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時代の先読み
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日本の進むべき道
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我々の心構え
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ゴールドマン・サックス本社
◆10月8日
日銀が介入しても、結局数週間も持たず、ドルは再び円に対し82円台となった。この間、ゴールドはすごい勢いで上昇し、一時1オンス1360ドルを突破した。
既にこのブログでは、今年後半から来年にかけてアメリカ経済が崩壊に向けた動きを強めると予想を示していたわけだが、正にその展開となっている。
ゴールドマン・サックスが今後6ヶ月から9ヶ月の展望で、かなり悪い、ないしは非常に悪い、という予想を出しているのを見ても、それが投資銀行の予想という点を踏まえれば、かなり控えめなもの、と捉えた方がいいだろう。
マティアス・チャン氏が語っているように(9月3日号、7月1日号など)、アメリカ経済はにっちもさっちも行かない袋小路に追い込まれているのだから、時間の経過とともに、事態は更に一層悪化すると認識し、むしろそれにいかに備えるか、という点に重点を絞った考え方をした方がよいのだ。
金融津波の第2波がくることは、このブログでは、何回も示してきたとおりである。それがそろそろ水平線上に見えてきた、ということになるだろう。
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●米経済展望:「かなり悪い」または「非常に悪い」-ゴールドマン・サックス
http://www.guardian.co.uk/business/2010/oct/06/goldman-sachs-fairly-bad-very-bad
【10月6日 Edward Helmore】
ゴールドマン・サックスのエコノミストはアメリカ経済の成長と就業率について新しい、しかも厳しいシナリオを示した。
アメリカ経済に関する暗い予想は、本日更に強まった。ウォール街のゴールドマン・サックスが、アメリカ経済は今後6ヶ月から9ヶ月では「かなり悪くなる」ないしは、「非常に悪くなる」と発表したからだ。
この銀行のチーフ・エコノミストのジャン・ハッチウス氏は、二つのシナリオを投資家たちへの書簡で示した。「かなり悪い」というシナリオでは、来年の経済成長は1.5%から2%で、失業率は上昇し10%となる、というものだが、「非常に悪い」シナリオでは、経済は完全に不景気となる、というもの。
ハッチウス氏の見解は、ニューヨーク、ボストン、シカゴの各連銀の責任者が先週行った、連邦準備制度理事会に対する新しい刺激策の導入を11月2日に行われる会合で示すべきだという要望に更なる重みを付け加えることになった。
本日、民間セクターのペイロール・レポートは、アメリカが数ヶ月の成長後、解雇を始めていることを示している。この数字は9月の失業率は9.7%に上昇したことを示す労働省の月次レポートに先駆けて示されたものだ。
経済復興は横ばい、ないしは下落傾向であるというサインは円に対するドルを記録的なレベルにまで押し下げているし、ゴールドは上昇を続けている。先週、ヘッジファンド・マネージャーのジョン・ポールソン氏は、ゴールドは1オンス1100ドルから2400ドル、もしくは4000ドルにまで上昇するかもしれない、と予想した。
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再び起きるクレジット危機を避けるには?
