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ロシアと中国の協力関係が強化

◆10月15日

 ロシアのプーチン首相が中国を訪問し、経済面での両国の協力関係を強化したようだ。更には両国の通貨である、ルーブルと元を2国家間の決済通貨とする案が本格化しているようだ。
 このように資源国であるロシアと今や世界の経済の牽引車のようになっている中国が協調関係を強めることで、ドルの覇権という構造が本格的に崩れだしている。
 各国の中央銀行が準備通貨として通常ならば、ドルを選んでいたのが、最近3ヶ月をみると円とユーロが63%を占めているという。かつてはドルこそがそのような割合で保有されてきていたのだ。
 おそらくこの傾向は継続していくものと思われるから、ドルに対する需要はいよいよ狭まり、時を経ずしてドルの覇権というものが過去のものになっていると考えざるを得ないだろう。


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●ロシア・中国:貿易決済はルーブルと元で
【10月13日 Reuters】
 中国とロシアは13日、両国の通貨である元とルーブルを2国間貿易で使用する割合を拡大したいと考えていると、メディアが報じた。
 アメリカのドルとユーロに依存することを止めて、自国の通貨を貿易で支配的に使用するとするこの話は、6月のモスクワでの両国指導者間の話し合いの時に出された。
 中国は隣国との間で元を決済に使用することを開始した。この国の中には香港が入っているがロシアは入っていなかった。この試験的使用は今までのところあまり進んでいない。それは元の兌換性が充分でないことと、膨大な中国の貿易ではドルがまだ支配的だったからだ。

 中国とロシアは貿易における、とりわけ国境地帯での取引での元とルーブルの役割を拡大させたいとしていて、2国家間の通貨上の合意にサインすることになるだろうと、張徳江中国副首相が語ったと香港の通信社が報じた。
 6月の会合で、メドベージェフロシア大統領と胡錦濤国家主席は、元とルーブルを貿易で使用させるようにすることは“不可欠”だと述べた。
 中国とロシアはドルに変わる超通貨を主要な世界の準備通貨として作り出すことを主張している。しかし、これは長期的なプロジェクトだということを認めている。ドルの価値の急激な下落は、両国の外貨準備がドルのアセットが多いため両国に多大な損失をもたらすからだ。



●プーチン首相:中国とのエネルギー協力で1000億ドル投資
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601087&sid=avtvp2DPg6ao
【10月12日 By Lucian Kim】
 プーチン・ロシア首相は中国に12日到着した。アジアで最大のエネルギー消費国に石油輸出協力関係を強化することが狙いだ。
 1000億ドルの石油関連契約を中国と結んだロシアは、今度は中国と天然ガスの取引でガズプロム社との間で合意を取り付けようとしている。中国は現在はロシア産のガスを購入していない。
 40年前は殆ど戦争もしかねなかった両国は、経済的利益を中心に協力関係を深めている。2国家間貿易は2008年に560億ドルとなっているが、ロシア税関によれば6年間で6倍に増えているという。
 「政治的な関係は大変良好だ。おそらく1949年の中国共産革命以来最良ではないだろうか」と、世界の中のロシア誌のフョードル・ルキヤノフ編集長は語る。「主要な国際問題で両国がこれほど近い立場を持ったことは無かった。領土問題も存在しない」と言う。
 中国とロシアは、世界3位と7位の経済大国同士だ。5つある国連安全保障理事会と、BRICsの席のうち2つの席を占めることになる。
 以前は敵同士だった両国間には4000km以上の国境線が存在する。1989年ゴルバチョフ氏が北京を訪問して30年にわたる両国の行き詰まりを打開した。
 プーチン首相(57歳)は胡錦濤国家主席と温家宝首相と会談する予定だ。また上海協力機構の会合に参加する。

◆石油取引
 ロシアは今年2月、国営のロスネフチとパイプライン独占企業のトランスネフチへの250億ドルのクレジットの代わりに中国に20年間にわたって石油を供給することで中国と合意した。中国と合意した契約は総額は1000億ドルになる、とロシア政府は発表している。

 トランスネフチの計画では、東シベリア太平洋パイプラインの第1期工事は今年中に終了する。これでロシアは中国へ直接石油を送ることができるようになる。石油とその他の鉱物資源が貿易の56%を占める。これには鉄道での石油供給とカザフスタン経由のパイプラインでの石油供給も含む。
 ヨーロッパ市場を越えた世界的なエネルギー企業を目指しているガズプロムは、中国に2本のパイプラインを建設する計画で、完成すれば年間800億立方メーターの石油を供給できるようになる。それは現在のヨーロッパ向けの輸出の半分以上である。ガズプロムと中国石油集団(CNPC)は先月、プーチン首相の訪問に先立って最初の合意を取り付けた。

◆理想的な結果
 「石油のために両国が合意したのと似た理想的な取引となった」とウラル・シブ・金融会社のクリス・ウィーファー・チーフ・ストラテジストは語る。
 「我々はパイプラインのためだけではなく、コビクタ・ガス田の開発のためにスケジュールを考えることができる」と語る。
 ガズプロムはコビクタの石油会社、TNK-BPの買取問題を完了していない。東シベリアのガス田であるこのコビクタにはアジアに5年間ガスを供給できる量が埋蔵されている。
 中国はエネルギー資源獲得に熱心な、世界で最速で成長している経済大国であり、閉鎖された中央アジアのエネルギー生産国へその触手を伸ばしている。
 この地域のエネルギー資源は市場に出すには最近まではロシアのパイプラインシステムに依存していた。CNPCは中央アジアの最大のガス産出国であるトルクメニスタンまでのガス・パイプラインを今年中に完成する計画でいる。
 「ロシアは自国の伝統的な利権の及ぶ地域に対する侵害と見ている」とルカノフ氏は語る。「ロシアは経済的な弱みを政治的な方面からの攻勢で補填しようとしている。しかし中国は必要性を認めなければ簡単には動かない」と言う。


