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G8でのベルルスコーニ首相とオバマ大統領
◆「分裂」で「揺らぐ」G8サミット
昨日からイタリアの地震被災地ラクイラで主要国首脳会議(G8)が開催されている。今回のサミットは「分裂」で「揺らぐ」サミットと形容したい。
まず中国の胡錦濤国家主席が帰国してしまったため、重要な経済問題などでの討議にあまり意味がなくなってしまった。これはある意味この会議全体を揺るがした出来事だろう。
そもそも開催地が地震被災地のラクイラに急遽変更され、余震におびえる状況での会議となり、参加者の心も不安で揺れている。
加えて、主催国のイタリアのベルルスコーニ首相は、若い女性の買春問題などでスキャンダルに揺れている。そこに更に、元ヌードモデルのカルファーニャ機会均等相(33)をサミットの配偶者プログラムの案内役に指名したとして、メディアが騒いでいる。
日本は日本で、中国やインドなどの新興国を加える拡大論が加速する見通しで、「アジア代表」として参加してきた日本の主導的な地位が揺らぐ可能性が出ている、ということで、心穏やかではない。
G8ではイランの今回の選挙後の弾圧問題を取り上げ、イランに対する新たな制裁も議論されるようだが、中国自身がウルムチの弾圧問題で揺れているし、イラン叩きの急先鋒であるフランスのサルコジ大統領は、このブログで取り上げたように、アラブ・イスラム系の移民の人々に対する「弾圧」では、内務大臣時代からの弾圧の専門家だ。
それに選挙の不正などどの国でも多かれ少なかれ存在していて、あまり他国のことをとやかくいうほど偉くはないだろう、というのが実情だ。
それに弾圧というのは、見方によるのだから、どの国もイラン問題は他人事とは思えない内情を持っているから、サルコジ大統領のようなのを普通「偽善者」と言う。だからロシアなどは最初から制裁などには消極的だ。
結局あまり意味の無いサミット、ということになるのだろう。
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●ベルルスコーニ:G8はイラン問題で分裂
【7月7日 AP】
G8の参加国指導者は、イランでの大統領選挙後の混乱と弾圧問題で共通の見解を導き出すべきだ、とサミット前夜の7日、イタリアのベルルスコーニ首相は語った。
今回のサミットの議長を務めるベルルスコーニ首相は、いくつかの国、例えばフランスは強い行動が必要だ、と語り、反対にロシアなどは対話の姿勢を保ち穏便なスタンスがよいと表明している。
「イランに対する声明の内容をこれから決められる」と、ローマでの記者会見でベルルスコーニ氏は語った。彼は、参加国首脳らは対話路線を求めるだろう、と語った。
8日夜の夕食会議でイラン核問題をトップに世界的な安全保障問題を話し合う。夕食後に共同声明を発表する予定でいる。
フランスのサルコジ大統領は、選挙後の騒乱で何人かの死者や多くの逮捕者を出したイラン指導層に対する比類ない批判者だ。最近サルコジ氏は「フランスは常にイランに対する制裁を強化することを提言してきた」と語り、そうすることで「イラン指導部が今進んでいる道が行き止まりであることを理解するだろう」、というのだ。
ロシアは制裁の可能性を否定した。メドベージェフ大統領は、イランの選挙のあった4日後に開かれた安全保障会議に、イランのアハメドネジャド大統領を招待している。
アメリカのイランと対話するという路線は、6月12日の選挙後の騒乱とその弾圧で揺らいでいる。・・・以下略
●胡主席帰国で「中国リスク」浮き彫りに ラクイラ・サミット
7月8日22時27分配信 産経新聞
【ローマ=渡辺浩生】ラクイラ・サミットの“影の主役”といわれる中国の胡錦濤国家主席が帰国したことで、いまや中国を抜きでは何ら意味をなさなくなった世界経済問題や地球温暖化対策での有益な討議は望めない状況となった。特に、米国発の金融・経済危機を克服し、再発を防ぐ処方箋(せん)を探る上で、中国の存在は欠かせない。胡国家主席の帰国は、中国の国内事情に世界が翻弄(ほんろう)されるという「中国リスク」を改めて浮き彫りにした。・・・以下略
●サミット接待役に元ヌードモデル閣僚…伊首相に疑問符
7月9日0時22分配信 読売新聞
【ラクイラ=松浦一樹】主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)を前に買春疑惑などのスキャンダルが相次いで発覚したベルルスコーニ・イタリア首相(72)に、欧州メディアは議長の資質を疑問視する論調を強めている。
「(サミットで同席する)各国の首脳に恥ずかしい思いをさせている」(英紙)などの辛辣(しんらつ)な批判をはね返せるか、会議の手綱さばきが注目される。
7日にローマで行われた記者会見。首相は「一連の疑惑はサミットに影響すると思うか」と地元記者に問われ、「そんなはずはないだろう」と憤りをあらわにした。
5月に18歳女性とのいかがわしい関係が取りざたされ、ベロニカ夫人(52)との離婚騒動が持ち上がって以来、地元メディアは首相批判を強めている。私邸に高級売春婦を呼んでいた疑惑が浮上すると、トーンはさらにエスカレートし、ナポリターノ伊大統領は1週間前、「サミット前は批判報道を一時自粛すべきだ」と仲裁に入ったほどだった。
サミット開幕が近づくにつれ、各国メディアも攻撃の手を強め始めた。元ヌードモデルのカルファーニャ機会均等相(33)をサミットの配偶者プログラムの案内役に指名したことや、政府の会議運営能力に疑問符をつけ、英ガーディアン紙は「各国はイタリアをサミットから追放し、スペインとの入れ替えも検討している」と痛烈な皮肉を放った。
