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中国自動車が自動車業界の救世主?
◆8月20日
欧米がいまだに経済の復調においては銀行分野だけが利益を出しているところがあるだけで、全般的には相変わらず、というか更に悪化している中、中国はいろいろ言われているが、とりあえず成長を続けている。その秘密はどこにあるのか、という点を、かつてこのブログでも紹介した(5月30日、6月2日号など)エレン・ブラウン女史が、銀行の所有形態にその原因があり、その銀行の経営姿勢にある、と指摘している。
基本的には、中央銀行というものが欧米では民間所有という形態なのに対して、中国はさすがに社会主義政権ということで、国家の所有という形態の違いがあり、これがその経営姿勢にも影響し、結果中国でのビジネスの発展が継続している理由だ、と言う。
これは実は資本主義というシステムそのものの問題点を浮き彫りにしていることで、政府が国債を発行し、中央銀行が通貨を発行するたびにそれが借金となるシステムでは、その借金から生み出される利息を受け取る中央銀行(株主は各種の銀行)は利益を出しても、政府そのもの、つまりその埋め合わせは将来の税金であるから、結局は国民が銀行にその利息を支払うことになり、未来永劫にわたって国民はその利子の支払いから逃れられない状況に陥り、銀行家らの奴隷となってしまうシステムとなりうるのだ。
中国の中央銀行のあり方は一つの示唆であり、これからオバマ政権が向かおうとしている未来は、ひょっとしてこのような中国式の中央銀行のあり方、つまり国営の中央銀行、というものを目指しているのかも知れない。
そうだとすれば、アメリカはその時点から復活していく可能性が高い。
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●中国経済の秘密:政府が銀行を所有しその反対ではない
【8月18日 by Ellen Brown】
「銀行が生み出した銀行危機に直面しているこの時期に信じがたいことだが、銀行が未だに最強のロビー団体である。彼らはおおっぴらに支配している」2009年4月30日、ディック・ダービン上院議員(民主党)
アメリカが銀行システムを救済するために数兆ドルもの資金を注ぎ、経済が疲弊している時、中国は「奇跡の経済」と呼ばれ、世界から切り離されている。世界が1930年代以来の景気後退に見舞われている中、中国は年8%の成長率を維持している。これらが報告されている内容だが、コメンテーターらは半信半疑だ。彼らは、輸出に依存する他の国々が大きな後退を余儀なくされている中、どうしてそれが可能なのか、といぶかっている。エコノミストのリチャード・ウォルフ氏は懐疑的だ。:
我々は世界的な資本主義的な危機の世界にいる。どこでも消費は減少している。中国からの製品も含めてどこでも人々はものを買わなくなっている。世界経済に大きく依拠する社会がどのようにして大きな成長を果たすことができたというのか?株式市場は安値から既に100%高くなっている。そんな現象は世界のどこにも、少なくとも欧米諸国では見られないものだ。
どうやってそれが可能なのか?中国が言っていることを信じるためには、あなたは、ほんの数ヶ月で、長くても1年で、彼らの経済を輸出主導から国内に集中した産業構造に変えることができるということを認めねばならないだろう。
我々は殆どうまくいっていないというのに、どうやって中国の刺激策はそううまくいっているのか?
答えはシンプルだろう:中国は銀行システムに生産的経済にたいして悪辣な経営をさせてははいないからだ。中国の銀行は、民衆のために仕事をしているのであって、その反対ではないからだ。アル・ジャジーラ英語版のサマ・エル・シャハト氏はそのように語る。シャハト氏はロンドン大学の経済博士号を持っている。8月10日、「中国は民衆を銀行より大切にする」と見出しで彼女は書いている。
「中国は、金融分野と普通の中国人と彼らのビジネスとが存在している世界との間に分離がない経済大国だ。両方の分野が成長していて、これは政府の銀行に対する取り組み方による。中国は自分たちの銀行を、あまりに強力に影響力ある巨大な存在にすることで救済措置をショットだとかハイジャックしたと呼ぶようになるまでにはさせなかったのである。要するに中国政府は、利権や団体より中国民衆の要求や、彼らの利益に応えることを最優先するようにしたのだ。それが、中国の銀行の民衆や彼らのビジネスに対する貸し出しが記録的に伸びている理由だ」
ウォルフ氏が語る「世界的資本主義の危機」と呼ぶものは、貸し出し危機のことだ; そして中国ではこのクレジット(貸し出し)はアメリカと違って自由になされている。それは金融分野だけではなく産業界や地方自治体に対してもだ。国営銀行は貸し出しを大きく拡大している。地方政府や国営企業の借り入れ額は巨額だ。中国人民銀行の推定では、2009年前半期のローン総額は1兆800億ドルで、2008年の貸し出し総額の1.5倍である。
連邦準備銀行も記録的な貸し出しをしているが、その資金は金融分野の救済に向かっていて、一般人は枯れきっている、とエル・シャハト氏は語る。
「イギリスとアメリカでは、金融分野は儲けているが、一般人はまずい状態からひどい状態へとなりつつある。失業率は高く、ビジネスはお手上げ状態、差し押さえはいまだに続いている。ウォールストリートとメインストリートはお互い異質の世界に住んでいる。そしてその理由の大きな部分は銀行が民衆には貸し出しをしていない、という点にある。
イギリスやアメリカでは、銀行は納税者からのお金と中央銀行からの量的緩和による安い資金のすべて掴んでしまっている。彼らはそれを人々に貸し出す代わりに、自らのバランス・シートを補強し整理することに使用している。 お金は銀行にハイジャックされたのであり、我々の政府はそれに対しては何もしていない。実際はお互いに共謀してやっているのだ」と語っている。
★万里の長城にひび?
