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中国戦闘機

◆10月5日

 トルコが反イスラエルとなり、イラン、シリアに接近してきていることを指摘したが、今回は中国との共同軍事演習が行われたという。その際、イラン領空が中国戦闘機の飛行のため開放されたという。中国は新彊ウィグル地区などイスラム教徒地域を抱えているため、中国にとってはトルコとの共同軍事演習にはそれなりの重要性がある。

 トルコはトルコで10月3日号の「トルコとロシア:アメリカの中東・中央アジア戦略に対抗 」で指摘したように、ユーラシア大陸各国との団結を強める動きを加速している。これは今までの欧米寄りのスタンスから独自の文化・宗教に軸足を置いた新しい国づくりを目指す動きである。かつてのオスマン帝国の誇りを取り戻そう、という民族主義的動きである。

 これは、近代トルコ建国の父、と言われるアタチュルクの方針を静かに捨てる動きでもある。翻ってみれば、アタチュルクの世俗的トルコというのは、非宗教的トルコ、ということでもあり、それを主導した青年トルコとアタチュルクはユダヤ系という面を見ても、あのロシア革命の無神論的社会主義革命と皮一つで繋がる、革命的な流れであったのだ。

 ロシア帝国はロシア正教の国であったが、ユダヤ人が主導するロシア革命によってソビエト連邦となり、ロシア正教は徹底的に攻撃され殲滅させられロシアは無神論国家となったが、オスマン帝国はイスラム教の国であったところを、ユダヤ系のアタチュルクと青年トルコ運動により「近代化」が行われ、帝政は打倒され、社会主義化ではないまでも世俗化まで進められた、ということになる。幸いにも、無神論的社会主義化にまでは行かなかっただけなのだ。

 従って、トルコの公正発展党の今回の国民投票と憲法改正の動きは、丁度無神論のソ連邦が解体し、ロシア共和国が誕生し、ロシア正教が蘇ったように、トルコの無神論的世俗化が改められ、トルコのイスラム化が強化され、新しい中東のイスラム勢力としてトルコが蘇ることを意味するだろう。

 ユダヤ人の進めた社会主義や共産主義、世俗主義とは、世界から「神や神々」を捨象し、力の支配を確立する動きであったし、現在の力の源泉は冨(資本力・金融力)であるから、金の力で世界を制覇する動きであったのが、リーマン・ショックに象徴される金融資本主義の限界状況が顕になりだし、あるはその弊害を示しているのも、結局、金融力で世界を支配せんとする動きに歯止めが掛けられつつあることを意味する。

 これは最終的には、両者の程よい調和の世界を作るまで揺れ動いていくことであろう。そして一言付け加えれば、その両者の程良い調和の世界を作り出していく動きの中心勢力は、この日本にならざるを得ないであろう、ということだ。日本人は、ぼーとしていてはいけないのである。その世界史的使命に目覚める時がもう来ていることを理解すべきであろう。

 
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●中国戦闘機にイランは領空を開放
http://www.presstv.ir/detail/145078.html
【10月3日 PRESSTV}

 イランはトルコとの共同軍事演習に参加した中国戦闘機に領空を開放したという。

 トルコと中国はトルコのアナトリア地区で先月軍事演習を挙行した。この演習はアナトリアン・イーグルとコードネームが付けられている。トルコと中国の軍事演習として最初のものになる。トルコはかつてはこのアナトリアン・イーグルをアメリカ、NATO、イスラエルと共同で行っていた。

 トルコ軍のF-16、中国軍のSu-27 とMig-29 戦闘機が模擬ノドッグファイトを演習中に行った。この演習は温家宝首相のトルコ訪問を前にして行われたものだ。

 トルコと中国は1990年代後半から150km射程のミサイル生産で軍事協力を開始している、とヘリエット紙がウェブサイトで報じている。

 今回のアナトリアン・イーグル軍事演習はトルコ空軍の主催で行われ、航空協力体制の強化と訓練を目標としている。

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ビロビジャン市を訪れたメドベージェフ大統領  ビロビジャン市

