忍者ブログ
* 時代の先読み    * 日本の進むべき道    * 我々の心構え
[28]  [29]  [30]  [31]  [32]  [33]  [34]  [35]  [36]  [37]  [38
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


GDPとアメリカの負債

◆7月2日

 今年の夏は熱い夏になる、と何回か書いてきたが、以下の未来予想のトレンド・リサーチ・インスティチュートの論文は、まさに2009年の夏以降の厳しさを指摘する内容となっているので紹介する。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●オバマゲドン―2012
【6月30日 The Trends Research Institute】
http://pakalert.wordpress.com/2009/06/30/obamageddon-2012/

 アメリカ帝国は、崩壊の瀬戸際に来ている。その社会的、経済的そして政治的システムは弱体化し崩壊しつつある、とトレンド・リサーチ・インスティチュート局長、ジェラルド・セレント氏は見る。
 「歴代の政権が、政治的に腐敗し、ほとんど破産状態の肉体的によぼよぼの巨人が倒れるのを防ぐために採った対策は、その死を早めるだけであった。崩壊が始まったのは数十年前からだが、現政権の下で進められている破滅的な政策はアメリカはもとより世界の大方を、戻れない点にまで引っ張ってきた」とセレンテ氏は語る。
 経済復興の“新芽”がバーナンキ司令官によって視認されたが、それは幻影だった。同じように、経済危機がやってきていることが分からない専門家や権威筋あるいは金融ボーイスカウト並びにチアリーダー諸君が予測した2010年の経済復興は、完全な妄想だ。
 2012年までに、それに目をそむけている者、希望にしがみついている者達は、真実に直面せざるを得なくなるだろう。それは、アメリカでは、「オバマゲドン」と呼ばれるであろう。他の国々では、“最大恐慌”、と呼ぶだろう。
 我々は我々の予想を裏付ける厳しいデータと動かしがたい事実をを提供する。混乱を増すこれからの時代に耐え、利益をさえ上げるような機会もあれば、執るべき対策もあるだろう。


●トレンド・アラート:米英は負債のため2009年の夏の終わりまでにデフォルトする
【6月26日 GEAB N°36】
http://www.leap2020.eu/GEAB-N-36-is-available!-Global-systemic-crisis-in-summer-2009-The-cumulative-impact-of-three-rogue-waves_a3359.html

 2008年10月号で予測していたように、2009年の夏前、アメリカとイギリスのとどまるところを知らない負債は国際的な議論の主要な問題となり、両国家が夏の終わりまでにデフォルトに陥る道を作っている。
 世界的なシステミック・クライシスの進展段階で、今の政治的、情報的に支配的な傾向に反し、LEAP/E2020 チームは、2009年夏以降の経済的な回復基調を予想することはできない。むしろ、危機の源に対する対策が採られていないため、我々は2009年夏は3つの破壊的な<不良波>が合流することで顕著なものとなり、更なる経済の悪化と2009年の9月・10月の激動が引き起こされると予想する。この危機が始まってからはいつもそうであるように、世界の各地域では異なる時期に異なる仕方でその影響を蒙るであろう。しかしながら、我々の研究によれば、その全ては、2009年の夏の終わりまでの著しい状況悪化に関係して起こると思われる。この進展は、主流メディアの強調する経済の“高揚”を信じることにした大量の経済・金融関係者らを捉えることだろう。
 
 この特別2009夏季号では、この3つの合流する不良波について詳細に解説している。またそのインパクト、またこの夏の破壊的な波にさらわれないよう、それに対応するいくつかの戦略的提言を提供している(通貨、金、不動産、債権、株)。

 LEAP/E2020は、何が出てきているかというと新芽ではなく、2009年の夏には合流するものと見られる社会的、経済的システムの3つのは破壊的な波である。それは危機を深化せしめ、夏の終わりには大きな変化を惹き起こすと思われる。もっとはっきり言えば、アメリカとイギリスにおける負債によるデフォルト問題である。両国家とも危機にある世界システムの中心にある。これらの波は以下のように出てくる。

1.大規模な失業者の波:アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカの国別によって3つの時期に分かれる
2.企業の破産の波:会社、銀行、住宅関連企業、州、郡、市
3.アメリカドルの末期的な危機、債権、インフレ

