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スホーイ・デザイン社

◆10月14日

 中東・中央アジアに対するアメリカの進出に対抗し、ロシアはこの地域の核保有国となるインドとの関係を深めている。
 今回、インドとロシアが軍用機の共同生産で合意するようだ。合計345機というから大型の契約だ。
 かつてのインドはアメリカとロシアと両国に対し軍事協力関係を持っていたが、最近はロシアにその比重が傾きつつあると言える。これは、2008年ムンバイ・テロ事件で、テロの共謀者で元アメリカ政府機関の工作員であったデイビッド・コールマン・ヘッドレイがアメリカ検事当局との司法取引で、真相が藪の中、となったことに対するインド側の反発が強いからだ。(2010年4月3日号参照)

 アメリカ側が起こす謀略が最近はスムースに運ばれずどこかでぼろがでて、逆に暴かれることで各国の不信感を買い、今度のインドのロシアとの契約のようなことに繋がっていく。
 これも、その背後にあるのは、運勢とでもいうようなもので、今までは可能であった謀略、詐欺などが、どうもうまくいかなくなってきている時代的趨勢がある。これに気が付くことが各国の指導者には求められる時代である。
 
 謀略ではなく、真実に裏付けられた物事でなければ、うまくいかない時代になってきている。一つにはインターネットに代表される情報伝達の早さや広範性などが原因と考えられるが、それ以上のものがありそうなのだ。

 
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インド:ロシアから345機の軍用機を購入
http://www.times.spb.ru/index.php?action_id=2&story_id=32700
【10月12日 By Derek Andersen】
 
 インドのA・K・アントニー国防大臣は12日、ロシアと共同生産する軍用機の大量購入をする計画であると発表した。

 インドは45機の多目的輸送機、250から300機の戦闘機を購入すると、ニューデリーで行われた第10回インド・ロシア軍事技術協力委員会の会合後の記者会見でアントニー大臣は語った。
 「ロシアとインド間の次の10年間の軍事技術協力はこの二つの共同プロジェクトと連携するものとなる」と大臣は語った。

 第5世代戦闘機は、ロシアのスホーイとインドの国営アエロスペース・ラボラトリーによって生産されることになる、と発表された。ロシア側が起草した契約書はインドの承認を待つばかりとなっている。
 「契約金額を話すのは時期尚早だ」と戦略技術分析センターのコンスタンティン・マキエンコ副部長は語った。契約は今年12月にメドベージェフ大統領がインドを訪問する際に行われるためだ。

 マキエンコ氏は、最大で戦闘機が1億ドル、輸送機は5000万ドル、合計で322億5000万ドルほどになる。契約時の経済状況が金額に影響を与えるだろう、と語った。

 この航空機のデザインは3億ドル、最初の航空機は2015年までに生産完了することになる、とインタファックスは伝えた。

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上昇傾向にある食料品

◆10月12日

 全世界の経済混乱から、貿易問題が出てきて、そのために食料品がスーパーマーケットから消えることがある、とこのブログでも指摘してきたが、それ以前に世界に天候不順と人口増加から既に食料不足が始まっていて、食料品の価格が増加傾向にあるようだ。

 自然的な理由によるインフレに加えて、恐らく今後アメリカ経済の崩壊からくるドルの極端な下落が起きれば、アメリカのインフレは更に加速することになる。

 このブログでは金融津波の第2波の到来を予測し、それに備えるべきだ、という視点を示してきたが、その中には、食料品価格の上昇ばかりか、その不足から起きるパニック、騒乱まで予測している。それがなるべくソフトランディングで終わって欲しいという願いを持ちながら。しかし、こればっかりはどうなるか、はっきりとは予測できない。


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農産物の価格は急騰し食料品は上昇し始めた
http://endoftheamericandream.com/archives/this-is-starting-to-get-very-real-agricultural-commodity-prices-have-exploded-and-now-the-price-of-food-is-beginning-to-rise-substantially-in-the-united-states-and-all-over-the-world
【10月11日 The American Dream】