◆9月26日
9月13日にBISが新たな規制内容を発表したようだが、それでは却ってアメリカ経済は萎縮すると指摘して、今の危機を乗り越えるためには、銀行システムの全面的な改訂が必要だと指摘する内容である。
そしてエレン・ブラウン女史の持論である、州政府所有の銀行を設置し、州政府紙幣の発行で経済を回していくことを進めている。それをノースダコタ州では実践していて、結果は非常に良好であるというのだから、他の州も見習えばよいのだ。
日本の場合も同じだ。不景気なのだから、量的緩和、公共事業など政府が積極的に経済を回す努力が必要のはずだ。円高だというのだから、政府発行紙幣で民間にお金を回し、内需を喚起、失業を減らしていけば、日本経済も再び回りだすことになる。今や新しいさまざまな分野での産業が興隆することが必要な時期に来ているのだから、その新たに発行された紙幣で産業を育成するようなことをすればいい。
アメリカから何か圧力があるだろうが、そういうものに何時までも唯々諾々として従っている場合でも時でもない。腹をくくって実践するだけだ。
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●クレジット・メルトダウンとウォール街の影の銀行システム
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=21184
【9月25日 by Ellen Brown】
バーゼルの新しい銀行業界の帝王により、各銀行が統制されている反面、ウォール街の「影の銀行システム」は、殆ど野放し状態が続いている;そして2008年の信用危機が生じた理由もそこにあったのだ。
銀行システムの信用貸しは、そのシステム自体に欠陥があり、全面的な見直しが必要とされている。
9月13日、国際決済銀行(BIS)は、自己資本比率を高める規制を出したが、これにより消費者や中小企業への貸し出しは更に困難になった。新しい規制は表向きは2008年の信用危機の再発を防止することとされているが、彼らはその危機の本当の理由を指摘することをしていない。規制を免れている影の銀行システムのことだ。
2008年9月に何が間違ったのかと言えば、現行のバーゼルⅡの自己資本比率が低すぎたことが問題だったのではなく、この規制を免れる方法を銀行が取ったことによるものである。バーゼルⅡ規制は、銀行の自己資本比率をどれほどその銀行の貸付内容が危険であるか、ということに基礎を置いていたので、銀行はCDS として知られる規制対象外の「保険契約」を買うことでリスクの程度を低く見せるようにしたのだ。
しかしこの保険は、2008年9月15日にAIGが破綻することで詐欺的なものであることが証明された。それから起きた信用崩壊については、普通はサブプライム住宅ローン市場の崩壊が非難されている。しかし、エコノミストのゲリー・ゴートンによれば、サブプライム問題はそれ自身では世界的信用凍結を引き起こすには十分なものではなかったという。実際に信用凍結状態をもたらした原因は、影の銀行システムとして知られている、あまり知られていない市場での昔ながらの銀行破綻であるという。
従来の銀行システムでは通常では銀行破綻は起きない。それは、預金者は 連邦預金保険会社(FDIC)保険で保護されているのと、破綻しそうな銀行は連邦準備銀行から借り入れることができるからだ。しかし、FDICの保険は25万ドルしか保証しないし、巨大機関投資家、例えば年金ファンド、投資信託、ヘッジファンド、政府系投資ファンドなど、が大量のドルを保有し投資先を模索している。
彼らは少ない利益でも安全な投資対象、しかも旧来の普通預金のように直ぐ引き出せる流動性のある投資先を求めている。
この影の銀行システムとは、大規模にレポ市場を活用することで、こういったニーズに応えるものだった。レポとは、流動性の高いコラテラル、主に財務省証券とか抵当証券、の売買のことだ。こういったコラテラルは特定目的事業体(SPV)が購入する。彼らが影の銀行としての動きをするわけだ。投資家は彼らの資金をSPVに投資し有価証券を保有するが、これは通常の銀行におけるFDICの保険に代わるものとなる(もしもSPVが支払いできなければ、投資家はこの証券の担保権を行使できる)。
流動性に対する要求に応えるため、レポは1日ないしは短期での取引となる。そして資金が引き上がられるまで継続して繰り返される。この資金は銀行により他の貸付や投資、あるいは投機に使われる。しかしそれが、長期のローンを短期の借り入れで行うために、ジミー・シュツワートの「素晴らしき哉、人生」のような危険な状態に銀行を置くことになるのだ。何らかの理由で投資家が危険を感じていっぺんに資金を引き出したら、銀行はローンを行えなくなり、信用凍結状態に陥る。