首相にとって、一連の会議をそつなく仕切れば汚名返上のきっかけとなる可能性もある。だが、「サミット中に新疑惑が浮上するのではないか」(伊レプブリカ紙)とメディア側は厳しい視線を浴びせている。
●ラクイラ・サミット 余震M4以上ならローマに会場変更
イタリア政府は、8日から同国中部地震の被災地ラクイラで開催される主要国(G8)首脳会議(サミット)について、会期中にマグニチュード(M)4~4・5程度以上の余震が起きた場合、首脳らの安全を考慮し、会場をローマの警察関連施設に移すことを決めた。同国主要メディアが一斉に報じた。
4月6日の本震以降、ラクイラでは6月22日にM4・5、3日午後にもM4・1の余震が起きたほか、6日未明にも数回の余震が観測された。
強い余震が発生した場合、首脳らをいったん会場内のテントに移した後、ヘリコプターなどでローマに移送する。
サミット会場は当初、サルデーニャ州のリゾート地だったが、中部地震後、復興支援を目的にラクイラに変更された。(共同)
●ラクイラ・サミット 揺らぐ「アジア代表」の地位
8日からイタリアで始まる主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)では、中国やインドなどの新興国を加える拡大論が加速する見通しで、「アジア代表」として参加してきた日本の主導的な地位が揺らぐ可能性が出ている。また、ホスト国であるイタリアのずさんな対応ぶりも目立つほか、麻生太郎首相をはじめ各国首脳もさまざまな問題を抱えており、主要国(G8)の存在意義が問われかねないサミットになりそうだ。・・・以下略
●「薄くて質素」サミット事変
主要国首脳会議(サミット)が8日、イタリア中部のラクイラで開幕する。経済危機や地球温暖化など、G8(主要8カ国)だけでは解決できない課題がのしかかり、今回は最もG8の影が薄いサミットだと指摘される。さらに、史上最も質素なサミットであり、日本が世界2位の経済大国としての地位を確保して臨む最後のサミットでもある。世界的なパラダイムシフト(既成概念の枠組み変化)のうねりの中で、サミットは今、大きな岐路に立つ。
◆「存在意義がない」
ラクイラ・サミットは、初日にG8の会合を設定した。2日目に中国、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカの新興5カ国などが加わり、地球温暖化対策のための主要経済国フォーラム(MEF)首脳会議を開催。3日目にアフリカ、食料問題を協議する。G8で見解を擦り合わせ、拡大会合を主導する段取りだ。
だが実際には、今回ほど「(存在意義を喪失する)アイデンティティー危機」(米シンクタンク戦略国際問題研究所のスティーブン・シュレイジ氏)が指摘されるG8は初めてだ。
経済危機の解決と再発防止に向けた国際通貨基金(IMF)の財源拡充、金融規制強化などのメニューは、4月のロンドンG20(主要20カ国金融サミット)で合意され、G20の枠組みは、世界規模の課題対処への有効性を確立しつつある。9月末には、米ピッツバーグで次回G20が開催される。米政府高官は「(G8は)2つのG20の単なる中間点」であり、新施策を打ち出すよりも「首脳たちが経済回復の取り組みを点検し合う機会」と位置づけているほどだ。・・・以下略
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オバマ大統領とプーチン首相
◆7月8日
昨日のブログに、バイデン副大統領とオバマ大統領の考え方には違いがある、と指摘したが、以下の記事にあるように、オバマ大統領は早速バイデン副大統領の発言を否定するかのような、イスラエルのイラン攻撃についての是非について、明快に「ノー」と発言した。
このようにホワイトハウス内でも、オバマ大統領は同じ志を持つ者に事欠くような環境の中にいて、そろりそろりと自分の信念を通す歩みをし続けていかねばならないことが分かる。
しかし昨日紹介したミューレン統合参謀本部議長の発言に見られるように、主に軍人の中には、専門家であればこそだが、イラン対策について軍事オプションをとることを危険視する者達がいるので、オバマ大統領はそういう者達に支えられながら、何とか中東和平への歩みを進めていくことだろう。
といって、オバマ大統領はイランが核兵器の製造を本当に進めている、ということならばまた違ったアプローチの仕方をするかもしれない。これは北朝鮮に対し、はっきり制裁を行うべし、という姿勢にも現れているのを見ても分かる。
イランは核の濃縮などを見てもまだまだ核「兵器」製造の段階には至っていないと判断し、今年一杯くらいはとにかく外交で臨もうということにしているわけだ。
オバマ大統領は1981年から数年間、コロンビア大学で国際関係論を学んでいるが、特に旧ソ連の核軍縮を論文のテーマにしていたというから、この核軍縮の分野ではそれなりの専門家の部類に入る人間である。従って今回ロシアと核削減交渉を成立させたのも、彼なりの信念に基づくものであったと言える。
米露の持つ核兵器が本当に戦争に使われたら、これはどんなにしても人類が生き残る道はほぼ無くなる。それで今回ロシアとの間で、「先ず隗より始めよ」ということで核削減を実行しようとしている。
このような時期に、核保有国であるイスラエルが、核をまだ保有していないイランを軍事的に叩く、となれば一体どうなるか、という問題がある。おそらく最初は通常兵器で攻撃しても、数百ヶ所になるイランの核関連施設を攻撃するということは大変な作戦であろう。当然イランからの報復攻撃もイスラエルに甚大な被害をもたらすことだろう。長期戦になれば、ハマスやヒズボラの動き、イラクの動き、ペルシャ湾のアメリカ軍へのイランからの攻撃・・・何が起きるか分からない。パキスタンはイスラム教国で核保有国だ。このパキスタンがどうでるか?
