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自分達の生活を守る為に銃を取るクルドの女性たち

◆10月3日

 クルド人が既にアサド政権と共闘の形を取って、反政府勢力と戦っていることはこのブログでも指摘してきた(8月14日号「クルド系イラク人:シリアのクルド人を防衛する決意を表明」、9月25日号「49カ国から13万人の外国人傭兵がシリアにきてテロ活動」など)

 結局、このクルド人の指導者らが語っているように、シリアのアサド政権は、反政府勢力に比べれば、”ずっとマシなのだ”、ということが真相である。それであるが故、自由シリア軍も昨日の記事のように、いまやアサド政権と肩を並べて、イスラム主義過激派の外国人傭兵テロリスト集団と戦う方向でまとまろうとしているのである。

 この構図を見れば結局は、「シリア人(クルド系も含めて)VS外国人傭兵」、との戦い、あるいは、「シリアの愛国者VSシリア侵略者」、との戦いということがシリア紛争の実態となっていることがわかる。

 そして米英仏とサウジ、カタール、トルコ、イスラエルがこの外国人傭兵側を、つまり「侵略者側」支援しているのであるが、その外国人傭兵とは、実態はイスラム主義過激派テロリストなのである。自分達自身で、「テロリスト」と規定し、「テロとの戦争」、で戦うべき相手、とした、そのテロリストたちなのだ。だから全く矛盾した狂った戦いをしている、狂った者たちとしか思えないのである。


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●対トルコでアサド政権はクルド人と共闘へ (その1)
http://english.pravda.ru/hotspots/conflicts/01-10-2013/125784-syria_assad_turkey-0/
【10月1日 Lyuba Lulko - Pravda.Ru 】

 シリアのクルド人は自由シリア軍(FSA)とジハーディスト(聖戦主義者=イスラム主義過激派)と激しい戦闘を繰り広げている。クルド人はアサド政権転覆を叫び、政府軍と戦ってきていた。しかしシリア政府の外交の成果で状況は変化した。クルド人にとって、アサド政権は反政府勢力よりかマシなのだ

 先週末、二日間に渡ったアトマ、ジンダリス、ハサケでの戦闘で、クルド人は30人ほどの過激派を殺害したが、その中には過激派の、アブ・オマール・アル・チェチェナなど数人の指導者も含まれていると、通信社が伝えた。トルコのメディアも、”シリア・クルド国民評議会(KNC)”の穏健派のクルド人グループや”民主統一党(PYD)”のクルド人らと、”穏健派のFSAとアルカイダ系グループのアン・ヌスラ”や”イラク・レバント・イスラム国(ISIL)”との間の戦闘と、この情報を確認した。

 13の反政府グループの指導者らが、シリア反政府革命軍の国民同盟に対する親欧米亡命政府の地位を拒否した後、シリア大統領を国内の勢力で追放する可能性は、とりわけクルド人がアサド支持ということがハッキリしてからはかなり遠のいた。

 サウジアラビアの支援で大カリファ国を作ろうとするFSAのイスラム主義者とISILは、シリアで大クルディスタン国の理想を追っているクルド人と衝突している。トルコはこの紛争の第三番目の当事者だ。トルコは大オスマン帝国を復活させることを夢見ている。この政治的紛争の下では経済的対立が存在している。クルド人地区にある石油とイラン・イラク・ヨルダンを通って地中海に至る石油パイプラインの支配問題だ。

 力の不均衡(トルコはスンニー派を支援)は、クルド人をアサドと同盟する方向に押しやっている。アサド政権は2011年にクルド人に広範な自治を与えているのだ。

 「これらの過激派(イスラム主義グループの)は、アサド政権よりひどい。彼等に対する支援はありえない」とクルド労働者党の一翼を担うKNCの指導者の一人であるイブラヒム・バアザドは語った。トルコはイスラム主義者のギャングを使って我々と戦わせている。武器や弾薬を供給している。それを証明できる;トルコはセレカニヤの東の地雷原を一掃し国境への道を安全にした、とトルコのタラフ紙にPYDの指導者であるサリ・ムスリムは語った。

 シリア政府はクルドとの同盟を優先事項と見ている。そこでアサド大統領の特使のオマール・オセがイラク・クルディスタンの首府であるエルビルを9月初旬に訪問し、クルド人にシリアとの同盟が両者にとって都合がいいことを保証した。 

 「現在のシリア政府はクルド人にとっては反政府勢力よりずっとましである。アサドが政権を担っていることはクルド人の利益に繋がる」と、オセが語ったとルダウ紙が報じた。彼によれば、トルコはテロリストを支援し、クルドには自治の機会を与えようとしない、という。「彼(アサド)は我々クルドに敵対するものではない、ということ、我々は友人であり、戦場で同じ側として戦っている、ということを知って欲しいと語った。もしシリアが破壊されれば、イランが次ぎにやられるし、イランの次はクルドだ、と」と、アサドの言葉として語った。

・・・ その2に続く

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自由シリア軍の戦闘員


◆10月2日

 シリア政府軍を離脱した兵士らで構成されている自由シリア軍が、自分達の反政府革命運動が外国人でイスラム主義の過激派グループによって乗っ取られたことに幻滅し、今、政府との和解の道を探っている

 これで実際にFSAと政府軍とが和解し統合し、FSAがシリア政府軍の別働隊のような形で共闘して、イスラム主義過激派グループとの戦闘を始めたら、欧米や湾岸アラブ諸国は、あるいはトルコやイスラエルはどうするつもりなのであろうか? 

