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リビア空爆

◆3月24日

 リビアに対する攻撃の正当性については既にその欠陥を示したが、NATO内でも意見がまちまちで、今回の国連の採択に棄権したドイツは、軍を撤退させる決断を下した。

 今回のリビア作戦が、複雑怪奇である、と指摘してきたが、どうやらこの事件を通して世界は再編成というか、新たな力関係の変化がもたらされる可能性が出てきた。

 今回の採択に棄権したロシアとドイツ、インドやブラジルなどが今後ある意味連帯的な姿勢を持ち始めるかもしれないのと、フランスやイギリスの欲望丸出しの姿勢をイタリアも覚めた目で見ている。

 特にドイツではメルケル首相の乗ったヘリコプターのエンジンが二つ同時に停止する騒ぎがあったことから、リビアから撤退するドイツにたいする工作がなされたのではないかと疑われる。これでドイツは決定的に反NATOにならないだろうか。その先にあるのは、ロシアとの連携である。
(http://www.dailymail.co.uk/news/article-1368093/Merkel-narrowly-escapes-helicopter-crash-engines-fail-mid-air.html?ITO=1490)

 アラブの親米国家で彼らも違った意味での独裁国家の主たちが、このリビア作戦に手を課そうとしている姿も醜い。

 このリビア作戦が「がらがらポン」となって、新しい世界が生み出されていくよすがとなるかどうか。その中で、今回はオバマ大統領のアメリカはNATOへ指揮権を手放すといっている。つまりアメリカも腰が引けているのだ。この動きはやがてオバマとプーチンの連帯などに繋がらないとも限らない姿勢である。


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●ドイツは対リビアNATO軍から撤退
http://www.dailymail.co.uk/news/article-1368693/Libya-war-Germans-pull-forces-NATO-Libyan-coalition-falls-apart.html
【3月23日 By Daily Mail Reporter】

◆カダフィ大佐を暗殺するというイギリスの提案に対しアメリカのゲイツ国防長官が難色を示し緊張が高まった。
◆フランスは対リビア作戦を指揮する政策委員会の創設を提案
◆ドイツは対リビア作戦における合意がなされないためNATOから軍を撤退
◆イタリアは石油利権のためNATOを支持しているとフランスを非難
◆飛行禁止空域設定は最初の空爆でリビア空軍が不能状態になったので必要性が疑われている
◆イギリスの閣僚はこの戦争は30年続く、と発言
◆イタリアはNATOがこの作戦の責任を取らねば、提供している基地を撤回すると表明
◆ロシアは一般市民を守るため空爆停止を要請・空爆は十字軍と指摘

 ドイツ軍が、この対リビア作戦の指揮権をめぐる対立から撤退すると発表したため、リビア空爆を行っている同盟軍内部での亀裂が深まっている。

 ドイツ軍スポークスマンは、もしもNATOがアメリカから指揮権を取ればこの紛争にドイツが巻き込まれる恐れがあるため、二隻のフリゲート艦とAWACS偵察機を撤退させると述べた。

 内輪もめは、NATO大使会議で28カ国の同盟国が国連が容認した飛行禁止空域を実施する作戦を行うべきかどうかで合意できないため起きた、と外交筋が語った。昨日、アメリカとイギリスの代表者間で、カダフィ大佐暗殺は正当であるかないかをめぐって舌戦が繰り広げられた。イギリス代表は国連決議にあるように、一般人の犠牲者が出るのを阻止できるならばリビアの指導者を殺害することには正当性がある、と語った。

 しかしアメリカのロバート・ゲイツ国防長官は、リビアの指導者を標的にすることは馬鹿げた事であり、空爆は国連の委託内容を厳守すべきだと反論した。

 オバマ大統領は、再びイスラム教の国で戦争の泥沼に嵌ることを避けようとして21日、アメリカは数日以内にカダフィ軍に対する作戦指揮権をNATOに渡すと語った。

 しかしドイツと同盟諸国は論理的にヨーロッパとなんらの関係もない事柄にNATOが軍事行動を取ることに対して乗り気ではない。ドイツの国防大臣は23日、ドイツは地中海での軍事作戦から撤退すると発表した。同省のスポークスマンは、乗組員数550名になる二隻のフリゲート艦と他の二隻の艦船はドイツの指揮権内に復帰すると語った。

