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サウジ国王を真ん中に右がバンダル王子、左の軍人が後任のヨセフ・アル・イドゥリシ将軍

◆4月23日

 サウジアラビアの情報機関の長官であったバンダル王子が、その職から解任されたが、それはアメリカのオバマ大統領の要請をサウジ国王が受けて行ったものだ、とイスラエルのハアレツ紙が指摘した。

 このブログでは、昨年12月19日号「アメリカ:アサド大統領は政権に留まるべし」の記事の中で、「サウジアラビアの運命はこの人物(バンダル)を除去するか否かに懸かっていると言ってもいいであろう。欧米と敵対し、アルカイダ系テロリストを支援することで、サウジアラビアは全世界から見放されることになるのだから、早急に方向転換をすべきであり、その際、このバンダル王子の処遇が問題となろう」と指摘した。

 今回、上記の指摘した内容に沿う形で、バンダルが除去されたことで、しかもそれがアメリカのオバマ大統領からの要請を受けてサウジ国王が実行した、ということで、かろうじてアメリカもサウジも良識を示したことになったと言える。これでバンダルは自由に資金も使えなくなり、従ってイスラム主義勢力への資金や武器の支援も後退するであろう。また重職から解任されたことで、公的ガードも弱まるから、彼に報復を企む側は彼に接近しやすくなることで、彼の命の危険が増大した、と言えるであろう。

 シリアではアサド政府軍がイスラム主義過激派武装グループに占拠されていたところを次々と解放している。アサド大統領は最近、今年中にイスラム主義過激派武装グループとの戦闘は終結するだろうと言った。また今年6月にはシリアで大統領選挙を実施すると語った。戦争で荒廃したシリアではあるが、アサド政権は磐石な国民からの支持を受けているから、アサド再選は間違いないであろう。

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●アメリカの圧力でサウジ国王がバンダル王子を重職から解任
http://en.alalam.ir/news/1587622
【4月22日 ALALAM】

 サウジアラビアのバンダル王子が重職を解任された件では、なぜこのような重大な時期になされたのかと、疑念がもたれていた。サウジアラビアの情報機関のトップの解任の公式の声明は簡潔である。アブドゥラ国王の名前で公表されたその声明では、パンダル王子は王子自身の要請で「解任」されたとし、ヨセフ・アル・イドゥリシ将軍が後任となったとある。

 イスラエルのハアレツ紙は、表面的には国王が過去2年間に行ってきた人事の一つに過ぎないと誤解されるかもしれない、と報じている。バンダル王子の健康問題も解任の理由として説明されるかもしれない。しかしハアレツ紙は、バンダルは自分から辞職したわけではない、と書いている。

 サウジアラビアとアメリカのシリア、イラン、パレスチナ問題に対する取り組み方の不一致に鑑みて、両国の緊張状態を緩和するために、サウジ国王にバンダルを解任することを要求したのはオバマ大統領だと言っている。・・・以下略 



●サウジアラビア国王、情報機関長官のバンダル王子をを解任する
http://en.alalam.ir/news/1585593
【4月15日 ALALAM】

 サウジアラビアのバンダル王子は情報機関長官の職を解かれた、とサウジアラビアの国営通信社が報じた。

 サウジ通信によれば、アブドゥラ国王は15日、勅令を布告し、バンダルを「自身の要請で」情報局長官の職から解任し、ヨセフ・ビン・アリ・イドゥリシ中将を後任とする、とした。

 バンダル王子は事実上シリア政府と戦っている武装勢力グループの司令官になっていたことで、サウジ王家では問題視されていた。

 王子はシリア内の状況を変えるための計画を練っていたとされ、ワシントン、モスクワ、パリ、ロンドンなどを巡り、彼の同調者らと会っていた、という。

 外交筋では以前、アメリカがバンダル王子をシリア問題から外すことを要請していたと語った。

 2月19日、ワシントン・ポスト紙は、最近、アメリカで行われた欧米とアラブの情報機関の責任者らの秘密会議で、サウジの内相はサウジアラビアを代表していて、そこで彼はアメリカの国家安全保障アドバイザーのスーザン・ライスとシリア政策についての会談を持った、と報じた。

