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ポール・クレイグ・ロバーツ氏

◆10月27日

 次の危機、つまり二番底が言われている。ゴールドマン・サックスの巨額ボーナスのニュースを聞いて、何も変わっていないと、良識ある者たちは思っている。
 レーガン政権で1981年から1982年にかけて、財務次官補を務めたポール・クレイグ・ロバーツ氏が、アメリカ政府の中味と政策は2008年の金融危機以来も変わっていないから、次の危機は避けがたいと語っている。

 アメリカはいつ目覚めるのか、それともオバマ大統領はすべてを知っているが、一旦アメリカの今のシステム、連邦準備制度という民間銀行がアメリカの金融経済を牛耳る構造を破綻させるために、行き着くところまで行こうとしているのであろうか?


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次の危機に準備はできているか?
http://www.prisonplanet.com/are-you-ready-for-the-next-crisis.html#
【10月26日 Paul Craig Roberts】
 アメリカが破綻国家である証拠は私が記録するより早く積みあがっている。
 破綻国家の顕著な特徴は、ペテン師どもが政府の中にいて、政府を使って自らの利益を上げようとしていることだ
 もう一つは、他人の犠牲でもって自らの富をふやす目的のために経済政策を操作するインサイダーのため所得の不均等が増大していることだ。

 アメリカの所得の不均等は他国と比べても突出している。2008年のOECDレポート、「OECD諸国における所得配分と貧困」によればは、アメリカは不均等では最高の位置にあり、貧困率はOECD諸国で2000年以来、アメリカほどの激しい所得の不均等のある国はない。

 OECDは、アメリカでは、富の配分が所得配分以上に不均等となっている、と言っている。
 2009年10月21日、ビジネス・ウィーク誌は、UNDP(国連開発計画)がアメリカは最悪の所得配分国家の中で3位にある、と結論を出している、と報じた。1位は香港、2位はシンガポールだ。これらは本質的には都市国家であり、通常の国とはいささか異なる。アメリカは所得の分配では最悪の不均等国家という恥ずかしい地位にある。

 21世紀におけるアメリカの所得の不均等は、アメリカの仕事の海外移転と時を一にしている。これで会社の重役たちは「業績ボーナス」で豊かになったが、中流階級は貧困化し、また無秩序な店頭デリバティブの急速な拡大で、ウォール街と金融セクターがその他の人々の犠牲でもって富をかき集めた。

 銀行家らの招来せしめたデリバティブ危機での政府の救済策による負債の尻拭いをしつつ、数百万人のアメリカ人が自宅を失い、退職後の蓄えの半分を失った。
 フロントラインの10月21日の放送「警告」では、グリーン・スパン連邦準備理事会議長、ロバート・ルービンン財務長官、ラリー・サマーズ財務副長官、アーサー・レビット米国証券取引委員会議長たちが、米国商品先物取引委員会(CFTC)会長のブルークスレイ・ボーン氏の法令による義務である店頭デリバティブ規制への動きをどのように封じ込めたかを報じている。

 米国歴史上の最悪の金融危機の発生後、ブルークスレイ・ボーン氏が述べたように、不祥事を起こしたアラン・グリーンスパンは退職の身ながら呼び出され、議会でデリバティブに対する規制が必要ないと明瞭に確約したことの説明を求められた。
 グリーンスパンは議会に対し、デリバティブへの規制は有害になりかねない、とまで語ったのだ。哀れなグリーンスパンは、彼の依存した自由市場論には欠陥があったということを認めるべきなのだ。

 グリーンスパンはわが国を彼の自由市場論に賭けたのかもしれないが、ルービンとサマーズはデリバティブがウォール街にもたらした、詐欺による巨大な利益を確保しようとしていたと皆思うだろう。ボーン女史が強調したように、店頭デリバティブは闇市場だ。そこにはなんらの透明性もない。規制当局はそれらについて、またその購入者についてのなんらの情報もないのだ。

 ロング・ターム・キャピタル・マネージメントが破綻し、救済が余儀なくされたた1998年以後にも、ルービンとサマーズは自分たちのやり方に固執した。グリーンスパン、ルービン、サマーズ、それに、今や自分が銀行家らの手先だったことを後悔しているのろまなアーサー・レビットは、CFTCの業務遂行を阻止するよう無知な議会を操作することに成功した
 ブルークスレイ・ボーン氏は、民衆から選ばれた議員らによって民衆を守る仕事を阻止され、辞任した。
 ウォール街の金が事実と正直な規制当局者を押しつぶし、政府の不作為を請け負って、金融危機を確かなものにしたのだ。この危機が2008年以降もわが国の経済を苦しめている。

 財務省、ホワイトハウス、連邦準備理事会を牛耳っている金融インサイダーらは、自分たちの生み出した厄災のコストを納税者に振り向けた。危機が生起した時、ブッシュにルービンの代わりとして財務長官に指名されたゴールドマン・サックス会長のヘンリー・ポールソンは、議会の“われらの”議員らに恐怖を語り、質問も受け付けないまま、納税者の数千万ドルの資金を、ゴールドマン・サックスやその他の規制なしのデリバティブを取り扱っていた悪者の救済のために認めさせた。

 ゴールドマン・サックスが最近発表したのは、従業員らに6桁から7桁の金額のボーナスを支払う、ということだ。民衆の怒りは爆発した。公的資金で救われた銀行家らを守るため、通常の人々の一生の所得さえ超えるようなボーナスを自分たちに支払いながら、ゴールドマン・サックスの副会長のグリフィス卿は、民衆は「全てがより豊かになるために不均等を忍耐することを」学ばねばならない、と述べた

 つまり、うまい汁を吸わせろ、というわけだ。

 国連のレポートによれば、イギリスは所得配分の不均衡では世界で7位である。ゴールドマン・サックスのボーナスの後、イギリスはイスラエルとこの不均衡では4位を争う形勢となるようだ。
 規制無しのデリバティブの狂った状況と、民衆の高まっている怒り、またグリーンスパンの議会における証言にもかかわらず、デリバティブを規制する動きはまったくない。

 ルービンの財務事務次官補の一人、ゲリー・ゲンスラーは、CFTC委員長のボーン女史と交代した。ラリー・サマーズはオバマ大統領の国家経済会議議長となっている。前連邦準備理事のティモシー・ガイトナーは、ポールソンの子分で、オバマ政権の財務長官となった。ゴールドマン・サックス副会長のアダム・ストーチは、証券取引委員会のCOO(最高執行責任者)に指名された。

 銀行家らがいまだに牛耳っている。

 、“市場が全てを知っている”ということを口実に盗みを正当化することに利用できる“自由市場”経済論者の仲間と一緒になって、公衆の面前で、これほどあつかましく自分たちの利益のために政府を引き回すようなことがなされている国がほかにあるだろうか?

 麻薬国家( narco-state)でも充分に良くない。アメリカはこれを超えて、金融麻薬国家(financo-state)だ。

 ブルークスレイ・ボーン女史は、何もなされなければ、「再度それは起こるでしょう」と言っている。
 しかし何もなされないだろう。ペテン師どもが政府を牛耳っているからだ。

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