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ロバート・フィスクのインタビューに答えるシリアのワリド・ムアレム外相


◆8月30日

 シリア外相がイギリスの中東専門家であるロバート・フィスクのインタビューを受けた内容が示されている。欧米メディアでも徐々にシリア政府側からの情報を取り扱う姿勢がでてきているし、先日も紹介したように日本でもそのような流れを受けてシリア政府側からの映像などをテレビで放映するようになってきている。

 これはこのROCKWAY EXPRESSが2011年3月以来ずっと指摘してきた、シリア紛争の真実の状況を、遅ればせながら覆い隠しきれない状態になってきたため、報道せざるを得なくなってきたからであろう。今はインターネットの時代だから、嘘もそう長くはつけないのだ。

 このブログで指摘してきたことは、シリア攻略はイラン攻略の前哨戦だ、ということだったが、そのことをシリア外相もよく分かっていて、それがブルッキング研究所のしたためた戦略に示されていることだ、と指摘している。その通りである。そしてそのために欧米は湾岸アラブ君主国家を抱き込み、トルコとイスラエルを使用しながらシリアにテロリストを送り込んで政権転覆を図っている。

 しかしシリアのアサド政権側はそれに対して徹底抗戦を決意している。もしもシリア政権の転覆が成就したら、ロシアは直接イラン防衛に立ち上がる可能性がでてくるだろう。今のシリアではいまだ間接的な防衛協力しかしていなが。だから、世界はこのシリア攻防戦でシリア政府を支援しなければならないのだ。決してテロリストの方ではない。

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●アメリカがシリアに対する反乱の主要な黒幕
http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/exclusive-we-believe-that-the-usa-is-the-major-player-against-syria-and-the-rest-are-its-instruments-8082457.html
【8月28日 Robert Fisk – The Independent】

 昨日、ダマスカスの戦闘は外務省のオフィスの内部でも聞こえた。迫撃砲による振動、戦車の射撃音などが郊外から聞こえてくる。

 アメリカがシリアの騒乱の背後にいる、アレッポの戦いが終わってもそれは終わらないだろう、とワリド・ムアレム外相は語った。「私はヨーロッパ人に告げる:シリア人の厚生福祉について、それに反する17の決議を支持しながら、シリア人の厚生福祉というスローガンを掲げていることが理解できない。またアメリカ人に告げる:アフガニスタンとソマリアで行ったことをあなた方は読むべきだ。シリア内のテロリズムをあなた方が支持しながら国際的テロリズムと戦うというあなた方のスローガンを、私は理解できない

 ワリド・ムアレムが英語をゆっくりしゃべったのは、建物の外の轟音の為か、あるいはこのインタビューがシリアの危機が始まって以来、欧米人との最初のインタビューだからだろう。

 反政府勢力とシリア政府軍のドウマ、ジョバー、アルビーン、ヘリコプターが撃墜されたクァボウン郊外での戦いはあまりにも騒がしいものになったので、中東一沈着冷静なこの外相も窓の外に目をやった。この騒音を聞いて彼はどう感じているのだろう、聞いてみた。

 「大臣である前に私は一人のシリア市民だ。そして2年前と比べて今シリアに起きていることを見るに悲しさを覚える」と彼は語った。「シリアがその治安の良さを誇れた旧き良き日々に戻ることを願う私のようなシリア人が多い」

 「旧き良き日々」に戻ることをどれだけ多くのシリア人が願っているのか疑わしいと思うが、ムアレムは60%の騒乱はトルコ、カタール、サウジ・アラビアなどからやってきていると主張した。その他の諸国に対してもアメリカが影響力を行使している、という。

 「アメリカ人が、『我々は最新式の交信危機を反政府勢力側に供給している』と言っているのは、あるいは2500万ドルを反政府勢力側に供給し、湾岸諸国やサウジアラビアは更にもっと供給しているが、それは軍事活動の一部ではないだろうか?」と語った。

 一年前、私はムアレムに、カタールの首長と昼食を共にしたが、彼はバシャール・アサドの嘘に怒っていたことを話した。シリア大統領はムスリム同胞団を故郷に返す約束を破った、というのだ。

