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西岸での「ナクバ」記念日デモ行進(毎日新聞)
◆5月18日
5月15日は、パレスチナ人が故郷を追われた「ナクバ(大災厄)」の日である。この日、アラブ世界ではイスラエルの63年に及ぶパレスチナ占領に抗議する運動が起きた。
アラブ世界で起きている「民衆革命」で成功したところは、今のところチュニジアとエジプトであるが、両国とも欧米寄り、つまりイスラエルに甘い政権であった。ここが重要な点である。リビアではNATO軍が介入することで、カダフィ大佐は苦戦を強いられているが、外国軍の介入がなければ、バーレーンなどと同様、民衆の反政府運動を押さえ込んだであろう。
シリアでは、武装勢力が資金と武器をレバノンなどに存在する欧米・イスラエルの工作員らから受け取り扇動されてシリア国内でのテロ活動をやっているが、シリア人全般を反政府デモに動員するようなところにまで至っていないのも、シリア人の多くが、シリア政府のパレスチナの大義に対する姿勢と欧米に対する姿勢を評価してきたからだ。
パレスチナ自治区、シリア、レバノン、ヨルダンなどでパレスチナのナクバ記念日に於けるデモが起きたことで、これらの国々では、そしてやがてはその他のアラブ・イスラム諸国でも、イスラエルのパレスチナ占領を糾弾する動きが強まるだろう、と見られている。
これが嵩じれば、イスラエルの運命がどうなるか、という問題が表面化する。イランが云々する前に、目覚めたアラブの民衆が、再度アラブの大義、パレスチナの大義を掲げてイスラエルに譲歩を要求してくることになろう。特にエジプトはイスラム勢力が伸張しているので、そうなるだろう。
その際、イスラエルを全面的に支えてきたアメリカのオバマ政権がどう出るか、と言う問題があるが、オバマ大統領は、アラブ世界ないしはイスラム諸国との対決を避けると言う使命観を持っているしそれを宣言もしてきたのだから、当然イスラエルの譲歩を要求することになるだろうと見られる。紆余曲折はあれどそうなる。かくしてイスラエルの運命は決まることになる。つまり、アツモンが語るように、全ての市民の国家、つまりユダヤ人国家ではない、「パレスチナ」の誕生である。
これはしかし最終的ビジョンである。その前に、イスラエルが取るべき道は、ミニ・パレスチナ国家の成立を承認することだ。あとは、時間の経過と共に、人口比率などから、イスラエルの中でもパレスチナ人の国会議員数などが増える事で、結果的に、全ての市民のための国家が誕生してくることだろう。またその頃には、イスラエル人の中にも、今までのイスラエル政権の姿勢に批判的な市民の数が増えて、パレスチナ人との共存を願う人口が増えることになるだろう。それを嫌って心をかたくなにする者たちはやがて消えていくことになる。
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●イスラエルの運命
http://www.gilad.co.uk/writings/gilad-atzmon-israels-doomed-fate.html
【5月17日 Gilad Atzmon】
「帰還することはないだろう。パレスチナ人たちにイスラエルに帰還することはないだろうと告げる時が来た」と、イスラエルの有名な「リベラル」なコラムニストであるナフーム・バーネアが書いている。
イスラエルがパレスチナ人の反発の勢いを押さえ込む方法を持たないということがますますはっきりしてきた。イスラエルの蛮行、63年間の弾圧、人種差別、そして大量破壊兵器の使用も含む大量殺害戦術にも係わらず、パレスチナ人は祖国に帰還する意思を固めている。
今週、彼らはイスラエル、世界のユダヤ人、そして世界の人々に対し、パレスチナ人の大義は少しも消滅していないということを思い起こさせた。2011年のパレスチナ人は彼らの親ないしは祖父母達の世代より一層決意を固め、強固に一体化していることを示した。
