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イランのアハメドネジャド大統領

◆12月4日

 イランが2日IAEAの提案を拒否したため、核の交渉が白紙状態に戻ってしまい、このままでは新たな制裁が不可避、という事態になりつつあるが、ロシアのプーチン首相は3日、イランが核兵器を製造しようとしている証拠はない、と発言し、この制裁の動きに対する牽制をしている。

 そして明日5日には、米露のSTART1が失効し、後継条約で米露が最終調整する微妙な期間に入る。したがってアメリカがイランに対する制裁の動きにどう対処するかによって、ロシアとのこの後継条約にも影響があることを考慮すれば、アメリカは派手な動きはなかなかしにくいだろう。

 更にロシアには、イランに供給を約束しているS-300対空ミサイルの問題がある。これらを交渉の道具に使って、ぎりぎりの交渉が水面下で進められていくだろう。


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ロシアはイランの核兵器の証拠は持っていない
【12月3日 ロイター】
 ロシアは、イランが核兵器を製造しようとしているという証拠は持っていない、とプーチン首相が3日語った。
 イランは原子爆弾を近く製造するであろうかと記者に尋ねられて、「我々はイランが核兵器を製造するための作業をしているという情報を持っていない」と、プーチン首相は答えた。

 ロシアはイランに対する国際的な制裁を支持するかどうか、と聞かれて、プーチン首相は返答をしなかった。


<イラン>IAEA提案、大統領が拒否 核交渉白紙に
【12月2日 毎日新聞】
 【テヘラン鵜塚健】イランのアフマディネジャド大統領は2日の演説で、低濃縮ウランを国外に輸送して加工し、研究用原子炉の燃料として戻す計画について、「これ以上の交渉はしない。我々が必要なものはすべて自前で生産する」と述べ、拒否する考えを示した。国営テレビが伝えた。10月から再開した核交渉で模索された計画は白紙に戻った形で、年末を期限とした交渉は絶望的な状況となった。
 イランは先月27日、国際原子力機関(IAEA)の対イラン非難決議で、中部コム近郊の第2濃縮施設の即時停止などを突き付けられ、態度を硬化。対抗措置としてウラン濃縮施設を国内で新たに10カ所増設する計画を打ち出していた。
 国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国とイランは、交渉を再開したジュネーブ協議で、イランが製造した低濃縮ウランの大半に当たる1.2トンをロシア、フランスで再濃縮し、加工後にイランに戻すことで基本合意。IAEAが草案を提示した。
 だが、イランの体制内から「段階的な搬出なら応じる」「外国が核燃料を提供するのが先だ」などと反発する声が相次ぐなど態度を二転三転させ、先のイラン非難決議を招いていた。



<START1>5日失効、後継条約で米露が最終調整
【12月4日 毎日新聞】
 【ワシントン草野和彦、モスクワ大木俊治】米国とロシアが初めて戦略核弾頭の削減を定めた第1次戦略兵器削減条約(START1)が5日、期限切れで失効する。一層の核軍縮を規定する後継条約は、年内の署名を目指して両国間の調整が最終段階を迎えている模様だ。米国は、現条約失効後も検証・監視体制の「空白」を生まないよう、何らかの「つなぎ合意」措置を求めている。 ロシア外務省は4日「(後継条約の)署名に向けた準備作業は終了に近づいている」との声明を発表。一方で外務省筋はタス通信に「協議は現条約の失効後も継続する」と最終調整が週明け以降になる可能性を示唆した。4日はジュネーブでの実務協議と並行して、ブリュッセルで開かれるロシアと北大西洋条約機構(NATO)の外相会議に米露外相が出席するため、米露の最終調整が行われる可能性もある。
 91年署名、94年発効の現条約は、米露がそれぞれ核弾頭数を6000、ミサイルなど核弾頭の運搬手段数を1600まで削減すると定め、01年に削減が完了した。今年7月の米露首脳会談は、後継条約で核弾頭数の上限を1500~1675とすることで合意。運搬手段の上限は500~1100と開きがあったが、米メディアは800以下で合意するとの見通しを伝えている。
 検証・監視体制の枠組みも焦点だ。ロシアは現条約の失効に伴い移動式大陸間弾道弾(ICBM)「トーポリM」などを製造するモスクワ東方約1000キロのボトキンスク工場に常駐していた米国の監視員に退去を要求。3日付米紙ニューヨーク・タイムズは、5日までに米国の監視施設が閉鎖されると伝えた。ケリー米国務省報道官は「すべてではないが(現条約の)検証措置が継続される」と述べ、後継条約とともに同条約発効までの「つなぎ」となる政治的合意も目指す意向を表明している。