 イスラム主義過激派がシリアを乗っ取れば、シリア内のスンニー派以外の、キリスト教徒、アラウィ派、ドゥルーズ教徒、クルド人etcは抹殺されるか、殺される前に難民となってシリア国外に逃れるしかなくなるであろう。また残されたスンニー派教徒であっても、イスラム主義の頑迷固陋な生活を余儀なくされ、特に女性たちは今までのシリアで味わえたような自由は一切剥奪され、厳格な生活様式を押し付けられることで、苦悩が深まるであろう。

 シリアの「反政府勢力」を支援してきたアメリカやフランス、イギリスなどは、それでもアルカイダ系のグループを「反政府勢力」として支援し続けるのか? しかも彼等はシリア外相に言わせれば、83カ国からシリアに密入国した、殆どが外国人の傭兵達なのだ。だからそれは自分達で「テロリスト・グループ」として断罪したグループを支援する愚行となるが、どうするのか?その非論理性、非合理性、非整合性をどう説明するつもりなのか?

 このように、もともと陰謀で始まったこのシリア紛争で、早い時期からアルカイダ系過激派が反政府勢力に加わって、シリア政府軍と戦っていることは分かっていたのだから、今更欧米も、湾岸アラブ諸国も、トルコも引くに引けないはずだ。こうして、自分達の非論理性の罠に自らががんじがらめにとらわれて自滅していくのである。愚かで哀れな者たちがみにくい姿で、右往左往するのが見えるようである。


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●シリア:自由シリア軍とアサド政府が対話を開始
http://www.independent.co.uk/voices/comment/a-syrian-solution-to-civil-conflict-the-free-syrian-army-is-holding-talks-with-assads-senior-staff-8847615.html
【9月30日 By Robert Fisk — The Independent】

 6週間前、ダマスカスに二人の代表団員が秘密裏に到着した:アレッポからきた市民で自由シリア軍(FSA)を代表しているものだった。自由シリア軍は大まかに紛争の最初の年にアサド政府軍から逃亡した戦闘員で構成されている、反政府グループである。彼等は安全が保証されている中やってきたもので、アサド大統領のスタッフの一人の有力高官と面会した。彼等は驚くべき計画を持ってやってきた。戦争に対する「シリア的な解決方があると考える」FSAの将校とシリア政府との話し合いである。

 この代表団は四点を示した:

●シリア内部の対話
●公私共の適切な時期
●市民、宗派、少数派の軋轢を非難し終わらせること
●法が支配する民主的シリアのために働くこと

 そこにはこの段階では、アサド大統領の辞任への要求は無かった。

 この回答はすばやくなされた。

●「シリア内部での対話」はまさに必要である
●条件無しでの対話
●FSAの会談参加者に対する安全の保証

 そして現在は、更に注目すべき動きが進んでいるようだ:アレッポの7つの反政府勢力側が支配する地域、その多くはFSAが支配しているのだが、一般市民の雇用者は自分達の仕事場に戻り仕事をする事ができるようになる、そして政府機関と学校は再開すること、である。過去2年間で戦闘員であった学生たちは武装を解き、学生に戻ることになる。 

 FSAのメンバーの中には、「シリア救済国民連合」と呼ばれるものを組織した者たちがいる。政府の支配の及ばない地域にある反政府グループのメンバー達であるが、政府軍を非難し、またこの連合に属するメンバーらによれば、宗派的なコメントを語り、シーア派とイランを非難して会合を妨害してきた者たちだ。先週、FSAからアルカイダ系のアル・ヌスラ戦線に鞍替えした者たちが出た。これは事態をより一層複雑にした。もしFSAが政府と会談を目指しているのなら、両者の間での合意に参加する者たちはどれくらい残っているのだろうか?

 既に数ヶ月になるが、親政権の将校たちは離反した軍人たちをどう呼び戻せるか、探っていた。またアル・ヌスラ戦線の成長とその他のイスラム主義グループはFSAの何千人ものメンバー達を幻滅させてきたことは確かなことである。このメンバー達は自分達のシリア政府に対する革命運動がこういったイスラム主義グループによって奪われてしまったと感じているのだ。そしてホムス地域では、FSAと政府軍との戦闘は事実上停止状態になっているというのは本当だ。政府が掌握している村落や町では、FSAのメンバーらが何の問題もなく存在している。 

 アサド側に有利になることははっきりしている。もしもFSAメンバー達が政府軍に戻ることを納得すれば、反政府側が支配している地域は政府が支配する地域に変わることになる。一度は離脱した兵士らが戻った政府軍はアル・ヌスラとそのアルカイダ系グループに対し、国民連合軍として立ち向かうことになるだろう。

 イスラム主義の戦士達は、この戦争に関わる全ての者たちにとって深い憂慮の源泉となっている。それは、反政府勢力側に武器を供給すべきか、ためらい続けているアメリカ人も同じである。例えばアメリカがジョン・マケインのアドバイスに従ったとしたら、FSAの中の三つの部隊がイスラム主義グループ側に寝返ったのだから、FSAに渡った武器のいくつかは既にアル・ヌスラ側に渡ったかも知れないのだ。