2008年9月、レポに投じている資金を保証している抵当証券(MBS)が、言われているようなトリプルAではないということが分かった時、投資家は危険を感じたのだ。
しかし次は違ったものかもしれないし、バーゼルⅢはこのシステム的な弱点をほったらかしにしている。おそらく間違いなく今の民間銀行と信用の仕組みでは修正することは無理だろう。ビジネス・インサイダー誌による「シーキング・アルファ」の記事で指摘されているように:
「我々の金融システムは多くの先回と同様の要素があるので、新たな信用危機に対して脆弱なままである。誰かがパニックの口火を切ればすぐ起きてしまうだろう」
問題は、どうやってこのシステマティックなリスクを除去するかだ
「影の銀行業をより厳格に規制すること、そしておそらく政府がバックストップすることが必要だ。それを停止させ、制限することでクレジットをシステムから離脱させることができるだろう。こういったクレジットは、実体経済の中で使用も必要ともされていない非金融クレジットである」
実体経済はクレジットを必要としている。行き過ぎた規制でその流れを断ち切れば銀行は実体経済を死に至らしめることになる。ゲリー・ゴートンによれば、影の銀行システムが発達したのは、銀行が規制で身動きできないためであり、利益を上げられなくなっていたからだという。彼は以下のように書いている:
「銀行のバランス・シート上にローンを保有していると利益を上げられない・・・これが並行ないしは影の銀行システムが発達した理由なのだ。もしある取引が利益を上げられなければ、そのオーナーは投資を行わずにその取引から手を引くだろう;彼らは別のところに投資をする。規制する者たちは銀行にそうさせることができる、もっと資金を保有させたりさせて、しかし銀行業が利益を上げられないのならば、彼らは銀行業から手を引くだろう。手を引くと言うことは、銀行株主が更に出資することを拒否するから、規制された銀行分野は縮小するということだ」
◆ベターな解決に向かって
銀行システムの全面的な見直しをすることが、唯一こういったシステマティックな弱点を除去する道である。マネーとは何かということに対する間違った理解がこの弱点の元になっている。我々はマネーをなにか物体、地中から掘り出さねばならない物とか既に持っているものから借りねばならない物と考えている。銀行はローンをカバーしたり投資をするためのこのマネーを十分に持っていないため、詐欺行為のようなクレジットを発行しそれをカバーするため短期ローンに飛びつき、突然のそして想定外の引き出しというシステマティックなリスクに自らを晒すことになるのだ。
これは旧来の型であるが、今日ではマネーとかクレジットは違ったものになっている。我々のマネーをゴールドとか商品が保証しているわけではない。何もマネーを保証していないのだが、「アメリカ合衆国に対する完全な信頼と信用」が保証しているのだ。マネーとクレジットは単なる法的な取り決めの創造物であり、誰が誰にいくら負っているかを示すタリー(賃借記録)なのだ。2人以上のグループがマネーを全く介在させないで法的取り決めをすることができる。彼らは商品に対してクレジットを発行し、実際の取引を行うことができる。民間銀行の独占によりなされる貢物は、実際のところは、この取引の流れの足かせとなっている。トーマス・ジェファーソンは1815年、ガラティン財務長官に以下のように語っている:
「財務省は、国家に対する自信に欠ける為、身動きできないまま、マネーを保有している振りをしているがいつ何時破綻するかもしれない銀行や、度胸はいいが破綻している山師に、自らを差し出したのだ」
ジェファーソンは1813年に以下のように書いている:
「循環媒体の領域が民間の者たちによって我々からくすねられることについて、我々があまりにも愚かに見過ごしてきたため、思うに我々はそれを回復させねばならないと考える・・・永久的に、国家は紙幣発行権を議会に移すよう要請されるべきである」
この「アメリカ合衆国に対する完全な信頼と信用」というものは、丁度 契約が司法によって監視されるように、合衆国の何らかの部局によって監視されるべきである。公的に所有されている銀行は、資金や準備金の心配をせずに、国家の完全な信頼と信用を発行することができる。結局、もしもあなたが合衆国であるならば、自分自身の信用の「準備金」がなぜ必要なのか、ということなのだ。
