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ブラジルの対中国向け輸出額

5月20日掲載分はブログの不具合のため一端削除し、22日分として再掲載しました。

◆5月22日

 ブラジルと中国との間で、貿易の決済にドルを使用する代わりに、お互いの通貨、レアルと人民元を使用することが話し合われている。ドル離れの一つだが、今後このような動きは各地で加速されていくのではないだろうか。
 南米では特にこのような動きが強い。ベネズエラでは石油をバーター取引で扱っている。ドルを使用しないもう一つの考え方だ。南米全体が反米に傾いているから、南米全体がそのような動きを強めている。
 イランでは2007年には石油収入の60%以上がドル以外の通貨で支払われたと言われているし、親米国家が多いOPECでも、ドル決済から抜け出すことを考慮しはじめている様子だから、今後ドルが強くなるということはほぼなくなったと言えそうだ。

 アメリカの経済をひっぱて来た住宅産業はサブプライム・ローン問題から始まったバブル崩壊で急激に悪化、それが現在は小康状態とはいえても、まだまだ底を打ったとは言えず、今年の夏以降の経済の急激な悪化の可能性については既に4月23日号の「住宅バブル破裂:更なるクラッシュ」で書いたとおりである。


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●ブラジル・中国:ドル使用中止を目指す
【5月18日 FT】

 ブラジルと中国は、相互の貿易の決済にドルを使用する代わりに、自国通貨を使用するようになるだろう、とブラジル中央銀行とルーラ大統領補佐官らが語った。この動きは、世界の指導的国際通貨としてのドルの現状に対処するためだ。
 ルーラ大統領は、今週中国を訪問し、先月ロンドンのG20でお互いで話し合った、ドルを人民元とレアルに取り替える考えについて胡錦濤国家主席と話し合った。
 ブラジル中央銀行職員は、話し合いは初期の段階にある、と語った。その人物は会談で話し合われていることは、中国が最近アルゼンチンと合意したような、あるいはアメリカがブラジルを含む他のいくつかの国と合意したようなカレンシー・スワップの話ではない、と語った。
 「カレンシー・スワップは、必ずしも貿易に関係していません」とこの職員は語った。「資金はいかなる用途用にでも引き出せます。ブラジルと現在話し合われている内容は、中国製品に対しブラジルはレアルで支払い、ブラジル製品に対しては、中国は人民元で支払うというものです」と言う。
 エンリケ・メイレレスと周小川の両国の中央銀行総裁は、まもなく会合を持つようになると語った。周小川総裁は最近、国際通貨としてのドルを新しい国際準備通貨、おそらくはIMFの特別引出権(SDR)を利用するもの、に替えることを提案した。
 中国人民銀行のウェブ・サイトに掲載された論文の中で、周総裁は、「各国の通貨からは独立している準備通貨を創設することが目標である」と言っている。
 昨年9月、ブラジルとアルゼンチンは、両国の輸出入業者は、支払いをそれぞれレアルとペソで行い、また両者が願えばドルを継続して使用する、ということで合意し署名している。
 ルーラ大統領の補佐官は、同じようなことを中国との間で実現したいという政治的意向が示された、と述べた。「10年前では考えることもできなかった考え方が、現在では実現性がある」と語った。「レアルと人民元のように強い通貨は、ブラジルとアルゼンチンとの間の貿易に見られるように、貿易決済通貨として問題なく使用可能だ。」
 ドルの将来についての中国の懸念から、周総裁は3月、事実上の世界の準備通貨としてのドルは交代させられるべきだということを提案した。
 エコノミストらは、SDR利用論は現実性に乏しいので、人民元をより一層国際的な広がりの中で使用させていくようにするジグゾーパズルの中の一つとして、中国と相手国の間での人民元の使用を考えている、と見ている。
 国際貿易で、人民元をより一層利用してもらうための動き、あるいは人民元をアジア地域的準備通貨として認知してもらうための動きは、中国の政治的影響力を高めることになるかもしれない。


●イラン石油収入の60%は米ドル以外の通貨で受け取り=国営石油幹部
【2007年3月23日 ロイター】
 イラン国営石油(NIOC)幹部は22日、イランの石油収入の約60%以上が、ユーロあるいはその他米ドル以外の通貨で受け取っていることを明らかにした。
ほぼ全ての欧州諸国および一部アジア諸国が、米ドル以外の通貨での支払いに合意しているという。」