◆上海グループ
 、各国の首相が10月14日に会合する予定の上海協力機構(SCO)は、より一層大きな経済的な役割を見出すことができねば、時代遅れの代物となり危険がある、と東アジア研究センターのアレクサンダー・ルキン理事長は語る。
 「SCOは経済機構としてのイメージがない」とルキン氏は語る。中国は関心を失いかねず、2国家間の関係を強化しようとする方向を強めるかもしれない、と言う。
 この機構の6月の会合では、胡錦濤国家主席は、中国はメンバー国に対し、金融危機を乗り切るために、100億ドルをクレジットで供給するだろう、と言った。ロシアと中国のほかに、カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタンが加盟国だ。

◆北朝鮮
 プーチン首相は、温家法首相が北朝鮮を訪問、条件的だが、6カ国協議に帰るという合意を取り付けた1週間後に中国にやってきた。中ロ両国は過去60年間、この隔絶された国に最も近いパートナーであった。
 中ロ両国が「微妙なバランス」にある間、中央アジアでは利権が交叉している。冷戦時代のライバル同士は分裂よりかは結合している割合の方が強い、と北京大学の国際安全保障問題専門家のZhu Feng教授は語る。
 「両国は注意深くしかし熱心により強い協力関係に向かっている」と教授は語る。「石油の輸出は強い経済的な結合となる」と語った。


●ドルは準備通貨の地位を円とユーロに譲る
【10月13日 By PAUL THARP】
 ドル危機は昨日更に拡大した。中央銀行が準備通貨として好まれる通貨として驚くことに円とユーロがドルを抜いたのだ。この3ヶ月間、新しい準備通貨としてその63%をドルではなく円とユーロにした。 
 バークレーズ・キャピタルによれば、ドルの準備通貨における独占的な地位の殆ど完全な転換である。バークレーズによると、中央銀行での新通貨におけるドルのシェアは、10年前は3分の2だったのが、現在は37%に落ちたという。

 現在中央銀行のドルの準備通貨としての割合は62%で、これは今までの最低の記録だとIMFは言っている。
 バーナンキ議長はドルを抹殺した人物として経済歴史に名を残すかもしれない。アメリカの経済を刺激するため数兆ドルの新ドルと新国債を印刷した後、連邦準備制度議長は経済を食い荒らすインフレとリセッションの二つの怪物と戦かわざるを得なくなっている。
 「メルトダウンよりも始末の悪い危機の真っ只中にいる」と、ピーター・シフ・ユーロ・パシフィック・キャピタル会長は語った。「私はバーナンキ議長が一切をぶち壊した人物となるのではと恐れている」

 投資家と中央銀行は、ゼロ金利と世界経済にドルが溢れていることから、ドルに重きを置いていない。彼らは、アメリカの山のような負債をカバーするために記録的な貸し出しをしているが、3ヶ月前に比べ10%も下落したレートで払い戻されていることに不満である。10年間では殆ど3分の1となる。
 エコノミストはドルに対する市場の造反は、バーナンキ議長がゼロ金利から1桁以上に上げ、印刷さればら撒かれた洪水のような通貨を市場から引き上げるまでは拡大するだろうと考えている。
 「それが解決策だ。しかしそれはまたアメリカ経済の成長を窒息させることになる」とシフ氏は語った。「アメリカ経済は低金利と流動性に中毒になっている」
 エコノミストはレートの急上昇は株を叩き潰し、既に行き詰っている住宅市場を台無しにすると指摘している。「バーナンキ議長のその他の選択は金利をゼロに保ち、更にドルを印刷し負債をもっと増やすことだが、それをやれば3桁のインフレとなり経済を破壊することになるだろう。中毒性の刺激策で、我々は自分たちはもとより世界経済をも台無しにしているのだ」


●ロシアが石油生産で世界一となる
http://www.officialwire.com/main.php?action=posted_news&rid=29727&catid=3#
【10月8日 UPI and OfficialWire)
・・・以下略

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デトロイトの荒廃した住宅

◆10月13日

 トレンド・リサーチ・インスティチュートのジェラルド・セレンテ氏が近未来のアメリカの経済について語っている。既にこのブログでも何回か紹介したが、いよいよ時期が迫ってきているようである。今年のクリスマスの小売の状況で分かるようになるという。彼はそれがアメリカ経済の棺おけの蓋に打つ釘になるだろう、と言っている。
 昨日に引き続いてアメリカの近未来の困難さを紹介することになるが、これはアメリカ一国だけの問題ではなく、全世界の問題である。


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●2012トレンド予想:食糧暴動、幽霊モール、衆愚政治、テロ
  最大級の恐慌に備えるべきだ
http://www.wnd.com/index.php?fa=PAGE.view&pageId=112452#
【10月9日 By Bob Unruh】
 トレンド予想者は昨年の冬のウォール街の銀行、保険会社、自動車会社の破綻からの現在の経済のリバウンドは、人工的な操作の結果であり、保証されてない無から印刷された見せ掛けの金によって生み出されたものだ、と指摘している。

