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ウクライナのキエフでバリケードを築く反政府勢力

◆1月30日

 ウクライナでの騒乱については、去年の12月23日号「ウクライナ騒動で起きたこと(その1)」から3回連続で掲載してきた。ウクライナをロシアから切り離し、EUに組み込むための謀略である。つまり純粋なウクライナ人自身の運動ではなく、外部の勢力が大きく関わっている。

 ロシアとウクライナとは歴史的・文化的・人種的に、まさしく兄弟国家と言える存在であるが、欧米金融資本勢力は、ロシアを弱体化させるために、ウクライナをEU側に組み込もうとしている。外部の勢力が絡んだ一種のクーデーター未遂事件となっている。

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●西ウクライナのクーデター (その1)
http://www.eurasiareview.com/25012014-coup-western-ukraine-arab-spring-unleashed-europe-analysis/
【1月25 By Andrew Korybko - Eurasia Review】

暴徒らはリヴィウの行政ビルを占拠し、知事の辞任を強要した。この地域で誰が現在、権力を握っているか分からないが、反政府勢力によって形成された傀儡政府がまもなく出来上がるようだ。「自治」の要求は、もしくは、あからさまな分離主義者の悪ふざけは、クリシコと彼の仲間に、「交渉」の期間中に民主的に選出された政府に反対する権力を更に追加するかもしれない。

 クリシコに率いられたもっと過激な活動が始まるかもしれない。1月22日、彼は、「弾丸の飛ぶ中、通りに出なければならないのならば、弾丸の飛ぶ中を行くつもりだ」と宣言しているからだ。バトキフシチナ党党首のアーセニー・ヤツェニュクは、ウクライナを事実上の内戦に引きずり込むクリシコの挑発的な脅しを支援した。彼は1月22日、似たようなことを語っているからだ。「明日1月23日、我々は共に前進するだろう。それが額に弾丸を意味するのならば、なるようになればいい。しかしそれが誠実で公正で勇気あるやり方だ」。

 両者がそれぞれ自分達の手下の暴徒らを、国内で流血騒ぎに追い込むよう煽るという脅しをしていることは明らかである。アラブの春の騒ぎのように、こういった扇動者らは無政府状態の地域に対する統治権力を獲得するため、政府権力によって「誰か自分達の仲間」が殺されるように煽っている。ヤヌコビッチによる本格的軍ないしはベルクートの介入はまさに、クリシコとヤツェニュクが望んでいるものだ。彼等にとっては、もっと多くの「抗議者」が死ねば更に都合がいいのだ。1980年代のポーランドでは、今ウクライナで見ているものよりもずっと規模の小さな騒乱でも、戒厳令が敷かれたことを想起すべきである。

 当局は反乱地域の秩序を回復するか、首都の統制を再度取り戻すよう試みるか、どうするかの厳しい決定を下さねばならない。状況は非常に厳しいし、このカラー革命とアラブの春の合体モンスターは、精神分裂病的に後者の方の性格を帯びだしている。リビヤのやり方は、外部の者たちがこのヨーロッパ内にパンドラの箱を容易にひっくり返せると思うほどまでに、明らかに「完成」されたやり方となった。

 10年以上前のセルビアの「ブルドーザー革命」以来、カラー革命の方式は改善され、アラブの春となり、今やこの二つはユーロ・広場に変貌し、我々の世紀の新しいタイプの戦争となった。グローバル化された今日の世界では、NGOという存在と、同時にテロリストと武器密輸入業者が情報機関の強い影響の下で狙った国に簡単に侵入できるため、この「社会的」武器・ウィルスの脅威は、高いものではなかった。3000人の中東のテロリストが、ウクライナの「反政府勢力」のある者たちを軍事的に訓練する必要でか、ルーマニアに移動する計画を持っていたということは偶然と考えるべきではない。これは、外部勢力は長期に渡って、出来る限り不安定化を深化させる意図を持っていることを示している。 

                     -その2に続く-

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「緑色レジスタンス」は最後の血の一滴まで・・・
◆1月29日

 カダフィが黒アフリカのために尽力してきた遺産が、この緑色レジスタンス運動となって表れている、といえそうだ。独裁政権が、それそのものだけで善か悪かは決めることは出来ない。またこの世に、完璧な政権などは存在しえない。カダフィの政権にとがめられるべき点が無かったわけではない。しかし、カダフィ時とカダフィ後の今とを比べれば、カダフィ時の時の方がずっと「まし」なのだ。

