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罠に掛かったか? ストロス・カーン前IMF専務理事
◆5月23日
IMFの専務理事だったストロス・カーンがセックススキャンダルに巻き込まれた。いくらでもとびっきり上等な超美人のその筋の女性を好きに出来る立場にある人物が、問題になりそうな場所で、しかも外国で、なんら特別な魅力がありそうとも思えない普通の移民女性に飛び掛るものだろうか、という問題一つ取ってみても、この事件が仕組まれた罠であり、でっち上げの事件だという情景を示している。
この事件がアメリカの仕掛けた陰謀である、という視点からミッシェル・チョスドフスキー教授が解説している。要点は二つだ。一つはIMF自体にアメリカに都合のいい機関になってもらうこと。もう一つは、フランスの大統領選挙にカーンが出れなくなるようにすることで、親米のサルコジを大統領選挙で再選させることだ。
長文なので、二回に分けて掲載する。
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●IMFの政権交代:でっち上げられたストロス・カーン逮捕劇(その1)
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24866
【5月19日 by Prof. Michel Chossudovsky】
IMF専務理事のドミニク・ストロス・カーンの逮捕はどう見ても強力な金融エスタブリッシュメントたちの命令ででっち上げられたとしか見られない。これにヨーロッパ連合とフランスの利益を犠牲にしてアメリカの利益に奉仕するニコラス・サルコジの大統領任期との問題が絡まっている。陰謀だという証拠は今のところ存在しないのだが、彼の逮捕と投獄の尋常ならざる状況は慎重な調査が必要である。
カーンの逮捕の直後に、アメリカからの圧力で、ヨーロッパ人ではなくアメリカ人ないしは「緊急性を要する経済」の分野から選抜した候補者か発展途上国からの人材をもって、IMF専務理事という立場にある彼に代わる人材を立てるよう強い圧力があった。
1945年のブレトン・ウッズ体制の機関として、世界銀行はアメリカ人が引っ張ったが、IMFは西欧の支配下にあった。
ストロス・カーンは表面には出てこないエリート・グループの一員である。彼はビルダーバーグに属している。世界で最も影響力のある人物というカテゴリーに入る人物であり、銀行家というよりかは学者であり政治家である。IMFの彼の前任者とは違い銀行業界ないしは金融機関との直接的な関係はない。
しかし同時に彼は騙されやすい人だ。彼の「へま」は、アメリカ・ウォール街と対決しIMF内の改革を推し進めた事だ。それはこの機関内部のアメリカの重要な利権と衝突するようになったのだ。
ストロス・カーンがいなくなる事で、アメリカのIMFに対する覇権と支配を強化することに繋がるだろう。それはドナルド・ラムズフェルドがかつて言った「古いヨーロッパ」を犠牲にしアメリカを利することになる。
◆大統領候補としてのストロス・カーンを阻止
最近数年間、ヨーロッパの政治状況に大きな変化が起きた。親米政府がフランスとドイツで誕生したことだ。社会民主勢力は弱体化した。
仏米関係は再定義された。ヨーロッパで出てきている新しい政治家の世代の中で、アメリカが重要な役割を果たすようになってきている。
ニコラス・サルコジ大統領のフランス政権は、多くの点でアメリカの規定の「顧客政権」であり、EU内でのアメリカ企業の利益に資するようになっていて、またアメリカの外交政策と密接に繋がっているものだ。
このストロス・カーン事件のでっち上げ仮説には、二つの重なった相互に関連する問題が存在する。最初の問題は、IMFの政権交代にかかわる問題で、二つ目は、フランスの大統領選挙における候補者という問題である。
両方とも競合するアメリカとヨーロッパの経済利益の衝突に絡まっている問題だ。それにはユーロ通貨システムの支配と言う問題も含まれる。
社会党をひいきするストロス・カーンは、「パリの我々の人材」であるニコラス・サルコジを次の大統領選で追い落とすかもしれなかった男だ。ティアリー・メイサンが論文で指摘しているように、CIAがゴーリストの党を弱体化させ、サルコジを大統領にさせる役割で影の主役を演じた。
カーンが大統領になり「社会主義者」政権が誕生すれば、アメリカは深刻な影響をうけ、仏米関係の重大な変換が起きるだろう。
それはヨーロッパにおける政治的力関係上のアメリカの役割を減少させたであろう。またそれは「古いヨーロッパ(つまり独仏同盟)」とアメリカの力関係のバランスに影響を与えることになっただろう。
それは大西洋同盟とNATO内のアメリカの覇権的役割の内部構造に影響を与えたはずだ。
ユーロ圏の通貨システムと、ウォール街がこのヨーロッパ通貨構造に決定的影響を与えようとする意図が行き詰ってしまうだろう。
◆でっち上げ?