そしてイスラエルがその戦争になかなか勝てないでいれば、最後には持てる核兵器を使用したくなるかもしれない。もしイスラエルが核兵器を持ち出せば、世界の世論は決定的なイスラエル非難となるだろう。先制攻撃をし、かつ核兵器の使用だ。誰がどう見ても正当性はない。しかしイスラエルには、「サムソン・オプション」と言われる、いうなれば、核の自爆攻撃戦略がある。自国が滅びかねない状況に陥った際は、数百発と言われるその原子爆弾その他の核兵器など(ABC兵器)を敵陣に投入する、という、旧約聖書のサムソンの故事に倣って付けられた名称を持つ最終自爆攻撃戦略だ。
そのような事態にイスラエルが陥ったら、米露はそのイスラエルに対し、どう出るのか?数百発の核兵器を核を保有しない国に向かった放つ、あるいは放ったイスラエルを前にして米露その他の国々はどう出るのか?これはつまり、俗に言われる「ハルマゲドン」であろう。
こういう事態にならないとも限らないイスラエルのイランの核施設への攻撃、というものをオバマ大統領が看過できるわけがないのだ。
世界が来るところまできていることを理解しているオバマ大統領は、自分の使命を自覚しているはずだ。
今回オバマ大統領はプーチン首相とも会談した。プーチン首相は、オバマ氏のことを「興味深い人物だ」と言ったという。これは底の浅い人物ではない、ということだろう。プーチン氏自身はKGB上がりの人物だ。人物を見る目はそれなりに養われているであろう。そのプーチン氏が興味深い、という表現を使ったのを見ても、オバマ氏が多少とも毛色の違う人物である、という印象を得たことが分かる。それは正解だ。
実はプーチン氏も同様だ。彼は一介のKGB職員だったが、むしろ首相や大統領になってからその本領を発揮している。つまり大化けした人物だ。今や大政治家と言っていい。オバマ氏もそのような大政治家になる可能性を秘めている人物であろう。
この人物の大きさの違いが、イラン攻撃に対する発言内容に出た、というのが真相だろう。オバマ大統領は、バイデン副大統領とは人物の器が違う、ということなのだ。
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●「イラン攻撃容認」説を否定=イスラエルの自制求める-米大統領
【7月8日 時事通信】
ロシア訪問中のオバマ米大統領は7日、CNNテレビのインタビューで、イラン核問題に絡んで米国がイスラエルによるイラン攻撃を容認したとの説について、「絶対にそんなことはない」と明確に否定した。
米国では、バイデン副大統領が5日のテレビ番組で「イスラエルは主権国家であり、イランやその他の国への対処を自ら決定できる」と発言したため、イラン攻撃に「青信号」を出したとの解釈が一部で広がっていた。
オバマ大統領は「イラン核問題を外交を通じて平和的に解決するのが米国の政策だ。イスラエルには直接、中東で大規模な紛争を引き起こさないような手段を取ることが重要だと伝えている」と述べ、イスラエルの自制を求めた。
●「イラン核放棄ならMDは不要」オバマ米大統領、米露新時代へ決意
【7月7日 産経新聞】
【モスクワ=遠藤良介】ロシアを訪問中のオバマ米大統領は7日、モスクワの高等経済大学で演説し、ロシアが強硬に反発している米国のミサイル防衛(MD)計画について「イランが核兵器開発を放棄すればMDも必要なくなる」と表明した。オバマ氏はまた、「米国はロシアが強く、自信を持ち、繁栄した国家であることを望む」とも発言。ソ連崩壊後も根強いロシア人の対米不信を取り除き、核不拡散やテロ対策などでロシアと協力する決意を鮮明にした。
米露関係の「リセット」は、ソ連末期のゴルバチョフ政権期や1990年代のエリツィン政権初期にすでに起きている。しかし、これはロシアが「超大国ソ連」の地位を失い、自信を喪失していった時期だ。その後の北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大や「米国一極化」にロシア人は複雑な“被害者意識”を鬱積(うっせき)させ、国力が回復傾向に入ったプーチン前政権期には、それが“米露新冷戦”や昨年8月のグルジア紛争となって表面化した。
オバマ氏の演説は、「ロシアの言うことに聞く耳を持ってほしい。大国として敬意をもって接してほしい」(露専門家)という政権と国民の感情をくんだものだ。その上で、「NATOはロシアと敵対するのではなく、協力すべきだ」「米露は北朝鮮の核保有国化とイランの核兵器獲得の阻止で団結しなければならない」と述べ、両国が世界の安全保障で協調する必要を訴えた。
訪露前に「片足が冷戦時代にある」と批判していたプーチン首相(前大統領)とも7日に朝食をともにし、「あなたがロシア国民のためにした非凡な仕事を知っている」と称賛した。
他方、オバマ大統領は演説で「帝国が敵対し、チェスの駒のように他国に接する時代は終わった」とし、ロシアによる近隣国への攻撃的な対外姿勢を暗に批判している。親欧米政権の下でNATO加盟を目指すウクライナやグルジアについても「領土の保全は世界秩序の基礎であり、国家が自らの指導者を選び、独立した対外政策を有することも同様だ」とくぎをさした。
“米国の国是”である民主主義の価値観もオバマ大統領の対露外交から外れたたわけではない。訪露前には政権批判で知られるリベラル紙「ノーバヤ・ガゼータ」の書面インタビューに応じ、米露関係「リセット」の概念にはロシアの民主化や人権問題も含まれていると述べた。