 親カダフィ戦士らが2011年9月、「カダフィのために戦うことは、息子たちが父親のために戦うようなものだ・・・我々は彼のために最後の血の一滴まで闘うであろう」と語った、という。このような精神の人々が緑色レジスタンス運動を開始している限り、リビヤの中央政府は枕を高くして眠る事は出来ないであろう。まして、殺害されたカダフィと思われる男はカダフィの影武者である、という噂が広く行き渡っている。つまりカダフィは生存しており、元気でいる、というのだ。陰謀でカダフィを「倒した」者たちは、今度は自分達が「震えて眠る」ことになるだろう。


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●リビヤ:緑色レジスタンス運動が勃興 -その3-
http://stopimperialism.org/secret-war-libya/
【1月23日 By Eric Draitser STOP IMPERIALISM】

 アムネスティー・インターナショナルはその2011年のレポートで、リビヤのいわゆる「自由戦士」と言われる者たちによって行われた目に余る戦争犯罪について報告している。彼等は欧米メディアによて「解放者」と称賛された者たちで、彼等は戦争を利用して黒リビヤ人、敵対する部族、少数民族の人々の大量虐殺を実施した者たちである。

 これは2011年のレポートで国連人権委員会によって称賛されたり非難されたりしたカダフィのジャマヒリヤ政府の下での黒リビヤ人に対する待遇と顕著な違いを示している。このレポートで、カダフィは黒リビヤ人や近隣アフリカ諸国からの移民労働者に対し政治的保護や経済的チャンスを提供し、経済的・社会的発展を確実なものにするよう長きに渡って努力したことを指摘している。

 これを考慮しながら、アルジャジーラが親カダフィ戦士らが2011年9月、「カダフィのために戦うことは、息子たちが父親のために戦うようなものだ・・・我々は彼のために最後の血の一滴まで闘うであろう」と語ったと報じても、驚くことではないであろう。

 トウブとその他の黒人少数民族グループがアラブ民兵らと衝突したのも、その戦いは、平和と平等を求める戦いの継続という文脈の中で理解すべきである。更には、彼等が再び武装闘争を始めねばならないという事実は、多くの国際的オブザーバーらがこの戦争の初期から指摘してきたポイントを示している:NATOの侵略は人権を擁護するためということでは全くなく、むしろ経済的・地政学的利害からの政権交代を狙ったものである、ということだ。人口の大半は、黒人少数民族も含めて、今日ではカダフィ時代と比べてより一層劣悪な環境下に置かれているというのが事実であるが、その事実は積極的に隠蔽されてきている。


■黒・緑、リビヤのための戦い

 親カダフィ派の緑色レジスタンスによる最近の軍事的勝利が長く続くか、あるいは、彼等の存在はリビヤの政治・軍事情勢の中における逆戻りできない変化を示しているのかを判断することは時期尚早かもしれない。確かに決定的に不安定ではあるが、新植民地主義のトリポリの傀儡政府は、経済的・軍事的に世界最強の大国らに支援を受けているので、小規模な勝利だけでこの政権を倒すことは困難である。

 しかしながら、こういった事態の推移は地上における情勢に興味深い変化を示している。疑問の余地無く、黒人少数民族と緑色戦士らは、両者とも自分達の敵は、カダフィ政権を崩壊させる闘争に参加した部族の民兵達とトリポリの中央政府であるとの認識で一致している。正式な同盟関係がここから生じるかは、今後の推移を見なければならない。

 そのような同盟関係が築かれるとすると、リビヤにおける戦争においての分水嶺となるかもしれない。緑色レジスタンス戦士がサブハで示したように、支持者の多いリビヤ南部では自分達を組織する事ができる。南部での同盟関係ということは考えられることだ。リビヤの南部全体を通して戦力を築き実質上の独立国としての支配地域を持つ事ができるかもしれない。

 当然、NATOとその擁護者らは、これは反民主主義的で反革命的だと主張することだろう。国際的金融資本と石油利権の前では卑屈な彼等の統一リビヤの目標が、達成不能になるかもしれない、ということは理解できることだ。。

