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トルコのエルドアン首相と握手するクリントン米国務長官

◆8月13日

 アメリカのクリントン国務長官がトルコに行き、シリアに飛行禁止空域を設定する可能性についてトルコ指導部らと話し合ったという。これはリビアのやり方の再演を狙っていることを示している。リビア軍は制空権を奪われ、逆にNATO軍の爆撃を受けて壊滅した。

 シリアではそのリビヤの失敗の轍を踏まないように、ロシアは最初からシリア支援を積極的に行っている。従ってたとえアメリカ・トルコがシリアに対し飛行禁止空域設定を目論んでも、成功するとは思えない。結局具体的な対策を取れないまま、シリア軍がアレッポの一掃作戦を完了すれば、シリアの紛争は一段落を迎えることになるだろう。

 アレッポの反政府武装勢力の大半は外国人のテロリストであり、彼らは1万以上いるが、既に2000人ほどは減少している。これからシリア軍がさらに作戦を進めることで、その数はさらに減少していくことになる。そして欧米諸国・湾岸君主国群などからの支援がなければ、彼らに勝ち目はないから、トルコ領内に逃げ帰るか、殲滅させられるか、という運命をたどることになるだろう。

 結局、シリア国民の大半はシリアのアサド政権を支持し、反乱側に組する者たちはわずかであった、ということが真実であり、それがためシリアにおける「アラブの春」は頓挫しようとしているのだ。反乱を起こしてきたのは、主に外国人武装ゲリラであり、シリア国民ではなかったのだから、当然の帰結である。

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●アメリカとトルコはシリアに飛行禁止空域設定を計画
http://www.rt.com/news/clinton-turkey-syria-damascus-aleppo-437/
【8月11日 Russia Today】

 アメリカのクリントン国務長官とトルコのダブトグル外相は11日イスタンブールでの会談後、シリアに飛行禁止空域を設定することを計画していることを明らかにした。

 ロイターによれば、クリントンはトルコとアメリカはアサド政権を転覆する為に戦っている反政府勢力を、飛行禁止空域設定も含め支援する方法を計画する必要があると語った。

 記者会見でクリントンは飛行禁止空域設定は選択肢の一つだと示唆したが、この問題は「更に深い分析」が必要だと語った。

 これはアメリカが反政府勢力を支援するためにその力を使用する最初ではない。同じ戦術がリビヤの反政府勢力が昨年カダフィ政権を転覆するのを支援するのに使用された。

 今に至るまで、アメリカはシリアに対し軍事的役割を担うことに消極的だった。しかし、リビヤの状況が繰り返されるとすれば、アメリカの軍事的介入は近い将来現実的可能性となるかもしれないし、それはシリアにおける17ヶ月に及ぶ紛争を長引かせるだけであろう。

 会談の最中、クリントンはAPによれば、シリア危機に対応するため、トルコに作業グループを置くことになるだろうと語った、という。

 このグループはアメリカとトルコの軍・情報関連の介入度合いを深めることになるかもしれない。

 「我々はこの紛争の流れを注意深く追ってきたが、今や我々は実際的な作業計画を立てる必要が出てきた。これは我々両政府が共に関わって行く必要があるものだ」と、クリントンは語った。

 クリントンは共にシリアの反政府勢力を支持するエルドアン首相とグル大統領と会談する予定でいる。 

 アメリカはシリアに民主的移行のための土台作りを目指している。この会談はダマスカスで衝突が起きているという報道がなされている時に行われた。

 11日早朝、シリア国営テレビはダマスカス郊外での衝突を報じている時、武装ゲリラが三人のシリア人ジャーナリストと運転手を拉致したと報じた。彼らは親政府系テレビ局で仕事をしている者たちである。

 中東歴史政治学のジェレミー・ソルト教授によれば、反政府勢力は欧米同盟側からの支援がなければ紛争に勝利することはできない、という。

 「現在のところでは、ダマスカスでは反政府勢力がほぼ一掃された。アレッポは一掃されつつあるところだ。シリア軍は戦略を持っている。彼らはサラ・アルディン地区を2日間で一掃した。そしてそのやり方で他の地区をやっている。従って反政府勢力がより多くの重火器を支援してもらわねば、彼らは負け戦をすることになるだろう。それがためクリントンはイスタンブールに行ったのだ」とソルトは語った。