オバマ大統領は7日夕、野党や市民団体の代表者とも面会する。独立政治家のルイシコフ元下院議員は記者団に対し、「オバマ大統領がクレムリン以外の政治家とも接触しようという態度の表れだ。反対派の意見を聞くことでオバマ氏はよりロシアを理解してくれるだろう」と話していた。
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イスラエル潜水艦
◆7月7日
イスラエルがもしイランを攻撃するとしたら、イスラエルからどのルートを通ってイラン攻撃をするのか、という点が常に問題となる。
グルジアの南オセチアの空港を使わせてもらう計画も、グルジア・ロシア紛争で南オセチアがロシア側になってしまっため頓挫、イラクはイランと近いシーア派のマリキ首相の政権であり、領空を使わせてもらえない。トルコはエルドガン首相がイスラエルのガザ侵攻を激しく非難したばかりだ。そうなると残りはサウジくらいになる。サウジはスンニー派であり、イランのシーア派政権が核を保有し中東で強大な勢力となることを恐れている。そこでアラブ諸国の不倶戴天の敵であるイスラエルだが、そのイスラエルがイランを叩くのならば、一時的にでも領空を使用させてもいい、となっても不思議ではない。
こうして具体的なイラン攻撃のルートが確保された、となると、その攻撃の時期も間近に迫ってきているのか、と考えざるを得ない。
時を同じくして、イスラエルの潜水艦がスエズ運河を通過した、という。行き先は分からないが、おそらくイラン方面であろうと推測される。
バイデン米副大統領は、イスラエルがイランを攻撃することを、アメリカは阻止はできない、という発言をした。つまり、イスラエルにイラン攻撃の「グリーンライト(了解)」に近いサインを出したことになる。反対に統合参謀本部議長はイランを攻撃することは、地域の不安定化を進めることになり、予期せぬ重大事が生来しかねない(からよろしくない)、という意見を明らかにした。政権内での意見の食い違いの表れだ。
オバマ大統領の意思は既に前のブログで示したように、「イラン攻撃はするな」、というものだ。オバマ大統領はあくまで外交でイランとの間の問題の解決を目指している。しかし副大統領は自身、「自分はシオニストだ」と言っていたくらいの人物だから、イスラエルのイラン攻撃を止めるような意向は持ち合わせていないだろう。このあたりはオバマ大統領と個人的な意見としての食い違いを持っているということになる。
このように不穏な情勢の中、オバマ大統領がどれだけうまくバランスを取りながら、結果的にイスラエルのイラン攻撃を「阻止」し、中東問題をそれなりにまとめていけるものか、不安は残るが、ロシアとの関係を正常化しつつある中、この両大国が中東問題でも一致した姿勢を示し続ければ、イスラエルとしても簡単には軍事行動には出れないであろう。
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●サウジアラビア:イスラエルのイラン攻撃を黙認か
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article6638568.ece
【7月5日 TimesOnLine】
イスラエルのモサド長官はネタニヤフ首相に、サウジアラビアは将来のイラン攻撃のためイスラエル戦闘機がサウジ領空を使用することに暗黙の了解を与えた、と断言した。
今年の初め、2002年からモサドの長官を務めるメイアー・ダガン氏は、この問題についてサウジ高官と秘密会談を持った。
イスラエルのメディアは、前首相であるオルメルト氏を含む政府高官らが、サウジの高官らと会合を持ったという非公式の情報を報じている。その情報をサウジ当局は否定した。
「サウジは、イスラエル空軍が、サウジとイスラエルの両国に共通の利益であるミッションのためサウジ領空を通過することに対して、それとなく了承した」と先週、外交筋が語った。
両国は公式の外交関係は持っていないが、イスラエル国防関係者は、モサドはサウジと現実的な関係を持っている、と追認した。
ジョン・ボルトン前国連米大使は、湾岸諸国を訪問した際、この件について「まことに理にかなったこと」と語った。
何人かのアラブの指導層と会談したボルトン氏は、「どちらも公式には発表していないが、イスラエルが、これは大きな成功だ、と吹聴しなければ、領空通過を黙認しただろう」と述べた。
アラブ諸国は国連ではイスラエルの空爆を非難するだろうが、私的な場では、イランの爆弾の脅威から解放されたと感じるだろう、と彼は語った。
シリアの核施設といわれるものに対する2007年のイスラエルの攻撃を振り返りながら、ボルトン氏は「現在までイスラエルは詳細は語っていないが、シリアには小規模な核施設があった・・・」
この一件は、穏健派スンニー・アラブ諸国の間で高まっている、シーア派政権であるイランの安定性の問題と、イランが核勢力となるのではという恐れが増大していることを浮き彫りにしている。
「サウジはイランの核爆弾をイスラエルのそれよりも非常に気にしている」と、イスラエル情報局の前調査局長は語った。
イスラエル空軍は、ここ4年間に渡ってイランのナタンツの核施設とイラン中央部にあるその他の施設への攻撃訓練を行ってきている。
●バイデン米副大統領:アメリカはイスラエルのイラン攻撃阻止はしない
【7月5日 AP】