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ケシ畑に立つ米兵

◆12月1日

 このブログでは、アフガンの戦争は麻薬・ヘロインの利権争いの一面があるとしてきたが、アメリカ軍の同盟者らがそのケシ栽培・ヘロイン製造などを請け負っているという。まだまだ詳しい内容はこれから出てくるものを待たねばならないが、アメリカが深くこの麻薬取引にかかわってきていることは否定できないであろう。
 侵略した欧米の軍も、された側もいまや麻薬を巡って仁義なき戦いを継続している。この戦争の本当の意義は、それに加えて、中央アジアに対する欧米側からの包囲という、つまりハートランドをリムランドから包囲する、という戦略を通して、エネルギー埋蔵地帯を取り込む、という狙いがあるはずだ。


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アメリカはアフガンの麻薬取引に深くかかわっている
http://uruknet.com/index.php?p=m60590&hd=&size=1&l=e
【11月28日 by Glen Ford】

 アメリカはアフガン(とパキスタン)での戦争を8年前に始めた。アメリカが支払う形で各地の軍閥の長にドラッグ取引の特権を与えた。
 いまやアメリカはあらゆるボスの中のボスの立場で【タリバン】の麻薬密売のボスたちの暗殺リストを作り上げた。
 「ギャングが占領したということだ。アメリカと同盟している麻薬業者は警察や国境警備を請け負っている」。
 アメリカは、アフガンの麻薬取引に深くかかわっている。
 グレン・フォードのブラック・アジェンダ・ラジオの論評解説は「アメリカの同盟相手である麻薬業者らは、警察と国境警備隊を請け負っている者達であり、彼らのライバルが、アメリカの暗殺者リストに載っている者たちだ」と言う。
 アフガンの麻薬取引業者の主要な存在を探そうとすれば、それはアメリカ合衆国だ。アメリカのミッションは、マフィア型のやり方になっている。それは、アメリカとそのカブールの傀儡政権の下に入ったあらゆる軍・政治的な同盟者らを堕落させている。
 「ギャングが占領したということだ。アメリカと同盟している麻薬取り扱い業者は警察や国境警備を請け負っている」。
 その結果、アフガンはケシのプランテーションと化し、そこでは世界のヘロイン生産の90%を賄うほどになっている。

 ハーパー・マガジンの最近の記事に、アメリカの麻薬に浸かった占領政策の内部の仕組みを探ったものがある。ヘロイン貿易における業者らで構築されているアメリカの同盟者に、この占領政策がほとんど依存しているという内容が記されている。話の舞台は、パキスタン南東にあるスピン・ボルダック市で、ケシ畑のあるカンダハルとヘルマンド地方への玄関口だ。
 アフガンの麻薬王は同時に国境警備隊と地方民兵の責任者だ。著者は、アメリカに本拠を置く秘密のジャーナリストで、麻薬王のトップの子分と仲良くなった者だ。そして、麻薬業者らと毎日のように頻繁に接触しているアメリカとカナダの将校らに会っている。

 同盟関係は、2001年アメリカがアフガンに侵略した時できた。以来それは強固になり拡大した。麻薬王とその他の同様の者たちは、アメリカの深刻な介入にも無頓着で、アメリカ軍を通して、武器と資金を受け取ることで、自分の麻薬ビジネスを強化し、麻薬業者の他の部族のライバルたちをを出し抜いている。そのため出し抜かれたそういう者達の中には、タリバンと同盟するものたちも出てきている。
 パシュトン語をしゃべるアフガンでは、この戦争は、ヘロイン商人が率いる軍およびアメリカ軍と同盟関係にある者たちと、タリバンと同盟している者たちとの間の戦争になっている。
 タリバンは、アメリカの政策がルーツである、このマフィア・ギャング戦争で優勢となっている。「この戦争の成り行きはおおよそは麻薬業者らによって決められる」