●自由貿易からの勇気ある撤退を
http://blog.goo.ne.jp/reforestation/e/c5fc354168c317ae92d50ea9dd99c7ca
・・・
 貿易は、お互いの国が助け合うために行うべきなのであって、お互いの国民を潰し合うために実施するものではない。日本とアメリカ、アメリカと中国がやっていることはお互いの潰し合いなのだ。
 南米の左派政権同士が実施している貿易は、たとえば、キューバが不足する石油をベネズエラからもらい、代わりにベネズエラは不足する医師をキューバからもらうという、本当に必要なものを融通し合うという助け合い精神のバーター取引だ。このような貿易を、今後は目指すべきであろう。


●OPEC事務総長、「ドルに代えてユーロが石油取引に用いられることも」
【2008年2月10日 Jam-e Jam紙】
 OPEC(石油輸出国機構)の石油取引にドルに代えてユーロを、とイランが提案してから数ヶ月、この提案は次第にOPEC加盟国に支持されてきている。
 石油市場を大きく揺るがした最近の発言でアブドッラー・アルバドリーOPEC事務総長は、OPECは向こう10年のうちにドルに代えてユーロで石油価格を設定しうると発表した。
 バドリー事務総長は経済誌MEED〔Middle East Economic Digest〕のインタビューで次のように述べた。「OPECはドル価下落の悪影響を防ぐため、ユーロを用いることもあり得る。これは出来ないことではないが、確実に時間がかかるだろう。」
 世界の国々は西暦2000年の初めから現在まで、ドル価下落によって多くの損失を被ってきたが、このことがユーロの用いられる可能性を高めている。ドル価はここ6年間で世界の主要通貨に対し約44%下落している。
 このような状況において、バドリー事務総長の発言は世界の株式市場でユーロの対ドル相場を引き上げた。
 バドリー事務総長は、「ニューヨークやシンガポール、さらにはドバイといった大規模な石油取引市場で円やユーロが用いられるのをあなた方が目の当たりにすることもあり得る」と付け加えた。
 OPEC事務総長は「2つの世界大戦とその後の50年をかけて、ドルが国際取引における基軸通貨となった。しかし現在、我々はこのユーロというもう一つの強力な通貨の台頭を目の当たりにしている」と指摘した。
 これはイランの提案に対してOPECが初めて示した真摯な反応とみなすことができる。

 
●米住宅着工、過去最低=険しい回復への道のり
【5月19日 時事通信]
米商務省は19日、4月の住宅着工件数が、季節調整後の年換算で前月比12.8%減の45万8000戸だったと発表した。2カ月連続のマイナスで、1959年に調査を開始して以来の最低となった。金融危機、景気後退の引き金となった住宅市場については過去数カ月、底打ち期待が台頭していたものの、回復への道のりは平たんではなさそうだ。
 同月の減少率は2008年12月(15.1%)以来4カ月ぶりの大きさ。前年同月比では54.2%の減少。 
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9月11日のニューヨーク市

◆5月21日

 9月11日同時多発テロ事件を調査した「9/11調査委員会」の報告書の内容は、虚偽に満ちたものであった、ということを、この委員会の上級顧問であった、ジョン・ファーマー(John Farmer)元ニュージャージー州司法長官が新著の中で語っている。
 彼は、政府には、「何が起きたかに関して本当のことは言わない、という合意があった」と、この本「Ground Fact」の中で書いているという。

 この「9/11調査委員会」は、ブッシュ政権で国務長官だったコンドリーザ・ライス女史と共著があるフィリップ・ゼリコウ氏が責任者を務めた、という点からして、その報告書の内容は信用できない、と、つとに指摘されてきたものだ。ブッシュの支持者だったゼリコウ氏に、客観的で公平な調査の指揮ができたか、疑わしいからだ。

