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イスラエル潜水艦

◆7月7日

 イスラエルがもしイランを攻撃するとしたら、イスラエルからどのルートを通ってイラン攻撃をするのか、という点が常に問題となる。
 グルジアの南オセチアの空港を使わせてもらう計画も、グルジア・ロシア紛争で南オセチアがロシア側になってしまっため頓挫、イラクはイランと近いシーア派のマリキ首相の政権であり、領空を使わせてもらえない。トルコはエルドガン首相がイスラエルのガザ侵攻を激しく非難したばかりだ。そうなると残りはサウジくらいになる。サウジはスンニー派であり、イランのシーア派政権が核を保有し中東で強大な勢力となることを恐れている。そこでアラブ諸国の不倶戴天の敵であるイスラエルだが、そのイスラエルがイランを叩くのならば、一時的にでも領空を使用させてもいい、となっても不思議ではない。
 
 こうして具体的なイラン攻撃のルートが確保された、となると、その攻撃の時期も間近に迫ってきているのか、と考えざるを得ない。
 時を同じくして、イスラエルの潜水艦がスエズ運河を通過した、という。行き先は分からないが、おそらくイラン方面であろうと推測される。

 バイデン米副大統領は、イスラエルがイランを攻撃することを、アメリカは阻止はできない、という発言をした。つまり、イスラエルにイラン攻撃の「グリーンライト(了解)」に近いサインを出したことになる。反対に統合参謀本部議長はイランを攻撃することは、地域の不安定化を進めることになり、予期せぬ重大事が生来しかねない(からよろしくない)、という意見を明らかにした。政権内での意見の食い違いの表れだ。

 オバマ大統領の意思は既に前のブログで示したように、「イラン攻撃はするな」、というものだ。オバマ大統領はあくまで外交でイランとの間の問題の解決を目指している。しかし副大統領は自身、「自分はシオニストだ」と言っていたくらいの人物だから、イスラエルのイラン攻撃を止めるような意向は持ち合わせていないだろう。このあたりはオバマ大統領と個人的な意見としての食い違いを持っているということになる。

 このように不穏な情勢の中、オバマ大統領がどれだけうまくバランスを取りながら、結果的にイスラエルのイラン攻撃を「阻止」し、中東問題をそれなりにまとめていけるものか、不安は残るが、ロシアとの関係を正常化しつつある中、この両大国が中東問題でも一致した姿勢を示し続ければ、イスラエルとしても簡単には軍事行動には出れないであろう。


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●サウジアラビア:イスラエルのイラン攻撃を黙認か
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/middle_east/article6638568.ece
【7月5日 TimesOnLine】
 イスラエルのモサド長官はネタニヤフ首相に、サウジアラビアは将来のイラン攻撃のためイスラエル戦闘機がサウジ領空を使用することに暗黙の了解を与えた、と断言した。
 今年の初め、2002年からモサドの長官を務めるメイアー・ダガン氏は、この問題についてサウジ高官と秘密会談を持った。
 イスラエルのメディアは、前首相であるオルメルト氏を含む政府高官らが、サウジの高官らと会合を持ったという非公式の情報を報じている。その情報をサウジ当局は否定した。
 「サウジは、イスラエル空軍が、サウジとイスラエルの両国に共通の利益であるミッションのためサウジ領空を通過することに対して、それとなく了承した」と先週、外交筋が語った。
 両国は公式の外交関係は持っていないが、イスラエル国防関係者は、モサドはサウジと現実的な関係を持っている、と追認した。
 ジョン・ボルトン前国連米大使は、湾岸諸国を訪問した際、この件について「まことに理にかなったこと」と語った。
 何人かのアラブの指導層と会談したボルトン氏は、「どちらも公式には発表していないが、イスラエルが、これは大きな成功だ、と吹聴しなければ、領空通過を黙認しただろう」と述べた。
 アラブ諸国は国連ではイスラエルの空爆を非難するだろうが、私的な場では、イランの爆弾の脅威から解放されたと感じるだろう、と彼は語った。
 シリアの核施設といわれるものに対する2007年のイスラエルの攻撃を振り返りながら、ボルトン氏は「現在までイスラエルは詳細は語っていないが、シリアには小規模な核施設があった・・・」
 この一件は、穏健派スンニー・アラブ諸国の間で高まっている、シーア派政権であるイランの安定性の問題と、イランが核勢力となるのではという恐れが増大していることを浮き彫りにしている。
 「サウジはイランの核爆弾をイスラエルのそれよりも非常に気にしている」と、イスラエル情報局の前調査局長は語った。
 イスラエル空軍は、ここ4年間に渡ってイランのナタンツの核施設とイラン中央部にあるその他の施設への攻撃訓練を行ってきている。