 では、アメリカがあれほど多くの市民に、花婿、花嫁の多くの親族を一掃するような結婚式に対する空爆をするのは驚くべきことであろうか?アメリカの麻薬取引の同盟者らは、ライバルとなる氏族や部族に対して、お金の爆弾を落としている。アメリカ人にはその抗争の地でハイテクのマッチョとして働いてもらっているのだ。
 アメリカとヨーロッパの占領軍は、彼らと組んでいる麻薬王らによりリストアップされた暗殺名簿でギャングの戦力組成を制度化してきた。
これは、「避け得ない戦争」で、オバマ大統領が自分が責任をとってやることとしたものだ。この戦争の戦力組成は、麻薬業者が決定する。米軍の将軍らは、現地の民兵や警察に依存することを軽減するべく、数万人規模の米兵の投入を要求している。しかし、これは麻薬取引をしているアフガンのアメリカのパートナーを、もっとうまいやり方をするタリバンの側に押しやることになる。 すると将軍らは、米軍がさらに必要だ、と主張する。

 アメリカはこの麻薬漬けの地獄を作り出して、彼らの占領も失敗しつつある。不幸なことだが、彼らはその過程で、数百万のアフガン人もまた窮地に追い込んでいるのだ。

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S-300の発射の瞬間

◆11月30日

 ロシアがイランに約束している、S-300最新鋭対空ミサイルシステムの引渡しについて、イラン側がその真意をただすべく代表団を送り、ロシア側から、間違いなくミサイルシステムの引渡しは行う、という確約を取り付けたという。

 このブログではこの問題を追跡しているが、イラン側のあせりが見えるのと、ロシア側の引渡し遅延の真意が、この時点でもいまだに見えていこないと言えそうだ。

 ただ以下の記事にあるように、ロシアはある駆け引きをしていることは確かなようで、決してシステムの引渡しをしない、ということではなさそうだ。
 たとえば、イラン側がウラン濃縮をイラン国外で行うとする6国側の提案を呑めば、一旦はイランの核兵器の獲得の危機が遠のく、ということで、システムの引渡しを実施するというようなことかもしれない。この場合イスラエルに対してもシステムの引渡しの正当性を主張しやすい。

 イランはイランで、IAEAの査察も入れているのだから、ウラン濃縮作業を国外で行わねばならない理由が分からない、イランだけを狙い撃ちしている、と見ている。それで、同じくアメリカに反発を強めてきているブラジルをイラン大統領が訪問、ブラジル大統領からのイラン支援の姿勢を引き出したりしている。

 従って、この構造は、要するにイスラエルに気兼ねする欧米と、その欧米に反発するイスラム勢力および新興国との対立、となっている。ロシアはその両方を睨みつつ、問題解決の主導権を握ろうとしているとも見られる。

 もともとこのシステムは、対空ミサイルであり、それはイラン領内に侵入した航空機やミサイルなどがその標的だから、防衛兵器であり、攻撃兵器ではない。従ってそのようなシステムの引渡しの正当性を主張しやすい。
 しかし、攻撃したいのはイスラエルだから、これがイランに配備されれば攻撃しにくくなるため、ロシアに対しその引渡しをしないよう圧力を掛けてきていた。しかしロシアはその代金も受け取っているから、基本的には、引渡しは避けることはできない。だから、今回のウラン濃縮の国外での実施という提案をイランに呑ませ、それを条件にミサイルの引渡しをしたいのではないか、と思われる。


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ロシアはイランにS-300ミサイルを2ヶ月以内に引き渡す
【11月27日 PressTV】
 ロシアはイランに対しS-300最新鋭対空ミサイルを引き渡すことを確約したと、ロシアを訪問したイラク代表が語った。
 モハマド・レザ・サジジャディ氏は27日、ロシアがイランに引き渡すミサイルシステムの引渡しが遅れているため、取引から撤退した、という話があることで、それを否定した。
 「我々はロシアがシステムを引き渡さないという話があることを聞いたのでロシアにその件を糺したところ、ロシア側はそれを否定した」とモスクワでの記者会見で語った。
 「引渡しの期日はすでに過ぎている。しかしロシア側は技術的な問題があるからで、今それを調整中だという話だった」とサジジャディ氏は語った。「我々はこの問題は、1,2ヶ月以内に解決すると感じている」

 サジジャディ氏は、イランもロシアも契約を「元に戻す」ようなことは考えていないと述べ、契約は両者にとってメリットがある、と語った。

 この最新鋭システムに引渡しに関するロシアの遅延問題は、イラン高官らからの厳しい批判を浴びてきた。
 今月はじめ、ハッサン・フィロザバディ・イラン統合軍 参謀総長は、ロシアに対し、この引渡し遅延の動機を糺した。彼は、両国の間で締結されたこの契約では、ロシア政府は、イランに対し、同国の防衛システム能力の向上に資することを期してこのシステムを供給することを期待されている、と語った。
 「この引渡しは6ヶ月以上も期日を過ぎている」、と参謀総長はロシア側に引渡しプロセスを促進するよう促した。

