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ハリリ暗殺現場


◆2月8日

 ハリリ元首相暗殺にイスラエルは係わっていた。イスラエルの無人機が数ヶ月に渡ってハリリの動向を監視しビデオに撮っていたのだ。また犯行当日も犯行現場をずっと撮影していた。しかし暗殺に使用されたのはドイツの精巧な兵器であった。核とナノテクノロジーが統合されたミサイル様の兵器である。


イスラエル無人機が撮影しヒズボラが傍受した暗殺現場

 しかしここで明らかになった事はドイツもまたイスラエルの下僕であったということだ。それでこの事件を扱うレバノン国連調査委員会委員長に元ベルリン検事総長でドイツとアメリカのシークレット・サービスと繋がりのある人物であるデトレフ・メーリスが買って出てその任務を請け負う事になったのだ。

 後は、茶番である。彼は証拠をでっち上げ、偽の証人を引き連れて、シリアのアサド大統領とレバノンのラフード大統領(当時)を犯罪者に仕立て上げようとした。

 しかし余りにも杜撰(ずさん)なやり方のため、彼の仕事はまったく信頼性に欠けるとして葬られ、レバノンの裁判は一からやり直しとなったのだ。

 その一切の欺瞞の過程を明らかにするのが以下の論文である。


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●ラフィク・ハリリ暗殺:イスラエルは関与したのか? -2-
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=22825
【1月17日 by Thierry Meyssan」

 誰がミサイルを発射したのか?

 ここが事態の複雑さを示す点だ。軍の専門家によれば、2005年、ドイツがこの新しい技術を持つ唯一の国であった。従って、ドイツがこの犯罪兵器を供給し設置した国である。

 ここから、自分の職業上で物議をかもしてきた人物である元ベルリン検事総長のデトレフ・メーリスが国連調査委員会を率いることに熱心だった理由が容易に理解される。彼は、実際ドイツとアメリカのシークレットサービスと繋がりを持つ人物である。

 
◆デトレフ・メーリス国連調査委員会委員長
 

悪名高いデトレフ・メーリス

 1986年にベルリンのラ・ベレ・ディスコ攻撃を調査するために任命されたメーリスは、リビヤを糾弾するためにアメリカとイスラエルの痕跡を一切慎重に隠蔽し、またアメリカ空軍によるムアマール・カダフィの宮殿に対する空爆を正当化した。

 2000年代初頭、メーリスはワシントン近東政策研究所(AIPACに繋がるシンクタンク・親イスラエル・ロビー)とランド研究所(シンクタンク・アメリカ軍産複合体に付属する機関)の研究員として、贅沢な給料を受け取っていた。これらは全てラフィク・ハリリ事件にかんする彼の偏った姿勢を説明する要素であり、それがため、彼をこのケースから除外すべきなのだ。

 メーリスはゲルハード・レーマンの補佐を受けていた。このレーマンという人物は、彼もまたドイツとアメリカのシークレット・サービスの内部では良く知られた人物である。彼は公式に、ヨーロッパで進められていたブッシュ政権による計画に参加していたことが、ある証人によって明らかにされている。この計画は、拉致、拘留、軍刑務所内の囚人の拷問などに関係するものだ。彼の名前は、ヨーロッパ会議による特別レポートの中に認(したた)められている。それにもかかわらず、ドイツ警察内部の彼の同僚によって示されたありそうもないアリバイではあったが、あらゆる訴訟を権力者の支援で切り抜けてきた。

 メーリスとレーマンはドイツの兵器を調査の対象からはずす為に、自爆攻撃の車に仕掛けられた爆発物という理論を広めた。


◆メーリスの証拠でっち上げ

 犯行現場から地面の土がサンプルとして取られた。それらは最初はミックスされ、次に三つの容器に分けて入れられた。その容器は三つの研究所に送られた。最初の二つからは爆発物は見つからなかった。三番目の容器はメーリスとレーマンが持っていた。彼らはそれを三番目の研究所に個人的に送った。ここで爆発物の残余物が検出された。

