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対米地政学的チェスゲームの指し手、ロシアのプーチン大統領
◆7月24日
欧米・イスラエル・トルコ・アラブ君主国が執拗にシリア制裁を意図するが、これまた執拗にロシアと中国が拒否権を行使して阻止している。これは両者の世界覇権を掛けた天王山的なものだからだ。
ロシアはリビアで失敗をした。当時のロシア大統領はメドベージェフであったことが災いしたのだ。国連での決議で拒否権で葬らずに棄権をすることで、決議がなされ、リビアはNATOの攻撃にさらされるようになった。制空権を奪われたからだ。
この失敗を繰り返さないという固い決意をロシアのプーチンは持って今回のシリア危機に臨んでいる。したがって、シリアはリビアのようにはなっていない。もちろんシリアはリビアと違って人口や軍の規模が大きく、反政府武装勢力も単独ではなかなか政権を倒すことは困難であろう。
戦争屋の戦争はこのシリアで終わらせなければならない。シリアは多民族が調和の中に共生してきている、アラブ国家としては優れた側面を有している国である。ダマスカスの中心にはキリスト教の聖地もあり、クリスチャンが多く住んでおり、周囲のイスラム教徒とも問題を起こすことなく平和の内に暮らしてきているのである。ドゥルーズ教徒やクルド人も平和の中に生活してきている。その共生の平和が破られつつあるのが、現在の状況だ。
それはシリア攻略が欧米の仕掛ける覇権闘争の一環だからであり、シリアの次はレバノンのヒズボラが狙われ、あるいはそれを迂回してイランが直接狙われるであろう。最終的な標的はロシア・中国というユーラシア大陸のハートランドとそれを囲む国家の簒奪である。それができれば世界支配は完了するからだ。
その欧米の野望をプーチンは明確に認識し、絶対的な覚悟でそれに対処しようとしている。だから欧米側の意図は絶対成就しない。天と地もそれを許すことはないだろう。もしも欧米側がごり押ししようとすれば、欧米側が天と地に打たれることが起きるだろう。天変地異が襲うであろう。アメリカの旱魃・熱波はその序章である。
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●シリアとユーラシアでのプーチンの対米地政学的チェスゲーム(-その1-)
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=32019
【7月23日 by F. William Engdahl】
大統領に再選されてからプーチンは一時も無駄にすることなくロシアに対するもっとも緊急的な地政学的脅威に対処してきた。彼のアジェンダの中心にあるのは爆発の危機にある中東、なかんずくシリアである。プーチンは「見込み違いからの世界戦争」になりうるかもしれないさらなる状況の悪化を阻止するため、あらゆる方法を講じてきた。最近数週間の彼の活動はシリア政府との個人的な外交折衝であり、同時に反政府側の「シリア国民評議会」との折衝である。またトルコのエルドアン政権との外交折衝もある。さらにオバマとの秘密の外交折衝もある。またイスラエルのネタニヤフとの直接的外交折衝もある。
シリアは欧米メディアが描く内容とは異なり、長いこと多民族・多宗教共生型の国家でありアラウィ派のアサド大統領はスンニー派の妻を持っている。シーア派から派出したアラウィ派は女性に頭のスカーフ着用を強要せず、スンニー派とくらべ許容度が高い。特に女性が運転免許を取ることさえ禁止されているサウジアラビアなどの原理主義的土地と比べればずっと自由である。
シリア人口の大雑把な内訳は、アラウィ、ドゥルーズ、クルド、スンニー、アルメニア正教徒に分けられる。もしも少数派のアサド政権が倒れることがあれば、専門家はエジプトのようにスンニー派のムスリム同胞団が台頭し政治的支配勢力になるだろう、と見ている。これはイスラエルが歓迎できる状況ではなく、ロシアや中国も望んでいない。
中東で長いこと仕事をしてきてシリアの多民族に詳しい、インド人元外交官のガジェンドラ・シングによる評価によれば、少数派のアラウィ派のアサド政権が倒れることがあれば、シリアは急速に大虐殺の地となり1万7000人殺害といったことは単なる序章に過ぎなくなるかもしれない、と言う。シングは、「アサド政権の転覆はアラウィ派、シーア派、キリスト教徒、クルドとドゥルーズでさえも含んだ大殺戮につながる。これら少数派全体で2000万人のシリア人口の20%となる」と予想している。
これは400万人のシリア人が殺戮されるということになる。これはムスリム同胞団によって支配されている怪しげな「シリア国民評議会」と武装反政府勢力の「自由シリア軍」を支援している欧米の者たちの考え方の中に加えられねばならないことだ。この紛争が、リビヤ型の大虐殺になった場合には国境を超えてトルコにまで拡大するかもしれない。シリアの海岸地帯は重要なアラウィ派の地域で、多くのアラウィ派の人々がトルコのハタイとアンタクヤ地区に住んでいる。