ワシントンから十字架の救いが降りてきて、救ってくれるのを待っている代わりに、州政府所有の銀行を設置することを考慮すべきかもしれない。ノースダコタ銀行は、現在アメリカ中で州政府所有としては唯一の銀行で、非常に安定していて、いい利益を上げ、州政府は26%の配当を受けている。そのような種類の銀行が、法的な委任によってローリスクで大きなりターンを探しているあらゆる州と地方の緊急時のファンド、年金ファンド、その他の地方政府ファンドにとって魅力的な投資先になるだろう。
我々は、超富豪の顧客の更なるボーナスや、彼らの救済そして含み益のためのウォール街の銀行やブローカーではなく、実際の経済の要請に応えることのできる何らかの銀行を設置する必要性がある。州政府所有のこういった銀行は、ウォール街の銀行がしり込みした役割を、州政府と地方経済のための実効的なクレジットのエンジンを提供することで果たすことができる。
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まだまだ上昇するか? 金価格
◆9月18日
金価格が再び1オンス1282ドルの新高値を付けた。バングラディッシュの中央銀行が最近10トンの金を購入したことも影響したようだ。
このブログでは金価格が1オンス1000ドルを割ることは当分無い、と指摘してきたが、動きはその通りになっている。世界経済が不安定であり、金融津波の第2波の到来が囁かれている現状では、こういった商品や貴金属など実物が買われるのは仕方ないであろう。
上がれば下がるのが市場であるから、金といえども上昇し続けるかどうかは、断言できないが、今後おそらく半年は上昇するとみて間違いないであろう。
しかし実際に金融崩壊から世界経済の崩壊にまで進むような事態が出来すれば、金価格も、暴落することも考えられる。しかしその後、おそらくは暫定的にでも、各国通貨に換わる決済用としての用途から再び価格は上昇するものと予想される。
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●ゴールドマン・サックス:金価格は今後6ヶ月で1オンス1300ドルを目指す
http://www.guardian.co.uk/business/2010/sep/17/gold-hits-new-record-high
【9月17日 Julia Kollewe】
投資家たちが世界経済の先行きを不安視するのが継続しているため、金(ゴールド)価格が新高値をつけた。
今週、金が新高値をつけたのこれで3回目となる。スポット・ゴールドは1オンス1282ドルに上昇したが、これは弱いドルによる面もある。銀は2年半越しの高値をつけた。投資家は混乱時には資産を保全する安全地帯はこういった貴金属と見ているためだ。
今年の金価格の上昇は世界経済に対する懸念が影響している。ユーロ圏での負債問題によって火が付けられ、その問題の回復の勢いが失われつつあることが明らかになってきているためだ。
「金価格は本日新高値を付けた。この背景には、経済の不調、またヨーロッパとアメリカの金融不安がある」と、ワールド・ゴールド・カウンシルでマーカス・グラブ投資常務は語った。
「中国経済が相変わらず強い調子を保っているので、ドルに対する元が強いため金価格上昇を招いている」
「IMFの金をバングラディッシュの中央銀行が先週10トン購入したのを受けて、各国の当局者間で噂が飛び交い市場に影響を与えている。現在のマクロ的な金融情勢の中では、リザーブ・アセットとして金が明らかに注目されている」
アフリカ最大の金産出企業のアングロ・ゴールド・アシャンティ社が、株式転換社債で、ゴールド・ヘッジをキャンセルするため15億3000万ドルを募ったことに市場における自信が見てとれる。
ゴールドマン・サックスは今日、金価格は6ヶ月で1オンス1300ドルまで上昇すると語った。何らかの経済刺激策が取られれば、例えば量的緩和策など、「我々が予想するターゲットに近づくようにさせるだろう」とゴールドマンは見ている。
「短・中期でのファンダメンタルは、原油、銅、プラチナ、とうもろこし価格に対して良好と見ている。短期でのリスク/リワードは原油が最高となる」とゴールドマンはレポートで指摘している。
「我々は商品を推奨する戦略を保持する」と語っている。
原油取引は1年以上、1バレル70ドルから85ドルの間で行われてきた。ゴールドマンの3ヶ月のターゲットは92ドル、1年では101ドルより低い。
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金融津波の第2波の到来が間近?