 トレンド・リサーチ・インスティチュート社のジェラルド・セレンテ氏は、今の人々は最大の恐慌に備えるべきだ、と言う。この恐慌は世界的でありアメリカ帝国の衰退につながるだろう、と言う。農産物の不作は小さな問題の一つに過ぎなくなる。
 「2012年には、食糧暴動、税不払い、農業従事者の反抗、学生暴動、ホームレス反乱、テント村、幽霊モール、ゼネスト、ボス誘拐、子供誘拐、工場破壊工作者、ギャングの抗争、衆愚政治、テロなどが起きている」と彼は書いている。
 最近の株価がクラッシュ前の14000レベルには程遠いが10000付近まで上昇はしているが、誰も安心はできない。「景気回復はない。これは単なる隠蔽だ」と言う。「2009年3月に市場は破綻した。世界中で崩壊のダメージに対して無から作った金でそれを取り繕ったのだ」と語る。
 これは、経済崩壊より更に大きなことだ。「これはアメリカ帝国の衰退だ」「ドルに何が起きたか見るべきだ。金の価格は上昇している。それが証拠だ。ワシントンとウォール街から来るものはレトリックだ」と言う。
 「これは最大の恐慌の始まりである。我々は読者に、更にひどい状態になることを予期して未然防止策を採るよう語っているのだ」と言う。

 USA Today紙は、セレンテ氏は「時代精神を正しく理解するコツを知っている」と書いている。CNBCは「あの人物は何を語っているか分かっている」と言った。ウォールストリートジャーナル紙は、「予測しようとするものは、トレンド・リサーチ・インスティチュートを考慮する」と書いた。

 セレンテ氏は、ラジオアメリカでのインタビューで、クリスマスシーズンの小売が経済の棺おけのふたを閉じる最後の釘になるだろう」、と述べた。
 「第2次アメリカ革命は既に始まっている。それは単に主流メディアで発表されていないだけである」と彼は語る。「希望がバッグ一杯にお金を入れてドアに現れることを待ち望んでいる者は誰でも衝撃を受けることになる」

 エグザミナー誌のティム・バレロ氏は1980年からセレンテ氏はすくなくとも40の主要な世界の出来事の、例えば1987年の株式市場の破綻などの正確な予想を出してきているという。「1990年代を通して、その他の多くの予想が現実となった。その中にはソ連邦の崩壊、テロリズムの跋扈、スピリチュアル・ニューエイジ哲学の勃興、グローバリゼーションに対する大衆の反動、オンラインショッピングの流行、そして1997年のアジア金融危機などだ」と書いている。
  
 ここに来て彼の世界的恐慌とアメリカの「オバマゲドン」の予想だ。「我々はこのことでははっきりしておきたい。『アメリカ帝国』を衰退させる政策は長いこと行なわれてきている」とバレロ氏に語っている。「オバマ政権で起きていることは、ブッシュ政権がTARP計画で行っていたことを更に超えた政策をしているということだ。例えば、彼の、刺激策、買占め、救済といったものはアメリカの歴史上無かったことだ。こんなに多くの見せ掛けの、実際には何も生み出さないような金が、無から印刷されることはかつて無かったことだ」と語る。セレンテ氏は続けて、「この結果を理解するに、別に歴史学を学ぶ学生である必要はない。やらねばならないことと言えば、目を開いて、自分自身のために考えはじめることだ」と言う。

 エグザミナー誌とのインタビューで、セレンテ氏は、ドットコム・バブル、株式市場バブル、不動産バブルなどと違って、アメリカの納税者は主要企業の株式の保有者だから、“バブルの破裂”で痛めつけられる、と警告している。
 彼は内乱の可能性を予想している。そしてもし民衆がアメリカの一般の状況がどんなものかを知りたいと思えば、「彼らはデトロイト市付近をドライブするべきだ。破壊された住宅を見るべきだ。空になった隣人宅を。暴力が増大していることを・・・人々によって凶悪犯罪が起こされていることを・・・」と語っている。

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世界経済の行方は?

◆10月23日

 経済が回復しつつある、というようなことを言うエコノミストとかアナリストとかが多い。しかしそれは甘い観測ではないか、という点をこのブログでは示し続けてきた。
 今この時点になって、ようやく「二番底」という言い方をする専門家も出てきた。問題が根本的にはなにも解決していないのだから、必ずゆり戻しがあることは当然理解しておくべきだった。あの1929年から始まった大恐慌も、翌年の1930年には株価は持ち直していたのだ。だから昨年9月のリーマンブラザース破綻からの株価下落が今持ち直している、としてもそれが経済の回復とは即ならないことを理解しなければならない。

 国際決済銀行(BIS)は世界の中央銀行の中央銀行としての働きをしている。だから世界中の経済情勢が手に取るように分かるところのようだ。そこでは現在の世界経済に対する楽観論は一切ない。我々はそのような情報こそ重視すべきだ。

 これから2番底がやって来る。いや、一体底がどこなのかまだ分からない、底なしかもしれないのだ。まあ、本当の意味での底なしということはありえないがそれほどまでに厳しい状況もありえないことではない、という覚悟で今後に臨むべきだろう。