 ムアレムは頷いた。「もしもあなたが2年前に同じ首長と会ったら、彼はアサドを称賛し、親友と考えただろう。彼らは家族同士の付き合いをしていた。ダマスカスや時にはドーハで家族での休暇を過ごしていたのだ。重要な問題がある:何が起きたのか?私はこの首長とドーハで会ったことがある。これは2011年11月だったと思う。アラブ連盟が監視団をシリアに派遣することになる会議を始めて、我々は合意に達した・・・この首長は私に語ったのだ:もしもあなたがこの調停に合意すれば、私はアルジャジーラの報道姿勢を変えるだろうし、テレビ司会者のシェイフ・クァラダウィにシリアとこの調停結果を支持させ、また私はシリアの復興のために数百万ドルを提供する・・・」

 「同じ時、私は会議に参加するため待機していた時、チュニジアの政党党首のエンナダがいて、さっきの首長がエンナダの党の選挙支援のために1億5000万ドルを支払うよう命令を出した。常にこれが彼らのビジネスなのだ。しかし私はこの首長に尋ねた:あなたはカダフィと非常に近い関係にあったし、カダフィが主催したサミット会議の際、あなたは彼に代わる唯一の指導者だったが、なぜリビヤをNATOと一緒になって攻撃するために航空機を送ったのか? この首長はただこのように述べただけだった:我々はチュニジアとエジプトの流れを失いたくなかった。それにスーダンの分裂の責任はカダフィにあるからだ」という。

 アメリカの力についてムアレムは何の疑いも抱いていない。アメリカは湾岸諸国に対してイランの核能力に関する恐怖を植えつけるのに成功し、彼らを説得しアメリカから武器を買わせ、石油移送のための基地を維持するという1936年のルーズベルトの夢を成就させたのだ、と彼は述べる。

 「我々は対シリア作戦ではアメリカが主要な黒幕を演じていると考えているし、残りの国々はアメリカの道具である」。しかし、これは実際イランについての問題だったのではなかったか? 私は微妙な質問をした。ムアレムがブルッキング研究所に言及した時、私はうなった。
 「あなたは笑っているね。しかしいつかあなたが外務大臣になった時、あなたはこういったことを読まざるを得なくなるだろう。ブルッキング研究所の研究の『テヘランへの道』というものがある。この研究の結論はこうだ:イランを封じ込めようとしたら、まずシリアから始めねばならない

 「我々は今回の危機の始まった時、何人かの欧米特使に言われたのは、シリアとイラン、シリアとヒズボラ、シリアとハマスの関係が今回のシリア危機の主要な要素だ。もし我々がこの問題を解消すれば、アメリカは危機を収束させるよう支援するだろう。しかしもし全部とは言わずとも殆どの湾岸諸国はイランとの非常に重要な関係を持っているのに、シリアがイランとの関係をもつことがなぜ禁止されるのか言ってくれる者は誰もいなかった」 

 シリアの外相にとっては、この危機は結果的に「法令と改革と新憲法」によって示された「正当な要請」と共に始まった。それから「国民の平和的計画をハイジャックするため「この正当な要請」を利用する「外国勢力」がやってきた。

 おなじみの話がそれに続いた。「シリアを何世紀も後退させるよう遡ることなど市民の一人として受け入れることはできない。基本的に・・・世界のいかなる政府も、時には外国からやってくる、ジハードの名で通りや村を占拠する武装したテロリストを受け入れることはできない」

 国民を保護することはシリア政府の義務であった。アサドはシリアの統一を代表する存在であり、すべてのシリア人はシリアの新しい未来のために参加すべきである。もしもシリアが失敗すれば、隣国も倒れるだろう。ムアレムは29日非同盟国会議に参加する為にイランに向かう。

 私は化学兵器について尋ねた。シリアがそのような兵器を保持しているとして、それが自国民に対して使用されることはない、と彼は語った。「我々はアレッポで、ダマスカス郊外で、その前はホムスやイドリブで、武装したグループと戦ってきた。これはシリアの都市で戦っているということだ。そして我々の責任は国民を守る、ということだ