 イスラム主義の戦士達はシリアのキリスト教徒にとってはその存在そのものが脅かされる深刻な脅威となっている。シリア全土からカトリックの司教や東方正教会の総主教などが27日、レバノンのベイルートで、中東のキリスト教徒のエクソダス(出エジプト=大量脱出)を嘆く集会を持った;レバノンのカトリック・マロン派の枢機卿であるベチャラ・ライは、キリスト教徒にとっては「アラブの春」は冬に変わり、鉄と炎に変わったと語った。

 高位聖職者らはとりわけ、今はアル・ヌスラ・グループが支配しているラッカの教会の大規模な破壊を目の当たりにして、またマアルラに対するアル・ヌスラの攻撃を目にして狼狽した。私自身、先週、ダマスカス北方のシリアのキリスト教徒のこの町に対するひどい攻撃の様子を目撃した。キリスト教徒の家では十字架刑で蹂躙されたが、アル・ヌスラの侵略者らは、家庭を破滅する中で邪悪な喜びを感じているようであった。ある地下室では冷蔵庫の食料を空にしてそこに靴を詰め込んであった。

 今こそ心を集中するべきだ。


■おかしなことが国連レポートに

 さて、世界はアサド政権は8月21日にサリンガス攻撃を行ったと確信したのだが、今こそ、国連化学兵器調査団のシリアからのレポート全体を読む時である。ダマスカスのゴウタ地区の無垢な人々の苦しみと死の詳細は恐ろしいものである。同じ建物の中に住んでいた40人の大家族で、生き残ったのはたった二人の兄弟であった。しかし一つか二つの段落は再読する必要がある。

 「反政府勢力の当地の傑出しているとされる指導者は・・・国連使節団の受け入れをするよう要請され指名された」とある。とすれば、国連の調査団は安全を確保したいと願ったであろうが、実際は彼等は、反政府グループの中にいた事になるのだ。生き残った者たちに対する質問リストもまた、「反政府側の者たちに知らされていた」のだ。

 更に不安なのは、22ページの短い段落である。サリンガスのミサイルが落下した場所で、調査団は、「この場所は国連調査団が到着する前に、他の人々によって訪問されてきている・・・・これらの場所で過ごしたこの期間、怪しげな弾薬を運ぶ人々がやってきていた、ということは証拠となるようなものは移動したり操作されたことを示している」ことを発見したのだ。

 操作された? おかしい、しかし、調査団のレポートの件でメディアがそこを引用したことがあるのかどうか、思い出せない。

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アメリカ国民の60%がシリア攻撃に反対であることを示すトルコのテレビ

◆9月28日

 このブログではしばしば指摘してきたことだが、イスラエルはその敵対的姿勢を改め、パレスチナ問題の解決に向けて、最後の努力を真摯に行うべきである。イスラエルがパレスチナ問題をアラブの同胞たちが納得できる形で解決すれば、シリアのイスラエルに対する敵対感情も収まるのである。ましてイランがイスラエルの破滅を図って攻撃するなどということはアリはしないのだから。

 ではその解決とは何か、と言えば、これもまた既にこのブログで再三再四指摘した内容である。「常にこのブログで指摘してきたことだが、イスラエルが生き残る道はただ一つ、1967年の第三次中東戦争勃発前の境界線に戻ることであり、パレスチナ国家の樹立を実現し、その新生国家と平和条約を締結し、更にはその新生国家に対して内外共の支援をするところにある」(2011年6月7日号)

 しかしもしもイスラエル・ユダヤがその特異な「選民思考」で、世界制覇というようなことを夢想しているとすれば、彼らの生き残る道は最小限にせばめられてしまうであろう。彼らが流浪の民であった過去の歴史が再び再現されないとも限らなくなる。今回のアメリカのシリア攻撃が頓挫した経緯からも、世界の潮流としては、今までの構図、すなわちアメリカ議員を脅してイスラエルに敵対する勢力をアメリカ軍の力で叩き潰す、という構図は実現されなくなってきている。アメリカ人が目覚めだしているのだ。

 従って彼ら一般アメリカ人の覚醒が深まり、500万のユダヤ人が残りの3億のアメリカ人の鼻づらを引き回し、脅迫という手段を駆使して好きなようにしてきた、という歴史をあまねく知り尽くせば、ユダヤ人のいる場所は少なくともアメリカには無くなってしまうであろう。
 
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●イスラエルの為の戦争はもうご免だ? (その3 最終章)
http://www.counterpunch.org/2013/09/13/the-people-against-the-800-pound-gorilla/
【9月23日 By Jean Bricmont and Diana Johnstone】

 <人々は360キロの巨体ゴリラを毛嫌いしている>

 そのような、ホロコーストのイメージで新しい危機の実態を曖昧にする演出なしでは、人権を推進し人々を守る最良の方法は、一方的な戦争を仕掛け、国際的法秩序の残滓を一掃し混乱を拡散することだという考え方は、馬鹿げたことと見られたことだろう。イスラエルの狂熱が感情的なそのような議論で合理的な議論を圧倒できるのだ。

