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不安定化の標的になっているシリア

◆6月21日

 シリアの北に位置するトルコは、近年は国民のイスラムへの回帰が強まり、イスラエルの対パレスチナ政策に反発する国民的反発を経験したが、長年にわたるイスラエルとの腐れ縁は生きたままのようだ。特にトルコ軍はその創設にユダヤ勢力がかかわったいきさつ上、近代トルコが発祥して以来、イスラエルとの軍事的繋がりが深い。

 そのトルコはNATOのメンバー国であり、そのNATOとイスラエルとは準軍事同盟を締結しているので、結局アメリカ・NATOを中心として、このNATO勢力としてのアメリカ・イスラエル・トルコが対シリアで足並みを揃え圧力を掛けてきている構造になっている。

 このシリアに軍事基地を持つロシアがそれに対して黙ってみているとも思えない。またトルコの国民は、トルコ軍や政府とはまた違った思惑を持っている。

 このシリアをめぐる各国の思惑がどういう結末をもたらすのか、世界の運命とまでは言わずとも、世界の平和のターニングポイントを握っている問題と言えるだろう。

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●シリアの不安定化と中東拡大戦争(その2)
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=25312
【6月19日 by Michel Chossudovsky】


◆トルコの役割
 
 反乱の中心はトルコ国境から10kmにある小さな国境の町であるジスル・アル・シュグホウアに移っている。

 この町は4万4000人の人口である。武装勢力はトルコの国境を越えてやってきた。ムスリム同胞団メンバーらがシリア北西部で武器を取ったと報じられている。トルコ軍と諜報部隊がこれらの武装勢力の侵入を支援している兆候がある。


ジスル・アル・シュグホウアのムスリム同胞団

 ジスル・アル・シュグホウアでは市民の大量の抵抗運動は存在していない。市民達は銃撃戦に巻き込まれている。武装勢力と政府軍との戦闘は難民を生み出しているが、これがメディアの注目しているニュースになっている。

 反対に社会運動の中枢があるダマスカスでは、政府に反対ではなく、政府を支援する大規模ラリーが行われてきている。

 バシャール・アサド大統領はチュニジアのベン・アリとエジプトのホスニ・ムバラクと比較されているが、主流メディアが言わないことは、独裁的な政権の性格ではあるが、アサド大統領は人気のある人物でシリア国民からの広い支持を受けている、ということだ。

 3月29日にダマスカスで行われたアサド大統領の「数万人の支持者」による大規模なラリー(ロイター伝)と単に報じられただけだ。しかしありえない歪曲だが、欧米メディアによって親政府デモなどのビデオ映像や写真がアサド大統領が反政府デモによる抗議を受けているように報道されたのだ。

 6月15日、ダマスカスの幹線道路の数キロに渡って数千人の人々が2.3kmのシリア国旗を掲げて行進した。このラリーはメディアによって認められたが、不適切だということで退けられたのだ。


長大なシリア国旗を掲げてのアサド政権支援デモ

 シリア政府が民主的でないことは確かであるが、アメリカ・NATO・イスラエル軍事同盟の目的は民主化をもたらすことではない。はっきり言えば反対で、アメリカの意図は傀儡政権を樹立することにある

 メディアの偽情報を通して行おうとしていることは、アサド大統領を悪人に仕立てることであり、世俗国家としてのシリアを更に不安定化させることである。後者の目的は、イスラム主義者組織への隠された支援を通してなされた。

 シリアは独裁的グループによって運営されている。このグループは暴力を使って市民に対処している。シリアでの暴動は、しかしながら複雑である。彼らを自由と民主主義を直裁的に求めていると見ることは出来ない。アメリカとEUが暴動を利用しシリアの指導部に圧力をかけ脅そうとする試みがあった。サウジアラビア、イスラエル、ヨルダン、そして3月14日同盟がみんな武装反乱を支援する役割を演じたのだ。

 シリアに於ける暴動は国内の緊張状態を利用しようとする外部からの支援がなされてきている。シリア軍による暴力的な対応の他に、メディアの偽情報が利用され、イカサマの映像が放映されてきた。シリアの反政府勢力に対して、アメリカ、ヨーロッパなどによって資金と兵器が供給された。資金援助は陰険で嫌われている外国に拠点を持つシリア人の反政府人物たちになされた。その間にも、ヨルダン、レバノンから武器がシリアに搬入された。 (Mahdi Darius Nazemroaya, America’s Next War Theater: Syria and Lebanon? http://globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=25000, Global Research, June 10, 2011)