 その間も、反政府勢力側は戦場となっているアレッポを制圧できないでもがいている。

 激しい砲撃のため南西地区のサラ・アルディン地区から7日、撤退せざるを得なくなったアレッポにいる反政府勢力はシリア軍に対する反撃を準備している。

 アレッポは欧米諸国の深刻な懸念材料となっていると、外交問題アナリストのリチャード・ヘイダリアンはRTに語った。

 「欧米は首相の亡命を含む最近の出来事の為、流血の惨事を今現在、予感している。クリントンがやろうとしていることは、トルコと共に、そしてイスラエルとアラブ諸国の支援で何らかの軍事的対応をすることである。それはアレッポの拠点を維持するチャンスがあると考えているからだ」と、ヘイダリアンは語った。

 しかしながらトルコは、会合に参加したのには別の独自の動機からだ。5万人になるトルコに流入したシリア人難民に対する対応で、トルコは自国自身の人道的危機が深まっているのに対処しているところなのだ。クリントンはトルコ領内に流れてきたシリア人のため550万ドルの支援を発表したところだ。 

 「トルコは二つの側面を持っている。一つはこの悲劇と流れてくるシリア人に強い懸念を持っている。トルコはシリアからの難民の最大の受け皿の一つである。他方、クルド人の反乱の増大がある。これはシリアとイランのクルド人と連携がある。トルコはクルド人が独立運動をはじめやしないかと恐れている」とヘイダリアンは語った。 

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トルコの救急車がシリア内に武器・弾薬を運んでいる

◆8月11日

 シリアでの反政府勢力に対するトルコの支援は早くからなされてきたが、トルコの野党議員はトルコの救急車が、シリア内に武器と弾薬を運ぶために使用されている、と指摘し政府を非難した。またトルコ兵も40人ほどもシリアに拘束されている、という。

 トルコについて押さえておくべきことは、首相のエルドアンは隠れユダヤであり、トルコ軍の創設者であり、近代トルコの父と言われているアタチュルクも隠れユダヤだったということだ。このためトルコ軍もこの隠れユダヤ勢力が支配的であり、その関係から今のトルコがイスラエルと対立しているシリアに対して敵対的姿勢にあることを指摘しておきたい。

 今回のトルコ政府のシリアに対するこのような姿勢のため、トルコの将来が暗いものになっている。何らかのやり方でそのツケは支払わさせられるであろう。

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●トルコは救急車で武器をシリアに密輸
http://www.presstv.ir/detail/2012/08/09/255390/turkish-ambulances-take-arms-into-syria/
【8月9日 Press TV】

 トルコの野党議員は、政府が救急車を武器と弾薬をシリア内にいるシリアの反政府勢力に密輸するために使用していると非難している。

 人民共和党のメヴルト・ドゥドゥ議員は、最近シリアとの国境地帯への訪問をし状況を視察してきた。

 この訪問中、住民はトルコの救急車がアサド政府に対する反乱を起こしている者たちに武器を運び、負傷したメンバーをトルコに帰すために使用されていると、議員に情報提供した。

 ドゥドゥは、国境にある住宅が反政府勢力の基地に使用されていると語った。またその人物はこの地域の武装勢力に対するトルコの軍事支援に対する驚きを表明した。

 「もしも真実ならば、これは全く受け入れがたいことだ」とドゥドゥは語り、政府にそのようなシリアに対する侵略行為に対して厳しい結果が生じることを警告した。

 トルコの野党議員は、シリアの内政に介入することでトルコを窮地に陥らせた責任がエルドアン首相にあると語った。

 8日、トルコのいくつかのメディアは、シリアのラタキア市で反乱者と共にトルコ軍の10名の兵士が戦っている写真を公開した。アメリカのメディアもまた、反シリアのコーカサス民兵らが600名ほど、トルコ経由でシリア領内に侵入したと報じた。