5月17日の世論調査ではフランスの57%の人々は、このストロス・カーン事件をでっち上げと考えており、罠に掛かってしまった、と考えていることを示している。彼は性的に強要し暴行したとして乏しい証拠のまま拘留された。彼は、犠牲者である匿名の客室担当女性係員の代理となる、自分が宿泊していたソフィテル・ホテル側からの訴えの下に拘留された。
ニューヨーク市警のポール・J・ブラウン広報官によれば、この32歳になる女性は当局に、15日(日)の昼過ぎに部屋に入ったところ、彼から暴行を受けたと、いう。彼女は、一日3000ドルの部屋の清掃を告げられたと言う。その部屋は空室だと思ったそうだ。
供述によると、この女性は警察に対して、ストロス・カーンはバスルームから裸で出てきて廊下を追い立ててベッドルームに引きずり込み、そこで彼女を性的に暴行したという。彼女は、彼から離れようと彼と争ったら彼はバスルームに引っ張っていき、今度はオーラルセックスを強要し、下着を脱ぐように言ったという。この女性は彼を振りほどいて部屋を脱出し、ホテルスタッフに事の次第を説明したのだ、と当局は説明した。彼らは警察を呼んだ。
◆ワシントン・コンセンサスに対する挑戦
ストロス・カーンが舞台から消える事で、何が問題かというと、IMFの「政権交代」である。
オバマ政権はより協力的な人材が専務理事になるよう要請している。ニューヨーク連邦準備銀行CEOであったアメリカ財務省長官のティモシー・ガイトナーは、ドミニク・ストロス・カーンはIMF専務理事の仕事をもはや務めることはできないと示唆して彼の交代を進めていた。
「ガイトナーは、IMFの副官にあたるジョン・リプスキーが暫定期間、臨時の専務理事となることを、IMF理事会によって正式に承認することを要請した。ストロス・カーンは辞任しなければならないが、IMFは彼の将来について議論するため彼の顧問弁護士と接触中だと情報筋は言っている」
このでっち上げられたシナリオの背後に何があるのだろうか? どんな強力な利権が絡んでいるのだろうか? ガイトナーはストロス・カーンと個人的に親密な関係を持っている人物だ。
上院では5月18日、マーク・カーク上院議員(イリノイ州)がストロス・カーンの辞任を要請し、IMFの副専務理事のジョン・リプスキーが臨時専務理事として「IMFの全責任を担う」ことを要請した。恒久的代替のプロセスは「即刻開始」されねばならない、と彼は語った。ジョン・リプスキーはウォール街と親密な人物であり、JPモルガン投資銀行の副会長だった人物だ。
IMFは論理的には国際的な政府間の機関であり、歴史的にはウォール街とアメリカ財務省によって支配されてきたものだ。IMFの構造調整政策(SAP)と呼ばれる「厳しい経済薬」は、数多くの発展途上国に押し付けられ、とりわけ貸方銀行と多国籍企業を益するものだった。IMFは数百万人を貧困に追いやり、反面、第三世界の低い賃金経済で外国投資家らのためには「良好な環境」を作り出した、これらの荒廃する経済改革の主要なる設計者ではない。
貸方銀行は命令する。IMFは官僚主義的機関だ。その役割は支配的な経済利益グループのために、こういった経済政策を実施し強化するところにある。
ストロス・カーンの提案する改革は、IMFに「人間的側面」は与えるが、方向性に変化はない。ネオリベラリズムの枠内で策定されている。彼らは修正はするが、IMFの「経済薬」の中心的役割を危うくすることはない。ストロス・カーンの指導の下でのIMFの「ショック療法」の社会的に荒廃をもたらす影響は広く行き渡っている。
ドミニク・ストロス・カーンは2007年11月にIMFの専務理事になった。2008年9月・10月のウォール街の金融メルトダウンが起きる時まで1年に満たない時期だ。構造調整計画は変えられなかった。ストロス・カーンの下で、歴史的に発展途上国にのみ採用されていたIMFの「ショック療法」は、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルに適用された。
ストロス・カーン専務理事の指揮下で、IMFはニューヨークとシカゴのマーカンタイル取引所での商品の価格が上がっている時、発展途上国に対して、食糧・燃料補助金を取り除くことを要請した。