◆イスラエル・トルコの共同軍事・諜報協定 

 この不安定化のプロセスの地政学は遠大である。トルコが反乱勢力の支援に関与しているのである。

 トルコ政府は武装反乱者を支援している追放された身のシリア人反政府グループを容認している。トルコはまたアメリカの要求している政権交代に従うようシリア政府に圧力を掛けている。

 トルコはNATOのメンバー国であり強力な軍隊を持っている。更にイスラエルとトルコは長期にわたる共同の軍事・諜報協定を持っている。それははっきりと対シリアというものだ。

 1993年の合意覚書はいわゆる地域的脅威に対処する(イスラエル・トルコ)合同会議の創設に繋がった。覚書の条項には、トルコとイスラエルが、「シリア、イラン、イラクに関する情報収集で協力すること、および定期的に会議を持ちテロリズムとこれらの国家の軍事能力に関して査定する」ことが合意されている。

 トルコはイスラエルの国防軍と治安部隊がトルコでシリアに関する電子情報を収集することに合意している。その代わり、イスラエルはシリア・イラク・イラン国境での対テロ戦争でのトルコ軍の装備と訓練面で支援してきた。

 既にクリントン政権で、アメリカ・イスラエル・トルコの三角同盟ができつつあった。アメリカの統合参謀本部議長が支配するこの「三者同盟」は、三国間の指揮決定に関する統合と調整を行う。これはイスラエルとトルコの緊密な軍事的紐帯を基礎に置いている。

 この三者同盟は2005年のNATO・イスラエル軍事協力協定とも連携している。この軍事協力協定とは、「対テロ戦と合同軍事演習など共通の利益に関する多くの分野にまたがるものである。こういったNATOとの軍事協力関係はイスラエル軍から見れば、イスラエルに脅威となる可能性のある敵、主にイランとシリアに対するイスラエルの抑止能力を高める手段となる」 (Michel Chossudovsky,“Triple Alliance”: The US, Turkey, Israel and the War on Lebanon, August 6, 2006)

 トルコからなされた武装勢力に対する秘密の支援は間違いなく、この共同イスラエル・トルコ軍事・諜報協定の下でなされたはずである。

 
◆危険な十字路:拡大中東戦争
 
 イスラエルとNATOは2005年に軍事協力協定を締結した。この協定の下、イスラエルはNATOの事実上のメンバー国となった。

 もしもシリアに対する軍事作戦がなされれば、イスラエルはおそらくはNATO軍と共に軍事的行動に入ることになるだろう(NATO・イスラエル二者間協定の下)。トルコも積極的な軍事的役割を果たすことだろう。

 でっち上げの人道的理由からのシリアに対する軍事的介入は、北アフリカ・中東・中央アジアにおけるアメリカ・NATOの戦争を、東地中海からアフガンとパキスタンを含めて中国西部まで、広大な領域に拡大させることになろう。

 これはまた、レバノン、ヨルダン、パレスチナの政治的不安定化のプロセスを推進させることになろう。これはまたイランとの紛争に新しい局面をもたらすであろう。 

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アサド大統領支援の大規模デモ(3月29日)

◆6月20日

 シリアに於ける騒乱には、外国勢力の介入があることをこのブログでは早くから指摘してきた(3月26日号「シリア全土でアサド大統領支持の大衆デモ」etc)。しかしそれを指摘したのは、恐らく日本では当時ではこのROCKWAY EXPRESS だけだったのではないだろうか?