 シリア政府はいくつかの中東国家、トルコ、サウジアラビア、カタールを武装勢力に資金と武器の調達をしている、と非難してきた。

 7日、100名以上のトルコ軍兵士がロケットその他の精密兵器で武装し、シリアのクルド人地域のコバニのセラブロに侵入した。

 国境地帯のクルド人民兵のスポークスマンは、トルコ軍の役割がシリアの反政府勢力に対する武器と弾薬の供給にあると語り、メディアは40名ほどのトルコ人兵士がシリア内に拘束されている、と言っている。

 先週、トルコ軍戦車はシリア国境からたった2㎞しかないマルディン州のヌサイビン区で演習を行った。

 NBCニュースは7月31日、トルコによってシリア内の武装勢力に対して2ダースのMANPAD(携帯対空ミサイル)が供給された、と報じた。

 人民共和党党首のケマル・キリクダログルは以前、シリアに対する侵略的姿勢によってトルコを「中東の泥沼」に引き込むことになると政府に警告したことがあった。

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シリアのアレッポ近郊のセレハチンの武装ゲリラたち

◆8月9日

 昨日のブログで、「シリアとイラン:反乱鎮圧を誓う」の記事の最後に、「アアルアラビア・テレビでは、反政府勢力はシリア軍にアドバイスをしていたロシア人将軍と通訳を暗殺した、と主張している」とあったが、その殺されたロシア人将軍がモスクワのテレビに出演し元気でいることをアピールした。武装ゲリラ側の偽情報ないしは人違いであろう。

 アレッポでの戦闘も峠を越えた感じがある。7月30日号で、「これは何を意味するかといえば、「話し合い」による解決は無理で、シリアの運命はアサド政権が侵入者らを殲滅し追放できるかどうか、にかかっている。それができなければ、シリアには『イスラム法』を執行するジハーディスト政権ができるかもしれない。それはシリア国民の大半が認めることとのできない政権になるであろう。そうなれば、ほぼすべてのシリア人が『アサド時代』を懐かしむことになってしまうだろう。それを避けるためにもアサド政権は外国人傭兵らを駆逐・殲滅する必要がある」と書いたが、アサド政権はそれを実行している。

 アサド政権が生き残ることが、シリア国民の為にも、中東の為にも、全世界のためにも必要なことだ。そのためロシアのプーチン政権は出来る限りの支援をアサドに対して行うであろう。これにはロシアの威信もかかっていることだろうから、イスラエルの下記のハアレツ紙が見るように、ロシアがアサド後も見越してロシア人を撤退させている、という見方は勘違いと言えよう。 

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●シリアの反政府勢力がロシア人将軍暗殺を主張
http://www.haaretz.com/news/middle-east/russian-general-denies-reports-he-was-killed-by-rebels-in-syria-1.456796
【8月8日 Avi Issacharov and Reuters】

 ロシア人将軍はモスクワの国防省で8日、シリアの反政府勢力によって殺されたという報道を否定するために記者団と会見し、テレビでその健康そうな姿を示した。

  「私は生きているし元気であることを示したい。健康でありモスクワに住んでいる」と、予備役将軍のヴラジミール・ペトロビッチ・クズイェエフは語ったとイタール・タス通信が報じた。

 ロシアのテレビ局は国防省で青シャツにノーネクタイのクズイェエフの簡単な映像を流した。シリアの反政府勢力はシリア国防省付のアドバイザーとして、ダマスカス周辺の西ゴウタ地区で仕事をしていたロシア人将軍を殺害したと主張していた。

 ロイターに送られたこのビデオは、反乱者側が言っていたのは、シリア軍から発行されたこの将軍のIDのコピーであることを示していた。名前はヴラジミール・ペトロビッチ・コチイェフとなっている。

 この名前の違いは、キルリ文字の書き直しのやり方による違いと思われる。

 クズイェエフはシリアにいたことがるかどうかに関しては明確にしなかった。しかし、インタファックス通信は、彼が2010年予備役になる前、シリア国防省に対するアドバイスをしていたと、ある治安関係筋の証言があると報じた。

 インタファックスはロシア国防省が彼の死亡に関する報道は「白々しい嘘」だと指摘したと報じた。

 17ヶ月前から始まったアサドの支配に対する大衆の反乱以来、ロシアはアサドを外交的に支援している数少ない国の一つであり、シリアには数百人の軍関係者が滞在していると考えられている。