 実際、これら3つの波は続けざまに現れるわけではない。これらはより一層危険で、同時、非同式、非並列でおきる。それで世界システムに対する衝撃は、さまざまな角度、異なる速さ、異なる力で影響を与えるので、危機を増大せしめる。この段階で確かなことは、この状況に対処するにおいて、国際システムはそれほど弱くもなく力がなかったわけではないということだ。
 IMFとロンドンでのG20で発表された世界統治機構改革は行き詰っている。G8は、存在理由が疑わしくなりつつある、消滅に瀕しているクラブに似てきた。アメリカのリーダーシップは長期国債の購入者を探すことに必死で、かつての勢いのある時の影のようになってしまっている。世界通貨システムは解体のプロセスにあり、ロシアと中国はとりわけドル以後の位置を探っている。
 ビジネス展望では企業は事態の改善を予測しておらず、レイオフのスピードを上げている。銀行救済で築いた負債が増大する重さの中で多くの国家がよろめいていて、今年の夏の終わりには、破産の混乱に見舞われることだろう。そして最後にしかし最小ではない銀行問題だ。彼らは救済者からお金を搾り操作された市場が上昇したので数週間は救われたが、2009年夏の終わりごろには、やはり破産状態であることを認めざるを得なくなるだろう。
 
 アメリカとイギリスでは、2008年と2009年の始めに大銀行の利益のために膨大な公的資金投入がなされたが、これが大変な不人気でこれ以上資金を投入することは、彼らがそれを必要としている事実があるとしても不可能になっている。金融機関に貯蓄する人々のお金を更に投入するためには、お伽話を作って、彼らを納得させねばならないだろう。
 新芽の話と、高値を付けすぎた、経済的になんらの実態を背景に持たない指標と<予期された公的資金支払い>の約束で、調整はなされた。
 こうして、原油産出国の大投資家とアジアの国々がこういった銀行から資金を引き上げたので、大勢の小投資家が希望に燃えて帰ってきている。しかしひとたびこれらの小投資家が、公的資金支払いというものが、これらの銀行に与えられる公的支援の大海の中のただの一滴であることを知れば、そして、よくて3ヶ月から4ヶ月後にはこれらの銀行は再び崩壊の淵に沈むことで、彼らは自分らの分け前は無きに等しいことを理解するだろう。

 金融業者によって酔わされた世界の政治リーダーたちは、去年のあらゆる問題が再び持ち上がってくるのを見て、彼らはそれを知らされておらず公的資金の山の中にうずもれていたので、なおさら驚いているかもしれない。
 ひとたびそれらの資金が更に資金繰りの悪いライバルの<救済>のため、破産している銀行により散財されれば、更に大きな問題が起きるであろう。
 アメリカ、ヨーロッパ、アジア、アフリカの数億の民衆にとって、2009年夏は、職を失い、今後数年間は新しい職を見つける希望が無く、あるいは株や年金ファンドに貯金のお金を投資し、株式市場とリンクした銀行投資をし、あるいは価値の下落したドルやイギリス・ポンドを持ち、すぐにはやってこない株価の上昇を絶望的に待ちながら強制された会社の株の取得などのため、永続する貧困化に向かう劇的な転換点になるだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
PR

ティモシー・ガイトナー米財務長官

◆6月27日

 米財務省が提案している金融改革案の中で、連邦準備制度の権限をより一層強める内容があるが、共和党の前大統領候補でもあったロン・ポール議員は、その連邦準備制度を審査することのできる法案を議会に提出する準備を進めている。
 
 連邦準備制度というものが、アメリカの中央銀行の位置にあるのだが、実はこの機関が、民間銀行であるという現実を知らない人々がアメリカにもまだまだ大勢いる。それは連邦準備制度という名称からして何か連邦政府の一機関であるかのような「印象」を与えているからだ。
 しかしこの機関は、その株主をみればわかるように、民間銀行家らが株主であり、アメリカ政府はまったく保有していないから、政府が51%の証券を保有している日本銀行とは違うのである。この民間銀行がドルを財務省に渡すたびに利息を取るのである。

 この連邦準備制度の問題についてはこのブログでさまざまに指摘してきたので、今回ロン・ポール議員が連邦準備制度あるいは連邦準備銀行の審査をする権限を法制化しようとすることは、この中央銀行の闇の部分が明らかにされることを意味し、それが実現すれば、おそらくはアメリカの制度の変更が必至と見做されるようになるであろう。
 つまり、民間所有の中央銀行という今の状況から、政府の直轄の中央銀行という地位に置かれる動きとなると思われる。

