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アメリカの対シリア政策に矛盾は感じない? クリントン米国務長官
◆3月1日
アメリカのヒラリー・クリントン国務長官が、アルカイダとその他のアメリカが「テロリスト」と指定した組織がシリアの反政府勢力を支援していることをBBCとのインタビュー内で認めた、という。
つまり、アメリカは今まで「テロとの戦争」に国家の威信をかけて戦ってきたはずなのに、そのテロ組織の中核的組織であるアルカイダと一緒になって、シリア政権転覆を図っている、という構図になる。
しかもその政権交代は「民主化」を推進するためである、とするが、一緒になってやっている国が、その民主化の対極にある、サウジアラビアとかカタールといった、湾岸の専制君主国家である、というから、これ以上の歴史の皮肉はないだろう、ということになる。
以下の論文で簡潔にシリアに関する情勢を的確にまとめて、あわせて欧米・イスラエル・湾岸君主制国家群の矛盾をあらわにしている。内容はほぼこのブログで示してきた内容と同じと言える。
このような矛盾を、たとえば、世の有識者先生とか、学者とか、専門家とか何とか上級研究員といった肩書きを持つ人々は、いったいどう解釈しようとしているのであろうか?
また欧米のユダヤ系メディアの論調を常に正しいと盲目的に受けて、その流れの中で情報やニュースを発信している日本の大手メディア群は、どうこれを解説するのであろうか?
そして、クリントン国務長官自身、この矛盾を突かれたらいったいどう返答するのであろうか? 頭のいいと言われているおばさんなのだからきっと、「アメリカって矛盾しているのよねー」って、自分でも思っていることだろうに。しかし、こういうのを、「野合」、と言わないか?
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●クリントン国務長官:シリア政権不安定化ではアルカイダと味方同士なのよ
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=29524
【2月27日 by Michel Chossudovsky and Finian Cunningham】
アメリカのヒラリー・クリントン国務長官は、アルカイダとその他のアメリカが「テロリスト」と指定した組織がシリアの反政府勢力を支援していることを認めた。
クリントンは、「この地域では、非常に危険な組織、アルカイダ、ハマス、その他の我々のテロリスト・リスクに掲載されている者たちが、シリアの反政府勢力を支援するよう主張している」と語った。
しかし同時に、このBBCのインタビューで、クリントン国務長官は、陳腐な欧米世界の主張を繰り返して、シリアの状況は、シリア政府軍の「無慈悲な攻撃」下に抵抗できない民衆が置かれている例の一つだ、と言っている。
クリントンが言及しているテロリストのグループに属する狙撃チームが、過去何年にもわたってシリアで市民を殺傷してきた多くの証拠がある。
ミカエル・チョスドフスキーが最近の論文で指摘している:「2011年の3月中旬頃から、欧米・イスラエルの情報機関が支援するイスラム主義者の武装グループが、放火を含むテロ攻撃を政府庁舎に向けて行ってきた。傭兵を含む訓練された戦闘グループと狙撃グループが警察署、軍、一般市民らを標的としてきたことの多くの記録がある。 アラブ連盟の監視団のレポートに強調されているように、多くの証拠が存在する、これらの傭兵たちの武装グループが一般市民を殺害してきたという多くの証拠がある。シリア政府と軍は重い責任の下、男性、女性、子供たちを含む一般市民に対する無差別殺戮を含むこれらのテロ行為は、米・NATO・イスラエルが進めてきている事柄の一部であり、その中にはシリア内で活動している武装勢力への訓練、資金供与がある」
この週末でヒラリー・クリントンが自認したことは、武装グループが一般市民を攻撃しており、アメリカ自身の定義によれば、これらのグループはテロリストであり、シリア内の状況は、国家の民衆に対する一方的な暴力行為ではなく、秘密の武装反乱の一つであるという所見を立証するものである。
クリントンの自認は振り返ってみれば2月4に、国連安保理で拒否権を行使したロシアと中国のスタンスを正当化させている。この提案はシリアにおける騒乱の責任はひとえにアサド政権にあるとする間違った認識を事実と断定しているからだ。
クリントンはさらにBBCとのインタビューで、「シリアの内からも外からも、外国勢力による介入に対する非常に強い反対」があると認めている。それはシリアの民衆は、いわゆる反政府勢力は、アルカイダとつながる傭兵たちである、ということに気づいている、という事実をそっと隠していることになる。
かと思うと、アメリカの湾岸諸国同盟国である、サウジアラビアとカタールは、別途、シリア政府に対する反乱を支援するためシリアに武器を送るつもりであるという声明を出した。現アサド政権に対するしっかりとした民衆の支持があることを踏まえれば、そのようなサウジとカタールの同じアラブ連盟メンバー国であるシリアに対する宣言は、国際関係におけるかつてないほどの主権国家に対する介入を意味する。実際、これは国際的侵略行為を自ら告発するようなことになる、という法的な見解が主張されうることだ。
そのほかにも、サウジとカタールがシリアの反政府勢力に対する武器支援の意思を宣言したことは、湾岸君主制諸国が、すでに生じている事態を皮肉な形で隠蔽していると見られておかしくない。すでにシリアの自称自由軍に対してトルコとイスラエルと共に、湾岸の君主国らが、不法に武器を供給しているということは知られていることである。
アメリカが「政権交代」を要請しているとしても、また米英仏の工作員らを含む欧米の秘密の工作部隊がシリアの反政府勢力と積極的にかかわっているにも拘わらず、今のところ、アメリカは公式にはシリアには武器の供給はしていないということを言い続けている。
スンニー派の原理主義者政権である湾岸君主制国家が、アルカイダが関係するシリア内の反政府勢力を、自称「民主的改革をもたらすため」に支援しているということは、非常なる皮肉である。
再度はっきりさせておくと、シリアは、同盟関係の同じ提携グループをを示している:アメリカ、イギリス、その他NATO勢力が、スンニー派でサラフィスト(穏健なイスラム教徒が不信心者であると考える過激派スンニー派のイスラム過激派組織)であり専制君主である者たちとテロリストらと一緒になって、民主主義的自由と人権を擁護していると主張して同じベッドにいる、と。
勿論、実際の目標は、彼らの歪んだ同盟関係がはっきり示しているように、民主主義的自由とか人権とは何の関係もない。むしろ、アメリカとその代理勢力が地政学的目的である主にエネルギー資源の支配という目的に適合させるため、アラブ世界で政権交代を進めようとしているということである。
アメリカは、この計画(アジェンダ)を推進するために必要ないかなる方法も使用する用意があることははっきりしている:不法な戦争、大量殺戮、世界戦争惹起、核兵器の使用。しかし、もっとも言語道断な嘘っぱちは間違いなく、「テロとの戦争」である。ヒラリー・クリントン国務長官の言葉からすれば、狙いをつけた国家に対する政権交代を引き起こすために、アメリカは今や、おおっぴらに「敵であるテロリスト」と一緒に協力し合っているのに、いつその「テロとの戦争」がなされているのか? アメリカのもごもごした言葉使いを額面どおり受け取るとすると、民主化と人権擁護を容易にするための政権交代を真剣に願っているとすれば、最初に交代させられるにふさわしい政権は、アメリカのそれであろう。
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