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イラン国会の外交委員会委員長のアラエディン・ボロジェルディ議員とシリアのアサド大統領

◆9月2日

 シリアと同盟関係にある中東の一方の雄であるイランは、もしも欧米がシリアを攻撃するような事があれば、軍事的介入をする可能性がある、という専門家の意見がある。

 イラン・イラク戦争があった時、アラブ世界ではシリアだけがイランを支持したという。そのようなシリアが今、欧米の恫喝にあっているのだから、今度はイランがシリアを支援すべきだ、と考えて不思議ではない。実際、シリアには革命防衛隊の顧問が入って戦闘の支援をしている、と言われている。

 しかし、核交渉で欧米社会との関係を改善することを願っているイランの新政府はシリア問題に対するイランの立場の故、欧米との関係の悪化は避けられないというジレンマに陥っている。

 ではイランはどのような道を辿るか、といえば、やはり欧米との関係よりもシリアのアサド政権に対する支援の方を優先するであろう。それほどシリアとの関係は深いものと推察する。したがって、欧米が本当にシリアを攻撃するような場合には、その規模や期間にもよるであろうが、イランが欧米の軍事的標的に対する攻撃をする可能性がある、といえるであろう。

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●シリア攻撃の際、イラン介入の可能性あり
http://news.xinhuanet.com/english/world/2013-08/30/c_125278231.htm
【8月30日 Yang Dingdu, He Guanghai Xinhua】

 イランでは、もしもシリアへの軍事介入の可能性が取りざたされる中で、シリアでの政権交代を欧米が進める場合には、イランが介入するかもしれないとアナリストらが指摘している。

 イランの新政府はシリア問題でロウハニ大統領が、「世界のひとびと、とりわけ中東の人々は、新たなる戦争をする状況にない」と語ったように、欧米と直接対決するような事態は避けたいと考えている。

 しかしテヘラン大学のジバカラム教授は、イランはこの紛争に介入せざるを得なくなるかもしれない、と新華社に8月29日伝えた。

 イランは、米英とサウジアラビアなど世界と中東の大国がシリアのアサド政権に対する攻撃を既にしている場合には、直接的にシリアに介入するだろう。「そのようなケースの際には、イランはアサド大統領を政権に留まらせるために、可能な限りの事をするであろう」と、専門家は指摘した。
 

■イランの選択肢

 欧米による攻撃について、イラン高官らは中東の窮状を前にして無関係な見物人として留まる事はできないと警告した。

 シリアについての最新のコメントで、イランの最高指導者のハメネイ師は軍事介入は中東にとっては「災厄」であると語り、シリアに対するアメリカの攻撃の結果は「災害的」なものになると警告した。

 中東は丁度「火薬樽」のようなもので、何か起きたらその将来は予知不能になる。

 イランは欧米に対し、「シリアを攻撃したら、それがシリアに限定されると考えるな。それは丁度火事のようなものだ。あなた方はそれをコントロールできない。その火事は他の地域にも燃え広がるだろう」とジバカラムは語った。

 イランは、「中東の何処にあろうと、アメリカ軍基地は正当な標的」と考えると、彼は語った。

 欧米の利権の絡む中東にある標的に対する軍事行動を起こすことで、シリア問題に直接介入することについて更に、イランは戦場でも欧米と対決せねばならないかもしれない。「アサド政権の生き残りということに関しては、イランがシリアに軍を派遣することになるだろう。これはイランと欧米とが直接対決することを意味する」と彼は語った。


■戦略的同盟国
 
 イランは過去にそうしてきたように間違いなくシリア政府を支援するが、それはこの地域での戦略的同盟国だからだ、とジバカラムは語った。

 8月初旬、ロウハニはシリアとの友好関係に対する誠意を繰り返し語り、両国の近しい同盟関係を変えうるものはない、またいかなる強国も両国の戦略的連携を揺るがすものは存在しない、と語った。

 イランとシリアの親密な関係は1979年のイランのイスラム革命時にまで遡る。それ以降ずっとその関係は不動なものであった。イラン・イラク戦争時(1980年~1988年)には、シリアはイランに対する政治的、道義的、軍事的支援をしてくれた唯一のアラブ国家であった。