◆9月3日
今年の第2四半期までにアメリカ経済が崩壊し始めると語ったマティアス・チャン氏は、今現在生じているアメリカ経済が氏の説をほぼ裏付けている、と見ている。そして今後、その傾向はより一層顕著になり、2011年の第1四半期までに大銀行の破綻が相次ぐと見ている。
勿論、正確にその時期までにそのようになるかどうかは、常に未知数であることはそのとおりであるが、諸般のデータなどから見れば、細かい部分や時期のずれなどは多少あったとしても、傾向としてはそのような事態が生じるベクトルが強まることは間違いないであろう。
あらゆる彌縫策(びほうさく)を動員していままで、延命してきたのだが、その延命策も万策尽きようとしているわけだ。最後の延命策として、もう一度大規模量的緩和策を行う、すなわちドルの大量印刷(別に実態的にドル札を印刷するわけではない)でしのぐ方法があるかもしれないが、さすがにその時は、ドルの価値の激減から、アメリカはハイパーインフレに見舞われる危険性があるだろう。
シロアリに内部を食いつぶされた巨木がしっかり立っているように見えても、その腐った幹を支える力より大きい力を持つ風が吹けば、倒壊するように、やがて金融シロアリに食いつぶされた巨大なアメリカ経済はゆっくりと倒壊していくことになるかもしれない。
その巨木が倒壊する響きでその他の巨木群も次々と倒壊し始めることなるのかもしれない。これが「金融津波」の第2波を形成することになるだろう。第1波の10倍の規模で我々に迫ってくるはずだ。
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●通貨システムの世界的崩壊:量的緩和策が行き着く先
今から2011年第1四半期までの間に「大き過ぎて潰せない」大銀行が破綻する
【8月31日 by Matthias Chang】
私の記事の読者は、金融の津波が2007年に世界経済を襲った時、2006年12月に、世界的大銀行が破綻すると私が警告していたことを思い出しただろう。
連邦準備制度理事会議長のベン・バーナンキ議長によって進められた量的緩和策は、法廷通貨銀行システムの避けられない破綻を18ヶ月引き延ばした。
それで、2009年11月、私は読者に対して、早ければ2010年の最初の四半期、遅くとも第2四半期までに、世界経済は崩壊し始める、と自信を持って警告した。「最近の成長ペースは期待していたよりか鈍い」、とバーナンキ議長の語った言葉に示されているように、アメリカ経済がスローダウンし始めているという事態が私の警告が正しかったことを示しているだろう。議長は、展望は不確かで「経済は予期せぬ事態に対し脆弱なままである」と警告している。
確かに、バーナンキの言葉は、ワイオミングのジャクソン・ホールの年次総会に集まった中央銀行の銀行員や金融エリートたちの恐れを完全には示していない。しかし、彼らが非常に恐れているということは私が保証する。
◆何故か?
はっきり説明しよう。「予期せぬ事態」とバーナンキが言ったことは、世界的銀行の破綻のことである。これが、連邦準備制度理事会(FED)の言ったことであり、緊急の警告である。多くの有名なエコノミストたちは量的緩和策の目的と結果の診断を誤った。中央銀行の銀行家らの宣伝係りと世界的マス・メディアは、人々に量的緩和は銀行に資金を必要としている企業に貸し出しをさせることで、経済の活性化を図ることができると言って騙したのだ。低金利政策は皆に借金させるようにさせ、消費し投資するよう鼓舞する。
これはお伽話だった。
そして、エコノミストの中には、FEDの印刷機械(電子的にせよなんにせよ)をフル稼働させることでハイパーインフレーションがまもなく始まってしまうのではと恐れだす者も出てきた。
しかし何も起こらなかった。宣伝された効果は現れなかったのだ。銀行の貸し出しは行き詰まった。
◆何故か? 何が起きたのか?
簡単な言葉で一つ一つ説明することにしよう。
1.全ての世界的銀行は有毒アセットに焦点を絞っていた。あらゆるスリーAの不動産担保証券などだ。しかし実際はそれらはジャンク債権なのだ。しかし銀行のバランス・シートあるいは彼らの特定目的事業体では、数兆ドルの価値あるものとして記載されている。
2.リーマン・ブラザースとAIGの崩壊は、この醜い実体を露にした。あらゆる世界的銀行は数兆ドルの負債を抱えていた。彼らは全て、【支払不能】なのだ。イギリスのノーサーン・ロック銀行で起きたようにもしそれが明らかになると銀行が破綻することを恐れて、世界中の中央銀行は世界的銀行の抱えている負債総額を暴露することをしないという点で合意することにしたのだ。
3.バーナンキが中心になって世界的銀行を支援し、システマティックに有毒アセットを放出させる不正なたくらみがFEDによって組まれた。そうすることで銀行は部分準備制度における支払い準備率を確保できるようになり、銀行業を継続できるようになる。これが中央銀行による銀行の救済のエッセンスである。
4.この不正なたくらみはFEDによる量的緩和(QE)によって実施された・・・銀行からの有毒アセット購入である。FEDは無から通貨を生み出して、その通貨を使って銀行からジャンク債券、良くて10分の1の価値しかない有毒アセットを買い取ったのだ。今や、FEDがかつては銀行が持っていた有毒アセットを持たされている。しかしこれらの銀行は、こういった実情を公開したり認めたりすることができないのだ。これは金融茶番劇である。
5.単純な論理に従えば、量的緩和の結果、資金を手にして生気を取り戻した銀行は、資金を必要としている消費者や現金を必要としている企業に貸し出したかもしれない。しかし、資金はローンとして貸し出されなかったのだ。ではどこにその資金は向かったのか?