◆10月2日

 130年前には戦争をしたトルコとロシアが今や、中東・中央アジアにおけるアメリカの戦略的進出に対し、ともに手を携えて対抗していく姿勢を強めている。

 中東に対するアメリカの戦略は、ブレジンスキーのロシアを追い詰めるという戦略目標達成のための戦略でもある。不安定のこの地域をブレジンスキーは「ユーラシア・バルカン」と呼んで、ここにアメリカは二つの大洋を乗り越えて楔を打ちに来ているわけだが、そうすんなりとは行かなくなっているのだ。
 
 さらにこの地域に隣接する中国も上海協力機構を通じて、影響力を及ぼしてきているから、既にアメリカの進出は阻まれつつある。

 そして此処に来て親イスラエルでありNATOにも所属しているトルコが、ほぼ反イスラエルとなり、またユダヤ勢力の強い軍の今までの破格の権力を規制する憲法改正が国民投票によって賛成多数となり促進される形勢となってきたから、イスラエル、そしてその背後のアメリカ側の劣勢は明らかである。

 このような動きは、単なる地政学的な動きと言うよりかは、現代の歴史的発展における明確な転換点を示している現象と理解すべきなのだ。従って、その潮流の底には言い知れぬエネルギーが渦巻いているのであり、確実にその流れの方向に歴史は動いて行っているのである。

 それが、このブログでしきりに、イスラエルのネオコン的武断的姿勢を改める時期が来ている、と指摘する理由の一つでもあるのだ。
 もし中東でユダヤ人国家が立ち行かなくなった場合のことを、メドベージェフ・ロシア大統領が考慮しながら、ロシア内のユダヤ人国家であるビロビジャン自治国に対する支援を語っているとすれば、そこにもイスラエルが考慮しなければならない歴史の流れというものが見て取れるであろう。


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●トルコとロシア:アメリカの中東・中央アジア戦略に対抗
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=21273
【101日 by Eric Walberg】

 新オスマンと新ビザンチン両帝国が現行のグレートゲームでよろめいているアメリカの前にその前進を阻まんとして対峙している。

 中東と中央アジアをアメリカ帝国と「中東で唯一の民主主義国家(イスラエル)」の従順な手下にしてしまおうというネオコンの計画は、今や予想外の競技場に直面している。パレスチナ、アフガンでの戦争やイラクの泥沼でのもがきだけでなく、この地域の関係国の見えざる動きが始まっているのだ。

 米帝国は中東をほぼ半千年紀に渡って平和裏に統治してきたオスマン帝国の継承者であるトルコの復活に直面している。公正発展党(AKP)の元に拡張しているダイナミックな外交の一環として、トルコはアルバニア、ヨルダン、レバノン、シリアとの間に昨年、カリフ自由往来ビザを復活させた。2月にはトルコの文化観光省のエルトゥグル・グナイ大臣は同様の措置をエジプトにも拡大した。憲法改正を問う国民投票における明確なAKPの勝利で、トルコを入れた、「欧州連合と同等の内容を持つ、地域的な中東連合を創設する新大計画が存在している」と、イスラエル・シャミール氏は語る。

 トルコはまたロシアと過去2年間で、ビザなし措置とパイプライン建設、原子力発電所施設建設などを含むルーブル・リラ建ての積極的な貿易、投資計画を持つ、戦略的パートナーシップを締結した。

 トルコがオスマン帝国の継承者であるように、ロシアはビザンチン帝国の継承者である。両者が中東地域をほぼ1千年にわたって統治してきた。ロシアとトルコは中東の覇権者としては、20世紀の英米強奪者より正当性がある。そこで両者は動きだしているのだ。

 皮肉なことには、アメリカとイスラエルによる中東・ユーラシア地域に対する侵略は、侵略を蒙った地域を従順に従わせることはできていない。むしろ彼らが一体となって反逆する方向に向けていて、そのため彼らはロシア、トルコ、シリア、イランを含む同盟関係を結びだしている。