 田舎でなされた残虐行為で非難されたシャビハ民兵については、ムアレムは彼らの存在を信じていないとしている。地方には武装グループから自分たちを守る非武装のグループが存在しているかもしれない、と彼は語った。しかし、親政府的で政府から給料をもらっている民兵?そんなものは存在しない。シリアの外務大臣に対する戦争犯罪を指摘する声はない。しかし、彼のオフィスの窓の外では砲声が鳴り止まない。

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アメリカ・カナダとの共同演習に参加するロシア空軍

◆8月28日

 さまざまな面で対立的な関係にあるロシアとアメリカであるが、対テロということになると協力関係を継続しているのが、この両国である。特に以下の記事にあるように、航空機テロとなれば本物のテロであり、今現在シリアで行われているような、民主化運動と絡んでのテロ活動とは明確に判別できるものだから、ロシアも参加しやすい。

 外交とはこのように、不倶戴天の敵であっても、将来を考えて協力する、ということも大切になる場合がある。それはそれ、これはこれ、というような関係だ。したたかなロシアはアメリカとの関係でも、はっきりと物は言うし、対立も辞さないが、同時にアメリカとの関係を大切に考えていることも分かっている。

 オバマが再選されたら、そういう意味でプーチンのロシアとオバマのアメリカは急接近する可能性も出てくるだろう。

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●ロシア空軍:アメリカでの対テロ演習に参加
http://en.rian.ru/mlitary_news/20120827/175451589.html
【8月27日 RIA Novosti】

 ロシア軍兵士がアメリカ・カナダの兵士らと共に、民間航空機へのテロ攻撃を撃退するというヴィジラント・イーグル2012軍事演習に参加する、とロシア東部軍区の広報が27日報じた。

 「このヴィジラント・イーグル2012演習は、8月27日~29日に行われる。これは民間航空機へのテロ攻撃があった際に、ロシア軍とNORAD(北米大陸防空システム)との間の相互作用を円滑に進めることが目的となる」と、軍区のスポークスマンであるアレクサンダー・ゴルデイェフ大佐が語った。

 この演習は三度目で、最初のは2010年に行われた。

 この演習にはロシア、アメリカ、カナダ軍部隊が参加する。司令部はコロラド州のコロラド・スプリングスとアラスカ州のアンカレッジに置かれ、またロシア極東のハバロフスクとペテロパブロフスキー・カムチャッツキーにも置かれる。

 ロシア部隊は東部軍区第三航空・防空司令の司令官であるセルゲイ・ドロノフ少将に率いられ、NORADの部隊は、ジョセフ・ボネット3世訓練・演習部長が率いる。

 「ドロノフ少将率いる最初のグループはコロラド・スプリングスの主司令部の一部として参加する」と、ゴルデイェフは語った。

 「東部軍区防空・航空司令のセルゲイ・ズムリン少将率いる第二グループは、第二司令部のアンカレッジで参加するだろう」とゴルデイェフは語った。

 NORADはアメリカ・カナダ共同機関で、両国に航空警報と防衛を供給している。

 NORADのプレスリリースによれば、コンピュータを軸とした演習は「二つの国際線フライト、一つはアラスカ発のロシア領空へ向かうフライトと、ロシア発でアメリカ領空に向かうフライトで構成されている」とある。

 「基本的要素は、外国の商用航空貨物機がテロリストによって乗っ取られたというものである。この航空機は交信できない状況である。演習のシナリオはロシア空軍とNORADが戦闘機を送って航空機を調査し追跡することが要求される状況を生み出している」と、NORADは語った。

 この演習は、「参加国の戦闘機同士の間の受け渡し(hand-off)の協力関係」に焦点が絞られる予定だと付け加えて語った。

 「これらの演習は想定できる航空テロの脅威を阻止するため、ロシア空軍とNORADとの協力関係を深めるために継続する」とNORADは語った。、

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シリアでの戦闘

◆8月27日

 シリアのアサド大統領がイランの国会議員と話している内容がある。その中で大統領は不退転の決意を示している。その下のロバート・フィスクの記事によっても、反政府勢力の多くが非シリア人であることが指摘されている。このことはこのROCKWAY EXPRESSでは先刻承知のことだ。

