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チュニジアのプロテスターたち

◆1月19日

 アラブ世界の一角にあるチュニジアで暴動が発生、結果として政権が崩壊、新政権が形成されつつある。これに触発されたようにその他のアラブ世界でも似たような動きが出てきている。

 これを欧米型のグローバリゼーションに対するアラブ民衆の反乱、と捉えるのが以下の論文である。実は以下の話はなにもアラブ世界だけの話ではなく、わが日本をも含む全世界に共通する話なのだ。

 グローバリゼーションとは、インターナショナリズムの言い換えに過ぎない。ただしこの左翼インターナショナリズム運動の背後には世界的銀行家らがいて、それを進めたという事実を理解しないとわけが分からなくなる。

 レーニンのロシア革命は欧米の銀行からの資金援助がなければ成功しなかったであろう。一切の運動には資金が必要なのだ。1848年のフランスの革命でもロスチャイルド邸は襲撃されなかったのにはわけがある。
 資本家らは今、グローバリゼーションを掲げ、国家の壁を越えて、資本の力であらゆる利権を買いあさっている。

 今の日本の民主党が、アメリカの圧力で今の動きをしていることは明らかである。菅政権は欧米の圧力の中で、彼らの利益を中心とする政策の実行を目指しているといえよう。圧力とは、脅しである。簡単に言えば、脅しに屈っしたと考えざるを得ない。

 チュニジアでは若者が焼身自殺をした。エジプトやアルジェリアでも焼身自殺するものが出てきた。事態はそこまで悲惨な状況であったことがわかる。
 今、アラブ世界の特に独裁国家では、たとえば、エジプト、リビア、モロッコ、そして多くの王国など、戦々恐々としていることであろう。欧米諸国といい関係にあるアラブ諸国の政権は特にそうだ。

 今の時代はかつての過去の時代とは一線を画する。違うのだ。このことをこのブログでは再三再四指摘してきた。今や今までのまやかしが暴露され、今までの一切の欺瞞が崩壊していく時代になっている。これからますます人々の意識は目覚め、根本的変革へと進んでいく。

 「最後の鐘がなる・・・収奪者が収奪される」・・・(マルクスも知らなかった時代が迫ってきている)


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●グローバリゼーションの失敗:民主主義のアラブの春
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=22828
【1月17日 by Abdul Ilah Albayaty and Hana Al Bayaty and Ian Douglas】

 チュニジアの事件は大統領を追放するといった問題ではなく、欧米の植民地主義的グローバリゼーションのモデルの崩壊、ということだとアブドゥル・イラハ・アルバヤティ、ハナ・アル・バヤティ、イアン・ダグラスは書いている。

 チュニジアの暴動は全世界に影響を与えているこのグローバリゼーションというモデルの失敗の結果である。この国の経済が外国資本に開かれて市場に委ねられた途端に、国家の役割は自動的に損なわれ、ただこのモデルを保護するためだけのものになってしまった。その結果、チュニジアであろうとなかろうと、発展途上国では、人々の利益と外国資本を保護するために生まれた階級との間で矛盾が生まれている。

 アラブ諸国では、グローバリゼーションのモデルは、社会に幸福を広める責任を持つアラブ・イスラム的国家を廃棄することにある。それは第二次世界大戦後の独立運動で生まれた国民国家という概念を捨てることを意味する。この国民国家というものは、国民の発展と幸福いう概念を基礎とすることで正当性を持つのである。グローバリゼーションはまた、福祉国家と公共サービスの提供を基礎とする社会主義的理想の廃棄をも意味する。

 第三世界に埋め込まれたグローバリゼーションのモデルは、時にはイラクのように力で、あるいはエジプトとかインドネシアのように経済的圧力で、あるいは石油生産国の裕福な国家に適用させることで、どこであっても、その国の経済をグローバルな経済に組み込むようにさせ、自分たちの政権と外国資本とその国の資本家の既得権益だけをを保護し管理する役割だけを持つ国にしてしまうコンプラドール(仲買人)階級を生み出すようにしてきた。並行して、どこでも、先進国を含めて、このモデルは金持ちを更に裕福にさせ、中流階級を貧困化させ、貧困層を社会の片隅に追いやってしまった。
  