 いつでもウォルマートへ行けば、格安の食品を大量に買うことができると思いますか? もしそうだとすれば、考え直すべきだろう。2010年を通して、農産物価格は急騰した。殆ど全ての重要な農産品が二桁のパーセンテージで価格上昇をしている。S&P GSCI Agriculture Index は2年ぶりの上昇を見せた。農産業者と小売業者はこれらの商品価格を消費者につけるようになってきた。
 今日、スーパーマーケットへ行けば、商品価格の上昇を見てびっくりすることになる。いつも購入する商品が20%から30%の上昇となっているのだ。一体何が起きているのだろうか?勿論今年は全世界で悪天候が観測されたので、収穫面では良くなかったということはある。しかしこれに加えて、世界の人口増加で食料品が不足がちである。需要が増加しているので、供給が厳しくなっているが、それは価格の上昇に繋がる。

 同系のサイトでは、「2011年はインフレの年? マネタリーベースは爆発的に増加し、商品価格は急騰し、しかも連邦準備銀行は更に多くの紙幣を印刷しようとしている」と、読者のエリカさんはコメントを書いている。

 食品インフレは本当だ。昨日、私は食料品店のレシートを2009年9月15日のものと比較してみた。ベーコンが52%、8ドル99セントから13ドル69セントだ。バターは73%、5ドル79セントから9ドル99セント。バニラエッセンスは14%、5ドル95セントから6ドル79セントなどだ。

 こういった価格上昇は偶然ではない。これは全米で起きていることだ。食品インフレはもう起きているし、すぐには収まりそうにないのだ。
 実際、食品インフレは今年の秋、全世界で消費者に打撃を与えている・・・

◆国連によれば、国際小麦価格は7月以来60から80%上昇しているという。
◆2010年の初めから、ヨーロッパ連合諸国でのパンの価格は17%の上昇で、肉は15%の上昇である。
◆ロシアでのインフレ率は9月で7%で、食料品価格の上昇が主な理由だ。
◆トルコのインフレ率は9月、9.2%に上昇した。当局は主に食品価格の上昇がその原因と見ている。
◆モザンビークでは食料品略奪行為が始まっている。政府は必死に治安維持に努めているところだ。
◆アフガンでは食品価格は2倍となった。当局は国家がすぐに更なる人道支援を受けねば飢饉が起きかねないと警告している。

 このような状況で、事態がこれから数年で改善されると考えられるのか? 無理だろう。
 実際は、食料品に対する世界的需要はこれから何年も上昇する。肉に対する世界的需要は2015年までに25%上昇すると予測されている。全般的には、食料に対する世界的需要は今後50年間で2倍になる、というのだ。
 従って、世界はどこからその余分な食料を手に入れることができるのだろうか?
 これは、的を得た質問である。

 また、食品価格の上昇は世界にインフレの新しい波を起こす懸念がある。
 ダブリンのゴールドコア社のマーク・オバーン氏はブルームバーグで、連邦準備制度理事会は「インフレを心配しているが、農産物のたとえば小麦の価格の上昇は、それが始まっていることを示唆しているし、とりわけ中・長期のインフレを警戒すべきだろう」と語っている。

 既に示したように、小麦の価格は今年、60%から80%にまで上昇しているが、小麦は価格上昇している唯一の農産品ではない。
 最近掲載された、「生産におけるインフレ・カクテル」と題するリチャード・ベンソンの論文記事は
2010年の多くの農産物の価格上昇を示している。

◆コーヒー  45%
◆大麦 32%
◆オレンジ 35%
◆ビーフ 23%
◆ポーク 68%
◆サーモン 30%
◆砂糖 24%

 従って、アメリカ人家庭はこれらの食品価格の上昇に見合った収入の上昇を受けているだろうか?
 答えは、ノーである。実際は収入は減っているのだ。

 アメリカの中流の世帯の収入は2008年んは51726ドルだったのが、2009年には50221ドルに減少している。
 実際、アメリカの52の地下鉄エリアで、サン・アントニオ市のみが中流世帯で収入が減少していない市である。
 アメリカの家庭はかつてないほどの厳しい状況に追いやれている。そして最後の必需品である食料の価格が確実に上昇し始めたのだ。
 しかし上昇しはじめたのは、食品だけではない。