 以前在アメリカ・サウジ大使を20年以上勤めたバンダルは、シリア紛争では、イスラム主義過激派を強固に支援してきた。

 シリアでアサド政権と戦っている、外国勢力が支援する武装グループに対するサウジアラビアの武器の供給量を増やそうとしたキーとなる人物と考えられている。

 このサウジの王子はアメリカのジョージ・ブッシュ元大統領との親密な関係で知られている。また彼は2003年のアメリカのイラク侵略を擁護したことでも知られている。

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ロシアの特殊部隊「スペツナズ」

◆4月22日

 アメリカはポーランドに部隊を派遣し、ロシアはウクライナ国境に軍を集結させている。東ウクライナの騒動が治まらず、暫定政権が更に非道なごろつきどもや軍隊を送るようなことをすれば、紛争は武装闘争に発展し、ついには本格的内戦の様相を呈する可能性が出てくる。

 その時、ロシア系住民の生命と財産の保護のためにロシアが軍を投入するかもしれない。それは全面戦争を避ける為に小規模の特殊部隊のような軍の投入かもしれない。彼等は高品質の装備で目覚しい働きをする可能性がある、と以下の記事が示唆している。

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●戦術的効果:ロシア軍の目を見張る現代化
http://www.washingtontimes.com/news/2014/apr/20/tactical-advantage-russian-military-shows-off-impr/?page=all#pagebreak
【4月20日 The Washington Times】

 ロシア軍エリート部隊は、防弾チョッキ(ボディ・アーマー)、個人用兵器、徹甲弾、カラー・ラジオなどの、装備に劣るウクライナ軍に対し戦術的にアドバンテージをもたらす主要な新しい装備を展示している、

 もしもプーチン大統領が侵攻を命令すれば、とりわけ新世代防弾チョッキは、ロシア軍がキエフその他の都市を攻略するために通りから通りに進めば、小火器に対し特別の防御を提供するかもしれない。

 「我々が目にし、欧米諸国が見せられたものは、プーチンは絶好調だということだ」と、退役軍人の元少将ロバート・スケールは語った。「フィルムを見ると、彼等の矢は上を向いているが、我々のは残念だが下を向いているようである」と語った。

 スケールのような兵器の専門家は、クリミアを彼等が征服し東ウクライナを攻撃するために動員をかけて以来、ロシアのユビキタス特殊部隊であるスペツナズや空挺部隊のイメージを研究してきている。

 彼等が見るものは、2008年に始まった現代化の果実であり、単に戦車や車両だけでなく、歩兵にまでいたる全ての分野にわたる現代化である。ロシアは世界第三位となる700億ドル以上の国防費を持っている。

 「彼等は5年前と比べてずっと良質の装備を持つようになった」と、バーモントの銃製造会社であるグリーン・マウンテンの役員であるスコット・トラウツは語った。「彼等は新しいグレネード・ランチャーを持っているが、こいつは凄い。彼等のヘルメットは我々のより良い。防弾チョッキも我々のよりも良い。彼等は多くの凄いことをしている。私はそれに舌を巻いているよ」と彼は語った。

 トラウツは、特に防弾チョッキに注目している。というのは、それはライフルと銃弾の製造者にとっては、大いなる挑戦となるからだ。このロシアの防弾チョッキは恐らくNATOの標準的な5.56mmライフル弾を逸(そ)らしてしまうかもしれない。そうなると、ウクライナ兵は自分達のAK-74突撃銃が似たような弾丸を発射するのだから、気力のくじかれるような任務に直面することになるだろう。


ロシアの新防弾チョッキ「6B43 」

 ロシア人は、彼等の新6B43型防弾チョッキでは、胸と背中の部分にチタニウムと硬いカーバイド・ホウ素セラミックを採用している。

 「この材料は5.56弾に対しては不貫通だが、我々の防弾チョッキは彼等の弾丸を完全には防げない」と、スケールは語った。

 スケールは、ロシア人はAK-74を持ち、その弾倉には5.45スチールコア弾が装填されているが、これは4月8日に、この弾丸が徹甲弾だとしてアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局が輸入禁止としたものだ。