 これは実に画期的なことであり、ここからアメリカの真実の再生が始まることであろう。
 この法案が議会を通過し法制化が実現することを願うばかりである。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●ロン・ポール議員の法案が連邦準備銀行を追い詰める
 ホワイトハウスと財務省はFRBの自治権拡大を模索する
http://www.americanfreepress.net/html/fed_on_the_hot_seat_183.html
【6月27日 AFP】
 議員の中で、連邦政府の役人らに中央銀行を審査する権限を与えることで、連邦準備銀行の銀行家たちを厳しい審査の場に引きずり出そうとする動きが強まっている時、ティモシー・ガイトナー財務長官は、私的に所有されている連邦準備銀行に、金融市場の正常化のため、より一層権限を与えるよう議会に図っている。

 AFPの6月29日号では、テキサス州の共和党議員であるロン・ポール氏によって連邦準備制度透明性法案が導入され、議会に掛けられるだけの充分な支援者を獲得したことを報告した。
 この法案は、連邦政府に対し、私的に所有されている連邦準備銀行とそのさまざまな資金調達の武器を審査する権限を与える。この武器で、数兆ドルのローンを組み、貸し出し、あるいは保証をウォールストリートの仲間と金融機関に与えてきたのだ。
 当時、この法案は議会の半数以上となる226名の共同支援者がいた。それ以来毎日増えており、今や243名になっている。

 ポール議員の法案はますます注目され、ガイトナー氏が最近行った声明と際立ったコントラストを示している。ガイトナー氏は連邦準備銀行により一層の権限を与えようとするものだ。
 ガイトナー氏にとっての問題は、アメリカが直面している経済問題の原因だと非難されている前FRB議長のグリーンスパン氏の野放しの金融政策だ。数十年にわたって、グリーンスパン氏は世界にドルを垂れ流し、ウォールストリートの投機家や銀行家らに、金融墓穴を深く掘らせる環境を作ったため、メイン・ストリートまで巻き添えを食らっているのだ。

 オバマ政権によって提案された金融問題の根本的な解決のための一環として、ガイトナー氏はFRBに金融機関、例えばシティ・グループとかバンク・オブ・アメリカなどを監視する、より一層の権限を与えようとしている。これでは、鳥小屋の大方のニワトリを食べつくしたキツネを、今度は育雛器の中に入れるのに等しいものだ。

 この件についての公聴会で、FRBに対して長いこと批判的だったジム・バニング上院議員(共和党・ケンタッキー)は、「こんな時にFRBがベターな仕事ができると、どうして考えられるのか?」とガイトナー氏に迫った。ガイトナー氏は、FRBに権限を与えることが「状況から言って、それが最適と思ったからです」とだけ答えるのが精一杯だった。
 ガイトナー氏が中央銀行側につくことは、氏が2003年から2009年までニューヨーク連邦準備銀行の頭取を務めたという事実からして驚きでもなんでもない。ニューヨーク連銀はそれがウォールストリートに近いということと、金融政策を決定する時のリーダーシップの役割からして、一番力のある連銀と考えられている。

 それはそうと、ポール議員のFRBを審査せよとする呼びかけは全米の新聞の見出しを飾った。
 6月半ば、CBSはポール議員の「FRBの全面的な審査を委任する」政策の詳細を報道した。「議会の中のH.R. 1207に対する大きな草の根の超党派的な支援が、いかにアメリカの大部分の人々がFRBの秘密性にうんざりさせられているかを示している」とポール議員は語った。「私はこの問題がより一層多くの人々の目に触れることを願っている」
 


●オバマ米大統領:金融規制改革案を発表「市場、透明で公正に」
【6月18日 毎日新聞】
 オバマ米大統領は17日、金融危機の再発防止に向けた包括的な金融規制改革案を正式発表した。銀行、証券に保険会社などを含むすべての大手金融機関を米連邦準備制度理事会(FRB)の監督下に置き、金融危機の発生を未然に防ぐほか、各金融機関の自己資本比率を高め、財務体質の強化を図ることが大きな柱となる。