 注意すべきは、今日のリビヤでは仮定的な話をし過ぎないことが重要だ。信頼できる情報は中々入ってこないからだ。更に言えば、欧米メディアは、緑色レジスタンス運動が存在していることを完璧に無視しようとしてきた、ということだ。そのまま彼等が勝利し続ければよいだろう。これら一切が示すことは、リビヤのための戦争は、世界がそれを認めるか否かに係わらず、激しさを増している、ということである。

                           -完-
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リビヤ政府が統治しきれないリビヤの民兵たち

◆1月28日

 リビヤではカダフィ政権崩壊後、治安が乱れ、殺人事件はカダフィ時代の5倍になっているという。カダフィ政権でそれなりにまとまって各部族が一定の安定した生活を送ってきたが、一旦カダフィの箍(タガ)がなくなれば、各勢力が好き放題をするようになっている

 その中で過激派のイスラム主義グループが優勢であり、黒アフリカ人らは人種差別的扱いを受けている。これは黒アフリカとの連携を強め、アフリカをリビヤの基盤としたカダフィの政策と真逆の動きとなっている。

 イスラム過激派は、人種差別主義者であり、狂信的イスラム教徒であるから、異教徒に対しても激しい敵意を持つ。ようするに、アラブ人によるスンニー派による支配を目指しているから、当然人権などは無視される。黒アフリカ人はイスラム過激派からは人間扱いされない存在となっている。

 カダフィという、多くの部族をまとめる箍を破壊したリビヤの新政権が、今度は自分達が、自分たちに反旗を翻すグループから襲撃される立場に立つ事になったのである。そして、リビヤにおける国民の生活は、カダフィ時代に比べて、格段に悪化した。馬鹿を見たのは、カダフィを追い出し殺害した反カダフィ派を含めたリビヤ人自身である。


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●リビヤ:緑色レジスタンス運動が勃興 -その2-
http://stopimperialism.org/secret-war-libya/
【1月23日 By Eric Draitser STOP IMPERIALISM】

 サブハその他の地域における緑色レジスタンスの台頭は、リビヤ南部のより拡大され、一層複雑な政治・軍事的潮流の一つである。そこでは政治的、経済的、社会的に無視される立場にあると正しく認識しているいくつかの部族とさまざまな少数部族グループが、抵抗運動を始めている。

 タウェルガ族とトボウ族の少数部族は黒アフリカ人グループで、彼等はアラブ人民兵による悪辣な襲撃に対し、中央政府からのなんらの支援なしに耐えてきた。こういったグループは民族浄化活動の犠牲者であるばかりでなく、リビヤの政治・経済活動からシステマティックに除外されてきている。

 緊張状態は今月初めに、アラブ・アウレド・スレイマン部族の指導者が殺害されたことで高まった。正式な調査とか法的手続きを進める代わりに、アウレド部族の者たちは隣人である黒アフリカ人のトゥブ族の者たちを、この殺害事件に関わったとして襲撃したのだ。このことで殺された者たちは何十人にものぼった。この衝突で支配的なアラブのグループの者たちが黒い肌の彼等の隣人らを、田舎者としか見ていないことが示された。

 疑いなく、このことはこの地域における同盟者が誰であるかという認識に繋がった。リビヤ南部、チャドとニジェール北部に住むトゥブ、トゥアレグ、その他の黒人少数民族グループは、親カダフィ軍に接近していった。こういった同盟というものが正式なものかどうかは、まだはっきりしていないが、リビヤの多くのグループは、NATOが成立させた政府は、彼等の誓約どおりの政治をしていないこと、何かをしなくてはならない、という認識に至ったことは明らかである。


■リビヤにおける人種の政治

 リビヤの「自由」と「民主主義」に関して、欧米の介入主義者による御高説にも係わらず、現実はそれとはかけ離れたものになっている。とりわけ、黒い肌のリビヤ人にとってはそうだ。彼等はカダフィのジャマヒリヤ政権が崩壊してから社会的経済的・政治的ステイタスが減少したと感じている。カダフィの統治していたリビヤでは、彼等は法による政治的平等と保護を満喫してきたが、カダフィ以後では、彼等の権利というものが一切彼等から剥ぎ取られた事を見てきている。黒いリビヤ人は新しい民主主義国家に組み入れられるのではなく、システマティックに社会から除外されてきたのだ。

