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ロシアのステルス戦闘機
◆8月22日
インドとロシアが大型の兵器取引をするようだ。第五世代戦闘機でインドはアメリカのF-35ライトニングⅡを拒否し、ロシアの戦闘機を選ぶという。ロシアもインドもいわゆるBRICSといわれる多極化時代の有力国家同士であり、ユーラシア大陸の相当部分を占める大国同士である。
現在アメリカはイラン攻略の前段階としてシリア攻略を急いでいるが、長引いている。シリアの天王山としてのアレッポ攻略も出来ていない。出来るかどうかもわからない。ましてその後のイラン攻略は更に困難であろう。
そうこうする内に、ヨーロッパ発の世界経済の混乱・危機が勃発しそうであり、米大統領選挙も近づくことで、アメリカ、そしてNATO勢力は内側から力を喪失することで、ユーラシア大陸のハートランドないしは石油埋蔵地帯掌握の世界戦略は頓挫するかしないかの瀬戸際に来ている、といえる。
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●インドとロシア:350億ドル相当の兵器取引契約へ
http://articles.timesofindia.indiatimes.com/2012-08-19/india/33272261_1_5th-gen-swing-role-fighter-biggest-ever-defence
【8月19日 Rajat Pandit THE TIMES OF INDIA】
第五世代ステルス戦闘機を獲得しようとするインドでは、今後20年間で350億ドル相当の支出となる最大規模の国防プロジェクトがその最終段階に入っている。
インドとロシアは第五世代戦闘機の最終デザインないしはR&D段階契約を今年末あるいは来年2013年初めに行うところにきている、と情報筋が語った。これはまたインドがアメリカが申し入れていた統合打撃戦闘機(JSF)あるいはF-35ライトニングⅡをかたくなに拒否したことを意味する。
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シリアの反政府勢力
◆8月20日
8月16日号で、「欧米・湾岸アラブ君主国家群・イスラエル・トルコ・アルカイダvsロシア・中国・イラン・ヒズボラ・シリアという構図の戦争であり」と書いたが、中東・イスラム世界に焦点を絞れば、これはサウジアラビアとイランの覇権争いともいえる。シリアがその戦場である。
以下の記事では、シリアでイランの革命防衛隊メンバーが誘拐されたと言うが、そうだとすれば、イランの革命防衛隊メンバーがその他にもいるはずであり、シリアにとっては心強いことであろう。サウジとカタールは反政府勢力の傭兵に武器と資金を提供するだけであるが、イランは実際の軍人を派遣することで、より深くこのシリア問題に関わっている形だ。
シリアの天王山はアレッポの攻防となっている。その趨勢次第では、イランの軍事介入が強化されることも考えられる。
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●イランとサウジはシリアで代理戦争
http://www.dw.de/dw/article/0,,16176531,00.html
【8月18日 Deutsche Welle】
サウジアラビアとイランはイスラム世界で指導権をめぐって争う二つのライバル国家であるが、今週メッカで開催されたイスラム諸国会議機構(OIC)サミットでは外部に向かっては少なくとも、良好な関係を維持しているところを見せようとした。
イランのアハマディネジャド大統領は主催者であるサウジアラビアのアブドゥラ国王の隣の席についた。スピーチの中で、アハマディネジャドは、同一の宗教を持ち、同一の預言者を持ち、同一の聖典を持つことは、お互いの違いを超えて余りあるものだ、と強調した。
◆イランの外交的敗退
このOICサミットで、リーダー達は協力を呼びかけたが、座席のアレンジも友好的スピーチもドアの後ろでの白熱した議論も、サミットの結果を左右することはなかった:シリアの機構参加の停止とシリアとこの地域でもっとも近い同盟国であるイランの外交的敗退である。