 しかしアメリカをけしかけてシリアと戦わせるイスラエル自身の利益は何かということは、当然のこととして疑問に思うのではないか?イスラエルは中東の一方の雄であるイランの存在自体が存在論的脅威になるということを信じ込むことで恐れているように思える。

 しかし政策が実施されたからと言って、それが実施した者たちの利益になるとは必ずしも言えない、ということも事実だ。それは、「人間の愚かさの大洋」を無視している。ナポレオンもヒトラーもロシア軍をパリやベルリンに連れてくることに何の利益も欲望も持っていなかった。しかし彼らの政策はそれを惹き起こしたのだ。ドイツ、オーストリア、ロシアの皇帝たちは第一次世界大戦を始めることに何らの利益も持っていなかった。最後には、彼らはその戦争の結果として玉座を失ったのだから。しかし彼らはそれを始めた。未来というものは予知できないものだし、だからこそ結果からその意図を図るということは困難なのだ。イスラエルの隣国に対する敵対的政策は長期的にみればかなり自滅的と言えるだろう。

 おかしなことだが、アサド大統領はシリアの領土であるゴラン高原をイスラエルに占領させたと主張して、明らかなことを否定する者たちがいる。そして結論として、イスラエルはアサド政権を転覆させることになんの興味もない、としている。しかし問題は、アサドはヒズボラとイランと同盟関係にあるということだ。

 イスラエルはレバノン占領に乗り出した際、成功裏に抵抗運動を行ったヒズボラを憎悪している、またイランのことをこの地域においてイスラエルの軍事力の優越性に対抗できる唯一の国として見ている。

 そうであっても、イスラエルの戦争目的がアサドを転覆させることかどうか、確かなことではないのだ。イスラエルの戦略の鍵は、ニューヨーク・タイムズ紙の9月5日号の記事にしたためられている:「イスラエル高官はいつも、イスラエルの天敵であるイランの核の野望を停止させることにおいては、オバマのシリアに対する”レッド・ライン”が重要だとしている。もっと穏やかに言えば、イスラエルは、シリアの2年半に及ぶ内戦の最良の結末は、少なくとも今のところは、結末がないことだと主張することが多くなっている。イスラエルにとって、現状維持が、人間的見方からすれば恐ろしいことかもしれないが、アサド政権と支援しているイランの勝利、ないしはますますスンニー派の聖戦主義過激派に支配されつつある反政府勢力を強化すること、のいずれと比べても願わしいと思っているようである」

 「両チームの敗北が必要なプレイオフ状態だが、少なくとも、一方が勝利することは願っていないだろ? 我々は引き分けに持ち込むつもりだ」と、元ニューヨーク領事のアロン・ピンカスは語った。「両者が死ぬまで血を流すに任せよう:それがここでの戦略的思考である。それが長引いている限りはシリアからの脅威は事実上無いことになる

 だから、限定的攻撃の実際の狙いは(そして限定的でなければならない理由は)、存在はしていない核兵器計画について、イランにメッセージを送るところにあり、シリアには、両者に”死ぬまで血を流せ”ということなのだ。素晴らしことだ! 証拠もないに等しい事柄を理由に、血を血で洗う紛争を長引かせるために戦争を始めることは、”我々の価値”の熱意ためとか、”シリア民衆の苦悩”に対する深い懸念のため、と主張する者たちにとっては、あまり道徳的な努力とは言えないだろう。

 イスラエルの利益と考えることに奉仕する熱意を持って、AIPACとその姉妹団体は問題となっている事柄に関し、ごまかしを行っている。このロビー団体はアメリカの利益をごまかして伝えている。どんなに力があり尊敬されているにしても、少数の者たちにとっては、人気のない戦争を大衆に向かって押し付けることは全くの愚行なのだ。イスラエルはしばしば、ユダヤ人全体を代表すると主張している。もしも大多数のアメリカ人が「イスラエルを防衛する」ために、受け入れられないような代償を払うことを強要されたら、遅かれ早かれ、「ユダヤ人」を非難する声が挙がることだろう。実際、既に書かれた物を読めば見ることができるのだ。これは勿論匿名でソーシャルメディア上に書かれているもので、さまざまな陰謀論から明確なユダヤ人叩きに至るまで存在している。

 このような集団的罪に関する考え方には反対である我々は、そのような結論は避けたいと考えている。反ユダヤ主義などではなく、我々はあらゆる形態の「アイデンティティ政治」は嘆かわしく思っている。それは人間のグループ内の多様性を無視している。我々はただ、親イスラエル・ロビーに対して脅迫されることなしに、公然と「ノー」と言えることを願っているだけである。これはユダヤ教とかアイデンティティー、あるいはその文化とは何らの関係もないことである:それは全く政治的な事だ。我々はどなたかの戦争に巻き込まれることを拒否する権利を主張しているのだ。我々は、これらの際限のない戦争は、「ユダヤ人にとって」あるいは誰にとっても「良くない」と考えている。我々は相互理解、外交、妥結、武装解除に対する努力に貢献したいのだ。つまり、人間的愚かさの大洋を不安げに漂っている「脆弱な人間の理性のほかけ舟」(その2に記述)を強化したいわけだ。そうしないと、その愚かさが我々全体を溺れさすかもしれないから。