6.その資金はFEDに準備金として回ったのだ。FEDは数兆ドルの価値の有毒アセットを買い込んでから、銀行が持つ金(FEDの会計簿上の記載だけの話)は、「超過準備」として扱われていたのだ。これは不適切な名称だ。それは銀行が部分準備制度において現金を豊富に持っていて数兆ドルのローンを組めるという幻想を与えることになる。しかし彼らはそうしなかった。何故だろうか?
7.それは、世界的銀行は、まだ彼らのバランスシート上では、数兆ドルの有毒アセットを抱えているからだ。彼らは未だに部分準備制度法の下では支払い不能なのだ。一般人にこのことを知らせてはならないのである。さもないと、世界的銀行の大規模な破綻の引き金を引くことになるだろう。
8.バーナンキ、財務省、世界の中央銀行は皆祈りつつ与えられた時間(彼らの予測として12ヶ月から18ヶ月)内で、住宅市場が回復しアセットプライスが危機の前のレベルに戻ることを願っている。
説明しよう。一軒の住宅が例えば50万ドルで売却されたとしよう。借り手は45万ドルあるいはそれ以上のローンを手にする。住宅は現在20万ドルかそれ以下となっている。これを数百万の住宅として勘定して、2000年から2008年にかけて売却されたとすれば、ブラックホールの規模がどれほどか理解できるだろう。どんな銀行であってもこの巨大な問題を乗り越えることはできない。そしてFEDや世界の中央銀行がそのような有毒廃棄物を量的緩和を通して、自らの手を見せないで、あるいは自分達の銀行が支払い可能であるという嘘がばれないようにしたまま買い込み続けることはできない。
これは私の予想だが、彼らは少なくとも20兆ドルほどの量的緩和が必要である。FEDと中央銀行は敢えて、国家的な債権者や投資家あるいは預金者の疑惑やパニックを惹き起こさずに「それほどの額の資金を無から作り出す」かもしれない。全ての銀行は破綻していると正式に宣言することと同然なのだ。
9.しかし、QEⅡという量的緩和の大勝負をもう一度やってみるという以外の、短期あるいは中期での他の解決法はない。上記の警告通りにことがなされるとして、このQEⅡは、最初のQEⅠ以上のものではありえない。そうしないとパンドラの箱をひっくり返すことになるからだ。
10.しかし以下の点も理解されている点だ。FEDは、部分準備銀行システムの下でQEⅡを行うであろう。もしも、FEDが追加の有毒廃棄物を買い込まなければ、世界的な銀行(膨大な差し押さえに直面している)は支払い準備金が足りなくなって破綻することになるだろう。
11.FEDはその危機の真っ只中で、金利はいわゆる「超過準備金」に対して支払われると発表したことを思い出すだろう。そうすることでこれらの銀行は利息を得ることができたのだ。だから、我々が見ているのは、右から左のポケットにコンピューターのマウスのクリック一つで移動する資金のメリーゴーランドなのだ。FEDは資金を作り出す、それを有毒アセットの購入に使用する。同じ金が今度は利息を獲得するためFEDに大銀行から戻ってくる。この量的緩和というフィクションによって、銀行は資金で蘇り利息を獲得することができるようになる。だからこういった銀行が記録的な利益を出したと言う話は驚くべきことではないのだ。