 チュニジアでは、このモデルが非常にうまく機能していたという幻想は、独立以来続いてきたその独裁政権のやり方に負うところが大きい。しかしながら、どこでもそうだが、その結果は、経済的、政治的に貧困化し見捨てられた人々を生み出し、統治する警察国家階級を更に裕福にさせ、人々の福祉は見向きもされず、いかなる反対にも市場の名の下に厳しい弾圧で対処する国を生み出しただけであった。
 しかし、我々のこの近代という時代では、社会というものは際限なく人を弾圧したりイデオロギーを禁止したりすることのできる組織ではなく、生きた存在なのだ。誰も自分以外を統制することはできないのだ。

 もしも過去に、教育を受けた階級が他の国に移民をするという選択をしたとしたら、そしてそこの発展に寄与するということをしたら、グローバル経済危機と欧米と同盟国の経済のスタグネーションはこの可能性に制限を与えていたことだろう。この状況の結果は、発展途上国における教育され技術を持つ青年らによる軍隊というものだ。
 通常は、そういった青年たちは経済の担い手であり、社会の幸福の守護者であり、また自分の人生への抱負に満ちた者たちである。

 現在の全てのアラブ諸国における政治経済的状況はこれら青年らを暴動へ、そして時に絶望に追いやっている。こういった青年たちは世界の似たような状況にある者たちと同様の生活をする権利を持っていると考えている者たちである。

 1973年後、自分たちの勝利の上にアラブ世界は欧米社会に国を開くことができると考え、そのプロセスは平和と繁栄をもたらすと考えた。サダトの経済自由化と欧米企業の投資を招致したことはアラブ世界での福祉国家の終焉のサインとなった。それ以来、自己発展の夢は廃棄され、アラブ諸国が外国資本に市場を開くことになったのだ。この自由化の政策は、アメリカの祝福を受ける条件となった。最初はレーガニズムとサッチャーイズム、そして世界貿易交渉が続き、世界銀行の構造改革政策であった。

 このグローバル新自由主義的経済の輪の中に組み込まれる事をイラクが多少でも拒否したので、力と占領、それにまたブレマー法を通して石油産業を民営化しイラクの将来を外国企業に渡すことを余儀なくされた。イラクの経済を開放し外国勢力が経済面、政治面、文化面それに軍事面などに自由にアクセスできるように、占領政策はイラクが自力更生できないようにインフラ面と人材の両面での物理的破壊の方式を採ることになった。

 イラクでの経験で示されたように、外国資本はその国の経済の本当の発展を狙うものではなく、自己決定的な発展プロセスの能力を破壊することなのだ。アメリカによって進められている金融資本主義的帝国主義の段階では、第三世界は世界発展で利益を得るのは一番最後で、資本主義の危機の際には最初に被害を受けるのである。

 この政策が達成できる模範例と言われてきたドバイの金融機関でさえ、金融危機に直面し、他の首長国が救済に乗り出さねば破綻するところだった。

 1973年以来の古い世代を活気付けた発展の幻想の一切、社会主義、アラブの統一あるいはルネッサンス、パレスチナにおけるパックス・アメリカーナと欧米化、あるいは解決策としてのイスラムは、こういった理想にアラブの政治勢力が注がれたにもかかわらず、今や何も生み出さなかったし達成されなかったことが示された。

 社会主義の型は崩壊し過去のものとなった;アラブの統一は各国政府のアジェンダにはない;解決策としてのイスラムはイラクのように単に分裂と派閥をもたらした;パレスチナに於けるパックス・アメリカーナはイスラエルの侵略を止めることはなかったし、各国の市場を資本主義的経済に開放しそのシステムに組み込んでも、投資はやってこず、あるいは失業問題や貧困の解決にはならなかった。正当な権利を人々は持っていても自由に国の公務に参加できなかったし、国の経済や国土の豊かさの恩恵を受けることもなかった。

 アラブの青年らはまだいくつかの国で追い求められている古い世代の大いなる夢に反対はしないだろうが、そしてそのような動きは彼らにも影響を与えてはいるが、アラブの青年らは今すぐ変化を起こしたいと願っている。

 新しい世代は幻滅している。チュニジアでは自分たちで運命を切り開こうとし変化を、本物の変化を願っている。アラブの一国として、変わらぬ地中海的環境を持つ国にあって、チュニジアの人々はグローバリゼーションのモデルとは単なる横領のことであるとはっきり理解したのだ。

 なんらの幸福や発展、自由あるいは民主主義も達成されなかった。このモデルは圧制、腐敗、窃盗の一般化ということに要約されるのだ:コンプラドールの統治階級、警察国家、帝国主義勢力の政策と利益に国家を従属させることである。 