 今は、戦争の脅威は避けられている、ないしは少なくとも「延期」されている。しかしイラクとリビヤが大量破壊兵器の保有を諦めたため、後ほどになって攻撃されたことを忘れてはならない。シリアもその化学兵器を差し出すようであるが、反政府グループ側が、ましてイスラエルがそのような兵器を保有しなくなるという保証はないままである。おそらく歴史上初めて戦争を開始前に中止させた、戦争に反対するこの民衆の蜂起は、急激な高まりを見せはしたが、長くは続きそうにない。戦争計画が妨害された者たちは、その動きを取り返す新しい策略を思いつくかもしれない。この数日間は、民衆が目覚める時、そして戦争に対してノーという時に何が実現できるかを垣間見せてくれる期間だった。これは、脅迫に対する外交の勝利、際限のない戦争に対して相互の武装解除を勝ち取るための不断の努力にたいする希望となるべきだ。もしも人々が真に平和を望めば、それは可能なはずだ。

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殆どがユダヤ人の「アメリカ新世紀プロジェクト」のメンバーたち

◆9月26日

 アメリカはイスラエルの安全保障上の理由から、中東ではイスラエルに対し敵対的姿勢を取る国を今までに次々に攻撃してきた。イラクやリビヤはそのライン上にあるし、シリアも同様である。

 イスラエルとアメリカがシリアを攻撃するだろう、ということは「イスラエルはヨルダンとトルコの協力でシリアを包囲し弱体化させられる。そのための戦略的環境を整えねばならない。この中核となるのはイラクのサダム・フセイン体制の打倒である」と「完全な断絶・イスラエルの領土保全のための新戦略」というネオコンが書いたシナリオに書かれているから想定できたことだ。

 だから、化学兵器の使用は、「レッド・ラインだ」とオバマ大統領が語った時には、誰かが化学兵器を使用し、それをシリア政府がやったと喧伝し、レッドラインを超えたのだから、アメリカは攻撃する、というシナリオ通りにことが進んだ、と理解できるものであった。筋書きさえも分かっていたことなのだ。

 このイスラエル政府に対する提言書の装いを持つ論文では、イラクのサダム・フセイン体制が打倒されるべきこと、つまり政権が転覆させられることも記されている。またシリア攻略時には、トルコとヨルダンがイスラエルに協力することまで示されている。従ってシリア紛争は、その真相はイスラエルの戦略的陰謀が実行に移されたものなのだ。

 このイスラエルの陰謀をアメリカで外交政策として推進してきたのが、ネオコンと言われる者たちであり、特に今は「アメリカ新世紀のためのプロジェクト」という殆どがユダヤ人で構成されるシンクタンクに結集しているメンバーたちである。こうしてアメリカ国民の血税で築かれた巨大なアメリカの軍事力が、イスラエルの戦略的陰謀のために使用させられる、という構図が出来上がっているのだ。イラク戦争にしても動員させられ、血を流したのはアメリカの青年たちであり、その攻撃を受けるイラク人であった。
 
 
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●イスラエルの為の戦争はもうご免だ? (その2)
http://www.counterpunch.org/2013/09/13/the-people-against-the-800-pound-gorilla/
【9月23日 By Jean Bricmont and Diana Johnstone】

 <人々は360キロの巨体ゴリラを毛嫌いしている>

■反対論に対して: 

 戦争に駆り立てる勢力は確かにイスラエル・ロビー以外にも存在する。サウジアラビアとかトルコなどもそれなりの理由でシリアを破滅させようと願っている。しかし彼等はイスラエル・ロビーのような政治的影響力をもつほどではない。もしもサウジの王子が金の力で何人かのアメリカの政治家を買収しようとしても、アメリカの内政に対する外国からの干渉と否定されるだけだろう。しかし同じような非難はイスラエル・ロビーには向けられない。それは言論封鎖の鉄則があるからだ:イスラエル・ロビーの影響についてのいかなる言説も即座に、存在しない「ユダヤ権力」に対する反ユダヤ主義的中傷として非難されてしまうからだ。完全に明らかで公的なイスラエル・ロビーの活動も「陰謀論」の喧伝と結び付けられてしまうかもしれないのだ。 

 しかし多くの友人らは全ての戦争は経済的利益によって動かされていると主張する。今回の戦争は悪い資本家がシリアのガスを搾取し、あるいはシリアの領土をパイプラインとして使用することを願って、あるいはシリア経済を外国からの投資に門戸を開けさせるために始まったのであろうか?