 歴史的紐帯以外に、イランはまたこの中東での戦略を進める際にシリアに大きく依存している。

 シリアはこの中東でヒズボラ、ハマス、その他のパレスチナ人のグループの反米・反西欧的グループを支援する際のキーとなる兵站ルートである、とジバカラムは語った。「もしもシリア政府が存在しなければ、中東におけるイランの戦略的政策は崩壊下に等しくなる」

 イスラエルを包囲するイランの戦略的中東政策の一部として、イラン高官らはイスラエルの圧力に対抗する「抵抗戦線」としてシリアを重要視している。

 今年初めのイスラエルによるシリアのリサーチ・センターに対する空爆を引用して、イラン革命防衛隊司令官のモハマド・アリ・ジャファリ少将は、「シオニスト政権(イスラエル)は、抵抗と報復でもってのみ対応できる」と語り、シリアがイスラエルの圧力に対し抵抗するよう促した。


■核交渉に対する影響
 
 イランがこの重大な段階でシリアを支援するということ、またイランの新政府がシリア紛争に介入する可能性を考えると、けっしてそれがイランにとって思わしくない結果に向かうかもしれない。

 ロウハニが勝利したイランの6月14日の大統領選挙の後、イラン人の間では核問題での解決を通して欧米の制裁が解かれることで、自分達の生活の厳しい状況が緩和されるかもしれない、という期待があった。

 ロウハニはP5+1(安保理常任理事国の5カ国とドイツ)との「深刻な」交渉での核問題討議の行き詰まり状態を打ち破ると約束している。しかし彼は、イランがシリアと連携している状態にあるため、欧米との関係を改善するためそのスタンスを弱めるということができないジレンマに陥っている。

 核交渉の将来像から見た欧米のシリアへの軍事介入の影響については、ジバカラムは、「P5+1会談でなんらかの妥結に至る可能性を決定的に潰すことになるだろう」と語った。

 イランとP5+1は過去何も生み出さなかった核交渉の再開に前向きであった。最後の交渉は4月6日、カザフスタンのアルマティーで開かれたが、実質的進展は無かった。

 更には、国際原子力機関は28日、イランとIAEAの新しい会談が9月27日に設定されたと述べ、イランの新政府との間でなんらかの進展が期待される、と語った。 

 シリア危機の進展の可能性が丁度ロウハニが欧米との関係を改善しようとしているこの時期に起きてきた。もしもこの危機が継続し更に悪化すれば、ロウハニの立場は弱くなり、欧米に対し言い顔をすることはできず、厳しいスタンスを取らざるを得なくなるであろう。「この危機はロウハニにとっては非常にまずい時期に起きたのだ」とジバカラムは語った。

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レバノンに入った国連シリア化学兵器調査団を迎えるレバノン兵士

◆9月1日

 ロシアのプーチン大統領がまさに正論を吐いて、アメリカのシリアへの軍事介入を批判している。このブログで再三再四指摘した事柄をプーチン大統領もどうどうと指摘し、いかにアメリカのこのシリア問題に対する姿勢が欺瞞的であるかを明らかにしている。

 また、国連安保理決議なしの軍事介入は、明確な国際法違反である、とはっきり指摘した。これをはっきり指摘する者たちがあまりにも少ないのだ。またこのブログで8月31日号で「出された内容は、まるっきり、決定的な内容ではなかった」と指摘したように、ロシアでも、このケリー国務長官の声明に対し、「なんらの証拠も無い」と指摘している。

 またシリアへの新たな軍事介入で生じる”犠牲者”のことを、ノーベル平和賞をもらった当人ならば、考慮するべきだ、とも指摘している。まさにその通りである。それがシリアを攻撃すると言っている米英仏の指導者とは違って、それらの国の国民の大多数の云いたいことでもあろう。

 実際フランスの世論調査では、シリアへの軍事介入に反対する割合は64%になっている。国民の方が正しい。世界の政治指導者らは、この世の支配力を持つグループからの圧力や意向よりも、国民の側に立った政治を進めるべきであり、それがたとえ命がけの事だとしても、それが政治家になる際の心構えでなければならない。戦争屋やその戦争屋と結託し金儲けを企て世界を牛耳ろうとする勢力の側だけに目を向けていてはならないのだ。