中国経済は完璧ではない。利益を出さねばならないという圧力、とりわけ海外の投資資本からの圧力は投機的ベンチャー投資に向かわせる。巨額資本は一般人には手の届かない高層マンションとその他の不動産開発に向かう。中国人労働者らは資本主義的過ぎる現状に不満が多い。住宅、医療保健、高等教育など以前は国家が引き受けていたものだ。中小企業むけのローンをもっと増やす努力が続けられているが、国営企業と大企業がローンの大方を受けている。これは銀行が貸し出しの規準を厳格にするよう言われているからであり、またこういった大型の企業ならば信用リスクがより安全とされているからだ。
ウォルフ氏は中国の“奇跡”はバブルであり、それははじけて大災害をもたらす寸前にあると見ている。歴史的には、バブルが突然はじけるのは、投機家らがはじけさせるからだ。1990年に日本の株式市場バブルがはじけた時、アジアの1998年の時など、外国の投機家らがこういった国々の通貨に非標準型デリバティブでもって攻撃を仕掛けたためだ。この攻撃に遭った犠牲者らは準備通貨でもって自国通貨を買い上げて防衛しようとしたが、準備通貨はすぐ底をついた。今日、中国では多くのドルを準備通貨として保有したので、投機家らが中国株式市場に何らかの仕掛けをすることは困難になっている。自然な市場動向による漸進的な市場の下落は経済が正常な動きをしているからだ。
★経済の役割の転換?
今のところ、中国の刺激策はイギリスやアメリカのそれと比べても明らかに功を奏している。そしてその理由は、政府が銀行を握っているという点にある。政府は銀行の信用貸しシステムを、公営企業と貿易に向けているが、それは政府が銀行、大部分の銀行、を所有しているからだ。
皮肉なことに、この中国の経済の特色は、アメリカ自体よりもアメリカのもともとの理想的な資本主義のあり方に近い。中国はしばしば共産主義国家と言われるが、教科書にあるような共産主義国家であったためしはなく、以前に比べれば現在は更にそうである。
中共の指導者の鄧小平は、1978年以降中国を外国投資に開放した人物だが、ねずみを捕まえる猫ならば、その色が何色かは問題ではない、という有名な言葉を残した。中国経済がなんと呼ばれようと、現在それは企業家らを勇気付けるようなフレームワークを提供している。
ジム・ロジャーズはシンガポール在のアメリカ人投資家で金融コメンテーターであるが2004年、「赤い資本主義の台頭」というタイトルの論文を書いた。
「世界のベストの資本家は共産中国に住み仕事をしている・・・中国の指導者らがどんなに自分たちを共産主義者と呼ぼうと、彼らは世界で覇権的な資本主義経済を生み出そうとしている」
アメリカはロジャーズ氏が呼ぶ「金持ちのための社会主義」に陥っている。通常のビジネスが破産すると彼らは自分らのアスファルト・ジャングルに置き去りにさせられる。しかし、「大きすぎて破産させられない」とみなされた銀行は、我々納税者がその損失を穴埋めし、銀行所有者たちは利益を確保し、投機をし続けることが許される。
納税者の金によるウォールストリートの救済は、資本主義原理からの明確な逸脱を意味し、それはアメリカの経済のあり方を変えてしまった。学校で我々が教えている資本主義とは、家族経営の小規模な店や農家、平等な競争条件で競争している企業家らの資本主義だ。
政府の役割は規則を設定し全員がフェアーに競争することを確約することだ。
しかしそれは今我々が直面している資本主義ではない。家族経営の小規模な店は大型のチェーンストアーやメガ・産業によって締め出されてしまった。小規模私営農業は多国籍農企業によって買い上げられてしまっている。またウォールストリートの銀行はあまりに強力になったため議会は、いまや銀行が議会を乗っ取ったと不平を言っている。巨大銀行や企業は自分たちに都合よい内容に規則を書き換えた。健全な競争は強欲資本主義に取って代わり、その中では小魚はシステム的に鮫に飲み込まれるようになっている。
その結果金持ちと貧乏人の格差はかつてないほどに広がり、歴史的には最大規模の富の移転がなされている。
★両方の最良部分
破綻した銀行システムに対する中国の解決法は、銀行そのものの国営化であり、悪い意味の負債を増やすことではない。もしもアメリカがこの方法を採用すれば、我々庶民は我々の投資に何らかの価値あるもの、民衆が所有する安定し責任ある銀行システム、を手にすることができるだろう。
もし「国営化」という言葉がアメリカ的ではないと思うならば、公有の公益のためにある、例えば公営図書館、公園、公営裁判所などを考えてみるべきだ。
我々はウォールストリートから我々のお金を取り戻すべきだ。そしてそれは我々が、手に負えない銀行の独占を打ち破り、お金と貸し出しの支配権を我々の手に取り戻すことでできることだ。もし中国が両方のよい点を持つことができているならば、我々にだってできるはずだ。//
●金儲けだけに走るな!?
省政府、中国的社会主義の分かる民間企業経営者を育成へ―江蘇省
【8月20日 Record China】
2009年8月18日、江蘇省政府は同省経済の発展のため、今後2年間に有力民間企業の後継者や新興企業の若手経営者合計1000人に対し、中国革命史などの理論教育を実施する計画を立てている。新京報が伝えた。
同省の人事管理部門である省委組織部によると、同省では現在、民間企業が省全体の経済活動の51.3%を占めるまでに成長しており、有力企業をさらに発展させ、新興企業を成長へと導くことは同省経済の将来にとって最重要課題であるとしている。このため同省では、有力民間企業の後継者の育成を通じて、新世代のリーダーによる経済の発展を進めていく方針である。・・・以下略
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