●バイデン米副大統領:アメリカはイスラエルのイラン攻撃阻止はしない
【7月5日 AP】
 バイデン米副大統領は、「アメリカは他の主権国家に対し何ができて何ができないかを言って命令することはできない」と語ることで、イスラエルに対してイランの核脅威を根絶する軍事行動にグリーンライトを与えているように見える。
 イスラエルはイランを最も危険な敵と見ている、また選挙で勝利したばかりのタカ派のアハメドネジャド大統領に対し警戒している。・・・以下略


●イスラエルのイラン攻撃前、アメリカは意見の違いが明確に
【7月5日 PressTV 】
 マイケル・ミューレン提督は、イランに対するいかなる軍事的攻撃も「大変、不安定にさせてしまう」と語った。
 イスラエルはイランを核戦争にがむしゃらに向かっている政権であるかのように示そうとしているが、ホワイトハウスのトップオフィシャルとアメリカ軍は、イスラエルのイラン攻撃の可能性について矛盾したスタンスを表明している。
 アメリカ軍のトップ司令官である、マイケル・ミューレン提督は5日、イランに対するいかなる攻撃も“予期せぬ結果”をもたらすと警告した。
 米軍統合参謀本部議長であるミューレン提督は、フォックスニュースに対し5日、イランに対するいかなる攻撃も“大変不安定にさせることになる”と語った。「イランに対する攻撃をずっと心配してきている。それは非常に事態を不安定化させるものだからだ。しかもそれは予測不可能な思わぬ結果をもたらすだろう」と語ったと言う。、その反面、ホワイトハウスではバイデン副大統領は、イスラエルがイラン攻撃をするような場合には、アメリカは阻止することはしないだろう、と述べた。
 アメリカは、「主権国家に対し、何ができ何ができない、と命令することはできない」とバイデン氏は語った、とAP通信は伝えた。・・・以下略


●イスラエル潜水艦:スエズ通過、イランへ向かうか
【7月3日 Reuters】
 1隻のイスラエル潜水艦が先月の海軍演習の一環としてスエズ運河から紅海へ向かったと3日、イスラエル国防関係筋が語った。かつて無い動きということで、イランへ向かう戦略的動きを示しているという。
 イスラエルは長いこと3隻のドルフィン級潜水艦を保有している。この潜水艦はエジプトの港務部長の監視の目に晒すことなく核ミサイルをスエズ運河から運搬していると見られている。・・・
 
◆エジプトのスタンス
 エジプトのスエズ担当の高官は、軍事的動向に関する情報については肯定も否定もしようとはしなかった。一人の高官は、運河をイスラエル軍が通過しても、エジプトとイスラエルは戦争状態にはないから問題にはならない、と語った。・・・

 ・・・
 ドルフィン級潜水艦は10本の魚雷発射管を持っているが、その内の4本はイスラエルの要請で核弾頭付き巡航ミサイル用に拡張されている、と言われている。しかし地中海からイランを攻撃できる1500kmもの射程を持っているものか、疑問視されてきた。・・・以下略
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