 全米の健康保険会社は保険料は新ヘルスケアー法のために実質的には今年は上昇すると宣言した。
 アメリカの消費者はここまでは持ちこたえている。やがては、何かがされなくてはならない。
 既に多くのアメリカ人がかつてないほど貧困に陥っているのを見ている。6人に1人のアメリカ人が連邦政府が行っている対貧困計画の少なくとも一つの対象者になっている。

 残念ながら、連邦準備制度はインフレが悪化することを望んでいることを示唆するものしか見当たらないのだ。連邦準備制度の職員が入れ替わり立ち代り出てきて、アメリカ経済を刺激するために新しい量的緩和策が必要だと発表しているような毎日が続いている。

 しかしもしも連邦準備制度が更なる紙幣を金融システムに流せば、インフレを加速することにならないのか? 勿論、そうなるのだ。

 我々は目覚める時だ。
 我々のドルは今日よりも更に増えることはない。そして食品価格は上昇し続けている。
 反対ならば、コメントを書いて欲しいものだ。

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ゴールドマン・サックス本社

◆10月8日

 日銀が介入しても、結局数週間も持たず、ドルは再び円に対し82円台となった。この間、ゴールドはすごい勢いで上昇し、一時1オンス1360ドルを突破した。

 既にこのブログでは、今年後半から来年にかけてアメリカ経済が崩壊に向けた動きを強めると予想を示していたわけだが、正にその展開となっている。

 ゴールドマン・サックスが今後6ヶ月から9ヶ月の展望で、かなり悪い、ないしは非常に悪い、という予想を出しているのを見ても、それが投資銀行の予想という点を踏まえれば、かなり控えめなもの、と捉えた方がいいだろう。

 マティアス・チャン氏が語っているように(9月3日号、7月1日号など)、アメリカ経済はにっちもさっちも行かない袋小路に追い込まれているのだから、時間の経過とともに、事態は更に一層悪化すると認識し、むしろそれにいかに備えるか、という点に重点を絞った考え方をした方がよいのだ。

 金融津波の第2波がくることは、このブログでは、何回も示してきたとおりである。それがそろそろ水平線上に見えてきた、ということになるだろう。


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米経済展望:「かなり悪い」または「非常に悪い」-ゴールドマン・サックス
http://www.guardian.co.uk/business/2010/oct/06/goldman-sachs-fairly-bad-very-bad
【10月6日 Edward Helmore】

 ゴールドマン・サックスのエコノミストはアメリカ経済の成長と就業率について新しい、しかも厳しいシナリオを示した。

 アメリカ経済に関する暗い予想は、本日更に強まった。ウォール街のゴールドマン・サックスが、アメリカ経済は今後6ヶ月から9ヶ月では「かなり悪くなる」ないしは、「非常に悪くなる」と発表したからだ。

 この銀行のチーフ・エコノミストのジャン・ハッチウス氏は、二つのシナリオを投資家たちへの書簡で示した。「かなり悪い」というシナリオでは、来年の経済成長は1.5%から2%で、失業率は上昇し10%となる、というものだが、「非常に悪い」シナリオでは、経済は完全に不景気となる、というもの。

 ハッチウス氏の見解は、ニューヨーク、ボストン、シカゴの各連銀の責任者が先週行った、連邦準備制度理事会に対する新しい刺激策の導入を11月2日に行われる会合で示すべきだという要望に更なる重みを付け加えることになった。

 本日、民間セクターのペイロール・レポートは、アメリカが数ヶ月の成長後、解雇を始めていることを示している。この数字は9月の失業率は9.7%に上昇したことを示す労働省の月次レポートに先駆けて示されたものだ。

 経済復興は横ばい、ないしは下落傾向であるというサインは円に対するドルを記録的なレベルにまで押し下げているし、ゴールドは上昇を続けている。先週、ヘッジファンド・マネージャーのジョン・ポールソン氏は、ゴールドは1オンス1100ドルから2400ドル、もしくは4000ドルにまで上昇するかもしれない、と予想した。