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●経済回復は幻想
国際決済銀行(BIS):将来の危機を警告
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=15501
【10月3日 by Andrew Gavin Marshall】

◆戦争は平和、自由は奴隷、無知は強さ、負債は回復
 リセッションに対する「終了」、危機に対する「解決」、経済に対する「回復」について、繰り返される途絶えることのない叫びについて、これらのことを言っている人々は、「懸念すべきことはない」とか、「ファンダメンタルは問題ない」、そして「経済危機などの危険はない」、と言っていた人々と同じ人々だということを思い出すべきである。
 まったく間違った判断をした人々のことをなぜわれわれは信用し続けるのか?なぜより正確な情報や分析に注意を向けないのか?おそらく、有効な情報は危機の震源地にあり、中央銀行の闇の世界の心臓部であり、世界的な金融当局の、そして世界のもっとも高名な金融機関であるところにあるだろう。それは確かに正確に危機について予測していた。それは国際決済銀行だ。ここからスタートすべきだろう。

 経済危機は終わった、「解決」は切断された腕にバンドエイドを貼り付けるように簡単だ、と言われているが、世界の中央銀行の中央銀行であるBISはそのような間違った希望に対し警告してきたし警告し続けてきている。

◆国際決済銀行とは何か?
 1029年ヤング委員会から始まった。・・・略
連合国へのワイマール・ドイツの賠償金支払いを調整し促進するよう企図されたものだ。しかしより一層重要だが隠されている目的は、「世界の中央銀行間の操作の調整」である。BISは世界の中央銀行の中央銀行としてデザインされているが、株主がいる民間企業であり、かつ公的な機関として運用されている。その内容は厳しく秘密扱いされていて、一般には知られていない。・・・略

 BISは「主要な金融センターであるロンドン、ニューヨーク、パリが一体となって機能できるようなメカニズムを提供することで、世界の金融センターとしてのロンドンの衰退を阻止するために創設された」とキャロル・キグリー教授は語っている。・・・略
 BISは、間違いなく世界で最もパワフルで秘密主義な金融機関だ。そこが発する警告は軽く考えてはならない。どこよりも重要な情報に通じたところだからだ。

◆デリバティブ危機が迫っている
 2009年9月、BISレポートでは、「デリバティブの世界市場は第2四半期で426兆ドルに増えたが、システムは不安定のままであり、危機的になることもありうる」と報告している。BISの季刊レポートは、先物とオプション契約のためにデリバティブは16%上昇したと報告している。BISのチーフエコノミストはデリバティブ市場は国際金融セクターで「大規模なシステム・リスク」を引き起こしつつあり、「危険は、衝撃の状況の中で監督当局が大型の機関が処理しうるより以上の負債を抱えていることを理解していないことにある」と警告している。このエコノミストは、「ヘッジファンドを用いてデリバティブを運用することは、大きくて隠れた脅威を抱えることになる」と語っている。

 このBISレポートが公開された翌日、BISの前チーフエコノミストである、ウィリアム・ホワイト氏は、「経済の下降の核心部分の問題に対して世界は取り組んできていないので、リセッションにまた陥るだろう」と警告した。更に、「短期で経済を立て直そうとする政府の動きは、おそらく将来の危機の種を蒔くことになる」と警告している。彼は二番底不況を警告している。「我々はW字型のリセッションに向かっているのだろうか?おそらくそうである。L字型か?そうだとしても少しも驚くべきこととは思わない」。彼は更に、「私が驚くとしたら、すばやい持続可能な回復である」と付け加えた。
 フィナンシャル・タイムズ紙は、ホワイト氏のコメントは軽く扱われるべきではない、と説明している。ホワイト氏は「繰り返し、世界金融システムの危険な不均衡について2003年ころから当時の中央銀行の重要なタブーを破ってずっと警告を発してきている。彼はFedのアラン・グリーンスパン議長の低金利政策にあえて挑戦してきた人物だ」と書いている。

フィナンシャル・タイムズ紙は更に書いている
世界中で、中央銀行は恐慌を避けようとして数千億ドルもの資金をこの2年間で金融システムに注ぎこんだ。その間、政府は似たような極端な政策、大規模な借り入れた資金を銀行制度から自動車製造業にまで注入した。
 ホワイト氏は、「こういった政策は既にアセットプライスのバブル化を進めている」と語り、「このインフレ傾向が中期的には手におえなくなる可能性がある」と警告している。香港でのスピーチでホワイト氏は「世界経済の内在する問題、アメリカ、ヨーロッパ、アジア間の貿易不均衡といった持続不可能な問題は、解決されていない」と言っている。・・・略

 今年6月末、BISは「財政的景気刺激策は臨時的な成長を刺激はするかもしれぬが、長引く経済的な停滞を招く」と警告した。・・・略

 フィナンシャル・タイムズ紙は、ホワイト氏は、「政府の2年間の金融システム支援の後、今や我々は更に巨大化し更に危険になった銀行を抱えることになった」と指摘しているとし、その銀行は、IMFのチーフエコノミストであったシモン・ジョンソン氏によれば、「金融業界が事実上アメリカ政府を虜にした」のであり、「景気回復は、根本的な改革を阻害している金融寡頭制を打破しない限り失敗に終わる」と述べた、と報告している。・・・略