 つまり、デイビッド・グリフィン教授がその著書である「The 9/11 Commission Report: Omissions And Distortions (9/11調査委員会報告:削除と歪曲)」で指摘したように、この「正式な報告書」の内容は、上記のファーマー氏が指摘するように読むに値しない代物だった、ということになろう。
 一例を挙げれば、攻撃から7時間後に崩壊した47階建ての世界貿易センター(WTC)の「第7棟」について、飛行機が衝突してもいないのに倒壊しているのだが、調査委員会の公式の報告書では一切言及されていないのだ。
 完全無視なのだからひどいものだ。そんなものが恥ずかしげもなく「調査報告書」になれているのも不思議なのだが。

 しかし、「本当のことは言わない」、ということでできあがった報告書、ということなので、それで書かれていないのもなるほどと納得できる。
 
 この9月11日同時多発テロ事件というものの真相は、これからますますこのように暴露されていくはずだ。そして驚くべき真実が白日の下に晒されていくことになるだろう。

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●9/11調査委員会顧問:政府は嘘をつくことを決めていた
【5月19日 RINF NEWS】
 ジョン・ファーマー9/11調査委員会上級顧問は、新著の中で、当時のブッシュ政権は9/11事件に関しては、真実を言わないことにすることを決めていた、と述べている。
 ジョン・ファーマー氏は、ニュージャージー州司法長官で、9/11調査委員会(正式にはthe National Commission on Terrorist Attacks Upon The United States)上級顧問を務めた。
 この委員会と仕事した上での体験が記されている、この新しい本は、「The Ground Truth: The Story Behind America’s Defense on 9/11」というタイトルが付けられている。

 この本は、「攻撃のあったあの朝、何が起きたのか、という点についていかに深刻に国民が騙されているか」、という点と、「政府のある部分では、何が起きたかについての真実は語らないということを決めていた」ということを暴露している。
 ホートン・ミフリン・ハーコートがこの本の出版社。ハーコートによれば、「ファーマーは、公式のこの事件の調査報告内容はほとんど全面的に嘘で固められており、治安に関する誤った印象を生み出している、ということを反論の余地のないまでに説得性を持って説明している」という。
 


●ビル崩壊「物理的にありえない」 調査委に公平さなし
 米専門家グループが発表した「9・11の疑惑」
【2006年03月20日日刊ベリタ】
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200603200159501
  5年前の「9・11」に起こった出来事を前提として現代のさまざまな問題が語られている。しかし、9・11の事実として伝えられていることには多くの疑問点もある。米国の専門家グループが9・11事件について「旅客機の燃料ではビルの鉄骨を溶かす融点に達するまでの熱が生じない」など多くの疑問点を提出、「21世紀の原点」となった事件についての真相解明を求めるプレスリリースを今年1月に発表している。その全文を紹介する。(ベリタ通信/翻訳・TUP速報)
・・・以下略 
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 チェイニー   ブット

◆5月19日

 このブログの4月29日号の「ビンラディンの死とまやかしの『テロとの戦争』」 のタイトルで、元パキスタン首相のブット女史が語った、「ビンラディン暗殺」の件を紹介したが、その当のブット女史の暗殺は、チェイニー元米副大統領が命令して起きた、とアメリカの有力なジャーナリストであるセイモア・ハーシュ氏が語ったようだ。

 また、5月1日号の「ハリリ元首相暗殺の真犯人(黒幕)は誰か? 」で犯人に一時仕立てられたシリアの嫌疑が晴れ、では真犯人は、ということで、アメリカやイスラエルが怪しい、と指摘しておいたが、このセイモア・ハーシュ氏によれば、まさしくそのアメリカとイスラエルが背後にいた、となるようだ。

 こうして、現在のオバマ政権のアメリカでは、ブッシュ政権時のさまざまな悪事が暴かれていっているようで、そのため米政界では、その水面下で激しい暗闘が繰り広げられていると見てよさそうだ。

 また、このブット女史の貴重なビデオに関しては、BBCがその部分、すなわち、オマール・シェイフがオサマ・ビンラディンを殺害した、という部分をカットしたものを放映していることが以下のビデオ紹介で分かるようだ(BBCの方はもう開けないようだ)。
 このようにして、欧米の大手メディアが、自分と自分らの「ボス」に都合の悪い部分を好き勝手にカットなどして放映していることが分かる。ようするに、庶民は洗脳されているわけだ。