 アハマド・ヴァヒディ国防大臣もまた、ロシアがイランに対しシステムを引き渡す「契約上の義務がある」と述べた。
 「我々はS-300防衛ミサイルを購入するためロシアと契約した」と、この契約が2007年に署名されていることを明らかにしながら彼は語った。
 「我々はロシア高官が契約を破棄したと世界が見ることを望んでいるとは思わない」と語った。
 イランは、イスラエルの戦争を声高に叫ぶ姿勢に対処するため、抑止力を改善するため最新型の防衛システムを獲得する努力をしてきた。
 欧米の専門家によると、S-300ミサイルシステムはイスラエルの空爆に対しイランの核施設を保護するものになる。
 S-300システムは、120km先の航空機に対しその標的を探知しミサイルを発射することができる。また妨害電波を出し同時に100の標的に対応することができる。


イラン大統領がブラジル訪問、首脳会談 疑問の声も【11月24日 CNN】
 イランのアフマディネジャド大統領は23日、南米歴訪の最初の訪問国ブラジルでルラ大統領と会談し、経済や文化および技術面の交流に関する各種合意に署名した。イラン首脳のブラジル訪問は初めて。
 アフマディネジャド大統領には経済界のリーダー200人が随行しており、大統領は訪問各国との経済関係強化を図っている。ただし大統領は核問題で欧米各国から圧力をかけられるなか、イランに同情的な各国政府とつながりを深めたい意向にあり、大統領選後の騒乱鎮圧で悪化したイメージの改善も図っている。
 1970年代のカーター米政権で国土安全顧問を務めたロバート・パスター氏は、アフマディネジャド大統領が重要人物扱いされる国々を訪問する傾向を指摘するとともに、国際社会の重要国になろうとしているブラジルがアフマディネジャド大統領を歓迎する理由が理解不可能だと発言。別の元米当局者も、ブラジル外交の未熟さが露呈しているとコメントした。
 ブラジルの主要都市リオデジャネイロでは1000人規模の集会が開かれ、参加者らがイランの人権問題や、ナチスドイツのユダヤ人虐殺(ホロコースト)を否定したアフマディネジャド大統領の訪問に抗議を表明した。ルラ大統領は、外交による問題解決の模索は国家にとって必要であり、イランを核問題で孤立化させるべきではないとして、アフマディネジャド大統領との会談をめぐる批判を受け入れない姿勢を示した。
 アフマディネジャド大統領はこの後ボリビアとベネズエラを訪問し、アフリカのセネガルに向かう。

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イスラエルの新戦略

◆11月27日

 イスラエルがイランを攻撃するとすれば、それは12月以降である、という指摘が10月17日号の「イスラエルは12月後にイラン攻撃? 」で紹介した記事中にあった。
 今イランはウラン濃縮をイラン外で行う件で、国際社会と折衝中であり、困難な局面にはなりつつあるが、今なお結論はでていないので、イスラエルも行動には出ないであろう。その間彼らにはやらねばならない準備があり、それがこのイランからのミサイル攻撃に対処するシステムの整備だ。このシステムは来年には配備されるというから、やはりあるとしても、イスラエルのイラン攻撃は来年になってから、と言えそうだ。
 

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イスラエルはイランに対し最新鋭兵器で向かう
http://www.huffingtonpost.com/2009/11/25/israel-readying-new-cutti_n_370297.html
【11月25日 Josef Federman and Steve Gutkin】
 対空ミサイルシステムと2隻の核搭載可能潜水艦をもって、イスラエルはイラン、および近隣のイランの代理勢力からの反撃に対する防衛力を強化している。

 ガザ侵攻時におけるハマスの火力の拠点を破壊することに失敗、また2006年のレバノン戦争時のヒズボラに対する戦闘にも失敗したイスラエルは、防衛技術の新鋭化を強化している。
 このシステムは進入してくるガザやレバノンからのロケットを撃ち落とすための金属雲を発射することができ、そのテストに成功したと、製造元は発表した。このシステムは来年配備予定だという。