 大統領は改革案について「大恐慌の直後、1930年代以来の大規模な改革になる」と強調した。過剰規制との批判に対しては「私は常に市場の力を強く信じている。自由な市場は米国の発展のエンジンであり続けるだろう」と答えた上で、「透明で公正なルールに基づき運営されることで、市場は力強さを取り戻す」と話し、改革の必要性を訴えた。

 改革案には、FRBへの監督権限の一元化に加え、個人投資家や消費者を保護するための「消費者金融保護庁」の設立や、金融機関の破綻(はたん)処理の枠組みなども盛り込まれた。

 オバマ大統領の提案を受け、米議会民主党は年内の法案成立を目指す。議会では共和党を中心に規制強化に対する批判が強く、審議は難航も予想される。


●米大統領が発表した金融規制改革案の概要
【6月18日 ロイター】
 オバマ米大統領は17日、金融規制改革に向けた構想を発表した。財務省が発表した88ページにわたる改革案の概要は以下の通り。

・・・
<システミックリスクの監視機関を創設>金融システム上重要で、他の金融機関とも深く関連している大企業を監督するため、米連邦準備理事会(FRB)をシステミックリスクの総合的監視機関とする。・・・
・・・ 金融サービス監督協議会は、財務長官、FRB議長、新たに設置される「ナショナル・バンク・スーパーバイザー」および金融消費者保護庁(CFPA)の責任者、証券取引委員会(SEC)委員長、連邦預金保険公社(FDIC)総裁、連邦住宅金融局(FHFA)局長で構成する。・・・
<投資銀行および証券会社>大規模投資銀行の監督権限をSECからFRBに移管する。
・・・以下略

2009年2月雇用者数図(赤丸は前年同月比マイナスを表示している)

◆6月21日

 以前からピンチ状態に陥っていたアメリカのカリフォルニア州では、経費削減対策として、以前から取りざたされていた囚人の早期釈放がシュワルツネッガー州知事によって実際に提案されたようだ。数千人にのぼる不法移民を連邦政府に移管し国外退去にしてもらおう、ということらしい
 これによって1億8000万ドルほど経費を削減することができるという。
 またこのカリフォルニア州では失業率が11.5%になったという。
 
 全米での雇用者数の増減を示す図とグラフを見ると、今後アメリカはどこまで落ちるのか、誰でも不安な面持ちにならざるを得ないであろう。

 現在まで、アメリカの連邦準備銀行は必死にドルを印刷し、現金の必要なところにはそれをまわし、現金が必要ではないが、数字が必要なところには、数字でお金を回してきている。それが一体どこまで持つのか、という問題がこれからいよいよ表面化してくるであろう。
 前から言ってきていることだが、今年の夏以降が正念場となってくるはずだ。国債の利率上昇問題とか、ドルの下落問題とか、これからが山場となってくる。日本も当然その影響をもろに受けるだろうから、シートベルトをしっかり締め直してこれからの時期に臨まねばならなくなるだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●カリフォルニア州:経費削減のため囚人の早期釈放か
シュワ知事: 不法移民収容者を釈放すれば1億8000万ドル削減できる
http://www.msnbc.msn.com/id/31449288/ns/us_news-crime_and_courts/

 財政困難に陥っているカリフォルニア州のシュワルツネッガー州知事は、数千人の不法移民受刑者を連邦政府に引渡し国外追放にすれば、1億8000万ドルの費用削減になるとしてその実施を提案している。・・・以下略


●カリフォルニア州:失業率11.5%の記録的高さに
【6月19日 AP】
http://www.businessweek.com/ap/financialnews/D98TVDC80.htm
 カリフォルニア州の失業率は5月、11.5%になり、記録がとられるようになってからの最高値となった。アメリカ労働省が19日発表した。
4月に失業率が11.1%に落ちた後、更に6万9000の職が失われのが災いし失業率の更なる上昇がなされた。
 カリフォルニア州雇用促進局は、5月は最大の低下率で1万4200の失職となったと言う。教育と保健意外のあらゆる部門でこの傾向が見られた。
・・・以下略


●山火事のようにじわじわと……
アメリカの雇用者数推移をグラフ化・アニメGIF化してみる
【4月19日garbagenews】
http://www.garbagenews.net/archives/608773.html