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●ブット元首相はチェイニー(副大統領・当時)の命令で殺された
【5月18日 ICT by ANI】
http://www.thaindian.com/newsportal/south-asia/us-journo-claims-bhutto-was-killed-on-cheneys-orders_100194038.html

 チェイニー元副大統領の命令で特殊暗殺部隊がパキスタンの元首相であるベナジール・ブット女史を殺した、とアラブTV局が放送した。
 「チェイニーが特殊作戦部隊の首領で、CIAのグループを使ってアメリカの行く道にある障害を取り除くため、敵を葬ったのだ。スタンレー将軍がこのグループの責任者だ」と、アメリカのコラムニストであるセイモア・ハーシュ氏が語ったと伝えた。

 アメリカの暗殺部隊は、ブット女史がアルジャジーTVでオサマ・ビン・ラディンが暗殺されたことを語ったため、殺された、とハーシュ氏は語った。

 アメリカの当時の指導部は、オサマ・ビンラディンが死んだということは知られたくなかった。それが知れると、アメリカ軍がアフガンに駐留することが問題視されかねなかったからだ、と彼は語った。

 更に、ハーシュ氏によれば、元レバノン首相のハリリ氏は、レバノンに米軍基地を設置することを拒絶したことと、アメリカの利益を擁護しなかったために暗殺された、と語った
 この暗殺事件には、イスラエルの首相だったアリエル・シャロンも鍵を握る人物として噛んでいる、とハーシュ氏は語った。



●BBCは、「ビンラディンが殺された」という部分をカットした
http://existentialistcowboy.blogspot.com/2007/12/bbc-censored-benazir-bhuttos-reports.html
【2007年12月30日The Existentialist Cowboy】
 BBCのように尊敬される報道機関がブット女史暗殺というような重要な事件に関するルポルタージュの検閲を行う場合、BBCは誰を擁護しようとしているのだろうか?と尋ねることは正当なことだろう。このブット女史は、ブッシュ・チェイニーの「テロとの戦争」政策に対し厳しい批判をしていた。
 BBCは、彼女を暗殺した動機を隠そうとしたのか? あるいは彼女の暗殺を工作した政権を護ろうとしているのか?

 ここにはブット女史が語った検閲なしのビデオがある。
http://www.youtube.com/watch?v=UnychOXj9Tg&eurl=http%3A%2F%2Fexistentialistcowboy%2Eblogspot%2Ecom%2F2007%2F12%2Fbbc%2Dcensored%2Dbenazir%2Dbhuttos%2Dreports%2Ehtml&feature=player_embedded

 こちらは、BBCが検閲しカットした後のビデオがある。
http://news.bbc.co.uk/player/nol/newsid_7070000/newsid_7075800/7075843.stm?bw=nb&mp=wm&news=1&ms3=6&ms_javascript=true&nol_storyid=7075843&bbcws=2#(こちらの方はもう開くことができないようです)

・・・以下略

◆5月18日

 本日5月18日、イスラエルのネタニヤフ首相がアメリカを訪問、オバマ大統領と会談することになっている。

 オバマ大統領はこの会談で、パレスチナ国家創建という、いわゆる「2国家方式」について、突っ込んだ話し合いをするものと思われる。

 ブロガー子は、既に5月3日号で「『2国家共存方式』が、イスラエルとイランの共存になる」のタイトルで、イスラエルの生き残りにためにも2国家すなわち、パレスチナ国家独立を実現すべきだ、という見解を示したが、今回、「The American Conservative」サイトに、「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」を、スティーブン・M・ウォルト教授と共に書いたジョン・J・ミアシャイマー教授の論文「Saving Israel From Itself 」が掲載されたので、わが意を得たり、という思いで、抄訳し掲載することにする。

 今回のこの会談のチャンスをイスラエルがどう捉えるか、イスラエル、パレスチナ双方の将来だけでなく、中東、ひいては世界の将来もかけられている、重大な会談となるだけに、このミアシャイマー教授の論文の内容は重要だ。


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●イスラエル:自己からの救済(抄訳)

「2国家共存」こそが、ユダヤ国家と我々自身の安全を保障する唯一の道である。
By John J. Mearsheimer
http://www.amconmag.com/article/2009/may/18/00014/

