またそのような外国勢力による撹乱工作を糾弾するデモとなっているのだ。
これはどの町のデモでも、アサド大統領の写真を掲げ、シリア国旗を翻していることからも、アサド大統領支持であり、シリアの国家の一体性を誇示するものであることが明らかである。
それをしかし欧米のあるいはその資本の力によって偏向報道を行うアラブ系メディアによってゆがめられた偽情報が世界に流布されている。ようするにミソ・クソというやつである。もしシリアがリビアのようになったとすれば、それは外国勢力の「工作」が功を奏した、ということになろう。
日本の新聞でも、数万人のデモが起きた、と報じているが、これが実はアサド大統領支持のデモであるとは書いてない。ようするに偽情報となっているのである。アラブ世界でデモが起きれば、それは反体制デモだ、とステレオタイプの見方しか出来ないから、本当は何が起きているか正しく理解していないし、正しく伝えていないことになるのだ。
マスコミがマズゴミと言われる所以である。
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●シリア全土でアサド大統領支持の大衆デモ
http://www.sana.sy/eng/21/2011/03/25/338503.htm
【3月25日 SANA】
シリアのダマスカスその他の地区では金曜日、昨日発表されたアサド大統領の決定とアサド大統領の下での国家統一を主張して大掛かりなデモが行われた。
デモ隊はシリアの安全保障と安定、国家の一体性を揺るがすことを目的として組織化された外国のキャンペーンを拒否し非難することに集中した。
ダマスカスでは、大衆デモ隊は市中と郊外を練り歩いた。参加者は汎アラブ主義のシリアを標的とする外国勢力の工作に直面しているシリアにおいて、国家の一体性を厳守し安全保障と安定を保持することを主張した。
参加者らは、またアサド大統領が出した新しい布告と決定は国民の問題に注目していることを示していると強調した。ハマ行政区では、金曜日の礼拝後に市民らがデモ行進を行い外国メディアのシリアとその安定に対する偏向と疑惑的な報道を非難した。
国家の一体性と国内の安定を覆そうとする外国からの工作を拒否すると表明していた。
デイール・エゾールでは、シリア人は一体化している、またそれを分断しようとする試みは無駄である、と強調していた。
ホムス行政区でもデモ行進があり、国家の一体性を保持する重要性と国家の安全と安定を覆そうとする混乱をもたらす試みを拒否すると叫んでいた。
行進はアル・ハサカとアル・クァミシュリ行政区でも行われた。参加者らはシリアを標的とする外国の工作に対抗して団結することを強調していた。
アル・ラッカ行政区でもデモ行進が行われ、参加者らは母国とアサド大統領し、および彼の愛国的・汎アラブ主義的姿勢に対する誇りを口にし、いかなる工作がなされてもシリアは免疫があるので受け付けない、と叫んでいた。
アレッポも多くの通りでデモ行進が行われた。デモ参加者らは、サーダラ・ジャビル広場に集結し、シリアの安全保障、安定、国家の姿勢を標的とする外国のキャンペーンを拒否する声をあげていた。
人々はまたイドレブ行政区でもシリア人全員の利益になるアサド大統領の布告と決定を支持する行進を行った。
スウェイデ、タルトス、クネイトラでもデモ行進があった。そこでも外国勢力から国家的価値を守護しようとする声が上がった。
ダラ、ホム、ラタキアでのデモには政府に対する要求の声をあげる集会があった。参加者らは、更なる改革と腐敗に対する戦いを勧める声をあげた。
一方、外国メディアと通信社のいくつかは、シリアの現状に対する捏造された虚偽の報道を継続している。それは混乱と暴動を引き起こし、政治、経済、公益事業に関する大統領の布告と決定後のシリアに存在するポジティブな雰囲気を台無しにしようとするものである。
●武装ギャングが将校クラブ襲撃・一般人に死傷者
【3月25日 SANA】
武装グループが金曜日の集会を利用し、将校クラブに押し入り、内部を破壊、銃を撃ち放ったため、一般人一人が死亡、数人が負傷し、また付近の商店が損傷した。
アル・サナミンの人民軍司令部を襲ったグループの何人かは殺された。
高官の一人は、金曜日にダマスカス南方50kmにあるアル・サナミンの人民軍司令部を襲撃した武装グループは司令部内部に押し入ろうと図った、と語った。
司令部護衛部隊は、このグループと銃撃戦で応じ、襲撃者らは数名の死者を出して鎮圧された。情報筋では、治安部隊は一般人を標的としたこの武装グループの捜索を継続すると語った。
●<シリア>各地でデモ 数万人が参加、過去最大規模に
毎日新聞 3月26日(土)1時10分配信
【カイロ樋口直樹】シリア南部ダルアーで民主化要求デモに治安部隊が発砲、多数の死傷者を出した事件を受け、首都ダマスカスなど各地で25日、大規模な抗議デモが発生した。AP通信によると参加者は全国で数万人に達する見通しで、アサド政権下では過去最大規模とみられる。治安部隊との衝突で新たな死傷者が出たとも報じられており、事態は緊迫の度を増している。
AP通信などが報じた目撃情報によると、イスラム教の「金曜礼拝」が行われた25日には、ダマスカスで数百人規模のデモがあったほか、近郊のドウマやテル、北西部のラタキア、中部ホムスでそれそれ数百~数千人規模のデモが発生した。82年の暴動鎮圧で数万人の死者を出したと言われる中部ハマでも数百人がデモに参加した。
ダルアーでは犠牲者の葬儀に数千人が参列し、デモに発展した。
デモ参加者はいずれも、ダルアーでの治安部隊の弾圧に抗議し、自由で民主的な社会の実現を要求。アサド大統領の弟で共和国防衛隊長のマーハル・アサド氏を「泥棒」と非難するなど、反体制色を一段と強めた。デモが行われたダルアー中心部から激しい銃撃音が聞かれた。衛星テレビ局アルジャジーラは、南部サナメインで20人が死亡したと伝えた。
ダルアーでは先週末からの衝突で、少なくとも44人が死亡。事態の悪化を受け、シャアバン大統領顧問が24日、63年から続く非常事態宣言の解除の検討を含む政治改革や、逮捕者の釈放などを約束していた。同顧問は、アサド大統領が「もし警官が殺されても、(デモ参加者へ)実弾を発砲すべきではない」と命じていたと強調。住民の要求には「正当性がある」と述べ、発砲の責任追及▽住民の要求を聞く委員会の設置▽公務員給与の引き上げ▽汚職防止強化--なども約束した。
ただ、同顧問は「シリアの混乱を狙う外部からの扇動者がいる」「外国メディアは事実を伝えていない」とも述べた。「過激派への対処」などを理由に、今後も治安部隊が実力行使する可能性を残した発言とみられる。
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