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再び起きるクレジット危機を避けるには?
◆9月26日
9月13日にBISが新たな規制内容を発表したようだが、それでは却ってアメリカ経済は萎縮すると指摘して、今の危機を乗り越えるためには、銀行システムの全面的な改訂が必要だと指摘する内容である。
そしてエレン・ブラウン女史の持論である、州政府所有の銀行を設置し、州政府紙幣の発行で経済を回していくことを進めている。それをノースダコタ州では実践していて、結果は非常に良好であるというのだから、他の州も見習えばよいのだ。
日本の場合も同じだ。不景気なのだから、量的緩和、公共事業など政府が積極的に経済を回す努力が必要のはずだ。円高だというのだから、政府発行紙幣で民間にお金を回し、内需を喚起、失業を減らしていけば、日本経済も再び回りだすことになる。今や新しいさまざまな分野での産業が興隆することが必要な時期に来ているのだから、その新たに発行された紙幣で産業を育成するようなことをすればいい。
アメリカから何か圧力があるだろうが、そういうものに何時までも唯々諾々として従っている場合でも時でもない。腹をくくって実践するだけだ。
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●クレジット・メルトダウンとウォール街の影の銀行システム
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=21184
【9月25日 by Ellen Brown】
バーゼルの新しい銀行業界の帝王により、各銀行が統制されている反面、ウォール街の「影の銀行システム」は、殆ど野放し状態が続いている;そして2008年の信用危機が生じた理由もそこにあったのだ。
銀行システムの信用貸しは、そのシステム自体に欠陥があり、全面的な見直しが必要とされている。
9月13日、国際決済銀行(BIS)は、自己資本比率を高める規制を出したが、これにより消費者や中小企業への貸し出しは更に困難になった。新しい規制は表向きは2008年の信用危機の再発を防止することとされているが、彼らはその危機の本当の理由を指摘することをしていない。規制を免れている影の銀行システムのことだ。
2008年9月に何が間違ったのかと言えば、現行のバーゼルⅡの自己資本比率が低すぎたことが問題だったのではなく、この規制を免れる方法を銀行が取ったことによるものである。バーゼルⅡ規制は、銀行の自己資本比率をどれほどその銀行の貸付内容が危険であるか、ということに基礎を置いていたので、銀行はCDS として知られる規制対象外の「保険契約」を買うことでリスクの程度を低く見せるようにしたのだ。
しかしこの保険は、2008年9月15日にAIGが破綻することで詐欺的なものであることが証明された。それから起きた信用崩壊については、普通はサブプライム住宅ローン市場の崩壊が非難されている。しかし、エコノミストのゲリー・ゴートンによれば、サブプライム問題はそれ自身では世界的信用凍結を引き起こすには十分なものではなかったという。実際に信用凍結状態をもたらした原因は、影の銀行システムとして知られている、あまり知られていない市場での昔ながらの銀行破綻であるという。
従来の銀行システムでは通常では銀行破綻は起きない。それは、預金者は 連邦預金保険会社(FDIC)保険で保護されているのと、破綻しそうな銀行は連邦準備銀行から借り入れることができるからだ。しかし、FDICの保険は25万ドルしか保証しないし、巨大機関投資家、例えば年金ファンド、投資信託、ヘッジファンド、政府系投資ファンドなど、が大量のドルを保有し投資先を模索している。
彼らは少ない利益でも安全な投資対象、しかも旧来の普通預金のように直ぐ引き出せる流動性のある投資先を求めている。
この影の銀行システムとは、大規模にレポ市場を活用することで、こういったニーズに応えるものだった。レポとは、流動性の高いコラテラル、主に財務省証券とか抵当証券、の売買のことだ。こういったコラテラルは特定目的事業体(SPV)が購入する。彼らが影の銀行としての動きをするわけだ。投資家は彼らの資金をSPVに投資し有価証券を保有するが、これは通常の銀行におけるFDICの保険に代わるものとなる(もしもSPVが支払いできなければ、投資家はこの証券の担保権を行使できる)。
流動性に対する要求に応えるため、レポは1日ないしは短期での取引となる。そして資金が引き上がられるまで継続して繰り返される。この資金は銀行により他の貸付や投資、あるいは投機に使われる。しかしそれが、長期のローンを短期の借り入れで行うために、ジミー・シュツワートの「素晴らしき哉、人生」のような危険な状態に銀行を置くことになるのだ。何らかの理由で投資家が危険を感じていっぺんに資金を引き出したら、銀行はローンを行えなくなり、信用凍結状態に陥る。
2008年9月、レポに投じている資金を保証している抵当証券(MBS)が、言われているようなトリプルAではないということが分かった時、投資家は危険を感じたのだ。