 シリア、トルコ、イランは伝統的・信仰的そしてアメリカ・イスラエルの計画に対する抵抗勢力として一体化しているだけではなく、アメリカ・イスラエルの支援を受けているクルド分離派と戦わねばならないという共通の必要性からも一体化している。

 彼らの間での貿易量は飛躍的に拡大している。
 これは 自然な地域的地政学的ななりゆきであり、英米帝国によってこの150年間押し付けられた人工的なものとは違う。丁度十字軍が一千年前この地域に大災害を齎した時、地方勢力は一体化してこの侵略者を撃退せざるを得なくなったように、今日の十字軍も、自らの解体にむけた動きを始めたのだ。

 欧米がイランとの手詰まり状態に陥っているのを緩和させる、トルコがブラジルと始めた5月の大胆な動きは、世界の憶測を呼んだ。イスラエルがガザの封鎖を破ろうとした平和船団を攻撃した時の、トルコのイスラエルに対する6月の挑戦的姿勢は、アラブ世界の称賛を浴びた。

 ロシアはロシアで、劇的さでは弱いが、今日の中東地域では最も議論を呼ぶものと言う点で貢献している。ロシアには問題がある。経済的に弱いことと、自らの弱体化している軍事力が世界の大国と事を起こす可能性のある事柄を前にして大胆になれなくさせている。彼らのエリート層は、アメリカとどこまで張り合うのかという点で意見が分かれている。アフガンでの敗北、チェチェン、それに中央アジア諸国における影響力の低下の齎す懸念材料が、ロシアの中東・イスラム諸国との関係における悩みの種になっている。

 1972年にソ連がエジプトから撤退して以来、ロシアは中東地域では公的には強いプレゼンスを持っていない。1980年代中期より、100万に近いロシア人がイスラエルに移民した。他の移民と同様、自分達の献身の姿勢を示すのに熱心であり、全体としてパレスチナ人と国家を分ける2国家案に強固に反対している。

 アナトール・シャランスキーが移住した後に、ビル・クリントンに冗談で言ったように、「自分は世界最大の国から最小の国の一つにやってきました。あなたはそれを二つに分けようと言っているようですが、ありがとう、間に合っています」。
 ロシアは自分でこしらえたイスラエル・ロビーを持っている:多くのロシア人はイスラエルとの二重国籍所有者なので、イスラエル間でのビザなし旅行を享受できるのだ。

 欧米とイラン間の手詰まり状態において、ロシアはあいまいなスタンスにある。ロシアはイランとの間で原子力発電関連での協力関係があるが、イランの核に対する姿勢に懸念も感じているため、安全保障理事会でのイラン制裁を支持しているし、イランと2005年に締結したS-300防衛ミサイルの引渡しを躊躇している。ロシアはまたアメリカのアフガン戦略への支援を増大させている。多くのコメンテーターは、メドベージェフ大統領下のロシア指導部はアメリカに屈服しつつあるサインだと結論付けている。これは反帝国主義のプーチンの政策と反対の方向だ。「ロシアは信頼に足りない国であることを自ら証している」と、イラン国防省のアハマド・ヴァヒディ大臣は批判した。

 ロシアはこの厄介なジレンマで綱渡りをしているのだ。ロシアはまたイランとの核問題での交渉にトルコとブラジルを入れることを拒否しているアメリカとEUの側に立っている。「一般に非同盟国は、そしてとりわけイランは、新興国は自らの経済的発展にはエネルギー分野での自立が必要であるが、その自立に至ることを阻止せんとする欧米などの大国の側に立つことをロシアは採決で選択した、と判断している。そしてこのロシアの無礼な仕打ちを彼らが忘れることはないだろう」と、ティアリー・メイサン氏は指摘している。