食糧・燃料価格の上昇は、2008年の9月・10月のウォール街のクラッシュ前にあったが、大きくは市場操作の結果であった。穀物価格は大規模な投機操作によって人工的に押し上げられた。投機筋を説得し、食糧・燃料の価格を抑える代わりに、IMFの役割は、これらの価格が上昇することを防ぐことで、負債のある発展途上国政府が「自由市場」にどんな理由があっても介入しないよう確約することだった。
公然とした操作の結果である食糧価格の上昇は、世界中の民衆の貧困化をもたらした。食糧価格の上昇は世界的貧困化のプロセスの新しい一面を構成するようになった。
ストロス・カーンはこの市場操作のプロセスでは共犯なのだ。チュニジアとエジプトでの食糧・燃料補助金の停止は、IMFによって要請されたものだ。食料・燃料価格は急騰し、人々は貧困に陥っていったことが、2011年1月の社会抗議運動への道筋をつけたのだ。
財政上で慎重であることがチュニジア当局の最重要な優先事項であった、彼らは現在の国際的環境下では2010年での財政政策を維持することの必要性を感じていたのだ。公債率を顕著に下げようとするこの十年の努力は、甘過ぎる財政政策によって危険にさらすべきではなかった。当局は補助金を含む現在の支出を統制する決意を固めていた・・・(IMFチュニジア:2010 Article IV Consultation - Staff Report; Public Information Notice on the Executive Board Discussion; and Statement by the Executive Director for Tunisia)
「IMFはエジプト当局に対して、食糧・燃料補助金改革を進めるよう促していた。またエジプト当局の、効率を上げ食糧補助金プログラムを標的としようとする意図を歓迎していた。
「ダメージを受けやすいグループを保護するための社会プログラムを強化しつつ、国内の燃料価格のゆがみを最小にする自動的調整メカニズムを導入することが考慮されねばならない(つまり、国家の介入しない燃料価格の劇的上昇だ)。(IMF Executive Board Concludes 2008 Article IV Consultation with the Arab Republic of Egypt Public Information Notice, PIN No. 09/04, January 15, 2009)
ストロス・カーンの指揮下でIMFは2008年にエジプトで、ムバラクの民営化プログラムの拡大化への努力を支持しつつ、全面的な緊縮政策を押し付けたのだ。 -続く-
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イランの弾道ミサイル
◆5月19日
イランの兵器プログラムが進展している。天敵であるイスラエルに大してはアメリカが資金、技術面などで支援しているため長年中東隋一の軍事大国であったが、近年ではイランがこの分野で伸張してきたため、イスラエルの軍事的優位は揺らぎだしている。
これに加えて中東における「民衆革命」が拡大しているので、親欧米・イスラエルの国家が減ってきている背景がある。とりわけエジプトのイスラム勢力の伸張はイスラエルにとっては脅威になりつつあるはずだ。
かつてのイスラエルの友好国であったトルコも今や反イスラエルの姿勢を明確にしてきたので、イスラエルの中東における位置は微妙な段階に入ってきている。つまり外交的にも軍事的にもイスラエルは徐々に封じ込められ始めている、ということだ。
こうしてイランはもとより、トルコとエジプトという中東の三大強国が反イスラエルでまとまりつつあり、この三国がそれぞれイスラエルの南方、東方、北方(西方は地中海)に控え、更にその軍事力を総合してみれば、イスラエルが今後、軍事的にことを起こす事が非常に困難になりつつあることが理解できる。
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●イラン:国産の新型弾道ミサイルを来週公開
http://english.farsnews.com/newstext.php?nn=9002280573
【5月18日 Fars News Agency】