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中国戦闘機

◆10月5日

 トルコが反イスラエルとなり、イラン、シリアに接近してきていることを指摘したが、今回は中国との共同軍事演習が行われたという。その際、イラン領空が中国戦闘機の飛行のため開放されたという。中国は新彊ウィグル地区などイスラム教徒地域を抱えているため、中国にとってはトルコとの共同軍事演習にはそれなりの重要性がある。

 トルコはトルコで10月3日号の「トルコとロシア:アメリカの中東・中央アジア戦略に対抗 」で指摘したように、ユーラシア大陸各国との団結を強める動きを加速している。これは今までの欧米寄りのスタンスから独自の文化・宗教に軸足を置いた新しい国づくりを目指す動きである。かつてのオスマン帝国の誇りを取り戻そう、という民族主義的動きである。

 これは、近代トルコ建国の父、と言われるアタチュルクの方針を静かに捨てる動きでもある。翻ってみれば、アタチュルクの世俗的トルコというのは、非宗教的トルコ、ということでもあり、それを主導した青年トルコとアタチュルクはユダヤ系という面を見ても、あのロシア革命の無神論的社会主義革命と皮一つで繋がる、革命的な流れであったのだ。

 ロシア帝国はロシア正教の国であったが、ユダヤ人が主導するロシア革命によってソビエト連邦となり、ロシア正教は徹底的に攻撃され殲滅させられロシアは無神論国家となったが、オスマン帝国はイスラム教の国であったところを、ユダヤ系のアタチュルクと青年トルコ運動により「近代化」が行われ、帝政は打倒され、社会主義化ではないまでも世俗化まで進められた、ということになる。幸いにも、無神論的社会主義化にまでは行かなかっただけなのだ。

 従って、トルコの公正発展党の今回の国民投票と憲法改正の動きは、丁度無神論のソ連邦が解体し、ロシア共和国が誕生し、ロシア正教が蘇ったように、トルコの無神論的世俗化が改められ、トルコのイスラム化が強化され、新しい中東のイスラム勢力としてトルコが蘇ることを意味するだろう。

 ユダヤ人の進めた社会主義や共産主義、世俗主義とは、世界から「神や神々」を捨象し、力の支配を確立する動きであったし、現在の力の源泉は冨(資本力・金融力)であるから、金の力で世界を制覇する動きであったのが、リーマン・ショックに象徴される金融資本主義の限界状況が顕になりだし、あるはその弊害を示しているのも、結局、金融力で世界を支配せんとする動きに歯止めが掛けられつつあることを意味する。

 これは最終的には、両者の程よい調和の世界を作るまで揺れ動いていくことであろう。そして一言付け加えれば、その両者の程良い調和の世界を作り出していく動きの中心勢力は、この日本にならざるを得ないであろう、ということだ。日本人は、ぼーとしていてはいけないのである。その世界史的使命に目覚める時がもう来ていることを理解すべきであろう。

 
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●中国戦闘機にイランは領空を開放
http://www.presstv.ir/detail/145078.html
【10月3日 PRESSTV}

 イランはトルコとの共同軍事演習に参加した中国戦闘機に領空を開放したという。

 トルコと中国はトルコのアナトリア地区で先月軍事演習を挙行した。この演習はアナトリアン・イーグルとコードネームが付けられている。トルコと中国の軍事演習として最初のものになる。トルコはかつてはこのアナトリアン・イーグルをアメリカ、NATO、イスラエルと共同で行っていた。

 トルコ軍のF-16、中国軍のSu-27 とMig-29 戦闘機が模擬ノドッグファイトを演習中に行った。この演習は温家宝首相のトルコ訪問を前にして行われたものだ。

 トルコと中国は1990年代後半から150km射程のミサイル生産で軍事協力を開始している、とヘリエット紙がウェブサイトで報じている。

 今回のアナトリアン・イーグル軍事演習はトルコ空軍の主催で行われ、航空協力体制の強化と訓練を目標としている。

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ビロビジャン市を訪れたメドベージェフ大統領  ビロビジャン市