 イスラエル軍は、アロー防衛システムの新世代を開発中、イランからのシハブ長距離ミサイルを大気圏外で撃ち落とすよう設計されている。
 イスラエル軍はまた、ドイツ製のドルフィン型潜水艦を3隻保有している。また2隻を購入中だ。これらの潜水艦は核弾頭ミサイルを搭載でき、イラン沖合いの海中に潜むことができる。イスラエルは、イランが、否定はしているが、原子兵器を獲得しようといている、と言っている。ドルフィン級潜水艦が核能力を持っているかどうか、確認はされていないが、上級将校は司令官たちは、外交が失敗した際の攻撃計画を作成する作業を進めている、と言う。

 このミサイル・プロジェクトにはイスラエル内に批判者がいて、その効果を疑い、あまりに高額になると指摘している。
 また多くのイスラエル人は、クリントン元米大統領の最近発したイスラエルに対しする警告に同意している。それは、イスラエルの真実の安全保障は、いつでも攻撃する能力を向上させることができると言っている敵との和平を達成することで獲得できるというもの。
 
 イスラエルの絶滅を繰り返し叫んでいるイランの核により全滅するという彼らの支配的な恐れがあるが、当面の脅威は、イランが支援しているヒズボラとハマスから来ているものだ。
 イスラエル軍は、ヒズボラは兵器を3倍に増やしていると考えている。4万発のロケットは、そのいくつかはほぼイスラエル全域をカバーできる。2006年に使用された短距離ミサイルに比べて劇的な改良がなされている。

 ハマスもまた昨年の冬の戦闘以来ロケットを増やしていると、上級将校は語った。ハマスは最近、60km飛翔するロケットをテストしている。これはテルアビブ地域を射程に収めることができる。
イスラエルの防衛産業は、まもなく鉄のドームを配備するようになる、という。このシステムは、飛来するロケットを捉えるカメラとレーダーを使用、撃ち落とすものだ。このシステムは大変精妙で、風、太陽、その他の条件を加味しつつ計算し直して、ロケットがどこに落下するかを殆ど即座に割り出すことができる。

 ミサイルを撃ち落とすというのは、弾丸を弾丸で止めるようなものだ。しかし鉄のドームの開発者の一人である、エヤル・ロンは、彼のシステムは、迎撃体を発射し、爆発して細かな雲状に拡散するので、直接当てる必要がなくなる、と説明している。
 「非常に早い速度で飛翔する標的に迎撃体を持ってくるのは大変に難しいから、このシステムは大きな利点を持っている」とロン氏は語る。
 彼は、イスラエルの南部砂漠地帯での最近のテストは成功した、と言う。最終リハーサルは、12月に予定されている。

 ガザからのロケット弾に何年もさらされてきたイスラエルは、この鉄のドームを歓迎している。
 「10発のロケット弾発射があるような時に向いているが、戦争となったら話は別だ。そのようなシステム開発に投資するのは、破産しようとするようなものだ」、とイスラエル安全保障研究所の軍研究計画主任のガブリエル・サボニ氏は語る。

 鉄のドームは、戦車数の増大、対戦車ミサイルを跳ね返す技術の施されている装甲兵員運搬車などを含むより大きな戦略の一部である。
最後の切り札は、イスラエルが確認を否定しているが、誰も疑うことの無い、核兵器である。
ガザとレバノン戦争ではっきりした戦略は、単純なもので、相手が更に攻撃ができなくなるよう圧倒的な力量でたたく、というものだ。
 この政策は、イスラエルに脆弱な平穏をもたらしたが、しかし多くの犠牲の上で達成できたものだ。
軍人らは、国連のレポートにある戦争犯罪の記述を含む、ガザ戦争に対する国際社会のイスラエルに対する非難を重く受け止めていて、これが将来の戦争のあり方を縛ると考えている。

 軍人らは、匿名を条件に、更なる精密兵器の開発に資源が振り向けられている、と語った。たとえば、狭い地域で損害を出せる爆弾、本当の爆弾を落とす前に市民を怖がらせる騒音発生爆弾などだ。

 誰も今の平穏がずっと継続するとは思っていない。全方向に対する武力の誇示が平和な中東のたよりなさを示している。

 イランは核施設に対する攻撃から防衛することを企図しての大規模な防空軍事演習を今週行っている。
 イスラエルは最近、戦艦を紅海からイラン方面に移動させた。また3週間前、イスラエル海軍は、フランコップ貨物船を拿捕した。彼らは、イラン製兵器をヒズボラに向けて運ぶ途中だったと指摘している。

