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南オセチアのツヒンバリでの追悼集会

◆8月9日

 8月7日、一周年となるグルジア紛争で、舞台となった南オセチアとロシアで犠牲者の追悼集会が行われた。
 
 なぜこの戦争が起きたのか?これが解明されねば、紛争の種はいつまでも続くことになる。南オセチアは今回ロシア領になることを願う意思を表明した。ロシア領内には同じオセット人の北オセチアがあるから、この際北と一緒にひとつの国を作りたい、ということであろう。たとえそれがロシア領内であろうと、民族が同じなのだから、ひとつの国を作りたいはずである。
 
 南オセチアとアブハジアの独立をロシアが承認、実際的にもその方向で事態は推移している。これに対し欧米側が強くでれないのは、欧米側がセルビアですでにコソボの独立を認め、事態はその方向で動いていることが先にあるからだ。

 1975年の「ヘルシンキ宣言」で『国境線不変更原則』を謳っているから、本来はセルビア内のコソボが独立国になることはできないはずなのだが、それを欧米は戦争までして独立させたからには、ロシアが南オセチアやアブハジアの独立を承認しそのように扱ったとしても、欧米側が非難する立場にはないのだ。したがって欧米側がロシアを非難したとしても、説得力はまったくない。

 今後ロシアや中国などの領土の広い、そして多くの民族を抱える国ではこの民族自決的な動きが強まることが予想されるため、ロシアといえども今回の南オセチアとアブハジアの独立承認ということが吉とでるか凶とでるか、まだ結論を出すには早すぎるであろう。


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●紛争1年、ろうそく手に追悼 南オセチアとモスクワで
 【モスクワ共同】ロシアとグルジアの昨年8月の軍事衝突を招いたグルジア軍の南オセチア攻撃から1年に当たる7日深夜(日本時間8日未明)、南オセチアの中心都市ツヒンバリやロシアのモスクワで犠牲者の追悼集会が行われた。
 ツヒンバリでは中心部の広場に多数の市民が集まり、ろうそくに点火して犠牲者を悼んだ。
 モスクワ中心部の救世主キリスト大寺院前にはロシアの政権に近い若者組織のメンバーら数千人が集結。グルジア軍が南オセチア側に迫撃砲などで攻撃を開始したとされる午後11時半すぎに合わせて寺院の鐘が鳴らされ、ろうそくを手にした参加者が黙とうした。
 グルジア軍は昨年8月7日、グルジアからの独立を主張する南オセチアへの攻撃に踏み切り、ロシア軍が8日に介入して軍事衝突に発展した。


●独立承認撤回せず=南オセチアなど-ロシア大統領
【8月8日 時事通信】
 昨年8月のロシア軍のグルジア侵攻から1年となる8日、メドベージェフ・ロシア大統領は、国際社会からいかなる圧力を受けても南オセチア自治州とアブハジア自治共和国に対する独立承認を撤回しないと表明した。
 インタファクス通信などによると、メドベージェフ大統領はロシア領北オセチア共和国の首都ウラジカフカスにある軍事基地を訪問し、南オセチア住民らと会見した。 


●オセチア大統領:我々はロシアと一緒になりたい
http://www.chinadaily.com.cn/world/2009-08/07/content_8541683.htm
【8月7日China Daily】
 南オセチアでのロシアとグルジアの紛争から1年経ち、南オセチアの指導者は自国民をロシアと一体化させたいとし、またロシア政府に軍と兵器の供給を要請した。
 「私の生涯の目標、政治的ゴールは、民族の統一だ」と自称大統領、エドアルド・ココイティ氏は南オセチア首都ツヒンバリで語った。
 「我々は自身の国家を建設する。その国はロシアとの同盟を結ぶ。我々がロシアの一部となっている日がくる可能性を否定しない」と語った。「南オセチア国民はロシアと一体化することを願っている」
 ・・・以下略