 その後の展開を見ても、やはり外国からの武装勢力の介入があるのだが、世界の主流メディア(そして日本の二流のメディア)は、アサド政権に対する反乱が嵩じて弾圧で死者が増えている、というようなことしか報じてこなかった。

 しかし、実態は全く別である。これは以下のチョスドフスキー教授の分析を見れば分かるように、欧米・イスラエル、それにトルコの軍(イスラエル寄り)が関与しているのである。

 昨日の記事に見たように、アメリカは地中海に展開した艦船のいくつかをシリア沖に移動させているようだから、シリアにもリビア同様、本格的な介入を図っている可能性が出てきたため、このシリア問題を正しく理解しておく必要が出てきた。シリアにはロシアの海軍基地があることを忘れてはいけない。(この論文は長いので2回に分けて掲載する)

 
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●シリアの不安定化と中東拡大戦争(その1)
http://www.thetruthseeker.co.uk/?p=28561
【6月19日 by Michel Chossudovsky】

 シリアで起きていることは、アメリカ、トルコ、イスラエルを含む外国勢力によって支援された反乱である。

 武装したイスラム主義者の暴徒はトルコ、レバノン、ヨルダンの国境を越えて行った。アメリカ国務省は、この暴徒を支援すると確約した。

 アメリカはシリアの政権交代を目論むシリア人との接触を拡大しようとしている。

 これは国務省の高官であるヴィクトリア・ニューランドによって語られた。「我々はシリアの政権交代を呼びかける国内外のシリア人との接触を拡大している」と彼女は語った。

 ニューランドはまた繰り返し、オバマ大統領はシリアのアサド大統領に対して改革をするか、政権の座から降りるかどちらかにするよう呼びかけていた (Voice of Russia, June 17, 2011)。

 主権国家としてのシリアとレバノンの不安定化は、アメリカ・NATO・イスラエルの軍事同盟の予定表に少なくともこの10年存在していたものだ。

 シリアに対する行動は、「軍事的ロードマップ」の一部分である。NATOの元司令官であるウェスレー・クラーク将軍によれば、ペンタゴンはイラク、リビア、シリア、それにレバノンをアメリカ・NATO介入の標的国家としていた

 「5年作戦計画は、合計7つの国を含む・・・イラク、シリア、レバノン、イラン、ソマリア、スーダンだ」(ウェスレー・クラーク引用のペンタゴン高官の言葉)

 ウェスレー・クラーク将軍は「近代戦争で勝利する」の中で、以下のように語っている:「2001年にペンタゴンに帰ってみて、軍の参謀将校と話す機会があった。我々はイラクでやっている時だったが、まだ他にもあったのだ。これは5年計画の一部分として議論された、と彼は語った。合計では7つの国、イラク、シリア、レバノン、イラン、ソマリア、それにスーダンがあった。彼はそれを批判的に、また懐疑的に語った。私は話しの話題を変えた。そのような事は聞きたいとは思わなかったのだ。またその計画が進められることもいやだった。その日の午後深い懸念を抱きつつペンタゴンを去った」

 その目的はシリアの不安定化とイスラム主義者民兵に属する武装暴徒に対する隠された支援を通して「政権交代」を実行することである。市民の死亡に関するレポートは「保護の責任」原則の下、人道的介入の口実の正当化に利用されている。


◆メディアの偽情報

 ひそかには知られているが、武装反乱の問題は欧米メディアでは退けられている。もしもそれが認められ分析されると、今起きていることに対する我々の理解は完全に異なるものになるだろう。

 市民のデモ隊の無差別の殺害に武装勢力と警察が介入している、ということが多く語られていることだ。しかしながら、ニュース報道は、抵抗運動の初めから、武装反乱勢力と警察との間での銃撃戦で両者の犠牲者が出ている、ということが確認されている。
 
 この反乱は3月中旬から国境の町のダラア市で始まっている。この町はヨルダンとの国境から10kmの地点にある。 

 この3月18日のダラア「抵抗運動」はモサドか欧米諜報部隊によるイスラム主義者のテロリストへの支援を背景とする計画された反乱という様相を持っていた。政府筋は急進派サラフィストグループ(イスラエルによって支援された)の関与を指摘している。

 その他の点は、資金面でのサウジアラビアの関与をうかがわせている。

 3月17日・18日の衝突以来ダラアで起きたことは、警察と治安部隊と、抵抗運動に紛れ込んだ武装テロリスト部隊と狙撃手たちとの衝突である。

 これらの最初の報道から明らかな事は、多くのデモ隊の者たちはデモ参加者ではなく、殺戮と放火を行うことを計画していたテロリストたちだということだ。イスラエル・ニュース・レポートのタイトルは何が起きたかを要約している:シリア-7人の警官が殺害、建物は放火された。-(続く)-