 自由シリア軍の主張はアルアラビアで8日報道され、クズイェエフはセキュリティー・アドバイサーとして仕事をしていたと主張している。

 シリアの反乱者らは、シリア軍の地図と書類を入手したと述べている。そこには反乱者側が存在している場所を示している。報道によれば、反乱者らはダマスカス郊外でクズイェエフのボディーガードが自由シリア軍に射撃をしようとした時、クズイェエフは殺害されたと言っている。という。

 ロイターに送られたビデオでは、「鷹特殊作戦大隊」と自称しているグループが将軍のIDのコピーと言うものを示している。

 数千人のロシア人専門家らがシリアに滞在している。ある者たちは、アサド政権のためにロシアが建てた市民プロジェクトで仕事をしている、他の者たちはシリア軍に対するアドバイサーとして繊細な情報機器と共に仕事をしている。先月、モスクワのアラビア語のロシア・トゥデイ・テレビ局の責任者が、「ロシア人軍事関係者はシリアにはもう誰もいない」と主張していた。

 このテレビ局はロシア政府の公式のもので(同じ内容が英語でも放送)ある。明らかにその主張は正しくない。シリアからロシア人専門家は危険であるため、そしてアサドとのつながりを減少させるために、引き上げさせることが必要である、ということを示すものではあるが。

 アサド政権に対する支援を停止させるようアラブ諸国からの圧力がロシアに積み重なって来ている。週末を越えて、ロシアの通信社はロシアが三隻の海軍艦船をタルトスへ送り出したという報道がなされた。これらの艦船にはそれぞれ120名の兵士が乗船している。このミッションの目的は示されていないが、ロシアは以前、ロシア艦船を送る目的は、装備とロシア人を撤退させるため、としていた。先月までの数ヶ月間、何隻かの艦船がタルトスへ向かい、その中には空母と戦艦も含まれていた。

 7日、今週はじめにシリアの首相のリアド・ヒジャブ・がヨルダンに亡命した後に、アメリカのクリントン国務長官はアサド政権が崩壊した後の計画を作成すべきと語っていた。

 クリントンは政府の制度・施設は手付かずで残すことが重要であり、また内戦は避けねばならないと語った。シリア国民の困難な状況を、傭兵やテロリストを送り利用しようとする者は誰でも、それを看過することはないと警告する、と語った

 更に7日、アサドは二週間ぶりにテレビに姿を現し、イランの最高国家安全保障委員会議長のサイード・ジャリリと会談している映像が放映された。

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アレッポの反政府武装ゲリラ

◆8月8日

 シリアの戦闘でダマスカスには静穏が戻ったが、北方のアレッポではいまだ激しい戦闘が継続中のようだ。数万人もの反アサド武装ゲリラが侵入している、といわれているのだから、鎮圧も簡単ではない。

 しかし、欧米・トルコ・イスラエル・湾岸君主国家がおそらくは予想していたであろう、シリアのアサド政権の崩壊は、起きていない。そしてその理由は何度も書いてきたことだが、大多数のシリア国民がアサド政権の崩壊を望んでいないことが、まず第一に挙げられる理由なのだ。

 イランがシリア支援をより鮮明にしている。そのためか48名のイラン人巡礼者が拉致されてしまった。また一部情報では、シリア軍にアドバイスをしていたロシア人将軍が暗殺された、という。それが真実ならば、いよいよシリアの「アラブの春」の平和的デモ、という懐かしい昨年の表現から、今年はなりふり構わぬシリアを舞台にした代理戦争の様相が顕わになり出している、ということだ。

 それが、あからさまな両軍のガチンコ勝負に拡大しないようにすることが重要だ。つまり欧米NATO・武装ゲリラvsとロシア・イラン・シリア軍などとの間の本格的戦争の危機は回避しなければならない、ということ。

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●シリアとイラン:反乱鎮圧を誓う
http://www.dailystar.com.lb/News/Middle-East/2012/Aug-08/183830-syria-iran-vow-to-annihilate-uprising.ashx#ixzz22uIUoDLv
【8月8日 The Daily Star】