 原則的には、結論が三人の司法の専門家に依頼することでなされるのならば、意見の不一致がある場合は多数意見が結論となるはずだ。しかしそうではなかった。メーリスとレーマンはこの原則を破ったのだ。彼らは彼らの物が信頼できる唯一のサンプルであるとし、安保理を誤った道に導いたのだ。

 メーリスとレーマンの調査には非常に欠点が多いということが、十分に立証された。そのため彼らの後継者らはそっとそれを認めて、全ての訴訟手続きを無効と宣言したのだ。

 彼らが証拠を捏造した中で、最も有名なのはイカサマ証人に関するものだ。攻撃の準備をしているのを目撃したと5人の人物が主張し、バシャール・エル・アサド大統領とエミル・ラフード大統領(当時)を告発したのだ。これらの言いがかりは戦争の危機をもたらしたが、彼らの弁護士らはその嘘を暴露し、訴追は取り下げられた。

 デトレフ・メーリス、国連調査委員会委員長は刑事訴訟上の一切の原則を破り、証拠を捏造し、イカサマ証人を使い、ドイツを免除しシリアを告発した。こういった偽りの証言によってでっち上げられた証拠を元に、デトレフ・メーリスは、国際社会の名の下に4人のレバノン人将軍を逮捕し4年間投獄したのだ。自分の方針に従って彼は仲間と一緒にレバノン当局からの許可の無いまま、個人の住宅に押し入り、疑惑のある者たちを拘留した。ヘブライ語をしゃべる彼の補佐役たちと共に、これらの者たちの家族らを操った。こうして、国際社会のために、投獄された将軍の内の一人の将軍の妻に工作した写真を見せて、彼女の夫が殺人の疑惑を隠そうとしただけでなく、浮気もしていると言ったのだ。 

 同時に、メーリスは「容疑者」の息子にも同じ方法を使用したが、この場合には、母親は身持ちが悪い女だということを納得させようとしたのだ。こうすることで絶望的になった父親が殺人の狂気に走るだろうということなのだ。その狙いは家族の名誉犯罪を引き起こさせることにあった。そうすれば尊敬されかつ尊敬されるべき人々のイメージが汚されることになるからだ。

 更に信じがたいレーマンの計画は、シリア大統領に対する偽りの証言をしてもらう代償に投獄されている4人の将軍の一人を釈放しようというものであった。

 更に、ドイツのジャーナリストのユルゲン・カイン・クルベルは、物議をもたらす情報を強調した:ラフィク・ハリリの車列の内部に埋め込まれた強力な妨害システムを先ず機能不全にさせねば、遠隔操作では爆発を引き起こすことは不可能だったであろう、というものだ。これは世界で最も精巧に作られているシステムで、それはイスラエルで製造されたものである。

 クルベルは良く知られている親パレスチナ擁護者のサイド・ドゥディン教授から著書の販売促進のために接触を受けた。しかしながら、ドゥディンが頻繁に起こす挑戦的な宣言はむしろ和平の道を粉砕するのだった。クルベルは、かつて東ドイツの秘密警察官だったので、ドゥディンがドイツの左翼にあって長期にわたるCIAの工作員であるという評判のある人物であることを発見するのに時間はかからなかった。そこでクルベルはこの事実を証明するいくつかの古い東ドイツのレポートを出版したが、書類の違法の普及をしたということで短期間拘留されてしまった。ドゥディンは4人の将軍の家族に接触を持つためにベイルートのドイツ大使館に入った。


◆ドイツの中東とのかかわり
 
 中東をみると、ドイツのこの地域における役割には注目すべきものがある。2006年夏のイスラエルのレバノン侵攻作戦後は、アンゲラ・メルケル首相は国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に大変大きな派遣部隊を送った。ドイツから送られた2400名の兵士らは、地中海からレジスタンス勢力に武器が搬入されるのを阻止するため臨海インフラを管理している。その際、メルケル女史はドイツの使命はイスラエルを保護することだ、と宣言した。すると将校らの間には反逆の雰囲気が盛り上がった。数百人の者たちが、自分達は自国を守るために入隊したのであって、外国の防衛のためではない、ということを彼女に思い起こさせるために彼女に書簡を送ったのだ。