 多くの左翼の人々に、特にマルクシストを自認する人々に広く信じられていることがある。彼等は戦争とは資本家により皮肉っぽく理性的に計算されて起きると考えているのだ。もしそうならば、これらの「石油のための」戦争が「国益のために」なされていることになるのであろう。しかし、この考え方では、「資本主義」を統一的な主体として、慎重に計算された事柄を基礎にして従順な政治家に指令を出す存在であると見る。バートランド・ラッセルが言っているように、この推定上の理論は「脆弱な人間の理性のほかけ舟が不安げに漂っている人間的愚かさの大洋」を無視している。戦争は経済的な理由ではない、あらゆる種類の理由で起きてきている。宗教、報復、あるいは単なる力を誇示するために。

 資本家は利益を得るために戦争を欲していると考える人は、どんな会社でもいいから時間を掛けてその会社の役員会を良く見てみるべきである:資本家は安定を必要としている、混乱状態ではない。そして最近の戦争はただ混乱を引き起こしているだけなのだ。アメリカ人資本家らは中国とベトナムで巨富を築いているのも、これらの国とアメリカの間には平和があるからだ。敵対的であった時には無理であった。  

 資源を強奪するために戦争が必要だ、という議論については、アメリカが今、イラクから石油を買っているということを良く見るべきだ。同じように中国も買っているが、高くつく戦争で自らを荒廃させる必要などなかった。イラクと同じようにイラン、あるいはシリアは間違いなく自分たちの資源を売りたいのだ。そしてその貿易を妨げているのはアメリカによって押し付けられた政治的な禁輸措置である。

 リビヤのケースで言われている「石油のための戦争」という議論については、ガーディアン紙が最近、「リビヤは最も危機的な状況に直面している。カダフィが居なくなってから武装勢力は油田と港を封鎖し、生産量は通常の10分の1になってしまったため、経済的な大惨事が迫っている」と報じた。

 イラクについては、「トランスペアラント・カバル」、「ネオコンサバティブ・アジェンダ」、「中東の戦争」、「イスラエルの国益」の中で、スティーブン・スニーゴスキーは、戦争はネオコンのためで、石油会社はどんなものであれ戦争はしたくない、ことを示した。確かに「石油ロビー団体」がその担当員を送って、AIPACがやっているように議員に対して戦争をするよう促すようなことをしたという証拠はない。

 戦争に徹底的に反対する多くの政治家は右派であるということをどう説明できるのか?ティー・パーティー、ロン・ポール、パット・ブキャナン、ジャスティン・レイムンド、中でもアンティウォー・コム、ポール・クレイグ・ロターツは荒廃しつつあるシリアで素晴らしい利益が資本家に生まれているのは見れていないはずだが?

 実際は、植民地時代の後、戦争によって利益が生まれるところでは、平和的条件でならより確実に利益をずっと多く獲得できるし、殆どの資本家はそれを理解しているようである。資源を購入するために、経済に投資するために、あるいは自分たちの製品を売り込むために他国を征服する必要はないのだ。殆どの国は実際、正当な貿易をやりたがっている。

 一方、巨大な軍産複合体(MIC)は戦争から利益を得ているということは言えるだろう。MICは軍事支出金の流れを維持するために戦争を必要としているだろうか?この点は複雑である。MICは何はさておいても大げさに喧伝された様々な戦争の脅威というものがあることで利益を得ている。一番は冷戦時代のソ連の脅威である。これがあったため国防総省からの注文や契約が引きも切らなかった。

 しかし長期の芳しくない戦争、アフガンとかイラクの戦争などは戦争のイメージを悪化させ、経済的には破滅的で、アメリカの巨大な軍事費に対する疑問を惹起させるものである。MICはシリアで新たなそのような戦争を必要とはしていない。多くの将校たちはシリア攻撃には反対であることを明らかにしている。

 単なる「脅威」からではなく、戦争で利益を得ている業者は非常に稀である。巨大建設企業のベクテル、ハリーバートンや、彼らの子会社がそれで、彼らはディック・チェイニーなどの高官らとのつながりを通して米軍基地の建設契約を獲得し、時にはアメリカ空軍が破壊したインフラを再建する契約を獲得したりする。

 これはアメリカの納税者の支払った金をリサイクルすることであり、アメリカの、あるいはアメリカの資本主義の「利益」ではない。その上、こういった建設企業はアメリカのメジャーな企業に比べればそれほど巨大というわけではない。これらの不当利益者らは戦争を「正当化」する存在とは言えず、紛争で腹を満たす単なるハゲタカどもである。

 アメリカの軍産複合体の基本的な戦争に対する責任はまさにそこにある。マデレーン・オルブライトは、「輝かしい軍事力を持っているのにそれを使用しないのならば、何のために持っているのか?」という有名な言葉を発した。実際、ソ連崩壊後、これだけの軍事力を使用するもっともな理由は存在していないし、それを解体し資源はアメリカのインフラの近代化、その他の利用価値のある利益の上がる活動にに振り向けなおすことも可能だっただろう。

 しかしシンクタンクという知的産業がワシントンで発展し、MICの永続の正当化に努力した。それは潜在的「脅威」の存在を明確化することを専門としている。過去何年もこれらのシンクタンクは例えば、ハイム・サバン(ブルッキング研究所のサバン・センター創設者)のような億万長者でイスラエルの擁護者の影響下にますます入り込んでいる。

 巨大な軍事力を必要とするようなアメリカに対する脅威は実際にはほぼ存在しないから、中東での「アメリカの国益に対する脅威」と言われるものは、イスラエルに対する脅威と考えられるものをアメリカに対する脅威として適用して作られたものである。その一番目の例がイランである。

 左翼の人々が、政府は「アメリカの地理的戦略的利権」を保護しようとしていると考えていることは間違っていない。確かにそれらは存在している。そしてそれらは論争すべき問題である。しかしここでの重要な問題は、中東におけるイスラエルの政策目標を支援することが、それに入るのか、という点だ。確かに、あたかも最後の決戦の準備のように、ロシアと中国を包囲する米軍基地と軍事演習で、ある意味、世界制覇を目指すことになるような好戦的な世界的外交を推進するアメリカ外交のエスタブリッシュメントのある部門がある。

