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罠に掛かったか? ストロス・カーン前IMF専務理事

◆5月23日

 IMFの専務理事だったストロス・カーンがセックススキャンダルに巻き込まれた。いくらでもとびっきり上等な超美人のその筋の女性を好きに出来る立場にある人物が、問題になりそうな場所で、しかも外国で、なんら特別な魅力がありそうとも思えない普通の移民女性に飛び掛るものだろうか、という問題一つ取ってみても、この事件が仕組まれた罠であり、でっち上げの事件だという情景を示している。

 この事件がアメリカの仕掛けた陰謀である、という視点からミッシェル・チョスドフスキー教授が解説している。要点は二つだ。一つはIMF自体にアメリカに都合のいい機関になってもらうこと。もう一つは、フランスの大統領選挙にカーンが出れなくなるようにすることで、親米のサルコジを大統領選挙で再選させることだ。

 長文なので、二回に分けて掲載する。

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●IMFの政権交代:でっち上げられたストロス・カーン逮捕劇(その1)
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24866
【5月19日 by Prof. Michel Chossudovsky】

 IMF専務理事のドミニク・ストロス・カーンの逮捕はどう見ても強力な金融エスタブリッシュメントたちの命令ででっち上げられたとしか見られない。これにヨーロッパ連合とフランスの利益を犠牲にしてアメリカの利益に奉仕するニコラス・サルコジの大統領任期との問題が絡まっている。陰謀だという証拠は今のところ存在しないのだが、彼の逮捕と投獄の尋常ならざる状況は慎重な調査が必要である。

 カーンの逮捕の直後に、アメリカからの圧力で、ヨーロッパ人ではなくアメリカ人ないしは「緊急性を要する経済」の分野から選抜した候補者か発展途上国からの人材をもって、IMF専務理事という立場にある彼に代わる人材を立てるよう強い圧力があった。 

 1945年のブレトン・ウッズ体制の機関として、世界銀行はアメリカ人が引っ張ったが、IMFは西欧の支配下にあった。

 ストロス・カーンは表面には出てこないエリート・グループの一員である。彼はビルダーバーグに属している。世界で最も影響力のある人物というカテゴリーに入る人物であり、銀行家というよりかは学者であり政治家である。IMFの彼の前任者とは違い銀行業界ないしは金融機関との直接的な関係はない。

 しかし同時に彼は騙されやすい人だ。彼の「へま」は、アメリカ・ウォール街と対決しIMF内の改革を推し進めた事だ。それはこの機関内部のアメリカの重要な利権と衝突するようになったのだ。  

 ストロス・カーンがいなくなる事で、アメリカのIMFに対する覇権と支配を強化することに繋がるだろう。それはドナルド・ラムズフェルドがかつて言った「古いヨーロッパ」を犠牲にしアメリカを利することになる。


◆大統領候補としてのストロス・カーンを阻止
 
 最近数年間、ヨーロッパの政治状況に大きな変化が起きた。親米政府がフランスとドイツで誕生したことだ。社会民主勢力は弱体化した。 

 仏米関係は再定義された。ヨーロッパで出てきている新しい政治家の世代の中で、アメリカが重要な役割を果たすようになってきている。
 
 ニコラス・サルコジ大統領のフランス政権は、多くの点でアメリカの規定の「顧客政権」であり、EU内でのアメリカ企業の利益に資するようになっていて、またアメリカの外交政策と密接に繋がっているものだ。 

 このストロス・カーン事件のでっち上げ仮説には、二つの重なった相互に関連する問題が存在する。最初の問題は、IMFの政権交代にかかわる問題で、二つ目は、フランスの大統領選挙における候補者という問題である。

 両方とも競合するアメリカとヨーロッパの経済利益の衝突に絡まっている問題だ。それにはユーロ通貨システムの支配と言う問題も含まれる。

 社会党をひいきするストロス・カーンは、「パリの我々の人材」であるニコラス・サルコジを次の大統領選で追い落とすかもしれなかった男だ。ティアリー・メイサンが論文で指摘しているように、CIAがゴーリストの党を弱体化させ、サルコジを大統領にさせる役割で影の主役を演じた。

 カーンが大統領になり「社会主義者」政権が誕生すれば、アメリカは深刻な影響をうけ、仏米関係の重大な変換が起きるだろう。

 それはヨーロッパにおける政治的力関係上のアメリカの役割を減少させたであろう。またそれは「古いヨーロッパ(つまり独仏同盟)」とアメリカの力関係のバランスに影響を与えることになっただろう。

 それは大西洋同盟とNATO内のアメリカの覇権的役割の内部構造に影響を与えたはずだ。

 ユーロ圏の通貨システムと、ウォール街がこのヨーロッパ通貨構造に決定的影響を与えようとする意図が行き詰ってしまうだろう。


◆でっち上げ?
 
 5月17日の世論調査ではフランスの57%の人々は、このストロス・カーン事件をでっち上げと考えており、罠に掛かってしまった、と考えていることを示している。彼は性的に強要し暴行したとして乏しい証拠のまま拘留された。彼は、犠牲者である匿名の客室担当女性係員の代理となる、自分が宿泊していたソフィテル・ホテル側からの訴えの下に拘留された。

 ニューヨーク市警のポール・J・ブラウン広報官によれば、この32歳になる女性は当局に、15日(日)の昼過ぎに部屋に入ったところ、彼から暴行を受けたと、いう。彼女は、一日3000ドルの部屋の清掃を告げられたと言う。その部屋は空室だと思ったそうだ。