12.世界的な銀行は損失を出さずにいくらかの有毒廃棄物を処理することができた。またその有毒廃棄物を処理した金で利息を獲得することができるようになった。またいくらかの金はこれらの銀行によって、利息のもらえるアメリカ国債購入資金に充てられた。国債購入資金は今度は財務省に自らの負債の支払いの資金になった。これが世紀の救済ペテン作戦なのだ。
これで皆さんはこの詐欺行為を理解されたであろう。今後はFEDがどうやって次の量的緩和策をうまくやりぬけるか、だ。QEⅡだ。
明らかにFEDと他の中央銀行は、アセットプライスが回復して危機前の元の価値を取り戻すことを願っている。それは夢物語なのだ。QEⅠが銀行を救うことに失敗したようにQEⅡは失敗するだろう。
この患者は、集中治療を受けているし、どの点から見ても脳死状態なのだ、ただし心臓はまだ血液を弱弱しく送り出してはいる。「大き過ぎて破綻させられない」銀行は、救うことはできないし清算されねばならない。それは痛みを伴うが、回復するためには必要なことだ。これは当然である。
◆警告
2011年のいつか、天井を打ったならば、大規模な銀行の破綻が起きるだろう。私はFEDと他の中央銀行はそのような破綻を先回りして、次のような手を打つだろうと予想する。
1.銀行からの現金引き出しに、例えば一日に1000ドルまでとかの上限を設ける。
2.ある処理での例えば1万ドルまでといった現金の取り扱いでの制限をする。
3.金属(金と銀)への投資の処理は制限される。
4.最悪のケースのシナリオ? 第2次世界大戦時にあったような金(ゴールド)の没収。
5.金融統制を実施する
6.日常の現金処理をデビットカードかクレジットカードの処理にさせる法案を作る。
7.上記に対する違反行為を犯罪行為とする法案を作る。
◆解決法
銀行残高を上記の案件に対応できるだけの十分な内容にしておくこと。
自分のアセットをドル・アセットから変えて多様化させる。上記の案件が少しでも成立しそうな場所では外貨を十分に持つこと。
◆結論
これから第2次の金融津波がやって来る。それは世界がかつて経験したことのないようなものとなろう。そして世界的銀行は破綻する!
準備を怠らないように。
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衝撃と畏怖の金融核爆弾?
◆8月30日
アメリカの経済の不振はいよいよ切羽詰った点に近づいてきているようだ。この状況を前にして、取りうる政策は、今まで以上に巨大な量的緩和策かもしれない、と指摘しているのが以下の論文である。
これをマイク・ホウィットニー氏は「バーナンキの核オプション」と表現し、イラク侵攻作戦の名称を使って、金融の「衝撃と畏怖」作戦だ、と言っている。
勿論そんなことをすれば、ドルの価値は激減し、あらゆるドルの金融商品が投げ売りされる危険性がある。しかしこのままでは、アメリカ経済の浮上は見込めない。どっちかにかけるしかない、という状況に追い込まれているというわけだ。
やらないよりかはやってみる方が積極的といえるかもしれない。座して死を待つよりか、乾坤一擲の大勝負を賭ける・・・しかし、いずれにしてもそこまでアメリカは追い込まれている、ということを認識し、我々はそれに対する準備を進めるということが必要であることは理解されていいだろう。
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●「金融の<衝撃と畏怖>作戦」:バーナンキ議長の核オプション
連邦準備制度はラジカルな歴史的介入を始めるか?