 この戦争屋と結託して金儲けを企て世界を牛耳ろうとしている勢力とは国際的金融資本勢力のことであり、8月28日号「ハンガリーは銀行の足かせを捨て去る」で出てくるロスチャイルドをはじめとする勢力のことだ。この勢力が中央銀行というシステムを導入して各国を操ってきたが、シリアはこのロスチャイルド系中央銀行の存在しない国の一つである。IMFにも借金はない。だからこれらの勢力はシリアのアサド政権をつぶし、彼らの傀儡となる新政権を打ち立て、中央銀行制度を導入しようとしているのだ。

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■プーチン:アメリカの化学攻撃糾弾声明は”まるっきりナンセンス”
http://www.theguardian.com/world/2013/aug/31/syria-un-weapons-inspectors-leave
【8月31日 The Guardian】

 ヴらジミール・プーチンはアメリカの情報機関がアサド政権がシリアで化学兵器を使用したという主張に対し、勝利しつつある政府軍がそのような戦術を使用したと糾弾することはまるっきりナンセンスなことだと語った。

 「そうであるが故に、私は化学兵器攻撃問題はシリア紛争に他の国を介入させたがって、国際舞台で強力な者たちの支援を獲得しようとしている者たちによってなされた挑発である、と確信しているのだ」とウラジオストックで記者団に語った。

 ロシア大統領はまた、アメリカ大統領に対して、オバマ大統領が自身のノーベル平和賞に値するというのならば外国軍による介入による犠牲者のことを考慮するべきだと語った後、軍事介入を国連安保理に提議するべきであると指摘した。

 国連の化学兵器調査団は31日、ガス攻撃の調査を行った後シリアを去った。この攻撃で数百人の市民が殺害されたが、アメリカはシリアのアサド大統領のこの「残虐で目に余る」攻撃を罰するため、限定的な軍事的対応を計画している。

 バラク・オバマは、地中海に巡航ミサイルを装備した駆逐艦を配備しているアメリカが、「限定的で小規模」で地上軍を含まない、ないしは制限された対応を計画している、と語った。

 フランスではル・パリジャン・オジュールドィ誌が31日世論調査を発表し、64%が軍事介入に反対、58%がオランド大統領を信用していない、35%が中東全体を戦火の渦に巻き込むかもしれない、となった。

 ロシアはシリアを攻撃することで緊張を高め、内戦を終わらせる機会を失わせるかもしれないと警告して、シリアでのいかなる軍事介入にも反対している。「アメリカの、シリアに軍事力を使用するという脅迫を伴う声明は受け入れられない」と、ロシア外務省スポークスマンのアレクサンドル・ルカシェヴィッチが30日遅く声明の中で語った。

 「国連安保理の承認なしではいかなる一方的な軍事力行使も、それがどんなに”限定的”であろうと、明らかな国際法違反であり、シリア紛争の政治・外交的決着に向けた可能性を危うくすることになるだろう。またそれは新しい対立と新しい犠牲者を生み出す動きへと繋がることになるだろう」

 ルカシェヴィッチは更に、シリア政府が化学兵器を使用したとすることによるアメリカの脅しは「なんらの証拠も無しに」なされたと語った。 

 ジョン・ケリー国務長官はヨーロッパと湾岸諸国の同盟国の大臣、およびアラブ連盟首脳らに30日、アメリカが軍事行動を計画していることを語った。

 国連の調査団はシリアから車で国境を越えてベイルート国際空港に31日にに到着した。

 化学兵器禁止機関からの専門家を含むこの20人のチームは、ダマスカス郊外の反政府勢力側が支配するゴウタ地区に入り、血液、皮膚サンプルを犠牲者から採取している。

 彼らはまた、土のサンプル、衣類、ロケットの破片も採取した。それらはヨーロッパの研究所に、おそらくスウェーデンかフィンランドへ分析のために送られるであろう。彼らは既にサリン、マスタード・ガス、その他の毒性物質をテストしてきている。

 この分析で化学兵器が使用されたかどうかが決められるが、8月21日の攻撃の下手人が誰であるかを決めるものではない。潘基文国連事務総長が、国連安保理メンバー国に最終結果は2週間は待たねばならない。語ったという。