ロシア軍の標準歩兵銃「AK-74」

 スケールはこの5.45mm弾は「いかなる防弾チョッキに対しても非常に致死性が高い」と言っている。

 何人かの国家指導者らが大規模な国防問題に注目している一方、プーチンは最小のものの一つ、ライフル銃に関心を示してきた。昨年プーチン政権は、ライフル製造業を統合して、このAK突撃銃の発明者であるミハイル・カラシニコフの名前を付けた新しい会社であるカラシニコフ社を立ち上げた。

 アメリカ兵は、彼等の主要なライフルと銃弾、M4カービンとその5.56弾は、アフガニスタンでタリバンに対して防弾チョッキをつけていない場合もあったのに、致死性に欠けていたことで不満を表明した。頭に命中しなければ、敵は5.56弾を何発も受けても戦闘を続ける事ができた、と調査で兵士らが語った。


アメリカ軍標準装備の「M4カービン」

 「もしもロシア人が、機甲師団で、空挺部隊と共に防弾チョッキを付けた歩兵としてやってきたら、ウクライナのライフル銃は彼等の防弾チョッキを貫くことは出来ず、つまり、何回も6回、7回、8回と胸に撃ち続けねばならないことを意味する」とトラウツは語った。

 つまり、プーチンが雇った私服をまとっている元コマンド隊員の銃を含む、ロシア人の戦士は、ライフル、機関銃、グレネード・ランチャー、ロケット推進グレネードなどの新目録を展示しているのだ。ロシア人はRPGは戦車を破壊できる、と言っている。

 クリミアのマスクをしたスペツナズ部隊は、アメリカが設計した照準器とサイレンサーを突撃銃に付けているのが見える。

 カンサス州のフォート・リーベンワースにある軍の外国軍研究局の局長であるジェイコブ・キップは、彼の目を引いたのは、新しい携帯交信装置だと語った。

 スペツナズのコマンド兵は、カラー(襟)かヘルメットに通信機をつけていて、それで彼等はお互い交信ができ、旅団レベルで作戦の指揮を執ることが出来るのだ。

 「二つのものが目立った。一つはユニフォームにつけた通信装置が顔で使用でき、それで彼等は自分達の手を使用しないでも交信できることだ」とキップは語った。「それは実に斬新だ。これにはヘルメット版もあって、装置が内部に仕込まれている。これは手によるサインを周囲のものに示す必要が無くなる、ということになる」

 ロシアは異なる交信法をアメリカよりも多く使用している。

 「ロシア軍では我々とは交信に関しては全く異なる文化がある」とキップは語った。「何か兵士らがなした場合には、我々はそれを全て報告することを願う。ロシアでは、部隊を展開し任務を与え時限を与える。時間までに間に合わなければ、あるいは予期せぬ状況に遭遇すれば、彼等はそこで報告を入れる」とキップは語った。

 スケールは、プーチンはテレビカメラに向かって、彼の最高の部隊を展示している。スペツナズ、空挺部隊、海軍歩兵部隊(アメリカの海兵隊と同類)、国内治安部隊だ。あるいは3万から86万の現役部隊だ。

 「我々はロシア軍の中がどうなっているか知らない」と彼は語った。「デルタ、シールズ、特殊部隊それにレンジャーを示して、外国での冒険的作戦を強調する我々のようなものかもしれない。我々の部隊を示すだけならば、我々はもっと脅威に見られるかもしれない」と彼は語った。

 スケールは従来の装備については、ロシアはアメリカのアパッチ・ガン・シップヘリコプターや装甲車に対する回答は持っていない、と語った。

 それでも、装備のいいロシア兵は小さな予算の足りない16万のウクライナ軍にとっては悪いニュースだ。

 能力の大きな差は、NATOの元最高司令官で、1998年のベルグラードでの空爆を指揮した退役軍人のウぇスレー・クラーク将軍と、カスパー・ワインバーガーの元国防総省アドバイザーのフィリップ・カーバーによるレポートの中で詳細に説明されている。

 ポトマック・ファウンデーションというNPOによって資金提供がなされた二人は、今月ウクライナで政府高官とインタビューを行い、前線の部隊を訪問した。

 レポートの中でニューヨーク・タイムズ紙は、ウクライナ軍は少なくとも四つのものが必要だと語っている。アメリカ製防弾チョッキ、暗視ゴーグルと照準器、通信機、航空燃料だ。