 しかし事実は、この好戦的な政策を最も積極的に擁護している者たちは親イスラエルのネオコンである「アメリカ新世紀のためのプロジェクト」で、ブッシュ(子)大統領の時、イラク戦争を推進し、今は外交イニシアチブとして、シリアに対する戦争をオバマに迫っている。

 彼らの一般的な主張は、アメリカとイスラエルの利害は一致しており、アメリカの世界制覇はイスラエルにとってはいいことであり、必要でさえある、というものだ。このようなイスラエルとの緊密な一致を謳うことは、イスラム世界全体からアメリカが強く嫌悪される原因となっている。それは長期的にみればアメリカにとって良いことではない。

 恐らくは、戦争を行うことでの純粋な物理的ないしは経済的なアメリカの利益を見つけることは難しいので、過去10年で強調されてきた点は、例えば「R2P」という覚えやすいブランド名と共に「保護する責任」など「道徳的」な懸念というものに移っていった。今では最も強く戦争を推進する者たちは、いくつかの人道的帝国主義者ないしは自由主義的介入主義者で、彼らはR2Pを、あるいは「犠牲者のための正義」、あるいは「虐殺防止」を基礎に議論を展開する。

 人道的介入主義とイスラエル支持との間には大きく重なる部分がある。フランスのベルナール・クシュネルは、「介入する権利」というコンセプトを発明し推進した人物で、最近のインタビューで、「イスラエルは他にはないような国である。ホロコーストの恐ろしい虐殺の結果である」であるがゆえに、イスラエルを防衛することは「我々の義務」である、と語った。

 ベルナール・オンリー・レヴィは、ユダヤ人としてイスラエルの利益のために行動していると考えていると、自分がユダヤ人であることを隠すことなく、フランス政府にリビヤに対する戦争を開始させた;彼は今、シリアに対する空爆を最も熱烈に勧めている人物である。

 フランスでもアメリカでも「人道的」介入の擁護論者は過去のホロコーストを持ち出すことで、またイランが将来、国家的自爆行為としてイスラエルを攻撃するという仮定上の全く根拠のない意図を語ることで、シリアに対する空爆を正当化している。

 アメリカではイスラエル・ロビーのこれらの関心事は、サマンサ・パワー、マドレーン・オルブライト、そして二人のアブラモウィツ(モルトン=父、とマイケル=息子で、アメリカ・ホロコースト記念博物館で”虐殺防止運動”を担当している)などの影響力あるアドバイザーによって理論的かつ制度上の表現を与えられている。
 
 ”我々”はアウシュビッツに素早く介入しなかったのだから、新たな虐殺を防ぐためには軍事介入する義務があるという議論が繰り返し利用された。

 9月6日、クリーブランド・ジューイッシュ・ニュース紙は”指導的ラビ”からの書簡を公開した。その内容は、シリアを攻撃するオバマ大統領の計画を議会が支援するよう促しているものだ。「我々は収容所でガスで殺害されたホロコーストの生き残りおよび難民の子孫としてあなた方に書いている」と書簡にはしたためられている。空爆を許可しながら、このラビは、「議会は何千もの命を救う能力を持っている」と語っている。

  ・・・・ その3に続く

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親イスラエル圧力団体のAIPACのプロモーション・ビデオから

◆9月26日
 
 シリアに対する軍事行動を執拗に追求するアメリカ政府の背後に親イスラエル・ロビーの活動がある、ということは言わずもがなであるが、以下の記事はそのことを明確に指摘している。

 アフガン戦争もイラク戦争もリビヤ戦争も、全てアメリカ内の親イスラエル・ロビーの強い意向あるいは影響力によって議会で決定され実施されてきたことであり、またアメリカ国民が親イスラエル系ないしやユダヤ系に握られているマスメディアの発する情報によって自らの思考を形付けられて、その戦争を支持してきた結果である。

 要するに、アメリカの政策、とりわけ外交政策はユダヤ系アメリカ人によって決められてきたといってよいであろう。それは500万のユダヤ系が3億のアメリカ国民の意思を無理やりに代表してきたようなものである。そしてその目的はアメリカの国益ではなく、イスラエル・ユダヤの利益である。

 しかし9月10日号の「オバマ政権:シリアの化学兵器使用の証拠提出を拒否」で以下のように、「これは、人類史の一つのターニングポイントなのかもしれない。『世界を牛耳ってきた勢力』が好き放題に戦争をすることができなくなってきていることを示している、と言えそうだ」と記したように、今回のシリア戦争も親イスラエル・ロビーの働きで戦争の方向に追いやられてきたのであるが、シリア攻撃は中止となったことは画期的なことであり、以下の記事でも、今回のアメリカのオバマ政権の「シリア攻撃中止」を「歴史的転換の開始かもしれない」と指摘している。