 2009年2月雇用者数図

 先日巡回サイトの一つ【ZAR大好きの忘ビロク2-金鉱株で恐慌突破】で興味深い地図が目に留まった。アメリカの雇用者数の推移をビジュアル・インタラクティブ化したもので、雇用の減退がいちどきにではなく、いくつかの地域からじわじわと、それこそ山火事のように広まっていくようすが分かる。2008年12月単独の失業率については【20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる】で西海岸や五大湖・工業地域が際立って高いことが確認できたが、時系列で確認できるのは珍しい。今回はこの図を多方面から見ることにした。

 おおもとの記事は【Slate Magazine:When Did Your County's Jobs Disappear?(あなたの地域でどれくらいの職が失われた?)】。アメリカの公務データ【Local Area Unemployment Statistics】を元に、各郡(州のひとつ下の行政区分)別における雇用数推移をインタラクティブ・マップ化したものが掲載されている。対象期間は2007年1月から2009年2月で1か月単位。前年同月比における雇用数の推移を表しており、雇用が増えていれば青・減っていれば赤の円が描かれる。そして円の大きさはそれぞれの絶対値を示す。例えば赤い大きな円なら「前年同月と比べて大きく雇用が失われた(働いている人が減った=雇用機会が失われている)」、青い大きな円なら「雇用が大幅に増加した(働いている人が増えた=雇用機会が増加している)」ことを意味する。

 注意して欲しいのは、円の大きさは雇用者「数」を示していること。それぞれの郡に対する労働者・労働希望者に対する割合ではなく、失業率とは直結しない。元々人口・求職者と労働者数が多い地域の場合は、少しの「割合」の減少でも、大規模な「人数」の減少として図に反映される。しかしその場合、「割合」が小さいからといって、多くの職数が失われ、多数の失業者が出ている可能性があることに違いはない。

 データは2007年1月からスタートしているが、すでにその時点でアメリカ南西部や五大湖周辺などで、職の減少傾向が見られることが確認できる。・・・


2007年1月時点

 この時点では前年同月比で職数が増加している(青色の円)郡が圧倒的で、赤色の円はまばらでしかない。しかも地域性があるのが分かる。


2007年8月時点

 これ以降、青い円の数は急速に減少・サイズも縮小化し、今まで赤円だった地点の円そのものの面積も広がってくる。太平洋岸のカリフォルニア州などは元々人口が多いため円も大きかったが、いつの間にか円が青から赤に変わっていく。

 リーマンブラザーズ・ショックの2008年10月にもなると、カリフォルニア州の大きな赤い円や五大湖周辺の密集赤円などにより、多くの地域が赤く染まっている(=前年同月比で職数が減少している)のが確認できる。南部テキサス州や北東部の一部ではいまだに活気を見せているが、それらは今や少数派。


2008年10月時点

 そして冒頭でも掲載した、直近データの2009年2月。もはやほとんどの地域で赤円だらけとなり、カリフォルニア州では非常に円が大きくなっていることや、五大湖・大西洋岸の北東部からフロリダ州にかけての人口密集地帯ではほぼ赤円で埋め尽くされている(職数が減っている)ことが一目瞭然。


2009年12月時点

 元記事ではこれらの動きをフラッシュムービーで確認できるのだが、処理が非常に重く環境によってはトラブルを起こす可能性がある。そこでこちらでGIFアニメ化し、さらに各月の前年同月比における職数増減を折れ線グラフ化した。


2007年1月~2009年2月におけるアメリカ各郡の労働者数変移


アメリカ全土の労働者数(職数)変移(前年同月比の値、万人)

 時間の推移と共に連続した形で見ると、雇用の減退が全国に一斉に起きたのではなく、何か所かでの特異点が確認され、それらが少しずつ広がるように拡散していくようすが分かるはずだ。もちろん実際に雇用の減退が「感染」していくわけではないのだが、それぞれの企業は少なからぬ横の関係を持つことから「A社の経営が悪化して雇用数を減少」「A社と取引をしているB社も、A社の斜陽化を受けて業績悪化。雇用数減少で対応」という形で連鎖反応を示す可能性はある。何より、景気全体の悪化に対する耐久度の違いが地域特性(≒その地域に多い産業)、そして雇用減少のタイミングの差として現れるのだろう。

 また、【20%超えの地域も! アメリカの失業率現況を図で見てみる】でも示したように、住宅バブルだった場所や工業地帯では早くから雇用数減少の傾向が見られることが分かる。工業地域については技術革新や作業の効率化、さらには行程そのものの海外への移行など多要因が考えられ、単純に「雇用数減少」=「全体の景気悪化」と断じることは難しいものの、その地域にとってはマイナスであることに違いはない。