バイデン米副大統領は、「アメリカは他の主権国家に対し何ができて何ができないかを言って命令することはできない」と語ることで、イスラエルに対してイランの核脅威を根絶する軍事行動にグリーンライトを与えているように見える。
イスラエルはイランを最も危険な敵と見ている、また選挙で勝利したばかりのタカ派のアハメドネジャド大統領に対し警戒している。・・・以下略
●イスラエルのイラン攻撃前、アメリカは意見の違いが明確に
【7月5日 PressTV 】
マイケル・ミューレン提督は、イランに対するいかなる軍事的攻撃も「大変、不安定にさせてしまう」と語った。
イスラエルはイランを核戦争にがむしゃらに向かっている政権であるかのように示そうとしているが、ホワイトハウスのトップオフィシャルとアメリカ軍は、イスラエルのイラン攻撃の可能性について矛盾したスタンスを表明している。
アメリカ軍のトップ司令官である、マイケル・ミューレン提督は5日、イランに対するいかなる攻撃も“予期せぬ結果”をもたらすと警告した。
米軍統合参謀本部議長であるミューレン提督は、フォックスニュースに対し5日、イランに対するいかなる攻撃も“大変不安定にさせることになる”と語った。「イランに対する攻撃をずっと心配してきている。それは非常に事態を不安定化させるものだからだ。しかもそれは予測不可能な思わぬ結果をもたらすだろう」と語ったと言う。、その反面、ホワイトハウスではバイデン副大統領は、イスラエルがイラン攻撃をするような場合には、アメリカは阻止することはしないだろう、と述べた。
アメリカは、「主権国家に対し、何ができ何ができない、と命令することはできない」とバイデン氏は語った、とAP通信は伝えた。・・・以下略
●イスラエル潜水艦:スエズ通過、イランへ向かうか
【7月3日 Reuters】
1隻のイスラエル潜水艦が先月の海軍演習の一環としてスエズ運河から紅海へ向かったと3日、イスラエル国防関係筋が語った。かつて無い動きということで、イランへ向かう戦略的動きを示しているという。
イスラエルは長いこと3隻のドルフィン級潜水艦を保有している。この潜水艦はエジプトの港務部長の監視の目に晒すことなく核ミサイルをスエズ運河から運搬していると見られている。・・・
◆エジプトのスタンス
エジプトのスエズ担当の高官は、軍事的動向に関する情報については肯定も否定もしようとはしなかった。一人の高官は、運河をイスラエル軍が通過しても、エジプトとイスラエルは戦争状態にはないから問題にはならない、と語った。・・・
・・・
ドルフィン級潜水艦は10本の魚雷発射管を持っているが、その内の4本はイスラエルの要請で核弾頭付き巡航ミサイル用に拡張されている、と言われている。しかし地中海からイランを攻撃できる1500kmもの射程を持っているものか、疑問視されてきた。・・・以下略
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テヘランの英国大使館前で抗議デモを行うイラン人大学生
◆7月5日
今週イタリアで開催されるG8会議で、イランに対する新たなる制裁問題が浮上しているが、アメリカはどうもそれには反対をするようだ。
オバマ大統領は6月4日、エジプトのカイロ大学で歴史的な演説を行い、その中でイスラム社会との新しい友好的な出発を宣言している。またとりわけその中で、「米国は冷戦中、民主的に選ばれたイラン政府を転覆させた」ことを認め、そのような姿勢を改め、イランとの間で真の友好関係を築いていく姿勢を強調したばかりなのだ。
そこに持ってきて今回のイラン選挙における騒乱だ。このブログで示したように、アメリカのCIAは、数年前から、イラン国内における「不安定化作戦」を進めてきている。CIAはおそらくイギリスなど欧米(とイスラエル)の同類のグループと共同でこの作戦を進めていた可能性があるだろう。
それで、イランは特にイギリスの大使館員を逮捕しているが、直接アメリカとの問題は起こしていないのは、その証拠をつかんでいないからか、あったとしても政治的配慮から、それを表ざたにしないで、とりあえずイギリスを槍玉に挙げているのかもしれない。
それを知ってかアメリカのオバマ政権は、今回のG8では、イランに対する新たなる制裁には消極的・反対の姿勢をとろうとしていると見られる。
4日のブログにも書いたが、オバマ政権とCIAとは、その姿勢と行動において今や相当齟齬をきたしている、と判断していい。オバマ大統領にとって、CIAは獅子身中の虫になっている。これを時間を掛けてそろりそろりと弱体化していかねばならないと考えているはずだ。そうしなければ、今回のイラン騒動のようにアメリカの国益に反するようなことを次から次と起こしてしまいかねないからだ。
例えば、サウジアラビアのように民主主義のかけらもないような国であっても、それがアメリカに友好的なスタンスを取り、貿易や為替でアメリカの国益に沿う姿勢を持っている国に対してはアメリカはその内政に干渉しようとはしないし、それは当然のことだ。
イランも同様であり、イランが反米になったのは、石油絡みの利権問題で、イラン当局とぶつかったからで、それをオバマ大統領は、力や陰謀で屈服させる方法論はもう時代遅れと踏んで、本当の友好関係を築くことが、結局アメリカの国益になる、と判断しそのポリシーで臨もうとしている。だから、今度の選挙騒動のような「内政干渉」を良しとしないのであるから、CIAの動きには腹立たしい思いを抱いているはずである