●南オセチア、グルジアとの境界閉鎖 紛争後1年再び緊張
【8月6日 asahi.com】
 昨夏のグルジア紛争後に同国からの分離独立をロシアによって承認された南オセチア自治州が5日、グルジア側から発砲が続いているとしてグルジアとの境界を閉鎖した。グルジア外務省は逆に南オセチア側からの発砲があったとして、4日、ロシアと南オセチアを非難した。紛争から間もなく1年がたつが、グルジアとロシア・南オセチアの対立は解けておらず、緊張含みになっている。 一方、インタファクス通信によると、ロシアのラブロフ外相は5日、ロシアのテレビ局に「ロシアがグルジアの領土一体性を認めなければならない、という批判を耳にする頻度はずっと減った」と述べた。南オセチアと、ロシアが国家承認したもう一つのグルジアの地域であるアブハジア自治共和国の「独立」の既成事実化を国際社会に対して印象づける狙いとみられる。

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新しい対テロ対策を語るオバマ大統領

◆8月8日

 イランの大統領選挙後にその選挙の正当性をめぐって騒乱が生じた時、イスラエルはアメリカに対し、イラン攻撃を許可するよう要請していた、という。
 これはアメリカが無視したため、イスラエルは結果的には攻撃を断念した、というのだが、確認はされていないが、もし本当だとすれば、我々はまったく中東大戦争、ひいては第3次世界大戦の敷居にまできていたことになりそうだ。

 このイスラエルのイラン攻撃への許可要請に、今のオバマ政権が反対ではなく、無視を示したことは少々頼りないが、ともかくも戦争が始まらなかっただけでも諒としたい。
 ひょっとしてそのような情報がオバマ大統領にまで届いていたのであろうか、という疑問が残るのだが。つまり情報を遅らせることで、イスラエルの判断で攻撃を始めることを可能とする動きがあったのではないだろうか、という疑念が残るのだ。情報の伝達が遅れた、という口実は作れる。まさか大統領に代わって、偽のゴーサインを出すのは危険だが、情報の伝達遅れならば、話としては可能であろう。

 下段にあるようにBBC放送で示された、ブレナン補佐官のアメリカの対テロ政策の方針転換の話にもあるように、オバマ政権は軍事力を極力使用しない方式で、外国その他の勢力との関係を作っていこうとしている。これはネオコンに引きずられたブッシュ政権の「武断政治」から比べれば雲泥の差というか、まさにアメリカの「様変わり」を象徴することである。
 この武断外交からソフトな対話外交へのアメリカの外交方式の転換に戸惑っているのがイスラエルである。今までどおりのやり方ではアメリカと齟齬をきたす、ということは明らかだからだ。いや齟齬をきたすどころか、いまやイスラエルとアメリカとはほとんど対立的になってしまっている。敵対的とはまだ言わないが。

 こうして、いよいよイスラエルがその生存を賭けて、アメリカと対立しながらでもイランを叩きにいくのか、あるいはアメリカと結局は歩調をあわせて、対話・外交方針に自分たちも転換していくのか、決断を下すべき時が迫ってきている。


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●イスラエルはイランの騒乱時、攻撃を計画
【8月7日 ynetnews.com】
 クウェートの新聞は、エルサレム在のアメリカ人外交官が、イスラエルはオバマ政府に対し、選挙後混乱状態が続いているイランに対し、核施設への攻撃の許可を願い出たが、アメリカ政府はその要求を無視したため、イスラエルは計画を撤回した、と言ったと報道した。

 先月イスラエルはアメリカに、イランの核施設への攻撃の許可を願い出た、とクウェートの新聞 「al-Jarida 」紙が7日、報道した。この新聞は「エルサレム在のアメリカ人外交官」の話として伝えたが、確認はされていない。
 イランの大統領選挙後に騒乱が生じた時、イスラエルはアメリカに対し、イランの核施設ならびに重要拠点への攻撃に対する許可を願い出たという。
 この外交官によると、アメリカ政府はこのシモン・ペレス大統領のサインの入った書簡でネタニエフ首相により送られたイスラエル政府からの要請を無視したという。
 この外交官によれば、イスラエルはイランを激しく叩きたいという意思は固かったが、アメリカの好意的反応がなかったことで、イスラエルは攻撃に踏み出すことができず、中止するにいたった。
 また、ホワイトハウスは、イランのアハマディネジャド大統領の再選の承認を撤回した点について、「イスラエルとアラブからの圧力があった」という。「穏健派アラブ諸国はわれわれがアハマディネジャド氏を承認することを願っていない」という。