 また同省によれば、NATO内でAWACS偵察行動に従事している60名から70名のドイツ軍も撤退するという。ドイツはリビアの飛行禁止空域を設定する作戦には参加してない。また国連でそのことを認める採決で棄権した。

 19日にリビアに対する最初の空爆を行ったフランスは、アメリカが指揮するNATOにリビアでの作戦の政策的統制権を与えることに反対した。またトルコはNATOが介入する限界を設けることを要請した。

 つまらない争いを止めようと、フランスのアラン・ジュップ外相は23日、作戦を指導する新しい戦争委員会設置を提案した。

 この新しい機関は、イギリス、フランス、アメリカの外相、それにアラブ連盟からの代表者など、参加国の外相らを集わしめることになろう、と語った。

 一方、イタリア上院国防委員会のカントーニ委員長は、従来からのフランスのアンチNATOの姿勢が、将来のリビア政府との石油契約を確保したいという欲望によって動機付けられていると語った。

 いくつかの同盟国は、空爆でリビア政府の軍事力に対してダメージを与えたので、そもそも飛行禁止空域を今から設定する必要があるのか、という疑問を呈している。

 昨日のNATO会議についてある外交官は:会議は少々感情的になったと述べ、フランスはNATOがコマンド・アンド・コントロール能力を含む作戦支援をすることで、イギリス、アメリカ、フランスの同盟三カ国が作戦の指揮権を握るべきだと主張したと語った。またNATOが指揮権を握るべきであり、そうでなければ手を出すべきでないとし、NATOが補助的な役割しか持たないのでは意味がない、と語る者たちがいた、と述べた。

 トルコのアハメット・ダブトグル外相は、フランスが行った空爆は、国連安保理で容認された範囲を超えている、と述べた。国連の決定した内容があるが、それにははっきりとした制限が設けられている。その制限を越えたものには、正当性は与えられない、と外相はCNNトルコに語った。

 既に動揺している同盟に追い討ちを掛けるように、イタリアのフラッチーニ外相は、イタリアはNATOの対等関係構造が守られねば、リビア作戦のために同盟国に使用されている空軍基地の提供を取りやめると警告した。

 イギリスの閣僚らがリビア介入は今後30年間継続するかもしれない、と認めたのには驚かされる。ニック・ハーベイ英国軍国務大臣は期間を尋ねられて「何時まで続くのか? 我々はいつまでかわからない」と応えた。「我々はこれが行き詰るかどうかわからない。彼の力が急速に衰えるかどうか分からない。一週間後にまた尋ねてくれ」

 アメリカでは、オバマ大統領はリビア問題では指導的役割を担う意思はないことを明確にしている。大統領はリビアでの軍事作戦が始まっているのに南米諸国歴訪を継続したことで批判されている。大統領は昨日再び、カダフィ大佐の退陣を要求すると共に、アメリカは力で彼を退陣させるつもりはなく、単に飛行禁止空域を設定することを望んでいると主張した。

 既に「大躊躇人」なるタイトルを頂戴しているほどへっぴり腰の大統領は、アメリカ軍を動員する前に議会の承認を得なかったことで批判されている。

 昨日のカミカゼ攻撃でカダフィ大佐の息子が殺されたという報告が上がってきた後、アメリカは一体リビアで何を達成しようとしているのか、という疑問がわきあがってきている。

 譲歩しないトルコと疑惑的なアラブ連盟など、オバマ大統領はイラク戦争時のブッシュ大統領(当時)より同盟者は少ないことが指摘される。彼は共和党と民主党の両方から、議会の承認前にアメリカ軍を戦争に突入させる決定をしたことで批判を受けている。数多くの議員がオバマ大統領が議会の承認なしに軍に攻撃を許可したことで憲法の枠を超えたと批判をしている。 