 2008年3月17日と2010年1月18日、かつて無かったようなことが起きた。ドイツとイスラエルの政府間で、合同閣僚会議が行われ、多くの取り決め、とりわけ国防面での取り決めがなされた。この段階では、イスラエル国防軍とドイツ連邦軍との間に秘密があまりあっては困るのであろう。

 デトレフ・メーリスが指揮したこの調査は、偽りの証人の点で嘲笑され、違法な4人の将軍の拘留で汚点を残すものだった。専断的な拘留に関する国連人権委員会の作業部会までも、公式にしかも厳重にこの権力乱用を非難したのだった。


◆レバノン特別法廷とメーリスの影響

 メーリスの仕事に与えられた悪名は、彼の工作に対してなんらの責任も無いレバノン特別法廷に影響を与えてはならない、と言われている。しかし再びここが事態の複雑さを表すところなのだ。STLの信頼性は、先ずは、真実を覆い隠し、バシャール・エル・アサド大統領とエミル・ラフード大統領(当時)に対して、戦争を惹起させる意図で偽りの告発をした全ての者たちを阻止する能力に懸かっているのである。

 今や、この法廷が偽りの証人を裁判にかけることを拒否し、メーリスの監視の下でなされた工作を隠蔽しているという印象を与えているし、実際、似たような政治的目的の達成(この場合はヒズボラ、そしておそらくは将来的にはその他の者たちの告発)を求めている、ということが起きている。もっと悪いことには、特別法廷はジャミル・サイエド(違法に拘留された将軍の一人)に、彼を告発した者の審理記録を手渡すことはしないだろうということだ。そうすることで、彼が補償を請求することを阻止することになるし、4年間の専断的な拘留を容赦するかのように見せることになるからだ。

 もっと平凡な言い方をすれば、この特別法廷は、その責任を回避しようとしているのだ。一方では、偽の証人たちがこれ以上イカサマをしないようにするため彼らを裁くべきであるし、法廷の不偏性を明確にするべきなのだが、もう一方では、法廷は訴追者であるメーリスを逮捕することになるため、「事態を明らかにする」ことを拒否している。しかしながら、オドナコ誌のドイツに関する暴露記事はその姿勢を保持しきれないようにするだろう。更には既に遅すぎるのだ:ジャミル・サイエド将軍はシリアで不服を申し立てた。またシリアの予審治安判事は既にデトレフ・メーリス、委員であるゲラルド・レーマン、それに5人の偽証人を告発した。シリアがインターポル (国際刑事警察機構)に彼らの逮捕請求を出せばSTLの動揺は避けられないだろう。

 メーリスの調査委員会がレバノン側の司法権力の専門性の欠陥を補うためのものとされたように、STLは同様にレバノン法廷では保証されないかもしれない不偏性を保証しなければならない。しかし事態はその点からはるかにずれているので、特別法廷の正当性が問題視されている。

 コフィ・アナンはレバノン特別法廷が国際裁判権を行使することは願っておらず、国際的性格を持つレバノン法廷として機能することを願った。半数は外国籍の者たちであるが、レバノン法に照合させられるべきものであった。この計画は実行されなかった。交渉が突然終わりを迎えたからだ。もっとはっきり言えば、当時ハリリ遺産の元公式代理人のフアード・シニオラに率いられていたレバノン政府と合意に至ったからだが、それは議会の承認もレバノン大統領の承認も受けたものではなかった。それで、この合意は国連安保理によって一方的に裏書された(2007年5月30日の国連決議1757号)。できたものは、ハイブリッドの脆弱な代物だった。

 コフィ・アナンが指摘したように、この特別法廷は今のところ国連の権限内で創設されたものの他のどんなものにも似ていない。「それは国連の補助機関でもなければ、レバノン司法システムの構成物でもない」:それは単にレバノン行政当局と国連の間にある「従来の機関」である。

司法の独立と権力の分散の国際的規則によって判断すれば、このSTLは正式な法廷とは認められない。むしろレバノン政府と国連の行政的枠組み内における統合懲戒委員会といったものだ。どんな決定が下されたとしても、必然的に疑惑を引き起こすことになるだろう。