◆迫りくる危機
 デリバティブ市場は、世界経済の安定化に対し巨大な脅威となっている。しかしながら、それは多くの脅威の一つに過ぎない。部屋の中にいるでかい象は、救済措置で生じた金融バブルであり、世界的な“刺激策”である。この資金は経済の強化のために主要銀行によって使用された。小さな銀行の買取、実体経済、製造業界の吸収などだ。資金はまた投機に注がれた。これがデリバティブ・バブルを煽り、株式市場の上昇を引っ張った。完全に実体のない、操作された上昇である。救済措置は実際は、デリバティブ・バブルを煽ったのであり、それが危険水域に達していて、また株式市場を持続不能の状況にまで膨張させた。救済措置の、そしていわゆる刺激策によって、巨大な脅威が生起することになった。経済危機は低金利と金融緩和によって生み出された。ハイリスクローンが作られ、資金がなんにでも注がれていき、住宅市場は膨張し、商業不動産市場も膨張し、デリバティブ取引は1年で数百兆ドルずつ膨張した。投機が世界の金融市場を席巻し支配した。ヘッジファンドはデリバティブ取引を促進し、大銀行は主要な参加者であり所有者であった。

 同時に政府は、特にアメリカ政府は資金を制限なしに使い、無からドルを印刷して戦争と国防のためとして数兆ドルも使った。これら一切の生み出された資金は今度は負債を生み出した。2007年負債総額は51兆ドルに達していた。
 返済は不可能であると見られるこの負債額では足りないのか、と思わせるように、過去2年間は、景気刺激策と救済策の形での負債が最も大きく拡大した。2009年7月、「アメリカの納税者は、23兆7000億ドルもの巨額の負債を、経済を支えるためとし、あるいは金融会社の救済資金として背負わされている」、と財務省の不良資産買取プログラムの特別査察官であるネイル・バロフスキー氏は語った。


◆ビルダーバーグ計画が発動?
 2009年5月、ヨーロッパや北米のエリートたちの集まる高度に秘密主義的なビルダーバーグ会議に関する記事を書いた。ビルダーバーグ会議は、私的な国際的シンクタンクとしての働きをしている。彼らは一切情報を発表しない。従って会議の報告というのは、漏れてきた情報であり、その情報源は確認できない。しかしダニエル・エスチューリン氏によってもたらされたものは驚くほどに正確だったことが明らかになっている。
 今年5月、この会議からの情報では、この会議での主要な議題は驚くべきことだが「経済危機」であった。・・・略

 議題の重要な点としては、「経済が上向くであろうというまやかしを信じている数百万の貯蓄家、投資家らを騙し続けること。彼らはまもなく巨額の損失と厳しい金融的な打撃にさらされることになっている」という点があったことを明記しておきたい。・・・略
 エスチューリン氏は、「ヨーロッパの指導的銀行家らは自身の金融的死の亡霊に怯えている。この状況を持続不可能と見ているし、アメリカの予算と貿易の赤字がドル下落を引き起こすと見ている」と報告している。
 一人のビルダーバーガーは、「銀行家らもいつ底を打つのか分からない」と言っている。皆の意見が一致したのは、「アメリカの銀行が必要としている資金は政府が最近のストレス・テストで示唆したものより相当に多いだろう」という点だ。更に、「IMFの関係者は、歴史的リセッションの研究でアメリカはまだ3分の1の行程にある、と指摘した。従って期待されている経済の回復にはまだ時間がかかる」という。一人の参加者は、「2008年のエクィティの損失は1929年のそれより悪い」と語り、「経済下降の次の局面は1930年代より悪いだろう。それは主にアメリカ経済が約20兆ドルもの負債を抱えているからだ。その負債が清算されるまでは、健全な成長という考えは幻想だ」と語った。

 経済が回復基調にあるという考え方はビルダーバーグ会議の計画の表明であろうか? この問題に対する回答をしようと思えば、この会議の重要な参加者らがどういった者たちかをしらねばならない。

◆中央銀行
 多くの中央銀行が参加している。ギリシャ国民銀行の頭取、イタリア銀行の頭取、ヨーロッパ投資銀行会長、ジェームズ・ウォルフェンソン前世界銀行会長、オランダ中央銀行会長で、BIS理事のジョン・ウロウド・トリシェット氏、ヨーロッパ中央銀行会長、ベルギー国民銀行副頭取、オーストラリア中央銀行の常務理事の一人などがその主な人々だ。

◆金融大臣とメディア
 金融大臣と関係高官らが多くの国から参加した。フィンランド、フランス、イギリス、イタリア、ギリシャ、ポルトガル、スペインなどだ。またメディア業界からの代表者らが参加している。・・・略


◆銀行家
 私有銀行の参加もあることを指摘しておきたい。それは国際的な主要な銀行こそこれらの中央銀行の株主だからだ。そしてその中央銀行がBISの株式の所有者である。ドイツ銀行、ラザーフレール、モルガン・スタンレー、ゴールドマンサックス、王立スコットランド銀行、などだ。またデイビッド・ロックフェラー前チェースマンハッタン銀行CEOが資本主義の王として言及されていたことを指摘しておきたい。