シリア内部のフィクションから事実を抜き出すことは、メディア活動が制限されていることと、反政府側のスポークスマンは事態について虚偽を繰り返しているため困難である。最近の例では、イギリス人ジャーナリストはアサド政権に対するプロパガンダを助長させるために反政府勢力によって死の罠に慎重にはめられそうになった。イギリスのチャンネル4ニュースのチーフ・コレスポンデントのアレックス・トムソンはAP通信に対して、シリアの反政府勢力はレバノン国境に近い無人地帯に彼を連れて行って死ぬようにさせたと語り、彼ら反政府勢力は彼の死をシリア政府によるものとすることでプロパガンダに利用しようとした、と語った。そして政治的操作のあつかましいほどの例として、BBCは最近、アルホウラの5月25日の虐殺の写真だというものを公表したことがあった。この写真は2003年4月にイタリアの写真ジャーナリストであるマルコ・ディ・ラウロがイラクで撮影したものであることが分かったのだ。
この地政学的チェスゲームの中心は欠陥や欠点がどうあれ主権国家としてのシリアの生き残りである。さらには最終的には主権国家として共にイラン、ロシア、中国、そしてBRIC国家のブラジル、インド、南アフリカの生き残りがかかってくる問題だ。長期的には、我々の知る文明の生き残りの問題であり、70年前であれば数千万人だったが現在では数十億人が死ぬことになる世界戦争を避けるということである。
■ロシアにおけるシリア問題
ロシアのプーチンは安定国家としてのアサド政権を取り巻く生き残りの為の深く硬いラインを引いた。もしもアメリカがヒラリー・クリントンのようにシリアの政権交代をすぐ起こすよう執拗に要求すれば、世界戦争の可能性があるとロシアはなぜ警告するのかと尋ねるものがいないわけではない。これはロシアが中東における自身の帝国主義的アジェンダを進めようと意図しているからではない。 ロシアがそれを望んだとしても軍事的・経済的に殆どないに等しいものだ。むしろ、シリアのタルトスのロシアの唯一の地中海海軍基地の権利を維持することが関係している。タルトスは旧ソ連領以外にあるロシアの軍事基地であり、地中海における唯一の燃料補給基地なのだ。NATOとの衝突が起きた際には、この基地はロシアにとって戦略的なものになる。
それでもそれ以上の問題がロシアにはある。プーチンとラブロフ外相は、NATOとアメリカがシリアのアサド政権に対する攻撃をした場合、その結果は驚くべきものになることをはっきりと示している。ダマスカスの信頼できる筋によれば、シリアにはロシア人の「技術アドバイザー」が少なくとも10万人はいる、と報告している。これは大人数だ。そしてロシアの改造されたMi-25攻撃ヘリを運んでいるロシアの貨物船はシリアに向かっていると報じられている。数日前にはアドミラル・チャバネンコ駆逐艦に率いられたロシアの海軍艦船がタルトスに向かって出港している。
以前、シリアが購入し改造されたヘリコプターを6月、シリアに送り返そうとした試みは、貨物船の掲げる旗がロシアのものでなかったことで阻止された。今はロシアはシリアとの交易に介入することは許さない、という姿勢を明らかにした。ロシアの国防省スポークスマンのヴァチスラーブ・ジルカルンは、「この艦隊は封鎖という介入などを阻止するため、わが国の艦船の安全航行を保障する任務で派遣されることになる。そこには制限がないことを思い起こしていただきたい」と静かに付け加えた。ロシアが言いたいことは、もしもNATOが愚かにもシリアの政権交代を推し進めるならば、ロシアは1962年のキューバ危機の21世紀版に直面するつもりでいる、ということだ。
いわゆるシリアの民主的反政府勢力というものがムスリム同胞団に支配されていることが公に明るみになってきているので、多民族的で民主的な傾向で有名とはとても言えない一つの組織が、旧ソ連の中央アジア諸国に不安定化の波を引き起こすかもしれないのだ。
中国もまたその危険性に非常に神経質になっている。つい最近も新彊ウイグル地区でムスリム組織の流血の暴動が起きたばかりだ。
ロシアと中国が国連安保理で拒否権行使を控えるよう罠に嵌って以来、ロシアは中国と固く団結している。アメリカの決議案がNATOにカダフィを倒すためのドアを開かせただけでなく、機能する国家としてのリビヤそのものをもだめにしたのだ。リビアの瓦解以来この著者は、事情通の人々にリビアについてどうしてそんなに近視眼的だったのかと尋ねながら、個人的にモスクワと北京で語ってきた。彼らは両者とも、ジョージ・W・ブッシュが大中東プロジェクトと呼んだもののためのアメリカのアジェンダの更なる進展は、ロシアと中国両国の国益に真っ向から反するとはっきりと結論付けている。それでシリアの政権交代というNATOのアジェンダに絶対反対しているのだ。国連安保理常任理事国のロシアと中国は3回、シリア制裁決議に拒否権を行使している。最近のものは7月19日だ。
プーチンとラブロフ外相は元国連事務総長のコフィ・アナンの和平計画に固執している。アナン計画の6項目は政権交代は目指しておらず、交渉による妥結と敵対する両者の戦闘終了、休戦を呼びかけるものである。
-その2に続く-
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