 アメリカとイスラエルはイスラエルの隣にパレスチナ国家を創建する必要性についての考え方において根本的に一致していない。
 オバマ大統領は、2国家共存を断固実現することに懸けているが、イスラエルのネタニヤフ首相は何年も、それに反対であることを示してきた。
 アメリカとの直接的な対立を避けるため、ネタニヤフ首相は2国家論について好意的なレトリックを使うであろう。しかし、それでイスラエルの考え方が変わるわけではないであろう。和平交渉がいつまでも続く中、入植行為が継続し、パレスチナ人は手のひらのような貧困地帯のガザと西岸の閉ざされた地域に押し込められたままであろう。
 これを見越して、オバマ大統領は下院議員らにイスラエルとは衝突するだろうと言っている。
 たとえ多くのアメリカ人がパレスチナ国家の創設とパレスチナ紛争の終結を願っているとしても、またアメリカがイスラエルよりも強大な国家であるとしても、この戦いにオバマ大統領が勝てるとは言えない。

 それは、歴代の米大統領も入植をやめさせられなかったのを見ても分かる。オスロ合意後、入植するのをクリントン大統領はなにもできなかった。その理由は、強力なイスラエル・ロビーが存在するためだ。 
 イスラエル・ロビーの癇に障るような人物、例えばチャールス・フリーマン氏など、は道を閉ざされた。
 ガザの侵攻時の蛮行や、フリーマン氏の問題でもオバマ氏は沈黙を保ったのをみれば、オバマ氏に多くの期待はできないだろう。
 アメリカ人がイスラエルを特別視しているから、という議論は嘘である。世論調査で、70%のアメリカ人はイスラエル偏向はよくない、と言っている。60%のアメリカ人は、パレスチナとの和平に反対するならイスラエルに支援するべきでないと言っている。
 
 簡単に言えば、イスラエルとの特殊な関係は歓迎していないのだ。しかしロビーはホワイトハウスに圧力を掛け、オバマ氏はそれに従うだろうと思われる。イスラエルにいいことはアメリカにもいいことだ、という考え方をイスラエル支援者はしているのである。

 しかしそれは間違っている。例えばイスラエルが核兵器を持つことはイスラエルにとってはいいことでも、アメリカの利益ではなかった。
 もしアメリカが丁度イギリス、フランス、インドなどと対するように対していれば、それが一番いい。両者の利益が一致する時はイスラエルを支援するが、そうでない場合には、イスラエルと距離を置き、イスラエルの姿勢を変えるよう影響力を行使するだろう。
 アメリカが無条件でイスラエルを支援することで、アメリカはテロの脅威を受けざるを得ない状況に置かれているし、穏健派アラブ諸国の支援を受けることも困難にしている。
 
 例えば、9・11事件でも、主犯の一人と言われる、ハリド・シェイク・ムハメドは、アメリカのイスラエルに対する支援の姿勢に対し怒っていたという。特に下院がその元凶ということで下院攻撃も考えていたと言う。パレスチナ問題が解決しなければ、アメリカのテロ問題にも解決は望めないだろう。

 そもそもどんな国もまったく落ち度のない外交をし続けることはあり得ないが、アメリカはイスラエルが間抜けなレバノン戦争をする場合にも、それを批判するかわりに支援した。
 アメリカがイスラエルの真の友人だったなら、注意を喚起し、賢い対処の仕方なり、早めの停戦への圧力をかけただろうが、できなかった。

そこで今回、オバマ政権はネタニヤフにどう対処すべきか?
次の問題を考えれば分かる。

1.2国家案を採用しなければ、イスラエルの未来はどうなるか?
2.アメリカ、イスラエル、パレスチナの反応はどうなるか?