◆オバマ政権
 経済危機の解決を託されているオバマ政権からの参加者があった。ティモシー・ガイトナー財務長官、ローレンス・サマーズホワイトハウス経済審議会理事、ポール・ボルカー前連邦準備制度理事、ロバート・ぜーリック前ゴールドマンサックス会長などだ。ベン・バーナンキ連邦準備制度議長が参加したかどうかははっきりしない。
 これらの主要なプレイヤーは大きな影響力を駆使して経済危機についての考え方を捻じ曲げている。そしてそこから利益も得ている者たちだ。しかしながら、たとえどんなイメージを作ろうと、それはイメージに過ぎない。幻想はまもなく打ち破られる。そして今までの危機といわれたものは、経済危機の序章であったことが分かるだろう。

◆結論
 BISとそのチーフエコノミストであったウィリアム・ホワイト氏の警告は、軽々しく扱われるべきではない。BISとホワイト氏の警告は過去、省みられることがなかった。しかし正確であったことが時間の経過と共にはっきりしている。メディアが主張する「経済の回復」なるものが、「経済の実情」を覆い隠すようなことにならないようにしなければならない。たしかに希望を失うようなことだが、我々が立っているところのものを理解しておくことは、たとえそれが、危険をふりまくことになろうとも無知のまま地雷原を向こう見ずに進むよりかは、より重要なことだ。

 医者は最初にどこに問題があり、その診断をし、その後始めて解決の処方箋を提供できる。もし診断が誤れば、処方箋はうまく効かないだろう、というより事態を悪化せしめかねない。
 世界経済は大きなガンを抱えている。それは正しく診断する者もいたのだが、出された処方箋は咳を鎮めるものだった。世界経済の腫瘍の存在は明らかだ。問題はその事実を受け止めることができるのか、それを主張できるのか、である。あるいは我々は咳の処方箋が腫瘍を取り除くなどとうそぶくのか。生き残りのチャンスを与えることをどう考えるか?「無知は幸福」という考え方を受け入れるのか。
 ガンジーが言ったように、「真実より大いなる神はいない」であろう。

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3重カーブ

◆10月9日

 去年の9月以来の世界的金融危機はまだ収まりを付けていないばかりか、むしろ深化している。このままではアメリカは破綻する、と見られている。それが起きればアメリカのみならず、世界全体が連鎖反応的は崩壊現象に見舞われる、という危険が迫ってきている。
 それは貿易の自由化やグローバリゼーションといわれる経済的な世界化が進んだ結果から推測できることだ。
 
 この問題の解決には、破綻しているシステムを保護することをしないで破綻させ、新しいクレジット・システムを創出する必要がある、とリンドン・ラルーシュ・ジュニアが語っている。
 そしてその核となるのが、金融デリバティブ製品とその関連仮想価値の商品類を切除することにある、と言う。ようするにデリバティブ商品をなかったことにする、ということだ。

 そのような大手術をしないと、アメリカの崩壊を止めることはできず、アメリカの崩壊は世界全体の崩壊を意味する。
 このブログでも、世界は様変わりする、と何回か指摘してきたが、それはこのアメリカの崩壊という大事象が迫ってきているからだ。


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●崩壊する帝国:このバブル(無駄口)の塔
http://www.larouchepub.com/lar/2009/3639tower_babble.html
【10月9日 by Lyndon H. LaRouche, Jr.】
 破産清算システムをすぐ発動せねば、国民国家の世界システム全体に連鎖反応が起きばらばらとなる。それは早ければこの10月にもやってくるかもしれない。もしそれを起きるに任せれば、それはハイパーインフレーション的な崩壊という結果となって現れるだろう。丁度1923年のワイマール共和国のような、ただし一国だけではなく、今回は世界全体が巻き込まれ、国家というものをばらばらにしていくことだろう。我々の提案する「破産の中の再編成」が何カ国かの指導国家を現在の国際通貨制度から、米国憲法にしたためられている型のクレジット・システムに転向させることができれば、今ならそれを阻止することができる。それがなされねば、既に運命は避けられないところにまで来ている。

 全体の世界システムに対する現在の脅威の原因を理解するためには、考慮されるべき重要な事実が2点ある。最初に考慮すべきは私が言う「3重カーブ」だ。この3重カーブとは、早ければこの10月にもアメリカで崩壊の条件が煮詰まる理由を科学的に説明するものだ。
 なぜそのようなアメリカの崩壊がすぐさま世界全体への連鎖反応を引き起こすかを発見するためには、二つの要素が結合した問題の40年間の影響を考慮することが必要である。
 この連結要素の最初のものは、「貿易の自由化」の拡大だ。2番目のものは、非常に問題が大きくなっている「グローバリゼーション」と呼ばれる政策である。この二つの連結要素は、実際、現代の主権国民国家の経済に本来備わっているバリアーを破壊してしまっている。それが世界全体の経済の崩壊の連鎖反応の影響が拡大するのを防ぐファイヤーブレーキのような働きをしていたのだ。
 この世界的な文明を脅威にさらすものを「モンサント効果」と呼べるかもしれない。それはあらゆる道理に適った法に逆らって、モンサント社が穀物畑で行うことを許可された、独占的手法の影響の仕方と似ているからだ。
 「グローバリセーション」のプロセスの影響は、次の典型的な事柄に現れている。


◆現代のグローバリゼーション

 今日グローバリゼーションと呼ばれているものは、1940年代から50年代にいわゆる「逃亡企業」と共に始まっている。例えば、比較的優れている文化内容を持つ地域に発達した産業は、安い労働賃金の地域に移行していった。このトレンドは、知的生活で低いレベルにある安い労働市場へ雇用が移っていったアメリカで始まり、国家経済を通して生活水準の低下につながった。このことで、文化の発達と生産性から利益はやってこずに、安い労働からやってくることになり、低い生産性の地域へ生産は移っていってしまう。
 