 フランスではオランドが、イギリスの国会が軍事攻撃に反対を表明したことがフランスの行動に影響を与えることはない、と語った。
 
今週発表された他の二つの世論調査とゴウタ地区での攻撃の後なされた世論調査では、シリアでの軍事介入に対してフランス国民が乗り気でないことが示唆されている。

 経済的問題で人気が落ち込んでいるオランドは、マリ政府がイスラム過激派の反政府勢力を叩くのを支援するため軍をマリに派遣した際、予想外の軍事的気概を示した。この軍事介入に対しては国民の3分の2が支持した。

 ロシアはアメリカがシリアに対して軍事力を行使するとした脅しは、受け入れられないとし、アメリカが国連安保理決議なしに軍事力を行使すれば、国際法に違反することになるだろうと指摘した

 プーチンは、大国はシリア問題を来週サンクトペテルブルグで開催されるG20の席上で議論すべきである、と語った。「このG20サミットはこの問題を議論するに良い機会だ。どうして利用しないのか?」と指摘した。

 フランスの世論調査は、大多数のフランス国民はシリアでの軍事行動に参加することを望んでいないことを明らかにした。また、大多数の国民がオランド大統領が軍事行動をすることに信頼をおいていないことを示した。

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化学兵器の犠牲となった人々 (ダマスカス郊外のゴウタ地区)8月21日

◆8月31日

 8月27日号や29日号で指摘されたように、シリアの化学兵器はシリア政府のものでも、シリア政府側が使用したものではなく、下記の記事によれば、サウジアラビアが反政府勢力側に供給した兵器であり、それが誤って爆発したものだと言う。

 AP通信のガヴラク記者がインタビューした反政府側要員らが、その旨を語っているという。これはアメリカが言うことと真逆であるが、アメリカ側は、本日、アサド政権側が化学兵器を使用した、という決定的証拠を示すと言っていたが、出された内容は、まるっきり、決定的な内容ではなかった。

 やはり、と言うべきである。アメリカは決定的証拠などは掴んでいないのであり、それは事実と異なるから、永久に出てこないものだ。ただ、いつものごとく、アメリカのユダヤ系メディアはシリア攻撃を可能にする、そういった政府の発表に難癖をつけることはやろうとしない。それで国民の反発がそれほどなければ、オバマ政権はシリア攻撃を決断するかもしれないが、アメリカ国民が政府の出した「決定的」証拠とやらに納得できない、という声を挙げれば、シリア攻撃は決断できないであろう。

 そして、29日号で指摘された、ロシアのプーチン大統領がサウジのバンダル王子の脅しに激怒し、ロシア軍にもしもシリア攻撃があれば、ロシア軍はサウジアラビアを攻撃せよ、と命令したという話がイスラム世界で大きな衝撃を与えているようで、その話がまんざらデマでもなさそうだという状況になっているようなので、アメリカやNATO諸国側も迂闊にシリア攻撃をしかねる情勢になっていると言える。

 プーチンが本当にロシア軍にサウジ攻撃を命令している、となれば、シリア攻撃がなされた場合、サウジアラビアが攻撃される可能性は非常に高い。実際サウジアラビアではそのため、全軍が警戒態勢に入っているという。プーチン大統領の性格や今までの歩みを見れば、やるとなればやる男であることは、疑えないからだ。従って、オバマ大統領はロシアのプーチンと争って、サウジを犠牲にしてまでシリアを取るのか、という選択肢を前に逡巡することが考えられる。当然逡巡すべきであり、結論的には、シリア攻撃を断念すべきである。

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●シリア反政府勢力:化学兵器攻撃は自分たちが行ったと認める
http://www.infowars.com/rebels-admit-responsibility-for-chemical-weapons-attack/
【8月30日 Paul Joseph Watson Infowars.com】

 ダマスカス郊外のゴウタ地区にいるシリアの反政府グループはAP通信のデイル・ガヴラクに対して、先週の化学兵器事件の責任は自分たちにあると認めた。この事件では欧米側がアサド政権の軍によるものとしているが、事件はサウジアラビアによって供給された化学兵器の操作を反政府グループの者たちが誤ったために起きた事故の結果であるという。

 「ゴウタ地区の医者、住民、反政府側要員とその家族らとのインタビューから、多くの人々は、反政府グループの者たちがサウジアラビアの情報長官であるバンダル王子から化学兵器を受け取ったということと、その者たちによって致死性ガスによる攻撃が行われたと考えている」とガヴラクは書いた。