イスラエルのライターであるバーネアが、「彼らの政治家らは、それが起こることを告げていた。聖職者らはアッラーのお助けがあるだろうと約束していた。外国の支援者が旗とバスを支給した。彼らはシオニストの計画は崩壊する運命にあるという自分達の使命達成に自信を持って乗り出した。もう一回押せば、ヨルダン川から地中海まで、イスラエル全土がパレスチナのものになる」と宣言して、自分を納得させようとしている奇妙な姿を見るのは、興味深い。
バーネアがそう見ているかどうかは知らないが、ますます多くのパレスチナ人が確信しているビジョンであり、またそれこそ私自身のビジョンでもある。これは、世界中の人々が完璧な解決策と見ている正確なビジョンであり、これが苦悩に満ちた対決に対する道徳的に正しい普遍的な回答なのだ。イスラエルはパレスチナになる。それはヨルダン川から地中海に至る。そしてそれは、「ユダヤ人のみ」の国家という人種差別的な国家観と対立する、全ての市民の国家となるだろう。
「私はあなたにお知らせがある、従兄弟よ」とバーネアはわざとらしく親切に語る。「それは起きないでしょう・・・あなたの生きている内には・・・あの戦争から63年が過ぎました;別の夢を見る時が来たのです」
バーネアがその他の多くのイスラエル人同様、事実を正しく見る代わりに自分が願っている考え方を表明しているということは誰でも分かる。それが起きた、そして数十年前に少なからざる者たちがそれを知った事-パレスチナ人がより良き世界の建設のための戦いの先頭に立っているのだ。現在アラブ世界の各地で進められている革命は正義に対する大衆の声であるが、同時にそれはパレスチナの大義に対する声でもある。若き世代のイスラム教徒やアラブの青年らが変革を起こしているのを世界が称賛を持って見つめているので、イスラエルが世界の平和に対する最大の脅威であるという認識が一般的なものになりつつある。パレスチナ人の帰還への権利、というものが、国際的な優先事項になりつつあるし、イスラエルはその問題では負けることになるだろう。この問題では欧米はイスラエルを犠牲にすることを厭わないだろう:孤立化し恥をかかされたイスラエルは、勝ち目のない戦いを行う事になるだろう。事態を明らかにするためには、時間は必ずしもユダヤ人国家の側にあるわけではない。
イスラエルは63年間、自らの原罪と対決してきた。イスラエルは悔い改めの機会を持っていたし、無慈悲に追い出した何百万人もの難民に国境を開く機会があった。しかしその機会は閉じられたようだ。イスラエルは自らを救う機会を失った。そして我々が今週見たものは、序章に過ぎない。イスラエルはパレスチナ人がその国境に集結する津波に直面しようとしている。イスラエルはこのような非暴力の抗議の型が沸き起こる事に対する政治的・軍事的対処法を持っていない。
他の多くのイスラエル人と同様バーネアはアッバスが好きだ:このイスラエルのコラムニストによれば、ここ最近イスラエルを運営してきた三つの政府では、アッバスは「最も人間的であり、愛すべき政治家」なのだ。しかしながら、ナクバの前日、「帰還はスローガンではない・・・パレスチナは我々のものだ」と語り、パレスチナ人指導者は誰も帰還する権利を断念する者はいないとアッバスが宣言した時、バーネアはアッバスでさえ調子に乗ることを見て、がっかりしたのである。
バーネアはアッバスは、この権利がどのようにしてどこで実現されるか、またそれは賠償を通してということか実体的に帰還するということか、という点を明確にすることを控えたことを強調した。バーネアは、アッバスの言葉からは、「誰も何を彼が望んでいるのか分からない」と結論付けた。しかし実際は、バーネアは間違っていた。アッバスの言葉は完璧に明瞭である:この言葉にはなにも隠されたメッセージのようなものはないし、曖昧ささえない。帰還ということはスローガンではない。暫くは普遍的・道徳的呼びかけであった。しかし、今週の出来事を見れば、それは実体的な行動への呼びかけになっている。