 「わずかしかないウクライナ軍の防弾チョッキは、小さな口径の低い速度の弾丸用のものだ」と報告にある。「ロシア軍が全面的に高品質の防弾チョッキを装備しているとしたら、侵略の犠牲者に対し、対照的な防御を施すことを否定することは、軍事的に負けを意味するし政治的にそれは馬鹿らしいことだ」と語っている。

 オバマ政権がさしあたってやっていることがそれだ。ウクライナからの、食糧、毛布、寝袋、ヘルメット、発電機以外の、致死性のそして最も非致死性の軍装備の要求を拒絶している。

 クラークとカーバーは、ウクライナ軍に対するアドバイスを与える現役・退役アメリカ人将校のチームを編成する必要があると語っている。

 ウクライナはイラクとアフガンに軍を派遣することで、アメリカの同盟国になった。それでも、ウクライナ軍は頼んでもオバマ政権を説得することができないでいる。

 「先週のことだが、アメリカが約束した寝袋はウクライナに到着しなかった」とクラーク・カーバー・レポートは指摘している。「泥と雨の中の前線の部隊は暖をとるために火を焚いた。しかしその火はロシア人の狙撃手と侵略者に位置を知らせることになった」と指摘した。

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スラビャンスクの検問所を襲撃した時、捕獲された襲撃者の武器

◆4月21日

 オバマ大統領がジュネーブ合意はロシアの今までの様子だと破られそうだ、と早くから語っていたが、確かに破られてしまったが、それは欧米が支援する暫定政府側の違反もあったことを示すのが以下の記事である。極右ネオナチのライト・セクターの要員が火器による襲撃事件を起こし、5人の死者が出た。

 ウクライナの問題のそもそもが、この極右ネオナチの国粋主義者らが、暴力を使用してのクーデターを起こし、非民主的に「政権交代」「政権転覆」を図ったところから始まっている。その極右暴力主義的な、いわばかつてのナチスの「突撃隊」的な役割を演じている、このようなネオナチ・グループを取り締まらなければ、東ウクライナで建物を占拠している親ロシア系の住民も、間違いなく、武装を解く事も建物からの撤退もしないであろう。

 「先ず隗より始めよ」と言われるとおりである。「率先垂範」とも言われる。キエフの暫定政府がまずは、その極右のごろつきどもから武器を取り上げねば、東ウクライナで建物を占拠し、武装している親ロシア勢力側も武装を解くことはありえない。

 結局、ウクライナはどちらも市民の武装を解く事はできないであろうから、このままじりじりと東ウクライナでは、占拠した状態が継続し、そこに「暫定政府」ができてくるであろう。そしてその暫定政府が住民投票を実施し、ロシア編入を決議したら、ロシアは編入するかもしれない。あるいは独立国が出来るかもしれない。つまり、ウクライナの分裂である。

 それら全ては、一番最初に、ヤヌコビッチ政権を暴力的なクーデターで追放したことが原因であり、更にロシア系住民が職を失うように、ロシア語を国語の地位から追い出した決定を「暫定政権」が行った事が原因である。そのように一方の住民に不利になるようなことを決めるような政府に誰がついていくものか、ということになるのは当然の帰結である。そのような差別的政府に反旗を翻す側には一定の道理がある。だから、ウクライナは分裂することになるだろう、というのは、必然的な流れなのであり、またそれが住民にとっても幸せなことなのだ。

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●ウクライナの「イースター休戦」は失敗:検問所での襲撃で5人死亡
http://rt.com/news/slavyansk-checkpoint-shooting-killed-640/
【4月20日 Russia Today】

 反政府勢力が支配している東ウクライナにあるスラビャンスク市で、発砲事件が起きて5人の死者がでた。5人の内訳は、三人が反政府の抗議者で、二人は襲撃者であり、この襲撃者はライト・セクターの者たちと考えられている。

 この死亡事件は、スラビャンスク市郊外に設けられた検問所で、夜間に襲撃事件がおきたためである。四台の車両が検問所に差し掛かり、検問所に詰めていた要員に向かって銃を発射することで、二人を殺害、何人かも深刻な負傷をした。