 激しい戦いであるが、シリア政府も軍もよく戦っている。そしてこれは昨日のことだが、初めて日本のテレビで、シリア国営テレビのクルーが戦場を取材している姿の映像を放映していたのを見た。一方的に反政府勢力の方から流れてくる情報ばかり流していた日本のテレビ局が、シリア政府の側から取られた映像を流したのだ。

 以下のロバート・フィスクの記事でも、シリア国営テレビ放送が戦場の様子をかなり詳細にそのまま加工しないで流している様子を語っている。ともすれば、日本のテレビ局などは、シリアのような独裁国家で客観的な情報など流すわけがない、というような頭から馬鹿にする風潮がありそうだが、真実はまったくその反対で、湾岸諸国のアルジャジーラやアルアラビア、それにBBCとかCNNなどという欧米のメディアの方が、頭からいかさまの情報を流しているのである。

 シリアの攻防は人類史の分水嶺とでも言っても言いすぎではないだろう。人類がどこまで愚かなのかが試されているのが、このシリアの攻防である。アサド政権が崩壊するようなことがあれば、人類の未来は良くない・・・というより悲惨なものになりかねないだろう。

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●アサド大統領:シリアは「外国の陰謀」を打破するだろう
http://www.presstv.ir/detail/2012/08/26/258291/syria-will-defeat-foreign-conspiracy/
【8月26日 PressTV】

 「シリア国民はこの陰謀が遂げられることを許すことはないであろうし、その陰謀をいかなるコストがかかっても粉砕することだろう」と26日、イラン国会の安全保障・外交委員会委員長のアラエディン・ボロウジェレディとダマスカスでの会談でアサド大統領は語った。

 大統領は、「外国勢力はこの中東での計画を完遂するためにシリアを標的としてきている」と付け加えて語った。

 「欧米の協力関係がいかに親密であろうとも、そして中東のいくつかの国がシリアに対してその姿勢を改めるよう説得を試みてはいるが、シリア政府はそのレジスタンス戦略を継続し、国家の正当な権利を擁護するであろう」と大統領は指摘した。

 シリア大統領は、シリアはその基本的スタンスを変更することはせず、また欧米とその同盟諸国の陰謀は失敗するだろう、と強調した。

 ボロウジェレディは、シリアの安泰はイランの安泰であり、両国は共通の利害を持っている、と語った。 

 彼は、イランがシリア政府とシリア国家をあらゆるレベルで常に支援することを強調し、シリアが現在陥っている危機を克服するためにできることに対してはイランは何でもやるつもりであると語った。 

 イランの外務省スポークスマンのラミン・メフマンパラストは25日、イランは昨年の8月にイランのテヘランで行われた非同盟運動の会議の期間中に、シリアの危機の解決に向けた提案を提出する予定だと語った。

 イランのアクバール・サレヒ外相は25日、イランのシリア紛争解決のためのイニシアティブは国連・アラブ連盟特使のコフィ・アナンの6か条和平計画を基礎としていると語った。

 シリアは2011年3月以来紛争に見舞われてきていて、治安部隊兵士を含む多くの人々が殺されてきた。

 欧米と反政府勢力は殺戮をシリア政府によるものとして非難しているが、シリア政府は無法者、破壊者ら、反乱者らがこの殺戮の下手人であると非難し、それは外国による工作である、と非難している。



■シリアの非内戦(uncivil war)
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-the-bloody-truth-about-syrias-uncivil-war-8081386.html
【8月26日 By Robert Fisk The Independent】(部分訳)