 シリアのアサド大統領は7日、主戦場となっているアレッポでシリア軍が反政府勢力と戦いを進めている最中、17ヶ月に渡る反乱を粉砕しシリアからテロリストを一掃すると誓った。

 イランからサイード・ジャリリ特使の訪問を報道する際、国営通信のSANAが「シリア国民と政府はテロリストを一掃する決意であり、テロリストに対し休息を与えることなしに戦う」とアサド大統領が語った、と報じた

 アサドはジャリリとのインタビューの放映時に2週間振りにテレビに現れた。シャリリは最高指導者ハメネイ師の側近の筆頭である。

 ジャリリはアサドにイランの支援を申し入れ、「イランはシリアがその枢要な柱となっているレジスタンス枢軸が破られることを決して看過しない」と述べた。

 「シリアで起きていることは国内問題ではなくレジスタンス枢軸国を一方とし、この枢軸に対抗する地域的・世界的な敵を他方とする闘争である」とジャリリは語った。

 イランはトルコと湾岸アラブ諸国が反政府勢力に武器を供給し、アメリカとイスラエルと示し合わせてアサド政権を転覆させようとしているとして非難した。

 ジャリリは以前、「シリアの危機は国内の対話を通して解決すべきであり、外国勢力の介入を通してではない」と語ったと言われている。

 彼は、「シリア国民はシオニストとアメリカが支援するいかなる計画をも敵視する」と述べた。

 後ほど、ジャリリはシリアにおける「あらゆる外国勢力の介入」の停止を呼びかけ、イランは、「軍事介入を通じて意思を押し付けること」を拒否する、と語った。

 アサドはシリアは、「レジスタンス枢軸とシリアを標的とする外国の計画を打ち破ることができる」と語った。

 イランは外務大臣をトルコのアンカラに、書簡をアメリカに送り、48人の誘拐されたイラン人の運命の責任は彼らにあると指摘した。

 イランはシーア派の巡礼者たちだと言っているが、彼らの敵対者はイランの革命防衛隊要員だとしている。

 イランのアリ・アクバー・サレヒ外相は、このイラン人の人質の解放を確実にしてもらうためトルコの支援を要請するためトルコに向かった。

 サレヒは、「トルコはシリア内の反政府勢力とのつながりがあるので、我々はトルコが巡礼者を解放する件で主要な役割を果たせると考えている」と語った。

 イランは、拉致を主張した自由シリア軍がトルコからの支援を受けていることで非難をしていたが、サレヒは「トルコ政府にこの件で責任があると思い起こさせるし警告する」かもしれないと語った。

 中東で非アラブ国としてかつては親密な関係を持っていた両国はシリア問題で対立する関係になった。

 トルコのエルドアン首相は、イランのハッサン・フィロザバディ将軍によるシリアでの流血の責任はトルコにあると非難するコメントについて、「残念だ」とし、トルコがシリアの問題に関わっているということを否定した。

 「イランの参謀総長が革命防衛隊ウェブサイト上で、トルコ、サウジアラビア、カタールがシリア内での流血沙汰の責任があると書いていることは憂慮すべきことであり残念なことである」と、エルドアンは党員に対するコメントをNTVテレビでの生中継で語った。

 イランは人質に関するアメリカに対するメッセージ書簡を、スイス大使館のアメリカ局を通じて送り届けた。

 「アメリカのマニフェストがテログループを支援し武器をシリアに送ることを是認しているのであるから、アメリカはダマスカスで拉致された48人のイラン人巡礼者の生命に対する責任がある」と、ホセイン・アミール・アブドラヒアン副外務大臣は書簡の文章を引用した。

 アメリカは7日、誘拐されたイラン人の行方についてはなんらの情報も持っていない、と言った。

 「今の段階では、我々はこのレポートを注意深く見守っている、また状況をモニターしている。我々は誘拐されたといわれている人々の身元を確認するまでに至っていない」と、国務省のパトリック・ヴェントレール・副スポークスマンは語った。

 人質の内の三人はダマスカスにおける激しい砲撃で殺されたというレポートのある中で、「我々はこれらの人々が誰でどこにいるのかなどに関する情報を持っていない」と、彼は記者団に語った。