●アメリカは対テロ戦略を説明
【8月6日 BBC】
 オバマ大統領は対テロリズムの新しい戦略を採用しだしている。対テロ対策補佐官は、アメリカは暴力的な急進主義に対する新しい対処法を練りつつある、と語った。
 政策説明講演で、ジョン・ブレナン氏は、アメリカは今後「テロとの戦争」という言葉使いは使用しない、と述べた。
 また、水攻めなどの尋問のやり方も採らないという。
 今は外交、対話によって問題の解決を図る時だ、と語った。
 オバマ氏の国土安全保障および対テロ補佐官であるブレナン氏は、アメリカは何に反対している国家か、ではなく何に賛成している国家か、という観点で判断されるべきだ、と語った。

◆ソフトパワー
 彼は政策におけると同様、言葉使いにも根本的な変更がなされている、と語った。その証拠に、ブレナン氏は、オバマ大統領のイスラム世界に対する姿勢を挙げた。
 そしてブレナン氏は、アメリカ人を保護するという優先事項があるが、アメリカは軍事力と対テロ作戦だけに頼ることはしない、と言う。
 「我々は、見たところ解決困難で当然と思われる不平不満も、外交、対話、民主的手法で解決することができることを示すために我々の力を投入する」
 彼は「ソフトパワー」がオバマ政権の中心にある、と語った。

 BBCのワシントン特派員のジョナサン・ビール氏は、ブレナン氏がかつてCIAが使用したテクニックを非難している点が方針として注目されるべきだ、と語った。ブレナン氏は、情報機関の長としてオバマ大統領が指名しようとした数少ない人々の内の一人だ。
 しかしこの元CIA職員はテロリストの容疑者に対する尋問での役割を追求された時辞職した。
 6日の講演で、ブレナン氏は水攻めなどのやり方は急進主義者にとっては仲間を誘う“もってこいの材料”に使われたと語り、このようなことは却ってアメリカの安全保障にとってマイナスとなる、と語った。
 ディック・チェイニー氏など共和党の反対派の人々は、このアメリカの政策の転換はアメリカの安全保障にとってマイナスになる、と懸念を表明した。

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ジョセフ・リーバーマン上院議員

◆8月7日

 昨日は元共和党の大統領候補にもなったブキャナン氏の論考を紹介したが、今日はオバマ大統領と同じ民主党からのジョセフ・リーバーマン上院議員の意見を見る。
 ここで彼は、交渉とか制裁が失敗したら、あとに残された、「唯一の選択肢は軍事行動だ」と勇ましいことを言っている。

 実はこの上院議員はユダヤ系アメリカ人だということで、やはりという感は否めなかった。アメリカのユダヤ系政治家は、ほぼ間違いなくイスラエル寄りであろう。だから、彼らの結論は分かっている。どうせ戦争を具体的に行うのは自分でもないし、おそらくは自分の親族もあまりかかわっていないのであろう。

 昨日のブキャナン氏の論考は、戦争のもたらす大いなる悲惨な状況を想定し、狂気の沙汰であり、攻撃したがるイスラエルに対し「頭を冷やせ」と言っているが、これはそのままこのリーバーマン議員にも言うべき言葉であろう。
 ブキャナン氏はソ連と対峙した冷戦時代、封じ込めという戦略でしのいだ、と言っていたが、今日の論説内でも、ブッシュ大統領政権で国務次官を務めたニコラス・バーンズ氏の意見として、制裁が失敗した際の取りうる選択肢として、なにもしない、軍事行動、封じ込め、の可能性に言及している。

 このような考え方が重要だ。唯一の残された選択肢、などと大仰なものの言い方をして、大統領の選択肢の幅を狭まるような言い方は、殆ど謀略といってもよかろう。こういう者たちが国を危うくする元凶である。こういうのは「戦争屋」という。
 