 「彼等はハイビームヘッドランプを付けて接近してきた。我々の仲間が彼等に近づき、我々に光を当てるなと頼み、IDを示すよう要請し、検問のためにトランクを開けるよう言った。すると彼等は突撃銃を窓から出して撃ったので、彼は倒れた」と目撃者のヴラジミールはRTに語った。

 何人か逃げようとした者たちも後ろから撃たれたと付け加えた。一人は病院で頭の傷のため死亡した、と医者が確認している。他の二人は治療の最中である。

 この検問所はバットなどを持った26人の市民が詰めていた。火器を持っていないのは、キエフの暫定政府と抗議者グループの責任者の両者によって発表された、いわゆる事態沈静化のための「イースター停戦」のためであった。

 犠牲者の一人であるセルゲイ・ルデンコ(53歳)は、バスの運転手であったと彼の妻がRIAノーボスチに語った。彼はスラビャンスクに近い村に住んでいて、二人の成人した息子らと一緒にイースターの晩は検問所に詰めていたのだ。

 市民が殺害されたので、火器を持った20人の抗議者らが市内からやってきた。彼等は襲撃者に向かって発砲し、彼等の内の二人を殺害し、残りは逃走した。5人の襲撃者らは反撃する勢力によって負傷した、と抗議者グループの責任者であるヴァチスラブ・ポノマリエフは語った。

 ドネツク州の内務大臣は、発砲事件があったことを明言したが、死者の二人はスラビャンスクの住人で、一人は襲撃者だという、三人の死者の情報しかないと語った。襲撃者の身元はこれから調べると彼は語った。

 抗議者らは4台の襲撃者の車の内2台を捕獲した。これらの車両は銃撃で損傷し、住民が殺害されたことで怒った抗議者らによって火がつけられた。

 20日遅く、抗議者らは捕まえた襲撃者の一人がライト・セクターの者であることを明かした。

 「この若い男はグループを失い、スラビャンスクからヒッチハイクでハリコフ方面に逃走しようとしていた」と、自警団の一人がRIAノーボスチに対して語った。このライト・セクターの男性は22歳だ。彼は、ヴィニツヤからキエフに来て、そこでライト・セクターのメンバーになったと語った。

 ライト・セクターの標章のメダリオン(円形浮き彫り)も見つかっているが、これは極右国粋運動が襲撃に加わったことを示唆している。


ライト・セクターのメダリオンも押収された

 ライト・セクターのスポークスマンであるアルテム・スコロパドスキーはスラビャンスク襲撃事件にライト・セクターが関与していることを否定した。・・・・以下略



●東ウクライナ:極右ネオナチ勢力のライト・セクターの襲撃で死者
http://www.globalresearch.ca/eastern-ukraine-right-sector-attack-in-slavyansk-results-in-deadly-shootout/5378460
【4月20日 Global Research】

 ロシア政府は20日に起きた武器を使用したスラビャンスク市での事件で、極右のライト・セクターの民兵らの襲撃で一般市民が死亡するという事態に憤りを覚える、とロシアの外務省が語った。

 「ロシア側は、国粋主義者と過激派を武装解除することに消極的なキエフの暫定政府の姿勢を示すような、民兵による挑発行為に憤っている」とロシア外務省が声明で語った。

 「ジュネーブで4月17日にロシア、アメリカ、EU、ウクライナの四者が、一切の暴力行為、脅し、挑発行為を控えるという最終声明に署名した後に悲劇が起きたことは驚くべきことだ。ロシア側は東ウクライナでの事態の沈静化に関するウクライナ政府側のコミットメントの厳格な実施を要請する」と、インターファックスが外務省が語ったと報じた。

 「東ウクライナの停戦は、20日スラビャンスクで破られた。いわゆるライト・セクターと言われるグループによって一般市民が襲撃された結果、死者が出た。襲撃者の車両が捕獲され、その中には武器、地域の航空写真、ライト・セクターの装備品などが見つかった」と声明は指摘した。