 反政府グループの者たちはガヴラクに対して、彼らは化学兵器を取り扱うに際して充分な訓練は受けておらず、更にはそれが何かということを告げられてもいなかったと語った。これらの兵器はアルカイダ系テロリストのジャバト・アル・ヌスラに渡されることになっていたようだ。

 「我々はこれらの兵器にとても興味があった。そしてまずいことには、この兵器の扱い方を間違ったものがいて、爆発を引き起こしてしまったのだ」と、Jと名乗る一人の要員がガヴラクに語った。

 彼の話は別のYという女性要員の話と似ていいる:「彼らはこれらの兵器が何か、どう扱うかなど語らなかった。我々はそれが化学兵器だとは知らなかった。我々はそれがまさか化学兵器だとは思わなかった」

 反政府グループ要員の父親でアブ・アブデル・モネイムという者がガヴラクに対して、「息子は二週間前に来て、運ぶように言われている兵器について、それがなんだと思うかと言っていた」と語り、それが「管のような形をしている」と語ったが、他の者たちは「大きなガスボンベみたい」だと言っていた。この父親はサウジアラビアの戦士でアブ・アイェシャという者が兵器を供給した、と言っている。

 アブデル・モネイムによれば、この兵器はトンネルの中で爆発し12人の反政府勢力の者たちが犠牲になったという。

 「インタビューした12名以上の反政府戦士らは、彼らの給料はサウジ政府から来ていると言っていた」とガヴラクは書いている。

 この内容が正しければ、アメリカのシリア攻撃への動きと完全に矛盾することになるだろう。デイル・ガヴラクの信頼性は非常なものだ。彼はAP通信の中東特派員を20年間やってきており、その他にも、NPRの仕事をし、さらにBBCニュースに記事も書いている。

 この話が最初に掲載されたウェブサイトである Mint Press(現在はこの記事のため膨大なアクセスがあり、その結果ダウンしている)は、ミネソタ州のキチッとしたメディアである。ミネソタ・ポスト紙が昨年このグループを紹介した。

 サウジアラビアが反政府グループに化学兵器を供給しているという話は、サウジがシリアのアサド大統領への支持をやめなければ、来年のソチでの冬季オリンピックにテロ攻撃を仕掛けるとロシアを脅したことを考えれば、驚くべき話ではない。

 オバマ政権は今日、アサドの政府軍がこの化学兵器攻撃の背後にいる、ということを証明するため、情報活動で得た内容を明らかにすることになっている。アメリカの高官らは、ニューヨーク・タイムズ紙に、アサド大統領とこの攻撃とを直接結び付ける「決定的証拠」はない、と言っているにもかかわらずだ。

 アメリカの情報関連高官らは、AP通信に対して、アサドの犯罪行為を証明するという情報は「決定打」にはならない内容のものだ、と語った。

 今週初めに我々が報じたように、盗聴された情報はシリアの国防省が、シリア化学兵器課に攻撃の数時間後に、問い合わせする電話を何度もかけてパニック状態であったということが示されているが、それはアサド大統領が命令したものではなかった、ということを示唆しているものだ。

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反政府テロリストらが化学兵器攻撃をした証拠があると語るシリアのアル・ゾウビ情報大臣


◆8月27日

 シリアで使用されたという化学兵器の原料となる化学物質の容器がある倉庫が発見されている。サウジアラビアやヨーロッパのいくつかの国々が製造したものだという。

 またその化学兵器を発射した地域が、反政府勢力側が支配する地域から発射されたという、衛星写真や証言を含む確たる証拠がある、と情報大臣が指摘している。

 これについては、現在国連の調査団がシリアに入国しているが、何者かに攻撃されたりしたことで、撤退が取りざたされているし、誰が化学兵器を使用したか、という点は判断できていない。

 ところが、アメリカ等欧米諸国では、シリア政府が化学兵器を使用した、という断定的態度に終始している。以下はウォールストリート・ジャーナル紙のサイトからの抜粋である。

 「同高官は「基地の使用は必要ない。領空侵犯も防空の必要もない」と話した。さらに、攻撃の目標はアサド大統領が再び化学兵器を使用する能力を『阻止、低下させる』ことだと付け加えた」・・・これは誰が化学兵器を使用したかが分かっていない段階であるにもかかわらず、アメリカがシリア政府側を攻撃する、という意図を持っていることが示されている。