 実際、ヒューマン・ライト・ウォッチもカダフィ軍が武器として強姦を利用していること、そして「切迫した虐殺」を準備していた、と間違ったことを主張することで、NATOによる戦争を正当化することを助けたのだが、以下のように、「大量強制移住という人道に対する犯罪が止まらないで続いている。主にミスラタからの民兵らが、2011年追放されたタウェルガ町の4万人の人々が故郷に帰還することを妨げている」と報じた。この事実は、恐ろしげな話とリンチ、強姦、その他の人道に反する犯罪の映像と共に、これらの人々のリビヤにおける暗い生活を描いていた。

                          -その3に続く-

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緑色レジスタンスの戦士たち

◆1月27日

 リビヤではカダフィ大佐の政権が、NATOが絡む謀略によって倒されて以来、不安定な国情が続いている。このリビヤからは多くのイスラム主義者が武器を取ってシリアに向かっていった。

 そのリビヤでは最近、緑色レジスタンスという運動が勃興し、特にリビヤ南部で武力抗争を展開し始めている。緑はカダフィが統治していた時の象徴であり、それを旗印にした戦士らがリビヤ各地で襲撃事件を起こしている。

 不正な謀略で倒されたカダフィ政権に対する忠誠を誓う者たちが、潜伏期間を過ぎて、力を蓄えた後、今表面に現れて、顕な反政府運動を開始したのである。親カダフィ派の捲土重来である。この記事は数回に分けて紹介する。

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●リビヤ:緑色レジスタンス運動が勃興 -その1-
http://stopimperialism.org/secret-war-libya/
【1月23日 By Eric Draitser STOP IMPERIALISM】

 現在リビヤ南部で戦われている戦闘は、単なる部族間の衝突ではない。この戦いは、黒リビヤ人部族グループと親カダフィ勢力の同盟軍が、新植民地主義NATO傀儡政権からリビヤを解放する戦いである。

 18日、重武装した戦士らがリビヤ南部のサブハ市郊外の空軍基地を襲撃し、アリ・ゼイダン政府の軍を駆逐し基地を制圧した。同時に、国内の報道は、大社会主義人民リビヤ・アラブ・ジャマヒリヤ国の緑の国旗が、リビヤ中のいくつかの都市に翻っている状況を伝えだした。確認できる情報が不足する中-トリポリ政府はぼんやりとした情報と証拠を示すだけ-一つだけ確かな事は:リビヤにおける戦争は終わっていない、ということだ。


■地上では

 リビヤのアリ・ゼイダン首相は空軍基地が襲撃されたというニュースの後に国民議会の緊急会議を召集し、緊急事態を宣言した。首相は南部の軍に対し、反乱軍の鎮圧を命じ、記者団に対し、「この衝突は継続しているが、数時間後には解決しているであろう」と語った。国防省のスポークスマンは、中央政府が空軍基地を再度奪還したと発表し、「軍は準備が整ったので、航空機が出動し、標的に対処している・・・犯罪者の付け入る隙が南部にはあった、カダフィ政権に忠誠を誓う者たちが、空軍基地を襲撃する機会があったが、我々は革命と人民を守護するだろう」と語った。
 この空軍基地に対する襲撃に加えて、トリポリの政府要人に対する襲撃事件も起きた。最近の襲撃事件の大物犠牲者はハッサン・アル・ドゥロリ副工業相でシルテ市で暗殺された。彼がイスラム主義者によってか、緑色レジスタンス戦士によって殺されたか、定かではないが、間違いないことは、中央政府が襲撃の標的であり、統治がママならず国家の安全は保障されていない、ということだ。多くの者たちが、彼の殺害は、個別的で、狙い撃ちされた暗殺ではなく、親カダフィ緑色戦士たちが顕著な増大する抵抗運動の一環としてのものではないか、と考えている。

                       -その2に続く-

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バンダルはビン・ラディンの子分であり後継者であると指摘するジェームズ・ペトラ教授

◆1月23日

 地球上で最も退歩的政権がサウジアラビアの政権である。この国から今、狂信的なイスラム教スンニー派ワッハービ派のテロリストらが、世界の各地でテロ活動を展開し、ワッハービ派イスラム帝国を作ろうと世俗国家の破壊にいそしんでいる。これに調子を合わせて、利用しているごろつき国家が存在している。