 このように、アメリカを始めとする世界の人々が覚醒しだしているようなので、これからの世界はイスラエル・ユダヤが願う方向なり内容とは異なる方向、内容に世界は向かっていく可能性を感じさせられるのである。またそうならなければ、人類がこの大地に住まわせてもらえる資格を失うかもしれないし、そうなった場合には、天変地異というものが、その規模を巨大化し、人類の戦争など幼児の屁のように思わせる事態が生じるかもしれないのだ。

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●イスラエルの為の戦争はもうご免だ? (その1)
http://www.counterpunch.org/2013/09/13/the-people-against-the-800-pound-gorilla/
【9月23日 By Jean Bricmont and Diana Johnstone】

 <人々は360キロの巨体ゴリラを毛嫌いしている>

 過去10日間は、中東での無際限の戦争から離脱する歴史的な転換の開始かもしれない事態を目撃しているようだ。アメリカの世論は世界の世論と一致して、アメリカのシリアに対する軍事介入を拒否したのだ。

 戦争を嫌うこの転換の姿勢が決定的となり永続するためには、アメリカを戦争に追い込んでいった力より大きな覚醒が必要である。そして彼らが明確に正式に戦争に反対するまで、その覚醒は継続しておきなければならないだろう。

 ワシントンの政界に詳しいアメリカ人の友人の一人は最近、私達にシリアとの戦争を勧める勢力に関して、それはアメリカの政策を指示しているのはイスラエルであるということは、「誰でも」そこにいる者たちは知っている、と語った。では何故、戦争反対の者たちは大声でそれを言わないのかと我々は反論した。もしもアメリカの民衆がそれを知っているのならば、戦争に賛成することは愚かなことになるのだから?
 
 勿論、我々はその答えを知っている。彼らは自分達が知っていることを全て語ることを恐れているのだ。それはもしあなたが、親イスラエル・ロビーを非難すれば、貴方はアンチ・セミティズム(反ユダヤ主義)と烙印を押され、貴方のキャリアは破壊されてしまうからだ

 それを体験した一人に元南ダコタ州上院議員のジェームズ・アボウレツクがいる。彼は以下のように証言した:「個人的経験から言えることは、少なくとも議会では、イスラエルが議会で支持を得ているのは、完全に政治的な恐怖のためだ。イスラエルが願うことに反対しない候補者に敗れるという恐怖だ。こうも言える。議会の殆ど誰もイスラエルやイスラエル・ロビーのことをよく思っている者はいないのだ。彼らが持っている感情は侮蔑である。しかしその思いが発覚することを恐れて沈黙してしまうのだ。議員控え室での会話では、上院議員らがイスラエル・ロビーに対する自分達のにがにがしい思いを吐露しているのを何べんも聞いたものだ。プライベートではイスラエルとイスラエル・ロビーの戦術に対する嫌悪を語る者も、それを顕すことでイスラエル・ロビーの憎しみを買うリスクを冒そうという者はいないのだ
 
 アボウレツクは更に、「この規則の唯一の例外は、ユダヤ人議員らの感情だ。彼等はアメリカの資金がイスラエルに流れ続けるよう精一杯の努力をしていると思う。しかしアメリカの政策を決めているのはこの少数の者たちではないのだ」と続けた。

 我々は議会選挙に打って出るわけではないのだから、非常に微妙なこの問題を詳細に検討していくことが出来る。最初に、親イスラエル・ロビーの決定的な役割の証拠を見ていく、次にいくつかの反対論を吟味することにする。

 証拠としては、アメリカとイスラエルのメディアの見出しを取り上げることで充分かと思う。

 最初に、タイムズ・オブ・イスラエルによれば、「反シリアではアメリカの場合、イスラエルの情報が中心となっている」。

 次に、ハアレツによれば、「AIPACはシリア攻撃を推進するため数百人のロビイストを投入」。あるいは、USニュース・アンド・ワールド・レポートによれば、「親イスラエル・ロビーは議会でのシリア問題の流れを変えようとしている」。ブルームバーグによれば、「ユダヤ人グループはシリア攻撃を支持するので、アデルソンはオバマの新しい同盟者になる」。もしも「ユダヤ人グループ」の願う事をすれば、オバマの最悪の敵が彼の同盟者になるのだ。ラビも踊りだすだろう:タイムズ・オブ・イスラエルによれば、「アメリカのラビはシリアについてオバマを支持するよう議会に促す」。

 ニューヨーク・タイムズはこの圧力の背後の力学を説明している:「政府高官は、影響力のある親イスラエル・ロビーグループのAIPACが既にアサド政権に対する軍事行動に向けて圧力を掛け始めていると語り、それは、もしもシリアが自分達の化学兵器使用についてアメリカの懲罰を逃れる事があれば、イランが将来イスラエルを攻撃することに躊躇しなくなるかもしれないという恐れからだと語った。一人の政府高官は、他の者と同様、匿名を希望しながら、ホワイト・ハウスの戦略を語って、AIPACのことを”部屋の中の360キロの巨体ゴリラ”と語り、議会での彼等の同盟者らは、化学兵器の災害的な使用に反対して”ホワイト・ハウスがレッド・ラインを実施できないのであれば””我々は問題を抱えることになる”と語った」

 更に興味深いのは、この部分の話はM.J.ローゼンバーグによればニューヨーク・タイムズ紙から削除された、という。これはこのロビーが秘密裡にことを行うことを好むということと一致している。

 ・・・・その2に続く

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