 先週、ネタニヤフ首相は、潜水艦、ついでミサイル艦に搭乗している。このミサイル艦がイラン製兵器を押収した艦船だ。彼は搭乗員に対し獲物を押収したことを感謝し、イスラエルはイランの最初の標的であるが、「最後ではない」と語り、イランの野望は単にイスラエルだけではない、と指摘した。

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ミサイルテストをするイラン軍

◆11月22日

 ロシアがイランにS-300対空防衛ミサイルシステムの供給を渋っているため、イランは防空演習を開始した。通常はこの際、S-300の実験もするようだったが、ロシアの引渡し遅延で実現できていない。
 それでイランは、ロシアが引き渡さないならば、イラン独自で似た性能のミサイルを生産できる、とロシアに脅しをかけてきている。
 このミサイルは世界でも最強のミサイル言ってよい。だからイスラエルはそれがイランに引き渡され、配備されることを恐れている。イスラエルと欧米がロシアに圧力をかけている、と見るのは不思議ではない。イスラエルが恐れているのだから、引き渡せば、それが配備される前にイスラエルはイラン攻撃を実行する確率が一段と高まる。これはすでに述べた。


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イランが核施設防衛の軍事演習
【11月21日 Fredrik Dahl and Hashem Kalantari】
イランは核施設を防衛するための大規模な防衛軍事演習を22日開始した、と上級司令官が語った。
 アハメド・ミグハニ陸軍准将は、イランはイスラエルが希望することであるのだが、もしロシアが引き渡しを実施しなければ、最新型の防衛ミサイルシステムを自分たちで生産することができることを示唆した。

 イランは、ロシアがS-300ミサイルを引き渡さないのは、ロシアがいうような技術的な問題のためではなく、イスラエルからの圧力があるからだと考えている、とミグハニ准将は語った。
「われわれはロシアがシオニスト・ロビーの圧力を無視することを期待している」と22日、准将が語ったとファース通信社が伝えた。イランはイスラエルのことをシオニスト政権と述べている。

軍事演習は5日間行われる予定だ。また革命防衛隊と正規軍が参加する、とイラン・メディアが伝えた。
アメリカとイスラエルは、原子爆弾を製造することを目指していると欧米が疑っているイランの核施設の問題を解決することに、外交的に失敗した時には、軍事的選択肢をとることを除外してはいない。

 核計画はただ発電のためだと言っているイランは、もし攻撃されればイスラエルとアメリカのペルシャ湾の基地を対する反撃をすると脅している。
 「今週の対空防衛演習は、国の核施設を防衛することを意図したもの」とミグハニ准将は語ったとファース通信は伝えた。国営テレビ放送は、防衛演習は「これらの施設の防衛をより確固たるものにするだろう」と伝えている。

 核兵器を生産する能力を引き伸ばす意図のため、6国提案を拒否したことに希望を失ったこと、それでイランに再考を促していると6国からの上級高官らが語った翌日に、この軍事演習のことが発表された。
オバマ米大統領が数週間以内にイランに対する制裁のパッケージになるかもしれないと警告した後で、アメリカ、ロシア、中国、ドイツ、イギリス、フランスの6カ国は、会談を行った。


◆シオニストの圧力
 イランはしばしば防衛軍事演習を行い、いかなる脅威にも準備ができていることを示すため装備の先進性を発表する。

 IRNA通信の職員は、この演習はイランの西部で行われ、それは大規模なもの、と伝えている。
イラン高官は、ここ数週間、ロシアがS-300の引渡しを遅らせていることに募る不満を語っている。
核問題でイランから距離をおくことを欧米から迫られているロシアは、イランにミサイルを引き渡す件では予定通り進めていない。
「彼らは技術的な問題があるため引渡しを遅らせていると言ってるが、われわれはそれが、シオニストからの圧力のためだと考えている」とミグハニ准将は語ったとファース通信は伝えた。
 「演習の中で、新式で現代的なミサイル網が使用され評価される、その中にはS-300も含まれる。このミサイル・システムの生産能力をイランは有している」とIRNAはミグハニ 准将は語ったと伝えた。

 古参議員のアラエディン・ボルジェルディは今月はじめ、イランはS-300と似たミサイルの保有を強調しながら、イランがS-300システムを生産する能力を有している、と語った。
 アメリカのクリントン国務長官は、イランに武器を供給しなかったことで先月、ロシアを賞賛した。
 欧米ではSA-20として知られているトラック運搬用のS-300MU1は、巡航ミサイルと航空機を打ち落とせる。このミサイルは150Km先の標的に対し発射されうる。、

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