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地中海におけるミサイル発射問題を軸とする米ロ対決

◆9月15日

 今回のアメリカがシリア攻撃を断念するようになった経緯がいろいろと注目されている。このブログでも、9月4日の「ロシア国防省:「イスラエルのミサイル発射という『火遊び』に警告」号でも、イスラエルの発表のいかがわしさから真相がどこにあったかを推測している内容が示されたが、今回の以下のレバノン紙に掲載された内容では、それとは異なるが、やはり米・イスラエルの軍事演習の一環である、という公式発表とは違う内容が語られている。

 この二つを見比べてみて言えることは、米にしろイスラエルにしろミサイルはシリアを狙って発射されたということであり、またこのミサイルはロシア側にすぐに探知され、結果的には、ミサイルはシリアには到達しなかったということである。このミサイル発射でロシアのミサイル探知能力が試されたのではないか、という推測もあったことを紹介した。

 実際、ミサイルが探知されれば、その迎撃は可能となろう。そしてロシアにはS-300(現在はS-400も) という世界最強の迎撃ミサイルがあり、そのミサイルは既にシリア側に引き渡されているし、射程が300㎞もあり音速の3倍近くで飛翔するヤホント対艦ミサイルもシリアに供給されている。このミサイルの攻撃から防衛することはアメリカの艦船といえども困難なはずだ。これに比べてアメリカの対艦ミサイルのハープーンなどは亜音速でしか飛翔しない。日本の自衛隊もこれを装備しているが、ロシア製のこのヤホントには勝てない。

 これに加えて、ロシアのプーチン大統領のシリアに対するコミットメントの不退転の姿勢が貫かれていることもある。「シリアに対する攻撃はロシアに対する攻撃である」、という考え方、あるいは「ロシアにはロシアの考えがある」という姿勢がアメリカ側に伝わっていることと、それが言葉だけの事ではない、ということ。また反体制側が化学兵器を使用したという証拠をロシア側が握っていてそれを国連に提出した、ということ。あらゆる要素を考慮しても、アメリカがシリア攻撃をするメリットはない、ということが理解できる。

 しかもロシアのプーチン大統領はニューヨーク・タイムズ紙にアメリカのシリア攻撃の愚かしさを語り、化学兵器使用に関しても、それが反政府側であることも明言している。イラク戦争の時の失敗をアメリカ国民も感ずいている最中に、ロシア大統領側からまさにそのことを自国の新聞に発表され、アメリカ国民の厭戦気運が高まったことは想像に難くない。シリア攻撃はただ、戦争屋、つまり軍産複合体+銀行が儲けるだけであり、イスラエルに敵対するシリアの没落を願うタカ派のユダヤ人たちを喜ばすだけであり、その利益はシリア国民の血とアメリカ国民の血税の賜物ということであるから、上記の関係者以外では、愚か過ぎなければ、だれでもシリア攻撃などに賛成するはずもないことなのだ。

 9月11日号「米露シリア:化学兵器問題で三者会談」では、「とにかくこれで、アメリカは面子を潰さずにシリア攻撃をしないで済ますことが出来るし、シリアはこれで大惨禍に見舞われる事は避けられそうだし、ロシアは今までのシリア支援が実を結ぶことになり、この三者にとってはめでたし、めでたしとなりそうだ。これは相当に画期的なことである。昨日のブログ記事に記したように、今までとは違う動きを世界はしだしているようだ」と指摘したように、以下の記事でもアメリカがロシアの提案でメンツをつぶさずに事態を世界の国民が願う方向でまとめる動きを進め出したことが示されている。それを素直に喜びたい。この背景にはロシアの、とりわけプーチン大統領の功績が大きいことを強調したいし、オバマ大統領がやはりと言うか、プーチンの提案を受け入れたという度量の大きさもあったことも指摘されるべきだろう。言うなれば、両人の丁々発止のやり取りの結果、世界平和が維持されたという結果であろう(オバマ大統領はこの結果を読んでいた???)。とにかく世界が新しい動きを始めた、という指摘を再度しておきたい。
 