イランは18日、国産の新型弾道ミサイル数基を5月24日に公開する予定だと発表した。記者会見で、アハマド・ヴァヒディ国防大臣は、「艦船、弾道ミサイル、新型弾薬などを含むいくつかの国防兵器をホッラムシャフル解放記念日(1982年)の機会に公開する予定である」と語った。
イラクのかつての独裁者であったサダム・フセインは1980年10月26日、港町のホッラムシャフルを占領したが、イラン軍は1982年5月24日にベイト・アル・モカダス作戦を持って市を解放した。
ヴァヒディ大臣は、5月24日に公開される新しく製造された弾道ミサイルはイラン人専門家らによる勤勉で大規模な研究の成果であると述べ、近未来にイラン軍に正式に引き渡されるだろうと語った。
イランはこの十年間でミサイル生産技術において著しい進展を遂げた。
最近の例では、イスラム革命防衛隊司令官のモハマド・アリ・ジャファリ少将は今年2月、革命防衛隊は最新型の高性能対艦弾道ミサイルの大量生産を開始した、と発表している。
「イスラム革命防衛隊のこの高性能弾道ミサイルは現在大量生産されている。この型のミサイルは高精密な確率で標的を破壊することができる」とテヘランで2月、記者会見の席でジャファリ少将は語った。
「この新型ミサイルは超音速で飛翔し補足されたり迎撃されることはない」と司令官は語った。また、このミサイルは300km遠方の標的を高精密な確率で撃つことが出来ると付け加えた。
イランの国防省では去年の10月、国産の第三世代ファテ110高精密弾道ミサイルを革命防衛隊空軍に引き渡した。
「革命防衛隊空軍のミサイル部隊の作戦活動はこれらのミサイルによって著しく推進されることになるだろう」と、引渡し式時にヴァヒディ大臣は語った。大臣は更に、イランは近未来にファテ110ミサイルの第四世代のテストを計画している、と発表した。
去年の9月にイランは、第三世代のファテ110ミサイルのテストを成功裏に終えた、と発表した。このファテ110ミサイルは、短距離、道路移動型、固体燃料、高精密弾道ミサイルで、高性能ナビゲーション・コントロールシステムを搭載している。
このファテ110ミサイルはイラン人専門家らによって国防省航空宇宙機構でデザインされ開発されたものだ。
イランの国防省では、ミサイルのデザインと生産の分野で大きな成果を上げてきたが、その中には、地対地固体燃料ミサイルのセジル、2000kmの射程を持つ長距離ミサイルのシャハブ3弾道ミサイル、それにゼルザルとファテ・ミサイルがある。
この新しいテストは新型地対地巡航ミサイルのキアム1と名づけられたミサイルのテストの後に行われた。
イランは自給できるようになるため、ここ数年間兵器開発を推し進めてきた。イランはその開発プログラムをアメリカの武器禁輸に対処するため、1980年から88年のイラン・イラク戦争の間に始めた。1992年からは、イランは国産のジェット戦闘機を生産し、装甲車、レーダー回避型ミサイル、その他のハイテク兵器を生産してきた。
しかしながら、イラン将官らは常に、イランの軍・兵器プログラムは、国防のためのものであり、いかなる国も脅威と見るべきではない、と強調している。
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リビア介入を強めるNATO
◆5月16日
4月1日号の「石油のためのリビアの血:バンパイアー・ウォー 」や4月5日号の「アメリカ・サウジの対リビア陰謀」その他で示してきたように、フランスやイギリスなどNATO勢力が熱心にリビア介入を進めてきたが、結局はこのブログで指摘してきたように、石油にまつわる利権などが目的の介入であり、リビアを分断・切断し、支配する戦略のため反政府勢力に加担してきているということは明らかだ。
またリビアを突破口としてアフリカ全体に対する分断工作を進めたい意向がある、という。これはまた中国のアフリカ進出に対抗する意味合いもある。
まあ好きなだけやればいいだろう。どこまで自分達の思惑が成功するのか、見極めたらいい。時代は以前と違い、もはやこのような自己中の者たちの思惑通りになる時代を超えてきている。だから、彼らの意図がそのまま実現することはないからだ。
ヨーロッパ勢力はその膝元から問題が出てくることにならないか?
リビアなどに軍事介入している暇が本当にあるのか?
スペインの地震は一つの始まりに過ぎないのではないのか?