 この地図で再び青い円が多数派を占め、ぱっと見で青っぽく見えるようになるまでに、どれくらいの時間が必要となるだろうか。今はまだ、見当もつかない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

その財務内容が懸念され始めた連邦準備制度

◆6月11日

 米国債の長期金利の上昇が懸念されるようになってきた。ロシア中銀が、外貨準備に占める米国債の比率を下げたためその影響がもろに出た。こういう動きが今後強まれば、ますます米国債は買われなくなるであろうから、金利も上昇しこそすれ下がることはないだろう。またアメリカの財政赤字はますます増えていくしかないので、これも金利を上昇させる要因となるだろう。
 それで、今や米国債の引き受けてになった連邦準備銀行に対しても、懸念の声が上がってきている。通常の銀行としてみれば、その財務内容は既に業務停止状態になっていておかしくない、というのが下記の記事である。
 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●ロシア、外貨準備の米国債比率引き下げIMF債購入へ=中銀第1副総裁
【6月11日 ロイター】
 ロシア中銀のウリュカエフ中銀第1副総裁は、外貨準備高に占める米国債の比率を引き下げる方針を明らかにした。
 同発表を受け、ドルは全般的に下落、米債利回りは上昇している。
 世界の主要な米債保有国であるロシアの外貨準備4042億ドルに占める米国債の割合は約30%。
 第一副総裁は、国際通貨基金(IMF)発行の債券を購入し、この比率を高める方針を示した。ロシアはこれまでに、IMFが資金調達の一環として発行する債券を約100億ドル購入すると発表している。
 また、ロシアは危機のピーク時に流動性のある米債への投資を高めたが、現時点でそれを取り崩し、民間金融機関の預金への投資を高める準備が整っている、とした。
 「(米債の)比率は低下する。これは、好機がめぐってきており、銀行の状況がより明確化してきているからだ。銀行預金やレポの比率を引き上げる」と述べた。


●米財政赤字、1兆ドル目前=8カ月累計で昨年度の倍に-財務省
【6月11日 時事通信】
 米財務省は10日、5月の財政収支が1896億5100万ドル(約18兆6000億円)の赤字となったと発表した。前年同月比14.3%増で、5月の赤字幅としては過去最大。これにより、2008年10月から始まった09財政年度の赤字は、同月までの8カ月で累計9919億4500万ドル(約97兆2000億円)となり、空前の1兆ドルに迫った。
 既に09年度の赤字は過去最大だった08年度(12カ月)の2倍以上。米財政の急激な悪化は米国債相場の圧迫要因となりそうだ。オバマ政権は09年度の財政赤字を約1兆8400億ドル(約180兆円)と予想している。 


●米金利が急上昇=NY債券市場
 【6月5日時事】
 週末5日のニューヨーク金融・債券市場では、米雇用統計を受けて景気底打ちへの期待が広がり、大きく売られている。この結果、利回りは急上昇し、午前11時35分現在、長期金利の指標である10年物米国債利回りは前日引け水準比0.10%ポイント上昇の3.82%で取引されている。


●米長期金利、4%台突破
【6月11日 時事通信】
 ニューヨーク金融・債券市場では11日、米国債の大量増発に伴う供給過剰懸念を背景に売りが膨らみ、長期金利の指標である10年物米国債利回りは一時4.008%をつけ、米メディアによると、約8カ月ぶりに4%台を突破した。ただその後は落ち着きを取り戻し、午前9時25分現在は、前日引け水準比0.01%上昇の3.96%で推移している。 