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シリア沿岸に接近中の米艦船バタン強襲揚陸艦

◆6月19日

 リビアへの地上戦介入のため、と思われているアメリカ艦船の地中海における集中であるが、それはまた一面対シリア介入のための準備である、とも見られているようだ。

 つまり、アメリカは地中海でもリビアとシリアの両国に対する介入を本格化する計画がありそうだ、ということ。またアメリカ艦船の一部は黒海にも入っているようなので、ロシアをも牽制することを忘れていない。

 しかし、イラクとアフガン、それにパキスタンでもその他の地域でも問題を抱えているアメリカがこれ以上、アラブ世界での戦線を拡大することが可能なのか、という観点からすると、どうも疑問符がつく。

 いま暫くは今後の展開をみるしかないだろう。

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●米艦船:シリア沿岸に接近中
http://www.prisonplanet.com/us-warships-moved-to-syrian-coast.html
【6月16日 Paul Joseph Watson】

 イエメンとパキスタンで無人航空機による攻撃を強化している間に、オバマ政権は全面的なリビアでの陸上作戦の準備を進めているが、米艦隊は地中海のシリア沿岸に向かって動きを開始した。これはビルダーバーグ会議が中東で新しい戦争を画策しているという情報と一致しており、その主標的はシリアである。

 フッド基地の軍事筋からインフォウォーズ(Infowars)が受け取った、10月にリビア侵略の準備が出来ているという情報に加えて、オバマ政権は、同時に新しい戦線を開く意図を持っており海軍艦船のバタン強襲揚陸艦をシリア沿岸に向かわせている。このバタンは2000名の海兵隊、戦闘機6機、攻撃用ヘリコプター15機を擁している。

 「この巨大な海洋ミサイル迎撃部隊はアメリカがシリアの反政府勢力に対する虐殺を阻止するために軍を介入させる際、イラン、シリア、ヒズボラがアメリカ・イスラエルの標的に地対地ミサイルを撃ち込む不測の事態に対する準備のようである」とデブカ・ファイル(DebkaFile)は伝えている。

 その他では、アメリカがシリアに介入するというのが事実であると見られるのは、ヒズボラがレバノン北方地域からレバノンの中央にロケットを移動させたことに現れていると見られている。イランからの情報でシリアにおけるアメリカ軍の作戦の射程外に兵器類を移動するよう警告されたからというもの。

 インサイダー筋により提供されたベテラン記者のジム・タッカーの警告は、ビルダーバーグ・グループは今リビアで進行中の紛争をはるかに凌駕する中東での大戦争を画策している、というもの。
 
 13日、アドリアン・サルブッチ記者は、「ロシア・トゥデイ」に、ビルダーバーグ・クラブのシリアに対する「隠されたアジェンダ」は、スイスでの会議の結果明らかになった、と語り、予想されたことが実現されつつある、と見ている。

 シリアの人権団体は、3月に運動が起きてから1300人ほどが殺されたと言っている。また300人ほどの軍人・警官らの犠牲者がいる。政府軍と戦車が北に移動したので、マアラト・アル・ヌマアン市から数千人が逃亡した。

 軍産複合体は「人道的介入」という口実で誰を政権交替の標的にするか、という点では非常に厳しい目を持っている。バーレーンとサウジアラビアにおける反政府デモ隊も似たような残虐な政府の弾圧の犠牲者であるにもかかわらず、アメリカは見てみぬフリをしている。

 二つの戦線を抱えその他の紛争をもてあましている中、また核付け会社のトップの2社によって、アメリカ国債のトリブルAの格付けを失いそうな中、アメリカが新たな戦争をすることの出来る状況にあるとオバマ政権がどうして考えられるのかは不明である。

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イランのシェハブ3ミサイル


◆6月16日

 イスラエルの軍事面の専門家らがイラン攻撃はやめろと叫ぶ中、イラン自身は着々と防衛力を増強してきている。特にミサイルの開発に注力している。これはイスラエルを主に狙ったものであろう。