 全体的な世界経済の退化プロセスは、現在グローバリゼーションと言われるものになっている。「グローバリゼーション」とは自国で消費する製品を国家が製造することを止めるという傾向であり、他の国にその製造を移してしまうことで、その国の、例えば食糧安保を破壊するところにまで行ってしまう。
 製造と消費のコントロールは、国際金融カルテルの手の内にある。このカルテルが、誰が生存し誰が死ぬべきかを彼らが価格マージンと賃金をコントロールすることで決めている。
 このプロセスが収束する中で現れてくる影響は、聖書にあるバベルの塔のコピーである。この中で知的には有効な言語文化だったものが退化し、奴隷の大群の中で文化的な愚かさの相対的条件になってしまった。
 既に確立された現代世界の条件下での付随する影響は、重要な国家でのいかなる金融崩壊も旱魃でやられた森林の野火のように世界経済全体に広がるということだ。
 中国のケースはいい例だ。中国は他の国の、主にアメリカの経済で生産されていた商品の生産工場のごみ溜めとして使用された。中国はまたドイツなどの進んだテクノロジーに依存していた。そのテクノロジーでドイツは自国の消費のための生産をすることが許されなくなった。中国製商品の外国市場が崩壊する時、中国はたちまち二つの主要な影響にさらされる。自国の経済が成り立っていた市場を失うことと、そのために社会的な危機に直面する、ということだ。
 アメリカ経済の破滅とブッシュ政権の無能さにより、別の2重の苦境が中国に生じる。アメリカは中国に対し2兆ドルの負債を抱えていた。これは返済の意思がないものだ。
 
 主権国家間の健全な関係の下で、各国は保護主義的な方法で国内経済を保護するよう促されている。特に主要な消費全体のほぼ80%にまで自給自足率を高めることと、他の国で生じた問題が引き起こす厳しい衝撃から自国を守る、他国との間の関税合意によって自国経済の保護を行っている。基幹的な経済の自給自足と有効な国家主権とは正常な世界秩序の核心である。しかしグローバリゼーションと関連する方策は、殆どこういった保護要素を破壊してしまった。これらは地球のどこかで生じる重大な混乱に対し自国を防衛するものとして主権国家が確保していたものだ。

 そういうわけで、アメリカのドルの崩壊は即、地球全体に連鎖反応的崩壊が広がることを意味する。

 そのような偶発事象に我々はこの10月、直面している。それに対する処方は、爆発的でハイパーインフレ的な通貨の混乱の主要な原因となっているものの封鎖である。これは、経済をグラス・スティーガル法の基本的概念を基礎とする破綻の手続きに進めることで行う。
 金融デリバティブと関連する仮想的価値の類のものは破産規則の下、切除するだけである。その間、グラス・スティーガル法の下で機能している銀行制度は“救済に値する”内容がある場合、破産防止策の下、そのまま継続するだろう。
 これは私が提案してきた、2007自宅所有者・銀行保護法案だ。バーニー・フランクその他の者たちによって阻止されていなければ、今日、我々は危機の森林から抜け出していたことだろう。

 今日、要請されていることはもっとある。アメリカ、ロシア、中国、インド間の、この影響に対する先行的合意により通貨制度に替わる新しいクレジット・システムの創出なしに、上記の4カ国を含んでいかなる国家も立ち行けないだろう。世界の人口67億人は急速に減少しつつあり、イギリスのフィリップ殿下が彼の望む数字だとして語った数に向かうかもしれない。

 時間は無くなりつつある。アメリカがこの10月を乗り切ることができるかどうか、既に厳しい状況である。

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崩壊の危機に瀕しているドル

◆10月8日

 イラクが自国の石油販売をドルではなくユーロにすると発表したため、米英による戦争を仕掛けられ、今の有様となった、と言われている。イラク戦争の理由の一つは確かにそのとおりだ。
 それほどアメリカにとっては、石油取引にドルが使用されなくなることの意味するところのものが大きいことを意味している。つまり膨大な世界の石油取引が多くがドルで決済されることで、常に膨大なドルの需要があることで、ドルはその価値を維持してきたわけだ。

 しかしこの石油決済通貨としてのドルを嫌い、他の通貨による決済を模索する動きが近年顕著になってきている。
 そして今までアメリカとその石油取引で強い絆を築いてきた湾岸諸国が、中国やロシア、フランス、日本などと一緒に、その動きに加わるようになったことでドルの終焉がいよいよ現実味を帯びてきた。

 中東問題の専門家である、ロバート・フィスク氏が、中東の湾岸諸国がドル離れを始めたことを指摘し、その件に関する論考を発表した。



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●ドルの終焉
http://www.independent.co.uk/news/business/news/the-demise-of-the-dollar-1798175.html
【10月6日 By Robert Fisk】
 新世界秩序の図式の中で、アラブ諸国は中国、ロシア、フランスと共に原油取引で米ドルの使用を中止する動きを秘密裏にとり始めた。