 どこに真実があるかは別として、イランとの、そして今はトルコ、シリア、エジプトなど平和的核勢力との協調関係は、また今回シリアに対するP-800最新型巡航ミサイルの販売合意契約は、ロシアが中東問題でアメリカ・イスラエルと張り合っていることをなんとか示していることにはなる。イスラエルはシリアに対するこのミサイル販売に激怒している。ロシアに対するリベンジ策として、「戦略的に均衡を破る兵器」を、戦略的に重要な地域に売り込む、とイスラエルは先週ロシアを脅している。イランとシリアの両者は、ロシアの動きを一触即発の不安定地域をなだめようと努力しているものと見ている。ロシアが中東の力強い仲裁人の可能性を持っていることを示す理由はいくつかある。イスラエルに移民した数百万ものロシア人は、リーバーマンのような、ロシアにとってアキレス腱的な存在ではない。彼らの3分の1は、国家の望むレベルからはるかに劣る者たちと馬鹿にされ、人種的な純潔性でできている国家にとっては深刻な問題となりうると拒否されているのだ。多くの者たちはロシアに帰還したか、なんとか努力して這い上がろうとしている者たちもいる。既に、ネタニヤフ首相の政治的パトロンであるモシェ・アレンスのような著名な右翼政治家たちは、単一国家という解決策を模索している。おそらくこのロシア移民は、南アフリカのアパルトヘイト政策放棄を再演するような、もう一人のフレデリック・デクラークを生み出すことだろう。

 ロシアはもう一つの中東和平の興味深いキーを持っている。シオニズムはその最初から、宗教的保守的ユダヤ人が強く反対する世俗的社会主義運動であったし、この宗教的保守的ユダヤ人はベン・グリオンやネタニヤフのような者からの誘いで多くの者たちが離脱したのだが、現在も継続している。パレスチナ人のように、「真実のトーラ・ジュー」は「ユダヤ人国家」を認めていない。

 しかしだ。、ソビエトの非宗教的政策に則って、ロシアのビロビジャンに非宗教的国家として1928年に設置された合法的なユダヤ人国家が存在しているのだ。イスラエル・ジュー、正統派と世俗派ともに、地下資源に恵まれ、ゴルダ・メイアーの「国民のいない国土に国土を持たぬ国民のための」このソ連邦崩壊以来、再び注目を浴びているユダヤ人のホームランドに移住するのを止める手立ては無い。メドベージェフ大統領は、今年の夏、ロシア(あるいはソ連の)指導者として初めての訪問を果たした。そして世俗的なヨーロッパのユダヤ人の言語(聖なるヘブライ語でなく)であるイェディッシュ語が国語となっているそのユダヤ人のホームランドである国に対するロシアの国家的支援を指摘した。

 トルコとロシアが新しい政治情勢を形作る枢軸を形成していくことになんら不思議はない。むしろこれは、イスラム勢力が欧米の襲来に直面して反発し始めているということなのだ。それに加えて、驚くべきことには、ソ連時代の民族自決の歴史の流れにあると言えることである。トルコは、かつては「ヨーロッパの病人」、と言われていたが、今やヨーロッパで「唯一健康な人」となっている。トルコのアブドゥラ・グル大統領は、先週の国連ミレニアム・ゴール・サミットで、ロシア、イラン、シリアと並んで、イギリス帝国によって、そしてその「民主主義的」子孫であるアメリカとイスラエルによって作り出された混乱を収拾するよう要請された。

 アメリカとイスラエルの戦略家がイラン侵攻の狂った企図に夢中になっている間、ロシアとトルコの指導者らは原子力発電所も含む中東での貿易と開発を進める計画を立てている。中東からの視点で見れば、ロシアのイランや、トルコ、シリアそしてエジプトに原子力発電所を建設するという意欲は、経済発展を支援する意欲を示していて、それは欧米社会がイスラエルを除いては中東地域に対しては拒否してきた姿勢である。これには、レバノンも含まれる。シリアからの天然ガスをストロイトランスガスとガズプロムがレバノンのベイルートに移送する計画があるが、これはレバノン沖の膨大な埋蔵ガス開発に対するイスラエルの反対活動を無にすることになる。

 ロシアはロシアで、同盟国のトルコのように、中東が直面している最も緊急の問題であるパレスチナとイラン問題ではどちらにも偏らない位置に自らを置いている。「中東における平和は、平和で安定した将来の世界に対する鍵を握っている」とトルコのグル大統領は、国連ミレニアム・ゴール・サミットで、英語で語った。世界は彼らの努力がその成果を齎すかどうか注目している。

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核戦争の危機が迫っている?