しかし次は違ったものかもしれないし、バーゼルⅢはこのシステム的な弱点をほったらかしにしている。おそらく間違いなく今の民間銀行と信用の仕組みでは修正することは無理だろう。ビジネス・インサイダー誌による「シーキング・アルファ」の記事で指摘されているように:
「我々の金融システムは多くの先回と同様の要素があるので、新たな信用危機に対して脆弱なままである。誰かがパニックの口火を切ればすぐ起きてしまうだろう」
問題は、どうやってこのシステマティックなリスクを除去するかだ
「影の銀行業をより厳格に規制すること、そしておそらく政府がバックストップすることが必要だ。それを停止させ、制限することでクレジットをシステムから離脱させることができるだろう。こういったクレジットは、実体経済の中で使用も必要ともされていない非金融クレジットである」
実体経済はクレジットを必要としている。行き過ぎた規制でその流れを断ち切れば銀行は実体経済を死に至らしめることになる。ゲリー・ゴートンによれば、影の銀行システムが発達したのは、銀行が規制で身動きできないためであり、利益を上げられなくなっていたからだという。彼は以下のように書いている:
「銀行のバランス・シート上にローンを保有していると利益を上げられない・・・これが並行ないしは影の銀行システムが発達した理由なのだ。もしある取引が利益を上げられなければ、そのオーナーは投資を行わずにその取引から手を引くだろう;彼らは別のところに投資をする。規制する者たちは銀行にそうさせることができる、もっと資金を保有させたりさせて、しかし銀行業が利益を上げられないのならば、彼らは銀行業から手を引くだろう。手を引くと言うことは、銀行株主が更に出資することを拒否するから、規制された銀行分野は縮小するということだ」
◆ベターな解決に向かって
銀行システムの全面的な見直しをすることが、唯一こういったシステマティックな弱点を除去する道である。マネーとは何かということに対する間違った理解がこの弱点の元になっている。我々はマネーをなにか物体、地中から掘り出さねばならない物とか既に持っているものから借りねばならない物と考えている。銀行はローンをカバーしたり投資をするためのこのマネーを十分に持っていないため、詐欺行為のようなクレジットを発行しそれをカバーするため短期ローンに飛びつき、突然のそして想定外の引き出しというシステマティックなリスクに自らを晒すことになるのだ。
これは旧来の型であるが、今日ではマネーとかクレジットは違ったものになっている。我々のマネーをゴールドとか商品が保証しているわけではない。何もマネーを保証していないのだが、「アメリカ合衆国に対する完全な信頼と信用」が保証しているのだ。マネーとクレジットは単なる法的な取り決めの創造物であり、誰が誰にいくら負っているかを示すタリー(賃借記録)なのだ。2人以上のグループがマネーを全く介在させないで法的取り決めをすることができる。彼らは商品に対してクレジットを発行し、実際の取引を行うことができる。民間銀行の独占によりなされる貢物は、実際のところは、この取引の流れの足かせとなっている。トーマス・ジェファーソンは1815年、ガラティン財務長官に以下のように語っている:
「財務省は、国家に対する自信に欠ける為、身動きできないまま、マネーを保有している振りをしているがいつ何時破綻するかもしれない銀行や、度胸はいいが破綻している山師に、自らを差し出したのだ」
ジェファーソンは1813年に以下のように書いている:
「循環媒体の領域が民間の者たちによって我々からくすねられることについて、我々があまりにも愚かに見過ごしてきたため、思うに我々はそれを回復させねばならないと考える・・・永久的に、国家は紙幣発行権を議会に移すよう要請されるべきである」
この「アメリカ合衆国に対する完全な信頼と信用」というものは、丁度 契約が司法によって監視されるように、合衆国の何らかの部局によって監視されるべきである。公的に所有されている銀行は、資金や準備金の心配をせずに、国家の完全な信頼と信用を発行することができる。結局、もしもあなたが合衆国であるならば、自分自身の信用の「準備金」がなぜ必要なのか、ということなのだ。
ワシントンから十字架の救いが降りてきて、救ってくれるのを待っている代わりに、州政府所有の銀行を設置することを考慮すべきかもしれない。ノースダコタ銀行は、現在アメリカ中で州政府所有としては唯一の銀行で、非常に安定していて、いい利益を上げ、州政府は26%の配当を受けている。そのような種類の銀行が、法的な委任によってローリスクで大きなりターンを探しているあらゆる州と地方の緊急時のファンド、年金ファンド、その他の地方政府ファンドにとって魅力的な投資先になるだろう。
我々は、超富豪の顧客の更なるボーナスや、彼らの救済そして含み益のためのウォール街の銀行やブローカーではなく、実際の経済の要請に応えることのできる何らかの銀行を設置する必要性がある。州政府所有のこういった銀行は、ウォール街の銀行がしり込みした役割を、州政府と地方経済のための実効的なクレジットのエンジンを提供することで果たすことができる。
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