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大統領機内で話し合うオバマ大統領とマクリスタル将軍
◆10月5日
アフガン戦争の行方が怪しくなってきた。このままではタリバン勢力に負けてしまうと、マクリスタル・アフガン司令官は4万5000名もの増派を要請しているが、果たしてそれで勝利する算段があるのか、という点で意見が分かれている。マクリスタル将軍と彼を支持する者たちも勝利の確信はない。
戦争マフィアと、元海軍軍人のジェフ・フーバー氏がいう者達は、オバマ大統領に対し、情報戦争を仕掛けている、と言われる。大統領にアフガンでの戦争を拡大させようという者たちである。
このブログで指摘したように(ブッシュ政権の高官らは戦争犯罪で起訴されるべきだ ◆9月29日号)、本来はオバマ大統領はアフガンからも撤退という方針を出したいはずなのだが、それを阻止し強引にアフガンでの戦争を継続させようとする勢力がいるということだ。
オバマ大統領がこの動きに対抗し流れを変えることができるかどうか、わからない。もし増派の方向が決まれば、アメリカの状況は更に悪化することだろう。しかしアメリカ大統領は最後の決定権を持っているのだから、断じて増派はしない、と決定することもできる。あらゆる可能性を考えながら、オバマ大統領は結論を出すわけだが、彼の周りには彼を支える勢力は少ないと判断できそうだから、孤独の判断になるだろう。ある意味アメリカの命運の掛けられた判断となる。戦争推進勢力と反対の結論を出せば、命の保証も少なくなるだろう。
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●マクリスタル将軍のやり方
わがアフガンの司令官は勝利のない作戦のため更なる軍を求めている
【9月30日 By Jeff Huber】
「何が起きているか分かっているのに知らないふりはできない・・・ただ評価などはできない」 “60ミニッツ”でスタンレー・マクリスタル将軍は語る
マクリスタル将軍の“60ミニッツ”という番組での情報コマーシャルは、最高司令官であるオバマ大統領に向けてなされてきた、国防総省とその支持者らの制限のない情報戦争についての疑いを晴らすものだ。
戦争ロビイストらはオバマ大統領が速やかにマクリスタル将軍の要求である、アフガンへの追加援軍に同意しなければ、一切を失うことになるばかりか、イスラム・ファシストの大群がわが国の沿岸に迫り我々を食い散らすことになる、と信じさせようとしている。
この議論で欠落していることは、マクリスタル将軍の作戦に賛成する議論、およびその作戦自体が、狂っているということだ。
議会のタカ派族、ミッチ・マコーネル、ジョン・マケイン、あるいはジョン・ボーナーなどは、マクリスタルの要求に即刻同意しなければ、我々の軍を危機的状況に追いやることになる、と言う。軍を危機的状況に追いやる方法は、なぜそれが必要なのかを考えずに軍を投入することだ、ということをこのような者たちは気が付かない。
彼の“60ミニッツ”でのインタビューで、マクリスタルはアメリカからの圧倒的な火力はアフガン戦争を勝ち取る方法ではない、と警告した。彼はしかし、既に圧倒的な火力を保有している。そして彼は更に4万5000人の追加の援軍を要請しているのだ。
オバマ大統領は、「どんな作戦がされるかという点で完璧に明確なもの」が示されなければ、更なる追加援軍には同意しない、と述べた。 アフガンにおけるマクリスタルの示した戦略レポートはせいぜい不明瞭な、というレベルのものだ。
マクリスタルは、「我々は伝統的な対ゲリラ作戦を遂行すべきだ」と言っている。そして勝利は、「領土の獲得や反乱勢力を駆逐すること」で獲得できるものではない。むしろ「民衆の支持を得るところにある」、と語った。
伝統的に確立している対ゲリラ作戦は、彼らが占拠している領土を獲得し反乱勢力を駆逐することを含んでいることを考慮すれば、これは笑いものだ。
その他のこの作戦の要点は、デイビッド・ペトラウス将軍が書いた、2006 対ゲリラ・マニュアルで定義されたように、「継続的に民衆を保護し、ゲリラ勢力から彼らをできるだけ切り離す」ことだ。
アフガンで民衆をゲリラから切り離す、という考えは、おかしい。アフガンの市民で、ゲリラとなんらの関係もない誰かを見つけられたら運がいい方だろう。
「政府の政治組織をゲリラの組織と置き換える」ことを支持することをマニュアルで推奨しているのだが、失敗のための処方箋だ。
カルザイ政権は、最初にアフガンに行って置き換えた時のタリバンの組織より更に腐敗してかつ更に無能力だ。マクリスタルはアフガン人は「彼らの政府を支持するいかなる理由も持っていない」と認めている。
更なる追加援軍を正当化する主要なものは、マクリスタルがアフガンでそんな兆候は何もない、と認めているアルカイダを駆逐する必要がある、というものだ。それで彼は、アルカイダのテロのネットワークをばらばらにするため、アルカイダが存在しない地方を占領する必要がある、というのだ。懸念される点は、もしタリバンが正規の政府となった場合、彼らはアルカイダをアフガンに呼び戻すだろう、という点だ。アルカイダがアフガンやパキスタンに存在することを、どうして我々は心配するのか?彼らの iPhonesは、どこにいても作動する。我々は地球のあらゆる点を占領などできない。