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●アメリカ・ロシア対決の真相
http://www.almanar.com.lb/english/adetails.php?eid=110043&cid=31&fromval=1&frid=31&seccatid=71&s1=1
【9月12日 Daoud Rammal – As-Safir Al-Manar】

 アス・サフィール紙に情報に通じている外交筋は、「アメリカの対シリア戦は2発のミサイルが発射された時に始まり終わったのだ」と指摘した。この時、イスラエルは発射を否定し、ロシアは明言するという混乱があったが、イスラエルが後で発射を認め、イスラエルとアメリカの合同軍事演習中の発射であるとし、海中に落下したとした。またこれはシリア危機とは関係ないものだ、としたのである。 

 この情報筋はこのレバノンの新聞紙に対し、「アメリカ軍がこれらの2発のロケットをスペインのNATO基地から発射したが、すぐさまロシアのレーダーによって探知され、ロシアの防空システムによって迎撃されたので、1発は空中で爆発し、2発目は海中に落下した」と語った。   

 この流れの中で、この情報筋は、「ロシア国防省が出した、中東方面に向けて発射された2発の弾道ミサイルの探知」、という声明は二つの点を無視している:先ず、この2発のミサイルが発射された場所で、次はそのミサイルの落下についてである。なぜか?それは、全面的な軍事行動が開始された瞬間、ロシア情報機関の長官はアメリカの情報機関と接触し、「シリアへの攻撃はロシアへの攻撃を意味する」ことを伝え、我々は「2発のミサイルを落下させた」という言葉は二国家の関係を考慮し、またその悪化を避けるために声明の中では使用しなかったこと、を伝えた。そして「従って、ロシアの地中海におけるプレゼンスを一掃することはできないことは、はっきり分かっているのだから、アメリカは即座にシリア危機に対する自国の政策、取組み、意図を再考慮すべきである」と伝えた、というのだ。

 「この語られなかったロシアとアメリカの間の直接対決の顛末はオバマ政権の混乱を深め、ロシア側はシリア問題では最後まで譲らないことは確かであり、またアメリカはこの袋小路から抜け出す方法は、ロシアが提案した内容以外にはないし、それはアメリカのメンツを保つものであった」と彼は付け加えた。

 この点では、この外交筋は、「アメリカのこれ以上の混乱を避けるため、またイスラエルがロケット発射を最初の声明では否定した後(それは本当だが)だったので、アメリカは国際社会の前で面目を保つためにイスラエルにロケット発射を認めてくれるよう頼み込みんだ。特にこの2発のロケット発射はアメリカのシリアに対する侵略の開始であり、軍事作戦の開始を意味するのだが、その後オバマ大統領はアサド大統領の運命についてロシアと交渉するためにG20会議出席のためにロシアに行くことになっていたので、この袋小路から抜け出す道を発見するために行ったのだ」

 この情報筋は更に、「米ロのロケット対決問題後、ロシアは国内の軍事専門家の増加をめざし、地中海では部隊、駆逐艦の増加を目指すことにした。ロシアはまたG20後にシリアへの侵略を止める提案について発表するための時間を設定した。会議の期間、別枠でイランのラヒャン外相とシリアのモアレム外相の訪問を受けた。この話し合いではロシア側と事態の解決面での合意があった。それにはシリアが化学兵器を国際的監視下に置くこと、シリアが化学兵器不拡散条約に加盟するというロシアの提案を受け入れることを発表することが含まれていた」と指摘した。

 最後に、この情報筋は、「米ロの軍事対決の一つの結果としては、英国議会がシリア戦争には参加しない決議をしたことだ。これは特にメルケル首相が発表したドイツの姿勢に見られるように、ヨーロッパの流れを作った」と指摘した。

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