ハゲタカ根性の者たちの末路は哀れだということを自ら思い知る時が迫っている。
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●リビアのバルカン化
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24757
【5月14日 by Simba Russeau】
「リビアでの戦闘が激化する中、同国の経済的中心であるミスラタでは、最も激しい戦闘が繰り広げられている。専門家らはもしもアメリカとNATOが国連決議1973号を利用して反政府勢力に対して武器の供給をすれば、リビアのバルカン化が始まると警告している。
この地域では、「カダフィはアフリカ連合がアフリカ開発銀行(ADB)を発展させ、フランに替わってアフリカ通貨を使用することで欧米に対して卑屈にならず独立的であることを擁護していた」と、グローバリゼーション研究センター中東・中央アジア専門助手のマハディ・ダリウス・ナゼムロアヤはIPSに語った。
「実際には、リビアに対する介入その頭を切り落とすことでアフリカ大陸における一つの攻撃である。彼らはバルカン化、つまりリビアの分断だけが望みではなく、アフリカ大陸全体のバルカン化が願いなのだ」と語った。
「欧米はカダフィが独裁者で暴君であると知り、本来は一般人の保護が目的である国連決議1973号の下、彼の政権に対する攻撃準備ができている。皮肉なことは、NATOは今やEUの兵器を、以前カダフィに売却した兵器を破壊するために爆撃しているということだ」と、イギリスに本拠を持つ「武器売買反対キャンペーン(CAAT)」と協働するメディアコーディネータのカイェ・スティアマンはIPSに語った。
それに対して、元在リビア・イギリス大使のリチャード・ダルトンはIPSに対して、「NATOはリビアに対して、ないしは北大西洋条約の枠を超えるどこにも戦略的な利害は持っていない。リビアに対しては、国連安保理決議1973号の履行に関心があるだけだ」と語った。
「EUは安定、繁栄、良き政府をその隣人に望んでいる」とダルトンは強調した。
リビアの一般人の保護を許可している国連決議1973号によれば、全ての加盟国は前の決議1970号の第9、10項によって定められた武器輸出禁止の厳格な履行が求められている。
地理的には、リビアは北・中央アフリカへの玄関となっている。また東・西アフリカの間に位置している。人権擁護委員会は反政府勢力に武器を与える事で、部族紛争がリビアの国境を越えて拡大すると警告している。これは国連の付託に対する直接的な違反である、と彼らは指摘する。
「EU諸国の中には、将来不安定さが増大することになりそうな、反カダフィ派に武器を供給することについて、思案中であるという国も存在する。これは予測できない長期的な結果をもたらす可能性があり、社会に大きな問題をもたらし、平和達成に対する障害となりうる」とスティアマンは語った。
この例として、スティアマンは、アメリカが1980年代と90年代にアフガンのムジャヒディンの「自由」の戦士らに武器を供給していたが、紛争が長期化しアフガンと外国のタリバン勢力を含む急進的武装勢力の増大と軍閥勢力を基盤とする社会の拡散、そして市民社会の成長を阻害することに繋がっていったことがあったのだ。これに加えて、アメリカの供給する同じ武器が後になってアメリカと同盟国に対して使用されることになった。
第二次世界大戦終了時の1945年のポツダム会談の時、ソ連、イギリス、アメリカはリビアのイタリア植民地をどうするかで、行き詰まってしまった。アメリカは国連信託統治にしたかったが、ソ連はトリポリタニアをソ連が、フェザンをフランスが、キレナイカをイギリスの委任統治にすることを提案した。
その歴史はアメリカとEUによって繰り返されようとしている。リビアを二つの行政区、トリポリとベンガジに分断するだけでなく、アフリカの統一というビジョンを持つキーとなる競争相手を抹殺しようとしている、とナゼルロアヤは語った。
リビアと中国は、中国が第三世界に属しリビアの石油の最大の顧客であり、50以上のプロジェクトをリビアとの間に持っているということで急速にエネルギー分野におけるパートナーになってきている。
アジアン・タイムズ紙のアナリストであり「 Obama does Globalistan」の著者であるペペ・エスコバールは、中国は最近生じた北アフリカの紛争で、厳しい損害を蒙ったと指摘している。リビアの180億ドルに上る新しい契約は、53%減少した。これがアフリカにおける中国の利権の最小化をなすためのアメリカのアフリカ・コマンド(アフリコム=AFRICOM)の政治戦略の狙いだった。
アフリコムの司令部はドイツのシュツッツガルトあるが、アフリカの53カ国におけるアメリカ軍の活動の責任を持っている。