 アサド政権転覆を図る者たちは彼らの火力と残虐な戦術でシリア政府軍を驚愕させている。

 自由シリア軍による先月始まったダマスカスへの激しい攻撃の数時間後、シリアの新情報大臣のオムラン・ズビは記者団に向かってこう言った。「あなた方はこのダマスカスで何をしているのか?」「兵士らと共に外に出よ!」と叫んでいた。そしてその日の内に、アサド大統領の写真とシリア軍の写真が、実際の生の戦闘の映像に置き換わっていた。「我々はここを掃討した」と疲れているが怒りに満ちている将校が言った。「それでこれから残りの奴らを蹴散らしにいく」と。かつてないほどの、シリア軍が1973年、ゴラン高原のオブザーバトリー・リッヂを襲撃した時でもこのように、かくもリアルな映像がテレビで放映されたことはなかった。

 ダマスカスでの戦闘はマヘール・アサドの第四師団が行った。このアサド大統領の弟に忠誠を誓う兵士らに情け容赦はなかった。「それは殲滅戦だった」と軍情報に詳しいシリア人が語ってくれた。「多くの死体を見れば、彼らはシリア人ではないのだ。彼らはエジプト人、ヨルダン人、パレスチナ人、トルコ人も、スーダン人も・・・」。彼はある場所で70遺体を数えた。42人が非アラブ人だ。自由シリア軍は自分たちはたったの20名の兵士を失っただけだと言った。そしえシリアは「外国人戦士」の数を強調していると非難した。「シリア兵は同じ仲間のシリア人を撃っているということを考えたがらない。彼らは外国人を撃っていると考えたほうが気が休まるのだ」とこの若い男は語った。

 シリア戦争における統計数字は常に議論の的だ。両者が自分たちの損失を低く見積もるし、また「殉死」の数を誇大にするからだ。我々は正確な数字を把握することはできないだろう。欧米では戦争犯罪人だと糾弾している高級将校や将軍らと接見して、一人の将校が残虐行為を行う民兵のシャヒバの存在を部分的に認めていった:「シャヒバというものは存在しない。それは想像上のものだ。実態は、ある地域を守るための自警団が存在しているということだ」と語った。

 ・・・

 欧米で言われている話と違い、武装した者たちがシリアの諸都市の通りに18ヶ月前から存在していた。確かにアラブの春が非武装のデモ隊で始まったのだが、一人のアルジャジーラのカメラマンが撮影したように、シリア兵に向かって武装した者たちがワディ・ハラクで攻撃したのが2011年5月のことだった。同じ月、シリアテレビは、デラアでカラシニコフで武装した男たちが非武装のデモ隊の近くにいるのをテープに収めた。

 デラアに入ったシリア軍将校と兵士らは、武装した敵に直面しているとは信じられなかった。「町の60%は一日で安全になった」とこの時の作戦を知っているシリア人が語った。「1100名の兵士が来た。以前にはなかったことだ。それは武装したグループが存在しているとは考えなかったから。しかし、残りの部分を解放するのに5日間かかり17名の兵士を狙撃兵のために失った」・・・略

 「ホムスでは、兵士らはビルの内部に立て篭もったが、彼らはロケット推進擲弾を、それこそ100発は食らった。あちこちで爆発物の爆発があった。それで我々は撤退した。総崩れになりそうだったから」。兵士らが撤退すると、彼らはビル全体を爆破してしまった。シリア軍兵士らは敵対する者たちの無慈悲さに度肝を抜かれるのだった。 ・・・略

 自由シリア軍がアレッポと共にダマスカスを攻撃した際、当局は彼らの最初の標的が砲兵学校であったことを知った。70名ちょっとの生徒らがなんとか援軍がくるまで持ちこたえていた。学校のすべての対空ミサイル要員はすばやくアレッポから送られてきた。それはイスラエルないしはNATOからの攻撃があった際、シリアの戦術ミサイル防衛を防御するためだといううわさが流れた。

 ・・・シリア軍将校への攻撃は緻密な計画でなされてきた:科学研究センターの科学者らが暗殺された。今年6月に空軍による攻撃が始まるずっと前の昨年中に、7名のパイロットらが殺害されている。迫撃砲に対抗して大砲を使用し出したのは今年に2月になってからだ、と軍では言っている。 