この場合はCIAはイスラエルのために動いている、とみてほぼ間違いないであろう。イスラエルのシオニストの言動とCIAの動きとは同調している。むしろイスラエルはアメリカのCIAを使って、アメリカを対イラン戦に引き込もうとしてる。それをオバマ大統領は知っているから、それと一線を画する動きをし続けてきている。
アメリカ内部の暗闘が今もこのようにして継続している。我々がどちらを支援すべきかは、明白だろう。
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●アメリカはイランへの制裁に反対
G8でアメリカは制裁阻止へ
【7月3日 AntiWar】
来週イタリアで開催されるG8会議での主要な議題の中で、イラン政府に対する制裁問題がある。ベルルスコーニ・イタリア首相は、この制裁が採択される見通しだと語った。 ところがほとんど信じられないことだが、通常は制裁の急先鋒役だったような方面から変化が現れて、アメリカはイランと取引している石油会社に打撃を与えるこの新しい制裁に反対だ、と外交筋は語った。
制裁を主張する者たちは、先月の問題のある選挙に抗議した者達を弾圧したイラン政府を懲らしめようとはしているが、アメリカ高官は、選挙問題による制裁は却って選挙結果に対する抗議をしている者達に不利となり、またイランの核問題で妥協を引き出しにくくさせるであろう、と制裁に対する懸念を表明している、という。
イラン政府と国営メディアは、繰り返し反対運動者らを外国勢力によって組織化された、と非難しているので、護憲評議会が大掛かりな不正は無かったとしているにもかかわらず、制裁ということになれば、これを大統領候補として立てた彼らの代表を、国際社会が権力に押し上げようとする試みである、と見做すであろう。
●サミット「イラン非難声明を」 大使館職員起訴 英、EUが抗議
【7月5日 産経新聞】
イラン大統領選後の抗議行動を扇動したとして拘束されている英国大使館現地職員の男性の弁護士は4日、男性が国家安全保障に敵対する行動をした罪で起訴されたと明らかにした。AP通信が伝えた。英政府と欧州連合(EU)はすでに、各国外務省にイラン大使を呼び出し厳重に抗議、8日からイタリアで始まる主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)の声明にイラン非難を盛り込むよう働きかけており、イランとの関係はさらに悪化しそうだ。
4日付の英紙ガーディアンによると、起訴されたのは、拘束されままになっている現地職員2人のうちイラン国内政治の分析を担当する責任者。イラン護憲評議会事務局長のジャンナティ師は3日、テヘランで「彼らは罪を自白した。裁判にかけられる」と述べていた。
英国はこれまで、EU加盟国に駐イラン大使の召還を求めているが、イランの主要貿易国のドイツやサミット議長国のイタリアは慎重姿勢を示している。
イランは先月21日、英BBC放送のテヘラン支局長を国外追放。駐イラン英外交官2人にも国外退去を命じるなど、対英強硬姿勢をエスカレートさせている。
英国は1919年にイランを保護国化し、53年に米国が支援したクーデターにも深く関与したため、イラン国内には強い対英不信感が残っている。BBCが今年1月からペルシャ語による衛星テレビ放送を始めたことにも、イラン当局は神経をとがらせていた。
●拘束の英大使館館員を訴追と、イランの護憲評議会責任者
【7月4日 CNN】
イランの選挙監視機関である護憲評議会の最高責任者で保守派とされるジャンナティ師は3日、先の大統領選の不正疑惑をめぐる改革派による抗議集会に関連して逮捕されたテヘラン駐在英国大使館のイラン人職員を騒乱扇動の罪などで訴追する考えを示した。国営のイラン学生通信によると金曜礼拝で述べた。
同師は、英国が今年3月、大統領選に絡み暴動が起きる可能性を指摘し、自国民に注意を呼び掛けていたと主張。その上で、英国大使館の一部館員が騒乱に関与していた疑いで逮捕された事実に言及した。
英国とイランは、抗議集会などをめぐって相互非難し、外交官の国外退去処分の応酬にも発展している。一部館員が実際に訴追された場合、両国関係がさらに緊迫するのは必至だ。
英国のミリバンド外相は、ジャンナティ師の発言を受け、しかるべきイラン当局に真意の説明を求めたいと反発。「大使館館員が不適切、不法な行動に参加していないことは明白」と述べた。その上で、イラン当局が依然拘束する館員2人への懸念を表明した。イラン政府は、館員9人が拘束されたが、1人を除き釈放したと述べていた。
一方、欧州連合(EU)は3日、全加盟国が自国駐在のイラン大使を呼び、英国大使館の館員2人の拘束に反対の立場を表明すると発表した。
●国家反逆罪でムサビ氏訴追を=イラン紙
【7月4日 時事通信】
4日付のイラン保守系紙ケイハンは論説記事で、大統領選で不正が行われたとして抗議デモを呼び掛けた改革派のムサビ元首相について、「暴動の扇動や外国勢力との協力」の責任があるとし、国家反逆罪で訴追するよう主張した。
ケイハン紙の編集局長は最高指導者ハメネイ師が任命。選挙戦では、保守強硬派アハマディネジャド大統領への支持を鮮明にした。
同紙はこの中で、ムサビ氏にはデモで無実の市民が犠牲になったことへの責任があると非難。「ムサビ氏とハタミ氏(前大統領)は不愉快な犯罪行為について説明責任を果たす必要がある」とした。
●米大統領、CIAの対イラン秘密工作を承認か・米テレビ報道
【2007年5月23日 日経新聞】