◆9月22日

 核による戦争が起きる可能性が高まっている、とチョスドフスキー教授は指摘している。相互確証破壊(MAD)の思想が核戦争勃発を予防した時代は過ぎ去り、核による破壊が起きても、「コラテラル・ダメージ」である、とそれを受容する姿勢が蔓延し始めているという。

 このブログでもイランに対するイスラエルの戦争準備、それに対するイランの準備などを指摘してきたが、人々の関心は別の、たとえばインフルエンザの危機だとか、温暖化の危機などの別の分野に向けられて、教授に言わせれば、核戦争の危機はカモフラージュされてきたというのだ。

 この論文の中で、同意できない点は、オバマ大統領が核戦争をすることで世界平和が保たれると信じている、としている点である。オバマ大統領が核兵器を本気で世界から無くそうと願っているかどうか、疑えばきりがないのと、彼が自分を大統領に押し上げた勢力の傀儡のままならば、そう考えてもおかしくないだろうが、このブログでは、オバマ大統領は核の無い世界を目指している、あるいは少なくとも願っている、という観点に変更はない。

 そして、第三次世界大戦の危機は、決してなくなったわけではない、という教授の意見には賛同であることを明確にしておく。その危機の生じる場所は、一つは中東であり、一つはアジアであろう。アジアというのは、今騒がれている尖閣諸島ということだ。


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本当の危機とまやかしの危機:全面核戦争の危機の隠蔽
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=21044
【9月16日 by Michel Chossudovsky】

 我々は歴史のターニングポイントに到達している。アメリカとその同盟国は破滅的な結果をもたらす核戦争を始める準備をしている。

 冷戦の期間中は、「相互確証破壊(MAD)」の考え方があった。核戦争の結果に対する認識が米ソ間での核戦争勃発を防止してきたと考えられている。

 しかし冷戦後の今日では、そのような考え方はなされていないのだ。

 半世紀の間、世界を徘徊していた核ホロコーストの妖怪は「コラテラル・ダメージ(付帯的損害)」というレベルに格下げさせられた。

 言葉の真の意味でのこの軍事的アドベンチャーが人類の未来に対する脅威となっている。

 イラク戦争やアフガン戦争など現在の戦争による人命の損失と破壊というものを概念化することはできるが、「新技術」とか最新兵器システムを使用しての第三次世界大戦がもたらす破壊の規模を査定したり完全に理解することは、それが実際に起きてみなければ不可能なことである。

 アメリカが主に行っている戦争の継続状態は、我々の歴史では婉曲に「戦後時代」と言われている。アメリカが行っているアフガンでの戦争は31年間さまざまな段階を経て現在継続中である。イラクはアメリカと同盟国による占領下に入って7年になる。

 我々は、歴史を生きていると同時に、自分たちの未来を形作ることになる出来事を理解できないでいる。そしてそれが今我々の面前で展開されつつあるのだ。

 イランに関して、現在進められている戦争準備の詳細は、一般人の目からは閉ざされている。(チョスドフスキー教授の前の論文を参照: Preparing for World War III, Targeting Iran, Global Research, August 1, 2010, Towards a World War III Scenario? The Role of Israel in Triggering an Attack on Iran, August 13, 2010)

 メディアはカモフラージュのお先棒を担いでいる。核戦争の破滅的な衝撃は矮小化されたり、言及されないのだ。その間、一般人の目は「まやかしの危機」とでもいうものに釘付けにされている。

 第三次世界大戦はもはや仮定のシナリオではない。既に2007年、ブッシュ大統領(当時)は、イランがアメリカの要請に応じなければ、我々は「いやいやながら」第三次世界大戦の状態に入らざるを得なくなるだろう、とはっきりと世界大戦を示唆していた。
 「イランの指導者は、イスラエルを破壊したいということを発表した。それで私は人々に向かって、もし皆さんが第三次世界大戦を避けたいと願うならば、イランが核兵器を製造するために必要な知識を持たないように願わねばならない。イランの核兵器に対して私は深刻に受け止めている・・・」(ブッシュ大統領:2007年10月17日)