 イラン攻撃については専門家である軍人たち、それも司令官などの上級将校らが、もしアメリカがイラン攻撃するならば、自分は辞職する、という者たちも一人や二人人ではない。だから今までもイラン攻撃の選択肢は取れなかったし、取ってはならないのだ。

 アメリカをイランやイスラム世界との戦争に引きずり込もうとするのが、このようなユダヤ系アメリカ人であるという点を忘れてはならないであろう。


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●リーバーマン上院議員:イラン攻撃は唯一の選択肢だ
【8月3日 News Max】
 ジョセフ・リーマーマン上院議員によれば、イラン政府に核爆弾製造を止めさせる圧力としての新しい経済制裁が失敗すれば、イランの核施設に対する軍事攻撃が、アメリカに残された「唯一の選択肢だ」という。
 唯一「壊滅的な制裁を加えることで、イランに核兵器計画を中止させるチャンスがある」というのが、コネチカット州からの独立的民主党員のリーバーマン議員の考えである、と住宅都市問題委員会のバンキング上院議員は語った。。
 「核のイランに対して何もしないで軍事行動を選択する」という、もっとも困難な決定をせざるを得なくなる事情にある「我々を救うため」にも、より一層厳しい制裁が必要だ、という。
 「それは、これが我々が直面することになる選択であり、私としては、その場合には残された選択肢は一つしかないが、今その決定をする必要はないのであり、それゆえこの制裁提案は非常に重要である」と、ワシントンTVが報じた先週のコメントでリーバーマン議員は言い足した。
 リーバーマン議員は、議会に4月提議されたイラン燃料制裁法案を特に意識して語っている。この法案は精製された石油製品をイランに売却しているを外国のエネルギー会社とイランに製品を運ぶタンカーの保険を請け負っている保険会社に制裁を加えるものだ、とテレビでの放送内容であった。
 委員会でリーバーマン議員は、イランの核施設に対する軍事行動の必要性を決定する要素は時間であると警告した。
 「時間は我々にとっては不利に動いている。建設的な方法でこの問題に決着をつける平和的な選択肢は殆ど残されていない。だからこそオバマ大統領のイランと対話するという姿勢を支持しているのだ」と語った。「我々はそれをテストしに取り掛かっているが、制限時間があることを前提にテストをしている。ヨーロッパでやったように長引かせるわけには行かないのだ」
 ロイター伝によれば、オバマ大統領は議員らの要請した「恣意的なデッドライン」を設定することは避けた。 イランとの会談では彼は5月に、政府はいかなる交渉でも年末までには進展状況を再検討するだろうと語った。
 上院委員会は、「イランの潜在的脅威を最小化する:経済制裁とその他の政策選択の評価」のタイトルの下で、他の4人の専門家の証言を聴いている。その証言者の中には、ブッシュ大統領政権で国務次官を務めたニコラス・バーンズ氏も含まれている。
 バーンズ氏はリーバーマン議員の査定に不同意で、制裁が失敗した場合のとりうる選択肢は、何もしないか、軍事行動を取るか、のいずれかであり、また「封じ込め」という方法も研究されていないが、可能性として考えられるという。
 「交渉や制裁が失敗した際の大統領の選択を限定することは良くないと考える」とバーンズ氏は語った。
 「たった一つの選択肢しか残されていないですと? 選択が我々にとって困難なこの時、中東と南アジアでの10年にわたる第3の戦争というのは、国として選択するのは非常に愚かであろうと考える」とバーンズ氏は説明し、「従って封じ込めという方法を考えるべきだ」と述べた。
 バーンズ氏は、現在の状況を、ソ連と中国による冷戦時代、アメリカが直面した脅威と比較している。あの時代のソ連と中国は現在のイランの軍事力と比較し、はるかに強大な軍事力を保持していた。
 封じ込めは、従って、「軍事力を行使するのとは別の選択肢としてあるべきだ。だからこの件では注意深く考察しなければならない」とバーンズ氏は語った。
www.newsmax.com/headlines/lieberman_iran_nuclear/2009/08/03/243208.html
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パトリック・ブキャナン氏