サミットに先立ち、テヘラン大学の国際関係論教授のヘルミダス・バワンドは改革論のウェブサイトで、「我々はまぬけ者にされるだろう」と警告していた。
アハマディネジャド自身も、反シリア決議を阻止できるとは思っていなかった。
「私の声だけが反対論をぶった。その声は会議で上げられるべきだった」と、彼はイランに帰国してから語った。メッカのサミットでイランの考えを押すことに失敗したことは、彼は政治家として終わる身の上であることをサウジがよく分かっていたからだ。
アハマディネジャドの職務期間は来年の春までであり、たとえば、核計画とかイランのシリアとの関係とか、イランの重大問題については語ることは殆どないのだ。サウジアラビアは宗教指導者であるアリ・ハメネイ師がイランの計画を策定していることを知っている。そして彼がイランを対立の道に引っ張っていることを知っている。
■イスラム的ライバル
サウジアラビアはアハマディネジャドを責任を持って国を運営する人物とはみなしていない。中東を誰が指導するのかという点での、イランとサウジの古いライバル関係はシリアでも争われている。サウジの王は「メッカとメジナの聖殿の僕」と自分を表現しているが、ハメネイは「イスラム革命の指導者」としている。
二つの国家はイスラム世界の分裂の起点となっている:サウジアラビアはスンニー派の指導者と自国を見ているし、イランはシーア派を導いている。シリア内での紛争は、アサド大統領がシーア派に近いアラウィ派であり、従って自然にイランの同盟国である。
非公式のイランとサウジの代理戦争はこの8月の初旬に48名のイラン人がダマスカスで誘拐された事件を通して中心的要素を帯びだした。イランの外相はすぐさま、この人々が巡礼者だと述べた。数時間後、サウジに近いスンニー派の反乱グループの一つが犯行声明を述べた。そしてサウジ資本のアルアラビア・テレビでイラン人のビデオ映像が放映された。ビデオの中で反乱グループのスポークスマンは、誘拐された者たちは巡礼者ではなくイラン革命防衛隊メンバーだと言っっている。
■アメリカはイランの役割に懸念
イランはシリアのアサド政権が崩壊することを阻止しようとしている。革命防衛隊はシリア領内での彼らのかつど言うについては語らない。彼らは、シリアは対イスラエルのレジスタンスの要塞であり、それがためイランはシリアを支援すると語り、イラン系ウェブサイト上に、革命防衛隊のクァド旅団の副司令官のイスマイル・ガアニ将軍は説明した。「我々のためにならないのであれば、もっと多くの人々が死んでいただろう」。この言葉は後でウェブサイトから削除された。
アメリカの軍事・情報関連将校らは、イランがシリアのアサド政権を支援するよう民兵らを訓練していると考えている。少なくとも誘拐された巡礼者の何人かは革命防衛隊メンバーであった、とアメリカは言っている。アメリカのレオン・パネッタ国防長官は、ホワイトハウスはシリアの状況に非常に懸念を持っており、イランはこの紛争から離れているべきだと語った。同時にパネッタはアメリカがシリアの反政府勢力に対する支援を強化するかもしれない、と語った。
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シリア騒乱の天王山と化したアレッポ
◆8月16日
リビヤの戦車がよりによって対シリアの戦闘で使用されるとは、よくもよくもリビヤ問題が発生した時の、ロシアのメドベージェフ大統領(当時)の国連安保理に対する姿勢がここまで尾を引いてしまったか、という感を禁じえない。ロシアが拒否権を行使せず、棄権に回った為、NATOの戦闘参加が可能となり、リビヤは制空権を失い、カダフィ政権は転覆させられた。そして今や、そのリビヤの戦車がシリアで反アサド勢力の手中にあって、シリア軍に対して火を吹くことになったのだ。日本の将棋に似て、取られた味方の駒が敵に駒として利用されてしまったのだ。
これで以下のデブカファイルが指摘しているように、シリアの戦闘の行方は分からなくなった。というより長期化することは避けられないだろう。相手は命知らずの聖戦主義者(ジハーディスト)の荒くれ者どもで、金に糸目をつけない湾岸君主アラブ国家がパトロンとして後ろ盾に付き、欲しいだけの武器が送られてくるし、後方は自分たちを支援してくれるトルコという中東でも強大な軍事力を有する国が控えている。