 「ケリー長官は、国連軍の派遣が必要かどうかには疑問を呈した。同長官や国連当局者らは調査団は化学兵器による攻撃があったかどうかをはっきりさせるのが任務であり、それを誰がやったかを調べることではない、と語った」・・・・このように、ケリー長官は、「化学兵器を誰が使用したか」は調査団は調べなくていい、と言って、一番肝心な論点を無視してまで、シリア政府を攻撃したい、という意図を示している。

 「また、化学兵器使用から時間がたち、その後に政府軍の砲撃もあったことから、同兵器使用の証拠を調査団が集めることはできないだろうとも伝えたという」・・・国連調査団が調べる必要は無いということを強調したいばかりに、調べても何も出てこないだろう、と言っているに等しい。

 更にアメリカは、シリア政府が化学兵器使用の証拠を隠滅した、と非難しているが、これは結局、アメリカも化学兵器をシリア政府が使用した、という証拠は握っていない、ということを示している。証拠が無いのに犯人と断定することが許されるはずも無いことは小学生でも知っている。何かあれば、誰でも、「証拠はあるのか?」と尋ねることは当然であるが、アメリカはその証拠を提示できていない段階で、シリア政府を下手人と断定している過ちを犯している。

 これは10年前のイラク侵攻時の欧米諸国が使用したレトリックと同じである。イラクに大量破壊兵器が存在していると言って、その証拠も提示できていない段階でイラクを攻撃し、入ってみて調べてみたら、やはりイラク政府が言っていたようにありませんでした、となった、お粗末な経緯があった。

 要するに、アメリカは例によっていつもの、偽旗作戦、つまり自作自演作戦を行って、アメリカ側の反政府テロリストが実行した化学兵器使用を、アサド政権の仕業と断定しそれを国際社会に向けて喧伝し、大げさに、このような蛮行を黙ってみているわけには行かないと正義面で語り、もって、シリアに対する軍事行動を行う、と言って、軍事行動の正当化を諮っているのである。

 シリア政府が使用したとすれば、何のために子供や女性の犠牲者が多くでるような攻撃をしたのか?という疑問が出てくるだろう。しかも、アメリカが限界線と呼んだ化学兵器を使用することで、シリア政府はアメリカに軍事的攻撃をされたがっている、「マゾ」政権なのか?という疑問も出てくる。しかし、これを反政府側テロリストが実行した、と考えれば、全てのつじつまは合うのである。彼らは外国人傭兵であり、シリア人ではないから、いくらシリア人が死んでも、たとえそれが子供や女性でも一向に痛痒を感じない者たちであり、化学兵器使用がシリア政府の仕業となれば、アメリカが軍事的に自分達の闘っている敵であるアサド政権をミサイル等で叩いてくれるからだ。

 ただし、本当にアメリカがシリア攻撃に踏み切るかどうかは、これまた分からない。最終判断はオバマ大統領に委ねられている事柄だ。そしてオバマ大統領は実際に起きたことは十分承知しているはずだから、その認識の下、今後いかなる対応にでるか、我々は見守るしかないだろう。

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●シリア情報大臣:アメリカ支援のテロリストが化学兵器使用の証拠あり
http://sana.sy/eng/21/2013/08/24/498973.htm
【8月24日 SANA】

 シリアの情報大臣のオムラン・アル・ゾウビは、シリアはどのようなものであれ、そしてダマスカス郊外のゴウタ地区であれどこであれ、化学兵器を使用したことは一切無い、と繰り返し語った。そしてシリアは化学兵器を所有していても決して使用しないであろうと語り、このような兵器は衛星写真や証言を含めて、テロリスト・グループが使用したという証拠を持っている、と語った。

 24日のマヤディーン・テレビでのインタビューで、情報大臣はシリアとその友邦はこの問題となっている化学兵器を運んだ飛行物体は、テロリストが支配していた場所から発射されたという論争の余地の無い証拠を掴んでいると語り、したがって、テロリストがこういった行為と、その結果に対して全面的な責任があると語った。

 大臣はシリア軍はジョバール地区で、サウジアラビアといくつかのヨーロッパの国で製造された化学物質の大型容器がある倉庫を発見したと指摘した。そこでは、テロリストらが化学物質に誤って触れてしまった際に自分達を守る医薬品や、化学物質を製造する機材もあったと語った。大臣は、サウジアラビアやトルコ、ヨーロッパのいくつかの国々が製造した化学物質のある倉庫が発見されたのは、これが最初ではないと語った。