◆10月2日

 130年前には戦争をしたトルコとロシアが今や、中東・中央アジアにおけるアメリカの戦略的進出に対し、ともに手を携えて対抗していく姿勢を強めている。

 中東に対するアメリカの戦略は、ブレジンスキーのロシアを追い詰めるという戦略目標達成のための戦略でもある。不安定のこの地域をブレジンスキーは「ユーラシア・バルカン」と呼んで、ここにアメリカは二つの大洋を乗り越えて楔を打ちに来ているわけだが、そうすんなりとは行かなくなっているのだ。
 
 さらにこの地域に隣接する中国も上海協力機構を通じて、影響力を及ぼしてきているから、既にアメリカの進出は阻まれつつある。

 そして此処に来て親イスラエルでありNATOにも所属しているトルコが、ほぼ反イスラエルとなり、またユダヤ勢力の強い軍の今までの破格の権力を規制する憲法改正が国民投票によって賛成多数となり促進される形勢となってきたから、イスラエル、そしてその背後のアメリカ側の劣勢は明らかである。

 このような動きは、単なる地政学的な動きと言うよりかは、現代の歴史的発展における明確な転換点を示している現象と理解すべきなのだ。従って、その潮流の底には言い知れぬエネルギーが渦巻いているのであり、確実にその流れの方向に歴史は動いて行っているのである。

 それが、このブログでしきりに、イスラエルのネオコン的武断的姿勢を改める時期が来ている、と指摘する理由の一つでもあるのだ。
 もし中東でユダヤ人国家が立ち行かなくなった場合のことを、メドベージェフ・ロシア大統領が考慮しながら、ロシア内のユダヤ人国家であるビロビジャン自治国に対する支援を語っているとすれば、そこにもイスラエルが考慮しなければならない歴史の流れというものが見て取れるであろう。


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●トルコとロシア:アメリカの中東・中央アジア戦略に対抗
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=21273
【101日 by Eric Walberg】

 新オスマンと新ビザンチン両帝国が現行のグレートゲームでよろめいているアメリカの前にその前進を阻まんとして対峙している。

 中東と中央アジアをアメリカ帝国と「中東で唯一の民主主義国家(イスラエル)」の従順な手下にしてしまおうというネオコンの計画は、今や予想外の競技場に直面している。パレスチナ、アフガンでの戦争やイラクの泥沼でのもがきだけでなく、この地域の関係国の見えざる動きが始まっているのだ。

 米帝国は中東をほぼ半千年紀に渡って平和裏に統治してきたオスマン帝国の継承者であるトルコの復活に直面している。公正発展党(AKP)の元に拡張しているダイナミックな外交の一環として、トルコはアルバニア、ヨルダン、レバノン、シリアとの間に昨年、カリフ自由往来ビザを復活させた。2月にはトルコの文化観光省のエルトゥグル・グナイ大臣は同様の措置をエジプトにも拡大した。憲法改正を問う国民投票における明確なAKPの勝利で、トルコを入れた、「欧州連合と同等の内容を持つ、地域的な中東連合を創設する新大計画が存在している」と、イスラエル・シャミール氏は語る。

 トルコはまたロシアと過去2年間で、ビザなし措置とパイプライン建設、原子力発電所施設建設などを含むルーブル・リラ建ての積極的な貿易、投資計画を持つ、戦略的パートナーシップを締結した。

 トルコがオスマン帝国の継承者であるように、ロシアはビザンチン帝国の継承者である。両者が中東地域をほぼ1千年にわたって統治してきた。ロシアとトルコは中東の覇権者としては、20世紀の英米強奪者より正当性がある。そこで両者は動きだしているのだ。

 皮肉なことには、アメリカとイスラエルによる中東・ユーラシア地域に対する侵略は、侵略を蒙った地域を従順に従わせることはできていない。むしろ彼らが一体となって反逆する方向に向けていて、そのため彼らはロシア、トルコ、シリア、イランを含む同盟関係を結びだしている。

 シリア、トルコ、イランは伝統的・信仰的そしてアメリカ・イスラエルの計画に対する抵抗勢力として一体化しているだけではなく、アメリカ・イスラエルの支援を受けているクルド分離派と戦わねばならないという共通の必要性からも一体化している。