 オバマ大統領は、議会に向けた二頁の書簡で、カダフィ大佐は退陣すべきこと、アメリカは一般人の保護を目的とする飛行禁止空域設定のためのみにリビアに行っている、と繰り返し自説を述べて反駁した。

 フランスは既にこの紛争では指導的役割を担っている。サルコジ大統領はパリでの会議を仕切り、飛行禁止空域の実施のための空爆を最初に行った。

 昨夜、イギリスの軍トップはカダフィ大佐を殺害するための攻撃の正当性をめぐって議会でかつてない意見の衝突の中で散々叩かれた。

 総参謀長のサー・デイビッド・リチャードは、リビアの独裁者は暗殺の正当なる標的になりうるという大臣らの提案をそっけなく拒否した後、こっぴどく批判された。

 首相官邸と外務省高官らは、カダフィ大佐暗殺は正当である、なぜならリビア人の生命を保護することになるからだとしてすばやく異議を唱えた。 

 アメリカのロバート・ゲイツ国防長官はカダフィを殺害することは馬鹿げた事ととして、その提案をすぐ退けた。彼は飛行禁止空域設定を支持する国際的連帯の一体性を損なう事になると警告した。「もしも我々が追加の目的を設定し始めれば、問題を抱えることになる、と思う」と語った。「自分はまた、達成できないかもしれないような目標を設定することは賢いとは言えないと思う」と語った。

 オバマ氏は、イギリスのデイビッド・キャメロン首相と軍事行動が始まってからまだそれについて直接話し合ってはいない。作戦開始数日で起きたいさかいはカダフィ攻撃の「隠密作戦」に絡んで緊張が高まった。

 一方、同盟国は、一般人やジャーナリストが人間の盾として使われているとSAS兵士が警告したことでトルネード爆撃機による空爆を取りやめた。またロシアのプーチン首相は、国連が支持するこの作戦を中世の十字軍と対比させた。

 19日、カダフィの息子が、イギリスのHMSトライアンフ潜水艦からのトマホークミサイルによってカダフィの敷地内で殺されたと言われている。そのすぐ後、この敷地内は千ポンドの精密爆弾によって瓦礫の山となった。この区域はカダフィのテントから150ヤード離れたところにある。

 爆撃の時にカダフィがどこにいたのかわかっていない。しかしこの攻撃後、彼の行方は分からない。砂漠へ逃げ込んだかもしれない。政府の高官筋は、カダフィ政権の心臓部に向けられたこの象徴的で大きな攻撃を「警告弾」と評した。

 しかしロシアのプーチン首相からは直裁的な非難が向けられた。彼は国連の採択する軍事力の使用はイスラム教徒が言うように十字軍に先祖帰りすることになる、と言ったのだ。「この決議は不完全で欠陥がある」とプーチンは指摘した。「なんでも可能にさせてしまうだろう。これは中世の十字軍が召集されたことを思い起こさせるものだ」

 アムル・ムッサアラブ連盟事務局長は、飛行禁止空域は支持するが、「アラブ連盟は基本的には空爆に反対である」と語った。北大西洋委員会は、NATO諸国の合意を得る為に23日に会合を持つ。

 トルコのエルドアン首相は、空爆を「できるだけ早期に」終了することを呼びかけている。「もしもNATOが作戦遂行に向かうのならば、我々には条件がある」と彼は語った。「NATOはリビアはリビア人に属する、ということを認識し認めるということだ。地下の資源と冨の分配のための作戦であってはならない

 トルコのアハメト・ダブトグル外相は、「同盟の結成における法的手続きは欧米諸国において充分には尊重されなかった」と語った。

 キャメロン首相は、「国連、アメリカ、イギリス、フランスなど、それに国際社会が彼らの苦悩と圧制に対して手を差し伸べようとしていることを知りたがっている数百万もの人々がアラブ世界にいる」と回答した。

 カタールの軍用機が飛行禁止空域作戦に参加する、またアラブ首長国連邦も支援を要請されていると国防省高官は述べている。

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