バーネアと殆どのイスラエル人は、今の中東は新しい存在となっているということを理解できないだろう。それは一体化している;それは強固だ、それに臆病とは程遠い存在となっている。それは敏感で革命的で正義と自由への渇望に満ちている。イスラエルは激しい抵抗の壁に包囲されている。ユダヤ人国家に関する限り、カウントダウンが始まったのだ。
バーネアはイスラエル人の同胞に対する呼びかけで彼の論文を終わっている:「主権の中で生きたいと願う者は、シオニストと民主国家であるイスラエルには、パレスチナ人に尊敬をこめて言い続ける以外の選択肢は無い:過去は過去だ、と」
しかし、バーネアの示唆するところは一般的には、残された我々は、ユダヤに特別な苦悩の終わりの無い重荷から自らを解放させることができるということを示唆していると論理的に示していることは間違いないことだ。結局バーネアは「過去は過去だ」と言っているのだから。
従って、彼らの集団的な苦悩でユダヤ人がユニークな存在ではないのならば、イスラエルが新しい姿勢を示すことを何も阻止すべきではないだろう。そうすることで、違いを超えて、民族的に浄化し破滅させようとした土着の人々であるパレスチナ人との間に架け橋を掛けることができる。なぜならば、もしもバーネアが示唆しているように、過去の重荷が関連性ないしは重要性を失うことができるならば、イスラエルも同様、そのように生きることができるのだし、より明るい未来に目を向け、積極的にパレスチナ難民を彼らの土地に帰還するよう招待することができるであろう。そのような動きは紛争を即刻終わらせることを意味するだろう。
しかし言うまでも無い事だが、自分はそれがすぐ起きると期待しているわけではない。
とは言うものの、ここに一つ、言わねばならない重大な問題がある(現在は仮定の問題):ユダヤ人国家がその最終的段階に来ているということがはっきりした今日、ヨーロッパに帰還したがるに違いないイスラエル人はバーネアのような「帰還は無い」という宣言を、もしもヨーロッパのリベラルなコラムニストが発言するような場合には、どう対処するのだろうか? 以下のような場合には、イスラエル人ないしは我々はどう反応するだろうか?:「帰還は無い-ユダヤ人にヨーロッパに帰還するということはないということを告げるべき時が来た」
そのような発言は明らかに我々の間に怒りを誘発させるであろう。
しかし、悲しい事だが、「リベラル」なイスラエル人やユダヤ人から我々は似たような発言をあまりに多く聞かされてきている。
※従兄弟たち-イスラエル人がパレスチナ人、アラブ人、イスラム教徒を指して意言う場合に使用される。
●パレスチナ 「大災厄」記念日デモ 発砲などで死者相次ぐ
毎日新聞 5月15日(日)
【ラマラ(パレスチナ自治区ヨルダン川西岸)花岡洋二】イスラエル建国に伴い、70万人を超すパレスチナ人が土地を追われ難民となった「ナクバ(大災厄)」の日の15日、パレスチナ自治区ガザ地区とシリアなどでパレスチナ難民らによる大規模なデモがあった。デモ隊の一部がイスラエル側へ越境または接近しようとしたところ、イスラエル軍が発砲、計8人が死亡し、多数が負傷した。AP通信が報じた。
またイスラエル・メディアによると、レバノン国境付近でもデモがあり、レバノン軍の発砲で4人が死亡。一方、ロイター通信は、イスラエル軍の攻撃で少なくとも10人が死亡したと伝えている。
イスラエルが占領するシリア領ゴラン高原のマジダルシャムスへは、シリア側からパレスチナ難民とみられるデモ隊の数十人が進入、境界付近でイスラエル軍が発砲し、6人が死亡した。ガザ地区でもデモ隊が境界に近づき、2人が殺された。
レバノン南部マルンアラスでは、デモ隊が国境フェンスを壊そうとしたため、レバノン軍が発砲し、4人が殺された。自治区ヨルダン川西岸ラマラでも大規模デモがあった。
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