アルカイダ巨大組織という、我々が震える慄くように洗脳された、このグループは、たいした者たちではない。これは前CIA高官のフィリップ・ギラルディ氏が最近記しているように、「フランスのパリ政治研究所の評価では、オサマ・ビンディンのアルカイダは8から10ほどのテロリストのコアグループに減って多くの場合は逃亡している者たちで攻撃してくる者たちではなくなっている」というものだ。
この対ゲリラ・マニュアルは、1000人の住民に20から25人の対ゲリラ軍が必要とされるとしている。アフガンではないどこかにいる1ダースより少ないような悪者たちを駆逐するために、マクリスタルとその他の戦争マフィアらはアフガンでの戦力をエスカレートさせ、50万にもなる軍にしようとしている。マクリスタルはアフガン人を訓練し、40万の軍隊を作ろうとしている。彼はジャーマン・シェパード犬を40万匹訓練したほうがいいだろう。
我々がイラク人の保安部隊を訓練しようとしたことは完璧な失敗だった。そのイラクはかつてはアフガンとは比べ物にならない、まっとうな国でまっとうな軍が存在していた。
ペトラウスは、統合幕僚議長のマイク・マレンと同じく、マクリスタルの推奨することを支持して、「誰も更に軍を供給したからと言って、それがうまくいくとは保証はできないが、供給しなければうまくいくことはないだろう」、と言う。ブルッキング研究所のタカ派のマイケル・オハンロンは、「戦略を信じる」タイプだが、「我々が全て正しく行ったとしても、失敗することもありうる」と認めている。これ以上のあいまいな言葉のごまかしの賛同意見はない。
理論的には、アフガン戦争は国際的なテロリストとの戦いだが、対ゲリラ対策の専門家で、ペトラウスとマクリスタルの顧問であるデイビッド・キルカレンは、オバマ大統領の対ゲリラ指令は、「自分のリストのトップにはない」と言っている。
キルカレンのアフガン戦争を継続する主要な議論の一つは、将来のNATO同盟を確保するだろう、というものだ。このNATO同盟は、冷戦終結後数十年、なんら発展的な働きをしてこなかった。
もう一人に対ゲリラ対策の専門家であるジョン・ナグルは、アフガン危機を見越して女子生徒のように喋り捲った。「これは対ゲリラ対策の最良のやり方だ」と彼は言う。「すばらしいことだ」古い人の喜びそうなことだ:これをうまくやろう。そうすれば更に何回も何回もできる。私の友人たちのための防衛契約のために! (6月の時点で、アフガン戦争は毎月67億ドルかかるようになっている)
好戦的なシンクタンクの職員らは、イスラム寓話の脅しを復活させ、軍を帰還させれば、悪いやつらがその後を追ってきて、ここまで来る、と言うのだ。
悪いやつらはここにもあそこにも来やしない。飛んできたり泳いでくるには遠すぎる。誰もそんなアメリカを侵略し占領するために海洋を超えてくるような海軍も空軍も持ってやしない。
世界的に尊敬されているランド研究所の安全保障の専門家によって2008年に行われた研究では、最終的に、軍事力はテロりストと戦う上では間違いなく最小の効果しかない方法である、と言っている。政治化し政治的な解決法が83%の成功を収めている、という。テロリズムと戦うには「軽量軍隊ないしは軍を使用しない」というのがいいという。マクリスタルと彼を支持する者たちは、反対の方法に固執している。
孫子は、「敵を知らず、己も知らざれば、すべての戦いを失う」と言っている。アフガンの議論で一番おかしい点は、マクリスタルの、何が起きているか言うことは不可能だ、という驚くべき発言だ。アフガンについて知っていることに比べれば、我々はスタートレックに出てくるクリンゴン人やバルカン人の方をよく知っているだろう。我々はアフガンで我々が何をしているのかよく分かっていないし、戦争ファナティックの連中は、もっとやらねばならないと言うのである。
勝利者は去ることはないし、去るものは勝利することは決してない、という考え方は、ごまかしである。勝利者はいつ去るべきかを知っているし、敗者はそれを知らない。このことの証明は毎日ラスベガスで見られる。オバマ大統領にとっては、マクリスタルの提案に同意すれば、全面的に賭けに負ける公算が非常に大きいものとなり、殆どなんらの評価にも値しないもののために大変なリスクを抱え込むようになることを意味するだろう。
●アフガンの97%の地域でタリバン活発
【9月11日 産経新聞】
イスラム原理主義勢力タリバンが、アフガニスタン全土のうち97%の地域で活発な活動を展開していることが分かった。紛争地を中心に活動する国際シンクタンク「治安と開発の国際審議会」(ICOS)がまとめた報告書で明らかした。2001年の米中枢同時テロをきっかけとした米国の攻撃で弱体化したはずのタリバンが、北大西洋条約機構(NATO)軍の駐留にもかかわらず勢力を盛り返しており、アフガン問題の難しさをあらためて見せつけている。
報告書によると、今年1月以降、タリバンの攻撃が週平均1回以上あった「テロ活動が非常に活発な地域」は、首都カブールを含む80%に上った。また、攻撃が月に1回以上あり、タリバンの活動が確認されている「活発な地域」は17%で、「少ない地域」は3%にとどまった。・・・以下略
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