アメリカはアフリカに基地を持とうと必死だった、リビアへの介入で「その突破口が開かれようとしている」、とエスコバールがIPSに語った。アフリコムの参加はアフリカに対する中国の投資に対抗するペンタゴンの戦略である。
エスコバールは、2010年のNATO国家のリスボン・サミットでの議題は、「地中海の完全支配とNATOの湖の確率・・・カダフィの中国とのビジネスが、ベルギー、フランス、イギリス、アメリカを苛立たせてきた」と語る。
最近は、リビアの反政府勢力は、ミスラタ市を包囲することで優勢にあると主張している。このミスラタの戦略的港は人道的支援として出稼ぎ労働者と紛争を避ける難民を救出するキーとなるところであった。
しかしながらナゼルロアヤは、ミスラタはアフリカ大陸で中国が連結する場所になるところで、リビアとアフリカにとって工業と貿易の重要な基地であり、反政府勢力がコントロールを維持すれば、経済的な大きな戦利品になると指摘した。
「ミスラタは非常に重要な工業都市であり、経済的はハートランドだ。クァスル・アハメドはトリポリの東250kmに位置するが、商業の港であり、またリビア鉄鋼会社(Lisco)の主要な本部がある。この鉄鋼会社は、リビアの鉄鋼の60%を生産し、その内の50%がイタリアとスペインの市場に出る」とナゼルロアヤは語った。
「更に、世界のエネルギー会社のトップ20に入る会社であるリビア国営石油会社の本社もここにある。外国の平和維持活動の裏に隠れて民営化(私営化)が進められている。それがEUが兵士を送りたい理由なのだ」
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ビン・ラディンとオバマ ビン・ラディンのソックリさん
◆5月11日
以下の論文では、アメリカの「ビン・ラディン」殺害をターゲッティッド・アサシネーションとして、違法である、と指摘している。裁判に掛けるべきだったのだ、と言うのだ。
しかしアメリカはサダム・フセインの時のように、裁判の形式を取るわけには行かなかったから、早々と「殺害」したことにし、更に水葬に付し、写真も公表しない、とすることで、誰も「ビン・ラディン当人」が、その時本当に殺害されたのかどうかを確かめることが出来ないようにしたのである。
つまり、生け捕りにして裁判などに掛けることにしたら、「当人」を世界の目にさらすことになり、そんなことになれば、「当人」が偽者であることが一目瞭然となるので、それは絶対に避けねばならない事情にあったということなのだ。
それで、「ビン・ラディン」は捕まった後に処刑された、という「娘」の証言が出てきているのだ。「ビン・ラディン」は恐らく手を上げて、降参の姿勢を示した可能性がある。相手は契約相手のアメリカの送った部隊だ。自分は彼らのために演じてきた、と思っているはずだから、殺されるとは思っていなかったであろう。ところが、アメリカ側としては、「死人に口なし」になってもらわねば困るから、即座に無抵抗のこの哀れな「ビン・ラディン」の頭をぶち抜いて確実に殺したのである。
従って、5月1日に殺害されたのは、ビン・ラディン当人ではなく、なんらかの関係者であり、あるいはダブル、つまり「ソックリさん」であったであろう。彼はとりあえずその時までは、「ビン・ラディン」を演じていたことになっていたのだろう。だから、人目を避けるような生活をしていた。ところが、アメリカ政府は、時が来たということで、いよいよこの「ダブル=ソックリさん」を御用済みにして、この世から消すことにしたのであろう。
既に5月9日号の「ホワイトハウスの捏造:『ビン・ラディン』の新ビデオは4年前の偽フィルム」で指摘したように、黒い髭を蓄えたビン・ラディンとされる人物は、良く見れば分かるように、ビン・ラディン本人ではなく「ソックリさん」である。あごの張り具合とか鼻の形とか全体の顔の比率などから見れば、素人の我々にも判断できる。ソックリさんはソックリさんで、どうしても本人とは少しではあるが、違うと感じさせるものがあるものなのだ。
このようにして、スパイないしはダブル(影武者)をも、御用済みとなれば、あっさりとこの世から抹殺するのが、彼らのやり方である。だから一世一代の大芝居を打つのであるから、絶対にばれる様なことはできない。違法だろうと、なんだろうと、とにかく「ビン・ラディンのそっくりさん」を必ずその場で仕留めねばならなかったのだ。もしも彼が逃げてしまったら、彼はアメリカ側が契約を破って自分を殺そうとした事に怒って、アメリカの全ての工作内容を世界に向けてぶちまけたことだろう。だから絶対にこのターゲッティッド・アサシネーションは成功させねばならなかったはずだ。
「シチュエーション・ルーム」で固唾を呑んで事態の推移を見守っていたホワイトハウスの面々は、その意味で真剣な思いであったかもしれない。
この問題は、ターゲッティッド・アサシネーションが違法かどうかということではなく、一切が裏切りと自作自演のでっち上げということにあるのだ。アメリカ国民と世界の人々に対する死人をだしながらの大狂言だったということ。