 最近の中東歴史上のもっとも根本的な金融的な変化の中で、ペルシャ湾岸アラブ諸国は、中国、ロシア、日本、フランスと共に石油取引でドルの使用を中止し、替わりに日本円、中国元、ユーロ、金(きん)、そしてサウジ、アブダビ、クウェート、カタールを含む湾岸協力会議参加国の計画している新しい統一通貨、の通貨バスケットを採用しようとしている。
 秘密の会議はこの基本構想を煮詰めるために、既にロシアや中国、日本、ブラジルの金融大臣と中央銀行総裁らの間で行われてきている。石油はドルではもう計られないということになる。

 この計画は、ペルシャ湾岸国と香港の銀行筋によって インデペンデンツ紙によって確認されている。金価格の突然の上昇により説明されるかもしれない。しかしドル市場から9年間で移行するという驚くべき点が話し合われている。
 アメリカ人は、詳細は知らないのだがこの話し合いがなされていることは知っている。彼らは、この国際的なグループと戦うつもりだが、これには長い間の同盟国である日本や湾岸諸国が入っている。この通貨会議の背景に対して、中国の中東特使であるSun Bigan氏は、中東の石油に対する影響力で中国とアメリカが亀裂を深めることにはリスクがあると警告している。「2国家間の不和と衝突は避けがたい」と、彼はアジア・アフリカ・レビュー紙に語った。「エネルギー利権と安全保障に関する中東での敵対的な関係に対する警戒を弱めることはできない」と語った。

 これは、中東の石油についてアメリカと中国との将来における経済戦争の危険な予測のように聞こえる。地域の紛争を大国同士の覇権争いにしてしまう。
中国は石油の増加する需要においてはエネルギー効率の悪さのためアメリカ以上だ。ドルから離脱する上での移行時期の通貨については、中国の銀行筋によれば、金(きん)であるかもしれない。この件にかかわる巨大な資金は、アブダビ、サウジ、クウェート、カタールの保有する推定2兆1000億ドルの準備通貨によって賄われる。
 現在の世界的なリセッションに連動するアメリカ経済の衰退は、ロバート・ぜーリック世界銀行総裁により暗に認められている。「今回の危機の残したものの一つは経済力関係の変化が認められた、ということだ」と、今週のイスタンブールでのIMFと世界銀行の会議に先立って語った。しかし、それは中国の飛びぬけた新しい金融力と、国際的な金融システムにおけるアメリカの影響力に対する石油生産国と石油消費国の間にある過去の怒りが、湾岸諸国が絡んだ最近の話し合いを促したのだ。

 ブラジルはインドと共にドル以外での石油代金の支払いに協調する件で関心を示した。まさに中国は金融大国の中でもっとも熱心であることを示した。特に中東における莫大な取引のためだ。
 中国は60%の石油を中東とロシアから輸入している。今年までアメリカにより阻止されていたが、中国はイラクに石油生産の利権を持っているし、2008年からイランとの間で、80億ドルの石油精製能力開発とガス資源開発の合意を得ている。中国はスーダン(アメリカの利権と交代)との間に石油取引があり、リビアとの間でも石油利権に関する交渉が持たれている。そこでは全ての契約は合弁事業となっている。
 更に、中国のこの地域に対する輸出は、中東諸国各国の輸入量の10%以上になっている。自動車から兵器システム、食糧、衣類、人形まで巨大な製品の種類が含まれる。中国の金融力の明らかな徴がある中で、ジョン・クロード・トリシェットヨーロッパ中央銀行総裁は昨日、世界経済の均衡をとり戻し、ユーロの上昇への圧力を弱めるため、中国と共に中国元を、弱まるドルに対し評価し、ひいては中国のアメリカの通貨政策に依存する度合いを緩めることを明言した。
 
 現代の国際金融システムのための基本構造を生み出した第2次世界大戦後なされた合意事項であるブレトン・ウッズ合意以来、アメリカの貿易のパートナーはアメリカ政府のコントロールの力と、また最近では世界的な準備通貨としてのドルの支配と戦うことになった。

 中国人は、例えば、アメリカ人はドルからの離脱を阻止するためユーロ圏に入らないようイギリスを説得した、と考えている。しかし中国の銀行筋は、彼らの話し合いは、阻止するにはあまりに先に話が進んでしまっていると言う。
 「ロシア人は最終的にはルーブルを通貨バスケットに入れるだろう」と、香港の有名なブローカーはインデペンデンツ紙に語った。
 「イギリス人は中間で動けなくなっているが、ユーロ圏に入りそうだ。彼らには他の選択肢はない。それは彼らはドルを使用したいとは思わないからだ」

 中国の金融筋は、オバマ大統領はアメリカ経済を修復することであまりにも忙しすぎて9年間でドルから移行するという驚くべき話に注目することができない、と考えている。通貨の移行は2018年が期限となっている。
 アメリカはピッツバーグのG20会議でトレンドについて話し合いを行った。中国中央銀行総裁と他の高官らはドルについての懸念を何年も持っていた。彼らの問題は、彼らの国の資産はドル・アセットと連携されていることだ。
 「彼らの計画は国際金融取引の様相を一変させるだろう」と、中国人の銀行家は語った。「アメリカとイギリスは大変心配することだろう。このニュースが引き起こす雷のようなノーによってどれほど心配することだろうか」

 イランは先月末、自国の外貨準備をこれからドルではなくユーロで持つようにすると発表した。銀行家らは、勿論、中東の石油生産国が石油をドルではなくユーロで販売することにした時何が起きたか思い出している。サダム・フセインがその決定を声高に発表した数ヶ月後、アメリカとイギリスがイラクに侵攻したのだ。

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