◆8月6日

 今日8月6日は、広島に原爆が投下された日だ。アメリカの原爆投下が明確な戦争犯罪であることをここに言っておきたい。
 しかし、そのアメリカに今オバマ大統領が出てきて、核兵器の廃絶に向けての新たな努力を開始した。
 この核兵器の廃絶の成否は、人類が宇宙に生存し続けることができるかどうかの試金石となろう。

 そのような情勢の中で、イランの核計画の問題を中心として、特にイスラエルがその破壊を願って、先制攻撃も辞さない姿勢を崩していないことについて、アメリカ保守派の重鎮であり、かつて共和党の大統領候補でもあったパトリック・ブキャナン氏の論考があるので、紹介する。基本的には、このブログで示した考え方に極めて近い。

 アメリカの保守派にはこのようにまっとうな考え方をする人物がまだまだ存在しているのであり、こういった保守派こそ実はアメリカの良き伝統を体現している存在と言えよう。ネオコンに引きずられたブッシュ政権はアメリカの保守派の流れからは異質で異常な存在だった。

 今こそこのような正当なアメリカ保守派が盛り返し、アメリカを元の良き伝統にのっとったアメリカに返さねばならないであろう。そのためにはオバマ大統領とも協調していくことも、時には必要になるはずだ。


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●イスラエルに「ノー」と言え
http://www.amconmag.com/blog/2009/07/30/telling-israel-no/
【7月30日 by Patrick J. Buchanan】
 元国連米大使のジョン・ボルトン氏は、ネタニエフ・イスラエル内閣と直接電話でつながっている人物だが、イランの核計画が12月までに打ち切られねば、イスラエルはそれを破壊するために攻撃するであろう、と警告した。
 ゲーツ国防長官のイスラエル訪問は、オバマ大統領の「ノー」の意思を伝えるもので、それはイスラエル側に注意深く受け取られたが、決定的なものではない、とボルトン氏は言う。

◆イスラエルが決めるだろう
 ゲーツ氏はバラク国防相にはっきり伝えたと確信している。イスラエルのイラン攻撃は、バイデン副大統領が愚かにもそれはイスラエルの要求するところだ、と述べたが、わが国を中東の第3次世界大戦に巻き込むものであり、継続中の今の政策を破壊することになる。
 イラン政権は、不正があったと広く知られていて、そのために騒然となった6月12日の選挙の余韻の中にある。数百、数千の人々が通りに出て選挙結果に対する抗議を行った。そしてイスラム政権の正当性にたいする攻撃となった。
 政府は1979年以来の最大の危機に見舞われている。イランのエスタブリッシュメント・メンバーは、革命運動においては申し分のない自らの背景を持って、この選挙がいかさまだと宣言した。
 アハメディネジャドの最初に選んだ人物は、エスファンディアル・ラヒム・マシャイエ副大統領だが、彼の息子はアハメディネジャド氏の娘と結婚している。またこの人物はイスラエルについて語った内容で、保守派の怒りを買った。
 アハマエディネジャド氏はハメネイ師にマシャイエ氏の指名を撤回するよう言われた。アハメディネジャド氏は何日かためらったが結局それに従った。アハマディネジャド氏はその後マシャイエ氏を首席補佐官に指名している。
 イランではデモをして逮捕された者達が拘置所で死ぬまで叩かれたという報告があり大変な騒ぎとなっている。
 彼が2期目の大統領就任の宣誓をする前でも、弾劾されるかもしれない、あるいは任期を全うする前に追放されるかもしれないという話がある。