【8月29日 by Mike Whitney】
株式市場は混乱状況の中、債券市場は上昇を続けている。雪崩のように悪いニュースが次から次とやってきて投資家の心理を冷え込ませている。バリー・リソルツの「ビッグ・ピクチャー」レポートは、2009年の3月以来、弱気傾向が強まり、強気傾向は最低のレベルにまで落ち込んだ、とある。その時には、市場はすばやく転換し、1年におよぶ上昇気流にのったのだ。それが再び起きうるのだろうか?誰も分からない。しかし、雰囲気はデータに従って確かに暗くなってきている。新芽が出たと言う話はもう誰もしていない。何か、嵐の前の静けさ、といった感じなので、皆の目は27日(金)にFEDのバーナンキ議長が経済情勢について判断を示したジャクソン・ホールに注がれていた。
ウォール街は連邦準備理事会(FED)が、長期金利を下げ、消費者が活発に動き出すようになる、「大規模」な量的緩和の措置を新たに行うことを期待していた。しかし、バーナンキ議長は詳細は語らず、あいまいなコミットメントを語っただけだった:委員会は必要と判断できれば、特に見通しが著しく悪化すると言う場合には、臨時的な手段による追加の金融措置を行う用意はある。
注意点。ヘリコプター・ベンは現在、もし選択肢があれば、1000億ドルをジェット気流の中にまるでキャンディを撒くように、撒き散らすに違いないフライトの真っ只中にあるだろうということだ。しかし、FOMC内部からの引き延ばし作戦と闘っているところなのだ。反対するグループは、最近の沈滞ムードがレーダーの中断音なのか、あるいはもっと深刻な、新たなリセッション地獄への転落を示すものなのかを見極めようとしている。
今週、住宅、耐久財受注、製造業のスローダウン、それに弱弱しい雇用状況の2日間続いた暗いニュースのため、市場は不意打ちを食らった。4年後でも住宅は不況を抜け出せないでいるだろう。その不況はいつ終わるのか? 住宅所有者と消費者は山のような負債に埋もれている;個人破産、犯罪、デフォルトと差し押さえなどはどんどん増えている中、政治家たちは、住宅ローンを支払うなどはもってのほかで、なんとか食料品を調達するのが精一杯の家庭の財布の紐を更にきつくさせるような圧力を掛けるという脅しをしている。
わずか数ヶ月前には、57人中57人のエコノミストが、経済は二桁のリセッションは避けることができると予想していたのだ。今や、彼らは迷いだしている。株式市場は利益を全て吐き出してしまったし、 S&P 500は4月の高値から14%下落した。主要経済指標の全てが、新たな下値を探っている。いわゆるソフト・パッチと言われるものは、新たなハード・ランディングの様相を見せ始めている。その恐れは明白だ。26日(木)、ダウはセッションの最後に74%落ちた。もっと悪化したかもしれなかった。市場は最後の望みをバーナンキの救済につないで、なんとか持ちこたえている。しかし、市場を活性化するためには、通常の「長期間」の低金利を約束する以上のものが必要である。ウォール街はアセット・プライスを底上げする1兆ドルの国債の回収、電気ショック的な需要を引き起こし、消費者インフレ期待を引き上げるような「大胆な処理」を模索している。大銀行と仲買業者はバーナンキ議長が弱気や陰気を吹き飛ばし、弱弱しい指標に活力を注入することを願っている。FED議長は支援を約束した・・・しかしまだそれはなされていない、それで市場はよたよたしているのだ。
バーナンキは、デフレの脅威を深刻に考えている。彼の初期のスピーチは、デフレと闘う戦略を説明している。あまりにもラジカルなので、一般人もウォール街にとってもショックだろう。2002年になされたスピーチがあるが、FEDの頭領が天地を動員してでも悪質なデフレの惨劇を回避する意欲が示されている。
それは大規模な貨幣鋳造である。誰でもバーナンキはガッツに欠けると思う人は2003年5月31日東京で語った彼の講演の内容を読むべきだ。FED議長は歴史的に最もラジカルな介入を行う用意があるのだ。これは金融の「衝撃と畏怖作戦」である。しかし、古臭い型にはまった教授たちはこの動きを議会のメンバーに説得できるであろうか、結局、財政当局はこのプログラムの成功に対しては批判的なのだ。彼らは同じ車輪にある2つのスポークだ。
以下は私が考える成功の道である:議会は2年間給与税を停止する緊急の法案を可決することで、困難を抱えている消費者のポケットをすぐさま数千万ドルの資金で満たすようにさせる。FEDは、経済がリセットされ、雇用が進み、アセットプライスが膨張し、市場が上昇している際、長期国債を購入し低金利を持続させる。経済が活性化すれば、ドルは輸出の急上昇と外国の取引相手との貿易戦争が突如起きる危険を徐々に弱めるようになる。
それから・・・これは全くの当て推量だろうか?バーナンキの「核オプション」が昏睡状態の経済を復活させることに成功するのか、あるいは外国のドルとドル建てのアセットの保有者が山となっている巨大なアメリカの戦利品の塊を投売りし炎上させるか、のどちらになるかは、時の運というものだ。
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