米ABCテレビ(電子版)は22日、ブッシュ米大統領が米中央情報局(CIA)による対イラン秘密工作を承認したと伝えた。武力行使は含まれず、反政府宣伝活動やイランによる国際的な資金取引の妨害などが選択肢となっているという。米政府は「情報活動にはコメントしない」との声明を出した。
報道によると、秘密工作はイランによるウラン濃縮活動やイラクの武装勢力支援を停止させることが目的で、CIAが昨年から検討を重ねてきた。
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米露首脳会談が行われるクレムリン
◆7月4日
6日から訪露するオバマ大統領が、ロシア首脳陣に向けて、「米露関係に対する冷戦時代型の取り組みは時代遅れ、と理解することが重要」と語った、という。
このブログでも今後、米露は、特にロシアのプーチン首相とオバマ大統領が健在であれば、両国家が一緒になって世界の新時代を切り開く可能性がある、と指摘してきたが、上記のオバマ大統領のロシアに向けたメッセージが端的にそれを示している。我々日本人も含めて、米露冷戦時代の観点はもう古い、ということを知らねばならない。新しい人間が出てきているということは、また同時に新しい国家が生まれつつあると言うことにもなる。今米露(だけではないが)にはそのような新しい指導者が生まれてきているのだ。
ロシアがまだまだ態度において固いのは、今までのアメリカの態度に問題があったからだ。アメリカは2001年同時多発テロを契機として、アフガン、イラクへと侵攻。同時に中央アジア諸国へ、軍事基地などの建設で進出してきたし、東欧へのNATOの拡大とミサイル防衛システム設置計画などで、地政学が語るところの「リムランド」から「ハートランド」への包囲網を縮めてきたからだ。
しかしアメリカはオバマ政権となってから、その政策は様変わりしてきている。ブッシュ政権時代に進出した地帯から撤退の意向を示し、一部(イラク)撤退を実現しつつある。またブッシュ時代、悪の枢軸とか、テロ支援国家などどレッテルを張り敵視してきた国家に対し、より柔軟な姿勢で対応しようとしてきている。イラン、シリアなどだ。
今回、オバマ政権はアフガンで増派、その麻薬生産拠点を制圧しつつある。以前のこのブログで示したように、この麻薬生産は、実はタリバンが政権を握っていた時代には途絶えていたのだが、ブッシュ政権がタリバン政権を倒し、カルザイ政権を打ち立ててから急速にケシ栽培が増え、再び世界一の生産国となってしまった経緯がある(5月12日号参照)。
論理的に考えれば、誰がアフガンをアヘン生産世界一にしたか、ということの結論が分かるはずだ。そしてアメリカのCIAが麻薬ルートを握っているだろう、という点を考慮すれば、今度のアフガンでの米軍の意図と、そのための物資の自国領通過をロシアが認めたことの意義も分かるはずだ。
そして今度の米露の新核軍縮交渉だ。簡単に言えば、ロシア首脳とアメリカ首脳の思惑は徐々にではあるが、一致しつつある、ということ。
CIAの闇の資金源となっている世界的な麻薬生産・販売ルートの壊滅問題はロシアにとっても他人事ではなく、ロシアの辺境部分で起きているテロ活動などの資金源とも見られていて、アメリカと同じようにその源を叩きたいのであるから、アメリカのアフガン戦略を側面から支援すべき、という判断になっておかしくない。オバマ政権もCIAの闇の資金源を断とうとしていることは間違いないだろう(以前も書いたようにオバマ政権とCIAは、ある部分で敵対関係になっているということになる)。
これは、要するに、ロシア側にとってはオバマ大統領の人物を信用するか否か、と言う点が焦点でもあるのだ。そしてロシア首脳部はオバマ大統領の人物を信頼し始めている、ということになる。 従って、今回の米露首脳会談はそれをある程度確定的なものにする重要な機会となるだろう。またこの機会を契機として、米露新時代が始まる、と見てほぼ間違いないだろう。
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●米露、新核軍縮条約で合意へ…弾頭削減数など
【7月4日 読売新聞】
米露両国の政府高官が明らかにした。アフガニスタン安定化に向けた協力強化でも一致する模様で、今回の首脳会談は、米露が国際的な脅威に共同で対処する姿勢をアピールする場となりそうだ。
メドベージェフ大統領は2日、ブログを通じ「ロシアと米国の協力関係に新たなページを開こうとする願いが具体的な成果を生み、両国と世界に利益をもたらすことを期待している」と表明し、6日に予定される首脳会談の成果に自信を示した。
最大の焦点である核軍縮条約についてプリホジコ大統領補佐官(外交担当)は3日、「首脳が署名する共同コミュニケには、保有する弾頭数か、削減する弾頭の数が記されるだろう」と述べ、核弾頭の具体的な削減数で合意できる見通しを示した。
ロシアの安全保障問題の専門家は、「両首脳は弾頭数では1500個程度で合意する可能性が高い。文書の形で発表される」と予測する。2002年調印のモスクワ条約は、1700~2200個への削減をうたっており、一層の核軍縮が進むことになる。
●ロシア、軍事物資の領内通過を承認へ 米軍のアフガン軍事作戦
【7月4日 CNN】
クレムリンのパブロフ報道官は3日、米国がアフガニスタンで進める軍事作戦で、軍事物資のロシア領内の通過を認める方針であることを明らかにした。ロシア政府はこれまで非軍事物資の輸送だけを認める考えを示していた。