 ベン・アリ政府の崩壊は一つの独裁政権の崩壊というだけのことではなく、金融資本主義によるグローバリゼーション・モデルの崩壊であり第三世界に対する帝国主義システムの崩壊を意味している。その他のアラブ諸国の状況は、石油産出国を含めて、同様である。
 状況は恐らく各国経済、地政学的位置、それに人口構成により多少異なるであろう。しかし新自由主義的グローバリゼーションへの統合は発展とか進歩をもたらしはしなかったししないであろうということを、それどころかむしろ、いくらかの者たちが裕福になること、大多数は貧困化すること、そして国家利益をグローバル資本主義に明け渡したし、明け渡すであろうということを皆が知っている。

 多少の差異はあれども同じ状況にあるアラブの政権は動揺している。それは同じ状況は同じ結果をもたらすことになるからだ。全てのアラブ政権は、全ての帝国主義勢力、全ての革命勢力らは、チュニジアにおける成功の原因を研究している。他の似たような暴動は失敗したのにチュニジアでは彼らは政府を追放することに何故成功できたのかと、彼ら全てが自身に問うている。

 以下は我々の見方である。アラブ世界ではどこでも、同様の状況が存在するし、同様の変化への要求があるし、このグローバリゼーション・モデルからの脱却を願う欲求がある:唯一の違いは、チュニジアでの暴動は自発的なものでイデオロギー絡みではなかったということである。

 それはある政治的組織ともう一つの組織との間の紛争というものではなかった。むしろ支配階級と人々との間の紛争であり、支配階級に対する人々の戦いであると理解したチュニジアの青年たちの意識と自発性による紛争であった。

 それは、人間としての尊厳性、民主主義と幸福の、失敗した発展のシステムに対する戦いである。この経験により、その他の諸国は同様の状況になっていくであろう。 

 まさしく、チュニジアでの成功はその統一性に負うところが大きかった。似たような暴動、イラクで2010年夏に起きた電力絡みの暴動などは成功しなかったが、それは多くは本当の共通の自分たちの利益から目をそらさせ、アラブを分裂させようとする外国勢力によって教唆されていた政治的レベルでのイデオロギー的分裂状態が存在していたからだ。

 どこでもアラブの青年たちは尊厳性、自由、民主主義、そして発展のある人生を願っている。イラクのようなイデオロギー的な紛争は、人々の本当の利益を覆い隠してしまう。こういったイデオロギー的紛争は統治勢力によって彼らの政策を正当化することに利用され、彼らの実際の行動を隠すことに利用される。しかし遅かれ早かれ、貧困化した大衆と裕福になった統治勢力との間の紛争の事実は明らかになるのだ。

 全てのアラブ政府が動揺している間に、そして自分たちの国で似たような動きをどのように窒息させるかのノウハウをシンクタンクがアドバイスしている間に、アラブの民衆は既にチュニジアの暴動は、希望であると宣言し彼らにとっての模範例であることを宣言している。

 ヨーロッパ諸国の経験を分かち、影響力を考慮しながら、1848年あるいは1968年にヨーロッパ中に暴動が継続して起きたことは不思議でもなんでもない。このように、同じ国家に属し同じ条件で生活していると皆が考える時、アラブ世界で何が起きるであろうか?

 一つのアラブ国家に属していた国が植民地主義勢力により分裂させられ個別の国家に分かれてしまった、これらアラブ諸国にチュニジアはどのような影響を与えるであろうか?

 欧米はアラブに対し、自分らの政策に合致する場合には、彼らアラブ諸国は分かれた独立した国家であると告げるが、自分らの利益に合致すれば、アラブを一つのブロックとして扱うのだ。

 この動きに反対するチュニジアの人々は、彼らの利益を守る為この運動を封じ込めようとするだろうが、状況は人々の利益と国家の間に妥協が成立するまでは紛争は継続するであろう。これを民主主義とか独立というのだ。そこでは民衆と国家が彼らの現在と将来の主人公である

 これはアラブ世界の新しい時代の幕開けなのだろうか? この暴動は本当の変化をもたらすであろうか? 最終的には、アラブ世界は本当の民主主義と主権を揮(ふる)えるようになるのであろうか? 同じ現実に直面するその他の政権は、彼らの運命を見越して彼らのシステムを平和裏に変えていくことを選択するであろうか、あるいは一緒になってチュニジア現象を窒息させ、その目標を変えるようにさせるのであろうか?

 未来が我々に示すであろうが、人を変えるということは暴動の原因を変えるということにはならない。アラブのリニューアルというものがチュニジアで始まっているのであろう。

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