●もし連邦準備銀行を審査すれば業務停止になるだろう
【6月10日CNBC】
http://www.cnbc.com//id/31204170 

 連邦準備銀行(Fed)のバランスシートはでたらめで、通常の審査が行われればこの中央銀行は業務停止になるだろう、とグラント・インタレスト・レート・オブザーバー編集員はCNBCに語った。
 450億ドルの資本金と2兆1千億ドルの資産では、この中央銀行は通常、他の機関に対して行われている審査に耐えることはできないでしょう、と言う。
「もしFedの審査官がFed自身の書類、分類されていない書類、でFedのクレジットで直面している困難を乗り越える能力についての審査を通そうとすれば、彼はこの銀行を業務停止にするでしょう」と彼は語った。「Fedはシティ・グループが陥っていいるような資金不足状態にある」
 グラントは、議会を通してFedの審査を呼びかける法案を実現しようという動きに賛成だという
 更に、グラントはFedが金融危機に対処してきたやり方に対し批判的で、中央銀行の目標レートはゼロ近辺であるべきではない、と語った。
 「いかなる経済にとってもゼロではよくない」と語り、またFedは「モラル・ハザードの大いなる実験に乗り出した。金利は市場経済の交通シグナルで、一切はグリーン・・・我々はこの金利が適切なレートであるのか、中央銀行が押し付けたものなのか吟味するべきだ」

 しばらくは金利の引き上げはないだろうということと、FFレート先物は年末までに厳しくなると予想する分析内容に不一致がある中、グランドは、インフレが見えてきているので、Fedは金利の引き上げを始めるだろうと考えている、という。

 FFレート先物は0~0.25%の今のレンジから目標レートの半分になる点にまで、充分上げてきている。
 「多くの意見がある時、何か感じたら要注意なのだ」と彼は述べた。「Fedはよく知られているように常に遅いのだから」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


◆6月4日

 景気は底を打った、と思いたがる人が多い、というかそれが人情であろう。しかし、どうも実際はその反対にこれから、とてつもなく悪くなる、と見るべきであろう。

 3日、バーナンキ議長が議会で証言し、「政府の債務増加が長期金利上昇につながっている」とした上で、「財政赤字削減に取り組む時期に来ている」、との認識を示した、というが、一体どう取り組むのであろうか?一つだけ有効な手段は、ドルの切り下げだ。例えば1ドル50円くらいにすれば、今のレートの半分だから、赤字額も半分に減る。実に簡単だ。ただしこれは世界にパニックを惹き起こす。
 この日、中国の3日間の訪問を終えたガイトナー財務長官は、「これまでの対中批判を封印し、米中経済協力の大切さや米国国債の安全性などを強調することに終始し、態度の『軟化』が際立った」と産経が伝えているが、要するに米国債は安心して買い続けてくださいね、とお願いに終始した、ということであり、中国に頭を下げながらでも米国債を買ってもらわねばどうにもならないところにまで追い詰められている、ということなのだ。

 従って、我々は下記の論考を参考に、近未来に備えるべきなのではないかと思う。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●大暴落が近いかも
 6月2日
 by Robert Wenzel
 http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=13826

 連邦準備制度(Fed)は、長期国債市場の動向にかなり神経質になってきている。これは重大だ。どう慌(あわ)てているのか?金曜日にリークした後、彼らは日曜日それに懸かりきりになった。

 FedはCNBCのスティーヴ・リースマン氏に金曜日、彼らはロング・レイト(長期為替手形相場)をターゲットにはしていない、と言った。なぜそんなリークをしたのだろうか?
 おそらくFedはそれをコントロールする力がないことを示したくなかったからであろう。それでロング・レイトをターゲットにしないという言葉をリースマン氏に伝えたのだ。
 Fedにとってロング・レイトはコントロールの埒外にあるということになった場合、市場に何が起こるか想像できるだろうか?

 Fedは勿論お金を印刷し、今ある長期国債を買い占めることはできる。しかしその時起きるインフレの状況はジンバブエ並みになり、国際通貨市場でドルはクラッシュするだろう。

 我々は地獄の門が一斉に開く段階に近づいているのだろうか? 以前はこの質問に決して答えようとはしなかった。いつも「いや、そんなことはない」と言ってきた。しかし今や、おそらくそうかもしれないのだ。

 私が恐れているのは、日曜日の午後、ドラッジ・リポートが取り上げたもう一つの記事のことだ。それはロイターの記事だ。見出しは、「連邦準備制度はイールド・カーブ(利回り曲線)のスティープニング(長短金利差拡大)が険しくなっていることに当惑している」というもの。
 解釈すれば、Fedは何が起きているのか分からないが、恐れている、ということになる。