 ウクライナに関するジュネーブ合意は即刻、実施されるべきだ、というのがロシアのラブロフ外相のアメリカのケリー国務長官に向けたメッセージの内容だ。

 ラブロフは、主要政治グループと地域が参加する新憲法に関する全国的対話と非暴力を約束したジュネーブ・コミュニケのウクライナ政府による即時の完全な実行の必要性を指摘した、と声明で語った。

 会談の結果を受けて、ラブロフ外相がウクライナ政府に対し、合意条項の実施を促したという声明をロシア外務省が出した、とRIAが報じた。

 アメリカのケリー国務長官は、ウクライナに関するジュネーブ・コミュニケについてロシアのラブロフ外相と20日朝、電話で会談し、これからの数日間がこの合意事項実施の成否が決まる時だと強調した。

 「ケリーは、次の数日間は全ての関係者にとって、この声明の条項を実施する重要な時期であり、全ての不法な武装グループは武装解除されるべきであり、全ての不法に占拠された建物は正当な持ち主に返還されねばならないことを明らかにした」と声明は語っている。

 ラブロフとケリーは、ウクライナの緊張を緩和する面での強力を継続すること、紛争で混乱しているウクライナに対する国際的な援助に関して議論を継続することで合意した。この電話会談はアメリカ側からなされた、とロシア外務省のフェイス・ブックの声明が指摘した。・・・・以下略

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スラビャンスク市で親ロシア派に投降した部隊の装甲車に花を捧げる市民

◆4月17日

 昨日の記事で、「軍の一部に自国民弾圧の動員を拒否する部隊が出たからだ、という。ウクライナの軍内にも亀裂が入っている、ということになる」と書いたが、以下の記事では、制圧現場に向かった部隊が装甲車ごと投降した、という記事である。

 給料の未払いとか食糧配給がなされていないなど、以前からウクライナ軍の問題が指摘されていたが、ここに来てク0-でターで成り上がった暫定政府の命令に従って、同胞に銃を向け、従わなければ攻撃せよ、と言われても、そんな気にならないというのも理解できる。

 このようにウクライナの暫定政府は問答無用で軍を投入してでも、自国民を弾圧しようとしている権力の濫用者であり、正にナチス的であり、民衆の側に立った真の民主的政権ではないことが分かる。ヤヌコビッチは軍は投入しなかった。外国からの侵略に対する軍を自国民の弾圧に使用するというのは、邪道であり、権力志向者がよく行う所業である。

 この事態は直ぐ各都市に伝わることであろうし、政府の命令を最初から拒否した部隊に続いて、その他の部隊でも暫定政府の姿勢に拒否反応を示す部隊が出てくる可能性が高まった。そうなれば、暫定政府はにっちもさっちも行かなくなるであろう。結局、ウクライナは東西に分裂することになっていく趨勢が強まったと言えよう。

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●装甲車ごと親ロシア派に投降したウクライナ部隊
http://www.abc.net.au/news/2014-04-16/ukrainian-soldiers-surrender-apcs-to-pro-russian-separatists/5396014
【4月16日 ABCReuters】


(BBCのユーチューブ映像使用:ブログ主)

 ウクライナ軍の装甲兵員輸送車(APC)群はウクライナ兵が投降した後に、現在は親ロシア分離主義者たちの管理下にあると思われる。

 ロシアとウクライナの論戦のさなか、この出来事は親ロシア分離主義者の挑戦的態度に勢いをつけ、東ウクライナの10あまりの都市における政府庁舎占拠を終息させようとするウクライナ政府の思惑に打撃を与えた。

 ウクライナ軍は15日、クラマトルスク市近郊の飛行場を制圧した後、このAPCを駆ってウクライナ国旗をたなびかせて市中に入っていった。この件ではロシアのプーチン大統領がウクライナは内戦の危機にある、と指摘したばかりであった。

 しかし、このAPCは後になって、スラビャンスクの中心で親ロシア分離主義者の手中にあることが目撃された。

 これらのAPCは、疲れた迷彩服の兵士を乗せて、ロシアからわずか15kmしか離れていないスラビャンスクにロシア国旗と分離主義者たちの旗をはためかせて入っていったのだ。

 彼等は分離主義者に占拠されている市庁舎の外に停止した。彼等が手を振りながら入っていくと、何人かの人々が手を振り叫んだ:「よくやったぞ、同士!」そして、「ロシア、ロシア!」