 「ここでブッシュは<第三次世界大戦>という表現をしている」(ハフィングトン・ポスト紙:2007年10月17日)


◆真実の危機とまやかしの危機

 完全に捻じ曲げられたロジックで、世界平和を保つ方法として第三次世界大戦が示されている。
 
 イランは国際社会の「道理にかなった要請」に従うことを拒否することで非難されている。事実は捻じ曲げられ、ひっくり返されている。イランは第三次世界大戦を始めようとしていることで、非難されている。これはアメリカの軍事ドクトリンで相続されてきたことで、犠牲者はしばしば侵略者として予告されるのだ。第三次世界大戦は世界の安全保障に貢献する、正真正銘の人道的措置として奉られている。皮肉にも、核兵器の使用を決めた者たちは自分たちのプロパガンダを信じている。司令官のバラク・オバマは自分自身の嘘を信じている。

 この戦争も世界的経済恐慌も世界歴史上かつてないほどの危機の一部であるということが理解されていない。皮肉にも、全面的核戦争の人類に対する危険性というものが、一般の恐怖や懸念を呼び起こすほどにはなっていない。

 代わりに、まやかしの「危機」、たとえば地球温暖化、世界的インフルエンザの流行、イスラム教徒による核攻撃という嘘のふれ込み、などはメディアや、政府、情報機関、それにワシントンのシンクタンクにによってでっち上げられている。

 社会的政治的事象の基礎的な理解は、全くのファンタジーの世界によって取って代わられている。そこでは魑魅魍魎が跋扈している。こういった嘘の危機というものは、本当の危機をぼやかすためであり、同時に恐怖や不安を人々の間に埋め込むためである。

 「政治の実際的な全体的目的は、民衆を警戒態勢下に置くことにある・・・全てが想像上のものではあるが、終わりの無いお化け騒動でもって脅し続けること・・・人類を救出する緊急性があるということが、殆どの場合、支配を強めるまやかしの唯一の理由なのだ」(H. L. Mencken)

 核戦争の本当の危機が殆ど知られていない間に、こういった「まやかしの危機」が常にフロント・ページを飾るようになっている。

 大量失業、差し押さえ、貧困は社会的危機の特色ではない。拷問の法制化、政治的暗殺は憲法上の危機の一部ではない。潜在的テロリストを拷問すること、殺害することは、「世界をより安全にするため」のものである。人道的理由で行われる戦争は、危機の原因ではなく「解決」とみなされるのである。
 
 経済不況は過ぎ去ったと言われているので、経済恐慌は語られない。いうなれば、経済危機などないということなのだ。


◆3大まやかしの危機のタイプ

1.アルカイダによるアメリカに対する核攻撃
 「遅かれ早かれ、アメリカの都市か同盟国の都市で、イスラム教徒のテロリストによる核による9・11のような攻撃がある・・・」デイビッド・クリーガー:(Is a Nuclear 9/11 in Our Future?)

2.世界的公共衛生緊急事態・世界的インフル・パンデミック
 「今後2年間で、世界人口の3分の1となる20億人がH1N1に感染するかもしれない」世界保健機構報告:2009年7月

3.地球温暖化の危険
 「ヘッドライン見出し:毎年30万人死亡、3億人が影響を受ける」グリーンピース:温暖化が進むことによる死と移動の必要性 2009年6月5日


◆アメリカの大審問

 「実際の脅威」として予告されたこれらのまやかしの危機は、真実の危機を隠蔽するためのものである。

 その目的は、事実を捻じ曲げること、恐怖の心理情勢を生み出すこと、民衆の中で、出来上がった経済的政治的秩序に異議を唱える者たちや反抗する者たちに対する脅しと抑圧である。我々は宗教裁判のような環境を取り扱っているのだ。モンティ・ピトン(パイソン)の言葉に以下のようなものがある:

 「スペインの大審問(アメリカの大審問)を望むものなどいない!我々の主要な武器はサプライズだ・・・サプライズと恐怖・・・恐怖とサプライズ・・・我々の二つの武器は恐怖とサプライズだ・・・そして容赦のない能率化・・・我々の三つの武器は、恐怖、サプライズ、容赦のない能率化・・・そして教皇(政府)に対するファナティックなまでの献身・・・我々の4つの、いや・・・武器の中には、以下のように恐怖、サプライズがある・・・」

 まやかしの危機を強調する恐怖キャンペーンは、核戦争を含む真実の危機をぼやかすためのものであるし、意味のある抵抗や反対のあらゆる形態に対する武装解除をも目指したものである。

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イスラエルが恐れる対艦巡航ミサイル「ヤホント」


◆9月20日

 ロシアは、9月1日号の「イスラエルの反対にも拘らず、ロシアはシリアに武器販売」で示したように、イスラエルとアメリカの反対にも拘らず、シリアに対艦巡航ミサイルを供給する。高性能巡航ミサイルのシリア配備は、イスラエルの地中海艦隊に対する脅威となる。

 これに対し、イスラエルはロシアに報復の意味をこめて、イスラエル製兵器をロシアの敵対勢力に供給するぞ、と脅している。
 また、イスラエルはロシアが欲しがっている無人戦闘機の販売契約をすることで、ロシアから譲歩を引き出したかったようだが、ロシアはそれには応じなかったようだ。

 このように、イスラエルを取り巻く環境は日増しに厳しいものになりつつある。最後の頼みの綱はアメリカであるが、オバマ大統領のアメリカは、「非戦争」のベクトルを強める傾向にあるから、時間の経過と共に、イスラエルのタカ派路線は追い詰められていくことになるだろう。

 
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ロシア:対艦ミサイルをシリアに売却
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/russia/8009335/Russia-to-defy-US-by-selling-anti-ship-missiles-to-Syria.html
【9月17日 Telegraph.co.uk】

 ロシアのアナトリー・セルドゥコフ外相は、シリアに供給するミサイルは旧式であって問題になることはないとして、P-800ヤホント巡航ミサイルの供給を中止して欲しいという要請を退けた。

 「アメリカとイスラエルはヤホントのシリア供給を中止するよう要請していた」、と外相はアメリカ国防総省への訪問時に記者会見で語った。「しかしこの兵器がテロリストの手に渡るという彼らが指摘するような懸念はないと見ている」と延べた。「今までもそのようなことはなかったのだから、今回は違うということはないはずだ」と語った。

 イスラエルはこの2007年に合意された販売契約は、このミサイルは地中海でのイスラエル艦隊に深刻な脅威となるから、レバント地方における戦略的軍事バランスを崩す恐れがあると言っている。

 ヤホントの射程は約200マイル(≒320km)で、その正確さで評価が高く、また低空を高速で飛翔できるため捕捉が困難なミサイルである。現在シリアが保有する対艦ミサイルのどれよりも精巧なものである。
  シリアが旧式のミサイルをヒズボラに渡すという証拠のようなものはないが、ロシアの兵器が以前、このシーア派の武装勢力の手に渡ったことがあった。

 ロシアがシリアに供給したコルネット対戦車ミサイルが、2006年のレバノン戦争の時、ヒズボラの陣地内に放棄されていたのをデイリー・テレグラフ紙が発見したことがあった。
 
 イスラエルのネタニヤフ首相は、ロシアのプーチン首相に対し、先月このヤホント・ミサイルの供給を中止するよう要請していた。同様の要請が最近もイスラエルとアメリカの国防大臣らによってなされていた。