 イランは既にイスラエル全土がその射程に入るミサイルを保有、またロシア製のTor-M1などでミサイル防衛網を築いている。最新型のS-300ミサイル防空システムはロシア側がイランへの引渡しを渋っているため、イランはベラルーシその他から4基取得したと言っているように、防衛網も充実してきているため、イスラエルに対する矛と盾両面で充実してきている。

 イスラエルとイランの国土を見れば分かるように、一度(ひとたび)戦争となり多くのミサイルが飛び交うようになった場合、国土の荒廃で最初に音を上げるのはイスラエルであろう。勿論、イスラエルが核を使用すれば、話は別だが(それを想定して、イランはひそかに核兵器を開発しているかも知れない)。

 そのようなガチンコ勝負をすることはイスラエルの破滅に繋がるのだから、結局元モサド長官のメイアー・ダガンらが言っているように、交渉がベストであり、戦争は最悪の選択肢なのだ。


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●イランはミサイル開発を推進
http://www.upi.com/Business_News/Security-Industry/2011/06/14/Iran-speeds-up-missile-development/UPI-19611308081472/
【6月14日 UPI】

 1年前に課せられた制裁にもかかわらず、イランは長距離弾道ミサイルの開発を急いでいる、とイスラエルのハアレツ紙が非公開の国連のレポートを引用しつつ報じた。

 同時に、エルサレム・ポスト紙は、イランがシバ3bとセジル1の未発表の発射実験を10日に行ったとしている別の国連レポートを引用している。

 これらの話は、第3の国連レポートである、国際原子力機関の報告内容と一致する。5月24日付けで、イランは中距離弾道ミサイルによって運搬される核弾頭を製造する間際にあることが示唆されている。

 IAEAの天野議長は9ページのレポートの中で、イランが濃縮ウランを利用した加工された、核爆発を起こす臨界量を生み出す爆発物をテストし製造していると述べている。
 
 彼はまた、イランがシャハブ3のノーズコーンを核弾頭を装填できるように再度デザインし直したという情報を引用した。 

 ハアレツ紙はこのレポートは国連安保理でイランに対する経済制裁が決定した後、潘基文国連事務総長の召集した1年前に行われた専門家らの討論によって作成されたと報じている。

 レポートは数ヶ月前に完成したが、発行されなかったのは明らかに中国からの圧力があったからだ。中国は安保理常任理事国であり、イランの核・ミサイルプログラムを支援しているとして非難されてきた。

 今月初めにウィキリークスが暴露したアメリカ国務省の電文によれば、イランと関係するマレーシアの会社のエレクトロニクス・コンポーネント社(ECL)は、中国のヴィブテル工業からミサイル用ジャイロスコープを買おうとしていた、という。

 国務省は中国に対して2009年12月、販売を阻止するよう要請していた。

 アメリカは、このECLはイランのシャヒド・ヘマット工業グループと繋がっていたと主張している。このグループは「イランの液体燃料弾道ミサイルの主要なデベロッパーであり、ヘビー・メタル工業は、戦術ミサイルのデベロッパーであるヤ・マハディ工業のフロント会社だ」という。

 シャヒド・ヘマットは、イランのサナン工業グループと共に、イランの国営の防衛産業組織の傘下でシェハブ3を製造している。

 液体燃料のシェハブ3中距離弾道ミサイルは、射程1200マイルでペルシャ湾のアラブ諸国とイスラエルを攻撃することができる。

 より新型のシェハブ4とシェハブ5は大陸間弾道弾として企図されている。射程は3125マイルが予定されている。

 固体燃料2段ロケットのセジル2は、より新型でありまだ開発中だが、射程は1500マイルとなっている。このミサイルの最初のテストは2009年5月20日で、改良型が12月16日にテストされている。

 ハアレツ紙がカバーした国連レポートは、イランが最近セジル1とシェハブ3のテストを行ったことを記している。このテストは6ヶ月間に3回行われた。

 イスラエルのミサイル専門家のトップであるウジ・ルビンは、このレポートを読んでいると言い、イランのミサイルのテストの情報は彼の知る限り信頼できる内容だと言う。

 ルービンは、イスラエルのミサイル防衛組織の責任者を1991年から99年まで務めた人物だ。イスラエルの航空宇宙産業のアロー対ミサイル防衛システムの開発を指導した彼は、イランのテストのテンポを「驚くべき早さだ」と言っている。