昨日の記事で指摘された、クルド人と組んでトルコやそこから侵入する武装ゲリラに対処する、ということが考えられるが、クルド人にもやはり十分な火器が渡されることがなければ、効果は薄い。既に欧米・湾岸アラブ君主国家群・イスラエル・トルコ・アルカイダvsロシア・中国・イラン・ヒズボラ・シリアという構図の戦争であり、直接対決しているのは、この「アルカイダ系ゲリラ+亡命シリア兵士」vs「シリア正規軍・親政府民兵」である。
この際、ロシアがシリアに対して最新兵器を供給し、大量破壊兵器の使用を抑えながら、多少時間がかかっても北方のトルコとの国境近くの反政府勢力側の安全地帯を奪還することが望ましいだろう。大量破壊兵器を使用すれば、欧米側が国連の枠外であってもシリアに対する軍事的制裁を科す口実となりうるからだ。そしてその間に、トルコ内のクルド労働者党のゲリラ活動を活発化させる戦略が対抗措置として有効だろう。サウジやカタールでの「アラブの春」運動の活発化も対抗措置として有効であるから、それを推進させるべきである。
シリアのアサド政権が転覆するようなことがあれば、次は間違いなくイランであり、それは間違いなくロシア・中国も直接的に介入せざるを得ない事態となる。これは中東大戦争へと発展し、さらには世界大戦へと発展しかねないものになる。だからこそ、シリアの段階で欧米側の野望を頓挫させておくべきなのだ。
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●ロシア製T-62戦車で武装しだしたシリアの反政府勢力
http://www.debka.com/article/22273/Syrian-rebels-armed-with-first-T-62-tanks
【8月14日 DEBKAfile】
シリアの反政府勢力に対する支援を行っている欧米と湾岸アラブ君主国群は軍事支援面でロシア製T-62戦車をリビヤから送ることで強化に乗り出した、とデブカファイルが報じた。アメリカのクリントン国務長官は最初の重火器の引渡しを8月13日にイスタンブールへの短い訪問時に了承した。カタールがこの戦車引渡しの費用の責任を持つ。
オバマ政権は最初、自由シリア軍に対し、FIM-92対空スティンガー・ミサイルを供給することでトルコと合意した、と8月11日にデブカファイルは明らかにした。
アサド政権に対する18ヶ月に及ぶ反乱で初めて8月13日、反政府勢力は肩に担げるスティンガー・ミサイルでシリア空軍の戦闘機であるMig-21をデイル・アルズール北東で撃ち落した。シリア政府は技術的問題で墜落したと主張したが、反政府勢力側は捕縛されたパイロットであるラフィク・モハメド・スレイマン大佐の写真を公開した。
シリアの紛争はこのように序章としての新しい段階に入ったとし、デブカファイルの軍情報筋は、それはシリア領内に安全地帯を作り出すことで、これを自由シリア軍やその他のグループが防衛することになりそうだ、と報じている。
アンカラの情報筋は、この安全地帯をシリア領内に5kmから25kmの幅でトルコとイラクとの国境沿いに作る計画をトルコが作成した、と報じている。トルコはこの安全地帯を軍事面よりも、紛争を避けて逃げてきた数万人のシリア人が難民としてトルコに侵入するのを防止することでトルコをこの難民という重荷から解放する面を重視している。
この戦車とスティンガーは、今まで空と戦場で自由に動けたシリア政府軍の軍用機と戦車に対する防衛的聖域を生み出すことになった。
このリビヤからの20台のT-62戦車は先週、トルコのイスケンデルン港に陸揚げされ、自由シリア軍の標章が描かれた。これらの戦車はシリアの反政府勢力で戦車戦の訓練を受けた者たちに引き渡されシリア北方に送られた。
デブカファイルの軍情報筋:アサドは決定的状況に直面している。シリアの反政府勢力に対する重火器の供給、スティンガー・ミサイルによるジェット戦闘機の撃墜、シリア領内にできつつある安全地帯などは、この戦闘の潮流が彼に不利になる変化をもたらす脅威となっている。
彼があわてて逃げ出すことがなければ、彼が大量破壊兵器を使用する危険性はかつてないほど大きくなった。彼の軍が自分たちの戦闘機が敵のミサイルで撃墜され、世界のテレビ画面が空中爆発し燃え盛る破片が地上に落下する模様を映し出すのを見るという事態が続けば、アサドは戦争を継続できない。シリアが生物化学兵器を使用する可能性に備えて、イスラエル、トルコ、ヨルダンはアメリカ軍と一緒に作業するチームを作り、この大量破壊兵器による攻撃を受けるアメリカ軍の施設やこれら三国に対応策と緊急医療体制をしくようにした。