 政府にとっては状況は厳しいものだ。軍はアルカイダの要塞となっているイドリブが今回の戦争で最大の激戦地になるだろうと見ている。

 一般人のバスが捕獲され選択肢が示されたというケースが報告されている:捕らえられた者たちの親族が自由シリア軍に7000ポンド(45万シリアポンド)を支払うか、もしくは捕らえられた青年らは自由シリア軍に参加しなければならない、というものだ。アルクゥサイル近くの12000名のクリスチャンのいるラブレー村が人間の盾として反乱者らによって人質となった。軍はこの村を取り戻すのには損失が大きすぎる、と見ている。

 アサド政権は、いくらでも代替の戦士が出てくる、よく武装された無慈悲な敵と直面している。その敵を支援するイスラム主義者の支援者たちは欧米から支援されている。丁度1980年代にアフガンのソ連兵と戦うためにイスラム主義者のムジャヒディン戦士らが欧米によって育成され武器を支給されたようにだ。5万名の兵士と4000台の戦車でシリア軍はこの戦争に負けるわけにはいかないだろうが、勝てるのだろうか?

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ハマ市内でポーズを取る反乱者たち

◆8月24日

 シリア政府軍は欧米メディアによって常に悪逆非道の軍というように言われてきているが、主権国家を暴力で転覆させようという外国人が大量に侵入し騒乱を惹起している限り、国民と国土の保全を絶対条件とする国軍がその侵入者ないしは反乱者を掃討することは義務であり責任である。

 シリア軍はその正当なる使命完遂に向けて、あらゆる可能な対応に終始してきている。そしてシリア攻略を図る欧米NATO、トルコ、イスラエルの支援する反政府勢力の最後の砦であるアレッポ解放に向けても着実な進展がなされている。

 シリア軍から離脱する者たちもいることはいる。政府の要職を占めていた重要な人物が離脱することもある。それでもこのROCKWAY EXPRESSでは、シリアは崩壊せず却って、今回の紛争を鎮圧することで、欧米NATOやトルコ、イスラエルの意図を粉砕することになるだろう、と見ている。

 そう考える大きな理由の一つは、アサド政権がシリア国民の大多数が支持してきた経緯があるからだ。今でこそシーア派に近い少数派のアラウィ派の政権ということで、多数派であるスンニー派に属する者たちがシリアの将来を考えてアサド支持をやめて裏切る者たちが出てきている、という状況もあるにはある。しかしそれも実際はわずかな数であるから、やはり国民の大多数はアサド政権が反政府勢力の暴力沙汰を鎮圧することを願っているのである。だから、アサド政権は崩壊せず、今に至るまで善戦してきたといえる。そして最終的に紛争の鎮圧に成功するであろう。

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●シリア軍:ハマ市の反政府司令センターを破壊
http://www.presstv.ir/detail/2012/08/24/257821/syria-destroys-insurgent-command-hubs/
【8月24日 PressTV】

 シリア軍はハマ市にある三つの反政府勢力の司令センターを破壊した、とプレスTVが報じた。

 シリア政府軍がダマスカス郊外のバビラで反政府勢力と衝突し反乱者を殺害した後、このハマの件が分かった。

 政府軍はシリア北西部で武器輸送も標的にした。

 北西部では、シリア市民はアレッポでの政府軍の進軍を祝っていた。アレッポでは近郊の重要拠点であったアルジャディダとアルタルの反政府勢力からの解放がなされた。北西部では更に大量の武器が発見された。

 シリア政府軍は、アレッポ、ダラア、それにダマスカス郊外で反政府勢力との激しい衝突を繰り返している。

 シリアは2011年3月以来、紛争が継続している。シリア政府は無法者、破壊工作者、武装テロリストらが紛争と致死性の暴力行為の背後の仕掛け人たちであると指摘しているが、反政府勢力側は殺害は治安部隊の仕業だ、と非難してきた。