ロイターの記事内容

 連邦準備制度(Fed)は先週、アメリカの景気後退に対する中央銀行の対応戦略に大きく影響を与える、国債市場におけるこの顕著な動きを調査している。
 しかしFedは長期国債利回りが急上昇する動因、とりわけ短期と長期のギャップの開きについて、その原因が何かについてははっきり分かっていない。
 国債の利回り上昇と利回り曲線が急上昇しているのが、経済の復興を意味し、安全な米国債の需要の減少を意味しているのか?そうならば、Fedにとって米国債を買い込んでマネーサプライを増やす必要性はないはずだ。
 それとも、イールド・カーブのスティープニングは、投資家が米政府の財政内容の悪化、ないしは量的緩和政策の一環として新札を大量に供給したため、ドルの潜在的な暴落に不安を感じているのか。
 これは、アセット購入を強化するのを補強する理論になるだろう。

 もう一つの可能性は、米国債の最大保有国である中国が、短期物に重点を置くことでポートフォリオの内容を変える決意をした、ということだ。
 債券の利回りのこの動きの明らかな原因は、大量の国債発行につながっているアメリカの記録的な財政赤字である。
 財務省は、予測された1.8兆ドルの財政赤字を補填するため、2009年は2兆ドルの記録的赤字国債を売らねばならない。これは税収の減少、経済刺激策、およびいくつかの銀行破綻に充てることによるものだ。
 中国やその他、市場の原理で動く米国債の購入者が、これから発行される新しい国債が数兆ドルになるため、そんな国債の最後の保有者にはなりたがらないので、程度の差はあれど、長期国債を買うことを控えるようになった。

 ロイターの記事は更に、Fedが本当に知らせたがっているメッセージの一部について、こう言っている。
 イールド・カーブのスティープニングの原因となるものを割り出すことに取り組んでいる職員らを見れば、財務省の赤字国債の購入か、住宅ローン関連負債を買い込むのか、決定を下すのは無理のようだ。
 「私は、wait and see、モードです」とFedの匿名希望のある職員は語った。「我々はアセット購入計画を作成し、それに従っています。多くの事柄と共に、これはさまざまな利率に一定の影響を与えるでしょう。ですから、長期金利を気にするべきではないと思います」。これは金曜日のメッセージと同じだ。
 
 長期金利を下げることはFedにはできないと思わせて世界に動揺を与えるようなことを、Fedはしたくないのだ。それで、自分らはそんなことは考えてはいない、と言っているのだ。
 しかし、もし金利が上昇し続ければ、国債によるパニックはあり得るシナリオとなる。そしてバーナンキ氏は、長期金利を下げるには、あらゆる長期債を買い込むしかやることはなくなる。これは当然、高インフレを惹き起こし、金利を更に上昇させる要因となる。このジレンマはどうしようもないだろう?
 
 現行の金融システムの終焉は、このように間近に迫っている。もし私に2週間前に、崩壊は近いかと尋ねたとしたら、私はいやそんなことにはならないだろう、と言ったかもしれない。しかし今は、そうなるかも、と言うだろう。
 
 バーナンキ氏は短期国債は運がよければ、なんとか処理できるかもしれない。しかし長期国債は、アメリカの金融システムは重大な問題を抱えているので無理だろう。
 財務省が必要とする借り入れ額は膨大すぎるのだ。米国債による国際的なパニックは避けがたいだろう。制御されたゆっくりとしたパニックという場合は、Fedが主要な購入者になる場合である。
 これはどっちみち記録的なインフレになるだろう。

 これは記憶に留めておいて欲しいのだが、我々はドルのような通貨が暴落したのを見たことはない。ドイツのワイマール共和国時期のハイパーインフレも、その前例にはならない。というのは、ドルは世界各国の準備通貨のため、ドルによるパニックとなると更なるドルがアメリカに戻ってくることを意味し、これはいかなる国も経験したことのないことなのだ。

 他の国では、通貨の暴落があっても、歴史上これほど膨大な額の通貨が国外で保有されていて、それが全部、殆ど一瞬の内に戻ってくるようなことはなかった。
 もしもドル・パニックが始まったら、そしてバーナンキ氏がドル印刷をストップしたとしても(ありそうもないことだが)、一切のドルがアメリカ合衆国になだれ込み、それだけで大規模な価格高騰を引き起こすことだろう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ROCKWAYアド
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
ROCKWAY
性別:
男性
自己紹介:
経済から宗教まで、時代の先を読み解くための作業を人間活動のあらゆる分野にメスを入れて行います。
バーコード
ブログ内検索
フリーエリア
忍者ブログ [PR]