◆アメリカの忍耐の政策は効果を発揮している
 アハメディネジャド氏はイスラエルが毛嫌いしている人物で、ネタニエフ首相は「イスラエルを地図上から抹殺したがっている狂人だ」と言っている。また核兵器を獲得すれば直ちにテルアビブに撃ち込むことだろうと語った。だからイスラエルは今攻撃し、この政権の背後のイランの人々と結ぼうというわけなのだろう。
 なぜイスラエルはアメリカに対し、イランの核計画を阻止するために5ヶ月しか残されていないとか、イスラエルは攻撃すべきだ、と強調するのだろうか?
 これに応えて、ボルトン氏は「毎日、イランの核と弾道ミサイルの研究室、製造施設、軍事基地はフル稼働している。イスラエルはこういった事実を注視しているのであり、タフな外交とかいう幻想ではない」と語った。
 イランの核の“製造施設”は低濃度ウランを生産し、それで一発のテスト爆弾を作りだしているかもしれない。しかし、IAEA(国際原子力機関)は、この原子炉を監視し続けているのだ。この低濃度ウランはどこにも横流しされてはいない。
 つまり、イランが低濃度ウランを兵器級ウラニウムに濃縮しているという証拠とか、それを行う施設が存在しているという証拠はないのだ。イラン政府は核兵器を製造するなんらの意図も持ち合わせていないと宣言しているし、確かにそれを保有するというのは、コーランの原理からも違法となりうるのだ。。
 
 またアメリカは2007年の国家情報評価でイランは2003年その核兵器計画を破棄した、という内容を撤回してはいない。イスラエルは何年も、イランの核爆弾はあと数ヶ月後に出来上がるといい続けてきた。
 一体どこにその証拠があるのか? イラクの時のように存在もしていないイランの大量破壊兵器を破壊するために、中東でのアメリカの新たな戦争というものをどう正当化できるのか?
 イラクに起きた出来事に鑑みイランは核による抑止力を欲するかもしれない。しかし、この政権が核兵器を製造したとし、イスラエルを攻撃し、今度はイスラエルからの大規模な報復攻撃をテヘランやその他の都市に受けて、何百万人もの犠牲者を出す、というような考え方は狂気としか言いようがないだろう。
 イスラエルにとっても、そのように正当化して戦争を始めることは、ビスマルクが先制攻撃を定義したように、“死の恐怖から自殺をするようなもの”、である。
 アメリカはソ連が存在していた40年にわたって冷戦の中、核による報復という脅威の下で何十年間も生きてきた。我々は封じ込めと抑止の政策に依存してきた。そして今やロシアとの間には平和が保たれている。

 アハメディネジャド氏はスターリンやフルシチョフ、毛沢東ほどタフな相手ではない。彼らは核戦争で3億人が死ぬことも辞さないような者達だった。更に、アハメディネジャド氏は核は持っていないし、イランを戦争に引きずり込む権力もないし、2期目が始まる前に既にレームダック化してしまっている。
 そしてアメリカとイランの国益を考えれば、この両国には相反するものと同じくらい一致するものがある。イランは我々が撃つ前からタリバンを毛嫌いしていた。我々と同じようにイランは、タリバンが再び強くなることを願わない。イランは我々がイラクに誕生させたシーア派政権を我々よりも喜んでいる。
 イランは劣化したその石油とガス田を復興させるために技術を必要としている。そして経済復興のために制裁措置の終了を願っている。その経済が解体したために、政権は危機に陥り、青年たちを支援することができなくなってしまったのだ。

 オバマ氏はイスラエルに対し、「頭を冷やせ!」と告げるべきだ。

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プーチン首相(左)とエルドアン首相

◆8月5日

 明日からロシアのプーチン首相がトルコを訪問するようだ。19世紀はロシアはトルコと大きな戦争をしていたが、21世紀はその関係は良好なものになってきている。それでもことエネルギー問題となると微妙で、近年トルコを通過し、ロシア領を通過しないエネルギー関連パイプライン建設プロジェクトのため緊張が高まっている。この問題を円満に解決することを両国が願って今回の会談となるようだ。
 トルコは黒海に面し、カスピ海とも近く、イランやグルジアとも国境を接している。そしてカスピ海からの石油・ガスのヨーロッパに向けてのパイプラインの通過国となっている。またロシアの黒海艦隊が地中海に出る時にはトルコの、ボスポラス・ダーダルネス両海峡を通過しなければならない。そういうわけでロシアとトルコは協調せざるを得ない関係にあるだろう。