 アル・ゾウビ大臣は、ジョバールを含むいかなる地区であれ、化学兵器が使用されたとしたら、それはテロリスト・グループが使用したものであり、また彼らと共に行動している外国人らである、と語った。またこの外国人らはこういったテロリスト・グループの本当の基盤となっている者たちであり、彼らがどんな行為でも良心の呵責ないまま犯すことができる、と言うことを示している」と語った。

                                       ・・・以下略

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ダマスカス郊外のジョバールに展開するシリア政府軍戦車

◆8月26日

 米英仏はシリアで化学兵器が使用された点について、シリア政府側が使用したという立場から、シリアへの軍事介入に向けての動きを強めているが、この化学兵器が反政府勢力側からなされたとの立場から、ロシアがその動きを牽制して、イラクで大量破壊兵器が存在するという偽りの口実で、イラク侵攻を果たした米英に対し、その失敗を繰り返す事の内容に、と警告している。

 真にもって正論であり、日本国内でも、このような正論が、たとえそれがロシア側からなされたとしても、認める度量と誠実さが欲しいものである。幸いオバマ大統領は、化学兵器使用者の正体がハッキリしない内は軍事介入などの選択肢を採用することはできない、としているし、アメリカ国民も、シリアへの軍事介入に対しては、全く興味を示さず、介入反対が大多数を占めている、という健全さがある。

 したがって、アメリカがシリアへの軍事介入を直ちに行う、ということは可能性が低いとみていいだろう。ロシアが指摘するように、もしもシリアへ外国軍が軍事介入すれば、それは明確な国際法違反となる事案であり、オバマ大統領はその点も指摘しつつ、介入に消極的であるから、アメリカや英仏の戦争屋共も、いらいらしていることではあろうが、それが彼らのためでもあるのだ。

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●シリア問題:ロシアはアメリカにイラクの失敗を思い出せと警告
http://rt.com/news/syria-russia-us-iraq-976/
【8月25日 Russia Today】

 アメリカは、シリアが一般市民に対して化学兵器を使用したという点では、「殆ど疑っていない」。これはオバマ大統領が「レッド・ライン」と描写した、限界線であった。しかしながら、ロシアはアメリカに対し、イラクの時のような失敗をしないよう、また国際法を破らないよう警告した。

 オバマ政権の高官は25日、アメリカの情報機関は、評価の基礎となるものを、「報告された犠牲者の数、死傷した人々の報告された症状、証言」とした、とAP通信が報じた。

 これは、オバマ大統領がシリアへの軍事介入の選択肢があることをアメリカ軍が示した時になされたものだ。この時、国防長官のチャック・ヘーゲルは、オバマ大統領が指令を出せば、国防総省はこれらの選択肢を採用する準備はできていることを示唆した。

 ロシアは、申し立てられている化学兵器による攻撃というものは、シリアの反政府勢力による計画された「挑発行為」かもしれない、と警告した。また、アメリカの言い方は、イラク侵攻をした際になされた言いがかりを思い起こさせるものである、と語った。

 「これら全ては、10年前におきた出来事を思い起こさせるものである。イラクが大量破壊兵器を所有しているという誤った情報を使用して、アメリカは国連を迂回して侵攻計画を実行したが、その結果は万民が知るところである」と、ロシア外務省は声明の中で語った。

 「もう一度、我々は過去の失敗を繰り返すな、ということと、国際法に違反する行動をゆるすな、と言っておく」とロシア外務省は指摘した。

 シリアは25日、国連の査察団に対し、ダマスカス近郊でなされた化学兵器による攻撃の現場への訪問を「許可」した。国連はその化学兵器専門家が、現場であるゴウタ地区の現場検証を26日から始めるだろう、と語った。

 ロシアはこの動きを歓迎しているが、あらゆる関係者に対し、「前もって調査の結果に影響を与えようとすること」を行って、「悲劇的な失敗」をしないよう、語った。

 しかしながら、アメリカはシリアが国連査察団に攻撃現場へのアクセスを与えたことに対し、「信用できるかどうか判断するには遅すぎる」として、満足はしていない。

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