 上空ではウクライナのジェット機が数分間、脅しを掛けるように曲芸的飛行を行っていた。 

 一人の兵士は、ドゥニプロペトロフスクの第25空挺師団の者だと、クラマトルスクのジャーナリストに語った。彼と彼の仲間は基地では三日間、食糧の配給が無かったと語った。

 「全ての兵士と将校らがここにいる。我々全員、自国民に銃を向けるつもりはない」とこの兵士は語った。彼のユニフォームには所属を示す標章は何も無かった。

 「彼等は我々に食糧を配っている。誰に向かって我々は闘うというのだ?」と彼は語った。クラマトルスク市の人々がお茶や食糧をウクライナの兵士に配っていた。この兵士らは汚い身なりで疲れて見えたが、彼等は四日間の演習をしていた、と語った。

 フェリックスと名乗るクラマトルスク市の市民の一人は、ウクライナ軍が親ロシア分離主義者らに自分達の車両を差し出すのを見た、と語った。

 ウクライナ軍であることを示す標章のある車両が武装した親ロシア分離主義者らに平和裏に彼等の車両を明け渡す様子がユーチューブで見られる。

 武装した親ロシア活動家でバルと名乗る男は、ウクライナ兵士等は我々の側についた、と語った。

 「スラビャンスクの制圧に向かっていたウクライナ軍の車両は、クラマトルスクで人々に停止させられた。彼等は阻止された」と彼は語った。

 「彼等は我々に来るように要求した。我々が着てみると、彼等空挺旅団は我々の側についたのだ」と彼は語った。

 スラビャンスクの親ロシア分離主義者のスポークスマンは、ウクライナは話し合いの後、投降した。力による脅迫があったかどうかは分からない、と語った。

 ウクライナの国防大臣のミハイロ・コバルは、何が起きているのか知る為にドネツク州に向かっている、とキエフで副首相のヴィターリ・ヤレマが記者団に語った。

 「始めは、装甲兵員輸送車は反テロリスト作戦のため市に入ったという情報があったが、その後どうなったか・・・」と、言葉を濁しながらヤレマは語った。

 一方、NATOは、ウクライナの危機のために、東ヨーロッパにおける軍事力を強化する段取りをすぐに取る決定をしたと語った。

 「海、空、陸上で直ぐ軍の展開があるだろう。数日以内にある」とNATO事務局長のアンダース・フォグ・ラスムッセンは語った。

 NATOの戦闘機のバルチック空域での出動は増加し、同盟国の艦船はバルチック海、東地中海その他に展開し、同盟国の陸軍参謀らはNATOの準備態勢、訓練、演習の改善を目指して派遣されることになるだろう、と彼は語った。

 NATOの最高司令官のフィリップ・ブリードラブ将軍は、この動員は純粋に防衛的なものである、と語った。

 「我々は同盟国に対する第5項集団的自衛権の完全なコミットメントを保証するための方策を取るのであり、そのための動員である」と彼は語った。

 アメリカ、EU,ウクライナ、ロシアの代表者らが状況の収拾を話し合う為に今、ジュネーブに向かっている。

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ウクライナは内戦の危機にある、と憂慮するロシアのプーチン大統領

◆4月16日

 とうとうウクライナ政府は軍を投入し、東ウクライナの反政府デモの弾圧に乗り出した。既に死傷者が出ているという。ロシアのプーチン大統領はこのウクライナ政府の行動を非難し、ウクライナが内戦の危機にある、と指摘している。それでも今の段階では、ロシアはロシア軍をウクライナ領内に入れるようなことはせず、明日に予定されているジュネーブでの会議に一縷の望みを抱いて臨む姿勢である。

 クリミアは自治共和国であったから、住民の意思でロシア編入ということが法的には問題なくできたが、その他の東ウクライナは州ないしは県という事情なので、簡単にロシア編入は出来ない。だから連邦制を民衆も要求している。連邦制となれば、それぞれの州ないしは県が自分達の政府を持つ事ができ、住民投票でロシア編入を決めれば、ロシアとしても編入が可能となる。そのような法的に問題ない形で事態を収めたいのがプーチンの思惑であろう。