 このレポートでは、国連の制裁がイランの長距離ミサイルと核兵器の開発を急がせていると指摘している。

 しかしそれは以下のように警告している:「イランのあらゆる分野での制裁回避、とりわけフロント会社を利用する方法、船積みに於ける隠匿方法、金融取引、通常兵器と関連装備の移送などは積極的に行っている・・・弾道ミサイルの分野では、イランはミサイルのテストを継続し禁止された調達を行っている」

 ポスト紙は、2月の発射テストは、「その当時はイラン人によっても、あるいはミサイルの発射を追跡しているアメリカないしはイスラエルの両者からも伝えられなかった」という。

 これについてはなんらの説明もされなかったが、イスラエルの宇宙研究センター所長のタル・インバールは、そのテストは「イランが弾道ミサイル計画を隠そうとしているので、重要だった」と述べた。

 欧米のアナリストは、ロシアとウクライナからの技術移転が妨害されているため、イランは未だに中・長距離兵器の開発とテストをするにまだ時間が掛かる、と言っている。

 総括としては、イランは新型のセジル改良型を展開するに5年はかかるということだ。それが変更去れたかは定かではない。

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イスラエル内の声を紹介しているリチャード・シルバーステイン

◆6月14日

 既に6月5日号の「元モサド長官:イラン攻撃はするな」などでも示したように、イスラエルの戦争の専門家たちが、イラン攻撃はしてはならない、と口を揃えて言っている。

 このブログでは一貫して、イスラエルがイランを攻撃すれば、イスラエルは生き残れなくなる、と指摘してきたが、今やイスラエルの軍事面での専門家らが、同じことを声を出して指摘する時代になっている。

 アメリカのブッシュ大統領もイラン攻撃を叫んでいたが、アメリカの将軍たちがもしも大統領がイラン攻撃を命じたら、自分達は辞職する、と声を揃えた時があった。戦争の専門家たちから、戦争はやらない、辞職する、と言われたら、大統領もどうしようもないらしい。

 今度はイスラエルの番だ。政治家のネタニヤフ首相は戦争をしたいのだろうが専門家らは、そのようなことをすれば、イスラエルの滅亡に繋がる、と言って断固反対しているから、結局ネタニヤフ首相も、戦争はできまい。そしてそれがイスラエルの為にも、イランのためにも、また中東、世界のために一番よい選択肢なのだ。
 

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●イラン攻撃はイスラエルの終焉を意味する
http://www.richardsilverstein.com/tikun_olam/2011/06/10/an-attack-on-iran-will-end-israel-as-we-know-it/
【6月10日 Richard Silverstein】

 マアリブのサイトで重要な記事が掲載された。古参の軍事諜報高官だったメイアー・ダガンだけがイスラエルのイラン攻撃に反対しているのではないことを指摘している。彼に同調する者たちの中には、元イスラエル国防軍諜報長官のシュロモ・ガジット、元国防長官のベンヤミン・ベン・エリエゼール、元モサド長官のエフライム・ハレビ、その他大勢がいる。

 この記事は多くの反響を呼び起こしたので、ヘブライ語から少し翻訳した。アンソニー・コーデスマンの調査から引用しながら、この記事はイランの核施設を大規模な空爆で破壊することで航空機の3分の1を失うことになるだろう、とイスラエル自身で予言している。航空機はミサイルとロシアが供給した防空システムによって撃墜されると見ている。

 このことを考えてみれば、イスラエルは数百ではないにしても多くの航空機とパイロットをこの作戦に投入せざるを得ないだろう。その3分の1は帰ってこないのだ。3分の1だ。パイロットは国防軍の中でも最も技術の優れた者たちだ。最上質の軍人たちだ。その3分の1が帰ってこないということは、軍にとっても国家にとっても大変な損失である。個人的には、これは国家が許す事のない、あるいは忘れることのない損失ということになると考える。

 帰還する者たちは、彼らが飛び立った国とは全く違う土地に帰ることになるだろう。イランの反撃は大規模ですさまじいものになろう。地対地ミサイルのシハド3をイスラエルのあらゆ場所に降り注ぐだろう。この記事では、あるミサイルには化学弾頭が装填されていて(自分としては疑問だが)、人命の大きな損失が懸念されると見ている。