 彼らの間での貿易量は飛躍的に拡大している。
 これは 自然な地域的地政学的ななりゆきであり、英米帝国によってこの150年間押し付けられた人工的なものとは違う。丁度十字軍が一千年前この地域に大災害を齎した時、地方勢力は一体化してこの侵略者を撃退せざるを得なくなったように、今日の十字軍も、自らの解体にむけた動きを始めたのだ。

 欧米がイランとの手詰まり状態に陥っているのを緩和させる、トルコがブラジルと始めた5月の大胆な動きは、世界の憶測を呼んだ。イスラエルがガザの封鎖を破ろうとした平和船団を攻撃した時の、トルコのイスラエルに対する6月の挑戦的姿勢は、アラブ世界の称賛を浴びた。

 ロシアはロシアで、劇的さでは弱いが、今日の中東地域では最も議論を呼ぶものと言う点で貢献している。ロシアには問題がある。経済的に弱いことと、自らの弱体化している軍事力が世界の大国と事を起こす可能性のある事柄を前にして大胆になれなくさせている。彼らのエリート層は、アメリカとどこまで張り合うのかという点で意見が分かれている。アフガンでの敗北、チェチェン、それに中央アジア諸国における影響力の低下の齎す懸念材料が、ロシアの中東・イスラム諸国との関係における悩みの種になっている。

 1972年にソ連がエジプトから撤退して以来、ロシアは中東地域では公的には強いプレゼンスを持っていない。1980年代中期より、100万に近いロシア人がイスラエルに移民した。他の移民と同様、自分達の献身の姿勢を示すのに熱心であり、全体としてパレスチナ人と国家を分ける2国家案に強固に反対している。

 アナトール・シャランスキーが移住した後に、ビル・クリントンに冗談で言ったように、「自分は世界最大の国から最小の国の一つにやってきました。あなたはそれを二つに分けようと言っているようですが、ありがとう、間に合っています」。
 ロシアは自分でこしらえたイスラエル・ロビーを持っている:多くのロシア人はイスラエルとの二重国籍所有者なので、イスラエル間でのビザなし旅行を享受できるのだ。

 欧米とイラン間の手詰まり状態において、ロシアはあいまいなスタンスにある。ロシアはイランとの間で原子力発電関連での協力関係があるが、イランの核に対する姿勢に懸念も感じているため、安全保障理事会でのイラン制裁を支持しているし、イランと2005年に締結したS-300防衛ミサイルの引渡しを躊躇している。ロシアはまたアメリカのアフガン戦略への支援を増大させている。多くのコメンテーターは、メドベージェフ大統領下のロシア指導部はアメリカに屈服しつつあるサインだと結論付けている。これは反帝国主義のプーチンの政策と反対の方向だ。「ロシアは信頼に足りない国であることを自ら証している」と、イラン国防省のアハマド・ヴァヒディ大臣は批判した。

 ロシアはこの厄介なジレンマで綱渡りをしているのだ。ロシアはまたイランとの核問題での交渉にトルコとブラジルを入れることを拒否しているアメリカとEUの側に立っている。「一般に非同盟国は、そしてとりわけイランは、新興国は自らの経済的発展にはエネルギー分野での自立が必要であるが、その自立に至ることを阻止せんとする欧米などの大国の側に立つことをロシアは採決で選択した、と判断している。そしてこのロシアの無礼な仕打ちを彼らが忘れることはないだろう」と、ティアリー・メイサン氏は指摘している。