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●トルコの関心:ロシアとエネルギー面での協調
http://www.middle-east-online.com/english/?id=33535
【8月4日 Middle East On Line】
 ロシアのプーチン首相は、今週6日(木)アンカラを訪問、トルコとの間でヨーロッパ向けのガス、石油移送プロジェクトについて増大するトルコの役割とエネルギー協力関係に焦点を絞った会談を行う。
「エネルギー分野での協力関係が今度の会談の主要テーマだ」と、エルドアン首相の補佐官は語った。
 石油・ガス埋蔵地帯のカスピ海および中東とヨーロッパとの間にあり、トルコはエネルギーを必要とするヨーロッパへエネルギーを送るパイプライン・ハブとなっている。
 このプロジェクトは2014年に稼動開始が予定されていて、ヨーロッパがロシアに依存する割合を減らすことが狙いだ。そうすることで、ロシアがガスを政治的な武器として利用していると非難された、冬季のエネルギー送付の停止という事態を避けようとしている。 トルコはしかしロシアと敵対的にならないよう用心している。ロシアはトルコの第1の貿易相手国であり、ガス供給国なのだ。エルドアン首相はロシアはナブッコ(Nabucco=ナブッコ・ガス・パイプライン構想)のガス供給国になるべきだ、と強調している。
 「これは長いこと提案してきていることだ」とエルドアン首相は語った。「ロシアの参加はエネルギー供給の分散化という目的に害とはならない」

 ナブッコに直接的に競合するプロジェクトとしてロシアは自身のサウスストリームプロジェクトがある。これをウクライナではなくトルコの黒海の領海を通過させてヨーロッパに伸ばそうとしている、とトルコのメディアは報じている。
 ロシアとトルコはエネルギー分野ではあからさまなライバル同士ではない。彼らの関係を、コラムニストのセミ・イジズ氏はミリエット紙に「子供が自分の側に相手を引っ張り込もうとするゲームに似ている」と書いている。
 トルコは既にロシアとは黒海の海底を通るブルーストリーム・ガスパイプラインで結ばれている。
 ロシアとカザフスタンの石油を引っ張りこむことを狙ってトルコは黒海沿岸都市のサムスンから地中海に面したセイハンに向かうパイプライン計画を進めている。このセイハンは既にイラクとアゼルバイジャンからの石油ターミナルとして稼動している。
 プーチン首相のトルコに対するエネルギー関連の計画のひとつは、長いこと遅れているトルコでの原子力発電所建設計画だ。ロシアの国営企業であるアトムストロエフポート社が1月行われた入札における唯一の入札者だったが、トルコ政府はこの会社の入札価格面などで懸念するところがあり、このプロジェクトを任していいものか決めかねている。
 エルドアン首相の補佐官は、そのほかにもコーカサス地方での地域問題を話し合うのでは、と語った。ロシアはアルメニアとアゼルバイジャンとの間のナゴルノカラバフ問題の仲介を務めている。トルコがアルメニアとの外交関係を正常化させるためにもこの問題の解決が急がれている。
 もう一つの問題はグルジアだ。トルコはグルジアのNATO加盟については、ロシアの反対にも関わらず支持している。
 昨年のロシアのグルジアに対する軍事介入で、政治・経済的結びつきの強いグルジアを隣国として持つトルコとロシアとの関係が多少緊張した。
 トルコは注意深く歩を進め、敵対する両国ばかりでなくアゼルバイジャン、アルメニアそれにトルコ自身をまとめる、コーカサス地帯での安定と協調の基本枠組みを提案した。
 時には政治的に揺れる関係だが、経済面での両国の取引は、共産主義崩壊後は急上昇した。2008年の貿易量は378億ドルとなり、ロシアはトルコの第1の貿易相手国となった。
 ロシアはトルコのガス輸入量の60%を供給し、毎年100万人以上のロシア人観光客がトルコを訪問して、トルコの観光収入に寄与している。
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