 このような世界の末期症状の混乱がいつまで継続するのか、ということは、現代人の人間としての資質の問題になっている。シリアのアサド大統領が何回も言っているように、サウジアラビアがテロリストを支援しなければ、シリアの問題は2週間で解決するのである。

 この世界的テロ・ネットワークを構築し指揮しているのが、サウジアラビアのバンダル・ビン・スルタンである。この人物は現代世界の鬼っ子である。この人物にサウジアラビアがどう対処するか、が問題である。最悪の事態に至る前に彼を一切の要職から解雇する必要がある。それがサウジ王家のできる、最後の善行である。

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●サウジアラビアとバンダルの世界的テロ・ネットワーク (その3)
http://www.globalresearch.ca/global-terrorism-and-saudi-arabia-a-retrograde-rentier-dictatorship/5364556
【1月11日 By Prof. James Petras】


■バンダルのアメリカ離反:イラクとイランでの攻勢

 サウジアラビアはアメリカにとって極めて利用価値のある存在であったが、時にコントロールできなくなる相手であった。バンダルが情報長官となってからは、そのことが特に顕著となった:長期に渡るCIAのアセットであったが、当時も彼は彼自身の任務のために「気に入った者たち」を引き抜くことがあった。とりわけその「気に入った者たち」がサウジ権力構造の中で彼の昇進を後押しする場合にはそうだ。そこで、例えば、AIPACの反対にも関わらず彼がAWACsを獲得した力量は彼に多くの評価をもたらした。彼の力量で数百人のサウジ王家の者たちが、9・11事件の際に高度なセキュリティー問題の生じている中、航空機でアメリカを離脱できたということがあった。

 過去にエピソード的な違反例があった中、バンダルは更にアメリカの政策から離反する動きを取った。彼は、アメリカの代理的存在や、顧客、秘密工作員らと相克することがありながらも、サウジの覇権を最大限に拡大する方向で、自分自信のテロ・ネットワークを構築するという挙に出た。

 アメリカがイラクでは右派のマリキ政府を支援する事にしているのに、バンダルは政治的、軍事的、資金的な支援をスンニー・テロリスト・グループである、「イラクとレバントのイスラム国」を支援している。
 
 アメリカがイランと「暫定合意」を果たしたのに、バンダルは反対の声を挙げ、支援を「買い集めた」。サウジアラビアはフランスのオランド大統領の訪問の際に、イランに対する拡大された制裁を施すことを条件に、10億ドルの武器購入の契約を結んだ。バンダルは更に、アメリカとイランとの交渉を頓挫させるため、アメリカ議会に対し影響を与える為、イスラエルがそのシオニスト権力システムを使用することに対する支援を表明した。

 バンダルはアメリカの情報機関に対する初期の従順さを越えて動き出した。彼の過去と現在の欧米の大統領たちと政治的に影響力の大きい高官らとの間の近い関係のため、彼は「大国の冒険」に乗り出す意欲を持った。彼はロシアのプーチン大統領とあってシリアに対するロシアの支援を停止するよう説得しようとした。その際かれはニンジンと鞭を提示した:承諾すれば数十億ドルの武器購入を、さもなくばチェチェン・テロリストがソチ・オリンピックを脅かすという内容だ。彼はトルコのエルドアン首相を、シリアのアサドの敵である「穏健派」の武装勢力を支援するNATOの同盟国としての立場から離脱させ、サウジアラビアが支援するアルカイダ系テロリストの「イラクとレバントのイスラム国」を受け入れるようにさせた。彼は、サウジが訓練を施した大量のテロリストをシリアと恐らくはレバノンに移送させることを容易くさせるべく、エルドアンの支援を確保するため、イランとイラクと石油に関する売買契約を結ぶという、エルドアンの「日和見主義」的な動きや、彼がNATOと共に軍事的協調関係を継続していることや、エジプトのモルシ政権を支援していたことを「黙視」した。

 バンダルは、アフガンとパキスタンの武装したタリバンの対米抵抗活動に対し、武器を供給し資金を提供することで、同じくアメリカに対しては「合意された離脱」のための場所を提供することで、彼等との関係を強化した。バンダルは恐らくは中国西部のウィグルの過激派、ロシアのチェチェンとコーカサスのテロリストらに武器を提供し支援をしているし、更にはサウジアラビアとして、中国との石油に関する合意を拡大し、ロシアのガズプロムと協調している。