 イラン外相は国連事務総長の潘基文にイラン人巡礼者の解放とシリアとリビアで最近捕らえられた労働者らに対する支援を要請した。

 「私はこれら人質の解放について事務総長の協力と仲介を要請したいと考える」と、サレヒが潘事務総長に書いたことを、イランの国連ミッション部がロイターに知らせた。

 国連スポークスマンは、書簡の受理を確認したが即座の回答はなかった。

 「イラン政府は拉致されたイラン人の即座の解放を要請すると共に人質を人間の盾として使用することは国際法と人権に違反することだと判断する」とサレヒは語った。

 その他では、アメリカのクリントン長官は「代理人あるいはテロリスト」が紛争に参加するべくシリアに送られていることに警告を発した。

 「我々は党派的戦争を避けることについての非常にはっきりとした期待を示さねばならない」と南アフリカのプレトリアでのニュース・コンフェランスでクリントンは語った。

 「代理人あるいはテロリストを送ることで、状況を利用しようとする者たちは、まずはじめにシリア人にとって、そういったことが許されるものでないことを理解すべきである」と、彼女は語った。クリントンは「代理人あるいはテロリスト」について詳細は述べなかった。

 クリントンは反政府勢力が勢力を増し、アサドに対する支持が弱まれば、アサド後のシリアについての計画を作って行くことが世界に求められることだ、と語った。

 「アサド政権が崩壊した翌日、何が起きるのかということを話し合い計画を練ることができる。時間表を作ろうとしているのではない。予想することはできない。しかし、それが起きることは分かっている」とクリントンは語った。

 アレッポでは、市の中心街での衝突で轟音がとどろき、反乱勢力が支配する地域に砲弾が撃ち込まれていた、とシリア監視人権団体は語った。
 アレッポ市内外での戦闘で少なくとも20人が死亡した、とウォッチドッグは語った。全国的には122人が死亡したという。

 治安部隊将校が、シリア軍の2万人投入が完了されたと語った後、アレッポは大規模攻撃のために補強されている。シリア中央部のホムスに近いところは、反政府の武装ゲリラが電力会社を攻撃、16人が殺された。その中には、アラウィ派、クリスチャン、スンニー派も含まれている、とオブザーバーは語った。

 反乱勢力は東部のデイル・アル・ゾールにある油田を攻撃、4人の武装ゲリラと6人の兵士が死亡したと、いう。

 反政府側のウェブサイトでは、反政府武装ゲリラはシリア東部のいくつかの地域で、また南部のデラア地区でもシリア軍と激しい戦闘を行っている、とある。

 アル・アラビア・テレビでは、反政府勢力はシリア軍にアドバイスをしていたロシア人将軍と通訳を暗殺した、と主張している。

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サウジアラビアの情報機関の新長官

◆8月7日

 7月25日号の「シリアとユーラシアでのプーチンの対米地政学的チェスゲーム-その2-」でシリアの反政府勢力に資金援助をしているサウジの情報機関で爆発事件が起き、「攻撃は最大の防御」であり、「やれば、やられるのだ」と書いたが、サウジでは情報機関の新長官に長年駐米大使を務めてきた人物をアブドゥラ国王が指名したようだ。

 そしてサウジアラビア全体が東部油田地帯で反政府活動を行うシーア派の動きに神経質になってきていて、戦争内閣の体制を整えてきている、という。シーア派の反政府活動は隣のカタールでも起きており、いよいよ本当の「アラブの春」運動の集大成がサウジやカタールで始まる予兆が出始めたようだ。

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●サウジアラビアが崩壊の淵に?
http://www.washingtonpost.com/opinions/david-ignatius-is-saudi-arabia-on-the-edge/2012/08/05/6758c1e0-dd91-11e1-8e43-4a3c4375504a_story.html
【8月2日 David Ignatius】

 サウジアラビアはイランとの緊張が高まり、かつ少数派のシーア派からの内部の反発が増大してきているこの時、情報機関の新長官にバンダール・ビン・スルタン王子を指名することで言わば戦争内閣を設置した。