時間が残されていないことを確認し、イスラエルのネタニヤフ首相とバラク国防相は13日の夜中から14日にかけて長い時間諮問を受け、14日の朝、元シン・ベイト長官で国内治安長官のアビ・ディヒターを自宅戦線大臣に指名した。
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ダマスカスで11日発見された大量の武器
◆8月15日
一万数千の武装ゲリラとほぼ2万のシリア政府軍がアレッポ付近で対峙し、徐々に政府軍が武装ゲリラ側の拠点を一つ一つ落として行っているようだ。おそらく今月中は激しい戦闘が継続することだろう。
その間、シリアの各地でも散発的なゲリラ活動のため政府軍もその対応に追われている。ダマスカスではとりあえず静穏が戻ったが、郊外では散発的なゲリラ側の攻撃が起きているし、下記にあるように大量の武器がつい最近も発見されたのを見れば、まだまだ油断は出来ない情勢のようだ。
それでもリビヤのようにシリアの中で、反政府側が奪取し政権打倒のための活動拠点となった場所は存在していない。アレッポも包囲殲滅の過程に入りつつある。これはシリア国民全般が、自国で起きていることは外国勢力の介入による反乱「現象」であり、市民の自発的な反政府運動ではないことを知っているからだ。
しかし一般市民はアサド政権を支持しても、やはり宗教的には少数派のアラウィ派がシリアを支配してきたいきさつ上、多数派のスンニー派としての意識が軍関係者の中でも大きくなっていることもまた事実だ。軍の指導部はキリスト教徒やアラウィ派が占めているようだが、スンニー派の中堅将校などの中には「スンニー派が支配するシリア」という将来像を描いて、それに賭ける者たちが出てきても不思議ではない。その流れが強まれば、シリアは本当の流血の大惨事の場所になるだろうし、本物の「内戦」状態に陥るだろう。
これを避ける為にも、シリア国民の、とりわけ軍関係者らの賢明で思慮深い対応が必要である。それが出来るかできないかは、シリアばかりではなく中東全体、ひいては世界全体の運命をも左右することになるだろう。
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●シリア政府軍がアレッポで反政府勢力を追撃
http://news.xinhuanet.com/english/world/2012-08/13/c_123578528.htm
【8月13日 新華社通信】
活動家らによれば、戦車と装甲車の支援をうけてシリア軍は13日、シリア北部のアレッポ市の反政府勢力が立てこもる地域に突入した、という。
シリア人権監視団体は戦車と装甲車と共に政府軍はアレッポの隣のサイフ・アルダウラの西部に突入したという。反政府勢力との衝突はこの地域の各所で起きている、という。
監視団体はアレッポ近郊のサラフディエンの数カ所は13日の早朝から政府軍の爆撃を受けていたという。サラフディエンは、リビヤ型のシナリオの序章として、アレッポに拠点を作ろうとした反政府勢力が最初に落とした場所であった。
アレッポでの激突は反政府勢力がこの地域から政府軍を駆逐すると宣言した三週間前から続いている。国営メディアは毎日、アレッポから反乱勢力を駆逐したと政府軍の勝利を誇示してきている一方、活動家らは反政府勢力は持ちこたえている、と主張している。
アレッポでの戦闘はシリアの次の段階を形作る決定的で重要なものとみなされている。これはアレッポがトルコとの国境から40kmしか離れておらず、戦略的に重要な地理的状況による。
一方、監視団体はダマスカス郊外のアルタルはこの地域を奪回せんとする政府軍による爆撃が行われた、と語った。
活動家のグループはホムス中央とデイル・アルズール地区東部で衝突が起きたと報じている。
13日にはシリア全土で50人が殺害され31人は非武装の市民だという。これらの活動家らの主張は裏づけをとることは出来ない。
国営のSANA通信社はシリアの一部隊がホムスのジュレト・アルシャヤで「武装テロリスト・グループ」を追撃し、大勢の「傭兵テロリスト」を殺害ないしは負傷させたと語った。