 現在の状況下では、3つの選択肢がある。
 パレスチナ国家ができない場合、
1.大イスラエル建設
2.イスラエルがガザ・西岸を制御支配
3.パレスチナを委任統治国にする


 1番目の「大イスラエル」構想では、パレスチナ人も人口にはいるが、彼らの人口増加の方が早いので、早晩大イスラエルはユダヤ国家でなくなり、アラブ国家のようになり、アメリカのユダヤ人もこの結果には失望するだろう。パレスチナ人の中には賛成するものたちもいるが、多くのイスラエル人は反対だ。

 2番目は、パレスチナ人を追い出しての大イスラエル構想は、人道主義違反となるし、それは国家としてのイスラエルの将来を危うくするだろうし、パレスチナ人は総計550万人いるが、追い出されるとなれば彼らが徹底抗戦するだろう。しかしイスラエル人の人種差別的観点があるので、そうする可能性もある。前外相ノリブニ氏は、2国家ができれば、イスラエルのパレスチナ人は新しいパレスチナ国家に移住するよう督促されるべきだと言った。

 最後の選択肢は、パレスチナ人に自治をゆるすが、分断され経済的に障害のあるよう制限されたもの。オルメルト前首相は「2国家案が崩壊すれば、イスラエルは南アフリカのようになる」と述べたことがある。デスモンド・ツツ司教やジミー・カーター氏はイスラエルが占領を継続すれば、イスラエルは人種差別国家になる、と言っている。


 これら3つの選択肢は2国家案の代わりだが、いずれも悲惨な結果になることが分かる。オルメルト氏は、人種差別国家になることはイスラエルの自滅になる、と言った。
 しかし民主主義を大イスラエルに導入すれば、ユダヤ国家でなくなるだろう。民族浄化をすすめれば、ディアスポラのユダヤ人とイスラエル国家の名声を落とすし歴史的汚名を残す。真の友人はそんなことをイスラエルにするよう言わない。

 こんな情勢なので、かなりのユダヤ人が国外に出始めている。70万から100万人のイスラエル人が国外に出た。2007年以降出国者が入国者を上回っている。
 この情勢で、オバマ氏がイスラエルとパレスチナ両者に2国家案を提案すべきではないのか、という議論が沸きあがっている。

 最後に、アメリカの大学などでは若いユダヤ人らが、イスラエルは今や犠牲者ではなく、犠牲を強いる側の国になっている、として古い世代のユダヤ人を批判しているので、アメリカがなにがなんでもイスラエルを支援すべきだ、という議論は通らなくなってきている。
 しかもイスラエルのパレスチナ人に対する取り扱い方は厳しくなるばかりで、イスラエル・ロビーはイスラエル支援を通すためには、脅しと恐喝に頼るようになっている。しかしイスラエル・ロビーはインターネットの普及などのため証拠を残さずに脅しなどをすることが困難になっている。

 オバマ大統領は2国家案がアメリカにもイスラエルにもパレスチナ人のもよいことを知っているので、状況を変えようとしている。しかしネタニヤフ氏はそれを阻止しようとしているので、どっちが勝つか。

 イスラエル・ロビーがイスラエル側に立っているので、オバマ氏が勝つ見込みは薄いだろう。また西岸には48万人のイスラエル人入植者がいて、大規模な道路工事がすすんでいる。これをご破算にすることは困難だ。それにイスラエル人も59%がパレスチナ国家に反対している。32%だけが支持している。
 アメリカのユダヤ人も46%はパレスチナ国家建設に反対だ。82%の彼らは、アラブ諸国の狙いはイスラエルの滅亡だ、と信じている。そしてキリスト教徒シオニストは2国家案に絶対反対なのだ。

 ただしアメリカのユダヤ人の相当な人々がオルメルト氏の警告を理解しているので、それがオバマ氏の支援となっている。より多くのユダヤ人はイスラエルが今危機に瀕しているということを理解すべきだ。
 それが起こらねば、オバマ氏はイスラエルに対し強くでることはできないし、そうなれば、より一層の困難が、イスラエル、アメリカ、パレスチナを待ち構えることになるだろう。

 エルドアン首相と       S-400        ティモシェンコ首相と

◆5月17日

 グルジアでNATOが演習を行っている最中、そのすぐ隣のトルコのエルドアン首相は、ロシアのソチでプーチン首相と会談し、トルコの原子力発電所建設にロシアの会社に参加してもらう話し合いをした、という。
 またその際、ロシアのガスをトルコに供給する契約の続行に関する話し合いも持たれたという。
 