 どこに真実があるかは別として、イランとの、そして今はトルコ、シリア、エジプトなど平和的核勢力との協調関係は、また今回シリアに対するP-800最新型巡航ミサイルの販売合意契約は、ロシアが中東問題でアメリカ・イスラエルと張り合っていることをなんとか示していることにはなる。イスラエルはシリアに対するこのミサイル販売に激怒している。ロシアに対するリベンジ策として、「戦略的に均衡を破る兵器」を、戦略的に重要な地域に売り込む、とイスラエルは先週ロシアを脅している。イランとシリアの両者は、ロシアの動きを一触即発の不安定地域をなだめようと努力しているものと見ている。ロシアが中東の力強い仲裁人の可能性を持っていることを示す理由はいくつかある。イスラエルに移民した数百万ものロシア人は、リーバーマンのような、ロシアにとってアキレス腱的な存在ではない。彼らの3分の1は、国家の望むレベルからはるかに劣る者たちと馬鹿にされ、人種的な純潔性でできている国家にとっては深刻な問題となりうると拒否されているのだ。多くの者たちはロシアに帰還したか、なんとか努力して這い上がろうとしている者たちもいる。既に、ネタニヤフ首相の政治的パトロンであるモシェ・アレンスのような著名な右翼政治家たちは、単一国家という解決策を模索している。おそらくこのロシア移民は、南アフリカのアパルトヘイト政策放棄を再演するような、もう一人のフレデリック・デクラークを生み出すことだろう。

 ロシアはもう一つの中東和平の興味深いキーを持っている。シオニズムはその最初から、宗教的保守的ユダヤ人が強く反対する世俗的社会主義運動であったし、この宗教的保守的ユダヤ人はベン・グリオンやネタニヤフのような者からの誘いで多くの者たちが離脱したのだが、現在も継続している。パレスチナ人のように、「真実のトーラ・ジュー」は「ユダヤ人国家」を認めていない。

 しかしだ。、ソビエトの非宗教的政策に則って、ロシアのビロビジャンに非宗教的国家として1928年に設置された合法的なユダヤ人国家が存在しているのだ。イスラエル・ジュー、正統派と世俗派ともに、地下資源に恵まれ、ゴルダ・メイアーの「国民のいない国土に国土を持たぬ国民のための」このソ連邦崩壊以来、再び注目を浴びているユダヤ人のホームランドに移住するのを止める手立ては無い。メドベージェフ大統領は、今年の夏、ロシア(あるいはソ連の)指導者として初めての訪問を果たした。そして世俗的なヨーロッパのユダヤ人の言語(聖なるヘブライ語でなく)であるイェディッシュ語が国語となっているそのユダヤ人のホームランドである国に対するロシアの国家的支援を指摘した。

 トルコとロシアが新しい政治情勢を形作る枢軸を形成していくことになんら不思議はない。むしろこれは、イスラム勢力が欧米の襲来に直面して反発し始めているということなのだ。それに加えて、驚くべきことには、ソ連時代の民族自決の歴史の流れにあると言えることである。トルコは、かつては「ヨーロッパの病人」、と言われていたが、今やヨーロッパで「唯一健康な人」となっている。トルコのアブドゥラ・グル大統領は、先週の国連ミレニアム・ゴール・サミットで、ロシア、イラン、シリアと並んで、イギリス帝国によって、そしてその「民主主義的」子孫であるアメリカとイスラエルによって作り出された混乱を収拾するよう要請された。

 アメリカとイスラエルの戦略家がイラン侵攻の狂った企図に夢中になっている間、ロシアとトルコの指導者らは原子力発電所も含む中東での貿易と開発を進める計画を立てている。中東からの視点で見れば、ロシアのイランや、トルコ、シリアそしてエジプトに原子力発電所を建設するという意欲は、経済発展を支援する意欲を示していて、それは欧米社会がイスラエルを除いては中東地域に対しては拒否してきた姿勢である。これには、レバノンも含まれる。シリアからの天然ガスをストロイトランスガスとガズプロムがレバノンのベイルートに移送する計画があるが、これはレバノン沖の膨大な埋蔵ガス開発に対するイスラエルの反対活動を無にすることになる。

 ロシアはロシアで、同盟国のトルコのように、中東が直面している最も緊急の問題であるパレスチナとイラン問題ではどちらにも偏らない位置に自らを置いている。「中東における平和は、平和で安定した将来の世界に対する鍵を握っている」とトルコのグル大統領は、国連ミレニアム・ゴール・サミットで、英語で語った。世界は彼らの努力がその成果を齎すかどうか注目している。

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