シリアはさまざまな反乱グループを、アルカイダがこの戦闘に参加するようになってからは特に「テロリスト」と呼ぶようになっている。
一方、ホムスの当局はサラミヤとホムスを結ぶ高速道路沿いにあるスク・アルガナムの市民と建物を攻撃した武装テロリストのグループを駆逐したとSANA通信が報じた。
さらにホムスでは郊外のタルビセ地域のテロリストの巣窟を襲撃し多くのテロリストを殺害した、とSANAが報じた。
SANAは政府軍がラタキア市と北西部のイドリブ地区で武装勢力に大きな損害をもたらした、と報じた。
シリア国連監視団団長のババカル・ガイェ将軍は13日、政府軍と反政府勢力との激しい衝突で一般市民の間に犠牲者が多くでている、と語った。
ガイェは紛争当事者のどちらも市民に対する配慮に欠けている、と語った。
「衝突がシリアの各地で広がっていることは明らかだ。政府側の重火器の使用と反政府勢力側の都市部でのゲリラ攻撃で一般市民の間に多くの犠牲者が出ている」と彼は語った。
●密輸された大量の武器をダマスカスで発見
http://www.presstv.ir/detail/2012/08/13/256051/weapons-ammunitions-seized-in-damascus/
【8月13日 PressTV】
シリアの治安部隊はダマスカスにある住宅の地下のトンネル内に大量の武器が貯蔵されていたのを発見した。
イスラエル製の爆弾、暗視ゴーグル、精密通信機器、それに衛星送信機などが押収された。
シリア軍はまた戦略的拠点に対する攻撃計画を詳細に記した書類等をトンネル内で発見した。
また治安部隊がこの住宅を急襲した際には、何人かの武装ゲリラも逮捕された。このトンネルは11日に旧ダマスカス市内で発見された。
昨年来、紛争の只中にあるシリアは、武装ゲリラが使用している武器類はトルコとレバノンから密輸されている、と語っている。
シリアはサウジアラビアとカタールがシリアの内紛を増大させ、反政府勢力に武器の支援をしている、と非難してきている。
シリアは2011年の3月から紛争に見舞われており、相当数の軍、治安関係者が殺害されている。
シリアのアサド大統領は8月1日、同国が「決定的で英雄的」な戦闘に突入したと語り、この戦闘がシリアの運命を決定する、と語った。
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ロンドンで深刻な顔つきのトルコのエルドアン首相
◆8月14日
トルコがシリアのアサド政権に対して、自由シリア軍など武装勢力に対する支援を通して揺さぶりをかけているため、シリアはトルコの何十年に渡る宿敵であるクルド労働者党に対する支援を強化し、トルコを背後から牽制しているようだ。
昨日の「アメリカとトルコはシリアに飛行禁止空域設定を計画」の記事の中で、「トルコはクルド人が独立運動をはじめやしないかと恐れている」という指摘があるように、トルコにとってクルド人問題は「獅子身中の虫」以上の潜在的脅威なのだ。そこでトルコから叩かれているシリアは改めてこのトルコの弱点を衝いてトルコのシリアに対する圧力を弱めようとしているのだ。
「やれば、やられる」というのがこの世の常だ。トルコが欧米・イスラエル・湾岸君主国群と一緒になってシリアのアサド政権転覆に力を入れているのであるから、シリアが反撃をするのも当然である。クルド人は総数2800万といわれているが、トルコにはその内1140~1500万人がいると言われている。トルコの人口が7500万弱だから、6人に1人はクルド人ということになる。これは大きい勢力だ。だからクルド人問題はトルコのアキレス腱なのだ。
このクルド人がシリアの北部からトルコに対する攻撃を行っている為、エルドアン首相はシリア領内に追撃するぞとシリア政府に警告している。
http://atlanticsentinel.com/2012/08/erdogan-does-not-rule-out-invasion-of-syrian-kurdistan/
要するに、トルコはシリア領内の反アサド武装勢力を支援し、それに対してシリア政府は反トルコ政府のクルド人武装勢力に対する支援を強化することで、トルコのシリアに対する圧力の矛先を弱めようとしているのだ。「やれば、やられる」のである。