 サウジはまた警戒レベルを高めて地域紛争に備えている。サウジの軍・治安関係者の中には、夏季休暇から呼び戻されたり、休暇の予定をキャンセルさせられ先月動員された者たちがいる。

 動員の説明の一つに、サウジはトルコが自軍の戦闘機を6月末にシリアに撃ち落とされたことで、シリアに対する報復攻撃をするのではと考えていたからだ。

 シリアのアサド政権を転覆させようと図っている反乱勢力に対する支援を強化した際に、情報機関の新長官が指名された。秘密裏に行われるこのような動きはアメリカ、フランス、トルコ、ヨルダンその他の、アサドを追放することを願う国々と協力して行われている。 

 バンダールはムクリン・ビン・アブドゥル・アジズ王子を引き継ぐことになるが、このアジズは情報機関長官としてあった期間、欧米には殆ど知られていなかった。これがため、ムクリンは首になったというコメントが広がったが、彼はアブドゥラ国王の信頼を得ていると言われ、アブドゥラはムクリンをパキスタンその他のイスラム国家に対する特使として使用するだろう。

 元駐米大使のバンダールは、過去数年間は健康問題と個人的問題で表舞台には出ていなかった。情報機関の長官として指名されたことは、緊張が高まるこの時に外国との微妙な折衝をこなす経験豊かな隠密のオペレーターとして、アブドゥラと皇太子のサルマン王子両者の意図があったと思われる。 

 たとえば、サウジが中国から弾道ミサイルや核兵器の技術を受けイランなどからの脅威に備えようとすれば、バンダールは臨時的には使えるだろう。バンダールは「東風」として知られる1987年の中国との秘密の取引で仲立ちをやったことがあった。

 バンダールはまたシリアやレバノン内での秘密の作戦で何十年も活動していたし、ウォール・ストリート・ジャーナル誌は、シリア人高位亡命者のマナフ・トゥラス将軍のサウジ訪問をアレンジしたと報じている。 

 バンダールは20年間アメリカにいたのだからアメリカとの情報関連では適任者である。バンダールはレーガン大統領時代のCIAと親密な関係を維持している。そして中東におけるサウジ・アメリカ共同秘密活動のための資金集めに協力したと言われている。湾岸戦争の期間中、バンダールはブッシュと非常に親密で、そのため彼は「バンダール・ブッシュ」として知られるようになり、そのあだ名はブッシュ時代でも続いた。

 バンダールは2005年にアメリカを離れてからも、黒幕として活動を続けた。たとえば、チェイニー副大統領のイランと対決する政治を支持したと言われた。

 興味深いのは、バンダールはイランのメディアが最近叩く特別の標的になっている。8月2日のイランのプレスTVは彼のことを「CIAとモサドの対シリアの卑劣なごまかしの楔」と描写した。プレスTVはまた先週はじめバンダールが暗殺されたという裏づけのないレポートを放映した;この噂は8月3日、バンダールは電話で話していたという情報筋によって反駁された。

 自宅では、サウジは石油の豊富な東部にあるアル・カティフにおけるシーア派の反政府運動を抑え込むのに苦労している。これらの反政府運動家らは、当局はイランに扇動されていると考えているが、7月9日BBCの報告によれば7月はじめのデモで二人死亡している。このデモは先週も継続し、そこでは更に犠牲者が多く出たと報じられた。

 サウジはアル・カティフの反乱を抑えることが出来ないでいる; 実際、事態は悪化し続けているようだ。反政府運動家らはサウジに流血の事態が生じることを期待しているかもしれない。そうなれば多くの犠牲者が出るであろうし、そうなればより広範囲のデモと国際世論の非難が生じるかもしれないのだ。今のところサウジ当局は抑制された戦術を用いることで事態の悪化を避けてきている。サウジの改革論者らは、シーア派反政府主義者を鎮圧する最良の方法は完全なる経済・政治的権利を付与することだ、と話している。

 イランの7月27日のプレスTVはあるアナリストとのインタビューを放映したがそのタイトルは、「サウジ政権の崩壊は以前に比べずっと現実的になっている」というものだ。この情報はイランのプロパガンダであろうが、しかしサウジ君主国が戦闘態勢になぜ入ろうとしているかを説明する助けにはなっている。

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