 もっとまずいのは、関連する合意は前の政府のみ拘束しているので、どんなレバノン政府でもそれを承認しないで終了させることができるのだ。その結果、レバノン連立政府(当時)はそれを支持する一派と法廷の敵との戦場になってしまったのだ。政府の安定性を維持せんとして、何週間もミシェル・スレイマン大統領は閣僚会議がSTLに関するどんな投票もしないよう思いとどまらせてきた。この措置を永久に続けることはできない。


◆親イスラエルのレバノン特別法廷裁判長


親イスラエルのアントニオ・カッセーゼ裁判長

 悪いニュースがペアを組んで入ってきた。疑惑は今やSTLの裁判長であるアントニオ・カッセーゼにまで及んできたのだ。この評判の高い国際弁護士は元ユーゴスラビア国際戦犯法廷(ICTY)の裁判長だった人物だ。彼は偶然にもパレスチナのユダヤ人による植民地化の熱心な支持者である。エリ・ヴィーゼル(ルーマニア出身のアメリカのユダヤ人作家。自らのホロコースト体験を自伝的に記し、1986年にノーベル平和賞受賞)の個人的友人であるカッセーゼはヴィーゼル自身によって授与された名誉賞を受け入れた。彼は、ハッサン・ナスララがイスラエルの無人機が犯行現場と犠牲者の動きを何ヶ月にも渡って監視してきたと暴露した時点で普通ならばこの件から手を引き辞任すべきだったであろう。

 レバノン特別法廷裁判長であるアントニオ・カッセーゼによれば、パレスチナやレバノン、イラク、それにアフガンの武装レジスタンス勢力は、「テロリズム」の容疑で裁判にかけられるべきだという。最悪なのは、カッセーゼ判事は中東を分裂させる国際法の解釈の権威となっていることだ。彼の公式の履歴書では明瞭ではないが、彼は2005年にヨーロッパ連合のメンバー国と地中海沿岸国との間の交渉(バルセロナ・プロセス:地中海統合)に参加した。彼のテロリズムの定義は、議論を封じ込めてしまった。彼によれば、テロリズムとは、個人あるいは民間グループの行為に限られるもので、国家に適用すべきものではないという。更に占領軍に対する戦いは、「レジスタンス」ではなく、「テロリズム」だという。レバノンの事情からすればこの司法上の見解は、植民地時代の見解と一致しており、STLは不適格であるということになる。

 特別法廷の方法は、メーリス委員会が適用したものと同じである。STLの調査官はレバノンの学生、社会保障受益者、公共サービス加入者の大量のファイルを集めた。10月27日、レバノン人判事の不在時に、彼らはヒズボラメンバーの妻達が多く利用している婦人科クリニックの医療記録まで盗み取ろうとした。こういった探索はラフィク・ハリリの暗殺事件となんらの関係もないことは明らかである。こういったことで、彼らが集めた情報は実際はイスラエルのために集められているとレバノン人が信じることになる。彼らの目から見れば、STLは単なる派生物なのだ。
 全てのこれらの問題は2007年、徒労に終わったがSTLの設立決議内容に異なる表現を推薦したロシアのプーチン大統領(当時)が、はっきりと予想していたものだった。ヴィタリー・チュルキン大使はこのシステムの「司法上のループホール」を非難した。彼は安保理はこの「従来の機関」を一方的に創設するため力を使うと脅していると嘆いた。彼は、法廷がレバノン人の和解に向けて努力すべきであるにもかかわらず、実際は人々の分裂を更に深めるために考案されたと強調した。最終的には、ロシアは、中国もだが、この1757号を承認することを拒否した。

 真実は結局は漏れ出すものである。ヒズボラによってイスラエルの無人機のビデオは公開され、イスラエルがこの犯罪の準備段階に係わっていたことを明らかにした。オドナコ誌が暴露した事実はドイツの精巧な兵器が使用されたことを示した。

 このパズルはほぼ完了しているのだ。

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