 トルコはカスピ海の石油を運ぶパイプラインが敷設されていたり、黒海の地中海への出入り口となる海峡を持つ、いうなれば戦略的な要衝といわれる国であるため、アメリカもロシアもトルコとの関係を重要視している。トルコ領土を通過する有名なバクー・トビリシ・ジェイハンパイプライン(BTCパイプライン)がそのパイプラインの代表的なものだ。これは、アゼルバイジャンのカスピ海沿岸都市バクーから、グルジア領内を通過し、トルコのジェイハン港に至るパイプラインで、石油パイプラインとしては世界第2位の規模だという。

 その戦略的要衝国のトルコは、最近ロシアとの関係を強めてきている。今回の原子力発電所建設にかかわるビジネス面のニュースもさることながら、4月27日にはトルコがロシアの最新鋭対空ミサイルシステムであるS-400購入希望の話があった。
 トルコはNATOのメンバー国であるから、NATO側の武器・兵器体系を購入するのが通常のケースであろうが、現在ロシアとNATOとの間で揺れている戦域防衛ミサイル配備問題があるにもかかわらず、(というかそのため、)トルコは敢えてロシア製の防空ミサイルシステムを購入したいと言い出しているのである。

 この背景には、実はイスラエルのガザ侵攻以来トルコに沸きあがりつつある、反イスラエル感情とそのイスラエルを常に一方的に支援・支持してきたアメリカ・欧州に対する反発があると考えられる。
 世俗的イスラム国家と言われるトルコだが、一般民衆はやはりイスラム教徒としての自覚があるから、イスラエルの戦争犯罪満載のガザ侵攻を目の当たりにして、今急速にトルコ人の感情は反イスラエル・反欧米に傾きつつある。
 しかもそのアメリカの後押しで無理やり作られたグルジアのサーカシビリ政権が昨年8月南オセチア侵攻からロシアとの紛争を引き起こしたが、その背後にはやはりイスラエルとアメリカがいたことで、ますます不信感を募らせている、と見られるのだ。

 ロシアは自国内に多くのイスラム教徒を抱えているので、イスラム教国との友好的関係は国策として重要な要素となり、トルコはイスラエルとの関係において国内のイスラム教徒の感情を無視できない。したがってイスラエルのガザ侵攻はトルコを大いに反イスラエル・反米に傾かせたことになり、この機会にロシアもトルコとの関係強化を図っていると見られる。

 またロシアは最近ウクライナとの関係をほぼ正常なものに戻し、その余勢を駆ってロシア黒海艦隊のクリミア半島セバストーポリ駐留問題をもウクライナ当局と解決し、2017年以降も継続駐留の可能性が高まっている件もあり、黒海の南岸に当たるトルコとの関係は今後更に重要視されると同時に、ロシアの存在感が高まることで、トルコもロシアとの関係を今まで以上に重要視する傾向になってきていると考えられる。

 そうなると、グルジアの周りを、ロシアの友好国が囲むような形成となる。トルコとロシアの接近がグルジアの現政権崩壊を早めることになるかもしれない。


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●ロシア:トルコの4基の原子力発電所建設に参加する用意あり
【5月16日RIA Novosti】
 プーチン首相は16日(土)、ロシアの会社がトルコの原子力発電所建設に参加する用意がある、とエルドアン・トルコ首相との会談後語った。
 「4つの大きなユニットの建設に参加する可能性について語り合った」とプーチン首相は述べた。
 またロシアとトルコは2011年に切れるガス供給契約継続で話し合いを始めることでも合意し、ブルー・ストリーム・ガス・パイプラインの2本目の支線建設問題に関しての話し合いを持ったと述べた。
 ロシアはトルコに2008年は238億立方mのガスを供給したが、その内100億立方mはロシアとトルコをカスピ海の海底を通るブルーストリーム・パイプラインを通してのものだ。今年は255億立方mに増えることが予想されている。
 エルドアン首相は記者会見で、プーチン首相がトルコをまもなく訪問することになるだろうと語った。


