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アメリカのオバマ大統領とロシアのプーチン大統領

◆5月1日

 ウクライナ問題をどう理解するか?それはアメリカの世界覇権に向けた戦略の一環として理解すべき、というのが以下の記事だ。このアメリカの戦略は台頭する中国をどうするか、という点と、ヨーロッパと経済的に繋がっているロシアをどうするか、という問題があるが、アメリカはロシアを弱体化させるためにウクライナ問題を起こした、という。

 アメリカが世界覇権を狙っていることは夙に知られているが、その前に立ちはだかる二つの世界大国である中国とロシアを、ロシアはウクライナ問題を通してロシアを内戦に巻き込むことで、中国もやはり南シナ海や尖閣諸島問題などの絡みから、軍事的な衝突を絡めて攻略する可能性があると見ているようだ。

 ウクライナ問題に焦点を絞った内容であるが、長いので2回に分けて掲載する。いずれにしても、コソボの時と違って、今回はロシアと国境を接するウクライナの、しかもロシア系住民が絡むことなので、ロシアがこのウクライナの内戦に巻き込まれる可能性は限りなく高い、といえよう。

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●プーチンは何故アメリカの標的なのか? (その1)
http://www.globalresearch.ca/ukraine-russia-and-china-why-is-putin-in-washingtons-crosshairs/5379657
【4月29日 By Mike Whitney-Global Research】

 「アメリカはロシアをガスから上がる利益を削減することで経済的に弱めたいと願い、そうすることでロシアの防衛力あるいは利益を損なおうとしている。アメリカはヨーロッパとアジアが経済的に統合されることを願わない。EU-ロシアの事実上の同盟関係はアメリカの世界覇権に対する直接的な脅威である」

 ウクライナにおけるアメリカの挑発行為は、アメリカの「アジアに軸足を置く」政策から離れて理解することはできない。これは中東からアジアへ軸足をシフトするという拡大された戦略的計画である。いわゆる「リ・バランシング」と言われるものは、アメリカの覇権的野望と取って代わる可能性のある中国の台頭を統御するための青写真である。それがどう達成できるかについて、二つの思潮があるが、大まかに言えば、「龍退治法」と、「パンダ抱擁法」の二つである。

 龍退治陣営は封じ込めに好意的で、パンダ抱擁陣営は婚約に好意的である。どちらの方法をとるかの決定はまだなされていないが、南シナ海と尖閣諸島を巡る敵対的関係からして、この計画は大いに軍事力に依るであろう。


■中国を統御するということの何がウクライナの騒動と関係するのか?

 一切である。アメリカはロシアのことを、ヨーロッパ支配計画に対する増大する脅威と見ている。問題は、ロシアは石油とガスのパイプライン網を中央アジアを通ってヨーロッパに引き込んだことで強力になったことだ。経済的にヨーロッパと統合された強いロシアはアメリカの覇権に対する脅威なので、アメリカはウクライナをロシアに対する攻撃の橋頭堡にする決定をしたのだ。アメリカは、中央アジアにおけるプレゼンスあるいは重要なエネルギー資源地帯を支配する計画に挑戦することのないような弱いロシアを願っている。 

 現在ロシアはヨーロッパ中西部の天然ガスの30%を供給しているが、その内の60%はウクライナを通過している。ヨーロッパの人々とビジネスは家の暖房から機械の動力源などをロシアのガスに依存している。EUとロシアの貿易関係は相互に利益があり買い手も売り手も利益を得ている。アメリカはこのEUとロシアのパートナーシップからは何も得るものは無い。そのため、アメリカは重要な市場に対するロシアのアクセスを封じようと願っている。この商業的破壊工作の形式は戦争行為である。

 かつて、大石油企業の代表者らが、EUが必要とする膨大な量の天然ガスを供給できる新しいパイプライン・システムを建設し、ロシアと競争できるようにしようと考えた事があった。しかし、この計画は失敗し、それでアメリカは計画Bに移った。つまり、ロシアからEUに向かうガスの流れを切断するということだ。取引するパートナー達の間に割り込むことで、アメリカは二つの大陸での将来のエネルギー供給と経済成長をコントロールすることを願っている。

 アメリカが抱え込むことになる問題は、EUの人々に、2015年に2014年の時のように、自分達の家屋を暖めるために料金を二倍支払う事で自分達の利益が確保されるということを納得させることだ。これはアメリカの計画が成功したら、出てくる問題だ。この計画を達成するためにアメリカはプーチンを紛争に巻き込もうとあらゆる努力をしているので、メディアは彼のことをあくどい侵略者として描いているし、ヨーロッパの安全保障に対する脅威だと非難している。プーチンを貶めることは、ロシアからEUへ流れるガスを停止させるために必要な正当性を与えるだろう。それは更に、NATOがロシア西方に対する前線基地を作る機会を提供しつつ、ロシア経済を弱体化させることになるだろう。

 オバマにとっては、人々がガス料金をむしり取られるか、あるいは単に寒さに凍え死ぬか、何の違いも無い。問題は、次の世紀の世界で最も繁栄する約束された市場への中心点である。重要なのは、ロシアのガスによる収入に打撃を与える事であり、防衛力あるいは利益を守る能力を損なうことである。問題は世界覇権であり、世界支配である。それこそが問題なのだ。これは誰もが知っていることだ。ウクライナで起きている日々の事件が大きな構想から離れて起きていると考えることは馬鹿げている。それは全てが、同じ不健全な戦略の一部分なのだ。ここに元国家安全保障顧問のズビグニュー・ブレジンスキーがフォーリン・アフェアーズに書いたものがある。アメリカに関する限りはヨーロッパとアジアへの政策を分離することは意味がないということを説明している。

 「決定的な地政学的チェス盤としてユーラシアが存在しているので、ヨーロッパのためとアジアのためと、政策を分けて立てることは適切でない。ユーラシア大陸の権力の配置の仕方で生じることは、アメリカの世界覇権と歴史的遺産に対し決定的に重要なものとなるだろう」(アジアの戦争の危機)

                     - その2に続く -

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