 パレスチナ指導部との和平交渉が再開されたのを受け、イスラエルはヒズボラとハマスが交渉を妨害する暴力行為に出るのではと恐れている。

 2週間ほどまえ、4人のユダヤ人入植者を殺害し2人に傷害を負わせたことを認めたハマスの行為に対し、イスラエルは西岸のハマスのコマンダーを1人17日(金)射殺した。

 パレスチナ暫定政府のファヤド首相は、この殺害行為を「危険な暴力のエスカレーションだ」と指摘し、和平交渉を頓挫させかねないと警告を発した。

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イラン空爆に使用されるか? X-35

◆9月14日

 トルコで憲法改正の必要性を問う、国民投票が行われ、賛成多数となったことで、トルコが今までの政教分離的姿勢を捨てて、いよいよイスラム勢力として中東で台頭してくる可能性が高まってきた。後はトルコ軍が新たなクーデターを起こして、今の政府を転覆させるようなことが起きねば、かつてのイスラエルの同盟国は、中東でも有数のイスラム勢力として登場してくることになるだろう。

 トルコ、シリア、イラン、この3国に加えて、エジプトもリビアも今後、反イスラエル色を強めて来る可能性が高まった。そのような情勢下で、イランに対する国際法違反の行為となる空爆などを行えば、イスラエルは中東のアラブ・イスラム勢力ばかりか、全世界を敵に回すことになるだろう。

 それで、イスラエルは何とかして単独でのイラン攻撃ではなく、欧米を巻き込んでの攻撃を実施したいと考えている。しかし果たしてその願いがかなえられるかどうか、大変に疑わしい。どの国もそれが大戦争に発展する危険性を熟知しているはずだし、今までのように親イスラエルというスタンスを取りにくい環境が、ここ2、3年で醸成されてきているからだ。つまり、2008年から09年の冬におけるガザ侵攻作戦であり、今年のガザ支援船を襲撃した事件などが、反イスラエルの国際世論を形成し、それは強まりこそすれ、弱まる気配にはないからだ。

 イスラエルはもはや欧米と言えども、イスラエルにたやすく組してイラン攻撃をする国は皆無であることを悟り、パレスチナとの和平の道を真剣に取り組むべき時が来ていることを知るべきである。



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モサド元長官:「欧米は連合してイランを攻撃すべき」
http://www.jpost.com/IranianThreat/News/Article.aspx?id=187850
【9月12日 Yaakov Katz】

 ダニー・ヤトム・モサド元長官は、制裁では不十分であり、イランの核兵器競争をストップさせるためには攻撃が必要だ、と語った。

 欧米諸国は、動員をかけて連合してイランの核施設を攻撃する必要があると9月12日(月)、ダニー・ヤトム元モサド長官は語った。
 
 インターディシプリナリー・センターで行われた国際対テロリズム研究所の会議の席上で、ヤトム氏は、「イランをストップさせるためには、軍事力の行使だけが成功するだろう」と語った。

 「制裁では不十分なのだから、イランの核兵器競争をストップさせるためには、彼らの核施設のいくらかを攻撃する必要性があるという点で世界がその認識を一致させることを望む」、とヤトム氏はめったに行わないコメントを出した。

 イランの核施設は国中に拡散配置されていることと、強化された地下壕に建設されているので、「世界がその能力を動員することで」、彼らの核計画を遅延させることが可能にさせるに充分なダメージを与えることができるだろう、と語った。 

 「もしも、アメリカに率いられた近代的空軍の力量が動員されれば、完璧ではないにせよ、何年かはイランの脅威が顕在化するのを遅らせることができる」、とヤトム氏は語った。、 

 イスラエルの能力に関しては詳細に語ることを控えながら、ヤトム氏は、もしも世界がこの問題に正しく対処する点において失敗すれば、「イスラエルは自衛の権利を保持するだろう」、と語った。

 「それが何を意味するか、理解してみたらよろしい」、と彼は聴衆に語った。

 ヤトム氏は、イスラエルは核装備したイランと共存することはできない、「私は、イスラエルに住んでいながら、自分の運命が他人に握られているような状況には陥りたくない。とりわけそれが、今話しているおかしな政権のことであるならば」、と氏は語った。「イランの実験対象にはなりたくないのだ」

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経済から宗教まで、時代の先を読み解くための作業を人間活動のあらゆる分野にメスを入れて行います。
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