●トルコ:ロシアのS-400防衛システムを購入希望
【4月27日RIA Novosti】
 NATOメンバー国であるトルコは、ロシアからS-400トライアンフ防衛システムを購入することに強い関心を示した、とロシア国防産業関係高官が11日語った。
 「トルコはロシアからS-400防衛システムを買うことに強い関心を持っている」と、兵器輸出会社ロソボロネクスポート社の相談役であるアナトリー・アクセノフ氏は語った。 ロシアはイスタンブールで4月27日から30日にかけて開催されたIDEF 2009 兵器ショーで120種の兵器を展示した。2年毎に開催されるエキシビションは、トルコ国防産業が1993年以来開催しているもの。
 アクセノフ氏は、トルコのムラド・バヤール国防産業次官との間でS-400引渡しの可能性についての話が持たれた、と語った。
 ロシア側の代表団の一人は、この件は政治的な配慮があり、ロシアとNATOとの間で行われている中央ヨーロッパに展開されるミサイル防衛システムに関する話し合いの結果に左右されるだろうと語った。
「我々はトルコ側高官らに、S-400は単なる防空システムではなく、戦略的ミサイル防衛の要素を含むもので、一国に設置することで多くの隣国の空域を防衛することができるものだ」と語った。
 S-400トライアンフ(SA-21グローラー)は、アメリカのパトリオットの2倍、ロシアのS-300PMU-2の2倍半の射程となる400km離れた所の空中の標的を捕捉・破壊できるようにデザインされている。
 このシステムは、ステルス航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイルを破壊できるとされていて、3500kmの飛翔距離、最大速度4.8km/秒である。


●ロシアとトルコ:戦略的宣言を発表
【2月13日RIA Novosti】
 ロシアとトルコの両大統領は2月13日(金)、モスクワで両国関係の強化と友好・協力関係を促進する共同宣言を発表した。
 トルコのアブドゥル・ガル大統領は12日、ロシアへの最初の訪問を行った。モスクワ滞在の翌日にはタタール人のイスラム教共和国であるカザンを訪問した。
 「これは戦略的な文書だ。両国間の協力を行うことを明らかにし、それを強化することを謳っている」とロシア政府筋は語った。
 この宣言文には、南コーカサス地方の不安定化を進めかねない潜在的紛争を解決する効果的な方法を採用するよう行動することが謳われている。


●「もう来ない」、トルコ首相がダボス会議を途中退席
 ガザ攻撃めぐり応酬
【1月30日 AFP】
 スイス・ダボス(Davos)で29日開かれた世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会(ダボス会議)で、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)へのイスラエル軍の攻撃をめぐる討論の最中に、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相がイスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)大統領と激しい口論となった末、「ダボスには2度と来ない」と捨てぜりふを残して途中退席するハプニングがあった。
 エルドアン首相は、ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)に対する攻撃を弁護したペレス大統領の演説に、会場の政府関係者や企業重役らが拍手したことを非難。イスラエルはガザ地区に「野蛮な」行為をはたらいたと強く批判した。
 しかし、司会者が時間切れを理由にエルドアン首相の発言を遮ったため、ペレス大統領には25分の発言時間が与えられたのに自分には12分しか与えられなかったと抗議。「発言を認められなかったから、2度とダボス会議には来ない」と宣言して、潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連(UN)事務総長や他の出席者の前を横切って、会場を後にした。
 ペレス大統領はガザ攻撃について、ハマスがイスラエルにロケット弾など数千発を撃ち込んだことで、イスラエルが攻撃せざるを得ない状況に追いやられたとして、「ガザの悲劇は、イスラエルの責任ではなく、ハマスの責任だ。ハマスは独裁体制を生み出した。非常に危険だ」などと主張。さらに、エルドアン首相を指さして、(トルコの首都)イスタンブール(Istanbul)がロケット弾攻撃の標的となったならば、トルコも同様の行動を取っただろうと述べた。


●ロシア・ウクライナ:ガス問題で合意
【4月30日RIA Novosti】
 経済問題のため、ウクライナはロシアとの対立姿勢を改め現実的対話を開始した。
 4月29日、プーチン首相とウクライナのティモシェンコ首相は、モスクワで会談し、ロシアがウクライナの2009年ガス購入不履行に対する罰金を請求しない件、およびウクライナ経由のガスに対する通過料を前払いする件で合意した。この前払いでナフトガス側が、ガス料金の支払いをロシア側にすることが可能になった。
 これに対し、ウクライナは、ウクライナのガス供給システムの近代化にロシアの参加を要請した。
 ウクライナのティモシェンコ首相は、ガス供給問題で持ち上がった両国の緊張関係は解決し、対立の時期は去った、と語った。・・・以下略

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