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●シリア:トルコのクルド人民兵に武器供給
http://in.reuters.com/article/2012/08/09/syria-crisis-turkey-kurds-idINL6E8J
98YU20120809
【8月9日 Reuters】
トルコ外相は、トルコ政府と数十年にわたって衝突を繰り返しているクルド人民兵に対して武器を供給しているとしてシリアのアサド大統領を非難した。トルコ政府とクルド人民兵との戦いで既に4万人以上が死亡している。
トルコ軍とクルド労働者党(PKK」)民兵との衝突はトルコ南方のシリアとの国境近くでここ数週間激しさを増している。トルコ政府はPKKがシリア内の紛争を利用してその影響力を拡大しようとしていると懸念を表明している。
9日、PKK民兵と思われる者たちが西部のイズミール州でトルコ軍のバスを待ち伏せ攻撃し、軍人と民間人合わせて11人が殺された。
アハメト・ダブトグル外相はミャンマーへの旅行中記者団に対し、アサドはシリア北方のコバニとアフリンに拠点を持つPKKに武器を与えていると語った。
「アサドは武器の支援を彼らに行っている。これはファンタジーではない。事実だ。我々はこの脅威に対して必要な措置を取っている」と外相の言葉をインターネットのニュースサイトが報じている。
シリアからはコメントは出されていない。7月初め、トルコの新聞紙でのインタビューでアサドは、シリアがPKKにトルコとの国境に近いシリア領内で作戦を行うことを許可している、と言われていることを否定した。
ダブトグルのコメントは以前トルコの官僚が主張していた内容と一致している。
トルコはシリアの主要なクルド人政治活動団体の民主統一党(PYD)がPKKと連携している、と疑ってきた。トルコのアナリストはアサドがPYDにシリア北方のいくつかの町の治安を任せて、住民が自由シリア軍(FSA)に参加しないようにさせていると考えている。
トルコとシリアの関係は、トルコがアサド政権と「善隣外交」を進めることで国境監視を和らげ合同軍事演習を行っていた数年前に比べて著しく悪化している。
トルコのエルドアン首相は現在はアサド政権に対する最も厳しい批判者の一人であり、もしもPKKが脅威となればシリアに軍事介入する可能性を示唆している。
■不必要なパニック
軍人の離反者はトルコ南部にFSAの基地を作っている。また何人かはトルコ、カタール、サウジアラビアの将校らによって訓練を受け共同している。これらの将校らはアダナ市に近いところにある秘密の「指令センター」から作戦を指揮している、と湾岸諸国の情報筋がロイターに語った。
トルコの善隣外交を進めたダブトグル外相は、トルコがシリア北方の状況に対応できていないという批判を否定した。
「不必要なパニックがある。我々はこういったことを予期していたのだ。トルコのシリアに対する影響力はどこであってもどのような事態であっても弱くなってはいない」と彼は語った。
PYDの影響力が増大する件を質問されて外相は以下のように回答した:「彼らはアサドが追放されれば力の真空状態が生じることを利用しようとしている。しかし彼らの思惑通りにはならないだろう」と述べた。
自治区を与えるという問題は、新しい国会〔議員)が選出されたら考えるべきことだ、と語った。
「しかし、もしもある武装グループが国会議員の選出前にある場所の支配を確立したら、別の武装グループが別の場所の支配を確立するだろう。そういうことを我々は見たいとは思わない」と語った。
このPYDはトルコに対して、この地域に対する介入をしないよう、また恐れることはなにもない、と警告している。
1998年、トルコはアサドの父親の時代、PKKリーダーのアブドゥラ・オカランのダマスカス滞在とシリア北東部でのPKKの活動に対するシリアの支援に関する件でシリアと戦争しそうになったことがあった。
ハフェズ・アル・アサドはトルコからの脅威を深刻に受け止めオカランをシリアから追放した。オカランはその後まもなくトルコ軍によって、おそらくアメリカの支援もあってケニヤで捕まった。オカランはイスタンブール南方のある島の刑務所で終身刑で服役中だ。
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