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●アメリカの正義:ビン・ラディンのターゲッティッド・アサシネーション
法廷外の処刑は違法
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=24703
【5月10日 by Prof. Marjorie Cohn】
オサマ・ビン・ラディンがパキスタンで海軍特殊部隊によって殺害されたと発表した際、オバマ大統領は、「正義が全うされた」と述べた。オバマ氏は「正義」と言う言葉を間違って使用した。彼は「報復がなされた」と言うべきだったのだ。憲法の専門家である元教授はこの二つの概念の違いを知っている。「正義」と言う言葉は、法が適用された、ないしは法が守られた行為を指すものだ。
ターゲッティッド・アサシネーション(targeted assassination)は、確立している国際法の原則を侵すものである。政治的暗殺とも呼ばれるこのやり方は、司法手続きを取らない処刑である。こういったことは、違法であり、命令による、あるいは政府の黙諾によって、司法の枠組みの外側で実行される計画的な殺人である。
司法手続きを経ない処刑は違法であり、これは武力衝突の際でもそうである。1998年に、国連法廷外・略式又は恣意的処刑特別審査官は、「法廷外処刑はいかなる状況下であっても、それが戦時下であってさえ決して正当化されない」と述べた。国連人権委員会、アムネスティ・インターナショナルは共に法廷外処刑を非難している。
その違法性があるにもかかわらず、オバマ政権はその目的を達成するために頻繁にこの殺人の方法を採用した。オサマ・ビン・ラディン殺害の5日後、オバマ氏はアメリカ市民であり、なんらの告発もされていないアンワール・アル・アウラキに「正義」をもたらそうとした。イエメンでの無人機攻撃で、アル・アウラキは殺されなかったが、CBS/APによれば「アルカイダメンバーと思われる」二人の人物が殺された。イエメンでの攻撃の二日前、アメリカの無人機がパキスタンで15人の人々を殺害し、4人を負傷させた。3月17日パキスタンで44人が殺された無人機攻撃以来、4回にわたって無人機攻撃が行われた。2010年にはアメリカの無人機攻撃は111回を数えている。パキスタンの人権委員会は、2010年で957人の一般人が殺害されたと言っている。
アメリカはフォード政権下で法廷外殺人を行う事を否定した。1975年に上院情報特別委員会が、CIAが外国要人のいくつかの殺人にかかわっていたことや殺害しようとしたことを暴露してから、フォード大統領は暗殺を禁止する大統領令を出した。ジョージ・W・ブッシュ大統領までの全ての大統領がこの大統領令を踏襲した。しかしながら、クリントン政権は、アフガンでオサマ・ビン・ラディンを標的としたが、わずかに失敗したことがあった。
2001年7月、在イスラエル・アメリカ大使は、イスラエルのターゲッティッド・アサシネーション政策あるいは「先制攻撃作戦」を非難した。彼は、「アメリカ政府はターゲッティッド・アサシネーションに対しては反対であるということは記録からして明確なことである。それは法廷外殺人であり、我々はそれを支持しない」と語った。
しかしながら、2001年9月11日以降、元ホワイトハウス補佐官アリ・フレイシャーはサダム・フセイン殺害を促した:「一発の弾丸のコストは、もしもイラク人がそれを行えば、実質的には、戦争のコストより少ない」と述べたのだ。その後まもなくして、ブッシュは、その人物を逮捕することが実践的でない場合、また大規模な一般人の犠牲者を避けられるという時に、CIAがテロリストと思われる者を殺害の標的とすることを許可する秘密指令を出した。
2002年11月、ブッシュはCIAがイエメンにいるアルカイダの指導者を暗殺する許可を出したと言われている。その男と彼の5人の旅行仲間が攻撃で殺されが、国防副長官(当時)のポール・ウォルフォウィッツは「非常にうまくいった戦術的作戦」と描写した。
ホロコーストの後、チャーチルはナチスのリーダー達を裁判無しに処刑したがった。しかしアメリカ政府は何百万人もの人々を虐殺したナチスの将官たちの法廷外処刑に反対した。ニュールンベルグ戦争犯罪裁判の主席検事を務めたアメリカ最高裁判所裁判官ロバート・H・ジャクソンは、トルーマン大統領に語った:「我々は(ナチス指導部)を審理なしに処刑したり他の方法で罰することができたでしょう。しかしながら、有罪の明確な裁定なしの処刑ないしは処罰は、アメリカ人の道義心にしっくりこない、あるいは子供達はそれを誇りを持って思い出すことができないでしょう」
