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トルコのエルドアン首相
◆10月28日
トルコのスタンスが変化してきていることをこのブログで指摘してきた。特にイスラエルのガザ侵攻以来、その変化は顕著だ。しかしおそらくそれが唯一の原因ではないだろう。トルコの民衆はイスラム教徒だが、近代トルコはアタチュルクの世俗主義というものを標榜して建国を進めてきた。そして欧米に近づきNATOばかりかEUにも加盟しようと努力してきた。
しかし近年の特にアメリカのブッシュ政権等に見られる無茶な戦争への姿勢、それもイスラエルの国益を正面にすえた資源絡みのアラブ・イスラム叩きの姿勢に徐々に今までの路線に対する姿勢の変更の必要性を感じていたはずだ。
そして決定的には、イスラエルの去年から今年の冬におけるガザ侵攻とそこにおける人道にもとる戦争犯罪を伴う蛮行のかずかずに直面したことだろう。同じイスラム教徒として看過できない、と断固それを非難する行動に出た。
このような流れは当然、いわれのない欧米からの非難を受けているイランに対する姿勢に現れている。ペルシャ人とトルコ人という違いはあるが、同じイスラム教徒として同胞意識をもって接することに違和感はない。
トルコとイランも中東の大国である。この二つの中東の大国が連携することで、中東におけるイスラエルの地位は格段に狭められた。
このブログで指摘してきたように、イスラエルの行く道はますます狭められつつあり、彼らの最終的到達地は、1967年の第3次中東戦争以前の国境線にまで撤退をすることにある。
今、その最終地点に追い込まれつつある、とイスラエルは認識すべきだろう。またそれしか、イスラエル自身が生き延びる道はない。
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●トルコのエルドアン首相:イランはわれらの友人だ
http://www.guardian.co.uk/world/2009/oct/26/turkey-iran1
我々はイランと何の問題もない
ヨーロッパに対し、トルコを侮るなと警告
【10月26日 The Guardian】
そのすばらしい眺めとオスマン・トルコ時代の宮殿と共に、ボスポラスの海嶺は、イスタンブールを二つに分け、ヨーロッパとアジアを分け隔てる戦略的水路であり、敵と味方を識別し、どこに自国の国益が存するかということを明確にする最良の場所だろう。
そして東西を結ぶ架け橋と長いこと見なされてきたトルコの役割のシンボルである、この海峡の横にある立派な彼の本拠に座って、エルドアン・トルコ首相は誰が一体友人で、誰がそうでないのか、迷いはなかった。
マフムド・アハメドネジャド、イランの急進的な大統領の激しい語り口は欧米諸国から嫌われている。「彼が我々の友人であることに間違いない」とエルドアン首相は言った。「友人として、我々は大変良好な関係を持っていて何の問題もない」
フランス大統領のニコラス・サルコジはどうだろう。トルコがEUに加盟しようとすることに対し、ヨーロッパを率いて反対したし、同時にイランの核計画に対しけんか腰の論調で非難した。友人ではない?
「ヨーロッパ諸国の指導者の中で、フランスやドイツのようにトルコに対する偏見を持つ国がある。シラク氏の下では我々はフランスとすばらしい関係を持っていたし、彼はトルコに対し大変好意的だった。しかしサルコジ氏になってから、調子は変わった。それはアンフェアーな姿勢だ。ヨーロッパ連合(EU)は自らの規則を破っている。
EUにいて、我々は15億人のイスラム世界と非イスラム世界とを結ぶ架け橋になる。彼らをこの点を見るべきだ。もし彼らがそれを無視すればEUを弱体化せしめるだろう」
宗教的神政主義のイランに対し友好的であるが、尊大で世俗的であるヨーロッパにはそれを腹立たしく感じている:これがトルコの意見の分裂を分かりやすく表す見方だ。
エルドアンのアハメドネジャドに対する友好的姿勢は、トルコをNATO内部に根付いている欧米志向の民主主義国家と見ている者たちのいくらかをびっくりさせたことだろう。トルコはNATOに1952年に加盟しているが、エルドアン首相の世俗派の国内の批判者にとっては驚くことではないだろう。首相の心情は東洋に向かっていて、彼のイスラム教を基礎にしている公正発展党(AKP)政府がトルコをイランと似た宗教国家に変えるのではと疑惑の目で見ていたからだ。
エルドアンはその宗教国家という点に関してはきっぱり否定しているが、彼の批判者から見ると、エルドアンとアハメドネジャドは同類なのだ。身分の低い出であるが、敬虔な宗教的保守派で、大衆の支持を分かりやすい言葉で獲得している。6月に行われたイランでの大統領選挙の後、エルドアンとアブドゥラ・ガル・トルコ大統領は、アハメドネジャドにお祝いの電話を最初に入れた外国の指導者となった。
ガーディアン紙に対し、エルドアンはこのことを「二国家間で必要な事だ」と言った。「アハメドネジャドは勝利者と宣言した。公式的にではないが投票数は大きく差をつけていた。そして我々は彼と以前からの知り合いなのだからお祝いを述べたのだ」と述べた。
「後で、彼が選出されたことは公式に発表された。彼は信任を受けたのだ。我々はこのようなことに特別な注意を払う。これは我々の外交政策の基本原則だ」
この姿勢は、トルコがイランの天然ガスを必要としている件を含む商業関係に関する会談をアハメドネジャド氏とイランの最高指導者のアヤトラ・ハメネイ師とするため、エルドアン首相が、テヘランに到着した時のそぶりに見られたのが思い起こされる。アハメドネジャド大統領は、エルドアン首相を賛美し、今年の冬のイスラエルのガザ攻撃に抗議して、トルコでのNATO演習にイスラエルが参加することをトルコが拒否する決定を行ったことを賞賛した。
選挙以来、イランは激しい反対派の取り締まりと、その結果として、活動家、学生、ジャーナリストらの逮捕と公開裁判を経験した。拘留者は刑務所で死亡したものもいる。また拷問や暴行があったとも言われている。
しかしエルドアン首相は選挙後の取り締まりに関してはイランの国内問題だということで言及しないと述べた。
彼はイランが核兵器を求めているという欧米の非難に対し冷や水を浴びせた。「イランは兵器を製造しているという言いがかりは受け付けない。エネルギーを獲得するためにのみ原子力を使用しようとしているのだ」と語った。
エルドアン首相は、以前はぎくしゃくしていたイランとトルコの関係を劇的に改善するよう動いた。その点をトルコ軍の世俗派の指導部は疑惑の目で見ている。
両国の間の貿易は、イランがトルコの主要な輸出相手になったから昨年推定55億ポンドであった。エルドアン首相の見解は、アメリカの外交政策作成者らの注意を引いた。公正発展党のことを彼らは穏健イスラムの親欧米のモデルと見ていた。これをイスラム諸国に適用させうると考えたのだ。
彼らはまた、オバマ大統領がアメリカに招待したエルドアン首相が、トルコの戦略的重要性を指摘するのを発見することだろう。彼らは、エルドアン首相がイスラエルを批判すればトルコとアメリカの関係が傷つくだろうと警告したイスラエルを感動させるようなことにはならないだろう。
エルドアン首相は、この見方を退けた。「そのような可能性があるとは思えない。アメリカのこの地域における政策は、イスラエルによって命令されているわけではない」と語った。
彼はトルコ・イスラエル戦略的同盟関係は、AKPのメンバーの中には個人的見解として、既に終了した、と言う者もいるが、生きていると主張したが、イスラエルのアビグドール・リーバーマン外相が、ガザに核兵器を使用すると脅したことに対し、それをたしなめている。
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