 コーデスマンの調査の記事で以前、彼のシナリオのいくつかを指摘した:イランは同盟関係を強化するだろう、ヒズボラと多分ハマスとも。イランからの猛烈な反撃の他に、2006年にあったようなレバノンからの、そして2008年にあったようにガザからのロケット弾がイスラエルに降り注がれるだろう。イランはペルシャ湾でホルムズ海峡を通過せざるを得ない石油の動きを止めようとするだろう。これは石油価格の急騰を招くだろう。そして世界経済は深刻な打撃を受けることになろう。

 マアリブの記者は、2008年のタイム誌のインタビューに於けるエフライム・ハレビのコメント
を記している。その中で彼は、イスラエルの攻撃の結果は、「長期には、わが国を荒廃させるものになる」と予言している。これはアラブ民衆の否定的な影響を含め、次の100年に向かって我々に影響を与えるものとなろう。

 今回の記事のインタビューの中で、ハレビは更に、タイム誌のインタビューでは「100年」ではなく「一世紀」と言ったと指摘して、それは否定的な影響は世代を超えて続くことを意味し、それは100年を越えるかもしれないからだ、と述べた。

 シュロモ・ガジットはもっとすごいことを語っている。彼の言葉は衝撃的で忌憚のないものだ:イスラエルのイラン核施設への攻撃は、イスラエルの一掃に繋がるかもしれない。そのような攻撃をすれば、イスラエルは存在できなくなる。イランの核能力を破壊する攻撃で、我々は逆の結果をみるだろう。イランは即座に赤裸々な核保有国になるだろう。

 イランは石油カードを使ってイスラエルに1967年境界線に戻るよう国連に圧力を掛けさせるだろう。これは勿論エルサレムも含むものになるだろう。

 イスラエル全土にミサイルが届くという脅威、国際的圧力、領土返還の必要性。これらの前で我々は生き延びることはできないだろう。こういったことをメイアー・ダガンは言おうとしているのだ。常識的に考えるべきであり、そのような攻撃が何故必要なのか、自分に尋ねてみよ。

 1979年のイラクのオシラク核施設の攻撃を計画したアヴィアム・セラでさえ、イラクからの反撃から自衛するため巨額の国防費を支出することが余儀なくされたと警告している。その反撃は1991年の湾岸戦争時のスカッドミサイルまで実現されなかったが。
 セラはこの紛争を解決する最上の方法は交渉であると言っている。「軍事行動」は、「最も避けたい選択肢だ」と彼は言っている。

 オシラク攻撃時のイスラエル原子エネルギー庁長官のウジ・エラムは、この軍事行動に断固反対だ。それを行えば、イスラエルに対する制裁の声が世界で起きることと、中東での軍備競争を引き起こすからだ。イラクが大量破壊兵器、生物兵器を生産したことがそれに当ると彼は主張している。

 「攻撃はイラクが核兵器を開発する欲求をストップさせることはなかった。かえってその欲求を強めたのだ」と彼は指摘する。

 同様に、ベンヤミン・ベン・エリエゼールは、攻撃で核物質の開発を遅らせるかもしれないが、開発全体を遅らせることはできないだろう。実際、攻撃すれば、単にイランが核保有国になる決意を固めさせるだけだろうと言っている。

 イランからの反撃による避難民を担当するイスラエル国防関連高官の一人は、イラン攻撃は、イランの核への欲望を終わらせる代わりに、ネタニヤフ首相の意図に反して中東での核兵器競争に火をつけるようなことになると警告している。

 強硬論者は、コーデスマン、ハレヴィ、ガジット、その他全ての者たちは、理論上のことを扱っている者たちではない、ということを理解すべきだ。彼らはもしもネタニヤフが賭けに出た際には、現実の問題に対処する者たちである。

 死はイランにとってもイスラエルにとっても想像上のことではない。流れる血は映画の中のようではないだろう。実際の人々から流れる血であり、父や母、兄弟姉妹の血である。戦争になれば、家族や村全体が壊滅することもある。それが、たとえイスラエルが生き延びたとしても、そのイスラエルは元のイスラエルではないだろう、と彼らが言っている意味である。それが、イスラエルがたとえ望んだとしても耐えることのできる見返りであろうか?

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