 シリア政府はこの混乱は外部から工作されていると言っている。また武装反乱者の相当な数が外国人であると報じている。

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イランのナタンツの核施設に装備されている対空砲


◆8月23日

 イランの核施設に対するイスラエルの攻撃の可能性が語られて久しい。イスラエルとアメリカは軍事的オプションは常にテーブルの上にある、と言って軍事攻撃の可能性を否定していない。特にイスラエルは今年10月頃が怪しいなどとまことしやかにささやかれている。

 このようなイスラエルやアメリカのイラン攻撃の可能性に対して、イラン自身はその防空システムを強化することで攻撃を阻止しようとしている。従ってイスラエルがたとえイランを攻撃したとしても、何処まで効果のある攻撃が可能かという疑問が残る。またイラン側からの反撃でイスラエルもダメージを受けることは間違いない。

 このROCKWAY EXPRESSでは、イスラエルがイランを攻撃すれば、それがイスラエルの終わりの始まりになる、と指摘してきた。今もその内容に変化はない。従って、イスラエルもアメリカもイラン攻撃はしない、という選択肢をとることが身の為である。

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●イラン:三億ドルの防空ミサイル基地の建設開始
http://www.timesofisrael.com/iran-begins-construction-of-300-million-anti-aircraft-missile-base/
【8月21日 By Ron Friedman and AP】

 イランの核施設に対するイスラエルの攻撃の可能性が語られている中、イランは最新式の防空ミサイル基地の建設に取り掛かった。

 この新しい基地は、イラン南方のアバディー市近くに位置しており、3億ドルの費用が見込まれていて、6000名の要員が住み込み7大隊が駐屯する、と21日ファース通信社が報じた。

 ハタム・アル・アラビア防空基地副司令官のモハマド・ホセイニは、イラン最大のこの基地は、イランで一番の軍事訓練センターが付属して作られると語った。

 先月、ある防空司令官が、イランの防空部隊とシステムは考えられる敵からの空襲を撃退する用意ができていると語った。

 21日には又、イランのアハマディネジャド大統領が数週間前に発射テストをした、地対地弾道短距離ミサイルの改良版の存在を明らかにした、とイラン国営通信社は伝えた。

 ファティ-110ないしは征服者と名づけられたミサイルの発表式で、アハマディネジャドは国防関係高官らに、イランは防衛テクノロジーを「攻撃的意味ではなく防衛的な意味で」開発していきたい、と語った。

 「我々はこれを近隣諸国や世界の征服や、支配のために開発しているのではない。攻撃的な意味で求めているのではない」と語ったと国営テレビ放送は伝えた。

 イランはアメリカとイスラエルを潜在的敵国とみなしている。どちらもイランの核計画施設に対する軍事攻撃の可能性を除外していない。彼らはこの核計画は核兵器開発だと主張している。イランはこの計画は平和目的のものだ、と言っている。

 IRNA通信は21日、ファティ-110の新バージョンはより早い発射能力、より長い寿命、悪天候でも使用できる能力を有していると報じた。このファティ-110ミサイルはイランでここ10年にわたって配備されてきた。

 イランは8月初旬、このミサイルの発射テストを成功裏に行ったと主張した。ファティー110は300kmの射程で陸上および海上の標的に対してより正確に攻撃できるよう改良されたという。

 1992年以来、イランは自前の軍事計画を作成している。国防関係の指導者らは、未来の戦争は空と海で起きるだろう、そしてイランはそのような将来を見越して防空システムと海の戦力を強化してきた、と語った。

 イランはミサイルの性能の向上を目指してきた。今ではイスラエルと中東のアメリカ軍基地が標的として捉えられるようになっている。米国防総省は6月にレポートを出している。それにはイランでミサイル・テクノロジーがかなり進んでいることを指摘している。イランのミサイルが正確さと発射能力を改良してきていることを認めている。

 アハマド・ヴァヒディ国防相は、2013年3月のイランの暦で新年までに新世代戦闘機、ミサイル、無人飛行機、潜水艦を配備することになるだろう、と語った。

 イランの言っている軍事的な進展はイランが技術的な詳細を発表しないので客観的に確かめることはできない。

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