 供述によると、この女性は警察に対して、ストロス・カーンはバスルームから裸で出てきて廊下を追い立ててベッドルームに引きずり込み、そこで彼女を性的に暴行したという。彼女は、彼から離れようと彼と争ったら彼はバスルームに引っ張っていき、今度はオーラルセックスを強要し、下着を脱ぐように言ったという。この女性は彼を振りほどいて部屋を脱出し、ホテルスタッフに事の次第を説明したのだ、と当局は説明した。彼らは警察を呼んだ。


◆ワシントン・コンセンサスに対する挑戦
 
 ストロス・カーンが舞台から消える事で、何が問題かというと、IMFの「政権交代」である。

 オバマ政権はより協力的な人材が専務理事になるよう要請している。ニューヨーク連邦準備銀行CEOであったアメリカ財務省長官のティモシー・ガイトナーは、ドミニク・ストロス・カーンはIMF専務理事の仕事をもはや務めることはできないと示唆して彼の交代を進めていた。

 「ガイトナーは、IMFの副官にあたるジョン・リプスキーが暫定期間、臨時の専務理事となることを、IMF理事会によって正式に承認することを要請した。ストロス・カーンは辞任しなければならないが、IMFは彼の将来について議論するため彼の顧問弁護士と接触中だと情報筋は言っている」
 
 このでっち上げられたシナリオの背後に何があるのだろうか? どんな強力な利権が絡んでいるのだろうか? ガイトナーはストロス・カーンと個人的に親密な関係を持っている人物だ。

 上院では5月18日、マーク・カーク上院議員(イリノイ州)がストロス・カーンの辞任を要請し、IMFの副専務理事のジョン・リプスキーが臨時専務理事として「IMFの全責任を担う」ことを要請した。恒久的代替のプロセスは「即刻開始」されねばならない、と彼は語った。ジョン・リプスキーはウォール街と親密な人物であり、JPモルガン投資銀行の副会長だった人物だ。

 IMFは論理的には国際的な政府間の機関であり、歴史的にはウォール街とアメリカ財務省によって支配されてきたものだ。IMFの構造調整政策(SAP)と呼ばれる「厳しい経済薬」は、数多くの発展途上国に押し付けられ、とりわけ貸方銀行と多国籍企業を益するものだった。IMFは数百万人を貧困に追いやり、反面、第三世界の低い賃金経済で外国投資家らのためには「良好な環境」を作り出した、これらの荒廃する経済改革の主要なる設計者ではない。

 貸方銀行は命令する。IMFは官僚主義的機関だ。その役割は支配的な経済利益グループのために、こういった経済政策を実施し強化するところにある。

 ストロス・カーンの提案する改革は、IMFに「人間的側面」は与えるが、方向性に変化はない。ネオリベラリズムの枠内で策定されている。彼らは修正はするが、IMFの「経済薬」の中心的役割を危うくすることはない。ストロス・カーンの指導の下でのIMFの「ショック療法」の社会的に荒廃をもたらす影響は広く行き渡っている。

 ドミニク・ストロス・カーンは2007年11月にIMFの専務理事になった。2008年9月・10月のウォール街の金融メルトダウンが起きる時まで1年に満たない時期だ。構造調整計画は変えられなかった。ストロス・カーンの下で、歴史的に発展途上国にのみ採用されていたIMFの「ショック療法」は、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルに適用された。

 ストロス・カーン専務理事の指揮下で、IMFはニューヨークとシカゴのマーカンタイル取引所での商品の価格が上がっている時、発展途上国に対して、食糧・燃料補助金を取り除くことを要請した。

 食糧・燃料価格の上昇は、2008年の9月・10月のウォール街のクラッシュ前にあったが、大きくは市場操作の結果であった。穀物価格は大規模な投機操作によって人工的に押し上げられた。投機筋を説得し、食糧・燃料の価格を抑える代わりに、IMFの役割は、これらの価格が上昇することを防ぐことで、負債のある発展途上国政府が「自由市場」にどんな理由があっても介入しないよう確約することだった。

 公然とした操作の結果である食糧価格の上昇は、世界中の民衆の貧困化をもたらした。食糧価格の上昇は世界的貧困化のプロセスの新しい一面を構成するようになった。

 ストロス・カーンはこの市場操作のプロセスでは共犯なのだ。チュニジアとエジプトでの食糧・燃料補助金の停止は、IMFによって要請されたものだ。食料・燃料価格は急騰し、人々は貧困に陥っていったことが、2011年1月の社会抗議運動への道筋をつけたのだ。

 財政上で慎重であることがチュニジア当局の最重要な優先事項であった、彼らは現在の国際的環境下では2010年での財政政策を維持することの必要性を感じていたのだ。公債率を顕著に下げようとするこの十年の努力は、甘過ぎる財政政策によって危険にさらすべきではなかった。当局は補助金を含む現在の支出を統制する決意を固めていた・・・(IMFチュニジア:2010 Article IV Consultation - Staff Report; Public Information Notice on the Executive Board Discussion; and Statement by the Executive Director for Tunisia)

 「IMFはエジプト当局に対して、食糧・燃料補助金改革を進めるよう促していた。またエジプト当局の、効率を上げ食糧補助金プログラムを標的としようとする意図を歓迎していた。

 「ダメージを受けやすいグループを保護するための社会プログラムを強化しつつ、国内の燃料価格のゆがみを最小にする自動的調整メカニズムを導入することが考慮されねばならない(つまり、国家の介入しない燃料価格の劇的上昇だ)。(IMF Executive Board Concludes 2008 Article IV Consultation with the Arab Republic of Egypt Public Information Notice, PIN No. 09/04, January 15, 2009)

 ストロス・カーンの指揮下でIMFは2008年にエジプトで、ムバラクの民営化プログラムの拡大化への努力を支持しつつ、全面的な緊縮政策を押し付けたのだ。 -続く-

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