 だから、今の段階ではプーチンは17日のジュネーブでのロシア、ウクライナ、EU、アメリカの会談に期待を繋いでいる。しかしその間にも、弾圧が激しくなれば、そして会談がなんらの進展を見せなければ、つまり欧米側の時間稼ぎということが明確になれば、ロシアも実力行使に打って出る可能性が高まるだろう。

 東ウクライナ諸都市の制圧に向かう勢力は、特殊部隊(内務省管轄)や軍の他に、国防隊という勢力、それに極右勢力のライト・セクター要員も含まれているという。これは、軍の一部に自国民弾圧の動員を拒否する部隊が出たからだ、という。ウクライナの軍内にも亀裂が入っている、ということになる。だから、内戦の危機というのは本当だ。

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●プーチン大統領:ウクライナは内戦の危機にある
http://rt.com/news/putin-ukraine-military-operation-740/
【4月15日 Russia Today】


東ウクライナのイジウム市に向かう完全武装の特殊部隊

 急激に緊迫化したウクライナは内戦の危機にある、とロシアのプーチン大統領がドイツのメルケル首相に電話会談で語った。

 プーチンは、来る16日にロシア、ウクライナ、EU、アメリカが参加するジュネーブでのウクライナ危機についての会談についてメルケルと語り合った。

 メルケルのプレス・オフィスは、意見の相違はあれども16日の会談に冠する事が電話会談の主な内容であった、と語った。

 「現在起きている事柄の認識の仕方には違いがあるが、予定されているジュネーブの会談の準備についての事柄が電話会談の焦点であった」と、メルケルのオフィスは声明の中で語った。

 プーチンは一方でジュネーブ会談が状況を緩和させ、平和的な協力体制に戻す事に対する期待を表明した。

 プーチンは更に、ウクライナの経済を安定化させることの必要性を繰り返し指摘し、ロシアの天然ガスのヨーロッパへの供給を保証した。

 15日、ロシア政府は世界各国に対して、ウクライナ政府の最近の南東ウクライナでの「反憲法的」行動を非難するよう促した。ロシア政府はこのウクライナ政府の行動は壊滅的な結果に繋がりかねないと見ている。

 「軍の支援を受けたウクライナ特殊部隊による軍事作戦に我々は深い懸念を持っている。既に犠牲者が出ている」と、ロシア外務省は声明の中で語った。

 ロシア外務省は、法的な権利が保証されることを要求する自国民に対する戦闘行為は犯罪的攻撃であるとした。「現在の状況は、キエフ当局がウクライナの各州と対話を行う事に対し意欲的でないことを示している。だが、それは必要なことである」とこの声明では指摘している。

 一方、ポーランドの外務大臣であるラドスラヴ・シコルスキーは、ポーランドは東ウクライナでの軍事作戦に完全に同意すると語った、とRIAノーボスチ通信が報じた。シコルスキーは、「空港を占拠している」「武装した民衆」に対するクラマトルスクでの行動は、法に触れるものではない、と考えている。

 15日朝、プーチンはイスラエルのネタニヤフ首相とも話し合った。その話し合いの中で、プーチンはウクライナ危機の激化は、ウクライナ政府がロシア語を話すウクライナ国民の正当な権利を無視する無責任な政策の結果である、ことを強調した。

 両者は更に、相互協力その他の問題について語り合ったが、その中にはイランの核問題も含まれていた。



●弾圧開始で軍隊、装甲車、ヘリ、ジェット機が東ウクライナに殺到
http://rt.com/news/kiev-tanks-amass-east-668/
【4月15日 Russia Today】


東ウクライナへの動員にはヘリコプターも含まれている

 クーデターで出来たウクライナ政府は政府の統治を拒否し、連邦制を求め集会を続ける東ウクライナの各都市に向けて軍を動員した。 


装甲車も動員された

 臨時大統領であるトゥルチノフの15日の「反テロリスト作戦」の発表後、装甲車が東ウクライナの都市であるスラビャンスクから数キロの場所にやってきた。このスラビャンスクでは活動家らが武装した自衛団の協力でいくつかの政府庁舎を占拠している。・・・・以下略


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