 サウジが直接的な軍事介入を行った場所は湾岸国のバーレーンである。そこではサウジ軍がその地の専制政治体制に反対する民主化運動を粉砕した。


■バンダル:国内の怪しげな基盤上の世界的テロ

 バンダルはサウジの外交政策の極端な変化に乗り出し、サウジの世界的影響力を拡大した。最悪の時は、反動的な支配者が権力を握り、民主的秩序をひっくり返せば、サウジアラビアはドルの詰まった鞄と共にその政権を強化する為にやってくるのだ。テロ・ネットワークが民族主義者、世俗主義者、あるいはシーア派政府を転覆させるために活動を開始する時はいつでも、サウジの資金と武器が来る事を計算に入れている。欧米のジャーナリストの誰かが、婉曲に退歩的なサウジ政権を「自由化し近代化する弱々しい努力」として描いたものは、海外のテロ活動の軍事的な強化である。バンダルはテロの近代的テクニックを、イスラム教徒の多い国で反動的支配のサウジ・モデルを押し付ける為に使用している

 問題は、バンダルの海外での大規模な「冒険的」な作戦は、支配する王家の、「内省的な」支配方式と相克することだ。彼等は何千億ドルもの石油収入を貯めて、世界中の最上位の資産に投資し、メディナやメッカ、聖地の敬虔な守護者を装いながら、ひそかにアメリカやイギリス、レバノンの女性のパトロンとなるため、そっとしておいて欲しいのである。

 今のところ、バンダルに敵対する者は出ていない。それは彼が、支配する王とそのインナーサークルの者たちに敬意を払う点で抜かりが無いからだ。彼は東西の首相、大統領その他重要な人物らをリヤドに連れ、あるいは買収して連れて来て契約を結ばせ、支配する専制君主の喜ぶお世辞を言わせてきたのだ。

 しかし、アルカイダ作戦を指揮しようとする熱心な態度、サウジの過激派に海外に行くよう奨励すること、そしてテロリストの戦争を始めることは、王族達を困惑させている。彼等はサウジが訓練し、武装させ、経験を積んだテロリスト、「聖戦士」と言われる者たちが、シリア、ロシア、イラクから帰還し、王宮を爆破することを恐れている。

 更に、バンダルのテロ・ネットワークの標的になった海外の国家が報復するかもしれないのだ:ロシア人、シリア人、エジプト人、パキスタン人、イラク人が、彼等自身の報復の道具となる者たちを雇うかもしれない。

 何千億ドルも武器購入に使っても、サウジ政権はあらゆる面で非常に脆弱である。部族軍団以外では、億万長者エリートは民衆の支持は殆ど無く、正当性は更に無い。彼等は海外からの移民労働者、外国の「専門家」、そしてアメリカ軍に依存している。サウジのエリートらは、ワッハービ派の聖職者らに、聖なる土地に「異教徒」らを入れていることで軽蔑されている。

 バンダルがサウジの力を海外に拡張している間、国内の支配の基盤は弱体化している。彼がシリア、イラン、アフガンにおけるアメリカの政策立案者らに挑んでいる間、増大する敵対的政権に対する防衛をこのサウジ政権はアメリカ空軍と第七艦隊に依存しているのだ。

 バンダルは、その膨張した自我と共に、自分のことを新しい帝国を建設する「サラディン」では、と思っているかもしれない。しかし、実際は、一本の指を振ることで、彼のパトロンの王は彼をすぐにも免職させることが出来る。テロリストによる挑発的なあまりに多くの爆弾騒ぎは、国際的な危機に繋がり、そのことで世界の非難がサウジアラビアに集中するようになるだろう。

 実際は、バンダル・ビン・スルタンはビン・ラディンの子分であり後継者なのだ:彼は世界的テロリズムを深化させ体系化した。バンダルのテロ・ネットワワークはビン・ラディンのものよりも、ずっと多くの無垢な犠牲者を生み出した。それは、勿論、予想されるべきことだ:結局のところ、彼はサウジの国庫からの何十億ドルを受け取り、CIAの訓練とネタニヤフの握手を獲得する!

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