無人機攻撃の標的とされたオサマ・ビン・ラディンと「メンバーらしき者たち」は逮捕されるべきだったし、アメリカの法廷ないしは国際法廷で裁判に掛けられるべきだった。オバマは判事でも裁判官でも死刑執行人でもない。こういった暗殺は違法であるばかりでなく;それは危険な先例を生み出すことになる。アメリカのリーダーたちに対するターゲッティッド・アサシネーションを正当化することに利用されるかもしれないからだ。
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イランのヴァヒディ国防大臣
◆5月10日
ロシアがイランと契約していたS-300防空システムを引き渡さない決定をしたため、イランは独自の防空システム開発を目指していたが、今回実際に長距離防空システムの生産を開始するようだ。
性能としては恐らくロシアのS-300に匹敵するまでには行かずとも、それなりのレベルの物ができれば、ペルシャ湾などに軍を送っている欧米とイスラエルにとっては脅威となるはずだ。といってもこれは相手がイラン領空に侵入してきた際に威力を発揮するものなので、侵入しなければ問題とはならないものだ。
ロシアの大統領選挙が来年2012年に行われるが、プーチンが再びロシア大統領になったら、このS-300システムのイラン引渡しを了承する可能性がある。メドベージェフは欧米寄りだが、プーチンは違う。そしてイランもプーチンに期待している可能性がある。
従って、今回のヴァヒディ国防大臣の声明は、ある意味ロシアに対する牽制だろう。イランは本気で独自のミサイルシステムを開発・生産するが、ロシアが方針を変えて、イランにS-300を引き渡すのならば、イランは独自の開発・生産は中止はしないが、S-300の購入は改めてしてもよい、ということだろう。それはやはりS-300の性能が非常に優れたものだからだ。
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●イラン:国産長距離防空ミサイルシステム開発計画
http://english.farsnews.com/newstext.php?nn=9002181410
【5月8日 Fars News Agency】
イランのアハマド・ヴァヒディ国防大臣は8日、イランは長距離防空ミサイルシステムを開発する計画がある、と発表した。またロシアのS-300防空ミサイルシステムのイラン版を開発するのでは、という噂を否定した。
8日テヘランでの記者会見で、ヴァヒディ大臣はイランとしてはS-300あるいはS-400防空ミサイルシステムの開発をする計画はない、と発表したが、イラン独自の長距離防空ミサイルシステムを製造する事は決定していると語った。
「長距離ミサイル製造は我々の計画の一部であり、動き始めている」と大臣は語った。
しかし、イラン国防大臣は、イランの軍事能力は攻撃的なものではなく、国益を保護するためのものだ、と繰り返し強調した。
去年の9月に、カタム・オル・アンビア防空基地司令官のアハマド・ミカニ准将はFNAに、イランが長距離防空ミサイルシステムの開発にむけて大きく前進した、と語った。そしてそのミサイルシールドの生産をまもなく開始すると述べた。
ミカニ准将は、あらゆるタイプの軍事機器、兵器と装備を開発し生産するイランの能力と可能性を強調し、イランは外国から軍用品を引き渡してもらうのを待つ事はないだろう、と語った。
彼の声明は、イランに引き渡されるはずだったロシアの高性能S-300防空ミサイルシステムの契約について言及したものと思われる。
ロシアのメドベージェフ大統領は、去年6月に出された国連安保理のイランの核計画に対する制裁による制限事項を引用して9月、イランにS-300ミサイルシステム売却を禁止する布告を出していた。
イランはロシアのS-300ミサイルシステム引渡し禁止が国連安保理決議1929に沿ったものであるという正当化を退けて、これは防空システムでありそれは決議1929には含まれていないと指摘した。
その間、イランのトップの軍司令官は数ヶ月前に、イランはロシア製のS-300ミサイルシステムを他の防空システムで代替させることができると発表していた。
「もしも、彼らがS-300防空システムを我々に引き渡さないのならば、我々には代替ミサイルがあるし、作戦に必要なものは技術革新と異なる方法で埋め合わせることができる」と、2009年11月にカタム・オル・アンビア防空基地副司令官のハッサン・マンスーリアン将軍は語った。
NATOによって「SA-20ガーゴイル」と命名されたS-300システムは、移動式陸上システムで、120km圏内の航空標的を補足・撃墜することができるよう設計されている。
S-300の改良型は、S-300PMU1(SA-20ガーゴイル)と呼ばれ、150kmの射程を持つ。低空・高空の弾道ミサイルと航空機を迎撃できるため、予想される空爆を抑止する効果的なシステムとなる。
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