同報道官によると、軍事物資通過の合意は、6日からロシアを訪問するオバマ米大統領とロシアのメドベージェフ大統領との首脳会談で打ち出される方向にある。
オバマ大統領は、アフガニスタンをテロとの戦いの主戦場と位置付け、2万1000人の増派も発表している。一方、ロシアではアフガンから流出する麻薬問題が国内で深刻となっており、テロ対策も重要課題となっている。アフガンの安定は米ロにそれぞれの利益をもたらすものとなっている。
メドベージェフ大統領は2日、動画ブログへの投稿で、米国との関係が「実質的に冷戦時代と並ぶ水準まで」冷え込んだとした上で、改善に向けて役割を担う用意がロシア側にあると首脳会談への期待を表明している。
●<オバマ大統領>「冷戦型は時代遅れ」 6日から露訪問
【7月3日 毎日新聞】
オバマ米大統領は2日、AP通信のインタビューに応じ、ロシアのプーチン首相について「米露関係に対する冷戦時代型の取り組みは時代遅れ、と理解することが重要」と語った。大統領は6日からのロシア訪問中、メドベージェフ大統領に加え、プーチン首相とも会談。両国関係の「リセット」には、冷戦型の思考を引きずる首相への直談判が必要とみているようだ。
大統領は「プーチン首相は今もロシアで多大な影響力がある」と指摘。メドベージェフ大統領は、新たな米露関係の必要性を理解しているとする一方、プーチン首相は「片足は古い交渉方法、もう片足は新しい方法に置いている」と表現した。核不拡散などで米露が協力するには、ロシアの両首脳が歩調を合わせる必要があることも強調した。
北朝鮮問題について大統領は、北朝鮮が挑発行為を続けた場合でも、国際社会の一致した対応は可能とする一方、「責任ある行動を開始するためのドアは開けている」として、北朝鮮に交渉に戻るよう呼び掛けた。
イランの核問題に関しては、「大統領選後にイランで起きたことを踏まえると、(解決が)より難しくなった」と言及。イランが1~5年以内に核兵器を取得する可能性が指摘されている点については、「そうした事態に至らないような方法を考えている」と述べるにとどまった。
またイランや北朝鮮問題への対処でロシアと中国が障壁になっているかとの問いには「よい協力ができている」と否定した。
●米軍のタリバン掃討作戦、鍵を握るアヘンの存在
【7月4日 ロイター】
米軍はアフガニスタンで開始したイスラム武装勢力タリバンの掃討作戦で、世界最大のケシ(アヘンの原料)栽培地であるヘルマンド川下流地域をほぼ制圧した。アフガンの麻薬栽培やアヘン貿易をコントロールすることは、対タリバン戦の鍵を握る要素となっている。
◎ケシの栽培面積とアヘン生産量
国連の統計によると、世界で生産されるアヘンのうち、アフガニスタン産は93%を占める。2008年のアフガニスタンのケシ栽培面積は15万7000へクタールと、2007年の19万3000ヘクタールから19%減少。しかし、収穫自体は高水準だったため、アヘン生産量は前年比6%減にとどまった。
国連薬物犯罪事務所(UNDOC)の調査によると、2008年のアフガンから他国へのアヘン輸出額は34億ドル。アヘン価格の下落もあり、2007年の40億ドルから減少した。
◎アヘンとタリバンの関係
タリバンは資金面を主にアヘン貿易に依存している。ケシ栽培量やアヘン生産量が減少し、取引価格も下落したが、UNDOCはタリバンなどの「反政府勢力」が、依然として「麻薬取引から莫大な資金」を得ていると指摘する。
UNDOCのアントニオ・マリア・コスタ事務局長はさらに、タリバンが抱えているアヘンの在庫にも注意すべきだと指摘。2008年の報告書で同事務局長は「過去何年もアフガンのアヘン生産量は世界の需要量を上回ってきた」とした上で、供給過剰でもアヘン価格が大崩れしなかったのは、タリバンが在庫を積み上げているからにほかならないとの見方を示している。
◎タリバン掃討作戦への影響
アフガン駐留米軍のスタンレー・マクリスタル司令官が率いるタリバン掃討作戦にとって、アヘン問題の解決が重要課題であることは間違いない。マクリスタル司令官を含む米軍幹部は、アフガニスタンでの新たな作戦は、現地で普通に生活する市民の信頼や支持を得ることが大事だと話す。
一方、現地の農家がケシ栽培によって手にできる収入は頭の痛い問題。ケシ栽培を禁止するなどして農家の生活の糧を奪えば、タリバン掃討に向けて彼らの協力を得るのは非常に難しいものになるだろう。
アフガン農家の総収入に占めるケシ栽培からの収入の比率は、2007年には10対1だったが、2008年には干ばつの影響もあって3対1まで高まっている。
◎ケシ撲滅の見直し
オバマ政権でアフガニスタン・パキスタンを担当するリチャード・ホルブルック特別代表は先の主要8カ国(G8)外相会合で、ケシ栽培の撲滅方針を見直すと表明。「ケシの収穫に対する西側のやり方は間違いだった。タリバンに何も打撃を与えられなかった一方、農家の仕事を奪ってしまった」と述べた。
ケシ栽培撲滅はコストがかかるだけでなく、危険も伴う。UNODCによれば、2008年にはケシ撲滅に関わった人のうち、警察官を中心に少なくとも78人が殺害された。
ケシ撲滅を支持する人たちも、このことが幅広い麻薬対策のほんの一部に過ぎず、農家がケシ以外の代替作物を栽培できる場合にのみ実行できると認める。
ホルブルック特別代表は、今後は原料側を抑えるのではなく、麻薬や薬物の追跡や押収に集中するとしている。
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